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イギリス

イングリッシュガーデン以前の17世紀の庭デザイン【世界のガーデンを探る旅15】
イタリアやフランスへの憧れから イギリス独自の庭文化へ発展 ヨーロッパの中では、文化的にも経済的にも後発国であったイギリスは、イタリアルネッサンスやフランスの宮廷文化に憧れて、国内に多くのイタリア式庭園やフランス式庭園をつくっていきました。しかし、イギリスは緩やかな起伏の丘が続くつづく地形で、イタリアほど起伏も急流もなく、また、フランスのような広くて平らな土地にも恵まれていませんでした。そのためイギリスにおいては、両方の庭園様式が深く根付く事はありませんでした。 またその頃、“知識は力なり”の格言で有名な哲学者フランシス・ベーコンや文学“失楽園”の著者、ジョン・ミルトンなどが、自然なものへの憧憬、大陸文化からの脱却を提唱し始めます。 庭園も、今までの整形的なユートピアから、自然復帰こそが神が示してくれたものであるという英国的価値観へと移行していきます。 17世紀につくられた「ハンベリー・ホール」と庭 今回ご紹介する庭は、イギリス中西部、ウスターシャーにある「ハンベリー・ホール(Hanbury Hall)」です。この屋敷は、大地主のトーマス・ヴェルノンが1701年からつくり始めました。庭園のデザインは、その当時、イギリスで流行していたフランス式庭園で、設計はハンプトン・コートも設計した造園家、ジョージ・ロンドンとヘンリー・ワイズが担当。しかし、ここには広々としたフランス式庭園がつくれるような平地はなかったため、この土地に合った小規模な整形式庭園がつくられたのです。 まずは、屋敷前の車寄せから見ていきましょう。広々とした車寄せの向こうには、樹齢300年といわれる針葉樹、アトランティックシダーが高木となり、両側には落ち着いた雰囲気の、よく手入れがされたボーダー花壇が訪れた人を歓迎してくれます。 オレンジ色の石造りの建物や柱と対比する、きれいに刈り込まれた芝のエリアには、オレンジのヘメロカリスやライムグリーンの花が咲くアルケミラモリス、ピオニー、シュウメイギク、そして塀の向こう側にはスモークツリー(ケムリの木)など、現代の私たちがイングリッシュガーデンでよく名を聞く植物たちがボーダー花壇に使われています。手前には、経年変化で味が出た鉢から鋭い葉を広げているアガベが引き締め効果に。 2人の造園家が担当した整形式庭園 建物の向こう側には、ツゲで区切られたいくつかの庭が並んでいます。順番に、そのデザインを見ていきましょう。まずは、スタンダード仕立てのナシの木と鉢植えのリンゴを配した、オランダ風のフォーマルガーデンです。その向こうのエリアでは、ほかでは見たことのないような素敵な花壇が出迎えてくれます。 丸く刈り込まれたナシの木が並ぶエリアを、低いツゲで縁取られた四角い花壇が囲むなど、木々の組み合わせで、平坦な敷地に立体感のある景色をつくっています。 屋敷から見渡せる場所には、一段下がった土地にフォーマルな沈床花壇がつくられています。きれいに刈り込まれた緑のツゲの縁取りに、独特な花の組み合わせで明るい雰囲気を出しています。薄黄色の低い刈り込みはヒメツルマサキ、真ん中のボールは斑入りのヒイラギです。 四角や円錐、丸いトピアリーを複数組み合わせてたフォーマルな、整って見える庭デザインですが、花の数が少なく、手がかからない工夫を感じました。また、色合いがイギリスにしては、はっきりとした原色系の花が使われています。現代のコテージガーデン風な色合いに慣れてしまっている私たちには、新鮮な驚きをもってこのコンパクトな庭を楽しむことができます。植えられている植物も、驚くほど少量で小さなコニファーのトピアリーと緑や黄色のヘッジ、それらが土の色と相まってつくり出している不思議な雰囲気の庭です。このような植え方は他では見たことがありません。これはつくられた当時からのアイデアか、または、今のオーナーのアイデアかは分かりませんが、皆さまも一度ここを訪れて不思議な感覚を味わってみてはいかがでしょうか? 庭を見学していたら、ガーデナーが直線的なツゲのヘッジの刈り込みをしていました。水糸を引いて神経質に思えるほど緻密な作業でしたが、その向こう側では、別のガーデナーとオーナーらしき夫婦が何やら話し合い。秋の植栽計画でも相談しているのでしょうか? 富の象徴の一つ、オランジェリー 「ハンベリー・ホール」の敷地内には、オランジェリーも当時のまま残っていました。かなり緯度の高いイギリスでは、冬に吹く冷たい北風から寒さに弱い植物を守るために、大きなオランジェリーがつくられました。その頃、イタリアルネッサンスへの強い憧れを抱いていたイギリスの富裕層にとって、イタリアへ旅行することは一種のステータスでした。そして、寒さに弱いオレンジの木などを自宅に備えたオランジェリーで栽培することも、自慢の種になっていたようです。 植物が外へ持ち出されている夏の間のオランジェリーの中は、ガランとした空間。春から秋までは、コンサバトリーのようにも使われることもあります。現在のような温室が登場するのは19世紀に入ってからですので、それ以前の時代は、寒さに弱い植物の冬越しはオランジェリーの中で行っていました。 イギリスの地形に合わせた庭デザインを模索する時代へ 庭から広がる穏やかな起伏に富んだイングランドの丘陵地、最もイギリスらしい風景です。大きな木はアトランティックシダ―。複雑な樹形は、この土地の歴史を物語っているようです。 大陸文化の模倣から始まったイギリスの庭の歴史は、イタリア式庭園、フランス式庭園、オランダ式庭園などの要素を吸収し、咀嚼しながら、ソフトなイギリスのランドスケープにフィットするような独自の様式を少しずつつくり出していきます。16世紀後半から7つの海を支配したイギリスに世界中の富が集まり、世界の文化と経済の中心としてのイギリスの時代と相まって、世界中に送られたプラントハンターが持ち帰った植物を使った華やかなイングリッシュガーデンの時代が始まろうとしています。 併せて読みたい ・イギリス発祥の庭デザイン「ノットガーデン」【世界のガーデンを探る旅14】 ・【初めてのガーデニング講座】小さな花壇で育てる一年の花サイクル ・松本路子の庭をめぐる物語 フランス・パリの隠れ家「パレ・ロワイヤル」
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三重県

花の庭巡りならここ! 地域住民の誇り、英国式庭園「松阪農業公園ベルファーム」
地域の人々が関わるイングリッシュガーデン 2004年にオープンした三重県の「松阪農業公園ベルファーム」は、伊勢自動車道の松阪ICから降りてすぐの立地にあり、松阪の豊かな自然環境や地域農業を生かし、「食育」・「緑育」の場を提供することを目的に設置されました。総敷地面積23万㎡の広大な園内には、地域の人々に愛される、緑に囲まれた癒しの場として整備された、敷地面積1万4,000㎡のイングリッシュガーデンがあり、ゆっくり歩いて30~40分ほどで見て回れます。 イングリッシュガーデンは、日本に英国式庭園の魅力を広めたケイ山田さんの設計。リニューアルを重ねつつ、現在は9つのエリア、チェルシーガーデン、ローズガーデン、ウォールガーデン、オーチャードガーデン、ハーブガーデン、ローディー(シャクナゲ)ガーデン、コニファーガーデン、インドアガーデン(グラスハウス内)、ストリームガーデン(改装中)を見学できます。 毎週火曜日には、地域のボランティアスタッフが訪れて、雑草抜きや植え替えなどの植物のケアに励み、植物を愛する人たちのコミュニケーションの場になっています。イングリッシュガーデンに不可欠な植物でも、松阪の温暖な気候では育たないケースもあり、代わりになる植物は何か試行錯誤しながら、年月をかけて松阪の気候風土に合うスタイルのイングリッシュガーデンに育ててきました。地域の気候に合った植物とは? 最新のトレンド品種とは? その答えが見つかるスポットとして、ガーデナーが情報を求めて訪ねる交流の場にもなっています。 灌木と草花が織りなすハーモニーは必見! 手入れの行き届いたガーデン 写真はウォールガーデンに対で植栽されたアメリカハナナシで、自然に樹形が三角形に整う花木です。3月下旬〜4月上旬が見頃で、花色は淡いピンクから白へと移ろいます。桜と同様に開花期は短く、1週間程度。樹高が7〜8mあるため、満開の時期は大変見応えがあり、アメリカハナナシの花見を目的に訪れるファンの姿も多く見られます。 チェルシーガーデンエリアの4月下旬〜5月上旬の景色です。直径4×高さ4mの六角形のコンサバトリーには、樹齢約15年の藤が覆うように仕立てられ、満開時は壮観。ガラス張りのコンサバトリーの中から見る藤の姿も素敵です。地植えのネモフィラやワスレナグサなど、ブルーの草花とも好相性ですね。 ローズガーデンのエリアでは、花つきがよく優美な花姿が魅力のイングリッシュローズを中心に植栽。オベリスクが5基あり、つるバラ‘ソンブレイユ’などを這わせてメリハリをつけています。本場のイングリッシュガーデンではピンクのバラと紫のラベンダーの組み合わせがよく見られますが、この地域ではラベンダーの育ちが悪いのが悩みでした。試行錯誤の結果、得られた解決策は、暑さに強いジャイアントキャットミントを代わりに植栽すること。ピンクとブルーの色の対比がとてもエレガントです。 バラの見頃は5月中旬〜下旬で、イングリッシュガーデンのトップシーズンでもあります。園内には約60品種500株のバラを植栽。写真はイングリッシュローズの‘ボスコベル’とジャイアントキャットミントの競演です。 イングリッシュガーデンに入ってすぐのボーダーガーデン。手前にはピンク、紫、白のペインテッドセージを植栽しています。同時期に咲くジギタリスやペンステモンと相性がよいうえに、草丈60〜80cmで花壇の中段を埋めるのにちょうどいい花材。花つきがよく枝葉がやわらかいので、風にそよいで混ざり咲く姿もたおやかです。 自然豊かな里山の借景が素晴らしい 毎月の体験教室やイベントも充実の松阪農業公園ベルファーム 松阪の里山の借景に恵まれているイングリッシュガーデン。広葉樹が里山の景色をつくっているので、四季の移ろいを感じることができます。特に、4月頃のヤマザクラがふもとから頂上へだんだんと上がっていく景色、萌えいづる季節の新緑のグラデーション、寒さが増すほどに深い緑から冬枯れへと移り変わる景色……園内のイングリッシュガーデンももちろん素敵ですが、美しい里山の景色も見どころの一つ。小鳥のさえずりがすぐ近くで聞こえて、時にはカワセミの姿も見られますよ! グラスハウス内のインドアガーデンは、雨の日でも楽しめるエリア。このプールには、睡蓮、パピルス、コロカシアなどの水生植物を植栽。初夏からは睡蓮の端正な花姿が見頃になります。15時を過ぎると花が閉じてしまうので、午前中に訪れるのがオススメです。 また、毎月多彩な体験講座が開催されており、フラワーアレンジやプリザーブドフラワー、草木染め、ハーブせっけん作り、料理教室など魅力的なコンテンツが目白押しなので、ぜひ参加してみましょう(予約が必要な講座が多いので、公式ホームページをチェックしてください)。 