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![おしゃれなカフェと花が楽しめる青山フラワーマーケット 南青山本店[お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/07/45c48cce2e2d7fbdea1afc51c7c6ad26-6.jpg)
おしゃれなカフェと花が楽しめる青山フラワーマーケット 南青山本店[お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]
花と花雑貨、カフェ、スクールが一体になった花の複合おしゃれスポット 今年、南青山・骨董通り側に最大面積のフラッグシップショップとしてリニューアルオープンした「青山フラワーマーケット 南青山本店」。花と緑にあふれるフラワーショップや、国内外からセレクトされた約1,000種類の花瓶が並ぶフラワーベースギャラリー、エディブルフラワーを使ったメニューが大人気のティーハウスのほか、デイリーフラワーを気軽に楽しむコツを教えてくれるフラワースクールも併設。都内にいながら花に囲まれ、癒やしのひとときが楽しめます。 高感度の大人を魅了するセンスあふれる花と緑 国内122店舗を展開する青山フラワーマーケットのフラッグシップショップとしてリニューアルオープンした南青山本店。花のセレクトは店舗ごとに異なり、その土地の文化や人々の求めるものに応じて店長がそれぞれ仕入れをしています。南青山といえば、ファッションやアート、美食の最先端エリア。東京で最も感度の高い大人たちが集う街の花屋として、南青山本店には常時ハイセンスでユニークなセレクトの花が数多く並びます。夏はモカラやデンファレ、バンダなど花もちのよいラン類やクルクマ、ヒマワリがおすすめ。国内外のコンテストで受賞した花のコーナー「THE FLOWER」にはこの夏、グラマラスなリシアンサスが登場します。育種家の情熱が注がれた超進化系の花も見逃せません。 都会でヒマワリ畑が体験できる「青山ヒマワリ祭り」 8月1日(月)~8月7日(日)までは、ヒマワリが青山フラワーマーケット、ティーハウス、ハナキチの店内を埋め尽くす「青山ヒマワリ祭り」が開催されます。夏の太陽に向かって元気に花を咲かせる大輪花というイメージのヒマワリですが、近年はアレンジしやすい小輪や中輪、ふわふわした八重咲き、色もレモンイエローからクリーム、テラコッタ、2色咲きなど、そのバリエーションはとても豊か。新しいヒマワリの魅力が発見できます。遠方の方にも一緒にヒマワリ祭りを楽しんでもらうため、Aoyama DIRECT(オンラインショップの産地直送サービス)や、高速バス輸送サービスを活用したヒマワリの販売が、この時期限定で南青山本店でも実施されます。 夏の花を長もちさせるコツも伝授!「ケアツールフェア」 夏は切り花のもちが悪くなりがちですが、その原因は水の汚れと栄養不足。切り花を長くもたせるコツは、スパッと切れ味のよい花ばさみと清潔な水。8月は、花のある暮らしに役立つ選りすぐりのツールをテーマにした「ケアツールフェア」が開催され、限定オリジナル花ばさみの黒バージョンが並び、花を長もちさせるオリジナル切り花鮮度保持剤「フレッシュフラワーフード」のタンクやミストメーカーなどが、いつもよりお求めやすく購入できます。ヒマワリなどは茎に産毛が多く水が汚れる原因となるバクテリアが発生しやすいので、抗菌剤と糖分が主成分のフレッシュフラワーフードを使いつつ、花瓶の水を茎の先端が4〜5cm浸かる程度に加減すると、夏でも花が長もちします。 平日が狙い目の大人気カフェ「青山フラワーマーケット ティーハウス」 移転前の店舗時から常に行列ができていた大人気のカフェ、「青山フラワーマーケット ティーハウス」は、“花農家の温室”がコンセプト。天井や窓辺などにディスプレイされた観葉植物が店内を瑞々しい空気感で満たし、まさに都会のオアシスといった雰囲気。そんな癒やし空間のなかで提供されるメニューは「花かんむりのフレンチトースト」や「フラワーパフェ」、フレッシュハーブをたっぷりブレンドした「フレッシュハーブティー」、色とりどりの美しい花を加えた「フランス紅茶」など、エディブルフラワーやハーブを使った見目麗しい一皿ばかり。リニューアル後は席数を拡大していますが、休日のランチどきは並ぶので平日が狙い目です。 自分のために花を飾ろう。デイリーフラワーのための花教室 ティーハウスの奥には、フラワースクール「ハナキチ」も併設。青山フラワーマーケットのコンセプト「Living Wtih Flowers Every Day」を実践するための、素敵に飾るコツや季節の行事に合わせた花あしらい、ブーケの作り方などを教えてくれます。また、外部のスペシャリストを招いた「花とワインの会 Flower Wine Night」などバラエティに富んだクラスも用意。素敵な大人のたしなみとして、季節の花をササッとあしらうテクニックを身につけてみませんか。 花を買って、食べて、学べる青山フラワーマーケット 南青山本店。花のある素敵な暮らしの扉を開きに、週末お出かけしてみませんか。 Information 青山フラワーマーケット 南青山本店 住所/東京都港区南青山5-4-41 グラッセリア青山1階・2階 電話/03-3486-8787 営業時間/10:00~20:00、日祝 10:00~19:00 青山フラワーマーケット ティーハウス 南青山本店 電話/03-3400-0887 営業時間/8:00-19:00 ハナキチ 電話/03-3797-0704 営業時間/火-金:10:00-21:00 土日祝:10:00-18:00 定休日/月曜日 ※変動あり Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 写真提供/パーク・コーポレーション
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神奈川県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪38 神奈川「安藤農園」
卸中心の玄人向けの 知る人ぞ知る農園 川崎の北西部に広がる緑豊かな多摩丘陵エリアに位置する「安藤農園」。ウグイスやホトトギスの鳴き声が響き、のどかな雰囲気に満たされています。 600坪もの広い敷地一面に花が並ぶ風景は、まるで圃場のよう。この農園は卸がメインなので、買い付けの卸業者やこだわりのある造園家、園芸店の人たちが出入りしており、一般客は全体の1割ほど。お茶の先生や寄せ植え講師、近所の花好きな人など、いろいろな方が訪れています。 戦後すぐに近所の農家に野菜や花の種子を販売していた安藤農園。今のような苗の販売スタイルになったのは、昭和30年代に入ってからだそう。その後約60年、茶花に使えそうな雰囲気のある花木や山野草などを扱い続けています。山野草は主にここの環境でしっかりと育つ種類を扱っており、低地で育ちにくい高山植物などは、ほんの一部です。 「一般的な園芸店では見かけないものが多いと思いますが、特別珍しいものにこだわっているわけではありません。珍しいというよりは見慣れないものといったほうがいいかな。近年出回らなくなった古来の植物も、よいと思うものは積極的に並べています。最近は、楚々とした洋の山野草や花木も並べていますよ」と、代表取締役の氏家修司さん。 1シーズンに約500種類、年間3回ほど入れ替え、いつも1,000種類ほどの苗が並んでいます。ここに並ぶ7割ほどの苗は、日本全国の信頼する生産者から取り寄せており、1種類1~2パレットと、少量でなるべく多品種を揃えるようにしています。これも玄人に人気の秘密。例えば、汎用性があって人気の高いギボウシ、特に小葉タイプは、数パレットにわたりたくさん並んでいます。「流通上の関係から、まだ花芽のない時期のものも取り寄せています。並べてしばらくすると花芽が上がってくる。成長の段階を見るのも楽しいよね」と氏家さん。 つる植物コーナーも充実。見慣れない植物がたくさん並んでいますが、どれもナチュラルな庭にぴったり。苗は基本的に支柱に誘引されています。旺盛に茂る中で、斑入りイワガラミが目を引きます。 売り場には落葉植物が9割、1割ほどが常緑植物です。樹木苗のなかでも面白いのは、枝が「ぐねり」と曲がったタイプや松ぼっくりから芽が出たマツなど、今どきの手軽に楽しむ盆栽におすすめの苗がたくさん揃っています。 見ていて楽しい 農園内あれこれ 売り場の通路には、いろいろな植物がこぼれ種から芽を出し、自然なシーンを楽しませてくれます。これらの植物は、丈夫でこの地域でよく育つものとして、農園で鉢上げされて店頭にも並んでいます。 楽しみ方の参考にと、売り場のところどころに寄せ植えが並んでいます。この状態でも購入できるので、贈り物などにも最適。ギフト用のラッピングは対応していません。 素焼き鉢や角鉢、軽石鉢なども販売されています。お手頃価格でカラフルに揃うので、まとめ買いしたくなってしまいます。 売り場で見つけた おすすめプランツ・初夏 訪問時に咲いていた魅力的な植物をご紹介します。 【花が愛らしい宿根草】 【球根植物】 【斑入りリーフ】 【花がきれいな樹木】 【実をつける樹木】 【アジサイ】 【つる植物】 「卸が中心なので一般的な店舗と異なり、作業に追われて十分な接客ができないこともありますが、植物は自生地の環境に合わせて育てることが大切ですので、分からないときは近くにいるスタッフに声をかけてくださいね。春や秋が特に楽しいですよ」と氏家さん。 細やかな管理で少量多品種を徹底し、たくさんのプロに支持され続けている「安藤農園」。‘今らしさ’を感じさせる日本古来のものから洋種までを揃えた山野草の宝庫です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、JR南武線「稲田堤」から徒歩約5分、京王相模原線「京王稲田堤」駅より徒歩で約8分。 【GARDEN DATA】 安藤農園 神奈川県川崎市多摩区菅北浦3-3-8 TEL :044-944-2984 営業時間:8:00~17:00 定休日:なし(お盆と年末年始のみ)
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東京都

小説家・林芙美子のやすらぎの家と庭【松本路子の庭をめぐる物語】
