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イギリス発祥の庭デザイン「ノットガーデン」【世界のガーデンを探る旅14】
イギリスの庭デザインの手法の一つ、ノットガーデン 今まで見てきたように、イギリスで庭ができ始める前に、イタリア、フランスなど大陸では富と文化の変遷がありました。十字軍や、大陸との文化・人的交流により、イギリスにも大陸文化の影響が色濃く見られるようになって、国内では多くの整形式庭園やフォーマルガーデンがつくられました。 起伏に富んだイタリアや平坦な大地のフランスに比べ、緩やかな丘が続くイギリスでは両国の庭園様式は何かしっくりこなかったのか、イギリスのアイデンティティーの一つとして、ノットガーデン(Knot garden)が生まれてきました。 そこで今回、解説する庭は「スードリー・キャッスル(Sudeley Castle)」。遡ること1442年、チューダー王朝の時代に建てられたお城です。イングランドでは、中世100年戦争から薔薇戦争と続いた内乱がやっと終わり、平和な時間が訪れました。このお城が歴史に登場してきたのもそんな時代で、かの有名なヘンリー8世の6番目の王妃であるキャサリン・パーがスキャンダラスな生涯を送ったことでも有名です。 庭のあちこちに登場する樹木の刈り込み 山形や円錐形など、きれいに整えられたイチイの刈り込みが圧巻の庭の一角。ひときわ明るく目にとまるのは、黄金キャラの刈り込みです。このような形で庭の中で見られるのは珍しいものです。 この庭は、16世紀になると廃墟となってしまいましたが、近年大規模な修復がなされたことで、現在はイギリスで屈指の庭園になっています。 芝生と長方形の池が同じ高さにつくられたシンプルなデザインの庭。廃墟がそのまま庭の一部として取り入れられていて、この庭の歴史の古さを感じさせてくれます。 イギリスで発祥したノットガーデンの名所 ツゲの生け垣の緑により模様が浮かび上がるガーデンのことを“ノットガーデン(結び目模様の庭)”と呼びますが、イギリスでもノットガーデンの代表的な場所として有名なのが、この「スードリー・キャッスル」です。チューダー王朝時代にあったであろう形をそのままに再現したノットガーデンですが、つくり出されたこの模様は、エリザベス1世のドレスの模様がもとになっているといわれています。 このように、刈り込みが一定の高さを保つノット(結び目模様)を維持管理するのは、日が均一に当たらず生育が不揃いになるところでは非常に難しく、緯度の低い日本では再現がほぼ不可能だと思います。濃い緑一色では暗い空間になってしまうので、中心に白いタイル張りのポンドと西アジアをイメージさせる噴水のオブジェがフォーマルな庭を演出しています。 ノットガーデンを維持するガーデナーの丁寧な仕事 ノットガーデンが維持されているのを見ると、きれいに刈り込みを行い続けている作業の苦労がうかがわれます。現代になっても電動器具を使わず、手作業での刈り込みをしているところが、イギリスらしいと感じます。この「スードリー・キャッスル」には8つの庭がそれぞれ生け垣で分けられていて、どこもきれいに管理されていました。 色とりどりの花々が咲き乱れるイングリッシュガーデンの登場は、世界中からプラントハンターが持ち帰る植物が栽培されだした17世紀以降になるので、今回ご紹介している「スードリー・キャッスル」をはじめとする中世のイギリスでは、まだまだ新大陸やアジアからの新しい植物はなく、限られた植物で庭をつくっていました。そこで、庭に変化をつけるためにも、きれいに刈り込んで形づくる「ノットガーデン」やイタリアの庭でご紹介した「トピアリー」、そして庭を取り巻くイチイの生け垣やメイズ(迷路)を取り入れることで、単調な庭を変化に富んだ空間に仕立て上げたのでしょう。 ここは長い間廃墟になっていたこともあり、ある意味、当時の雰囲気がそのまま残っています。 刈り込みによる庭デザインのバリエーション 右奥にはピジョンハウス、手前はハイドランジア‘アナベル’のグリーンの花の一群。そして、奥にきれいにシェイプアップされた刈り込みの壁。男性的なデザインの庭になっています。この‘アナベル’は北アメリカの植物なので、改修後に植えられたものでしょう。 一段高く茂るスクエアの刈り込みを中央に、外へ向かって二重、三重と生け垣と芝で丸く形づくった緑に白花が浮かび上がる落ち着いた雰囲気の庭。つくられた当時のことを思いながら眺めると、ガーデンデザイナーやガーデナーの工夫と苦労を感じられます。 区切られた庭ごとに工夫があるイギリスの庭 城の壁面に沿って続くボーダー花壇では、赤花が咲く植物が多く植えられ、シックな印象です。赤花はペンステモン、ダリア、カンナ。白花はエリンジウム。建物や園路の明るいベージュと、ナツヅタや芝生の緑に花色が引き立っています。 植栽に近づいてみると、ダリアとペンステモンに、赤葉のカンナが立ち上がっています。奥のほうではジニアの深紅の丸花が控えめに咲いています。アイリスのシルバーがかった葉も、引き立て役としてうまく調和しています。 宿根草のフラワーベッドのある庭では、レイズドベッド(立ち上がった花壇)の縁取りに、コッツウォルズ独特の板石のライムストーンを積み上げ、宿根草と低木が混ざり合って多種の植物が育っています。このように、一段高い場所に植物が茂っていることで、平面的なボーダー花壇と比べ、迫力のある景色になっています。 黄ケマンソウの茂みから、放し飼いの孔雀が現れました。孔雀はもともと東アジア原産の鳥ですが、時々ヨーロッパの庭で放し飼いになっているのを見かけます。奥の木陰にはシンプルなベンチが置かれていました。 ここでは、中央に変形の池を配し、その石材の手すりに植物が寄り添い茂っていました。このように小さく区切られた敷地ごとに、いろいろなタイプの庭をつくることで、訪れる人を決して飽きさせません。「スードリー・キャッスル」では、こうしたイギリスらしい庭づくりのエッセンスをたくさん見ることができました。 緑をふんだんに使うイギリス。ナショナルカラーのブリティッシュグリーンはこんなところから始まったのではないでしょうか。 「スードリー・キャッスル」の近くにある小学校の塀にも、植物の彩り。さすがイギリスですね。 スードリー・キャッスルへ向かう途中の小さな橋も石柱が配されて洒落ています。こんなアプローチが訪れる人の心を庭の歴史に対する興味へと導いてくれます。 併せて読みたい ・スペイン「アルハンブラ宮殿」【世界のガーデンを探る旅1】 ・イギリス「ハンプトン・コート宮殿」の庭【世界のガーデンを探る旅11】 ・イギリスに現存する歴史あるイタリア式庭園【世界のガーデンを探る旅13】
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横浜は「バラの街」! 3つのローズガーデンの魅力を紹介
花や緑が“ネックレス”のように人・街・時をつなぐ祭典 観光地として人気の横浜。近年はさらに横浜の豊かな自然を育もうと、「ガーデンシティ横浜」を目指す事業を推進しています。その中心的な取り組みとして展開されているのが、花と緑の祭典「ガーデンネックレス横浜」です。花や緑が“ネックレス”のように、人・街・時をつなぐというコンセプトで開催され、3月は桜、4月はチューリップ、5月はバラが、次々に横浜の各地を彩りました。異国情緒豊かな横浜の街並みとさまざまな植物たちが織りなす美しい景色は、地域の人々や観光客から人気を集めています。 横浜市の花“バラ”に出合える3つのガーデン バラは横浜の市の花であり、港の見える丘公園と山下公園にある次の3つのローズガーデンは、「ガーデンネックレス横浜」をきっかけに、異なるテーマでリニューアルされ、人々を魅了しています。 イングリッシュローズの庭 ご紹介する1つ目は、港の見える丘公園内にある「イングリッシュローズの庭」です。約120種、1,200株のイングリッシュローズが植栽されています。 “イングリッシュローズ”とは、イギリスの育種家、デビッド・オースチンが作出したバラの総称で、ブランド名でもあります。春の最盛期の後も繰り返し咲く性質をもった四季咲き性で、豊かな香りを持ち、とても人気があります。 こちらの庭では、イングリッシュ・ローズにさまざまな宿根草が組み合わされ、見事なハーモニーを奏でています。そして、庭の中央付近には、世界中で愛されている黄色の名花‘グラハム・トーマス’の回廊があります。この回廊に足を踏み入れると、バラに包まれ、きっと幸せな気持ちになりますよ。 香りの庭 2つ目は同じく、港の見える丘公園にあるバラ園「香りの庭」。バラを中心に、200種類以上の香りの植物が迎えてくれます。 こちらは沈床花壇で、周囲から一段低く、香りが溜まりやすい構造になっています。訪れるなら、特に香りがよい“ゴールデンタイム”とされる朝がオススメです。 バラは、ダマスク、フルーツ、ティー、ミルラの4つの香りに分類して植栽されていますので、ぜひこの庭でバラの香りの違いを体感してみてください。 未来のバラ園 そして最後は、山下公園にある「未来のバラ園」です。 近年、ドイツやフランスでは、環境への配慮から、無農薬で栽培できるバラの育種が盛んです。このバラ園も、自然環境を考えた未来のモデルガーデンを目指し、無農薬で栽培できる耐病性のあるバラを中心に植栽されています。これからバラを栽培してみたいと考えている人は、こうした耐病性のあるバラからお気に入りを見つけてチャレンジしてみてはいかがでしょう。 また、係留されている氷川丸を背景にしたこの庭では、まさに横浜ならではの素敵な景色も楽しめます。 「ガーデンネックレス横浜」は2019年も引き続き開催される予定で、5月には新たなバラのイベントも企画されています。 来年はどんなバラの花に出合えるのでしょう。今からワクワクしますね。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
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イギリス

ベテランガーデナーが解説するイギリスの街景観とハンギングバスケット
ハンギングバスケットが街並み景観をレベルアップ 2018年6月にコッツウォルズを中心に庭巡りの旅に出かけた。ウイズリーやヒドコートなど、多数の庭園を巡って、改めてイギリスの園芸文化の伝統のすごさと、人々の園芸に対する造詣の深さに敬服し、多くの感動を経験すると同時に、ガーデニングのアイデアをいくつも膨らませることができた。そもそも庭巡りの旅なので、庭を見て感動するのは「想定内」のことだが、実は「想定外」の感動があった。それはハンギングバスケットのある美しい街並み景観であった。 日本でもハンギングバスケットづくりは行われているが、ガーデニングコンテストのような場面やネット上ではお目にかかるものの、街中で見かけるのは極めて稀である。そして僕のイメージでは、ハンギングバスケットといえば、コンテストで見かける“かなり力んだ作品”で、珍しい高価な花苗をふんだんに使用しているように感じられて、つい「花苗代はいくらになるのだろう?」と想像してしまい、少々、遠い存在だった。 今回の旅で見かけた、ありふれた花を上手に使用したハンギングバスケットと街並み景観に対する感動は、少々カルチャーショック的なものであった。 ストラトフォード・アポン・エイボンにて そのカルチャーショックの第一波は、2日目に訪れたシェイクスピアの生誕の街、ストラトフォード・アポン・エイボン。エイボン川の畔の静かな街だ。この日は、ウィズリーガーデンとモティスフォント・アビーガーデンで、たっぷりと美しい庭を堪能し、すっかり満ち足りた気分だった。夕方に着いて、シェイクスピア生誕の家などを見て回ったが、陽が西に傾きかけた頃、はっと視界に飛び込んできたのが、街角の絵になるハンギングバスケットのある風景だったのだ。 美しいハンギングバスケットが、横文字のお洒落な看板と共に。まさに「外国の風景」そのもので、その美しさに惹かれてシャターを押した。庭巡りの旅で出合った想定外の景色だった。日本でも、他の海外旅行でも見たことのない、街並みとハンギングバスケットの織り成す美しさにカルチャーショックを覚えたのだ。 立派なハンギングがこれほど生き生きとしているのは、気候のせいもあるだろうが、やはり人々の花に対する愛情、そして街景観に対する思いなのだろう。花で観光客をもてなす英国人気質のような、伝統に育まれた文化を感じた。 