写真は秋の景色で、パンパスグラスが季節感を演出、センニチコウ、リコリス、黄色コスモス‘キャンパスイエロー’などの花々が彩りを添えます。10月末~11月上旬は、ハンギングバスケットやコンテナのコンテストも開催されるので、ぜひ作品群を見に出かけましょう。 温暖な気候のため冬もオープンしており、年に1度くらいしか積雪はありません。でも実のところ、雪化粧をしたコニファーガーデンはとてもロマンティックな雰囲気を堪能できるので、貴重なタイミングを逃さずに。またバラの植栽が多いため、この時期は剪定のコツをつかみに訪れる熱心なガーデナーの姿もちらほらと見られます。 カフェのパティシエ作ジェラートはリピートして全制覇したい! 2018年オープン、無添加生地のこだわりパン屋さんも大盛況 「松阪農業公園ベルファーム」内、イングリッシュガーデンのエントランスには、「ガーデンカフェ ルーベル」があります。営業時間は10:00〜16:00(平日)、10:00〜17:00(土日祝、11〜3月は16:00)、ランチタイムは11:00〜14:00。園内の直売所から届く朝採れ野菜など、地元の旬の食材を使った食事を楽しめます。写真は野菜ソムリエの手作りランチ。パティシエのミニデザートつきで平日1,050円。 「ガーデンカフェ ルーベル」のオススメは、パティシエが作る季節のジェラート 。ミディアムサイズ2種盛り340円、3種盛り440円。フレーバーは季節によって変わり、こく旨ミルク、最高級抹茶(プラス30円)、松阪牛肉みそ、チョコレート、ブルーベリー、カボチャ、イチジク、塩レモン、アンズヨーグルト、ブラムリー、巨峰シャーベット、はちみつばんかんなど、常時10種類以上の味が楽しめます。個性的なフレーバーがずらり、これはぜひリピートしたいデザートですね! 2018年春には、「松阪農業公園ベルファーム」の直売所(農家市場内)に「国産小麦のパンとスイーツのお店『やさい畑』」がオープンしました。営業時間は10:00〜16:00。 国産小麦を100%使用し、イーストフード、保存料などの合成添加物は使わない無添加生地にこだわっており、すべて店内で手づくりしています。イートインスペースもありますよ(イングリッシュガーデン内での飲食は不可)! 「国産小麦のパンとスイーツのお店『やさい畑』」のオススメは、写真の最高級伊勢抹茶さくさくメロンパン162円。ほかにパンドミ345円、阿波黒牛揚げカレーパン270円、季節のフルーツタルト400円も人気です。 掲載している商品および価格は、2018年11月現在(消費税込み)の内容です。今後変更になる場合もありますのでご了承ください。 Information 松阪農業公園ベルファーム 所在地:三重県松阪市伊勢寺町551-3 TEL:0598-63-0050 http://www.bellfarm.jp/ アクセス:公共交通機関/JR・近鉄松阪駅よりタクシーで約20分、バスで約30分 車/伊勢自動車道松阪インターより東に約500m オープン期間:周年 休園日:2019年4月より、5・8月を除く毎週水曜日(祝日の場合は翌日)、12月31日、1月1日 ※臨時休園あり 営業時間:イングリッシュガーデン10:00〜17:00 (施設により異なる) 料金:無料 駐車場:普通車700台、大型バス10台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ!「かおり風景100選」に認定された「山形県村山市 東沢バラ公園」 ・花の庭巡りならここ! 麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」 ・花の庭巡りならここ! 色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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北海道

春をイメージして手が進む晩秋の庭仕事
私流の秋の庭作業スタイル 秋の森は静かです。にぎやかな虫の声も、鳴き交わす鳥の歌も、時の向こうに消え、耳にささやくのは風が草葉を抜ける音だけ。毎年、急にシンとした森に「ああ、秋が来た……」と思います。もうすぐ長い冬……花咲く庭が名残惜しくなりますが、寂しがってはいられません。本格的に冬を迎える前の「今」こそ、来年に向けた絶好の庭シーズンです。 この季節の朝晩は、関西の真冬並みに冷え込みます。太陽が照らす日中は温度も上がり心地よく感じますが、それはほんのいっとき。寒がりの私の体に冷えが伝わってこないよう守ってくれるのが、ナイロン製の農作業着「ヤッケ」です。さすがプロの農家さんの御用達だけあって、動きやすさも防寒も抜群! 一般的なピッタリサイズの上下の着こなしに、私はちょっと、ひと工夫。あえて特大サイズの上着に、黒いワンサイズ小さいズボンを履いて、チュニック風に見せています。農作業着のお店にはお手頃価格でサイズも色も豊富に揃っているんですよ。 軽作業の時は写真のようにゆったりしたワンピースを重ねます。庭用にザブザブ洗える薄手のデニムで作りました。何年も庭に出るたび羽織ってきたワンピースで庭にいると、庭に溶け込んでいける気がします。汗をかくほど動かない時は、なおさら冷えやすいのですが、一枚のワンピースがつくる空気層で心地よくポカポカです。 楽しみでする庭仕事。身も心も心地よくありたいと思っています。 秋恒例の庭作業はお買い物からスタート 庭仕事着を身にまとって庭に出る前に、まず向かうのはガーデンセンター! 狙いは球根とバーゲン苗です。荒地だった土地に森を育てようと手入れをしている木々が育ち、日陰が増えている私の庭。庭の主役をバラから日陰に強いアジサイに変えようと苗を買ってきました。お値段なんと250円! 小さな苗が主役に育つのは何年後でしょうね。 チューリップは‘ピンクダイヤモンド’を毎年買い足しています。帰ったら腕まくりもそこそこに、裏庭で植え込み準備を開始。まずは、一つひとつに巻かれた品種名のラベル剥がしです。長雨続きの庭は荒れてきていますが、そんなの目に入りません。お手入れは後回し。 ウキウキした私を見て、愛犬のユピーやノノもソワソワ。あらら、球根をオヤツと思い込んで「おすわり」しちゃった。 球根を狙う可愛い庭の訪問者 実は、球根を本当にごちそうと思い込んでいるエゾリスがいて困っています。ユリ根はともかく、チューリップなんて美味しいのかしら? と疑問に思うのですが、毎年食べているところを見ると……きっと美味しいのでしょうね。 「ああ〜食べられた」と歯ぎしりするくらいなら、エゾリスとも仲よく共存して大らかに見守りたいと、球根もお手頃価格を選んでいます。皮を剥いで見たらカビが! ということもありますが、そこもオーケー。できればリスにはカビの球根を一番に掘り当てて「今年は食べられないわ〜」と、ドングリを食べに行ってほしいなあ。 土を掘って球根を植えましょう 植えるテンポはゆっくり、ゆっくり。芝生のエッジを切ったり、雑草を抜いたりしながら、えっちらおっちら。ふと見上げた時に、もう枝先を止めたつもりだったバラが咲いていて、宝物を見つけたようにときめいたりしながら、春のために庭を整えていきます。 失敗から学んだ春咲き球根を植えるコツ 球根を植える時は、宿根草が目印です。ミヤマオダマキやゲラニウムの周りが遅咲きスイセンの‘サーウィンストンチャーチル(写真内白い花)’。その間がチューリップのスペースです。なんとなく範囲を決めておくだけで、前年までに植わっていた球根にスコップが刺さって真っ二つにしてしまう「事件」は激減しました。スイセンだけでも500球以上が眠っているので、以前は事件が多発。おかげで、今年はたった1個ですみました。 春を夢見て植え込みとタネ播き 枯れ草の目立ち始めた庭ですが、球根を植えている時の脳内は春らんまん。夢を見ながら手を動かす時間は、かけがえのない一時です。 また、秋はタネ播きの季節でもあります。私のタネ播きは、立ち枯れた花を切って庭のあちらこちらに挿していくだけ。 大自然の懐にある我が家は豊かな土地に見えますが、開発跡の荒地です。石混じりの赤土と粘土は耕運機の歯が立たないほど硬く、黒土を数十cm盛ったご近所さんも、元の土との間に水が溜まり、根腐れを起こすなど尽きぬ悩みを抱えていました。 大規模な土壌改良をする余裕もなく、植物を育てるのを諦めそうになった時に活躍してくれたのが、こぼれダネから育つ花。自らの力で根を下ろし、根張りに見合ったサイズの茎葉をつける花たちは、小さくても元気いっぱい。根が土を耕し、ミミズを呼んで豊かな土へと育ててくれました。 植物が大きく育つようになった今、改めて根っこの力に感動を覚えます。 はじめに紹介させていただいた春の写真のミヤマオダマキ(青い花)も、タネをつけて枯れた花茎を、そのまま葉陰に挿すことで、生え広がってくれました。カゴの写真に入っているのは淡いブルーのカンパニュラ。7月にいっぱい咲いてくれたら嬉しいなあ……とあちらこちらに挿して回りました。 こぼれ落ちるタネが、無理なく育つ場所でのみ育っていく。花にとっても、私にとっても無理のない空間で、お互い伸びやかに生きていきたいと思います。 今年のガーデンでもたくさんの幸せをもらいました。秋冬の庭仕事は来春の私へのプレゼント。北海道の長い冬を経て、また訪れる芽吹きの季節が楽しみです。
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ベス・チャトー・ガーデン(2)癒しの水の庭と森の庭
乾燥の地につくられたウォーター・ガーデン 『花好きさんの旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現』では、乾燥に耐えられる植物を集めたグラベル・ガーデン(砂利の庭)をご紹介しましたが、そのグラベル・ガーデン脇の庭園入り口を抜けていくと、今度は、たっぷりと水をたたえ、青々と茂る水辺の植物に縁どられた池が現れます。 予期せぬダイナミックな水辺の景色に、思わず見とれてしまいます。じつは、この池は、泉から水を引いた水路をせき止めてつくった、人工の池です。エセックス州のこの辺りは、年間降雨量が少ないことで知られますが、ベスは、乾燥したこの地では育てるのが難しい、プリムラやホスタといった湿り気を好む植物を育ててみたいと思い、池をつくって、湿度を保った環境を整えることに挑んだのでした。 ウォーター・ガーデンには、ベスが厳選した、水辺を好む植物や、湿り気を好む植物が植えられています。彼女の庭づくりの合言葉は‘Right Plant, Right Place’(ふさわしい植物を、ふさわしい場所に)というものですが、グンネラやススキの仲間など、適切な環境に植えられた植物はよく茂って、夏には涼やかな空間をつくります。暑い夏場、水辺の気温は、庭園内の他の場所に比べて数度低くなるそうです。乾燥した土地にあって、この水の庭の豊かな景色は驚くべきものです。 ウォーター・ガーデンから緑の芝生を少し上っていくと、そこはもう、スクリー・ガーデン(がれ場の庭)です。ベス・チャトー・ガーデン(1)編でご紹介しましたが、こちらは水の庭とは対照的に、乾燥に強い植物を集めた庭。ベスが、正反対の性質を持つ植物をひとところで観賞できるガーデンをつくりだしたというのはすごいことだなぁと、歩きながら感心しました。 