晩年の安住の地 『放浪記』『浮雲』など、映画や舞台でも知られる小説の作者、林芙美子(はやし ふみこ1903-1951)。彼女が晩年の10年間を過ごした家と庭が、新宿区中井にあり、現在、林芙美子記念館として公開されている。長い放浪生活の果てに得た、安住の地ともいえる家や庭。その瀟洒な佇まいの中に、作家の想いや人生が色濃く漂っている。 自ら設計した家 それまで借家住まいだった芙美子が、下落合(現・中井)に300坪の土地を購入したのは、1939年のこと。家を建てるにあたり、200冊近くの建築の本を買い込み、自ら100枚近く設計の青写真を描いた。それを当時の気鋭の建築家、山口文象に託し、時間をかけて図面を完成させている。 文献だけでなく、建築士や大工を伴い、京都に10日間滞在して、寺社や民家を見てまわった。彼女は「家をつくるにあたって」と題した一文に「東西南北風の吹き抜ける家と云うのが、私の家に対する最も重要な信念であった。〈中略〉生涯を住む家となれば何よりも、愛らしい美しい家をつくりたいと思った」と書き残している。 数寄屋造りの特色と、「茶の間と風呂と台所に力を入れた」という、住み手の暮らしを重視した京風の民家の色合いを併せ持つ家は、1941年8月に完成。台所や茶の間のある生活棟と、芙美子の書斎や画家であった夫・緑敏のアトリエのある棟からなる、よく考えられた間取りだ。各部屋の中から南側に広がる庭を見渡すことができる、開放的な平屋造りになっている。 竹林のある庭 京都の庭を見てまわった芙美子は、ことのほか竹林と苔の庭に惹かれたという。苔の庭は気候的に無理とのことであきらめたが、庭一面に孟宗竹を植えることは叶った。 さらに、柘榴、寒椿、おおさかづきもみじ、カルミアなど、彼女が愛した木々が植えられた。『風琴と魚の町』という尾道を描いた著作に「この家の庭には柘榴の木が4、5本あった」と書き残している。最初に柘榴を植えたのは、それを懐かしんでのことだろうか。 芙美子亡き後、庭には夫の好んだ山野草が多く植えられ、竹林は玄関付近にしか残されていないが、これらの木々は今も健在だ。6月には柘榴がオレンジ色の花をつけて、迎えてくれた。 5月に訪ねた時には、北側の斜面の、家を見下ろすような場所にカルミアの白い花が咲き誇っていた。カルミアの傍には、いくつかのバラが開花していた。 庭への思い 現在は展示室となっているアトリエで、2022年4月から5月にかけて「林芙美子 花への思い」という展示がなされ、芙美子が花の手入れをしている写真を見ることができた。夫の緑敏の柘榴の絵とともに、芙美子の描いた桜草の絵も並び、その傍らには彼女が好んで書いた「花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき」という自筆の色紙が添えられていた。 尾道の家 1903年に山口県下関市(福岡県門司市ともいわれる)で生まれた芙美子は、実の父親からは認知されず、行商人の養父と母とともに各地の木賃宿を転々とする幼少期を過ごした。 一家がようやく落ち着いたのは、12歳から18歳までの6年間を過ごした尾道。尾道市立高等女学校へ進学し、周囲からその文才を評価された。尾道には親子3人が間借りしていた離れの2階が残されている。私は十数年前に「レストランカフェ おのみち芙美子」(現・おのみち林芙美子記念館)を通り抜けたところに建つ、その家に立ち寄っている。およそ5畳の部屋は、親子3人が暮らすのにはあまりに狭く見えたが、彼女にとって、木賃宿暮らしではない、安らぎの場所だったのかも知れない。 『放浪記』の中で「私は宿命的に放浪者である。私は古里をもたない」とした芙美子だが、「海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい」とも書き残している。私はその言葉に救われる思いがした。 ベストセラー作家への道 恋人を追って尾道から上京した後も、女工やカフェの女給などの職業を転々として、苦闘の日々を送っていた。その中で書き続けた日記をもとに、著した自伝的小説が『放浪記』だ。1930年に出版され、『続放浪記』と合わせて60万部というベストセラーとなった。一躍売れっ子作家となった芙美子は、次々に作品を発表。パリやロンドンに長期滞在して、紀行文を書いたりもしている。 終の棲家 何人かの男性と同棲を繰り返した後、画学生の手塚緑敏と暮らし始めたのが1926年。下落合の新居では、生後間もない男児を養子に迎え、緑敏とともに林家に入籍させて、ちゃぶ台を囲んでの一家団欒の日々を送っている。放浪の果てに得た家族との平穏な生活。仕事の合間に食事を作り、漬物を漬けるなど、料理好きな一面もあったという。台所には当時の食器が残されている。 執筆活動は精力的に続けられ、この家で『うず潮』『晩菊』『浮雲』などの代表作が生み出された。だが、仕事の無理がたたり、1951年に心臓まひで急逝。47年の生涯だった。立て続けに依頼される仕事を断ることができなかったという。それもあるだろうが、「誰も語らない、市井の人々を書きたい」という欲求が彼女を突き動かしていた、そのようにも思いたい。 庭のバラ園 2022年5月のアトリエの展示では、バラの庭の写真も飾られていた。家の北側の斜面を登った高台に、かなり広いバラ園があり、おもに夫の緑敏が手入れをしていた。その土地は人手に渡り、今は記念館の斜面に植えられた数本のバラが、往時をしのばせる。 バラ園では、当時切り花として市販されていなかった種類のバラが栽培されていた。そのバラを愛した洋画家の梅原龍三郎のもとに、定期的に花が届けられた。梅原龍三郎の描くバラの花は、芙美子たちの庭で咲いたものなのだ。バラ園は無くなったが、バラは絵の中で永遠に生きている。 芙美子の生涯もまた、その著作の中に息づいている。残された家を訪ね、ひとりの女性の生き方に思いを馳せる、そんな庭めぐりもよいものだ。 Information 新宿区立 林芙美子記念館 住所:東京都新宿区中井2-20-1 電話:03-5996-9207 Fax:03-5982-5789 HP:https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/fumiko 休館日:月曜日 入館料:一般150円、小・中学生50円 アクセス:都営地下鉄大江戸線・西武新宿線「中井駅」より徒歩7分 アトリエ展示:「小さきもの*可愛いもの」(2022年6月1日~8月31日) 取材協力:新宿区立 林芙美子記念館
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千葉県

千葉「佐倉草ぶえの丘バラ園」5月の散策
復活したバラ園 今年5月、数年ぶりに千葉県佐倉市の「佐倉草ぶえの丘バラ園」を訪れた。アーチやパーゴラ、スクリーンなどの立体的なつるバラの設えが充実し、バラの香りに包まれながらの散策は、以前にもまして、至福の時間をもたらしてくれた。 2019年9月、台風15号で壊滅的な被害を受けたバラ園が、クラウドファンディングなどの復旧支援プロジェクトを経て、見事に復活した様子は聞き及んでいたが、その後もコロナ禍ですっかりご無沙汰してしまった。今回、あらためて野生のバラやオールドローズを中心とするバラ園の景観に魅せられた。また、このバラ園の前身ともいえる「ローズガーデン・アルバ」を訪ねた時のことを思い起こしていた。 ローズガーデン・アルバ 友人に誘われて、佐倉市の「ローズガーデン・アルバ」を訪ねたのは、2003年頃だった。畑の中に忽然と現れたバラ園のユニークな佇まいと、初めて見るバラの種類が多かったことが記憶に残っている。園内の道具小屋の手前のアーチに咲くつるバラ‘シティ・オブ・ヨーク’に惹かれ、帰ってから早速苗を求めた。以来、わが家では鉢植えながら、このバラが7mほど枝を伸ばしている。 「ローズガーデン・アルバ」はNPO法人バラ文化研究所により、野生バラやオールドローズの収集・保存・研究を目的としてつくられた。わが国の「バラの父」と称される育種家・研究者の鈴木省三(1913-2000)のコレクションが母体となっている。 「佐倉草ぶえの丘バラ園」開園 「ローズガーデン・アルバ」は2004年に閉じられ、その後、現在の場所で新たに「佐倉草ぶえの丘バラ園」として開園された。佐倉市の公共施設の中にあり、バラ園の管理、運営はNPO法人バラ文化研究所に委託されている。面積は13,000㎡と広く、現在1,250種、2,500株のバラを見ることができる。 園内は15のエリアに分けられ、鈴木省三コーナー、植物画家ルドゥーテが描いたバラを集めたルドゥーテコーナー、歴史コーナー、ヨーロッパ、中国、日本それぞれの野生バラコーナー、香りのコーナーなど、テーマ別に植栽されている。 「とどろきばらえん」のこと 鈴木省三コーナーでは、彼が生み出した「天の川」「万葉」「乾杯」「ひなまつり」など、日本語の名前がつけられたバラを見ることができる。「とどろき」というバラを見つけ、鈴木省三が1937年に24歳で開いたという「とどろきばらえん」に思いを馳せた。 かつて私の父がバラの話になると、いつもなつかしそうに語ったのが、「とどろきばらえん」のことだった。第二次世界大戦後すぐのことで、若かった父がバラを育てるようになったきっかけの場所だという。父の語り口が鮮やかだったので、私は自分が訪れたことのあるバラ園のような気がしている。 ルドゥーテコーナー ルドゥーテは、ナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの命を受け、彼女の居城マルメゾンのバラを描いたほか、当時のバラのほとんどを網羅した『バラ図譜』3巻を出版したことで知られる。このコーナーには、ロサ・ガリカ・オフィキナーリスや‘スレイターズ・クリムズン・チャイナ’など、『バラ図譜』に登場する野生バラやオールドローズが植えられている。 中国のバラ 中国のバラが東インド会社を経由してヨーロッパに渡り、四季咲きのバラや、真紅色のバラを生み出すもととなったことは、バラの歴史の中でも特筆すべきことだろう。中国のバラコーナーでひときわ目についたのが、‘オールド・ブラッシュ’。18世紀、最初にヨーロッパにもたらされた4種類のバラのうちの一つで、それまでヨーロッパに無かった四季咲きのバラの誕生に貢献している。 日本のバラ 日本にはハマナスやノイバラなど、十数種の野生のバラが自生している。2012年に『日本のバラ』(淡交社刊)を出版した時、「佐倉草ぶえの丘バラ園」でいくつかのバラを撮影させてもらった。熊本県の球磨川河岸などに自生するツクシイバラ、本州や北海道の高山でしか見られないカラフトイバラなど、稀少なバラを見ることができる。 NPO法人バラ文化研究所の協力で、江戸時代に作られた植物図鑑『本草図譜』から、当時描かれたバラの図を写真に収めたことも忘れがたい。 