チッピングカムデンはハンギングバスケットの街 そして、いよいよコッツウォルズの街、チッピングカムデンへ。この街で、ハンギングバスケットと街並み景観に本格的なカルチャーショックを受けたのだ。チッピングカムデンはコッツウォルドストーンの名で知られる、この地方特産のハチミツ色の石造りの建物との調和が素晴らしい。 ハンギングバスケットがこれほど街並みを美しくしているのを見たのは初めてである。窓辺や玄関脇に飾られたハンギングバスケットが、街の美しさに文字通り花を添えている。その景色からは、コッツウォルドストーンで統一された建物がただきれいに並んでいるという表面的なものではなく、歴史と伝統を重んじ、自分たちで美しい街並み文化をつくり上げていくという、人々の熱い思いすら伝わってきた。 日本のよくある「これでもか!」と珍しい植物を詰め込んだ感のあるハンギングには抵抗があるが、ごく平凡な親しみのある花々を使用して、これほどの景観効果をプロデュースするハンギングの力に脱帽だ。さすがイギリスですね。 帰国後、この記事の執筆をするにあたって写真を整理していても、その時の感動が呼び戻されるほど本当に美しい街並みだ。街角の鉢物やハンギングも洗練されていて、景観を一層美しくしていた。 ハンギングに使われている植物の変化を眺めて散策 日本の街並みと何が違うのか? そうだ、電線が一本もない! 立て看板や宣伝ののぼり旗だってない。美観より経済優先できたこの数十年の日本との違いに気がついてしまったのだ。 ブラキカム、ブルーファンフラワーと青系統で爽やかなハンギング。グレコマなども見えます。 これまた赤一色で、なかなかのインパクト。見事な咲き姿のぺラルゴニウムでした。日本の気候では無理かも。 最近の日本にも見られるカラーリーフを中心にしたハンギング例。イギリスでもカラーリーフの組み合わせが流行なのだろうか? 使われているのは、ムラサキゴテン、ディコンドラ、イレシネ・ファイヤーワーク、ヒポエステスだろうか。 ちょっと乱れ気味ですが、やはりゼラニウムは強健ですね。 こうしていくつも観察していたら、ひとつの法則に気がついた。上に比較的大輪の花を置き、下にいくにつれ小輪の花を配置する。さらに、つる植物を垂らす。街並み同様に、ハンギングにも統一感が感じられるのは、そんな「掟」があるのかも。 チッピングカムデンの街は、美しいハンギングの数々と街並み風景がどこまでも続く。 バートン・オン・ザ・ウォーターのハンギング 可愛らしい街だ。そして目に飛び込むのがハンギングの花たち。平凡な花を使用しているのに、おしゃれで素敵なのだ。 明るい色づかいが石づくりの壁に映える。 通りに面した家々のフロントガーデンを美しく飾ってオープンにし、道行く人々に楽しんでもらうイギリスの庭づくりと、塀で囲んで敷地の中が見えないようにする日本の庭づくりの違いは、住宅事情等で仕方ないとしても、ハンギングバスケットによって街並みを美しく飾り、訪れる人々や観光客をおもてなしする園芸文化は羨ましくもあり、カルチャーショックでもあった。日本の観光地や街中にあふれる派手な看板やのぼり旗、そしてクモの巣のような電線を見るにつけ、街並み景観とガーデニングの今後の課題を感じさせられた。 あわせて読みたい ・庭をつくろう! イギリスで見つけた、7つの小さな庭のアイデア ・槇谷桜子のMY Botanical Life 1 見栄え抜群のハンギンググリーン ・夏のガーデニングのお手本にも! 花いっぱいのロンドン・パブ
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北海道

上野ファームの庭便り「秋の庭で春をつくる」
積雪前に植えつける秋の大切な大仕事、球根計画 秋になると、上野ファームの庭仕事は一年で最も忙しくなります。それは来春のための球根をしっかりと計画して植えつけなくてはならないからです。秋に植える球根によって理想のデザインをし、どれだけ作業を進めるかで、春のガーデンの美しさが変わるといっても過言ではありません。これから立ち枯れた冬に向かう気候の中で、頭の中のイメージを“春いっぱい”にして想像を膨らませながら球根計画を考えます。北海道はどの地域よりも積雪が早いため、球根の植栽はいつも急ぎ足です。雪が積もってしまうと植える予定の場所も見えなくなってしまうのです。積雪が早い年は、雪をかき分けながら必死で植えたこともあります。 昔とは違う! 個性豊かな球根たち チューリップの世界はどんどん広がっています。昔の赤、白、黄色のイメージとは全く異なり、個性的な形や色が多くなって、選べる種類がぐんと増えました。今注目の開花が楽しみなチューリップたちをご紹介しましょう。 黒い羽のようにシックで大人なチューリップ‘ブラック・パーロット’。 かわいいリップを引いたような‘キャンディ・コーナー’。コンパクトなサイズは寄せ植えにも向いています。 開花が進むにつれて、変身を続ける不思議系チューリップ‘ハーバーライト’。 枝分かれしてブーケのように咲くチューリップ‘アントワネット’。咲き進むにつれてピンクの縁取りが現れる変化咲き。 宿根草の間に球根を植えつける上野ファームの栽培スタイル 上野ファームの球根デザインは、ほとんどが宿根草と宿根草の間に植えるスタイルです。植物が茂っている時期はなかなかこの作業ができないので、上野ファームのガーデンの閉園後が球根を本格的に植え始めるタイミングになります。冬には地上部が枯れる宿根草を根元からきれいに刈り取って、株と株の間を分かりやすくしてから取り掛かります。色のバランス、草丈、個数、開花期のバランスなど、球根の位置はとても重要なので、すべて自分で一球一球ていねいに配置をしていきます。その作業は透明な絵の具で絵を描くような感覚で、チューリップやスイセン、アリウムなどが開花したときのイメージを、すべて頭の中で想像しながら配置を考えていきます。 同時期に成長を始める宿根草とのバランスもとても大切です。頭を使う作業ではありますが、イメージ通りの風景が春に広がる瞬間は、何度経験してもとても嬉しいものです。秋の球根選びや植えつけ作業は大変ではありますが、この嬉しさと楽しさがあるからこそ、上野ファームの庭にとって欠かすことのできない秋の庭仕事なのです。多くの宿根草は開花まで時間のかかるものが多いのですが、球根は、秋に植えれば、春に必ず結果を出して応えてくれる点も球根の魅力の一つだと思います。 翌年の初夏に咲いたアリウムの花たち。この風景を秋の植えつけ時に具体的にイメージできるかが大切。想像力をフルに働かせて秋の球根を植えていきます。 流れるように芝の中にムスカリの球根を一つひとつ丁寧に植え付けていきます。3色が混じり合うように配置していることは、この時、パッと見には分かりません。 春の開花シーズンになると、秋に描いた絵が庭に浮かび上がります。ブルーを中心に水色と白をチラチラと混ぜ合わせて、川のように流れるムスカリ。植える大変さはあるけれど、この瞬間があるからこそ、球根栽培は楽しい。 球根の開花リレーで、春の庭に変化をつくる 宿根草に開花期があるように、春に咲くというイメージしかない球根にも、開花期がしっかりとあるのをご存じですか? チューリップも早咲き、中生咲き、晩生咲きと大きく3つのシーズンに分けることができます。それは時間が進むにつれて色の組み合わせやグラデーションの色を増やすなどの開花期の時間差がつくり出すデザインとしても楽しむことができます。 前出の写真から10日後には、中生咲き、晩生咲きのチューリップが開花を始め、華やかにイメージチェンジ! 開花期を絶妙に計算することで、表情がどんどん変わる春の球根ガーデンに。 原種系チューリップや小球根たちは、早春から咲き始めますが、開花期がそれほど長くはありません。その後、さらに開花をつなげるような球根があれば、春の球根バトンリレーを長い期間楽しむことができます。 晩生咲きのチューリップを意識して植えることで、後半になって伸びてくる宿根草の葉や花と重なって、とても素敵な春のガーデンになります。 レースのような花が咲く宿根草のコンロンソウや球根花のシラーが揃って伸びてくる5月下旬は、早春の宿根草とチューリップの競演が見られる貴重な季節。 開花期の異なる球根を数種類混植して、ガラリとイメージを変えるのも楽しいものです。白樺林には、スイセンと合わせてチューリップもたくさん植えているので、清楚なスイセンが終わりかけた頃、ポップなカラーのチューリップが咲き始めて、一気に雰囲気が変わります。その後、隙間からムスカリやフリチラリアなどが開花を続けます。 球根というとチューリップやスイセンがすぐに頭に浮かぶ方も多いと思いますが、秋植え球根は、ムスカリやフリチラリア、アリウム、カマッシアなど、さまざまな種類があります。それぞれの特徴や色、草丈などを考えながら、地面にポンポンと配置して植え込むだけ! 秋の球根植えほど楽しい作業はありません。地面に描いた球根がまるで魔法のように春に開花を始めて、華やかな景色をつくってくれます。球根類には驚くほどの種類がありますが、品種を選ぶのも楽しい作業です。 上野ファームのムスカリ。ムスカリだけでもさまざまな色のバリエーションがあり、毎年少しずつ増やしながらコレクションする楽しみも広がります。 中でもお気に入りは、ムスカリ‘マウントレディ’。まるで小さな富士山みたいです。 自然風な植栽にも活躍するカマッシア。 チューリップが終わる頃、アリウム‘パープルセンセーション’と同じくらいの時期に開花するので、一緒に植栽すると涼し気な色合いの球根コーナーになります。 球根の植え時となる秋はガーデンシーズンも終盤で、ちょっと庭仕事にくたびれかけている時期ですが、春の素敵なガーデンをイメージして、もうひと頑張り! 地面に描いた球根が、ときめくような春を連れて来てくれます。球根は忘れた頃に届く自分へのプレゼントのようなもの。ぜひ、いろんな球根にチャレンジしてみてください。
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秋田県

花の庭巡りならここ! 体験教室のプラン充実の観光ガーデン「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」
ハーブ香るガーデンで植物に触れる体験教室を 県立自然公園の中にある「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」は、300㎡の広さを持つ、ハーブに特化した観光ガーデンです。自然豊かな周囲の借景との調和をはかったナチュラルな植栽で、約100種の植物が息づいています。春のチューリップ、初夏のラベンダーを中心としたハーブ類、秋のセージ、そして紅葉へと四季折々に表情を変えていくので、一年を通して何度でも足を運びたくなるスポット。年間10万人が訪れ、リピーターが多いというのもうなずけます。 特筆しておきたいのは、体験教室が大変充実していること。当日その場で申し込みが可能(定員あり)で、気軽に参加できるのがハーバリウム(所要時間30分〜、1,500円)、アロマストーン(所要時間30分〜、1,200円)、天然ハーブのハンドクリーム(所要時間30分、700円)などの手作り体験で、随時約15種のプランがあります。予約制では(7日前まで予約、参加者8人以上)、ハーブのミニ知識教室(所要時間約40分、600円)、手作りパン教室(所要時間2時間、1,200円)、手作りソーセージ教室(所要時間2時間、1,800円)など。旅の思い出に、ぜひ手作りのお土産を持ち帰ってみませんか?(価格表記は税別) 小鳥のさえずりが聞こえる自然豊かな環境のもと ハーブと草花が織りなすハーモニーを楽しもう 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」が最も華やぐのは5月上旬、ゴールデンウィークの頃です。暖地では開花期が少しずつずれるサクラ、ジューンべリー、ハナズオウなどの花木や、ムスカリ、スイセン、クロッカス、チューリップなどが一斉に咲いて春が一度にやってくる、北国ならではのガーデンの景色を楽しみましょう。チューリップは毎年配色を変えて植栽しており、群植の色合わせの妙を見せてくれます。 ラベンダーの見頃は7月中旬。寒さに強いラベンダー・グロッソを群植しています。園内を散策しながら、癒し効果のあるラベンダーの上品な香りを楽しみましょう。この時期は、ほかにヤマボウシ、ギボウシ、ミントなどがガーデンの景色を盛り上げます。 10月中旬〜下旬になると、5〜6種、約50〜60株のセージが満開に。