群馬県の「中之条ガーデンズ」が今、バラ愛好家たちの間で注目を集めています。約12ヘクタール(東京ドーム6個分!)の広大な敷地にはめくるめくバラの景色が展開する7つのガーデンとファームが集合。大規模改修を経て2021年4月、満を持してグランドオープンを迎えた「中之条ガーデンズ」の魅力と見どころを、余すところなくご紹介します。バラの開花が例年より早い今年ですが、平地よりやや遅れて満開を迎えるこの地なら、今年2度目のバラの最盛期を満喫したい! という願いも叶えてくれます。

Print Friendly, PDF & Email

7つの表情を持つローズガーデン
仕掛けも楽しく、新鮮な驚きが

四季折々に多くの花で彩られる「中之条ガーデンズ」。初夏と秋に絶対に見逃せないのが、ローズガーデンです。約400種、1,000株を超えるバラたちが、一斉に咲き揃う6月、息を呑むような美しい景色で迎えてくれます。

植栽を担当したのは「横浜イングリッシュガーデン」のスーパーバイザーも務めるバラの専門家、河合伸志さん。ローズガーデンは、7つのセクションに分かれ、エリアごとに花色も趣向もガラリと変化して、歩を進めるごとに新鮮な驚きがあります。

来園者がローズガーデンで最初に目にするのは、ピンクのバラと淡い色彩の小花で彩られたロマンティックな小道。カーブする園路を進むと、白、黄色、赤と花色が変わり、スタンダード仕立てのバラが滝のように枝垂れる流麗な姿は、圧倒される美しさです。

雨降りの日でも、しっとり、生き生きと咲くバラに出合えます。

園路が石畳へと変わり、続いて現れるのは、バラのイメージを覆す“和”のガーデンです。壁面には深紅のバラと紫のクレマチス、足元は空間を生かしつつ黒い玉砂利を配置。大胆でシンプルな構成は“禅”の精神を表現。正面には、黒御影石の水鏡に、中央が四角く切り取られた真っ白な壁が額縁のように配置され、遠景に広がる庭園を一幅の絵として観賞する仕掛け。思わず写真を撮りたくなるスポットです。

モダンジャパニーズ風のガーデン。水面の鏡にバラ咲く景色が映り込み、絵画のように美しい。
ロマンティックなデザインが楽しめるガーランドのコーナー。*

和の庭を抜けると、再びパステルカラーのバラで埋め尽くされたガーランドのコーナーです。奥の八角形のエリアは、監修の河合さんが「一番の見どころ」と言う絶景ポイント。サークルベンチに座ると、四方をバラに囲まれて芳しいバラの香りに包まれ、至福のひとときが味わえます。

次は、一転して鮮やかな青い壁面に黄色のバラが調和する、ポップな空間が登場。7つのローズガーデンの中でも色彩のインパクトが強い、キュートな庭です。ベンチのコーナーやパーゴラ、ドームにバラが咲き競う、カラフルな世界を楽しんだ後は、白バラが輝くホワイトガーデンへ。その先は、シックな花色のバラを集めた、アンティークカラーの庭が。周囲を赤紫色の常緑樹トキワマンサクと黒葉のコクリュウが縁取り、スタイリッシュな色彩の調和を楽しめます。

噴水を中央に、白色のバラや草花により360度包まれるホワイトガーデン。
世界でも類を見ないラゼット(赤みを帯びた茶褐色)とモーヴ(赤紫色)のバラで表現されたノットガーデン。河合さんが手掛けた最新の庭デザインも注目です。

最後のエリアは、豊かな香りを持つバラを集めたローズガーデン。赤いバラを中心に、紫、濃いピンクから淡い色へと花色がグラデーションを描くように植栽され、さまざまな色と香りで満たされた、夢のような空間が待っています。カフェスタンドとガーデンチェアもあり、飲み物を片手に優雅なバラに囲まれて過ごしていると、時間が経つのを忘れてしまいます。