ホワイト&ピンクコーナー オールドローズにもっとも多く見られるのが、白色とローズ色のバラ。同じ白やローズでも、色は微妙に異なるので、この2色のグラデーションが幻想的な情景を生み出している。東屋を覆うように咲く‘ホワイト・ミセス・フライト’がとりわけ見事だ。 「インドの夢」と「サンタ・マリアの谷」 比較的新しくできた2つのエリア。「インドの夢」では、インドの亜熱帯地域に自生するロサ・クリノフィラを使い、亜熱帯地方でも丈夫に育つようにと改良された苗が植栽されている。世界的に温暖化が進む中で、これから暑さに強いバラは、より必要とされるだろう。 「サンタ・マリアの谷」は、北イタリア、サンタ・マリアのバラ研究家、ヘルガ・ブリッシェから贈られたバラが植栽されている。バラ園の入り口付近から、谷を下りる形で散策できるエリア。 つるバラとコンパニオンプランツの設え バラの歴史や分類を辿る楽しみもさることながら、回廊式の小道を歩くと、さまざまに展開するバラの設えが眼福で、次第に気持ちが弾んでくる。‘ボビー・ジェームス’ ‘トレジャー・トロープ’などのバラが巨大な姿を見せるオールドローズガーデンや、いたるところのパーゴラやスクリーンに見られるつるバラが特に秀逸。‘ニューポート・フェアリー’のようにパーゴラの屋根とスクリーンに連なり、こぼれんばかりに咲く花もある。 景観を際立たせているのが、宿根草をはじめとする、一年草や球根植物など、さまざまなコンパニオンプランツ。ジギタリス、デルフィニウム、オルレア、カモミールなど、淡い色の花や葉がバラの株元にそよぐさまは、風薫る野原を連想させ、心地よい空間を生み出している。
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東京都

ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 3
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 繊細さと力強さがミックスした 瑞々しい初夏の風景 植え込みから約半年が経った5月半ば。草花もすくすくと育ち、植栽にボリュームが出てきました。この時期は、春咲きの球根類と宿根草の競演が楽しめます。 この時期の植栽に量感を与えているのは、草丈の高いポピー‘マザーオブパール’とアリウム‘パープルセンセーション’など。区分けした6つの花壇それぞれに数株ずつ配置して、つながりを持たせつつ見応えを出しています。 ポピーは、ケシならではの薄い花弁と楕円形のつぼみを支えるクルンとした花茎が印象的。植物一つひとつを眺めてみると、それぞれ質感や造形を重視するアゥドルフ氏の狙いが見えてくるようです。 アリウムの球形の花序と直線的な花茎もアゥドルフ氏のデザイン性を象徴するもの。まとめたり並べて植えたりせず、あちこちに少しずらして配置することで、全体的なつながりを生み、リズミカルな浮遊感でファンタスティックな楽しさを演出しています。 つぼみの段階の植物でも、個性的なフォルムを描くものであれば、植栽の印象を深めることができる重要なアイテムになります。ここでは、コオニユリのつぼみをつけた直線的な茎が、ふんわりとした植栽に力強さを添えています。 同色で揃えた植栽も、質感やフォルムの違いで変化がたっぷり。光沢のあるひらひらとした花をつけるラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’とマットな質感の花茎を伸ばすアスチルベの対比がおもしろい。 セントーレア‘パープルハート’のギザギザした花弁の先が、さりげないアクセントを添えたり、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’の長い花穂が風を感じさせる植栽。 花壇脇の園路にはサクラがつくる緑が影を落とし、木漏れ日がキラキラと輝いています。株元ではここに毎年芽を出す小さな野花たちが、愛らしい彩りを添えています。 初夏を鮮やかに彩る やさしい雰囲気の草花たち 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! メインの建物前の園路脇に設けられたレイズドベッドは、いつも華やかさ抜群。奥に広がるアゥドルフ氏の庭園をやんわり仕切る役割も担っています。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽。ぜひ、花合わせの参考にしてください。 瑞々しさ抜群の春咲き球根植物。成長してきた宿根草とともに初夏をファンタスティックに彩ります。このアゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する ‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 2
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 宿根草が咲くまでの間を彩る 球根植物たちの華やかな競演 3月19日にオープンした、ガーデンデザイナー、ピィト・アゥドルフ氏デザインのガーデン。当時は芽を出したばかりの状態だった球根植物が、桜の開花と同時にピークを迎えました。生まれたばかりで彩りの寂しかった庭は、本格的な春の風景へとシフトしていきます。 宿根草を落とし込んだ植栽計画図以外に、球根の植栽図を別に用意することが多いアゥドルフ氏。球根植栽で有名なジャクリーン・ファンデル・クルートさんとも組んで球根を植えることもあるのだとか。今回は、2020年にドイツでオープンした「Vitra Garden」のために起こした球根植栽図を参考に、永村さんが植栽計画を立てました。 ここでの球根の植栽計画は、純粋なアゥドルフ氏の植栽とは少し異なり、やや賑やかさを意識したセレクト。アジア初のプロジェクトということと、アゥドルフ氏のスタイルに馴染みのない一般客が大半を占めることを意識して、パッと目を引く種類を多めに採用しました。 今回の春の賑やかしとして植えたチューリップやエリシマムは永村さんの提案で、事前にアゥドルフ氏と何度も協議を重ねて採用を決定。アリウムとスイセンに関しては、Vitraで使用されたものをピックアップしました。アゥドルフ氏の作品としては、サクラ並木に囲まれる立地は今回が初めて。「この景色の特徴を生かして、ローカライズしたものを創るのも一つの答えだと思います」と永村さん。 セレクトは次の通り。 A)アゥドルフ氏の作品にも登場した品種の中で、夏越ししそうなスイセン。越年しなさそうでも試験的に入れてみたアリウムやカマッシア。 B) サクラの魅力を増幅するために、花壇を濃淡2色のサクラと一体化して隣の大きな温室の窓に映るようにするで、包まれるような感覚を演出するための、チューリップとラナンキュラス‘ラックス’。 C) 日本・アジア原産の球根として、バイモユリ、リーガルリリー、コオニユリ。 「サクラの開花タイミングと一致する球根植物にこだわっています。サクラの花後を引き継ぐチューリップを多用していますが、じつは、アゥドルフ氏の意向では、『本来は原種を植えたいところ。今回植えたような園芸品種のチューリップはオープニングの時だけ』ということで容認された植栽でした。しかし、サクラとの景色が好評だったため、アゥドルフ氏も喜んでくださり、今後のことは現場の声やお客様の声を生かしながら、アゥドルフ氏と検討を重ねていくことになりました」と永村さん。 来年さらに華やかにパワーアップするか、それとも本来の原種系にトーンダウンして本格派を目指すか、方向を決めるために考えを巡らせている、永村さんと植栽チーム。とはいえ、球根の予約発注は6月までに済ませる必要があるのだとか。植物を相手だと悠長にしていられない難しさがあります。プロたちの判断により描かれる来年の美しい風景も楽しみですね。 アゥドルフ氏は数年後にどのような状態になるかを想定したデザインを提示し、考え方を共有するスタッフに管理を任せてしばらく見守る姿勢を貫いています。日々進化する庭。思いがけず枯れてしまうものもあるかもしれませんが、植物への愛とスタッフへの信頼が美しい風景を育んでいます。 春をあざやかに彩る 球根植物たち 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! いつも季節の草花で華やかに彩られている園路脇の花壇は見応えたっぷり。ぜひ、花合わせの参考にしてください。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。 何年も前から植わっている幾本ものサクラが一斉に花を咲かせる3月下旬から4月上旬。桃源郷のような美しい風景が広がり、お花見にうってつけの場所です。 多年草のピークを迎えるまでの途中段階を、元気いっぱいに咲き継ぐ球根植物。この多年草とは異なる魅力を生かしながら、サクラが美しいHANA・BIYORIならではの風景が生み出されました。アゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 写真協力/永村裕子(※) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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古都・鎌倉ゆかりの桜【松本路子の桜旅便り】