セージは成長するとこんもり茂ってボリュームのある草姿になるので、色彩もさまざまに迫力のある景色を楽しめます。 秋が深まり、10月中旬〜11月上旬になると紅葉が見頃を迎えます。ナラ、クリ、カエデ、サクラ、ジューンベリーなど、落葉樹が燃えるように色づく姿を楽しみましょう! ちなみに、随所にベンチなどの休憩スペースがありますが、飲食の持ち込みは不可となっています。 地元の旬の味が楽しめるレストラン& テイクアウトOKのカジュアルなフード店が揃う 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」の外観。おいしいカレーパン、みそたんぽなどの軽食が楽しめ、テイクアウトもできるカジュアルフーズ「アルマジロ」、レストラン「サラート」、アロマシッョプ「フィールズ」などの店舗が入っているので、ぜひ立ち寄ってみましょう。 レストラン「サラート」では、田沢湖を一望できるビューを楽しみながら食事ができます。平日はビーフシチュー1,300円、くるみパンプレート680円(一日6食限定!)、八幡平ポークの生姜焼き定食1,000円など、メニュー構成が多彩。営業時間は、喫茶が10:00〜15:30(ラストオーダー15:00)、食事は11:00〜15:00(ラストオーダー14:30)。 毎週土・日と祝日はバイキング形式限定で、旬の食材を使ったさまざまな料理を楽しめます。営業時間は11:00〜15:00(受付14:30まで)、大人1,600円、小学生800円、幼児500円(価格表記は税別)。 レストラン「サラート」では、ローズ、ラベンダー、ミント、カモミールなど19種のハーブから選べるハーブティーバー500円がオススメ。おかわり自由です。もちろんスイーツも充実のラインナップ。ここでしか食べられないレモングラスのソフトクリーム278円、ワッフルプレート500円、ルバーブチーズケーキ400円、アップルパイ370円などがあります(価格表記は税別)。 ハーブ、花苗充実のガーデニングショップと アロマ&土産物充実の雑貨店でお買い物に夢中に! 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」の温室内には、ガーデニングショップの「シーズ」があります。食用のキッチンハーブ(カモミール、バジル、タイム、ミント)や観賞用ハーブ(ラベンダー、セージ、サントリナ)など、ハーブ苗の品揃えが多彩。堆肥や土などの資材、ガーデンアクセサリーなども販売しています。 写真はアロマショップ「フィールズ」の一角。エッセンシャルオイル、ディフューザー、マッサージオイルなどのアロマテラピー用品、ハーブ石けん、お香、アロマキャンドルなどが充実。ほかに秋田・田沢湖限定のお土産、秋田犬ぬいぐるみ、地元農産加工品などもあり、お土産探しに好適です。 Information 田沢湖ハーブガーデン「ハートハーブ」 所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢字潟前78 TEL:0187-43-2424 http://www.heart-herb.co.jp/ アクセス:車/盛岡方面から田沢湖へ、国道46・341号経由、約1時間 秋田市方面から田沢湖へ、国道13・46号経由、約1時間40分 オープン期間:4月中旬~11月上旬 ※冬期間(11月中旬~4月上旬)は土・日・祝日のみ営業、ガーデン・温室・ランチバイキングは休み 営業時間:10:00~16:00 (平日)、9:00~17:00(土・日・祝日) ※冬期間は10:00~16:00 料金:無料 駐車場:有り、200台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 都会のオアシスで癒しのひとときを「神戸布引ハーブ園」 ・花の庭巡りならここ! 実はエンタメ空間!「水戸市植物公園」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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オーガニックコスメのパイオニア「ヴェレダ」社のハーブガーデン・レポート!
厳しい基準をクリアしたオーガニック製品を製造 皆さんは、ヴェレダの商品を使ったことがありますか? ヴェレダはスイスに本社を置く、ナチュラル・オーガニックコスメブランド。植物一つひとつがそれぞれ持つ力を引き出し、それらを人の美しさや健康へと生かすモノづくりをしています。そんなヴェレダの商品は、製造工程のすべてにおいて、厳しい基準をクリアしたオーガニック製品であることにこだわって製造されており、日本でもショップを展開するなど、高い人気があります。それぞれにシンボルとなる「キープラント」と呼ばれる植物が配合されたヴェレダ製品のラインナップは幅広く、きっと、皆さんの中にも、フェイスケア商品やボディミルクなどの商品を愛用している人がいるのではないでしょうか。そんなヴェレダの製品材料の一部は、実は自社農園で生産されていることはご存じでしたか? 今回は、あらゆる生き物がのびのびと生きる、ドイツにあるヴェレダのハーブガーデンをご案内します。 ヴェレダの創業と人智学 ヴェレダの創業は1921年。「人間は自然と調和して生活すべきである」と考える人智学(アントロポゾフィー)の創始者で、教育や建築などでも知られるオーストリアの哲学者・自然科学者のルドルフ・シュタイナーと、オランダ人の医師イタ・ヴェーグマン、ドイツ人化学者で薬剤師でもあったオスカー・シュミーデルにより創設されました。教育と研究という、それぞれ異なるアプローチからアントロポゾフィーの活動をスタートさせた彼らに共通する理念は、医薬品は自己治癒力に刺激を与えるものであるべきというもの。彼らの持っていた「人と自然との調和」というモットーは、設立当初から変わることなく企業の理念として生き続けています。 3人はヴェレダの設立以前より仕事での関わりがあり、ヴェーグマン医師とシュミーデル博士の共同研究により生まれたものの中には、今なお用いられている自然医薬品もあります。そして1921年に、ゲーテアヌムにあったシュミーデル博士の実験施設を引き継いで化学と医薬品の製造研究所に合併し、同年に近隣のアーレスハイムに会社を移転したことが、現在のヴェレダの始まり。その後、ヴェレダという社名が生まれたのは1928年。紀元初頭に治療を行っていたといわれるゲルマン人の女性司祭で、預言者でもあったVeledaの名に由来しています。ちなみに、現在も使用されているヴェレダのロゴマークは、医療・医術を象徴する「アスクレピオスの杖」を様式化した、シュタイナーによるデザインなんですよ。 さて、そんなヴェレダがつくりだすオーガニックコスメとアントロポゾフィー医療の医薬品は、厳しく選び抜かれた原材料を用いて生産されています。世界中に契約農家を持つのはもちろん、自社のハーブガーデンでも多くの植物を栽培し、原材料として利用しているのです。ヴェレダの自社農園は、ドイツやスイス、イギリス、ブラジル、アルゼンチン、ニュージーランドなど、世界中のさまざまな場所に存在しますが、その中でも最も大きく、ヨーロッパ最大級の植物園であるのが、ドイツのシュヴェービッシュ・グミュント北方の高原にあるハーブガーデン。20ヘクタールの広さに260種の植物が栽培され、そのうち180種はヴェレダの医薬品や化粧品の原料となっています。管理と手入れが行き届き、美しいこのガーデンを訪ねた模様をご紹介します。 私の暮らしとヴェレダ 私がヴェレダのガーデンを訪れたのは、8月上旬、ドイツでもちょうど夏の盛りのことです。この取材は、仕事である以上に個人的にもとても楽しみにしていたものでした。もともと私は、ヴェレダの製品の愛用者。子ども時代からヴェレダは私にとって、とても身近なものでした。 ドイツ南部で育った私はいつも豊かな自然に囲まれて子ども時代を送り、また、私の家では口にするものや肌につけるものは、基本的に自然由来のものを選んでいました。体調を崩した際にも、まずは自然由来で効果が穏やかなホメオパシーの薬による治療を。また、母と私は敏感肌でもあり、ほとんどの一般製品は肌に合わなかったということもあります。私は、母がメイクや口紅をつけているのを見たことがありません。そのため、基礎化粧品も自然由来のものを選ぶようにしていました。そんな私たちが利用していた医薬品や化粧品の多くが、ヴェレダの製品だったのです。今でもホワイトマローのベビークリームやザクロのローション、アルニカのシャワージェルなど、ヴェレダの製品は私の暮らしには欠かせません。 そんな理由もあり、この日はとてもワクワクしながらガーデンへと向かいました。今回訪れるヴェレダのガーデンがあるシュヴェービッシュ・グミュントは、ドイツ南部にあり、シュツットガルトから東に55㎞ほどの場所に位置しています。家から3時間以上車を走らせましたが、到着まで待ち遠しく、体感時間はそれ以上。その日は霧がひどく、ドナウ川沿いの前方の車が見えないほどでしたが、シュヴェービッシュ・グミュントに到着した時、ちょうど太陽が顔を出し、忘れがたい一日が始まりました。 ドイツにあるヴェレダの自社農園 駐車場に車を止めると、ビジターセンターへと気持ちのよい道が伸び、右手にはヒツジがのんびりと草を食んでいました。なんて美しく、穏やかな光景なのでしょう! また、シラカバ林の間には大きな蒸留器が設置され、その一角はまるで屋外にある博物館のような雰囲気を漂わせます。さらに道を進むと、道の右手に、製品工場の姿が見えてきました。 ビジターセンターの周囲には、メドウと木々が茂る生き生きとした緑の景色が続いています。センターは2006年に建設され、内部には非常に明るく開放的な空間が広がっています。壁は、異なる商品ラインを示すさまざまな色にペイントされていて、とてもカラフル。ショップの端には、ちょっと一息を入れるためのテーブルと、小さなカフェカウンターが備え付けられ、建物の外には池の見える景色のよい場所に、ウッドデッキが設置されています。池の周辺には、ワイン用に栽培されていたブドウと、クリの木でできた木製のフェンスが立ち、たくさんの宿根草が植栽されています。ビジターセンター内では、ヴェレダの製品のさまざまな説明を聞いて、実際にトリートメント体験もでき、至福の時間を過ごしたのですが、そのレポートは次回に譲ることにしましょう。 ヨーロッパ最大規模のバイオダイナミック農園でもあるヴェレダのハーブガーデン さて、ビジターセンターから出てさらに道をたどると、いよいよ目的のWELEDA HEILPFLANZENGARTEN(ヴェレダのハーブと薬用植物のガーデン)の入口に。60年以上前につくられたこのガーデンは、20ヘクタールもの広さを誇る敷地いっぱいに多様な植物が育つ、ヨーロッパ最大規模の植物園。豊かな土壌には、3~10月まで季節を通じてさまざまな花が咲き競います。ガーデンには25種の樹木を含む、一年草や宿根草など260種の植物が栽培され、その中から180種が製品材料として利用されています。製品材料として使われるものはさまざまで、樹皮、花、果実、根など植物のすべてが収穫されています。植物はどれも管理が行き届き、きちんと列ごとに植栽されて、正確なプランツタグもついています。ガーデンの中にはスローベリーやハマメリス、サンザシといった植物はもちろん、ガーデン内に咲く花々を目指して、ハナアブやテントウムシなどの益虫も集まり、動物や鳥も植物とともに共生しています。 このガーデンは、ヴェレダ最大の自社農園であると同時に、ヨーロッパ最大規模のバイオダイナミック農園でもあります。バイオダイナミック農法とは、シュタイナーによって提唱された有機農法・自然農法で、生産物が有機栽培であるだけでなく、農園全体を一つの有機体とみなし、その中で完結する循環型の農業手法のこと。作物以外の植物の有効性も認めているので、直接の収穫対象とならない植物も作物と同じように育っています。また、殺虫剤や除草剤、駆除剤、殺菌剤などは使用されていないため、ミツバチやアヒルといった虫や動物もガーデン内に生息し、植物や動物、虫たちの生態系が整う、生き生きとして、調和にあふれたガーデンをつくり出しています。日々の水やりに利用されているのは、貯水池に貯められた雨水。また、ガーデン内では、シェードガーデンに向く植物のために日陰をつくるつる植物や、風よけのための生け垣など、植物の特性を生かし、互いに生育しやすい環境を整えるための工夫が至るところに見られます。 バイオダイナミック農法では、植物は自然の生育リズムに従って栽培され、さらに作業は人の手により行われます。ヴェレダでは、この美しいガーデンを管理するために、常時20人以上のガーデナーが働いています。また、近隣でシュタイナー教育を行うウォルドルフ学校の7年生の生徒たちが、授業の一環として折々にガーデンでの仕事をしていくこともありますし、ハーブガーデンで講義を行う大学もいくつかあります。このヴェレダのハーブガーデンを訪れる際には事前予約が必要ですが、予約するとガーデンガイドが丁寧に解説をしながら敷地内を案内してくれます。ドイツを訪れた際には立ち寄ってみてはいかがでしょうか? 次回は、ヴェレダのショップでの体験記をお届けしましょう。 併せて読みたい ・バイエルン州に実る緑の黄金 ビールづくりに欠かせない美しいホップ ・世界のガーデンを探る旅1 スペイン「アルハンブラ宮殿」 Credit ストーリー&写真/Elfriede Fuji-Zellner ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子ども向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。 協力/WELEDA 取材/3and garden