ふかふか芝生の小径 ウォーター・ガーデンの先には、ふかふかの芝生が続く、ロング・シェイディ・ウォーク(長い日陰の小径)があります。大きなオークの木々が葉を広げる下に、シダやホスタ、ティアレラ・コルディフォリア、ヴィオラ・リヴィニアナ‘プルプレア’など、日陰を好む植物が植えられています。 弾力のある芝生の小径は幅が広くゆったりしていて、庭を独り占めしているような感覚で散策を満喫できます。もし時間が許すなら、来た道を戻りながら違う角度から眺めるのもよいでしょう。新鮮な発見ができそうと感じました。 多彩な緑を楽しむウッドランド・ガーデン ウッドランド・ガーデンは、森の中の散策を楽しむ庭です。大きなオークの木々が葉を広げてつくる天蓋の下には、森の下草としてふさわしい、日陰を好む球根花や宿根草、灌木、シダなど、ベスが厳選した植物が植えられています。 森の中は、静けさに満ちた、安らぎのある空間です。他の庭に比べると、当然ながら花より葉の緑が多く、色彩はおとなしめですが、緑を背景に花々の清楚な姿が浮かび上がって、心引かれます。 足元に茂る植物に目をやると、さまざまな葉が美しいコンビネーションを見せています。緑色の濃淡の対比や、葉の形や模様の豊かさは、見ごたえ十分。フラワーアレンジメントに精通した、フローリストの目を持つベスならではの、繊細な植栽です。ここに派手な植物はありませんが、彼女らしい植栽の魔法が発揮されているように思いました。 受け継がれるチャレンジ精神 こちらは、オープンな日向のエリアが広がる、新しいリザーバー・ガーデン。デザインが一新されて、2017年に公開されました。ここには、あまり環境を選ばない植物が植えられていて、その一角は、ニュー・プランティングと呼ばれる、新しい品種の植物を試験的に育てる場所となっています。 2014年から2年近くかけて、ベスのチームはこの辺りの粘土質の土を改良しました。使われたのは、無農薬(オーガニック)のスペント(使用済み)・マッシュルーム・コンポストです。 英国では、商業的なマッシュルーム栽培で菌床として使われた、麦わらや馬ふんなどからなる堆肥(マッシュルーム・コンポスト)を、ガーデニングに再利用する動きがあります。ベス・チャトー・ガーデンによれば、使用済みのマッシュルーム・コンポストは、窒素の量は少ないものの、他の栄養素が多く含まれ、粘土質の土壌の改良や、栄養不足の土に使う腐葉土に加えるのに最適だそう(ここでは、蒸気殺菌された使用済みマッシュルーム・コンポストが使われています。コンポストはアルカリ性なので、酸性を好むツツジ科の植物には与えないことや、土のpHが偏りすぎないように使用に注意が必要です)。 コンポストを土に十分にすき込むためには、一度に薄くしか撒けません。ベスのチームは何度も何度も根気強く、大量のコンポストをすき込み、改良を続けました。 ニュー・プランティングのエリアでは、ベス・チャトー・ガーデンにとっても挑戦となる、新しい品種の植物を育てています。 1950年代後半からフラワーアレンジメントの活動に携わったベスは、海外から取り寄せた植物の種子を発芽させて、当時はまだ珍しかった、ナチュラルなテイストの植物を育て、紹介し続けていました。1977年から1987年にかけては、英国王立園芸協会のチェルシーフラワーショーで「珍しい植物」の展示を行い、連続で合計10個のゴールドメダルを受賞しています。 たしかに、ここで日本ではまだ耳にしたことのない、最新の植物に出合うことができました。みんなが喜ぶ新しい植物を紹介し続けた、ベスの精神が受け継がれているように感じました。 庭と連動したナーセリー ウォーター・ガーデンの脇と、ウッドランド・ガーデンの脇には、広いストックベッドがあります。ここは、ナーセリーで販売するための苗を育てる場所。毎年6万株を育てているそうで、庭に生えている植物と同レベルの、しっかりとした健やかな苗が育っています。 ナーセリーで売っている品種の数は、2,000を超えます。苗の多くは、この庭に生える植物から増やしたものなので、庭はいってみれば「商品カタログ」の役割を果たしています。例えば、樹木の下の日陰で育てるのによい植物は何かなど、実際の庭を見ながら目的にふさわしい植物を探し出して、その苗を持ち帰ることができるというわけです。 ナーセリーは、乾燥に強い植物、水を好む植物、日陰を好む植物など、植物の性質ごとに売り場の区画が分かれていて、どんな庭に植えるべき植物なのか、一目でわかります。庭園に植わっている植物には一つずつ名札がついているので、その品種名を頼りに苗を探すこともできますし、また、気になった植物の写真を撮ってナーセリーにいる園芸スタッフに見せれば、名前を教えてくれます。地元の人達にとっては、心強い味方に違いありません。とても活用されているガーデンなのだなぁと感じました。 庭園にはショップと小さなカフェレストランが併設され、窓の外に広がる庭を眺めながら、昼食を楽しむことができます。テーブルには庭の花が生けられていて、ほっこりした気持ちになります。 庭の植物が無農薬で育てられていると聞いたからか、庭の空気もなおさら気持ちよく感じられました。ベスは無農薬栽培を熱心に提唱した人でしたが、これだけの規模のガーデンを無農薬で管理するのは本当に志が高くないと継続できません。きっと彼女は芯が強くて、カリスマ性のある人物だったのだろうと、その庭に触れて実感しました。 併せて読みたい ・英国のオープンガーデン 秋まで美しい、オーナメンタル・グラスがおしゃれな庭 ・庭をつくろう! イギリスで見つけた、7つの小さな庭のアイデア ・玄関を花でコーディネート! 海外のおしゃれな玄関先8選
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山口県

花の庭巡りならここ! 花苗生産が盛んな地域ならではの演出「やまぐちフラワーランド」
年に7回の植え替えにより、500品種45万本の花を植栽! 2006年にオープンした「やまぐちフラワーランド」は、35,000㎡の敷地を持ち、大人の足でゆっくり歩いて1時間半ほどで回れる広さです。山口県柳井市は温暖で日照時間の長い気候のため、花の生産が盛ん。そんな地域の振興をはかる目的で整備されたのが「やまぐちフラワーランド」で、地元で生産された花苗を植栽しています。年間を通して約500品種45万本もの花を植栽しており、毎年新品種も導入しているので、最新トレンドを知ることができるのも魅力です。 園内には大きく分けて21の区画があり、家庭でも実践できるような提案型のモデルガーデンや、園内に植栽されている花を集合させたコレクション花壇など、区画ごとにテーマが設けられています。それぞれに“インスタ映え”を意識した色彩豊かなシーンを演出しているので、訪れた記念にナイスビューを写真に収めましょう! 棚田だった地形を生かした 斜面を覆うように彩る花畑が特徴的 「歴史と自然に囲まれた、ちょっとおしゃれな花と緑の庭園」をコンセプトにしている「やまぐちフラワーランド」は、一年を通して季節の花々が咲き競います。 写真は2018年3月下旬の自由広場沿いのエリア。カーペットのように咲いている赤やピンクの花は、デージーです。土手の頂で白い小さな花を枝いっぱいに咲かせるユキヤナギは3月末〜4月上旬が見頃。約100mにわたって約500株が植栽されています。 写真は「やまぐちフラワーランド」の一角で、2018年春の景色です。約130㎡にわたって群植されている黄色い花は、クリサンセマム。約4,000本が咲き広がり、見頃は4月〜5月上旬です。ゆるやかにつながる階段を上り切ると、高低差が50mの迫力ある全景が一望できます。 「やまぐちフラワーランド」は、もともとあった棚田の地形を生かした花壇も特徴的です。写真は2018年4月のフラワーガーデンのエリア。左手の黄色やオレンジの花はエスコルチアで約6,000本を植栽、見頃は3月下旬〜5月上旬です。右手のピンクや白、クリームイエローをミックスさせたフラワーベッドは、リビングストーンデージー。約4,000本が植栽され、見頃は4月〜5月上旬です。 2018年5月のフラワーガーデンでは、オレンジ&黄色のナスタチウム、ピンク&白のダイアンサス、黄色のダールベルグデージーが競演。里山の借景が美しく、野鳥の楽しそうなさえずりも聞こえてきます。園内では飲食物の持ち込みが自由なので、好きな場所でお弁当やおやつを広げることができますよ。花景色を前に、心地よい風を感じながら好きな食べ物をほおばるのは、なんとも贅沢な時間です。園内にはゴミ箱を設置していないので、持ち帰りのマナーは守ってくださいね。 「やまぐちフラワーランド」の2018年夏の屋上庭園には、センニチコウが60㎡に約700本植栽されています。見頃は7〜9月上旬です。同時期にはアンゲロニアやルドベキアなども見頃になり、夏らしいトロピカルな雰囲気をもつ草花が主役に。また涼を呼ぶ演出として、白やブルー、紫の花色のクールカラーでまとめた花壇も見られます。 秋は楽しいハロウィンディスプレイが見どころ 冬でも寂しくない! パンジー&ビオラが花盛り 毎年10月には、園内の至るところにジカボチャやキュートなオバケ雑貨を使った装飾が施され、ハロウィン一色になります。2018年はハロウィンボディペインティングやジャック・オ・ランタン作り(要予約)などのオータムフェスタが開催されます。 ハロウィンの時期に限らず、毎月の週末を中心に、ガーデニングセミナーや寄せ植えコンテスト、クイズラリー、コンサートなど、興味津々なイベントが開催されているので、事前にホームページをチェックして参加してみましょう! パンジーが絨毯のように広がっている様子、これは春の風景? いいえ、実は2017年冬のフラワーガーデンなんです。このエリアでは、100㎡に3,500本のパンジー、ビオラを植栽しており、11月下旬〜3月頃が見頃。園内の花壇すべてを合わせれば、16種類約32,000本のパンジー、ビオラを植栽しています(2017冬〜2018春)。さすが温暖で、花苗生産が盛んな地域だからこその贅沢さですね。パンジーの色合わせの妙も参考になりそうです。 冬は、ほかにも白や紫のハボタンが11月下旬〜3月上旬まで見頃になり、パンジーやビオラ、ストックとともに彩りを添えます。花色に飢えているこの時期のガーデナーにとっては、冬も元気に咲き続ける花たちと出合える、心浮き立つスポットですね。 「やまぐちフラワーランド」にはおしゃれな「レストラン 大地の恵み HANAHANA」があり、お食事も楽しめます。木曜定休(祝日の場合はオープン)です。 寄せ植え体験もできる充実の花苗ショップ 土産物コーナーも地元の名産品がずらり 「やまぐちフラワーランド」内の温室売店では、寄せ植え体験教室を常設しているので、ぜひご参加を! 好きな花、鉢を選んで、料金はセレクトによって変動します。予算に合わせての相談にも乗ってくれますよ。 そして、温室売店では、土にこだわって育てられた地元産の一年草や宿根草の花苗を約100品種、バラ100〜200品種を販売。熱心なガーデナーにとっては、「本気買い」のスイッチが入るスポットですね。来園者からは「庭園で一目惚れした花苗を、ここで買えたのでうれしい!」という声も聞かれます。営業時間は9:30〜16:30。 