遠くに山を望み、香るバラが周囲を彩る特等席で、カフェタイム。

標高480メートルという冷涼な気候が
色濃く、香り高いバラを育てる

このように、次々と変化する庭の組み合わせは、中之条ガーデンズ全体のランドスケープを担当した空間デザイナーの吉谷博光さんと河合さんが考案。あえて入り口から全体を見渡せないようにしたことで「次はどんな景色が待ってるかな?」と、ワクワクしながら園路を進むことができます。まるで、美しい絵本を1ページずつめくるような期待感とともに、散策が楽しめるのです。また、アーチやフェンスなどバラと合わせる構造物は、すべて吉谷さんのオリジナルデザインというこだわりも。こうして、「美味しい料理(バラ)は美しい器に美しく盛りつける」という河合さんの信条通り、「中之条ガーデンズ」は、唯一無二の“バラの楽園”となっています。

実は、「中之条ガーデンズ」のバラの美しさには、もう一つ秘密があります。それは、標高480メートルという立地。平地よりも冷涼な気候のため、花色が濃く鮮やかで、香りも豊かになるのです。また、春バラの開花時期もやや遅め。平地での最盛期が終わった6月あたりから見頃を迎えるため、「一番美しいバラを見逃してしまった」という場合でも、まだ間に合うのも嬉しいポイント。

今話題の「食べられるバラ」を栽培
甘い香りの中で、花摘み体験ツアーも

ファームエリアでは、今話題の「食べられるバラ(食香バラ)」も栽培がスタート。‘豊華(ホウカ)’と‘紫枝(ズズ)’の2品種が678本ほど植えられ、生産用の圃場としては国内唯一です。バラの香る中での花摘み体験ツアーもあり、バラ愛好家の間で「行ってみたい」「やってみたい」と話題です。朝摘み体験や食香バラを使ったワークショップなども開催予定。参加には事前申し込みが必要ですので、こちらからご予約を。

【特別企画】開園前の朝摘み体験 2021年5/30、6/4、6、11

開催時間/AM6:00〜7:30  参加費/5,000円

【食香バラを使ったワークショップ レクチャー浦辺苳子先生】

全9日間開催 2021年5/30、31、6/4、6、7、11、13、14、18

●バラ摘み&摘んだバラでジャン(醤)づくり  AM9:00〜11:30
●ローズウォーター・ローションづくり     PM2:00〜3:30

ローズガーデンからナチュラルガーデンとスパイラルガーデンを望む。

「中之条ガーデンズ」の見どころは、バラだけではありません。英国園芸研究家でガーデンデザイナーの吉谷桂子さんが植栽を担当した「スパイラルガーデン」と「ナチュラルガーデン」、樹木医の塚本こなみさんが手がけた大藤棚のほか、陶芸や草木染めの体験施設、地域の特産品がそろうショップも充実。植物を見るだけでなく、実際に触れたり体を動かしたりと、五感をフルに活かしてアクティブに楽しむことができます。

花を咲かせる最盛期とともに、枯れゆく姿もその植物の表情として見せる。そんな新しい見方を提案するナチュラリスティックガーデン。

園のある中之条町には、四万温泉や沢渡温泉があり、同じ群馬県内の伊香保温泉までは車で30分程度。日中は広い庭園をゆったり散策して、夜は温泉でのんびり…なんていう計画もおすすめ。そんな贅沢な時間の過ごし方が似合うのが「中之条ガーデンズ」です。楽園気分を味わえる新名所「中之条ガーデンズ」へ、足を運んでみませんか?

こちらも併せてお読みください。
『「中之条ガーデンズ」の魅力、苦労話、メンテまでバラの専門家・河合伸志さんにインタビュー!』

『7つの景色が楽しめる新ローズガーデン誕生!「中之条ガーデンズ」に行ってみよう!』

Information

中之条ガーデンズ(旧花の駅美野原)

所在地:群馬県吾妻郡中之条町大字折田2411

TEL:0279-75-7111
https://www.town.nakanojo.gunma.jp/garden/n-gardens/index.html

アクセス:関越自動車道渋川・伊香保I.C.下車、約50分。国道17・353号線経由で「中之条ガーデンズ」または、上野駅から「特急 草津号」で約2時間、中之条駅下車。タクシーで約20分。

見頃の開園時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)

休園日:年末年始(園内メンテナンスのため不定期休園はこちらでご確認ください)

料金:■一般/大人(高校生以上)300〜1,000円、小・中学生200〜500円、小・中学生未満 無料

*入園料は「花の見ごろ」に合わせた変動制です。団体の方、障害者手帳をお持ちの方は割引があります。詳しくはこちら

駐車場:乗用車300台、大型バス10台(無料)

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

取材協力/中之条ガーデンズ 写真(*)/今井秀治

Print Friendly, PDF & Email