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東京都

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪2 「庭道具屋 toolbox」
閑静な住宅街の中に小さな店を構える「toolbox世田谷」(2018年10月21日〜「庭道具屋 toolbox」として移転)。古い倉庫を都会的にリノベーションし、シンプルにしつらえた店内には、オーナーが厳選したガーデンアイテムがところ狭しと並びます。その商品の本格的な重厚感と豊富さに、初めて訪れた人はみな圧倒されます。 目利きのオーナーが現地で見つけた 世界の選りすぐりがズラリ 店内に並ぶアイテムは、イギリスやドイツ、フランスなど、ヨーロッパのものが中心。商品が美しく見えるよう、それぞれ専用のラックが設けられ、整然と展示されています。 ツール類はみな用途が異なり、形も大なり小なり異なっています。たくさんの中から自身が求めているアイテムを選ぶのは至難の業ですが、心配はいりません。ショップオーナーの黒田明雄さんが、工房やその国のガーデニング事情などの話も交えて、詳しく説明してくれます。各工房のこだわりの違いなどを知ると、品を選びやすくなるだけでなく、ガーデニングの楽しさがぐっと膨らむものです。 世界各国の本物に触れた経験が 「toolbox」の誕生につながる もともとエクステリア会社でエクステリア&ガーデンデザイナーとして活躍していた黒田さん。約5年間デザインに従事し、その後ポストやライトなどのガーデンエクステリアプロダクトの輸入・開発の部署を立ち上げました。世界のガーデンプロダクトを研究するために、イギリスやオーストラリア、ドイツ、北欧など、各国のガーデンショーや工房、メーカーなどに足を運んで、職人やデザイナーにも会い、技術、歴史などについても学びました。「イギリスのチェルシーフラワーショウやハンプトンコートのガーデニングショーは数えきれないぐらい行ったよ。当時は何もかもが珍しく、とにかく楽しかったね」。 もともと建築も含めてデザインの世界にいたというだけあって、あらゆるものを効率よく吸収しながら‘確かな目’を養っていきました。そして、今から約10年前に独立。自身の世界を集約させたショップ「toolbox」をオープンしたのです。 工房ごとに異なる個性を 国ごとに比べてみよう 以前は、イギリス製のガーデンツールがメインでしたが、最近はオーストリアやオーストラリア、オランダなどのツールも多数取り扱っています。最近、他国に生産を任せて安く量産するメーカーも増えてきたそうですが、ここで扱うものはいずれも、伝統的な製法で職人が丁寧に作った「ぬくもりを感じる逸品」にこだわっています。 上の写真はオーストリアのPKS Bronze社のもので、あたたかみのある輝きを放つ銅合金製。オーストリアの自然科学者・ヴィクトル・シャウベルガー氏の「銅合金の農具は土壌を改善し、農作物の品質を高める」という1950年の実験結果に基づいてつくられています。滑らかな取っ手部分はブナ材。 オーストリアの繊細な印象のものとは大きく異なり、がっしりとした印象があるオランダ・スネーブル社のガーデンツール。100年以上の歴史がある工房で、園芸農家の声を受けながら改良を重ねてきたツールです。材質はステンレス製で錆びる心配がなく、エッジがシャープで使いやすいのが特徴。握りやすい柄はタモ材など。 ハサミも充実のラインナップで、アメリカや日本、スイス製があります。切れ味はどれも甲乙つけ難い優れものばかりなので、握った感じや重さなど、実際に触れて好みのものを選べるのも、この店ならでは。さらにスイス製のフェルコのハサミは、すべてのパーツに分解してメンテナンスできるのが大きな魅力。バラの愛好家たちに支持されている理由が分かります。さすが精巧なモノづくりが得意なスイスの技ですね。 黒田さんがデザインした 秀逸アイテムも必見! エクステリア&ガーデンプロダクト開発業務をショップとは別に継続していることもあり、自身で手がけたオリジナルホースリールを販売しています。これは日本製で、重厚感のあるボディはアルミ合金。劣化しづらく長もち。3色のボディの色と装飾ディスクの種類も豊富でカスタマイズされています。さらに、「ノズルがずば抜けて優れているんですよ」と黒田さん。「水の勢いを調節しつつ、それを固定できる」という設計で、使っていて疲れません。この機構を採用した散水ノズルは、日本ではこの会社の製品だけです。 どれも素敵で目移りしてしまいますが、シックなカラーの「オリジナル(中段)」はクラシックな印象を、メタリックな輝きを放つ「コスモシリーズ(上段)」はモダンな印象があり、よく見比べると醸し出す雰囲気が異なるので、自庭に合ったものを選びましょう。 庭をおしゃれに見せてくれる アイテムも充実 プランツタグや麻ひもなど、植栽シーンを素敵に演出するために欲しいアイテムも充実。実用性と遊び心を兼ね備えたデザインに、眺めているだけで園芸意欲が膨らみます。「見映えも重視したい」という、オープンガーデンなどをしている方に特にオススメです。 緯度が高いことに加えサマータイムもあり、夏は夜遅くまで日が沈まないヨーロッパ。庭が広いだけでなく、職場が自宅から近い人が多い、蚊がいないなど、さまざまな条件が揃い、夜もガーデンで家族や友人と過ごす人が多いそうです。「だから、日本人よりも庭に居心地の良さを求めるんですよ」と黒田さん。おしゃれだけど飽きのこない庭をつくるためには、見映えのよい添景物が必須。ガーデンオーナメントだけでなく、バードフィーダーなどもデザイン的なものが求められています。 シーンづくりの参考にしたい! 洗練されたディスプレイ 小さなショップ空間を有効活用したディスプレイも見逃せません。天井や壁面を巧みに活用し、見ごたえたっぷりにコーディネートされています。店内の見通しや動線を妨げずに、ここぞという場所に強弱をつけて飾るテクニックは、やばりデザイナー出身の黒田さんだからこそなせる技。“商品の使い方が想像できるように”意識されたディスプレイは、ベランダやインテリアのコーナーづくりに大いに参考になります。 店内中央で目を引いた、吊り下げ型物干し。愛らしい絵柄のタネ袋や手袋を吊り下げて、空間を軽やかに演出しています。これは18~20世紀の頃、一般の家庭で使われていた伝統的なデザインの物干しの形をそのまま復活させた製品です。付属の滑車を天井に取りつけて、長いロープで本体を上下させるので、手の届かない高い場所にも設置が可能です。ハーブ&フラワードライヤーとして活用したり、インテリアのアイテムとしていろいろ使えそうです。 おしゃれなガーデンブーツを手に入れたら、ブーツラックにもこだわると、素敵に見せながらの収納が可能。ブーツを逆さに吊るすので、ホコリが入るのを防げます。ガーデンブーツはデンマークからやってきたイルセ・ヤコブセン社のもの。編み上げがおしゃれで、タウン用としても愛用できそうです。ラックは英国・クレモアミル社の3足かけられるもの。 階段の上の空間には、異なる形・素材のバスケットを組み合わせた、シンプルなコーディネート。表皮をそのまま生かした木の巣箱も合わせて遊び心を加えています。すっきりと素敵に見えるのは、色のトーンを揃えているからなのでしょう。木製のバスケットは英国・ロイヤル・サセックス社のガーデントラッグ。ワイヤー製のものはフランスのコンブリション社のワイヤーバスケット。スクエアのバスケットは、オランダ製と、ここも国際色豊かなコーナー。 繊細さピカイチ! 日本のアイテムにも注目 商品は、海外製品に限らず、日本製のものも並んでいます。繊細な技術と手入れを必要とする盆栽は、我が国が生んだ誇るべき文化。それを支える道具類も繊細であることが求められます。黒田さんはそこに着目し、盆栽用の華奢な銅製土入れや銅製熊手なども、多肉植物やミニ盆栽などの細かい作業にオススメのアイテムとして揃えています。 黒田さんイチ押しはコレ! ドイツ製の黄色いガーデンブラシ 50年程前からドイツでつくられているガーデンブラシ。ブラシ部分がカーブしているのが大きな特徴です。ブラシは固すぎず柔らかすぎないところがポイント。熊手とは違い、芝生に引っかかることなく落葉を掻き出してくれます。もちろん、レンガや石のアプローチの掃除にもオススメ。化学繊維なので劣化しづらく、庭の掃除が格段に楽になります。 世界にはさまざまなガーデンツールがあり、庭の楽しみ方も千差万別。一つの道具を通して異国の園芸文化のほんの一端に触れるだけで、ガーデニングの時間がぐっと楽しくなるものです。「toolbox世田谷」はそんな機会を与えてくれる場所。ぜひ、奥深いガーデニングの世界をのぞきに訪れてみてください。アクセスは、東急田園都市線・用賀駅から徒歩約10分。ご紹介の実店舗に並ぶツールは、ネットショッピングも可能なので、ぜひアクセスしてみてくださいね。 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪1 岩手・雫石「花工房らら倶楽部」 ・マーク・チャップマンさんもオススメ! デザイン性の高いガーデングッズ5選 【GARDEN SHOP DATA】 庭道具屋 toolbox 世界のこだわりのガーデンツールやアイテムを扱う、園芸ショップ。逸品がずらりと並ぶ品ぞろえに、本格派ガーデナーの熱い支持を得ている。2019年1月、世田谷・用賀から移転して、埼玉県越谷市にオープン予定。 住所:埼玉県越谷市恩間413-10 TEL: 048-971-7814/FAX: 048-971-7815 URL: https://www.rakuten.co.jp/toolbox/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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滋賀県

花の庭巡りならここ! 近代名建築を華やかに盛り上げる西洋式回遊庭園「びわ湖大津館 イングリッシュガー…