「やまぐちフラワーランド」内の売店「コッコロ」では、調味料やお菓子、雑貨類など地元の名産品が多数揃っていています。なかでも、毎年8月開催の「柳井金魚ちょうちん祭り」でも知られる郷土民芸品「金魚ちょうちん」は、お土産に大人気。まん丸の瞳にパクパクのお口、愛らしい表情がほほえみを誘いますね。700〜1,500円で販売されています。 また、「やまぐちフラワーランド」内にて、定期教室も行われています。フラワーデザイン、プリザーブドフラワー、ドライフラワーアレンジメントのほか、料理やウクレレ、絵手紙と多彩なラインナップ。近くにお住まいの方は公式ホームページでチェックし、趣味を広げる目的でレッスンに通うのもオススメです。 Information やまぐちフラワーランド 所在地:山口県柳井市新庄500-1 TEL:0820-24-1187 https://flowerland.or.jp/ アクセス:公共交通機関/JR柳井駅からタクシーで5分(片道定額830円) 車/山陽自動車道玖珂ICから車で約15分、山陽自動車道熊毛ICから車で約20分 オープン期間:周年 休園日:木曜(祝日を除く)、12月27日〜1月1日 ※臨時休園あり 営業時間:9:00~17:00(最終入園16:30) 料金:高校生以上500円、小・中学生250円、70歳以上250 円、未就学児 無料 ※20名以上の団体20%割引 駐車場:300台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! インスタ映えする景色の宝庫「淡路島国営明石海峡公園」 ・花の庭巡りならここ! 四季を通して多様な植物で彩られる「はままつフラワーパーク」 ・花き生産高1位の地域に生まれた、旬の花と野菜が並ぶショップ「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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フランス・パリ「ロダン美術館の庭園」と秋バラ【松本路子の庭をめぐる物語】
ロココ様式の館の美術館 制作中のアートフィルムの撮影で、秋のパリを訪れた。撮影の合間に立ち寄ったのがロダン美術館。2015年に3年間の改装期間を経て、リニューアルオープンした美術館は、彫刻家オーギュスト・ロダンが住んでいた当時の館の様相を再現している。 かつての所有者である将軍の名前から「ビロン館」と呼ばれる邸宅は、パリ7区の閑静な住宅地にある。18世紀に建てられたロココ様式の建物と優美な庭園で知られる場所だ。 ロダンは1908年から亡くなるまでの10年間をこの館で過ごしている。この館は当時の所有者によって一時期若いアーティストたちに提供され、ロダンとともに詩人のリルケやジャン・コクトー、画家アンリ・マティス、舞踊家イサドラ・ダンカンなどが住んでいた時代もあった。 パリ市が館を所有することになった時、ロダンは自身の作品を市に寄贈することを条件に、ロダン美術館の設立を持ちかけたのだという。1919年、ロダンの死の2年後に開館された美術館には、6,600点の彫刻、7,000点のデッサン、ロダンの収集した美術品などが収蔵されている。 ロダンの弟子で愛人でもあったカミーユ・クローデルの作品を収めた部屋もあり、改めて彼女の才能とその生涯に思いを馳せた。 ローズガーデンと「考える人」 美術館の正門を入ると、館の前庭にローズガーデンが広がり、その庭の右手にロダンの作品の中で最も知られた「考える人」のブロンズ像が立っている。像は原型から何点か鋳造されているので、オリジナルといえるものがほかの場所にもあるが、ロダンの暮らしていた館の庭で見るのは、また格別だ。 10月の中旬だったので、春のバラの最盛期ほどではないが、秋バラに彩られた「考える人」には趣が感じられた。 前庭の彫刻たち 「考える人」の向かい側のローズガーデンには「三つの影」、そして奥にはこれも有名な「地獄の門」、ヴァレンヌ通りに面した場所には「カレーの市民」が。バラの花や端正に整形された木々の間に、ロダンの代表作が並んでいる。何とも贅沢な空間だ。 館の庭を散策 美術館の庭園は3万㎡の広さで、内庭にはイギリス式庭園と、木々に囲まれた彫刻の林が連なっている。秋の木漏れ日の中で見る彫刻は美しく、ロダンが自然の光の中で見てほしいと希望した展示方法であるという。 また庭園の奥の池のほとりから望む館と、水面に映ったその優美な姿も忘れがたい。庭園の一角にはカフェもあり、散策の途中にひと息入れることも。パリの中心地とは思えない静寂と豊かな緑を満喫できる。 ‘ロダン’という名前のバラ 館を取り囲むようにコの字形につくられた植え込みに咲くピンクのバラ。半八重のそのバラにはロダンの名前が冠されている。2005年にフランスの育種家メイアンによって作出され、ロダンに捧げられたものだという。バラの名前に関心があり、その名前のゆかりの地を訪ね歩いている私にとって、思いがけず嬉しい出合いだった。 庭園に秋バラは咲いていたが、6月に訪れたらローズガーデンはさらに華やいでいるのではないだろうか。いつかまたバラの季節に訪れたい、そんな風に思える場所だ。 併せて読みたい ・松本路子の庭をめぐる物語 フランス・パリの隠れ家「パレ・ロワイヤル」 ・写真家・松本路子のルーフバルコニー便り「秋バラの楽しみ」 ・最も歴史あるバラのナーセリー「フランス・ギヨー社 GUILLOT」
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現
20世紀の偉大なガーデンデザイナー ベス・チャトー(1923-2018)は植物の特性をよく知るガーデンデザイナーとして、また、経験に基づく豊富な園芸知識を伝えた作家、講師として活躍しました。その功績により、2002年に大英帝国四等勲爵士を授与されています。 晩年も電動カートに乗って庭に出て、ガーデンスタッフとの会話を楽しんだというベス。2018年5月、94歳で亡くなると、英国の主要メディアで訃報が報じられ、その死が惜しまれました。現在、ベスがつくり上げた庭園は孫娘のジュリア・ボルトンに引き継がれ、ベスとともに働いた有能なガーデナーチームによって管理されています。 乾燥に挑戦するグラベル・ガーデン 来園者をまず迎えるのは、グラベル・ガーデン(砂利の庭)です。風になびく柔らかなグラス類の穂や、すっと伸びるリナリアのピンクやバーバスカムの黄色の花穂。リズムを与える、紫の丸いアリウム。砂利が敷かれた広々とした区画に、さまざまな植物が茂る、軽やかで美しい植栽です。 じつは、この庭には秘密があります。それは、1991年につくり始めてから27年間、一度も人工的な水やりがされていないということ。この辺りは年間降雨量が少ない、英国でも最も乾燥している地域で、実際、2018年の夏は50日間も雨が降りませんでした。この庭の土は水を保たない貧しい土で、水を引き込むこともされていません。にもかかわらず、この素晴らしい庭景色は存在し続けています。 ここは、庭づくりには到底向かない乾燥した荒れ地で、かつては駐車場として使われていました。しかし、1991年、ベスはあえてこの場所に、実験的に庭をつくります。英国では日照りが続いて水が不足すると、庭の水やりに制限がかかります。そんな乾燥した状況にも対応できる、最低限の湿り気で育つ植物は何なのか、彼女は庭を愛する人々のために、模索を始めたのです。 適材適所、ローメンテナンスな庭づくり ベスの夫、故アンドリュー・チャトーは、世界の植物の生態系について研究を続けた人物でした。20歳で結婚したベスは、夫の影響でガーデニングに興味を持つようになります。ベスが新しい植物を持ち帰ってくると、アンドリューは、それが地球上のどこから来た植物なのかを教えたといいます。 ベスの庭づくりの合言葉は‘Right Plant, Right Place’(ふさわしい植物を、ふさわしい場所に)というものでした。野生の姿において、その植物はどんな場所に育っているのか。それを教えてくれる夫の知識に絶対の信頼を置いていたベスは、植物の性質を見極め、その植物にふさわしい環境に植えることを、基本理念としました。 ベスは、英国ガーデンデザイン界の巨匠であった、故クリストファー・ロイドと親交が深かったことでも知られていますが、2人はグラベル・ガーデンの水やりを巡って激論を交わしたといいます。今にも干からびそうな植物に水やりをしないのは、ペットに餌をやらないようなもの、と非難するクリストファーに対し、ベスは決して妥協をしませんでした。しおれそうな草花を見て苦痛を感じても、乾燥に強い植物を突き止めたいという情熱のほうが勝っていたのです。 若い頃、フラワーアレンジメントで草花に親しんだベスがつくったのは、さまざまな形や質感の草や葉が、流れるような美しいハーモニーを見せる庭。けれどもそれは、ローメンテナンスを突き詰めた庭でもあったのです。 高山植物を集めたスクリー・ガーデン 同じく、乾燥に強い植物を集めているのが、グラベル・ガーデンより前につくられた、スクリー・ガーデンです。スクリーとは、斜面に岩や石が転がっている、がれ場のこと。この庭は日当たりのよい小高い場所にあって、水はけのよい砂利の多い土が敷かれています。その状況に似た、がれ場で育つような乾燥に強い植物や高山植物が、ここには植えられています。 高山植物は高い山々でしか育たないと思われるかもしれませんが、英国で高山植物と呼ばれるものには平地でも育てられるものがあり、ロックガーデンやドライガーデンによく用いられます。日照りによる渇水が増える昨今、水やり不要のローメンテナンスの植物として、注目を集める存在です。 日本で高山植物と聞くと、維持管理が難しい植物のイメージがありますが、この庭に植わる高山植物には、アネモネやゲラニウム、フロックス、オダマキ、ナデシコ、ソリダゴ、タイム、エリゲロンなど、ガーデニングでよく耳にする植物の仲間であるものが、多々あります。 セダムの中にも、育てやすい高山植物に数えられるものがあります。他にも、陽光が好きで乾燥に強い多肉植物の鉢が、ここには並べられています。 ベスの庭は、敷地全体が一つにつながって、無数の植物が、周囲と調和する美しい組み合わせを見せながら、それぞれ環境に適した場所に植えられています。生け垣などで仕切られた、小部屋が連なるスタイルの、いわゆるイングリッシュガーデンとはだいぶ趣が異なった、ナチュラルな庭です。ゆったりとした道幅の小径をのんびり進むと、砂利の庭から水辺に出たり、森の中にいたり。時間をたっぷりかけて行き来したい庭です。 併せて読みたい ・イングリッシュガーデン旅案内【英国】ベス・チャトー・ガーデン(2)癒しの水の庭と森の庭 ・英国の名園巡り、オールドローズの聖地「モティスフォント」 ・デッドスペースにも花緑が育つ「寄せ鉢」ガーデニング
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長野県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。スタイリッシュな園芸店 長野・GARDEN SOIL
