素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪33 東京「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)」
ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、ナチュラル・シックな花と雑貨でいっぱいの「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)」を訪ねました。
目次
生産者と自身の思いを届ける
誠実さがあふれるショップ
シルバーや銅葉など、美しいカラーリーフの樹木が店頭を飾る「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)」のエントランス。造園業を営む「立川造園」の窓口でもある園芸店というだけあって、珍しい大鉢の樹木類がたくさん並んでいます。
ここは立川造園の園芸店舗をリニューアルし2016年にスタートしたショップで、スタッフ8名はみな女性。「造園部は男性ばかりですが、店舗では女性ならではの感性を生かして、笑顔と会話を絶やさず、お客様が心地よくショッピングができるようなおもてなしを心がけています」と店長の村形りかさん。
白いタープが心地よい空間には、ナチュラルな印象の苗がずらり。美しい状態で苗を提供するために、徹底した手入れ・管理がなされています。「よい状態を維持することは、生産者の思い、ストーリーをきちんとお客様に届けること。ポップも分かりやすく書いています」と村形さん。
季節の草花は、花壇でも寄せ植えでも、ほかの花と組み合わせがしやすい品種を陳列。たくさんの植物があるにもかかわらず、店内は落ち着いた雰囲気です。それは「園芸好きなお客様が大人の自由時間を過ごせる場に」という思いで、店づくりがなされているから。スタッフは花をこよなく愛する人ばかりで、ショップ中からそれが伝わってきます。
お客様にさりげなく声掛けすることも心がけている村形さん。「お客様との間に壁を作らず、情報交換できる場所」となるよう常に意識しています。場所がら通りすがりのお客様はほとんどいないので、リピートしてもらえるように努力を重ねています。
繊細な草花と雑貨を合わせたディスプレイも必見。「ディスプレイは、隣り合うものは何か? をよく吟味し、相乗効果を狙ったレイアウトを心がけています。雑貨は植物の邪魔をしないことや、お客様が選びやすいことなどを意識しています」と村形さん。
季節感も大切にしているポイント。先まわりしすぎずに、旬をしっかりと感じられるようなディスプレイを心がけています。
2つの出会いが教えてくれた
ガーデニングの楽しさと大切さ
細やかな気配りで接客にあたる村形さん。20代の頃の関心ごとは植物ではなく、料理をさらに美しく見せるテーブルコーディネート (la décoration de table)やフランス語を学ぶことだったそう。日仏文化協会が主催する、フランス文化体験プログラムに参加し、コルドンブルーやエコール ルノートルで料理を学んだことも。街の花のある美しい風景や光景も「きれいだな」と思う程度でした。
村形さんが花にのめり込んだのは、2つのこと(出会い)がきっかけでした。一つめは、テーブルコーディネートで花に関心を持ち始めた頃にイギリスで始まった歴史ある装飾園芸の技法を知り、2000年にハンギングバスケットマスターの資格を取得したこと。夢中で向き合ううちに腕を上げ、数年後には園芸雑誌やガーデニングショーで受賞しました。凝り性で、これだと一つ決めると突き進む性格が、今の村形さんを作っています。
きっかけのもう一つは、バラをこよなく愛する地釜政弘さんとの出会い。地釜さんは、東村山の自宅でたくさんの野ばらやイングリッシュローズなどを育てていた方で、地元の小学校にもバラ園をつくり、ミニコンサートを開催するなど地域に大きく貢献していました。村形さんは、その活動やバラを愛する姿に感銘を受け、花が持つ力を知ったのです。
その後はハンギングバスケットの資格を生かしながら、あちこちで活動。地釜さんに背中を押されたこともあり、東村山に拠点を置き、ショップをリニューアルオープンさせるに至りました。
ハウス内も見どころが満載!
ワークショップも開催される
ハウス内には、観葉植物やギフト用のランのほか、雑貨や季節の球根などが並んでいます。ここのディスプレイもナチュラルシックな雰囲気で、飾り方の参考になります。球根と合わせるコンテナ類は、アンティークタッチのコンパクトなものがほとんど。小球根を植えるのにおすすめ。
スタッフはそれぞれに長けていることが異なる多彩な陣容。村形さんは、そんな仲間をリスペクトしていると言います。切り花店出身者の技能を生かし、フレッシュリースなども販売。
ハウス内では、さまざまなイベントやワークショップも開催。定番の寄せ植えをはじめ、フラワーアレンジやリース作りなど、生活に楽しく取り込めるような講座が催されています。
村形さんのイチオシはコレ!
松村ナーセリーのクリスマスローズ
同じ地域で活躍する松村みよ子さんのリーフが美しいクリスマスローズ。真冬に輝くウィンタープランツとして欠かせません。たくさんの草花と合わせた華やかな寄せ植えなど、今までになかったようなアレンジができます。色・形、斑の入り方も多様で花も楽しめる、といった優れもの。地植えにしてもいいですね。
バラを栽培するガーデナーである恩人の「花で社会貢献する姿勢」に影響を受け、園芸店として地域への大きな貢献を目指す「Garden Shop T- Garden」。女性目線で細やかな気配りと品揃え、ディスプレイが心地よいショップです。2022年3月に店舗はカフェを併設して再リニューアルオープンする予定(詳細はHPをチェック)。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、西武新宿線「東村山駅」より徒歩17分。
【GARDEN DATA】
Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)
東京都東村山市久米川町2-1-2
TEL :042-395-1956
営業時間:9:30~17:00
定休日:水曜日/8月は長期休暇あり
https://www.t-garden-hana.com/
Credit
写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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