湖を背景にバラも健やかに育つガーデン 1934年に建てられた昭和初期の近代名建築、「旧びわ湖ホテル本館」をリニューアルし、2002年に「柳が崎湖畔公園 びわ湖大津館」としてオープン、隣接する敷地にはイングリッシュガーデンがつくられました。その後、数度のリニューアルを経て、県下最大の300種、3,000株のバラで彩られる「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」として親しまれるに至っています。 「花と湖、四季折々の花々に囲まれた楽園で過ごす安らぎのひととき」がコンセプトのイングリッシュガーデンは、約5,900㎡の敷地を持ち、大人の足でゆっくり歩いて約30〜60分ほどの散策を楽しめます。それは湖上を渡るさわやかな風と優しい花の香りを感じながら、心身ともにリフレッシュできる穏やかな時間。琵琶湖を借景にしたガーデンウェディングも開催されており、祝福の心を表すように手入れの行き届いた景色は、必見です。 ローズソムリエ、小山内健さん監修の 300種、3,000株のバラにうっとり! 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」は、大まかに「グラベルガーデン」「ボーダーガーデン」「ノットガーデン」「ランドスケープガーデン」「スイレンの池」のエリアに分かれています。写真は小石、砂礫を組み合わせ、可憐な花々やハーブを植え込んだ「グラベルガーデン」。春はソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラなどの花木と、チューリップ、スイセン、ポピーなど春の草花との競演が楽しめます。特にチューリップは約20種8,000球が植栽されており、4月頃が見頃です。 美しい琵琶湖と一体になった、絵画のような景色を楽しめる「ランドスケープガーデン」では、5月上中旬に「野田藤」が見頃になります。池に渡した太鼓橋を覆うように長い花房を垂らす、それはそれは見事な景色! フォトスポットになること間違いありません。 バラの名所でもある「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」。バラの見頃は5月中旬〜6月中旬、10月下旬〜11月下旬です。写真はランドスケープガーデンの一角にあるローズガーデンで、散策路の両サイドに四季咲き性の品種が植栽されています。ローズガーデンは、京阪園芸のローズソムリエ小山内健さんの監修で、間近でバラの姿形や香りが楽しめるように設計されています。アーチを彩るのは‘コルデス・ジュビリー’で、開いた黄色い花が花弁の縁から徐々にピンクに染まっていく、ひと株で花色のグラデーションが楽しめるバラです。 バラは、「F&Gローズゾーン」「つるバラゾーン」「香りのゾーン」のほか、皇室や著名人にちなんで名付けられたバラを集めた「皇室ゾーン」「音楽家ゾーン」「俳優・女優ゾーン」「ペインターズ(画家)ゾーン」などに分類して植栽されています。 青空の下、琵琶湖から渡る風が心地いい! エリアごとのシーン演出に心が躍る英国式庭園 散策路や塀に沿って細長く取られた植栽スペースは「ボーダーガーデン」が。立体的に植栽されたこのエリアには、芝生のグリーンや、つるバラには希少なオールドローズ、色とりどりの宿根草、ハーブなどが絶妙に調和する風景を楽しめます。ピンクのつるバラは‘スパニッシュ・ビューティ’と‘キュー・ランブラー’。 白バラの‘アイスバーグ’、‘ホワイト・クリスマス’のアーチで場面転換される向こうに見えるのは、「ノットガーデン」。ノットは「結び目」を意味し、ツゲを刈り込んでトピアリーのように紋章を形づくり、その中心に花やハーブを植えて強調しています。琵琶湖に面しているため視界が開けて心地よく、また紋章をはっきり見るには「びわ湖大津館」建物の上階から眺めるのもオススメです。 「スイレンの池」では、5種以上、約150株の耐寒性スイレンと、約5種50株の熱帯性スイレンが集められ、優雅な姿を見せてくれます。見頃は6~9月で、訪れた方からは「太鼓橋の藤の景色とも相まって、庭を愛した印象派の画家、モネの絵のように素敵」との感想も聞かれます。 写真は琵琶湖側からノットガーデンを通して「びわ湖大津館」を望む景色。ノットガーデンでは年2回の植え替えがあり、秋はアメジストセージが紫色に染め上げます。 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」では、年間を通してジャズコンサートやハロウィン、お姫様体験会(ドレス試着体験)などの各種イベントや、寄せ植え教室、基礎バラセミナー、各種カルチャー教室も開催。特にバラ監修の小山内健さんのセミナーは、毎回盛況を見せています。ぜひ公式ホームページをチェックして、気になるイベントに参加しましょう! 琵琶湖を望むレストランで美食を満喫! ギフトショップもバラにまつわる雑貨が充実 ひと通り散策を終えたら、港町をイメージしたフレンチレストラン「ベルヴァン・ブルージュ」で、琵琶湖を一望しながらラグジュアリー感のある食事やティータイムを楽しんではいかが。頬をなでる風が心地いいテラス席もあります。営業時間は10:00〜21:00。ランチコースは2,160円、3,500円・5,000円(共に要予約)。ほかにお子様ランチ1,080円、カレー1,080円〜などがあります。デザートは自家製ワッフルセット1,080円、ケーキセット910円など。 写真は、「シェフのおすすめランチコース」2,160円。季節の前菜、本日のスープ、メイン料理、デザート盛り合わせ、パンまたはライス、コーヒーまたは紅茶をいただきます。メニュー内容は月ごとに替わるので、リピートしてみたいですね。 「びわ湖大津館」内には、ショップ「Shiga no Hana(シガノハナ)」があるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。ギフトやお土産にぴったりの、滋賀県ならではのクラフト品やお菓子、バラ園にちなんだローズ雑貨がさまざまに揃います。
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北海道

上野ファームの庭便り「秋こそ美しい! 表現広がるオーナメンタルグラス」
庭で発揮するオーナメンタルグラスの魅力 「オーナメンタルグラス」という言葉も、少しずつ聞く機会が増えてきたように思いますが、まだまだあまり知られていないようです。葉や穂の美しさなどを含めて装飾的にも美しいグラス類(草)の総称をオーナメンタルグラスと呼び、上野ファームでもガーデン全体にたくさんの種類を植えています。美しい花を咲かせる植物とはまた違い、オーナメンタルグラスの美しさは、葉と穂にあります。 秋になるとたくさんの穂があがり、オーナメンタルグラスはさらに美しさを増してきます。秋風とともにしなやかに揺れる穂の動きも、庭デザインの一部としてとても魅力的なのです。シンプルながら、庭に新鮮な動きを与えてくれるグラスは、一見ナチュラルな庭に合いそうなイメージですが、都会のコンクリート建築などともとても相性のよい植物。固い素材と対照的なやわらかさとシンプルさが、モダンなデザインとしても魅力的な表現を可能にしてくれます。 ガーデンにグラスを入れるだけで、表現の幅はどんどん広がります。シンプルに風に揺れることを意識してデザインしたり、葉や穂の色でグラデーションをつくることもできます。植物の引き立て役としても優秀で、背景にオーナメンタルグラスがあるだけで、手前の花やシードヘッドの輪郭がくっきりと浮かび上がるため、ほかの植物を最大限に魅力的に見せてくれます。 例えば、背景にグラスがあることで手前のエリンジウムのシルエットがはっきりと分かるように。お互いの魅力を引き立て合うことも可能です。 タネだけになった植物のシードヘッドも、グラスと合わせることで、まるでモダンアートのように美しいシーンをつくり出せます。 穂が風で踊るように揺れる姿は、ガーデンに動きと感動を与えてくれます。表情豊かなオーナメンタルグラスは秋が見頃です。 上野ファームで秋の庭を盛り上げるグラス類をご紹介 ・ミスカンサス&カラマグロスティス 葉は似たようなものが多いですが、穂は多彩な表情を持っています。左はミスカンサス、右はふわふわの穂がシッポのようなカラマグロスティス。 ・斑入りフウチソウ 斑入りの葉が春から秋まで美しく茂り続ける、斑入りフウチソウ。 ・ワイルドオーツ まるで小判がいっぱいぶら下がっているような雰囲気が愛らしいワイルドオーツ。 ・パニカム‘シェナンドア’ 小さなビーズのような赤い穂と葉先がワインレッドになるのが魅力のパニカム‘シェナンドア’。 ・モリニア‘バリエガータ’ 涼しげな斑入りの葉から、明るい黄色の茎が放射線を描く、モリニア‘バリエガータ’。 草花との組み合わせや植え方で多彩な表情に グラスと花を混ぜ合わせるように植えると、野原のようなメドウガーデンに。シンプルに植えるとモダンなアートのようにも表現が可能です。場所の雰囲気、合わせる草花によって、本当に多彩な表現ができるのがオーナメンタルグラスです。 まるで雲のように細かな穂が出るデスチャンプシアと、トリカブトやアキレアなどを混ぜ合わせて野原のような自然な庭に。 札幌の商業施設屋上で植栽デザインを担当した「そらのガーデン」でも、オーナメンタルグラスは大活躍。葉の微妙な色の変化をグラデーションのように組み合わせて、屋上という厳しい環境にも耐えています。ビルの間ならではの強風さえも、穂が美しく揺れるというデザインの味方になっているグラスガーデン。西日が当たる時間は、穂が光で透けて輝いて見えて別世界のようです。 カラマグロスティス・ブラキトリカ一種だけを使って、生け垣のようにシンプルに仕切りをつけるとモダンな雰囲気に。コンクリートの塀や板塀などでは表現できない柔らかさが出ます。 デザインを担当した子どもたちのためのキッズガーデン「くるみなの庭」では、草むらをくぐり抜けるようなワクワク感を楽しんでもらおうと、さまざまな種類のオーナメンタルグラスを使ってグラス迷路をつくりました。グラスが成長するつれ、難易度も変化していきます。かくれんぼもできる人気コーナーに。 まだまだ使い方や魅力は知られていないオーナメンタルグラスですが、栽培も簡単で管理もしやすく乾燥に強い品種が多いので、いろんなシーンで気軽にデザインに取り入れていくことができると思います。デザインの新しい可能性が広がる魅力的なオーナメンタルグラス、ぜひあなたの庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
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京都府

花の庭巡りならここ! 古都にフランスの風を感じるスポット「ガーデンミュージアム比叡」
フランスをコンセプトにデザインされた 「ガーデンミュージアム比叡」 2001年4月にオープンした「ガーデンミュージアム比叡」は、17,000㎡の敷地を持つ庭園。以前の比叡山遊園地の建て替えに伴い、京都と姉妹都市にあたるフランスをコンセプトに、新たな観光スポットとして開園しました。フランス人デザイナーのルイ佐藤さんが庭園のデザインを手がけ、「京阪園芸」が当初の植栽を担当。この庭園の一番の特徴は、フランス印象派画家の描いた絵画をモチーフにしたガーデンデザインで、園内にはモネやルノワールなどの印象派の陶板画が45点設置されています。 園内は「花の庭」「睡蓮の庭」「香りの庭」「こもれびの庭」「藤の丘」「バラ園」の6つのエリアに分かれています。「花の庭」「睡蓮の庭」は、印象派の画家・モネの庭をテーマに植栽。「香りの庭」ではプロヴァンス地方の丘陵地をモチーフに、ラベンダーなどのハーブや黄色い花を中心に、立地を生かして斜面一面に花を咲かせる演出をしています。「藤の丘」では多様なワイルドフラワーが揺れる自然の野原のような景色に……と、各エリアによって異なるシーンが演出されており、歩を進めるのが楽しく、足取りも軽くなります。 年間の来園者数は約8万人で、「昼と夜の気温差のために、花の発色が鮮やか」「小鳥のさえずりがよく聞こえて癒される」「夏の暑い時期でも、たくさん花が咲いていて爽やか」との声が寄せられ、リピーターも多く訪れます。ミュージアムとミックスした新スタイルの観光ガーデンに、ぜひ足を運んでみてください。 まるで絵画の中に入り込んだような 色彩豊かなガーデンが広がる 「ガーデンミュージアム比叡」のエントランス。大人の足でゆっくり歩いて1時間ほどかかる園内は、約1,500種10万株の植物で彩られています。訪れるのにオススメの時間帯は午前中。「香りの庭」や「藤の丘」は東向きの斜面にあるため、太陽の光を受けて生き生きとした表情が見られ、バラが強く香るのも、睡蓮が咲くのも午前中だからです。また、曇りの日は特に色鮮やかに見え、霧の日もとても幻想的でオススメです。 一方、夏は夕暮れが涼しく、特に「藤の丘」にたくさん植栽されているクレオメが、いっそう艶やかに開花します。夜は「ジャルダン・デ・ルミエール」と題したキャンドルライトアップとともに夜景も楽しめるので、夕方以降に訪れるのがオススメですよ! 4月20日の開園以降、花の見頃が続くように花期をずらして植栽したり、庭ごとに表情が異なるように植え方を変えたりと、植栽テクニックの技が光るので、自庭の参考にもなりそう。 そして「ガーデンミュージアム比叡」の春本番は、ゴールデンウィークの頃で、チューリップやシャクナゲが見頃を迎えます。