庭好き、花好きのオススメで向かったガーデンソイル 僕が初めてガーデンソイルさんにお邪魔したのは、2006年の春のことだったと記憶しています。その頃、僕と妻は雑誌のオープンガーデンを担当していたこともあって、あちこちのオープンガーデンを行っている方々と連絡を取っていました。この時も、「オープンガーデン信州」の清水恵子さん(飯綱高原の「ペンション フィールド・ノート」のオーナーで、日本のオープンガーデンの草分け的存在の方。いつもいろいろなことを教わりました)から「オープンガーデン信州の総会があるので、いらっしゃいませんか?」とお誘いを受け、雑誌の取材を兼ねてお邪魔しました。その時のオープンガーデン信州の事務局をしていたのが、ガーデン・ソイルの田口勇さんと片岡邦子さんでした。清水さんからも、「ガーデンソイルは素敵なお店だから行ってみてください」と言われていたので、総会の後にうかがいますと、お二人と約束しました。そして総会終了後、僕たちは清水さんや会長の稲葉典子さんにご挨拶をすませて、須坂市にあるガーデンソイルへ向かいました。 看板からも伝わってきたセンスのよさ 若い頃、志賀高原でスキー三昧の日々を送っていたことから、長野の道は得意で、須坂市にはすぐに到着。教わった住所をカーナビに入力して出発しました。町から離れて川を渡ると、辺りは一面の梨畑に。「こんな所にガーデンショップがあるのだろうか」と思いながら、ナビ通りに細い道を左に曲がると、道の脇にある小さな納屋に、「Garden Soil」と表示された明るいブルーグレイの看板を発見。センスのよい看板を見ただけで、これから伺う場所は僕が想像しているようなお店とは全然違うのだろうと、すぐに思いました。 イングリッシュガーデンとは違う庭の魅力に出合う 看板を過ぎると、お店はすぐに見つかりました。駐車場に車を止めると、目の前にはさっき見かけた看板と同じブルーグレイに塗られた木造の建物があり、その周辺には苗売り場や宿根草の植栽スペース、奥は広い庭になっていました。高木に囲まれた庭の中には、いくつものオリジナルデザインのパーゴラやガーデンシェッドが点在していて、それらを取り囲むように、草花がナチュラルに植栽されています。 当時の僕は、イングリッシュガーデンこそが美しい庭だと信じていて、イギリスを思わせるレンガの壁に、つるバラやクレマチスが絡んでいたり、ガーデンコテージの前ではシンメトリーにデザインされた花壇の中にジギタリスやデルフィニウムが咲いているようなシーンばかりを追いかけていました。そんな僕にとって「見たこともない」「イングリッシュガーデンじゃない」、でも「魅力が溢れている!」というのが、ガーデンソイルの第一印象でした。 センスのよさは、お店の中や植物選びにも 撮影の許可をもらって庭に立ってみると、どの方向にレンズを向けても絵になってしまうし、見たことがない植物だけれど、ファインダーの中ではフォルムが本当に美しく見える。でも、撮影はとても難しい……。すべてが僕にとって初めての撮影体験をさせてくれた庭。この庭をつくったお二人って、どんな方たちなんだろうと、つくづく思いました。 撮影を終えて建物に戻ると「コーヒーでもどうぞ」と声を掛けていただき、建物の奥に入りました。そこには、大きいテーブルにゆったりとした椅子、壁一面に洋書がびっしりと並ぶ本棚があり、まるでどこかのデザイン事務所の打ち合わせスペースのような空間。ガーデンソイルをつくった人はどんな人物なのだろうとますます思いを募らせながら、コーヒーを飲みました。 お話を伺ってみると、田口さんと片岡さんは、以前は東京・原宿の事務所でインテリア設計の仕事をしていたとのこと。看板がカッコいいのも、お店のインテリアが素敵なのも、庭にフォルムの美しい植物が選ばれていることも、すべてに合点がいきました。この日以来、ガーデンソイルは長野を訪れる際、時間が許す限り必ず立ち寄るマイフェイバリットのお店になりました。 ガーデンソイルの新たな魅力を発見 当時は、どのガーデニング関連の雑誌にも庭紹介のページがあって、盛んに撮影をしていましたから、僕もいつもよい庭を探すアンテナを張って、ガーデンソイルでも情報収集をしていました。この連載でご紹介した山中湖の塚原さんの庭も、田口さんが教えてくれた場所です。 昨年2017年6月のこと。長野でちょっとした撮影の後、天気もよいのでガーデンソイルで夕方の撮影をさせもらおうかなと思い伺ったら、撮影後のコーヒータイムに「この本見た?」と田口さんが手にしていたのはPiet Oudolf氏の美しい写真集でした。以前からガーデニング誌『BISES』の秋号などで見かけて、紅葉した庭がきれいなのは知っていましたが、このPiet Oudolf氏の写真は格別に美しく、思わずため息をつくと、「うちも11月の紅葉はきれいよ」と片岡さんが教えてくれました。そうと聞けば、俄然ガーデンソイルの紅葉の撮影をしたくなって「11月に必ず伺います!」と約束をし、その日は帰りました。 期待を裏切らない秋の美しい風景 夏も終わり秋風が吹き始めると、ガーデンソイルの紅葉の進み具合が気になりだしました。幸い、ガーデンソイルのガーデナーである粟野原さんがフェイスブックに庭の状況の写真をアップしてくれるので、その様子から撮影日の目安をつけつつ、天気予報をチェック。一日晴れの予報だった2017年11月3日に撮影に向かいました。午後3時に駐車場に着くと、周りの落葉樹は黄色く色づき、斜めに傾きかけた夕陽に、枯れた草花は茶色く輝き出していました。お二人にさっと挨拶をして、カメラを抱えて庭の奥まで行って振り向くと、逆光に透けて木々の葉は赤や黄色に。 グラス類は白く輝いて最高にきれいでした。真っ赤に紅葉したミナズキのボーダーにレンズを向けると、奥のカエデは黄色く輝いていました。こんなに素晴らしい光景があることを教えてくれたお二人に感謝しながら、いつものように日が沈むまでガーデンソイルの紅葉を一人で満喫した、とても幸せな一日でした。 Information 「ガーデンソイル」 所在地:長野県須坂市野辺581-1 ☎026-215-2080 http://soilgarden.exblog.jp アクセス:上信越自動車道「須坂長野東I.C.」より車で5分。 Open:10:00〜18:00(4〜7月、9月、10月は無休。その他の月は月曜定休)
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広島県

花の庭巡りならここ! 四季を通して花のカーペットで彩られる「国営備北丘陵公園」
広大な花風景に癒されるスポット 1995年に開園した、34,000㎡もの面積をもつ「国営備北丘陵公園」。森と湖(国兼池)に囲まれた緑豊かな自然の環境に恵まれ、リフレッシュに訪れるのにうってつけの公園です。「ふるさと・遊び」をテーマにしたレクリエーション施設が多様に揃っていますが、花を愛でに訪れるなら「花の広場」「みのりの里」「ひばの里」エリアを園内マップでチェックを。敷地が大変広く、公園全体を歩けば2時間以上はかかるため、目的のエリアにターゲットを絞って最寄りの駐車場を利用するのがオススメです。 敷地の広さを生かして季節の花を群植し、面で魅せる風景が「国営備北丘陵公園」の魅力です。春はスイセン、チューリップ、ネモフィラ、初夏はアジサイ、夏はヒマワリ、秋はコスモスが満開になります。また、各季節の開花時期に合わせて「スイセンファンタジー」「備北花ピクニック」「備北夏まつり」「備北コスモスピクニック」などのイベントを開催。期間中の週末を中心に、ワークショップやコンサートが開かれます。 春は丘陵一面をスイセン、チューリップ、ネモフィラが覆い尽くすように咲く 写真は「国営備北丘陵公園」にて、3月下旬〜4月上旬に見頃を迎える「みのりの里 スイセンガーデン」。約15,000㎡の敷地に約700品種150万本のスイセンが咲き乱れ、丘一面を覆い尽くします。このエリアでは3月下旬にウメが、4月上旬にハナモモが見頃に。花木とスイセンとのコラボレーションによる、華やかな景色を楽しみましょう。 「花の広場」のエリアでは、4月中旬からチューリップが見頃を迎えます。15,000㎡の敷地に10品種、25万株のチューリップを群植。2018年春に「はなの展望台」がリニューアル。展望台から花のカーペットを一望できるので、ぜひ上からのフォトジェニックな写真を撮りましょう。チューリップの後はビオラ、アイスランドポピーへと咲き継がれます。 また、同時期に「みのりの里 ピクニック広場」のエリアでは、ネモフィラが丘一面に咲く景色を楽しめるので、こちらへもぜひ足を運んでください。 初夏は1万株のアジサイを夏は5万本のヒマワリを愛でよう 「ひばの里」エリアのアジサイは、6月下旬〜7月上旬が見頃。100品種1万株が植栽されています。明治から昭和初期の里山の風景を再現した「ひばの里」の風景と共に、風情のあるアジサイの姿を楽しみましょう。ちなみに園内は、リードをつけていればペットの同伴もOK。ワンちゃんと一緒に散歩を楽しむのもいいですね。 また、アジサイと同じ時期に見頃を迎えるのが、約50品種1,500株のハナショウブ。こちらは6月中旬頃が見頃です。 「みのりの里」エリア内にある「ピクニック広場」では、約5,000㎡に、約5万本のヒマワリが植栽されています。8月上旬〜中旬が見頃のピーク。ヒマワリ畑に入ることはできませんが、周辺に道があるので間近に見ることができます。一斉に同じ方向に顔を向けるヒマワリの姿は、壮観のひと言! 秋はコスモス畑の壮大な景色を楽しみ冬はイルミネーションのナイトガーデンを満喫 「花の広場」エリアでは、9月下旬〜10月上旬に180万本のコスモスが一面を埋めるように開花します。この付近ではケイトウ、ジニアも見頃に。園内は飲食の持ち込みが自由ですから、空が澄んで、渡る風がすがすがしい秋のレジャーシーズンに、ピクニック気分で出かけてはいかがでしょうか。 「国営備北丘陵公園」では、11月10日〜翌年1月14日(2018〜2019年秋冬)に、イルミネーションが点灯します。点灯時間は17:30〜21:00(入園は20時まで)。 特に11月下旬の紅葉の時期は、ライトアップと相まって幻想的な景色に包まれます。 「ILLUMI&花火のコラボ」は、満天の星空の下、打ち上がる花火とイルミネーションの光景をお楽しみいただける大人気イベント!(開催日は毎年異なります。詳細はHPでご確認ください)。 樹木や地形を生かした奥行きのある光景が楽しめ、敷地の広い公園ならではのバラエティーに富んだ景色が広がります。ウインターシーズンならではの、光の花咲くナイトガーデンを楽しみましょう! 「ひばの里」エリアでは、1月下旬〜2月中旬に「冬咲きぼたん展」を開催。白雪の舞う中、雪囲いに守られて凛と咲く、冬咲きぼたんの可憐な姿には心を打たれるものがあります。 ちなみに、「ひばの里」のすぐ隣のエリア「中の広場」には「お食事処 中の茶屋」があるので、歩き疲れた時には休憩にご利用を。ランチの価格帯は550〜1,000円。ソフトクリームやかき氷などもあります。また、売店「ランバス」では、地元銘菓や特産品などが多数揃うので、お土産をお探しなら、ぜひ足を運んでみてください。 Information 国営備北丘陵公園 所在地:広島県庄原市三日市町4-10TEL:0824-72-7000(備北公園管理センター)http://www.bihoku-park.go.jp/ アクセス:車/中国道庄原ICより、北入口:約5分、中入口:約10分中国横断道三次東JCT・ICより、中入口:約15分 オープン期間:周年 休園日:月曜(「備北花ピクニック」「備北夏まつり」「備北コスモスピクニック」「備北イルミ」期間中は毎日開園)、12月31日、1月1日 営業時間:9:30~17:00 (3~6月・9~10月)、9:30~18:00(7~8月)、9:30~16:30(11月~翌年2月) ※入園は閉園時間の1時間前まで 料金:大人/450円、中学生以下/無料、シルバー(65歳以上)/210円 駐車場:有り・普通車2,460台、大型車40台(普通車310円/大型車1030円/二輪100円)
