素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪14 宮城「ガーデンガーデン」
ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれのショップの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、私たちの想像力を刺激し、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、仙台市郊外にある園芸ショップ、宮城県の「ガーデンガーデン」を訪ねました。
目次
緑に囲まれた環境で
リフレッシュしながらショッピング
仙台の中心部から山形に向かう在来線で揺られること30分。秋保温泉や作並温泉、ちょっと先に行けば山寺「立石寺」といった名湯・名所があるのどかなエリアに位置する「ガーデンガーデン」。山並みを背に広がる観光スポットのような、広々としたショップです。
広い敷地に膨大なアイテムが並ぶ
見応えのある売り場
造園業を手掛ける「ガーデン二賀地」は開業約50年。その園芸部門としてショップをオープンした「ガーデンガーデン」は、この地に根付いて約20年。花に関心の高い方々へ向けた地域密着型の園芸店から始まり、今では東北6県を中心に、遠路はるばるガーデナーが訪れる店となりました。
5,000㎡もある広い売り場は、このショップの大きな強み。植物やグッズなど、アイテムごとにエリアに分けられ、種類豊富なたくさんの商品が、ゆったりとしたレイアウトで展示されています。
【花苗コーナー】
全国各地から新しい品種を積極的に仕入れ、ビギナーからベテランガーデナーまで満足のいく品揃え。苗売り場には屋根がついているので、雨の日でも安心してショッピングが楽しめます。
カラーリーフ類も豊富に扱っているので、どんなスタイルの花壇・寄せ植えづくりにも、大いに助かります。
花売り場の一角を華やかに彩る寄せ植え。可憐な花を使ったナチュラルなアレンジが得意。寄せ植え講習会も定期的に開催しています。
【バラコーナー】
年末から春にかけて、バラの大苗が出回る時期や開花苗の並ぶ時期は、各ブランドのトレンドのバラが約5千鉢、店頭に並びます。また、バラに造詣が深いスタッフがいることも大きな魅力。店長の丹野陽介さんは、入社時から20年間ずっとバラ担当を務めてきただけあって、近年の流行やトレンド、品種の育てやすさなどをすべて把握しています。また、バラの専門家を招いたイベントも年2回開催。
【樹木コーナー】
造園部門の脇にある樹木売り場には、大きなポットに植えられた多彩な中高木が森を形づくるように並べられています。
家庭果樹も充実しており、すぐに楽しめる実つきの株も多く並んでいます。この店イチオシなのは、ブルーベリー。「たくさん実っているから食べて味を確認してもいいですよ」と大らかな丹野店長。
他品種との交配で実がつきやすくなるブルーベリーは、多くの品種を揃えています。ハイブッシュ系、ラビットアイ系、どちらも豊富に揃っています。
左/行灯仕立てにした大鉢のブラックベリー。誘引を外してフェンスに絡ませれば、すぐに見応えのあるシーンが楽しめます。右/黄色い実が庭に異国情緒を添えるレモン。一株あるだけで、庭の雰囲気が高まります。
澄んだ空気を味わいながら
散策できるサンプルガーデン
樹木売り場の奥には、青々とした山を背景に広がる、2つのサンプルガーデンがあります。手前側には宿根草を中心とした彩り豊かな花壇が、階段を上った奥には樹木とリーフ類をメインに使ったエクステリアガーデンが広がっています。
【宿根草ガーデン】
斜面を数段に分け、自然石を積んで土留めをした花壇は、季節の宿根草を植栽した野趣に富むナチュラルガーデン。宿根草の本来の魅力・育ち方が分かります。
コニファーや低木類を背景に、色を添えている宿根草。グリーン×パープルの大人っぽい色彩が、見る人を飽きさせません。
【初夏に見頃の宿根草(6月下旬)】
左/繊細な草姿、ナチュラル感たっぷりの花が魅力のタリクトラム。右/黄色いユニークな花がアクセントになっている、華奢なトリトマ。デルフィニウムの花色とのコントラストが好相性。背後の白い葉は、アメリカハナズオウ‘フローティングクラウド’。
左/黄葉と青花のコントラストが印象的な、トラディスカンティア‘スイートケイト’。右/涼しげな雰囲気を醸しているアストランティア・マヨール。