印象派の陶板画が設置されている付近は、その絵に描かれている世界が広がるように同じ色の花を植栽しており、絵画との素晴らしいコラボレーションが楽しめます。 「こもれびの庭」の花の回廊を中心に、「ガーデンミュージアム比叡」の園内にはホンシャクナゲや西洋シャクナゲなど、約30種300本が植えられています。一番の見頃は5月上旬〜6月。背景に咲いているピンクに彩られた花木は桃の木で、開花が揃う時期を狙って訪れるのもいいですね。 「ガーデンミュージアム比叡」の「ローズガーデン」には、約180種1,000株のバラが植栽されており、6月中旬から見頃を迎えます。冬の厳しい寒さも乗り切れるように、耐寒性のあるバラや修景バラを多く植栽。アーチやフェンス、ガゼボなどにつるバラを誘引した、立体的な演出も見どころです。バラのハイシーズンには、「京阪園芸」のバラのスペシャリスト、小山内健さんを招いて、園内を歩きながらバラの講習会を行っています。 写真は丈夫に育ち、こぼれんばかりに咲く修景バラ‘ボニカ82’。「ガーデンミュージアム比叡」は山頂に位置するため冬の寒さが厳しい土地柄で、雪の重さで折れるのを防止するため、冬期剪定の前に仮剪定をしています。 「ガーデンミュージアム比叡」の「睡蓮の庭」は、印象派の画家、モネのフランス・ジヴェルニーにある自邸の庭園を参考につくられました。フジの絡まる太鼓橋を背景に、池には約10種100株の睡蓮が植栽され、モネの絵画「睡蓮」の世界が広がっているかのようなエリアとなっています。訪れた方からは「まるでジヴェルニーに来たみたい」という感嘆の声が聞かれます。 9月になると、シュウメイギクが見頃を迎えます。山頂の気候と相性がよいのか毎年自然に株数が増しています。「ガーデンミュージアム比叡」では、飲食の持ち込みが可能なので(但しカフェへの持ち込みは不可)、すがすがしい秋にはピクニック気分でお弁当を広げるのもいいですね。 自然の野原のような植栽をしている「藤の丘」では、9月下旬〜10月に約3,000株のコスモスが見頃になります。コスモスはタネ播きの時期をずらし、3回に分けて植え替えをして花が途切れないように工夫。9月は台風の強風によってなぎ倒されることがないよう、矮性の品種‘ソナタ’を植栽しています。さらに秋が深まるとともに、‘イエローキャンパス’と‘オレンジキャンパス’が加わり、少しずつガーデンの表情に変化を与えているのも工夫のポイントです。この時期はダリアやサルビアも見頃になり、秋の庭園を華やかに盛り上げます。 標高840mに位置するガーデンミュージアム比叡は 見晴らしがよく、爽やかな風を感じる 「ガーデンミュージアム比叡」の標高は、約840m。琵琶湖、大津市街、京都市内が一望できます。比叡山頂の気候は市街地よりも4〜5℃低いため、ゴールデンウィーク頃にチューリップが、初夏にバラが咲くなど、少し遅れて開花期がやってきます。そして真夏の端境期でも、宿根草などの花が色鮮やかに、元気に咲き誇り、標高が高い場所ならではのガーデンの景色が楽しめます。 「ガーデンミュージアム比叡」内には、眺望を楽しみながら飲食できる「カフェ・ド・パリ」があるので、ランチやティータイムのひとときを過ごしてはいかがでしょう。営業時間は10:30〜16:30、ラストオーダーは16:00。客席数は110席で広め。価格帯はランチメニュー1,600円、ケーキセット750円。人気メニューは牛肉をじっくり煮込んだ「ビーフシチューセット」です。 土産物や雑貨が揃う充実のショップ ワークショップも開催しているので、ぜひご参加を 「ガーデンミュージアム比叡」内のショップ「メゾン・ド・フルール」では、ミュージアムグッズやガーデニンググッズ、フランス雑貨、ハーブ・アロマグッズなどを揃えています。営業時間は10:00〜17:00。特にオリジナルハーブティーが人気です。 「メゾン・ド・フルール」のショップでは、「体験工房アロマ石けんづくり」のワークショップを土日・祝日に開催しています(2週間前までに予約すれば、平日でもOK)。パームオイルからできた添加物を含まない石けん素地に、好みのアロマオイルを選んで香りと色をつけ、オリジナルの石けんをつくります。観光の記念に、ぜひトライしてみましょう! Information ガーデンミュージアム比叡 所在地:京都府京都市左京区修学院尺羅ヶ谷四明ヶ嶽4番地 TEL:075-707-7733 http://www.garden-museum-hiei.co.jp/ アクセス:京阪三条駅または出町柳駅から比叡山ドライブバス 「比叡山頂」下車すぐ 叡山電車八瀬比叡山口駅のりかえ叡山ケーブル・ロープウェイ比叡山頂駅下車すぐ オープン期間:4月中旬〜12月上旬 営業時間:10:00~17:30 (夏季ナイター営業あり) 料金:大人 1,200円、子供 600円 駐車場:有り230台(比叡山内駐車料金無料 ※別途通行料金が必要となります。) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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岩手県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪1 岩手・雫石「花工房らら倶楽部」
秀峰・岩手山に抱かれた、のどかな田園地帯が広がる雫石。乳製品で有名な「小岩井農場」があり、宮沢賢治の幻想的な世界もよく似合う町です。車を走らせると、田畑の隅や家の入り口などが花で彩られている様子が多く見られます。花を愛するこの町の人々が通う「花工房らら倶楽部」を訪ねました。 街道に沿って美しく咲く植栽が道行く人の目を引く「花工房らら倶楽部」。花苗、資材などあらゆるものが揃う大型のガーデニングショップです。オープンは今から20年ほど前で、それまでは切り花の生産農家をしていたというオーナーの櫻糀(さくらこうじ)哲也さん。園芸ブームの到来を機に、切り花から花苗の生産にシフトチェンジして、イギリスなどに何度も足を運んで西欧の庭園を視察。イングリッシュガーデンのエッセンスを加えた園芸店「花工房らら倶楽部」を農場内にオープンさせました。 さわやかな風が吹き渡る ナチュラルなサンプルガーデン まずは、このショップの人気スポット、サンプルガーデンをご案内しましょう。店舗の建物の前に広がるサンプルガーデンは、イギリスの視察で訪れたガーデンを参考にしたといいます。2,000坪もある敷地には、蛇行する小道が設けられ、季節の花々を見ながらゆっくり散策できます。植えられている植物は、雪深いこの地域でも丈夫に育ち、美しい花を咲かせるショップイチ押しの宿根草がメイン。数年前には2年連続でガーデンデザイナーのポール・スミザー氏による植栽勉強会も開催し、スミザー氏がオススメするグラス類も多種植えられています。 ガーデンの奥に設けられた水色のシェッドがフォーカルポイントです。真夏の庭では、旺盛に育つエキナセアやルドベキア、オミナエシなどが鮮やかな色を添えていました。 庭づくりの参考にしたい! 地域で丈夫に育つ四季の植物たち ガーデンでは、雪がとける4月頃から、植物たちの開花リレーがスタートします。まず、クリスマスローズや小球根が一斉に咲き広がり、春、夏と季節ごとの花に少しずつ移ろっていきます。秋には人の背丈を超えるほどに成長したグラス類が、ダイナミックな風景に。庭はつくり込みすぎないようにすることを心がけ、植物の生命力に任せつつ、程よく手を入れているというだけに、おおらかさがこの庭の最大の魅力です。 7月にはたくさんのユリが咲き乱れます。広い庭には大輪多花性のタイプがよく似合うことを実証。花色は白や淡い黄やピンクが多く、鮮やかな草花と美しくマッチしています。 崩れたアイアンのガゼボをそのまま庭のアクセントに生かし、エキナセアが寄り添い咲くコーナー。錆びたテーブルセットと不思議な調和を見せていました。 白花のガウラがボリュームたっぷりに広がり、幻想的な風景に。こんなにも自然任せに育てられるのは、広いナチュラルガーデンならでは。 ガーデンに点在する樹木をよく見ると、リーフが美しいネグンドカエデや、赤い実がアクセサリーのようなヒメリンゴなど、眺めて楽しい樹木がセレクトされています。 売り場の間に設けられた シェードガーデンも素敵! 植物と雑貨の売り場の間には、シェードガーデンが設けられています。メインのサンプルガーデンとは異なり、リーフがメインのしっとりとした趣がある空間。オーナーが育種したクリスマスローズが多用されて、春先には可憐な無数の花で覆われるそう。お買い物の合間にホッと一息つける癒しの場所です。 360度緑に包まれて深呼吸したい イギリスの趣たっぷりの裏門 人通りが少なく、木々に覆われて静かな裏門周辺には、特別落ち着いた雰囲気があります。レンガの塀を伝ツルアジサイや、アイアンのガゼボを覆うアピオスなどが入り口に生い茂り、店内をやんわりと隠していることで、訪れた人の期待感を高めてくれます。空を仰ぎ見る女性の彫像や朽ちそうな味のある木製フェンスが、雰囲気アップに一役買っています。 今が旬の花苗が並ぶ広い売り場で ゆったりと買い物を楽しもう 花苗やグッズの売り場は、数棟の大きなハウスの中にあるので、雨や雪の日でも安心してショッピングが楽しめます。季節ごとに次々と入れ替わる花苗は、隣のハウスで丹精込めて育てられたもの。 購入者が生長段階も楽しめるよう、しっかりとした苗を早目に店頭に並べることにこだわっています。自家生産なので、安くて新鮮なのも嬉しいポイント。 花苗に加え、寄せ植えの提案や、ガーデン雑貨や園芸資材の品揃えも充実。寄せ植えをはじめとする講習会も月1回開催しています。秋に開かれる講習会は、サンプルガーデンで収穫した実などを利用したリースづくりなどのクラフト教室。アッという間に定員がいっぱいになるほど人気です。 遠くから通うファンも! 郷土料理を提供する農家レストランも併設 店の最奥、裏門を入ったところには「農家レストラン・らら」があります。ここでは、この土地で採れた食材をふんだんに使った、雫石の郷土料理を中心にしたメニューをいただけます。このレストランは、料理好きな櫻糀さんが「遠くから来てくれた人が、ホッと一息つける場所を提供したい」という思いで設けた場所。野菜中心の料理は、どこか懐かしさを感じさせるやさしい味わいで、リーズナブルな価格なのも大きな魅力です。 3~11月の土・日曜日は、櫻糀さんも自ら腕を振るう30品目ほどの手づくり料理が880円(税込)で食べ放題。その他の平日は、700~1,000円(税込)の選べるセットになっています。一角に設けられた新鮮野菜の格安販売コーナーもお見逃しなく。 写真は、煮物やひっつみ、小鉢、プチケーキ、コーヒーがセットになった「らら御前」(1,000円)。滋味あふれるお味。 季節の植物探しだけでなく、ガーデン散策やランチも楽しめる「花工房らら倶楽部」。花と緑に関するさまざまな楽しみにあふれた、ワンダーランドのような園芸ショップです。アクセスは、JR盛岡駅から車で約30分、JR田沢湖線小岩井駅から車で約10分。ぜひ一度、足を運んでみてくださいね。 【GARDEN SHOP DATA】 花工房らら倶楽部 LALA CLUB 所在地:岩手県岩手郡雫石町長山七ッ田27 TEL:019-692-6001/FAX:019-692-5466 http://lalaclub.jp/ 営業時間:9:00~17:00(レストラン10:00 ~17:00) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪2 「庭道具屋 toolbox」 ・花き生産高1位の地域に生まれた、旬の花と野菜が並ぶショップ「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」 ・花好きさんの旅案内 【国内】長野・白馬のオススメガーデン3選 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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北海道

花の庭巡りならここ! リナリアの群植は一見の価値あり!「ゆにガーデン」