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東京都

秋バラが咲き誇る都会のバラ園「神代植物公園」の歴史と見どころ
昭和36年から数々のバラの名花を植栽 神代植物公園のバラ園は、1961年(昭和36年)につくられました。歴史あるバラ園には、約400品種、5,200株のバラが植栽され、本園の整形式沈床庭園では、主にモダンローズを数多く見ることができます。また、その横には、野生種が植栽されたオールドローズ園や国際ばらコンクール花壇があります。 世界バラ会連合より「優秀庭園賞」が贈られた庭 2009年(平成21年)には、世界41カ国のバラ会が加盟する「世界バラ会連合」より、バラの育成、維持管理、展示様式が高い水準であると評価されたバラ園に贈られる「優秀庭園賞」を受賞しています。 かつての「日米親善のバラ園」の面影を今に伝える「本園」 「本園」内をゆっくり見て回っていると、高芯剣弁咲きのバラが多いことと、作出国がアメリカのバラが多いことに気がつきます。その理由は、1959年(昭和34年)に、アメリカ・ロサンゼルスより、同地の中央公園のバラ園で採取した約80品種のバラの接ぎ穂が「日米親善のバラ」として東京都へ贈られたことから縁ができたためといわれています。 1959年当時の名花であったハイブリッドティーローズやフロリバンダローズが東京都へ贈られ、「日米親善のバラ園」として、ここ神代植物公園に植栽されたとのことです。当時の日米親善のバラは、現在13品種が残っていて、2018年10月に訪れた時、ちょうどそのバラたちの咲く姿を見ることができました。 ‘フロリック’(F)1953年作出 ‘ワイルド・ファイアー’(F)1955年作出 ‘ヘレン・トローベル’(HT)1951年作出 ‘ピース’(HT)1945年作出 ‘クイーン・エリザベス’(Gr)1954年作出 ‘レディ・ラック’(HT)1956年作出 ‘レッドキャップ’(F)1954年作出 ‘ファンファーレ’(F)1956年作出 ‘リリベット’(F)1953年作出 ‘ヒート・ウェイブ’(F)1958年作出 ‘ルビー・リップス’(F)1958年作出 ‘グリーン・ファイヤー’(F)1958年作出 ‘ムーン・スプライト’(F)1956年作出 また、本園内では、1961年に植栽され、57年が経った現在も花を咲かせる‘クイーン・エリザベス’の古木も見ることが出来ます。 バラの歴史と系譜をたどる「野生種・オールドローズ園」 「野生種・オールドローズ園」に向かうと、春の一季咲きのバラが多いせいか、本園に比べて秋はひっそりとした雰囲気です。その中でも花を咲かせているバラたちは、中国原産で18世紀から19世紀初めにかけてヨーロッパへ持ち込まれ、ヨーロッパのバラたちに四季咲き性をもたらしました。 現在、当たり前のように、秋に多くのバラの花を見ることができるようになったのは、このバラたちのおかげだと、しばし見入っていました。ふと周りを見渡せば、秋には花を咲かせない一季咲きのバラたちも、ローズヒップという美しく可愛らしい置き土産を残してくれています。 世界中の育種家の未発表の新品種が並ぶ「国際ばらコンクール花壇」 こちらは、「国際ばらコンクール花壇」です。このコンクールは、1963年から始まり、以来毎年、日本国内や世界中の育種家から未発表の新品種を公募し、2年間の試作を行う中で、「公益財団法人 日本ばら会」の審査員が審査を行い、入賞花を選出しています。 本園の温室寄りの花壇には、歴代のコンクール入賞花が植栽されています。この‘クイーン・オブ・神代’(HT)は、2009年度コンクールの四季咲き大輪金賞受賞花です。2011年の開園50周年を記念して、名前を公募し命名されました。 秋は春よりも気温が低くなるため、バラの開花時間が少し長くなり、さらに寒暖の差で生じる花色の深みが加わって、何ともいえない美しさを感じる時が多くあります。春より濃く感じられる香りと共に、じっくりと一輪の花と向き合って観賞するには、秋はベストシーズンかもしれません。 ぜひ、秋バラの咲くバラ園へ出かけてみてください。
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イギリス

イギリス発祥の庭デザイン「ノットガーデン」【世界のガーデンを探る旅14】
イギリスの庭デザインの手法の一つ、ノットガーデン 今まで見てきたように、イギリスで庭ができ始める前に、イタリア、フランスなど大陸では富と文化の変遷がありました。十字軍や、大陸との文化・人的交流により、イギリスにも大陸文化の影響が色濃く見られるようになって、国内では多くの整形式庭園やフォーマルガーデンがつくられました。 起伏に富んだイタリアや平坦な大地のフランスに比べ、緩やかな丘が続くイギリスでは両国の庭園様式は何かしっくりこなかったのか、イギリスのアイデンティティーの一つとして、ノットガーデン(Knot garden)が生まれてきました。 そこで今回、解説する庭は「スードリー・キャッスル(Sudeley Castle)」。遡ること1442年、チューダー王朝の時代に建てられたお城です。イングランドでは、中世100年戦争から薔薇戦争と続いた内乱がやっと終わり、平和な時間が訪れました。このお城が歴史に登場してきたのもそんな時代で、かの有名なヘンリー8世の6番目の王妃であるキャサリン・パーがスキャンダラスな生涯を送ったことでも有名です。 庭のあちこちに登場する樹木の刈り込み 山形や円錐形など、きれいに整えられたイチイの刈り込みが圧巻の庭の一角。ひときわ明るく目にとまるのは、黄金キャラの刈り込みです。このような形で庭の中で見られるのは珍しいものです。 この庭は、16世紀になると廃墟となってしまいましたが、近年大規模な修復がなされたことで、現在はイギリスで屈指の庭園になっています。 芝生と長方形の池が同じ高さにつくられたシンプルなデザインの庭。廃墟がそのまま庭の一部として取り入れられていて、この庭の歴史の古さを感じさせてくれます。 イギリスで発祥したノットガーデンの名所 ツゲの生け垣の緑により模様が浮かび上がるガーデンのことを“ノットガーデン(結び目模様の庭)”と呼びますが、イギリスでもノットガーデンの代表的な場所として有名なのが、この「スードリー・キャッスル」です。チューダー王朝時代にあったであろう形をそのままに再現したノットガーデンですが、つくり出されたこの模様は、エリザベス1世のドレスの模様がもとになっているといわれています。 このように、刈り込みが一定の高さを保つノット(結び目模様)を維持管理するのは、日が均一に当たらず生育が不揃いになるところでは非常に難しく、緯度の低い日本では再現がほぼ不可能だと思います。濃い緑一色では暗い空間になってしまうので、中心に白いタイル張りのポンドと西アジアをイメージさせる噴水のオブジェがフォーマルな庭を演出しています。 ノットガーデンを維持するガーデナーの丁寧な仕事 ノットガーデンが維持されているのを見ると、きれいに刈り込みを行い続けている作業の苦労がうかがわれます。現代になっても電動器具を使わず、手作業での刈り込みをしているところが、イギリスらしいと感じます。この「スードリー・キャッスル」には8つの庭がそれぞれ生け垣で分けられていて、どこもきれいに管理されていました。 色とりどりの花々が咲き乱れるイングリッシュガーデンの登場は、世界中からプラントハンターが持ち帰る植物が栽培されだした17世紀以降になるので、今回ご紹介している「スードリー・キャッスル」をはじめとする中世のイギリスでは、まだまだ新大陸やアジアからの新しい植物はなく、限られた植物で庭をつくっていました。そこで、庭に変化をつけるためにも、きれいに刈り込んで形づくる「ノットガーデン」やイタリアの庭でご紹介した「トピアリー」、そして庭を取り巻くイチイの生け垣やメイズ(迷路)を取り入れることで、単調な庭を変化に富んだ空間に仕立て上げたのでしょう。 ここは長い間廃墟になっていたこともあり、ある意味、当時の雰囲気がそのまま残っています。 刈り込みによる庭デザインのバリエーション 右奥にはピジョンハウス、手前はハイドランジア‘アナベル’のグリーンの花の一群。そして、奥にきれいにシェイプアップされた刈り込みの壁。男性的なデザインの庭になっています。この‘アナベル’は北アメリカの植物なので、改修後に植えられたものでしょう。 一段高く茂るスクエアの刈り込みを中央に、外へ向かって二重、三重と生け垣と芝で丸く形づくった緑に白花が浮かび上がる落ち着いた雰囲気の庭。つくられた当時のことを思いながら眺めると、ガーデンデザイナーやガーデナーの工夫と苦労を感じられます。 区切られた庭ごとに工夫があるイギリスの庭 城の壁面に沿って続くボーダー花壇では、赤花が咲く植物が多く植えられ、シックな印象です。赤花はペンステモン、ダリア、カンナ。白花はエリンジウム。建物や園路の明るいベージュと、ナツヅタや芝生の緑に花色が引き立っています。 植栽に近づいてみると、ダリアとペンステモンに、赤葉のカンナが立ち上がっています。奥のほうではジニアの深紅の丸花が控えめに咲いています。アイリスのシルバーがかった葉も、引き立て役としてうまく調和しています。 宿根草のフラワーベッドのある庭では、レイズドベッド(立ち上がった花壇)の縁取りに、コッツウォルズ独特の板石のライムストーンを積み上げ、宿根草と低木が混ざり合って多種の植物が育っています。このように、一段高い場所に植物が茂っていることで、平面的なボーダー花壇と比べ、迫力のある景色になっています。 黄ケマンソウの茂みから、放し飼いの孔雀が現れました。孔雀はもともと東アジア原産の鳥ですが、時々ヨーロッパの庭で放し飼いになっているのを見かけます。奥の木陰にはシンプルなベンチが置かれていました。 ここでは、中央に変形の池を配し、その石材の手すりに植物が寄り添い茂っていました。このように小さく区切られた敷地ごとに、いろいろなタイプの庭をつくることで、訪れる人を決して飽きさせません。「スードリー・キャッスル」では、こうしたイギリスらしい庭づくりのエッセンスをたくさん見ることができました。 緑をふんだんに使うイギリス。ナショナルカラーのブリティッシュグリーンはこんなところから始まったのではないでしょうか。 「スードリー・キャッスル」の近くにある小学校の塀にも、植物の彩り。さすがイギリスですね。 スードリー・キャッスルへ向かう途中の小さな橋も石柱が配されて洒落ています。こんなアプローチが訪れる人の心を庭の歴史に対する興味へと導いてくれます。 併せて読みたい ・スペイン「アルハンブラ宮殿」【世界のガーデンを探る旅1】 ・イギリス「ハンプトン・コート宮殿」の庭【世界のガーデンを探る旅11】 ・イギリスに現存する歴史あるイタリア式庭園【世界のガーデンを探る旅13】