‘静桜’に会いたくて鎌倉へ 奈良の吉野山で源義経と別れた白拍子・静御前は、源頼朝の追っ手に捕らえられて鎌倉に送られた。吉野山で2人が数日間隠れ住んだ吉水院(現吉水神社)の書院について綴っていて、鎌倉に‘静桜’という名前の桜が植えられたという話を思い出した。鶴岡八幡宮の一角に咲くという‘静桜’を目指し、今年(2022年)4月、鎌倉を訪れた。 鶴岡八幡宮の流鏑馬(やぶさめ)馬場、東の鳥居近くにある‘静桜’は、満開を迎え、やや花の盛りを過ぎていたが、楚々とした花姿で迎えてくれた。静御前は鶴岡八幡宮で、源頼朝や北条政子を前にして、義経への想いを今様で詠い、舞ったことで知られる。 「よしの山 峰の白雪ふみ分けて いりにし人の あとぞこいしき 」 「しづやしづ しづのをだまきくりかえし 昔を今に なすよしもがな」 義経が吉野山の奥の女人禁制の山に落ち延び、別れざるを得なかった心境と、繰り返し自分の名前を呼んだ愛しい人と過ごした時に戻りたい、との切々たる思いが溢れた歌だ。 頼朝はこの歌に激怒したが、政子がとりなしたという話が『吾妻鏡』に残されている。『吾妻鏡』は北条氏側の記録書なので、史実は定かではないが、静御前の命が絶たれなかったのは事実のようだ。彼女のその後には諸説あり、そのひとつが奥州に向かった義経の後を追ったが、義経が討たれたことを知り、旅の途中で池に身を投げたとするものだ。 福島県郡山市には静御前を祀る「静御前堂」がある。亡くなった静御前を憐れんだ里人が塚を設け、江戸時代に、その場所にお堂が建てられたのだという。堂内には静御前の木像が安置され、近くには同伴した乳母や従者の碑が建っている。堂の傍らには、‘静桜’、‘義経桜’と名づけられた桜が植えられ、毎年3月に「静御前堂例大祭」が執り行われる。鎌倉の‘静桜’は、2005年にここから移植されたものだ。静御前の儚い生涯と悲恋の物語は、桜とともに今に語り継がれている。 ‘実朝桜’と歌碑 ‘静桜’の隣には‘実朝桜’が 植えられている。源実朝は頼朝の二男で、鎌倉幕府三代将軍。武家同士の権力争いの中、鎌倉八幡宮の境内で若くして暗殺された人物だ。歌人としても知られ、百人一首では「鎌倉右大臣」と称され、自作集に『金槐和歌集』がある。桜を詠んだ歌も多く、‘実朝桜’の傍らには、歌碑が建っている。 ‘実朝桜’は2011年に神奈川県秦野市から移植された八重桜。神奈川県秦野市には実朝の首が葬られた御首塚(みしるしづか)があり、毎年11月に「実朝まつり」が開かれている。 鶴岡八幡宮の桜 ‘静桜’と‘実朝桜’が植樹された鶴岡八幡宮は、源頼朝が開いた鎌倉幕府とともに始まった。頼朝の祖先が由比ヶ浜に祀った氏神を現在の地に移したのが、治承4年(1180年)。以来、鎌倉の守り神、武士の守り神として崇められてきた。 境内には静御前が舞ったとされる若宮回廊跡に舞殿(まいどの)が建てられ、毎年4月に開催される「鎌倉まつり」では、雅楽とともに「静の舞」が奉納される。 鶴岡八幡宮の参道、若宮大路の段葛(だんかずら。一段高く築かれた歩道)には、‘染井吉野’の並木が続く。境内の桜も数多く、なかでも‘オオシマザクラ’の古木が目につく。‘オオシマザクラ’は、伊豆大島を中心とした伊豆諸島に分布する野生の桜だが、伊豆半島や三浦半島の海岸線にも自生している。室町時代に関東武士によって京都に運ばれた‘オオシマザクラ’が、数多くの桜の栽培品種を生み出すもととなった。鎌倉由来の桜‘桐ヶ谷(きりがや)’‘普賢象(ふげんぞう)’は、‘オオシマザクラ’が突然変異して生まれた桜で、こちらも古くから知られている。 ‘桐ヶ谷’という名前の桜 ‘桐ヶ谷’と名づけられた桜には、‘御車返(みくるまがえし)’ ‘八重一重’という別の呼び名がある。‘桐ヶ谷’は鎌倉・材木座にあった地名から、‘御車返’は車上の2人が、花が八重か一重か言い争って車を引き返したという故事から、‘八重一重’は一本の木に八重と一重の花が同時に咲くことから、とされる。 ‘御車返’は、京都に原木のある‘御所御車返’としばし混同されて語られるが、こちらは後水尾天皇が花の見事さから車を引き戻したとされるもので、別の栽培品種である。 極楽寺の桜 極楽寺に‘桐ヶ谷’の古木が1本あると知り、訪ねた。寺の山門から本堂に向かって‘染井吉野’の並木路が続く。本堂の手前では‘桐ヶ谷’が大きく枝を広げていた。ここでは‘八重一重咲き分け桜’との案内板が掲げられており、その名の通り、同じ木に一重と八重の花が咲いていた。北条時宗が手植えした桜の株から発生した木だとの説明があり、それによると‘桐ヶ谷’は鎌倉時代中期から存在していることになる。花は数輪だけだったが、数日後に再び訪れ、一面に開花した桜を見ることができた。 ‘普賢象’という名前の桜 日本最古の八重桜である‘普賢象’。白色の花弁の中央から太い雌しべが2本突き出ているさまを、普賢菩薩が乗る白象に見立ててこの名前がつけられた。原木は鎌倉の普賢堂にあったとされ、別名‘普賢堂’。室町時代には京都に伝わっていて、室町幕府三代将軍、足利吉満がこの桜を愛でたという記録が残されている。 *植物学の慣例に従い、野生の桜をカタカナ、栽培品種の桜を漢字で表記しています。 Information 鶴岡八幡宮 住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31 電話:0467-22-0315 HP:https://www.hachimangu.or.jp 極楽寺 住所:神奈川県鎌倉市極楽寺3-6-7 電話:0467-22-3402 HP:http://www.trip-kamakura.com/place/135.html(鎌倉観光公式ガイドHP)
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東京・伊豆大島の桜【松本路子の桜旅便り】
野生の桜‘オオシマザクラ’ 日本国内には10種類の野生の桜が分布している。そのうちの一つが‘オオシマザクラ’だ。伊豆大島を中心とした伊豆諸島が主な自生地で、伊豆半島、房総半島、三浦半島など、海岸沿いの暖かい地方にも生育している。 ‘オオシマザクラ’の開花は4月上旬で、3~5cmの白色の花をつけ、桜には珍しくかすかな芳香がある。開花と同時に緑色の若葉をつけ、赤みがかった若葉の‘ヤマザクラ’や、花だけが先に出る‘染井吉野’との違いがある。 伊豆半島の南端で育った私にとって、‘オオシマザクラ’は‘ヤマザクラ’と同様に、なじみのある桜だ。自宅のあった熱帯植物園の裏山で木に登り、口いっぱいに桜の実をほおばった。黒く熟した実は甘酸っぱく、その味の記憶が今も残っている。 伊豆大島への旅 ‘オオシマザクラ’をその故郷である伊豆大島で見たいと、桜の季節に旅立った。東京・竹芝桟橋から高速ジェットで約1時間45分。島に近づくと、白い霞のような木々が見えてきた。船から見ると、桜が海岸線に沿って分布しているのがよく分かる。 伊豆大島は伊豆諸島最大の島で、都心から約120kmの洋上に位置し、行政区域は東京都大島町だ。下船して海岸線の桜を見ながら向かったのは、都立大島公園内の植物園。ここは椿園で知られるが、‘オオシマザクラ’の植栽も豊かで、寒咲き、八重、旗弁を持つ旗桜など、珍しい種類が揃っている。 樹齢800年の‘オオシマザクラ’ 大島を訪ねたらぜひ行きたい場所があった。樹齢800年といわれる桜の古木のあるところだ。島の北東部泉津地区の山中のその木は、幹の周囲6mの大木だが、主幹は倒れ、龍が地面にのたうっているような姿をしている。倒れてはいるが、太い幹から伸びた3本の若い幹に花をつけていた。ほとんど朽ちているように見えるが、根は地中に伸び、新たな息吹を生み出しているのだ。実際に古木に向かい合うと、その生命力に圧倒された。 かつては島に向かう船がこの桜を目印に航海をしたというから、かなりの高木だったのだろう。島の人々は親しみを込めて、この桜を「サクラッ株」と呼んでいる。 「里桜」の親として 野生の桜に対して栽培の桜を「里桜」と呼ぶことがある。植物学上では‘オオシマザクラ’由来の園芸品種を総称して「里桜」としている。園芸品種の中で‘オオシマザクラ’を片親に持つ桜は数多い。 ‘オオシマザクラ’が変異した桜に、鎌倉で発見された‘御車返し(桐ケ谷)’ ‘普賢象’などがある。‘オオシマザクラ’は鎌倉時代に関東の武士によって京都に運ばれた。京都では平安時代より桜の交配技術が進んでおり、この桜を片親としていくつかの新種が生みだされた。江戸時代になるとさらに交配技術が進み、‘関山’ ‘一葉’ ‘白雪’など、現在見ることができる八重桜のほとんどが誕生している。 江戸の末期に生まれた‘染井吉野’も、‘オオシマザクラ’と‘エドヒガン’の種間雑種と考えられている。こちらは江戸の染井村から「吉野桜」として売り出され、明治期に全国的に広まると‘染井吉野’と名づけられた。 桜餅の葉 ‘オオシマザクラ’の花にはほのかな香りがあり、葉を塩漬けにすると香りが際立つ。葉は大きく、産毛が少ないので口当たりもよいことから、塩漬けの後、桜餅に用いられるようになった。「餅桜」の別名で呼ばれるほどで、桜餅のほんのりとした香りは‘オオシマザクラ’のものだ。 現在、桜葉の塩漬けの約7割は、伊豆の西海岸の町で生産されている。葉の収穫時期は5~8月で、樽に塩漬けしてほぼ半年寝かせると、芳香成分のクマリンが発散されるのだという。 木の成育が早く再生力が強いことから、木炭燃料として雑木林に植えられてきて、「薪桜」とも呼ばれる。また浮世絵の版木や建材にも用いられた。そうした実用性に加え、純白に近い、凛とした花姿に惹かれて、この桜を愛でる人も多い。 *植物学の慣例に従い、野生の桜の名前をカタカナで、栽培品種を漢字で表記しています。 Information 都立大島公園 住所:東京都大島町泉津福重2 電話:04992-2-9111 HP: https://www.town.oshima.tokyo.jp/(大島町公式サイト) 伊豆大島観光協会 住所:東京都大島町元町1-3-3 電話:04992-2-2177 HP: www.izu-oshima.or.jp
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する ‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 1