左/春から株を覆うように次々に花を咲かせるゲラニウム‘ボックストンブルー’。花壇の最前列におすすめ。右/大人気のアジサイ‘アナベル’のピンク種。花が華奢なので、草花と馴染みやすい。
【エクステリアガーデン】
造園部門が手がける、エクステリアと植物の組み合わせを提案したガーデンです。美しい樹木使いが目を引きます。
① 白いシェッドがあるエリア
宿根草花壇の階段を上がると、青々としたリーフの奥に愛らしい小屋が出現。ストーリーを感じさせる演出。
② 都会的なくつろぎのエリア
都会的なエクステリアと、それらを引き立てる自然な植栽。構造物のハードな印象を、モミジなどの軽やかな葉で、ふんわりと和らげています。
③ サンプルガーデンの中央エリア
カラーリーフをふんだんに使い、グリーンを主体とした葉色のグラデーションが織りなす風景は、造園部の実力の見せ場。
④ 木柵で囲まれたナチュラルなエリア
いくつかの小さな空間を連ねて構成したサンプルガーデン。木の柵なども取り入れた、素朴で愛らしいコーナー。
このコーナーには房咲きの赤いバラ‘岳の夢’で、アクセントを添えています。
左/中~大株のホスタの葉は、さりげないアクセントを生み出すのに効果的。右/アメリカハナズオウ‘フローティングクラウド’の株元には、アジサイ‘アナベル’が。グリーンがかった白い葉と花の爽やかな競演。
木のフェンスをよりおしゃれに見せていたのは、銅葉のアルストロメリア‘インディアンサマー’ (左)と、繊細な白斑が入る五色ノブドウの葉(右)。
白いウォールまわりは、メギやアベリアとディアボロやマホニア・コンフューサなどのリーフで印象を強めて(左)。クリーム色のアルストロメリアで、優しい上品さをプラス(右)。
悪天候でも快適!
ガラス温室の中でショッピング
観葉植物や多肉植物、サボテンなどのインドアグリーンと雑貨類が並ぶガラス温室は、全天候に対応できる快適な空間です。温室内は、インテリアを意識したディスプレイで、インドアグリーンを楽しむ提案が随所に盛り込まれています。
【観葉植物・サボテンコーナー】
【雑貨・ツールコーナー】
インドアグリーンと馴染みのよい雑貨類は品数も豊富。ベランダガーデンなど庭のコーナーづくりにも役立ちそうなものがずらり。
【インテリアコーナー】
温室の一部に設けられた2階は、緑が育つ部屋づくりの参考になる、グリーン×インテリアコーナー。
グリーンと並ぶアイテムは、さりげなくおしゃれで、しかも植物の瑞々しさを引き立ててくれるものに特化。
【切り花コーナー】
愛らしいミニバラや、華やかなトルコギキョウ、そして存在感満点のバンクシア——。レジ前のエリアでひと際目を引く切り花コーナーには、根付きの植物にはないあでやかさがたっぷり。眺めているだけで、ぐっと気持ちが華やぎます。
ガーデンガーデンのイチオシはコレ!
敷地内でいただける身体に優しいランチ
広い売り場でお買い物をされたお客様にほっと一息ついていただくために、ガーデンガーデンでは敷地の一角にカフェ「Café Saji」を併設。野菜たっぷり30品目以上の素材を使った週替わりランチが大人気です(12月中旬~翌年3月中旬は休業)。
カフェの横にあるアイススタンド「あいすの家」のアイスクリームも大人気。北海道夕張にある本店「あいすの家」のアイスクリームのおいしさと素材の素晴らしさに魅せられた社長の田中さんが現地まで幾度も足を運んで頼み、販売されるようになりました。夕張以外で味わえるのはここだけ。ぜひご賞味を。
広々とした空間で、ゆったりとショッピングできる園芸店「ガーデンガーデン」。「見て・買って・学んで・味わって」とガーデナーの感性をフルに満たしてくれる、アミューズメントスポットのようなショップです。ぜひ訪れてみて。アクセスはJR仙山線愛子駅から徒歩で約20分。
【GARDEN DATA】
宮城県仙台市青葉区上愛子蛇台原62-5
TEL:022-391-8718
営業時間:9:30〜18:00(夏季)/10:00-17:00(冬季)
休日:なし
Credit
写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
写真協力/ガーデンガーデン
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