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神奈川県

横浜は「バラの街」! 3つのローズガーデンの魅力を紹介
花や緑が“ネックレス”のように人・街・時をつなぐ祭典 観光地として人気の横浜。近年はさらに横浜の豊かな自然を育もうと、「ガーデンシティ横浜」を目指す事業を推進しています。その中心的な取り組みとして展開されているのが、花と緑の祭典「ガーデンネックレス横浜」です。花や緑が“ネックレス”のように、人・街・時をつなぐというコンセプトで開催され、3月は桜、4月はチューリップ、5月はバラが、次々に横浜の各地を彩りました。異国情緒豊かな横浜の街並みとさまざまな植物たちが織りなす美しい景色は、地域の人々や観光客から人気を集めています。 横浜市の花“バラ”に出合える3つのガーデン バラは横浜の市の花であり、港の見える丘公園と山下公園にある次の3つのローズガーデンは、「ガーデンネックレス横浜」をきっかけに、異なるテーマでリニューアルされ、人々を魅了しています。 イングリッシュローズの庭 ご紹介する1つ目は、港の見える丘公園内にある「イングリッシュローズの庭」です。約120種、1,200株のイングリッシュローズが植栽されています。 “イングリッシュローズ”とは、イギリスの育種家、デビッド・オースチンが作出したバラの総称で、ブランド名でもあります。春の最盛期の後も繰り返し咲く性質をもった四季咲き性で、豊かな香りを持ち、とても人気があります。 こちらの庭では、イングリッシュ・ローズにさまざまな宿根草が組み合わされ、見事なハーモニーを奏でています。そして、庭の中央付近には、世界中で愛されている黄色の名花‘グラハム・トーマス’の回廊があります。この回廊に足を踏み入れると、バラに包まれ、きっと幸せな気持ちになりますよ。 香りの庭 2つ目は同じく、港の見える丘公園にあるバラ園「香りの庭」。バラを中心に、200種類以上の香りの植物が迎えてくれます。 こちらは沈床花壇で、周囲から一段低く、香りが溜まりやすい構造になっています。訪れるなら、特に香りがよい“ゴールデンタイム”とされる朝がオススメです。 バラは、ダマスク、フルーツ、ティー、ミルラの4つの香りに分類して植栽されていますので、ぜひこの庭でバラの香りの違いを体感してみてください。 未来のバラ園 そして最後は、山下公園にある「未来のバラ園」です。 近年、ドイツやフランスでは、環境への配慮から、無農薬で栽培できるバラの育種が盛んです。このバラ園も、自然環境を考えた未来のモデルガーデンを目指し、無農薬で栽培できる耐病性のあるバラを中心に植栽されています。これからバラを栽培してみたいと考えている人は、こうした耐病性のあるバラからお気に入りを見つけてチャレンジしてみてはいかがでしょう。 また、係留されている氷川丸を背景にしたこの庭では、まさに横浜ならではの素敵な景色も楽しめます。 「ガーデンネックレス横浜」は2019年も引き続き開催される予定で、5月には新たなバラのイベントも企画されています。 来年はどんなバラの花に出合えるのでしょう。今からワクワクしますね。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
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イギリス

ベテランガーデナーが解説するイギリスの街景観とハンギングバスケット
ハンギングバスケットが街並み景観をレベルアップ 2018年6月にコッツウォルズを中心に庭巡りの旅に出かけた。ウイズリーやヒドコートなど、多数の庭園を巡って、改めてイギリスの園芸文化の伝統のすごさと、人々の園芸に対する造詣の深さに敬服し、多くの感動を経験すると同時に、ガーデニングのアイデアをいくつも膨らませることができた。そもそも庭巡りの旅なので、庭を見て感動するのは「想定内」のことだが、実は「想定外」の感動があった。それはハンギングバスケットのある美しい街並み景観であった。 日本でもハンギングバスケットづくりは行われているが、ガーデニングコンテストのような場面やネット上ではお目にかかるものの、街中で見かけるのは極めて稀である。そして僕のイメージでは、ハンギングバスケットといえば、コンテストで見かける“かなり力んだ作品”で、珍しい高価な花苗をふんだんに使用しているように感じられて、つい「花苗代はいくらになるのだろう?」と想像してしまい、少々、遠い存在だった。 今回の旅で見かけた、ありふれた花を上手に使用したハンギングバスケットと街並み景観に対する感動は、少々カルチャーショック的なものであった。 ストラトフォード・アポン・エイボンにて そのカルチャーショックの第一波は、2日目に訪れたシェイクスピアの生誕の街、ストラトフォード・アポン・エイボン。エイボン川の畔の静かな街だ。この日は、ウィズリーガーデンとモティスフォント・アビーガーデンで、たっぷりと美しい庭を堪能し、すっかり満ち足りた気分だった。夕方に着いて、シェイクスピア生誕の家などを見て回ったが、陽が西に傾きかけた頃、はっと視界に飛び込んできたのが、街角の絵になるハンギングバスケットのある風景だったのだ。 美しいハンギングバスケットが、横文字のお洒落な看板と共に。まさに「外国の風景」そのもので、その美しさに惹かれてシャターを押した。庭巡りの旅で出合った想定外の景色だった。日本でも、他の海外旅行でも見たことのない、街並みとハンギングバスケットの織り成す美しさにカルチャーショックを覚えたのだ。 立派なハンギングがこれほど生き生きとしているのは、気候のせいもあるだろうが、やはり人々の花に対する愛情、そして街景観に対する思いなのだろう。花で観光客をもてなす英国人気質のような、伝統に育まれた文化を感じた。 チッピングカムデンはハンギングバスケットの街 そして、いよいよコッツウォルズの街、チッピングカムデンへ。この街で、ハンギングバスケットと街並み景観に本格的なカルチャーショックを受けたのだ。チッピングカムデンはコッツウォルドストーンの名で知られる、この地方特産のハチミツ色の石造りの建物との調和が素晴らしい。 ハンギングバスケットがこれほど街並みを美しくしているのを見たのは初めてである。窓辺や玄関脇に飾られたハンギングバスケットが、街の美しさに文字通り花を添えている。その景色からは、コッツウォルドストーンで統一された建物がただきれいに並んでいるという表面的なものではなく、歴史と伝統を重んじ、自分たちで美しい街並み文化をつくり上げていくという、人々の熱い思いすら伝わってきた。 日本のよくある「これでもか!」と珍しい植物を詰め込んだ感のあるハンギングには抵抗があるが、ごく平凡な親しみのある花々を使用して、これほどの景観効果をプロデュースするハンギングの力に脱帽だ。さすがイギリスですね。 帰国後、この記事の執筆をするにあたって写真を整理していても、その時の感動が呼び戻されるほど本当に美しい街並みだ。街角の鉢物やハンギングも洗練されていて、景観を一層美しくしていた。 ハンギングに使われている植物の変化を眺めて散策 日本の街並みと何が違うのか? そうだ、電線が一本もない! 立て看板や宣伝ののぼり旗だってない。美観より経済優先できたこの数十年の日本との違いに気がついてしまったのだ。 ブラキカム、ブルーファンフラワーと青系統で爽やかなハンギング。グレコマなども見えます。 これまた赤一色で、なかなかのインパクト。見事な咲き姿のぺラルゴニウムでした。日本の気候では無理かも。 最近の日本にも見られるカラーリーフを中心にしたハンギング例。イギリスでもカラーリーフの組み合わせが流行なのだろうか? 使われているのは、ムラサキゴテン、ディコンドラ、イレシネ・ファイヤーワーク、ヒポエステスだろうか。 ちょっと乱れ気味ですが、やはりゼラニウムは強健ですね。 こうしていくつも観察していたら、ひとつの法則に気がついた。上に比較的大輪の花を置き、下にいくにつれ小輪の花を配置する。さらに、つる植物を垂らす。街並み同様に、ハンギングにも統一感が感じられるのは、そんな「掟」があるのかも。 チッピングカムデンの街は、美しいハンギングの数々と街並み風景がどこまでも続く。 バートン・オン・ザ・ウォーターのハンギング 可愛らしい街だ。そして目に飛び込むのがハンギングの花たち。平凡な花を使用しているのに、おしゃれで素敵なのだ。 明るい色づかいが石づくりの壁に映える。 通りに面した家々のフロントガーデンを美しく飾ってオープンにし、道行く人々に楽しんでもらうイギリスの庭づくりと、塀で囲んで敷地の中が見えないようにする日本の庭づくりの違いは、住宅事情等で仕方ないとしても、ハンギングバスケットによって街並みを美しく飾り、訪れる人々や観光客をおもてなしする園芸文化は羨ましくもあり、カルチャーショックでもあった。日本の観光地や街中にあふれる派手な看板やのぼり旗、そしてクモの巣のような電線を見るにつけ、街並み景観とガーデニングの今後の課題を感じさせられた。 あわせて読みたい ・庭をつくろう! イギリスで見つけた、7つの小さな庭のアイデア ・槇谷桜子のMY Botanical Life 1 見栄え抜群のハンギンググリーン ・夏のガーデニングのお手本にも! 花いっぱいのロンドン・パブ
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北海道

上野ファームの庭便り「秋の庭で春をつくる」