世界を席巻する 自然と調和するデザインとは ピィト・アゥドルフ氏は、それぞれの風土に根ざす植物や宿根草を使った自然主義の植栽手法で知られる、世界的に著名なガーデンデザイナー。オランダ国内でさまざまなプロジェクトを手掛け、ニューヨークの高架廃線跡を再開発した空中庭園「ハイライン」、18世紀の農場をアート施設として改装した英国の「ハウザー&ワース・サマセット」などが有名です。自然環境への関心の高まりとともに注目を浴びています。 一般的なガーデンには観賞のピーク時があるのに対し、アゥドルフ氏のガーデンは一年を通して楽しむことができます。それは単に花の美しさの組み合わせで魅せるものではなく、葉色や種をつけた穂の形、質感など、総合的な視点から組み合わされているから。 「最盛期を過ぎて、枯れていく姿までも美しい」としみじみ感じられるシーンで構成されている風景は、見る人の「魂」を強く揺さぶります。朽ちる姿に美を見いだす視点は、日本人の侘び・寂を愛でる精神にも通じています。そんなアゥドルフ氏のガーデンデザインスタイルは、園芸家や造園家の今までの庭に対する認識に大きな変革をもたらしました。またそのような風景づくりは「ダッチウェーブムーブメント」と呼ばれ、オランダの一つのスタイルを確立しました。 自然から得られる感情の再創造により風景を生み出しているアゥドルフ氏。成長する多年草のみならず、蝶や鳥、訪れた子どもまでもがガーデンを構成する要素となるよう、ていねいに風景を紡いでいます。 3年目を迎えた「HANA・BIYORI」が 提案する自然と平和の大切さ 華やかな花々の潤いで、訪れた人々に癒やしと驚きを与えたい…そういう思いで、2020年3月にオープンした「HANA・BIYORI」。ここは緑豊かな多摩丘陵の東端にある遊園地「よみうりランド」に隣接しています。HANA・BIYORIオープン前は聖地公園として、この自然をうまく生かしつつ、歴史的・文化的な建造物も大切に残し、地元の人々に愛されていました。この「自然との共生」を大切にした理念は、まさにアゥドルフ氏の考え方と重なります。 「もう少しHANA・BIYORIらしさを追求したい」と模索していた2年目、ランドスケープデザイナーの永村裕子さんに相談したところ、「もっと自然と共生する植栽を」という方向性に決定。彼女が提案したのは、アゥドルフ氏の庭をここにつくること。彼のデザインはサステナブルで、まさに今の時代SDGsにフィットするとして、「HANA・BIYORI」の新しい指針となりました。 植栽は永村さんの声かけにより、日本各地のガーデナーたちが集結しました。人気ガーデナーの上野砂由紀さんや天野麻里絵さんも参加。コロナ禍でアゥドルフ氏の来日は叶いませんでしたが、綿密なやり取りを重ね、2021年12月に本格的な植え込みがスタート。この春、見事にそのガーデンが完成しました。 「アゥドルフ氏の庭づくりのような、ピークまで複数年、庭を育てながら愛でるといった考えは、まだ日本では一般的ではありません。ここがきっかけで、時間をかけて変化していく庭の楽しみ方への認知が高まればいいですね」と、今回プロジェクトヘッドガーデナーとなった永村裕子さん。「アジア初なので、夏の過酷な暑さに耐えられないものが出てくるかもしれません。でもすぐに植え替えはせず、1年はそのままで、自然に任せて様子を見ることになっています。今植わっているものは、人間でいうと、まだ幼い子ども。2年目は高校生ぐらい、3年目でようやく成人を迎えます。成長過程で見える風景も違いますし、年々見応えが増してくるので、こまめに見ていただけると嬉しいですね」 今のこのような時世もあって、「花で平和を発信できれば」とよみうりランドの溝口烈社長。 ペーター・ファン・デル・フリート駐日オランダ王国大使は「花を通じて文化の違いを埋め、人をつなぐものであってほしい」と自然との共存の大切さに加え、花によって築かれる人の絆の力についても話されました。 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! 園路脇の花壇は、旬の花々が彩りを添えています。ぜひ、花合わせの参考にしてください。 こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。 日本の園芸に携わるガーデナーたちの情熱で生み出されたピィト・アゥドルフ氏のガーデン。アゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪33 東京「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガー…
生産者と自身の思いを届ける 誠実さがあふれるショップ シルバーや銅葉など、美しいカラーリーフの樹木が店頭を飾る「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)」のエントランス。造園業を営む「立川造園」の窓口でもある園芸店というだけあって、珍しい大鉢の樹木類がたくさん並んでいます。 ここは立川造園の園芸店舗をリニューアルし2016年にスタートしたショップで、スタッフ8名はみな女性。「造園部は男性ばかりですが、店舗では女性ならではの感性を生かして、笑顔と会話を絶やさず、お客様が心地よくショッピングができるようなおもてなしを心がけています」と店長の村形りかさん。 白いタープが心地よい空間には、ナチュラルな印象の苗がずらり。美しい状態で苗を提供するために、徹底した手入れ・管理がなされています。「よい状態を維持することは、生産者の思い、ストーリーをきちんとお客様に届けること。ポップも分かりやすく書いています」と村形さん。 季節の草花は、花壇でも寄せ植えでも、ほかの花と組み合わせがしやすい品種を陳列。たくさんの植物があるにもかかわらず、店内は落ち着いた雰囲気です。それは「園芸好きなお客様が大人の自由時間を過ごせる場に」という思いで、店づくりがなされているから。スタッフは花をこよなく愛する人ばかりで、ショップ中からそれが伝わってきます。 お客様にさりげなく声掛けすることも心がけている村形さん。「お客様との間に壁を作らず、情報交換できる場所」となるよう常に意識しています。場所がら通りすがりのお客様はほとんどいないので、リピートしてもらえるように努力を重ねています。 繊細な草花と雑貨を合わせたディスプレイも必見。「ディスプレイは、隣り合うものは何か? をよく吟味し、相乗効果を狙ったレイアウトを心がけています。雑貨は植物の邪魔をしないことや、お客様が選びやすいことなどを意識しています」と村形さん。 季節感も大切にしているポイント。先まわりしすぎずに、旬をしっかりと感じられるようなディスプレイを心がけています。 2つの出会いが教えてくれた ガーデニングの楽しさと大切さ 細やかな気配りで接客にあたる村形さん。20代の頃の関心ごとは植物ではなく、料理をさらに美しく見せるテーブルコーディネート (la décoration de table)やフランス語を学ぶことだったそう。日仏文化協会が主催する、フランス文化体験プログラムに参加し、コルドンブルーやエコール ルノートルで料理を学んだことも。街の花のある美しい風景や光景も「きれいだな」と思う程度でした。 村形さんが花にのめり込んだのは、2つのこと(出会い)がきっかけでした。一つめは、テーブルコーディネートで花に関心を持ち始めた頃にイギリスで始まった歴史ある装飾園芸の技法を知り、2000年にハンギングバスケットマスターの資格を取得したこと。夢中で向き合ううちに腕を上げ、数年後には園芸雑誌やガーデニングショーで受賞しました。凝り性で、これだと一つ決めると突き進む性格が、今の村形さんを作っています。 きっかけのもう一つは、バラをこよなく愛する地釜政弘さんとの出会い。地釜さんは、東村山の自宅でたくさんの野ばらやイングリッシュローズなどを育てていた方で、地元の小学校にもバラ園をつくり、ミニコンサートを開催するなど地域に大きく貢献していました。村形さんは、その活動やバラを愛する姿に感銘を受け、花が持つ力を知ったのです。 その後はハンギングバスケットの資格を生かしながら、あちこちで活動。地釜さんに背中を押されたこともあり、東村山に拠点を置き、ショップをリニューアルオープンさせるに至りました。 ハウス内も見どころが満載! ワークショップも開催される ハウス内には、観葉植物やギフト用のランのほか、雑貨や季節の球根などが並んでいます。ここのディスプレイもナチュラルシックな雰囲気で、飾り方の参考になります。球根と合わせるコンテナ類は、アンティークタッチのコンパクトなものがほとんど。小球根を植えるのにおすすめ。 スタッフはそれぞれに長けていることが異なる多彩な陣容。村形さんは、そんな仲間をリスペクトしていると言います。切り花店出身者の技能を生かし、フレッシュリースなども販売。 ハウス内では、さまざまなイベントやワークショップも開催。定番の寄せ植えをはじめ、フラワーアレンジやリース作りなど、生活に楽しく取り込めるような講座が催されています。 村形さんのイチオシはコレ! 松村ナーセリーのクリスマスローズ 同じ地域で活躍する松村みよ子さんのリーフが美しいクリスマスローズ。真冬に輝くウィンタープランツとして欠かせません。たくさんの草花と合わせた華やかな寄せ植えなど、今までになかったようなアレンジができます。色・形、斑の入り方も多様で花も楽しめる、といった優れもの。地植えにしてもいいですね。 バラを栽培するガーデナーである恩人の「花で社会貢献する姿勢」に影響を受け、園芸店として地域への大きな貢献を目指す「Garden Shop T- Garden」。女性目線で細やかな気配りと品揃え、ディスプレイが心地よいショップです。2022年3月に店舗はカフェを併設して再リニューアルオープンする予定(詳細はHPをチェック)。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、西武新宿線「東村山駅」より徒歩17分。 【GARDEN DATA】 Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン) 東京都東村山市久米川町2-1-2 TEL :042-395-1956 営業時間:9:30~17:00 定休日:水曜日/8月は長期休暇あり https://www.t-garden-hana.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪30 東京「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンア…