広大な大地に咲き継ぐ花々は圧巻 北海道・札幌から車で約60分の由仁町にある「ゆにガーデン」は、英国風庭園をコンセプトにデザインされた観光ガーデンです。「スペシャルガーデン」「ノットガーデン」「ホワイトガーデン」「ローズガーデン」「ウェディングガーデン」「ブロードウォーク」など15のガーデンエリアで構成され、くまなく散策すれば、大人の足で40〜60分ほどかかります。 春はグローリー・オブ・ザ・スノウ、サクラ、ナノハナ、初夏はリナリア、シャクヤク、夏はバラ、ユリ、アジサイ、サルビア、秋はコスモスと開花リレーがつながれ、四季を通して花々で彩られます。「ゆにガーデン」では、ウェディングも行えるだけに、ロマンチックなガーデンのディスプレイも見どころです。 ペットの同伴は「わんわんカート乗車」のみで可、園内とカフェテラスの一部までOK(有料)です。北海道の澄み切った青空の下、美しい森の借景とも相まって、日常とはかけ離れた癒しのひとときを過ごせること間違いありません。 四季を通して花々で埋め尽くされる ロケーションの素晴らしい英国式庭園 「ゆにガーデン」といえば、リナリアで演出するダイナミックな植栽が見どころ。見頃は6月中旬〜7月中旬です。「リナリアの丘」の芝生広場に、紫やピンクの花が咲き誇るロケーションは、一度は見ておきたいもの。写真のように、リナリアのピンクとレディースマントルの黄色い花とのコントラストも素晴らしく、ぜひ写真に収めておきたいシーンです。 「ゆにガーデン」内のエリアの一つ、「ブロードウォーク」は、7〜8月が一番の見頃です。芝生を挟んだ通路の両脇に、全長160mにわたって宿根草で構成されたボーダーガーデンが続きます。北海道の冷涼な気候だからこそ実現できる、宿根草たちの華やかな競演を楽しみましょう。 7月下旬〜8月上旬は、「ユリ・アジサイまつり」のイベント期間。「アジサイの小路」では、爽やかな青や白のアジサイが約400株植栽されています。アジサイは太陽の光に燦々と照らされるよりは、緑陰の下でこそ潤いを帯びた魅力が発揮されるもの。木漏れ日の中、アジサイが彩る小道の散策を楽しみましょう。 「彩りの丘 リリーガーデン」では、約5万球ものユリが植栽されています。見頃は7月中旬〜8月中旬で、さまざまな品種が群植されてカラフルに彩る景色は見応え十分。ユリは馥郁とした香りを放つため、辺りが甘く優雅な香りに包まれます。 8月上旬〜9月上旬は「サルビア・ミントまつり」を開催。赤、紫、白のサルビアが約1万本植栽され、園内にカーペットを敷いたかのような、雄大な景色が広がります。また、園内にはさまざまな種類のミントが植栽されているので、アップルミントやパイナップルミントなど、種類によって異なる香り比べをして楽しみましょう。 コルチカムは葉よりも先に花茎を伸ばして花を咲かせる性質があり、群稙すると色がかたまりとなって見応えがあります。「ゆにガーデン」では毎年秋に、花壇の縁どりのコルチカムが開花。また、9月中旬〜10月中旬は「コスモスまつり」が開催され、1万5,000㎡のコスモスエリアでは約50万本のコスモスが咲き競います。 モフモフのジャンボウサギと 触れ合える「ウォーターガーデン」 「ゆにガーデン」園内の「ウォーターガーデン」にはウサギ小屋があって、ジャンボウサギが5羽います。なまら・・・大きい! ここではジャンボウサギたちと自由に触れ合えます(無料)。おやつ(100円)もあげることができますよ! お子さんがいる家庭なら、ぜひ一緒に遊んではいかがでしょうか。 レストランやカフェ、土産物店が充実! 美食やショッピングを楽しもう 「ゆにガーデン」にはチロリアン風の外観が目印のセンターハウスがあります。バイキング形式の「レストランチャイブ」、オリジナルソフトクリームやピザを楽しめる「カフェテリアバジル」、オリジナルハーブティーやアロマグッズが揃う「フレグランスショップ」、地元の野菜や土産物が充実の「ファーマーズマーケット」と、飲食店やショップが入っています。園内を歩き疲れたら、休憩がてら食事やティータイムを楽しむのもいいし、お土産に気のきいたアイテムを見て回るのもいいですね。 「レストランチャイブ」は客席数が250席あり、地元近郊の野菜を使用したヘルシーなランチバイキングを楽しめます。ハーブティーやドリンク、デザートを含め約40種が揃う充実のメニュー! 営業時間は11:00〜14:30(ラストオーダー14:00・平日)、11:00〜15:30(ラストオーダー15:00・土日祝)。ランチバイキング料金は大人1,950円、シニア1,450円、小学生1,000円(6〜9月)、大人1,750円、シニア1,350円、小学生900円(4・5・10月)、。 「ファーマーズマーケット」では、花やハーブの苗、由仁の特産品、旬の新鮮な野菜、お惣菜、お土産品などを販売しています。ここでしか手に入らないレアアイテムも満載なので、ぜひパトロールを! 特に「レストランチャイブ」監修の「オリジナルスープカレー」530円や、ごはんが進む「黒胡麻ごぼう」648円がオススメです。 Information ゆにガーデン 所在地:北海道夕張郡由仁町伏見134-2 TEL:0123-82-2001 http://yuni-garden.co.jp/ アクセス:公共交通機関/千歳線由仁駅行、乗換2回(新千歳空港駅→南千歳駅→追分駅→由仁駅、タクシーで約5分) 車/札幌から車で約50分(国道36号線 → 国道274号線または道道札幌夕張線、約40㎞)、新千歳空港から車で約35分(国道337号線→国道274号線→国道234号線、約30㎞) オープン期間:4月21日~10月21日(2018年) 営業時間:10:00~17:00(平日)、9:00~17:00(土日祝日) 料金:大人620円、シニア(65歳以上)420円、小学生300円(6〜9月)、 大人310円、シニア(65歳以上)210円、小学生110円(4、5、10月) 駐車場:有り 800台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 北海道スケールの花畑を愛でよう「展望花畑 四季彩の丘」 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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神奈川県

環境省『みどり香るまちづくり』を受賞したラベンダーの小径
公園から海まで約2km、草花が咲き香る散歩道 藤沢市の北部から、南にある相模湾に向かって流れる引地川沿いには、ウォーキングを楽しむのにうってつけの緑道が整備されています。そのうち、川沿いにある長久保公園から海までの約2kmにわたっては、ラベンダーに加え、ローズマリーやセージ、ハニーサックルやシャリンバイなど、香りのよい植物が多種植えられて、ことさら楽しみの多い散歩道です。 2014年、長久保公園を管理する「公益財団法人 藤沢市まちづくり協会」は、環境省が主催する第9回『みどり香るまちづくり』企画コンテストに、この香りあふれる散歩道の植栽企画を応募し、見事入賞を果たしました。そして翌年、「ながくぼグリーンサポーターハーブ部会」に属する市民ボランティアの協力で、約2㎞に及ぶ川沿いの花壇に苗の植えつけが行われ、香りの小径が実現したのです。 五感で楽しむ散歩道に込められた思い 雑草取りなどの日頃の管理は、総勢80名ほどが所属する市民ボランティアによって、3年に渡り行われてきました。植えたばかりの頃はとても小さかったラベンダーも、今では大きく生長し、遠くまでラベンダー色に染まるほどの見事な香りの小径となっています。この小径は、ラベンダーを見るだけに止まらず、香りを嗅いだり、風にそよぐ音やハチの羽音を聞いたり、手に触れるなど、五感すべてで味わうことができる場所。企画者と管理者による“植物をより身近に感じてほしい”という願いが込められています。 満開を迎えたラベンダーの小径には、どこから来たのか、驚くほどたくさんのミツバチやクマバチが、蜜を集めようと飛び交います。首都圏の市街地であるこの辺りは、普段これほど多くのハチを見かけることはありません。軽やかなミツバチの羽音を聞いていると、この小径が地域の生態系を守る、一助となっていることを感じます。 収穫したラベンダーでクラフトづくり 植え込みから3年が経過し、立派に咲くようになったラベンダー‘グロッソ’の花は、クラフトづくりの材料として収穫できるまでになりました。収穫時の6月、長久保公園では、ながくぼグリーンサポーターハーブ部会の会員でJHS上級ハーブインストラクターの池田貴美子さんを講師に招いて、市民向けのラベンダーバンドルズ講習会を開催しています。バンドルズとは、ラベンダーの束にリボンを編み込んでつくるクラフトのことで、作業をしていると部屋中が花の香りに満たされます。癒し効果もたっぷりの、楽しい香り体験です。 近隣の小学校に広がる香りの輪 ラベンダーバンドルズづくりの講習は、2017年からは近隣の小学校のPTAとの連携によって、児童向けにも行われるようになりました。この日参加したのは、高学年の児童30名ほど。「みなさん、ラベンダーを知っていますか?」。ボランティアで講師を務める、アロマテラピストの角本久美さんが、子どもたちに語りかけます。 それぞれ好きな色のリボンを選んで、児童のバンドルズづくりが始まりました。ながくぼグリーンサポーターハーブ部会のボランティアが側について、手ほどきします。子どもたちはみな熱心に、そして、器用にリボンを編み込んでいきます。 教室に広がるラベンダーの香りにうっとりする子もいれば、「うちの親はこの香りが苦手なんだ」と残念がる子もいます。中には、持ち帰ったバンドルズを家族中が喜んで、ラベンダーを庭に植えることにした、という子もいました。フレッシュな花の香りに触れることは、子どもたちの「植育」にもなっています。 *ラベンダーバンドルズのつくり方はこちら 取材協力: 公益財団法人 藤沢市まちづくり協会 http://f-machikyo.or.jp/ 藤沢市長久保公園都市緑化植物園 https://nagakubokouen.jp 角本久美 Herb & Aroma Kumincure主宰 https://ameblo.jp/kumincure/ 併せて読みたい ・‘ハーブの女王’ラベンダーの香りの楽しみ方 ・ガーデンセラピー活動レポート〜憩いの場となる屋上庭園づくり〜 Credit 写真&文/ 萩尾昌美 (Masami Hagio) 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。神奈川生まれ、2児の母。
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イギリス

イギリスに現存する歴史あるイタリア式庭園【世界のガーデンを探る旅13】
当時のままの庭を見て知るイギリスの庭の歴史 イギリスの庭って、いつ頃から始まったのでしょうか? もともとイギリスという国自体が、前回の「ペンズ・ハースト・プレイス・アンド・ガーデン」で少し触れたように、歴史的にも国家的にも、日本人にはやや理解しづらい所があります。そもそもイギリスには建国の日はありませんし、他のスコットランドやウェールズにも建国の日はありません。イギリスとスコットランドが一緒になったのは1707年、国旗のユニオンジャックが制定されたのは1801年。憲法で統一されていない4つの国(イングランド、スコットランド、ウエールズ、北アイルランド)が集まった集合体のまま、一つの国として落ち着き始めた10世紀以降、十字軍遠征もあって、イギリスは他国の文化の影響を強く受けたのです。 ルネッサンスやフランス王宮文化に憧れを持ったイギリスは、その後もさまざまなものを他国から取り入れていきました。その中の一つが、イタリア式やフランス式の庭園です。きっとその洗練された庭の姿に憧れた当時のイギリスの領主や富豪が、こぞってイタリア式やフランス式の庭をつくったことで、国中にそれをまねた庭が溢れかえったのでしょう。しかし、その頃の庭で現存しているものが少ないのは、一人の天才造園家“ケイパビリティ-ブラウン”の存在が大きいと考えていますが、それはまた後日、お話ししましょう。 その頃使われていた植物は、イギリスに自生する数少ない植物や、大陸から持ち帰ったヨーロッパ大陸原産の植物であったはずです。今のように多様な植物が使えるようになるのは、ずっと後のプラントハンターの出現まで待たなくてはなりません。 イギリスに庭ができ始めるのは17世紀の初頭で、そのうちのいくつかは今も残っていて見ることができます。その一つは、イングランド中部のピーク・ディストリクトにある「ハドン・ホール」です。