積雪前に植えつける秋の大切な大仕事、球根計画 秋になると、上野ファームの庭仕事は一年で最も忙しくなります。それは来春のための球根をしっかりと計画して植えつけなくてはならないからです。秋に植える球根によって理想のデザインをし、どれだけ作業を進めるかで、春のガーデンの美しさが変わるといっても過言ではありません。これから立ち枯れた冬に向かう気候の中で、頭の中のイメージを“春いっぱい”にして想像を膨らませながら球根計画を考えます。北海道はどの地域よりも積雪が早いため、球根の植栽はいつも急ぎ足です。雪が積もってしまうと植える予定の場所も見えなくなってしまうのです。積雪が早い年は、雪をかき分けながら必死で植えたこともあります。 昔とは違う! 個性豊かな球根たち チューリップの世界はどんどん広がっています。昔の赤、白、黄色のイメージとは全く異なり、個性的な形や色が多くなって、選べる種類がぐんと増えました。今注目の開花が楽しみなチューリップたちをご紹介しましょう。 黒い羽のようにシックで大人なチューリップ‘ブラック・パーロット’。 かわいいリップを引いたような‘キャンディ・コーナー’。コンパクトなサイズは寄せ植えにも向いています。 開花が進むにつれて、変身を続ける不思議系チューリップ‘ハーバーライト’。 枝分かれしてブーケのように咲くチューリップ‘アントワネット’。咲き進むにつれてピンクの縁取りが現れる変化咲き。 宿根草の間に球根を植えつける上野ファームの栽培スタイル 上野ファームの球根デザインは、ほとんどが宿根草と宿根草の間に植えるスタイルです。植物が茂っている時期はなかなかこの作業ができないので、上野ファームのガーデンの閉園後が球根を本格的に植え始めるタイミングになります。冬には地上部が枯れる宿根草を根元からきれいに刈り取って、株と株の間を分かりやすくしてから取り掛かります。色のバランス、草丈、個数、開花期のバランスなど、球根の位置はとても重要なので、すべて自分で一球一球ていねいに配置をしていきます。その作業は透明な絵の具で絵を描くような感覚で、チューリップやスイセン、アリウムなどが開花したときのイメージを、すべて頭の中で想像しながら配置を考えていきます。 同時期に成長を始める宿根草とのバランスもとても大切です。頭を使う作業ではありますが、イメージ通りの風景が春に広がる瞬間は、何度経験してもとても嬉しいものです。秋の球根選びや植えつけ作業は大変ではありますが、この嬉しさと楽しさがあるからこそ、上野ファームの庭にとって欠かすことのできない秋の庭仕事なのです。多くの宿根草は開花まで時間のかかるものが多いのですが、球根は、秋に植えれば、春に必ず結果を出して応えてくれる点も球根の魅力の一つだと思います。 翌年の初夏に咲いたアリウムの花たち。この風景を秋の植えつけ時に具体的にイメージできるかが大切。想像力をフルに働かせて秋の球根を植えていきます。 流れるように芝の中にムスカリの球根を一つひとつ丁寧に植え付けていきます。3色が混じり合うように配置していることは、この時、パッと見には分かりません。 春の開花シーズンになると、秋に描いた絵が庭に浮かび上がります。ブルーを中心に水色と白をチラチラと混ぜ合わせて、川のように流れるムスカリ。植える大変さはあるけれど、この瞬間があるからこそ、球根栽培は楽しい。 球根の開花リレーで、春の庭に変化をつくる 宿根草に開花期があるように、春に咲くというイメージしかない球根にも、開花期がしっかりとあるのをご存じですか? チューリップも早咲き、中生咲き、晩生咲きと大きく3つのシーズンに分けることができます。それは時間が進むにつれて色の組み合わせやグラデーションの色を増やすなどの開花期の時間差がつくり出すデザインとしても楽しむことができます。 前出の写真から10日後には、中生咲き、晩生咲きのチューリップが開花を始め、華やかにイメージチェンジ! 開花期を絶妙に計算することで、表情がどんどん変わる春の球根ガーデンに。 原種系チューリップや小球根たちは、早春から咲き始めますが、開花期がそれほど長くはありません。その後、さらに開花をつなげるような球根があれば、春の球根バトンリレーを長い期間楽しむことができます。 晩生咲きのチューリップを意識して植えることで、後半になって伸びてくる宿根草の葉や花と重なって、とても素敵な春のガーデンになります。 レースのような花が咲く宿根草のコンロンソウや球根花のシラーが揃って伸びてくる5月下旬は、早春の宿根草とチューリップの競演が見られる貴重な季節。 開花期の異なる球根を数種類混植して、ガラリとイメージを変えるのも楽しいものです。白樺林には、スイセンと合わせてチューリップもたくさん植えているので、清楚なスイセンが終わりかけた頃、ポップなカラーのチューリップが咲き始めて、一気に雰囲気が変わります。その後、隙間からムスカリやフリチラリアなどが開花を続けます。 球根というとチューリップやスイセンがすぐに頭に浮かぶ方も多いと思いますが、秋植え球根は、ムスカリやフリチラリア、アリウム、カマッシアなど、さまざまな種類があります。それぞれの特徴や色、草丈などを考えながら、地面にポンポンと配置して植え込むだけ! 秋の球根植えほど楽しい作業はありません。地面に描いた球根がまるで魔法のように春に開花を始めて、華やかな景色をつくってくれます。球根類には驚くほどの種類がありますが、品種を選ぶのも楽しい作業です。 上野ファームのムスカリ。ムスカリだけでもさまざまな色のバリエーションがあり、毎年少しずつ増やしながらコレクションする楽しみも広がります。 中でもお気に入りは、ムスカリ‘マウントレディ’。まるで小さな富士山みたいです。 自然風な植栽にも活躍するカマッシア。 チューリップが終わる頃、アリウム‘パープルセンセーション’と同じくらいの時期に開花するので、一緒に植栽すると涼し気な色合いの球根コーナーになります。 球根の植え時となる秋はガーデンシーズンも終盤で、ちょっと庭仕事にくたびれかけている時期ですが、春の素敵なガーデンをイメージして、もうひと頑張り! 地面に描いた球根が、ときめくような春を連れて来てくれます。球根は忘れた頃に届く自分へのプレゼントのようなもの。ぜひ、いろんな球根にチャレンジしてみてください。
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秋田県

花の庭巡りならここ! 体験教室のプラン充実の観光ガーデン「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」
ハーブ香るガーデンで植物に触れる体験教室を 県立自然公園の中にある「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」は、300㎡の広さを持つ、ハーブに特化した観光ガーデンです。自然豊かな周囲の借景との調和をはかったナチュラルな植栽で、約100種の植物が息づいています。春のチューリップ、初夏のラベンダーを中心としたハーブ類、秋のセージ、そして紅葉へと四季折々に表情を変えていくので、一年を通して何度でも足を運びたくなるスポット。年間10万人が訪れ、リピーターが多いというのもうなずけます。 特筆しておきたいのは、体験教室が大変充実していること。当日その場で申し込みが可能(定員あり)で、気軽に参加できるのがハーバリウム(所要時間30分〜、1,500円)、アロマストーン(所要時間30分〜、1,200円)、天然ハーブのハンドクリーム(所要時間30分、700円)などの手作り体験で、随時約15種のプランがあります。予約制では(7日前まで予約、参加者8人以上)、ハーブのミニ知識教室(所要時間約40分、600円)、手作りパン教室(所要時間2時間、1,200円)、手作りソーセージ教室(所要時間2時間、1,800円)など。旅の思い出に、ぜひ手作りのお土産を持ち帰ってみませんか?(価格表記は税別) 小鳥のさえずりが聞こえる自然豊かな環境のもと ハーブと草花が織りなすハーモニーを楽しもう 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」が最も華やぐのは5月上旬、ゴールデンウィークの頃です。暖地では開花期が少しずつずれるサクラ、ジューンべリー、ハナズオウなどの花木や、ムスカリ、スイセン、クロッカス、チューリップなどが一斉に咲いて春が一度にやってくる、北国ならではのガーデンの景色を楽しみましょう。チューリップは毎年配色を変えて植栽しており、群植の色合わせの妙を見せてくれます。 ラベンダーの見頃は7月中旬。寒さに強いラベンダー・グロッソを群植しています。園内を散策しながら、癒し効果のあるラベンダーの上品な香りを楽しみましょう。この時期は、ほかにヤマボウシ、ギボウシ、ミントなどがガーデンの景色を盛り上げます。 10月中旬〜下旬になると、5〜6種、約50〜60株のセージが満開に。セージは成長するとこんもり茂ってボリュームのある草姿になるので、色彩もさまざまに迫力のある景色を楽しめます。 秋が深まり、10月中旬〜11月上旬になると紅葉が見頃を迎えます。ナラ、クリ、カエデ、サクラ、ジューンベリーなど、落葉樹が燃えるように色づく姿を楽しみましょう! ちなみに、随所にベンチなどの休憩スペースがありますが、飲食の持ち込みは不可となっています。 地元の旬の味が楽しめるレストラン& テイクアウトOKのカジュアルなフード店が揃う 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」の外観。おいしいカレーパン、みそたんぽなどの軽食が楽しめ、テイクアウトもできるカジュアルフーズ「アルマジロ」、レストラン「サラート」、アロマシッョプ「フィールズ」などの店舗が入っているので、ぜひ立ち寄ってみましょう。 レストラン「サラート」では、田沢湖を一望できるビューを楽しみながら食事ができます。平日はビーフシチュー1,300円、くるみパンプレート680円(一日6食限定!)、八幡平ポークの生姜焼き定食1,000円など、メニュー構成が多彩。営業時間は、喫茶が10:00〜15:30(ラストオーダー15:00)、食事は11:00〜15:00(ラストオーダー14:30)。 毎週土・日と祝日はバイキング形式限定で、旬の食材を使ったさまざまな料理を楽しめます。営業時間は11:00〜15:00(受付14:30まで)、大人1,600円、小学生800円、幼児500円(価格表記は税別)。 レストラン「サラート」では、ローズ、ラベンダー、ミント、カモミールなど19種のハーブから選べるハーブティーバー500円がオススメ。おかわり自由です。もちろんスイーツも充実のラインナップ。ここでしか食べられないレモングラスのソフトクリーム278円、ワッフルプレート500円、ルバーブチーズケーキ400円、アップルパイ370円などがあります(価格表記は税別)。 ハーブ、花苗充実のガーデニングショップと アロマ&土産物充実の雑貨店でお買い物に夢中に! 「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」の温室内には、ガーデニングショップの「シーズ」があります。食用のキッチンハーブ(カモミール、バジル、タイム、ミント)や観賞用ハーブ(ラベンダー、セージ、サントリナ)など、ハーブ苗の品揃えが多彩。堆肥や土などの資材、ガーデンアクセサリーなども販売しています。 写真はアロマショップ「フィールズ」の一角。エッセンシャルオイル、ディフューザー、マッサージオイルなどのアロマテラピー用品、ハーブ石けん、お香、アロマキャンドルなどが充実。ほかに秋田・田沢湖限定のお土産、秋田犬ぬいぐるみ、地元農産加工品などもあり、お土産探しに好適です。 Information 田沢湖ハーブガーデン「ハートハーブ」 所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢字潟前78 TEL:0187-43-2424 http://www.heart-herb.co.jp/ アクセス:車/盛岡方面から田沢湖へ、国道46・341号経由、約1時間 秋田市方面から田沢湖へ、国道13・46号経由、約1時間40分 オープン期間:4月中旬~11月上旬 ※冬期間(11月中旬~4月上旬)は土・日・祝日のみ営業、ガーデン・温室・ランチバイキングは休み 営業時間:10:00~16:00 (平日)、9:00~17:00(土・日・祝日) ※冬期間は10:00~16:00 料金:無料 駐車場:有り、200台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 都会のオアシスで癒しのひとときを「神戸布引ハーブ園」 ・花の庭巡りならここ! 実はエンタメ空間!「水戸市植物公園」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/





