環境も立地もバッチリ 訪れやすい園芸店 閑静な高級住宅街エリアにある「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」。玉川髙島屋S・Cの別館で、アウトドアショップやペットショップなどが併設される「ガーデンアイランド」の2階にあります。 明るい自然光が降り注ぐ店内は温室のように植物が茂る、瑞々しい空間。総合ガーデンセンターというだけあって、広々としたフロアには、ガーデニングライフを楽しくしてくれるアイテムがずらりと並んでいます。 「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」は培養土の製造・卸し会社、プロトリーフ社の直営店。「緑ある暮らしを、もっと素敵に」をコンセプトに掲げ、お客さま一人ひとりに喜ばれるサービスを提供しています。「ビギナーのお客様が多いのですが、高品質なことはもちろん、接客とフォローに力を入れ、常に‘もっと愛される園芸店’を目指しています」と店長の佐藤健太さん。 ここは住宅街も擁しながらも自然が美しく調和するエリアで、住環境に対する意識の高い人が多い街。それだけに、店頭に並ぶインテリアグリーンは丈夫で見栄えのよいものが揃っており、人気の観葉植物フィカスの大鉢は10種類近くもあります。 ここ数年人気なのは、ガラスのビンに苔などのグリーンを入れて楽しむ苔テラリウム。小さなガラス瓶の中に広がる苔の小宇宙は、眺めているだけで癒やされます。完成品だけでなく、苔や砂、ガラスの容器など、これから作るのに必要なものが揃っています。 自社の培養土だけでなく他社製品も含めて、たくさんの培養土・土壌改良剤が並ぶコーナー。最も使う頻度が高い「花や野菜用」「観葉植物用」の培養土は、大・中・小の袋が用意されています。さすが培養土会社、充実したコーナーです。 マンションなど集合住宅でベランダガーデンを楽しむお客様が多いため、さまざまなスタイルの大きな鉢も多く取り揃えています。 開放感たっぷりの 屋外の花苗売り場 緑豊かな住宅街に面した細長い花苗売り場には、季節の草花がずらりと並んでいます。段差をつけた什器は腰高で選びやすい設計。日当たりと風通しがよく、花苗は健やかな状態に管理されています。 異国情緒が漂う 充実の樹木コーナーも必見! インドアプランツや花苗同様、樹木類の品揃えも充実しています。特に力を入れているのがオージープランツと果樹。取材時は秋で、柑橘系が丸い実をたわわにつけていました。「集合住宅のお客様も多いので、落ち葉に配慮するとベランダでは常緑樹のほうがおすすめ。落葉樹は自然な趣が楽しめるモミジなどの雑木を揃えています」と佐藤さん。 樹木類は細長い通路の両脇に。大小さまざまな樹木たちがまるで花壇に植わっているように陳列され、美しい小道のような風景が楽しめます。 左/メラレウカなど、葉の細かい種類を集めたオージープランツコーナー。 中/オージープランツのセルリアの花やグレヴィレアの斑入り葉で、シーンを明るく。 右/アデナンサス×ヒューケラで、ユーカリのプラ鉢を美しくカバー。 左/希少なミモザアカシア(オールリーフワトル)。アカシアでは珍しい、四季咲きの細い枝葉品種。 中/やさしい色合いの花が魅力のグレヴィレア‘ピーチ&クリーム’。 右/庭に1本あると何かと便利なユズ。 庭の雰囲気を高めてくれるアイテム使いのアイデアも、あちこちに散りばめられています。リーフを上手に使った甘くなりすぎないコーディネートがプロトリーフ流。 リフレッシュ効果抜群! 植栽が美しいルーフガーデン 近所の人たちの散歩コースにもなっているプロトリーフのルーフガーデン。屋上だというのに大きな木がたくさん植わって、地上の公園さながらのボリューム感です。春の芽吹きや秋の紅葉など、季節の彩りが人々の心を和ませています。 ベンチがたくさんあるので、買い物の後のひと休みにうってつけ。野菜やハーブの苗はここに並んでいます。 大きな木の下には、のどかな雰囲気の小さなキッチンガーデンが。野菜を庭に取り込む楽しさを伝えつつ、その成長過程を見せてくれます。 ワンランク上の選りすぐりの 植物が並ぶ、新エリア登場 2021年3月、地下2階に新たにグランドオープンした「PROTOLEAF SELECTIONS(プロトリーフセレクションズ)」。ガラスの建物内には、近年人気のサボテンや多肉植物、ユニークな珍奇植物や大型の観葉植物が、外のエリアには、主におしゃれな庭づくりにおすすめの樹木が並んでいます。 ガラスの店内は無機質なしつらえで、メンズライクにコーディネート。どこかラボ的な雰囲気が漂います。 プロトリーフ「niwa-kura」では、庭のデザイン・施工からリフォーム、庭木やバラのメンテナンスまで相談を受けています。相談カウンターが設けられているので、気軽に利用してみて。 2021年でオープン13年目を迎える「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」。定期的にフェアやワークショップを開催しているほか、WEBの「Youtubeプロトリーフチャンネル」でガーデニング講座を発信し、園芸の楽しさを伝えつつ徹底したフォローを心がけています。ビギナーからマニアまで楽しめるショップ、ぜひ訪れてみてください。アクセスは、東急田園都市線「二子玉川駅」から徒歩約4分。 【GARDEN DATA】 PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店 東京都世田谷区瀬田2-32-14 玉川高島屋S・C ガーデンアイランド2F TEL :03-5716-8787 営業時間:10:00~20:00 定休日:1/1(元日)のみ休館 https://www.protoleaf.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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神奈川県

女性たちに輝きと透明感を授ける、ルネ・ラリックの麗しき世界
ガラス工芸家ルネ・ラリック 洗練されたジュエリーやガラス工芸で知られるルネ・ラリック。19~20世紀の装飾美術工芸史のなかで、アール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代にわたり活躍しました。日本では、アール・デコ様式の旧朝香宮邸・現東京都庭園美術館の正面玄関のガラスレリーフ扉やシャンデリアなどを手掛けています。 ラリックは1860年、シャンパーニュ地方マルヌ県の小さな村アイに生まれ、ブドウ畑が広がる自然豊かな地方で育ちました。16歳のときに母の勧めで、パリの宝飾職人に弟子入りすると同時に美術学校に進学。パリではオペラ座が建てられるなど、華やかな時代で、ラリックの自然を注意深く観察して培われた感覚は、日本美術(ジャポニスム)や古代ギリシア・ローマのエキゾチックな雰囲気などに刺激され、どんどん磨かれていきました。 装飾柵「蝶の女」(左)/木版画「ラリックのウィンドウ:万国博覧会Ⅲ(フェリックス・ヴァロットン作)」(右) 着実に実力をつけたラリックは、1882年からパリでカルティエ社やブシュロン社などの高級宝飾メーカーのジュエリーデザインの下請けも手がけるようになります。1885年には自分の工房を持つ宝飾作家として独立。大女優サラ・ベルナールも顧客に名を連ねるほどの成功を収めたラリックは、1900年のパリ万博に出品(「装飾柵・蝶の女」など)。東洋やオリエンタル文化の影響を多大に受けつつ、自然をモチーフとした斬新なデザインで訪れた人々をあっと驚かせ、彼の展示ブースは多くの人でごった返しました。 コサージュ「バラ」 ジュエリーにはもっぱら高価なダイヤモンドやルビーが使われていた時代、ラリックは自分が持つイメージを形にするために、エマイユ(七宝)、獣角、ガラスなどの価値は低いが加工のしやすい素材を積極的に用いて、モチーフである植物や昆虫などをリアルに再現。蝶やトンボの羽の薄さ、花の質感や女性の肌の透明感など、精緻な技術による豊かな表現は、パリ中に絶賛されました。柔軟かつ斬新な発想で今までの概念を大きく覆し、‘モダンジュエリー’のスタイルを確立したのです。 チョーカーヘッド「オリーブ」 かつては上流階級層が文化の中心となっていましたが、列車が走るようになったこの頃から一般大衆が活躍する時代に突入。多くの人が豊かな文化を享受できるようになったため、各業界はスピード感と量産が必要となりました。ビジネスの感覚をしっかり持ち合わせていたラリックも、多くの女性に自分の作品を届けるために、時代に合わせた作品づくりに舵を切ります。 香水瓶「四つの太陽」 ラリックは1910年頃からガラス作品の制作に力を注ぎ始めます。それまでのジュエリー制作は一点一点の手作りでしたが、機械を導入してのプレス成形や型吹き成形により量産ができるガラス作品制作は、時代に合わせつつも、彼の高い芸術意欲を叶えるものでした。 香水瓶「シクラメン」 ラリックの表現力を高く評価した化粧品ブランド「コティ」に香水瓶の制作を依頼されたことをきっかけに、以後さまざまなブランドの香水瓶などを手掛けるようになりました。ブランドから依頼されたものは、その会社のカラーが色濃く反映されていますが、自身の「ラリック」ブランドは、多少手間のかかる手法も取り入れ、自由度の高い作品を制作しました。 花器「バッカスの巫女たち」 その後、ラリックは花器などの小品から照明、ガラスのウォールなど建築のための大作までを手がけました。時代はアール・ヌーヴォーからアール・デコに入り、1925年のアール・デコ博覧会では、ガラスの噴水塔「フランスの水源」をメイン会場に制作したり、自社のパヴィリオンを出展するなど、時代を代表するガラス工芸家としての絶対的な地位を築いたのです。 装飾パネル「花束」 そのほかの魅力的な ラリックの作品をご紹介! ブローチ「シルフィード(風の精)、あるいは羽のあるシレーヌ」 ベッドサイドランプ「日本の林檎の木」 香水瓶「香水A(または香水N)」 ペンダント・ブローチ「ユリの女」 ペンダント・ブローチ「冬景色」 カーマスコット「孔雀の頭」(左)/「トンボ」(右) 灰皿「鈴蘭」(左)/「雀」(右) 自然豊かな「箱根ラリック美術館」で約230点の作品に触れる アール・ヌーヴォーからアール・デコにわたって一世を風靡したラリック。そのしなやかな感性が生み出した、数々のアクセサリーやガラス工芸。眺めているだけで、フランスの優雅な文化と時代の香りに浸ることができます。ラリックの作品約230点の作品を所蔵する「箱根ラリック美術館」で、ぜひこれらの作品を鑑賞してください。庭の池の周りには、さまざまな草花が咲きこぼれています。カジュアルフレンチ料理が楽しめるカフェ・レストランも併設されているので、箱根の自然と季節の味を満喫しながら芸術に触れてみませんか。 Information 箱根ラリック美術館 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1 TEL:0460-84-2255 開館時間: 9:00~17:00(美術館入館は16:30まで)/2021年12月1日より9:00~16:00(美術館入館は15:30まで) 休館日:2021年12月1日より毎月第3木曜日(但し8月は除く) 駐車場:無料(80台) 取材・写真協力:箱根ラリック美術館 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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神奈川県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪28 神奈川「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」