ルネッサンスの雰囲気を色濃く残すイタリア式庭園が、「ハドン・ホール」に今もほぼ当時の姿のまま残っています。この庭がつくられたのは、イギリスで最初に国立公園に指定された地域で、イギリスには珍しく起伏に富んだ地形の、中世の雰囲気を感じさせるノスタルジックなエリアです。 ハドン・ホールの庭 「中世から生き残るもっとも完璧な家」と呼ばれ、“1000 Best Houses”にも選ばれているハドン・ホールの歴史は12世紀から始まりますが、2段のテラスのあるイタリア式庭園は、17世紀前半につくられました。近年になり少し改修されましたが、ほぼ原形のまま残っています。 ハドン・ホールの庭は、もともとの地形をうまく利用して、庭の中に階段を設け、上下2つのテラス状になっています。 屋敷の周りにはいろいろな植物が植えられていますが、これには理由があります。イギリスは冬に“ゲイル”と呼ばれる冷たくて強い北西の風が吹くので、植物をゲイルによるダメージから守るために建物に沿って植えられているのです。 屋敷の広い壁面を生かして、つるバラを誘引し、たわわに咲く花が窓や入り口を彩っています。 一段下がると、敷地の中央は池を配した整形式庭園になっています。 おそらく、日本の皆さんがイメージするイングリッシュガーデンと違って、この庭は色彩的にも地味で、シンプルなデザインではないでしょうか。色とりどりの花が咲き乱れる、イギリス独自の庭の形式ができる以前の庭であると意識して観賞すると、とても興味深く感じます。またここにかけられていたタペストリーの花モチーフが、イギリスの陶磁器ブランド‘Minton(ミントン)’のハドンホールシリーズのもととなったことでも有名です。ロンドンから北に車で3〜4時間と、ちょっと距離がありますが、イギリスの庭の始まりを感じられる絶好の名所です。 もう一つの古い庭「ハム・ハウス」 ここも17世紀の前半に建てられたカントリーハウスが当時のままに残っている数少ない場所の一つです。ロンドン市内からそれほど離れていない高級住宅地で、多くの著名人たちが住んでいることでもよく知られているリッチモンドにあります。屋敷の正面中央に立つと、建物も植栽も見事なまでに左右対称に配置されています。 建物の反対側には整形式の庭園があります。ここはガラス温室ができる前に普及していた防寒用の部屋である「オランジェリー」が当時のまま残っています。ちなみに、大きなガラス温室が世界で最初につくられたのは、ロンドン郊外にある「キュー・ガーデン」だといわれています。 建物の横には、ラベンダーが列植されたイタリア式庭園があります。 ここもハドン・ホールと同様に、イギリスの庭が色とりどりの花で彩られる以前につくられた庭なので、ちょっと物足りないかもしれませんが、当時のままを頑なに守るイギリスらしさを感じさせてくれます。 今回の2つの庭は、大陸からの影響(模倣)そのものであるといってもいいでしょう。しかしあまりにも人工的な左右対称のデザインにイギリス人が違和感を抱いたのか、その後徐々に崩れていきます。しかしそれはずっとあとのこと。話は飛びますが、日本も最初は中国から左右対称の律令制を導入するのですが、独自の文化が花開く平安時代になると、それが崩れていきます。平らなフランスと中国、起伏に富むイギリスと日本。大陸と島国、お互い世界でまれに見る独自の庭文化を育んだイギリスと日本には、大変興味深い共通点があります。庭の歴史を探っていく過程で、なぜイギリスと日本だけが、庭文化が今も進化し続けているかを考えてみたいと思います。 次回は、プラントハンターによって世界中から集められたさまざまな植物達によって彩られた庭を見ていきましょう。 併せて読みたい ・スペイン「アルハンブラ宮殿」【世界のガーデンを探る旅1 】 ・イタリア式庭園の特徴が凝縮された「ヴィラ・カルロッタ」【世界のガーデンを探る旅5】 ・イギリス「ペンズハースト・プレイス・アンド・ガーデンズ」の庭【世界のガーデンを探る旅12】
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新潟県

花の庭巡りならここ! 麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」
ボランティアにより維持される本格的なイングリッシュガーデン 2009年にオープンし、広さ22,000㎡(公園部分は16,000㎡)の敷地を持つ「みつけイングリッシュガーデン」は、新潟・見附市が管理する観光ガーデン。見附市の緑地帯を活用し、市内の緑化と交流の拠点としてイングリッシュガーデンに整備されました。デザイン監修は、英国園芸研究家のケイ山田さんです。イギリス式の植栽はもちろん、ガゼボやアーチ、ベンチ、オーナメントなどのガーデン資材は全て英国製にこだわり、本場の雰囲気を再現。現在も年に2回は訪れて、植栽やメンテナンスなど、景観維持のためのアドバイスをしています。 「みつけイングリッシュガーデン」は、正面入り口のアイアンゲートをくぐると、「ボーダーガーデン」「ウェディングガーデン」「池とガゼボ」「アナベルロードと芝生広場」「バラロード」「展望台(ガゼボ)とロックガーデン」「メドウガーデン」など、各エリアに分けられ、それぞれに変化に富んだ植栽が見られます。イギリスの庭園さながらの洗練された景色には、ため息がもれるばかりです。 特筆すべきは、「みつけイングリッシュガーデン」のメンテナンスは、市民ボランティア団体「ナチュラルガーデンクラブ」が行っていること。水やりや草取り、植え替え、剪定、苗の生産(ナーセリー)など、初期は不慣れな点も多かったものの、ボランティア参加者たちは年々スキルを磨いていったそう。今やガーデニングの専門知識や技術を、ガーデニング教室やワークショップの開催によって、来園者に還元しています。園内への入場料は無料のため、気軽に訪れることができるのも嬉しいところ。もともと見附市が目指した「緑化と交流の拠点」が実現し、理想的な憩いの場となっています。2018年には新しくカフェ&ショップもオープン。見附市民のみなさんが愛して育んできた、温もり感あふれる観光ガーデンに、ぜひ足を運んでみませんか。 息を呑むほどの壮麗な景色にうっとり! ケイ山田さん監修の英国式庭園 「みつけイングリッシュガーデン」の春を彩るのは、クロッカス、クリスマスローズ、パンジーなど。4月中旬〜5月上旬にはチューリップが見頃になり、「ボーダーガーデン」「ウェディングガーデン」、コンテナを中心に、それぞれのエリアで色彩テーマを変えて植栽しています。写真はパステルピンクのチューリップとパステルブルー&パープルのパンジーの組み合わせで、ソフトで優しい雰囲気。 高さ2.5m、奥行き10mのアーチに仕立てた藤は、樹齢約15年の‘フロリバンダ’。見頃は5月いっぱいです。頂部から長い花穂がたわわに枝垂れる藤のトンネルはダイナミックで、その下を歩くと至福のひとときを味わえます。 「みつけイングリッシュガーデン」には、約150種700株のバラが植栽されています。パーゴラ、アーチが3カ所にあり、それぞれにつるバラを誘引した壮麗な景色は、眼福そのもの。この写真は「ボーダーガーデン夏エリア」で、アーチに仕立てたバラ‘ブラッシュ・ランブラー’を主役に、ピンクをテーマカラーにして植栽。毎年、一年草で模様替えをして、異なる雰囲気を演出しています。 写真は、赤いバラで統一したトンネル。‘エトワール・デ・オランダ・クライマー’、‘ギネー’、‘エクセルサ’、‘ニュードーン・レッド’、‘アレン・チャンドラー’、‘チェビーチェイス’などのつるバラを誘引しています。紫の花穂を立ち上げている下草はキャットミント。色のコントラストがシックで、圧巻の景色です。赤バラのトンネルをくぐり終えたら、ぜひ後ろを振り返ってください。最後のアーチの裏側のみ、白いバラ‘ガーデニア’、‘フラウ・カール・ドルシキー・クライマー’で覆われており、これまで見てきたトンネルとはまた違った印象の景色が広がります。 「みつけイングリッシュガーデン」の園内は、どの通路も車椅子や乳母車が通れる広めの設計で傾斜もゆるやかなので、誰でも気軽に訪れることができます。写真のエリアは「アナベルロードと芝生広場」。見頃は6月下旬〜7月中旬で、芝生の周囲に列植された西洋アジサイ‘アナベル’が満開となって、見事な景色をつくりだします。‘アナベル’の下草は毎年「ボランティア植栽会」で一般の参加者が植栽。花の種類は毎年変わるので「今年はどんな色合わせが楽しめるのかな」と、リピーターが楽しみに訪れるスポットです。 写真手前の草花は「ウェディングガーデン」の一角です。「華やかさ」をテーマにしたエリアで、植栽によるカラーコーディネートの妙を楽しめます。奥に見えるガゼボは休憩スポット。「みつけイングリッシュガーデン」への飲食の持ち込みは自由で、飲食可能なスペースは「ガゼボ」「ガーデンテント」「子ども広場」です。また、園内にはゴミ箱が設置されていないので、ゴミは各自で持ち帰るようにしましょう。 毎年秋に開催される「オータムフェア」では 来園者参加型の楽しいイベントを開催! 毎年秋には「オータムフェア」を開催(2018年は9月29日〜10月8日)。「みつけイングリッシュガーデン」内各所にハロウィンスポットが登場します。ぜひ一緒に写真を撮って、ハロウィンを楽しみましょう。また、多肉植物の寄せ植えづくりやスワッグづくりなど、クラフトを楽しむワークショップが催され、クラフト作家が販売する「青空マーケット」も展開。「ハロウィンこども DAY!」(2018年は10月8日)では、仮装した子どもたちが遊びに来て、園内をさらに盛り上げます。 2018年4月よりオシャレなカフェがオープン! 併設の土産物売り場も充実の品揃え 「みつけイングリッシュガーデン」では、来園者から「くつろぐ場所が欲しい」との要望を受けて、2018年4月にオシャレなカフェ「MEG CAFE 511」がオープンしました。営業日は開園中(4〜11月)は無休、閉園中(12〜3月)は火曜定休、年末年始は休館。営業時間は10:00〜21:30、ラストオーダー21:00(季節により変動)。店内40席のほか、テラス席が12席ほどあります。価格帯はランチプレート1,080円〜、ディナープレート1,280円〜、本日のケーキ360円〜。オススメは3日間熟成させるモチモチのピザ、インスタ映え間違いなしのドリンク「ローズレモネード」など。テイクアウトメニューもあります。 写真は、カフェ「MEG CAFE 511」の人気スイーツメニュー「ふわとろフレンチトースト」(S580円、M780円)。フレンチトーストの上にアイスクリームがのっています。蜂蜜をたっぷりかけて、召し上がれ! 秋には季節感たっぷりのフレンチトーストが登場します。 写真は、カフェ「MEG CAFE 511」のインスタ映えドリンク。手前はローズレモネード×ブルー、奥はローズレモネード×ピンク(各400円)。シロップとレモネードが別々に出され、生レモンスライスたっぷりのドリンクに、ローズペダルの入ったシロップを注ぐと、なんとなんと、レモネードの色が変化します! 話題のドリンクをぜひ味わってください。 カフェ「MEG CAFE 511」店内には、土産物売り場が併設されており、新潟・見附市の特産品やオリジナルグッズ、花苗などを販売。オススメは、ニットの街「見附」×イングリッシュガーデンのコラボ商品「ニットのテディベア」4,800円〜、「みつけイングリッシュガーデン」で収穫した見附産100%ローズヒップ(無農薬)がたっぷり入ったフィナンシェ(6個入り)1,000円です。 秋〜冬には、ガーデンや「MEG CAFE 511」店内で、ワークショップを不定期開催しています。あらかじめ公式ホームページをチェックして、参加の計画を立てるのもいいですね。 Information みつけイングリッシュガーデン 所在地:新潟県見附市新幸町6-35 TEL:0258-66-8832 http://www.city.mitsuke.niigata.jp/ (見附市ホームページ内) アクセス:公共交通機関/信越本線JR見附駅から1.2km(車で5分) 車/北陸自動車道 中之島見附I.C.から2km(車で3分) オープン期間: 4月1日~11月30日 営業時間:8:40~日没 料金:無料(草花の管理協力金として、1人100円程度の寄付をお願いします) 駐車場:145台(無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/




