花と緑で包まれた 絵葉書のような美しいショップ 大きな公園や図書館など、緑が多い閑静な地域にある「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」。アメリカンスタイルハウスと、ファサードを覆うピンク×白の可憐なつるバラが目印です。その愛らしい佇まいは、まるで洋書の1ページのよう。 正面はリーフが美しい低木とつるバラの競演(写真は4月下旬撮影)。植物それぞれが、ほどよい存在感を放ちながら見事な調和を見せています。向かって左側はピンクのつるバラで、右側は白。ショップに入る前から、オーナーの杉山洋さんと真奈美さんご夫婦のセンスのよさがうかがえます。 二人三脚で叶えた ショップ 1991年にオープンした「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」。センスのよさとご夫婦の人柄のよさは多くのガーデナーの憧れで、遠方からわざわざ来る人も少なくありません。 オーナーの杉山家はもともとナシ農家でしたが、後継ぎであるご主人の洋さんがシクラメン栽培をスタート。けれどそれだけでは飽き足らず、ハウスの一角にギャラリー風の苗売り場を設置しました。そして、次なる構想を練っている最中に真奈美さんと出会い、洋さんは力強いパートナーを得たのです。 しばらくすると、ギャラリー風のショップでは手狭となったため、新たなショップに建て替えを計画。夫婦でどんな建物がいいかなどの検討を重ねた結果、デザインとコストの兼ね合いで、このアメリカンスタイルに決定。「本当はグレーの倉庫のような男前の建物にしたかったんですけど、当時そのスタイルはちょっと早すぎましたね。でも、私は自然な草花が好きだから、それらになじみやすいアメリカンスタイルでも結果的にはよかったようです」と真奈美さん。柔軟な発想で、自身の世界観を見事に形にしていきます。 ナチュラルにバラが咲く サンプルガーデン 建物脇のアーチ奥に広がる小さな空間は、ショップをオープンさせてから最初にしつらえたサンプルガーデン。リーフの緑とバラの白でまとめられた、瑞々しいスモールガーデンです。長方形の自然石が敷き詰められた床面にバラが絡むパーゴラで構成した空間は、ロンドンの中庭のような佇まい。パーゴラの下に置かれたチェアに座ると涼やかで、居心地がとてもよい場所。 はじめは園芸に興味がなく、洋さんの手伝いをしている程度だった真奈美さん。初歩的な草花の名前も分からないレベルだったとか。けれど、生命力あふれる植物の健気さや美しさに触れるにつれ、庭づくりの世界に強く引き込まれました。その頃ちょうど創刊されたガーデン雑誌の誌面を彩るイギリスの庭などに魅了されたこともあり、真奈美さんのガーデニング熱は一気に加速。今の「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」の基礎が形づくられていきました。 ナチュラルな庭づくりに ぴったりな草花苗がたくさん 真奈美さんが夢中になって読んだ園芸雑誌や洋書などに出てくる花壇の花は、インパクトが強いものが多かったのですが、ショップで販売しているのは、楚々とした草姿やニュアンスのある透明感あふれる花がほとんど。生産農家だけに、苗の状態も抜群です。 ベランダなど小さな空間でも真似できそうなコーディネートが盛りだくさん。ブロカントとアジサイが印象的な北欧の庭を思わせるシーンは、シック好きなガーデナーにはたまらない組み合わせです。人気のアジサイは西洋種に加え、ヤマアジサイ、枝垂れる新品種など品揃えも豊富。 見どころ満載 多彩なシーンで構成された庭 敷地内のガーデンには、ぬくもりあふれる手づくりの構造物やあしらいが点在。見どころがたくさんあるので、近隣に住む人の散歩コースにもなっているのだとか。 「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」にこんなにも人が訪れるようになったのは、ブログやSNSを始めたことがきっかけで、他店の人や生産者、お客様など多くの人との交流が生まれたことが大きく影響しているそう。「たくさんの人たちと知り合えて、みなさんの力を借りながらショップは成長してきたように思います。感謝でいっぱいですね」と真奈美さん。庭の構造物などを作る際にもいろいろな仲間が関わっているため、ガーデンは多彩な表情を見せています。 ギャラリーのような 落ち着きのある屋内売り場 アメリカンハウスの中は、色を抑えた雑貨類が並ぶシックな空間。照明の明るさにもこだわった落ち着いた雰囲気です。ここはまさに洋さんの目指していた、ギャラリーのような園芸店。暮らしのセンスアップにぴったりなアイテムが揃っています。 北欧の暮らしをヒントにした 花屋が2020年秋にオープン! 敷地の一角にオープンした、ガーデニングコーナーとは趣が異なる切り花の店「Lucy Gray botanisk」。botaniskとはスウェーデン語で「植物」を意味しますが、ここでは切り花のみならず「植物のある暮らし」を提案。店内に並ぶ花は、外の売り場と同様、ナチュラルなものでいっぱいです。 植物の力で心癒やされる ショップを目指して 花がある心地よい生活をトータルで提案する「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」。「ここにいると癒やされるって言われることが一番嬉しいんです」と笑う真奈美さんの目指すところは“癒やしの場所であること”。以前、お母さまを看病していたときに感じた病院の殺風景さや、闘病している友人が植物から大きな力をもらっている様子を目の当たりにしたことで、「現在、緩和医療学の中にどう植物が取り入れられているか」に興味を持ち始めました。 大学に再度入学して日本の福祉とターミナルケアについて勉強した真奈美さん。卒論で緩和医療の現場における園芸療法の取り組みについて調べると、現場で植物を取り入れる難しさを目の当たりにしました。これを機に自分自身のショップを癒やしの場として提供することに強く意識を置くようになり、「植物で花好きな人々を元気に──」という思いで夫婦ふたり、ショップを日々進化させています。 杉山さんのイチオシはコレ! HAWSのジョウロ 杉山さんのおすすめは、人気の英国HAWS社のウォータリングカン。大きなサイズもありますが、屋内や小さなベランダにはこのコンパクトなものがぴったり。置きっぱなしでも飾っているように見えるのも◎。ステイホーム時だからこそジョウロにもこだわって、楽しく水やりをしてみませんか? 植物の瑞々しさとオーナー夫妻の飾らない人柄に魅せられ、多くの人々が訪れる「Lucy Gray(ルーシーグレイ)」。2021年9月現在、敷地の一角にエディブルプランツのポタジェなどの新しいコーナーを造作中です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、小田急線・湘南台駅より徒歩約8分。 【GARDEN DATA】 Lucy Gray(ルーシーグレイ) 神奈川県藤沢市湘南台7-23-1 TEL:0466-45-6565 営業時間:10:00~17:00 定休日:水曜日 http://www.lucygray.net/intro.html Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力(※)/Lucy Gray
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埼玉県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪25 埼玉「玄蕃ファーム」
せわしない日常から 離れられる格好の場所 田園の中を走るまっすぐな道沿いに突如現れる、小さな雑木林を背に広がる玄蕃ファーム。うっかり通り過ぎてしまいそうな場所ですが、歩道に沿って植わる木々と花々の合間からのぞく看板が目印です。 ショップの入り口も木々に覆われ、まるでどこかの高原にでも来たような雰囲気。二股に分かれた園路のつくりを見るだけで、店主のセンスのよさが分かります。 ショップに入ってすぐの右側に広がる、宿根草や鉢物コーナー。葉色が美しい樹木やパーゴラなどの構造物で重層的な風景を描き、奥の庭への期待感を高めています。 イギリスの田園風景への憧れから 誕生したメルヘンな空間 スタジオジブリの映画のワンシーンのような風景が広がる玄蕃ファーム。この店は、オーナーである武正祐二郎さんが「ここを訪れる人たちに、豊かな田園生活を感じてほしい」という思いを込めて、約20年前にオープンさせた園芸店です。「玄蕃(げんばん)」とは、江戸時代にこの地(埼玉県加須市大越)に居を構えたご先祖様の名前からとったものだとか。代々大切に受け継がれてきたこの土地への愛情がうかがえます。 売り場ももともとは雑木林でしたが、ショップをオープンさせるために、祐二郎さんは、奥様と友人の力を借りながら約2年がかりで開墾し、庭らしく整えていきました。 ショップを始める前祐二郎さんは、なんと庭や植物とは関係のない会社勤めのサラリーマン。海外出張が多く、各国の美しい風景や人々の暮らしを積極的に見て回っていました。その中で最も強く心惹かれたのは、イギリス・湖水地方の田舎の風景と庭。おとぎ話に出てくるようなシーンが続く、イギリスの街並み。古い家に手を入れながら、大切に住み続けているイギリスの人々の暮らしは、忙しい日々を過ごしている祐二郎さんの、まさに理想とするものでした。 日本で同じような時間を過ごすには…と考えた結果、思い切って早期退職。自宅の前に広がる雑木林を利用して、ショップをオープンさせることに決めたのです。 一念発起してショップづくりに心血を注いだ祐二郎さん。子どもの頃から植物や生き物が大好きだったので、このような庭づくりは、自身にとって自然な流れでした。当時はまだ50代はじめだったので、友人の力を借り、自身も楽しみながら店・庭づくりに専念。おとぎ話が暮らしの中に溶け込んでいるイギリスのエッセンスを、日本の景色にバランスよく取り入れていきました。10年ほど前から、息子の純一さんの若い感性が加わり、多彩に進化し続けています。 【雑木のエリアでのあしらいにZoom Up】 半日楽しめる 回遊式のガーデン 玄蕃ファームは、時計のついた建物とガラスハウスを軸に、回遊できるようにデザインされています。雑木のゾーン以外は、陽がたっぷり注ぐ明るいガーデン。エリアによって、趣ががらりと異なります。 雑木のゾーンには日陰の植物の苗が並んでいますが、隣のエリアは緑陰を利用して、半日陰を好む、楚々とした季節の山野草類の売り場です。苗の横には鉢植えの見本鉢が配されています。「自分の手で見本鉢を育てることは、お客様にどのように育つのかを見ていただくだけでなく、自分にとっても勉強になるんです」と純一さん。「お客様に分かりやすい」が第一のモットーだそう。 遊び心満載の売り場には 心が喜ぶシーンがたくさん 回遊できるショップ内には、見どころが満載です。しっとりとした雰囲気の中にユニークな仕掛けが潜む雑木のエリア同様、素朴でほっこりとするシーンが随所に散りばめられています。 自然な庭づくりに欠かせない樹木類も充実しています。依頼すれば、庭木1株から配達・植え込みサービスも行っています(エリア限定あり)。 店の奥のほうでは、のどかな風景づくりにひと役かっているマスコットアニマルたちに出合えます。大人気のヤギは3頭いて、みんな女の子。以前は雄もいましたが、「どんなに高い柵を作っても飛び越えてしまうなどあまりにも暴れん坊なので、譲ってくれた人にお返しして雌3頭を飼うことにしました」と純一さん。名前は ‘ラン’、‘ラッテ’、‘ハナ’。いつもは小屋の中でのんびりしていますが、ときどき店の裏手で草を食んでいます。 多肉植物を屋根に載せた飼育小屋の中には、つがいのチャボと5羽の子どもたちが、にぎやかに暮らしています。大人も子どもも心なごむ場所です。 フロントエリアは、構造物で仕切られた変化に富んだゾーン。木製パーゴラの先に腰高の大谷石の飾り壁を設けて視線をストップし、奥への期待感を高めています。石を積んだ空間まわりにも、仕掛けがたくさん。 【フロントエリアでのあしらいをZoom Up】 廃材で建てたカフェで 手づくりのピザを味わって 時計がついた建屋は、玄蕃ファームのシンボル的な存在。これも祐二郎さんが知人の手を借りて建てたものです。まるで廃校になった小学校のように古びて見えますが、じつは建ててからまだ20年ほどしか経っていません。この雰囲気は、使う材料を廃材にこだわった、祐二郎さんの感性によるもの。イギリスで見た風景を、日本に合うようにアレンジしながら再現しています。 時計のついた建物の中はカフェ。素朴で愛らしい内装は、森の中のペンションに来たようなしつらいです。ここでは、純一さん手づくりのピザやスイーツが楽しめます。 ピザ窯は、2011年の東日本大震災直前に親子で作ったもので、「震度5強という揺れでも壊れなかったんですよ」と話す純一さん。以前はまったく違う世界の仕事についていて、植物にはほとんど興味がなかったとか。ほんの軽い気持ちで10年ほど前に入社し、園芸の勉強を開始、植物・庭づくりの世界の想像以上の奥深さに驚いたといいます。そして、日々の努力と、雑木林と共に育った心の中にある原風景のおかげで、今では「玄蕃ファームのような庭をつくってほしい」と、お客様から引っ張りだこの人気ガーデナーに。祐二郎さんの右腕であり、店長として活躍しています。 イギリスの田園の雰囲気を感じさせるのどかな店「玄蕃ファーム」。遠くから訪れる人も多い、心なごむ空間です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、東北自動車道・羽生ICから車で約5分。 【GARDEN DATA】 玄蕃ファーム 埼玉県加須市大越865 TEL 0480-69-1231 営業時間:10:00~17:00 カフェは、10:30~17:00(ランチタイム 11:00~13:00) 定休日:2021年春より当面の間は、 「GARDEN:月曜のみ定休 CAFE:月~木曜 定休(祝日はどちらも営業)」 夏季・年末年始に休業あり(詳細は更新情報に掲載) http://www.genbanfarm.co.jp/ Facebook:玄番ファーム Instagram:junichitakemasa Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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群馬県

「中之条ガーデンズ」のバラが特別に美しい理由とは? 7つのローズガーデンで過ごす至福のとき
7つの表情を持つローズガーデン仕掛けも楽しく、新鮮な驚きが 四季折々に多くの花で彩られる「中之条ガーデンズ」。初夏と秋に絶対に見逃せないのが、ローズガーデンです。約400種、1,000株を超えるバラたちが、一斉に咲き揃う6月、息を呑むような美しい景色で迎えてくれます。 植栽を担当したのは「横浜イングリッシュガーデン」のスーパーバイザーも務めるバラの専門家、河合伸志さん。ローズガーデンは、7つのセクションに分かれ、エリアによって花色も趣向もガラリと変化、歩を進めるごとに新鮮な驚きがあります。 来園者がローズガーデンで最初に目にするのは、ピンクのバラと淡い色彩の小花で彩られたロマンチックな小道。カーブする園路を進むと、白、黄色、赤と花色が変わり、スタンダード仕立てのバラが滝のように枝垂れる流麗な姿は、圧倒される美しさです。 雨の日には、しっとり、生き生きと咲くバラに出合えます。 園路が石畳へと変わり、続いて現れるのは、バラのイメージを覆す“和”のガーデンです。壁面には深紅のバラと紫のクレマチス、足元は空間を生かしつつ黒い玉砂利を配置。大胆でシンプルな構成は“禅”の精神を表現。正面には、黒御影石の水鏡に、中央が四角く切り取られた真っ白な壁が。この壁を額縁に見立て、遠景に広がる庭園を一幅の絵として観賞する仕掛けで、思わず写真を撮りたくなるスポットです。 モダンジャパニーズ風のガーデン。水面の鏡にバラ咲く景色が映り込み、絵画のように美しい。 ロマンチックなデザインが楽しめるガーランドのコーナー。* 和の庭を抜けると、再びパステルカラーのバラで埋め尽くされたガーランドのコーナーです。奥の八角形のエリアは、監修の河合さんが「一番の見どころ」と言う絶景ポイント。サークルベンチに座ると、四方から芳しいバラの香りに包まれ、至福のひとときが味わえます。 次は、一転して鮮やかな青い壁面に黄色のバラが調和する、ポップな空間が登場。7つのローズガーデンの中でも色彩のインパクトが強い、キュートな庭です。ベンチのコーナーやパーゴラ、ドームにバラが咲き競う、カラフルな世界を楽しんだ後は、白バラが輝くホワイトガーデンへ。その先は、シックな花色のバラを集めた、アンティークカラーの庭が。周囲を赤紫色の常緑樹トキワマンサクと黒葉のコクリュウが縁取り、スタイリッシュな色彩の調和を楽しめます。 噴水を中央に、白いバラや草花で360度包まれるホワイトガーデン。 世界でも類を見ないラゼット(赤みを帯びた茶褐色)とモーヴ(赤紫色)のバラで表現されたノットガーデン。河合さんが手掛けた最新の庭デザインも注目です。 最後のエリアは、豊かな香りを持つバラを集めたローズガーデン。赤いバラを中心に、紫、濃いピンクから淡い色へと花色がグラデーションを描くように植栽され、さまざまな色と香りで満たされた、夢のような空間が待っています。カフェスタンドとガーデンチェアもあり、飲み物を片手にバラに囲まれて優雅に過ごしていると、時間が経つのを忘れてしまいます。 遠くに山を望み、香るバラが周囲を彩る特等席で、カフェタイム。 標高480mという冷涼な気候が色濃く、香り高いバラを育てる * このように、次々と変化する庭の組み合わせは、中之条ガーデンズ全体のランドスケープを担当した空間デザイナーの吉谷博光さんと河合さんが考案。あえて入り口から全体を見渡せないようにしたことで「次はどんな景色が待ってるかな?」と、ワクワクしながら園路を進むことができます。まるで、美しい絵本を1ページずつめくるような期待感とともに、散策が楽しめるのです。また、アーチやフェンスなどバラと合わせる構造物は、すべて吉谷さんのオリジナルデザインというこだわりも。こうして、「美味しい料理(バラ)は美しい器に美しく盛りつける」という河合さんの信条通り、「中之条ガーデンズ」は、唯一無二の“バラの楽園”となっています。 実は、「中之条ガーデンズ」のバラの美しさには、もう一つ秘密があります。それは、標高480mという立地。平地よりも冷涼な気候のため、花色が濃く鮮やかで、香りも豊かになるのです。また、春バラの開花時期もやや遅め。平地での最盛期が終わった6月あたりから見頃を迎えるため、「一番美しいバラを見逃してしまった」という場合でも、まだ間に合うのも嬉しいポイント。 ローズガーデンからナチュラルガーデンとスパイラルガーデンを望む。 「中之条ガーデンズ」の見どころは、バラだけではありません。英国園芸研究家でガーデンデザイナーの吉谷桂子さんが植栽を担当した「スパイラルガーデン」と「ナチュラルガーデン」、樹木医の塚本こなみさんが手がけた大藤棚のほか、陶芸や草木染めの体験施設、地域の特産品がそろうショップも充実。植物を見るだけでなく、実際に触れたり体を動かしたりと、五感をフルに活かしてアクティブに楽しむことができます。 花咲く最盛期とともに、枯れゆく姿もその植物の表情として見せる。そんな新しい見方を提案するナチュラリスティックガーデン。 園のある中之条町には、四万温泉や沢渡温泉があり、同じ群馬県内の伊香保温泉までは車で30分程度。日中は広い庭園をゆったり散策して、夜は温泉でのんびり…なんていう計画もおすすめ。そんな贅沢な時間の過ごし方が似合うのが「中之条ガーデンズ」です。楽園気分を味わえる新名所「中之条ガーデンズ」へ、足を運んでみませんか? こちらも併せてお読みください。●『「中之条ガーデンズ」の魅力、苦労話、メンテまでバラの専門家・河合伸志さんにインタビュー!』 ●『7つの景色が楽しめる新ローズガーデン誕生!「中之条ガーデンズ」に行ってみよう!』 Information 中之条ガーデンズ(旧花の駅美野原)所在地:群馬県吾妻郡中之条町大字折田2411TEL:0279-75-7111https://nakanojo-g.jp/アクセス:関越自動車道渋川・伊香保I.C.下車、約50分。国道17・353号線経由で「中之条ガーデンズ」または、上野駅から「特急 草津号」で約2時間、中之条駅下車。タクシーで約20分。見頃の開園時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)休園日:年末年始(園内メンテナンスのため不定期休園はこちらでご確認ください)料金:■一般/大人(高校生以上)300〜1,000円、小・中学生200〜500円、小・中学生未満 無料*入園料は「花の見ごろ」に合わせた変動制です。団体の方、障害者手帳をお持ちの方は割引があります。詳しくはこちら駐車場:乗用車300台、大型バス10台(無料) 取材協力/中之条ガーデンズ 写真(*)/今井秀治




















