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イギリス

イギリス流の見せ方いろいろ! みんな大好き、チューリップで春を楽しもう
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々で見つけたチューリップの開花シーンをご紹介します。 存在感ある鉢植えで魅せる まずは、世界中のガーデナーが憧れるシシングハースト・カースル・ガーデンの、鉢植えアレンジ術を覗いてみましょう。 春のコテージガーデンにドーンと置かれているのは、明るいオレンジ色のチューリップが溢れんばかりに咲く銅製の大鉢。存在感たっぷりで、見る者の視線を集めます。このガーデンの春の植栽は、黄色とオレンジがテーマカラー。鮮やかなオレンジ色の花が、トピアリーの緑や鉢の緑青によく映えて、快活な春の景色をつくっています。 こちらは一転して、ニュアンスカラーの、優しいトーンの花景色です。鉢にしているのは、かつて家畜用に使われていた、古い石の餌入れ。イギリスの田舎ならではの発想ですね。温かみのあるレンガ造りの家壁にしっくり合う石鉢と、それにマッチする花色のチューリップをうまく選んでいます。 花壇に置かれたこちらの鉢植えは、素焼きの大鉢を使い、赤や紫の同系色の花色でまとめたもの。色とりどりの春の花が咲いて、野原のような、のどかで可愛らしい印象の花壇に大鉢を置くことで、面白味のある変化を生み出しています。 フォーマルガーデンの彩りに イギリスの屋敷でよく見られる整形式庭園は、きれいに刈り込んだトピアリーや生け垣などで幾何学的な模様を描いた庭。その花壇は季節の花で彩られますが、花色が豊富なチューリップは、春の整形式庭園を彩るのにもぴったりです。 こちらは、ウェールズにあるエルディグのヴィクトリア朝様式の庭園。緑の球状のトピアリーと、赤い玉が浮かぶように連続するチューリップの花が、リズム感のある楽しげな景色をつくり出しています。 チェシャー州、ライム・パークのダッチガーデンでは、幾何学模様を塗りつぶすように、明るい花色のチューリップが咲き誇ります。 デザインの幅を広げる2色づかい 花壇に咲かせる場合、異なる2色のチューリップを組み合わせると、植栽のデザイン性がぐっと高まります。こちらは、コッツウォルズの名園、ヒドコートの花壇。先が尖り、反りかえった花弁を持つ、ユリ咲きの白と黄のチューリップが、きらめく星のように花壇を明るく彩ります。 次は、ウェールズ、ダフリン・ガーデンの、ビビッドなマゼンタ色とオレンジ色の組み合わせ。ライトグレーの抑えた色調で統一された敷石や植木鉢が、鮮やかな花色を引き立てる、現代的な印象のテラスガーデンです。カラフルな宝石のような色合わせには、子どもも思わずかくれんぼしたくなる楽しさがありますね。 一方、こちらはウェールズ、トレデガー・ハウスの整形式庭園。きっちりと刈り込まれたツゲの生け垣に囲まれて咲くのは、白と黒のチューリップ。可愛らしいというチューリップの一般的なイメージを覆す、モダンでシックな雰囲気の組み合わせです。 草原や森にナチュラルに咲き広がる チューリップは、広い面積に咲き広がる様も素敵です。こちらは、ウェスト・サセックス州、スタンデンの庭。クロッケー用の芝生の脇にある土手に、芝草に交じってさまざまな色柄のチューリップが咲き広がります。キャンディが散りばめられたような、にぎやかな花景色は、花色や花姿が豊富なチューリップならではでしょう。 最後は、ケンブリッジにあるアングレジー・アビーのウィンターガーデンです。ヨーロッパシラカンバの林でピンクのチューリップが一面に咲き広がる様は壮観。色の少ない時期を明るくしようと、ガーデンデザイナーが計画した見事な花景色です。白く輝く樹皮とピンクの花色の組み合わせが、おとぎ話の世界のようにロマンチックですね。 さて、いろいろな見せ方のあるチューリップ、いかがでしたか。ぜひ、庭づくりのヒントにしてみてくださいね。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/
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フランス

フランス「リュクサンブール宮殿」の花壇【世界のガーデンを探る旅8】
『フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】』で、フランスにつくられる花壇における色彩感覚について解説しましたが、場所をパリ市内のリュクサンブール宮殿に変えて引き続きフランス独特の植栽について話をしたいと思います。 「リュクサンブール宮殿」は、パリの中心部にあり、元老院の議事堂として使用されていた宮殿で、現在は公園として一般に公開されています。毎日パリ市民が三々五々集まってきて、気ままに花を眺めながらそれぞれの時間を楽しんでいます。特に春に植えた花壇の花々がちょうど見頃になる初夏には、毎日晴天が続くうえ夜は22時頃まで明るいことも手伝って、パリ市民には人気スポットになっています。 フランス式の混植花壇はここにも 「リュクサンブール宮殿」も、やはり混植の花壇です。まずご紹介するのは、宮殿の前庭です。オレンジ色のダリアにピンクのペチュニア、それぞれの個性的な色合いを和らげているその他の花は、ブルーのサルビアやフレンチマリーゴールド、濃い紫のペチュニア、ブルーサルビアなど。それぞれが混ざり合って、緑の芝生に映えてきれいです。 角度を変えて、花壇に近づいてみましょう。左の背の高いえび茶色の植物は銅葉ヒマ(別名トウゴマ、‘ニュージーランド・パープル’)です。渋い色合いといい、ボリュームといい存在感のある植物で、夏花壇のフォーカルポイントとしてぜひ使いたい植物です。 植栽リスト Case1 【赤~オレンジ色系】銅葉ヒマ、ダリア、ペチュニア 【黄色系】フレンチマリーゴールド、カルセオラリア、ルドベキア 【青~紫系】ペチュニア、サンジャクバーベナ、サルビア(メドーセージ) 【葉物】スイスチャード、タイム 園内には、あちこちに椅子がいくつも置いてあります。色も渋いモスグリーンで、人どめの柵も低くて花壇の観賞の邪魔にならず、足掛けとしてもちょうどよい高さ。こんなところにもフランスのセンスを感じます。全体が、それぞれ心憎いまでに、色彩のハーモニーをつくりだしています。 宮殿のサイドにある花壇は、螺旋状に花が植えられています。結構自己主張が強いピンクのペチュニアを赤や黄色のコリウス、オレンジのマリーゴールドなどが独特の調和を見せています。ベージュ色の園路の砂利までもが、うまく引き立て役にまわっています。 植栽リスト Case2 【赤~オレンジ色系】銅葉ヒマ、ダリア、ペチュニア、ジニア 【黄色系】フレンチマリーゴールド、カルセオラリア、ルドベキア 【青~紫色系】ペチュニア、サンジャクバーベナ、サルビア、ヘリオトロープ 【葉物】スイスチャード、コリウス 宮殿に近い花壇です。ここの特徴は、高さを低く抑えて絨毯のような彩りで、明るく宮殿の荘厳さを引き立てている点です。手前と奥の花壇でマリーゴールドの色を微妙に変えることで、単調な配色にならないように奥行きを出す工夫があります。左奥に見えるヤシの木は、冬にはオランジェリー(温室)に運び込まれて、翌年の出番まで静かに春を待ちます。 植栽リスト Case3 建物側 【黄色系】マリーゴールド 【紫色系】ペチュニア、サルビア、ヘリオトロープ 【白色系】ジニア 手前の花壇 【オレンジ色系】マリーゴールド 【紫色系】ペチュニア、サルビア 【白色系】ジニア 違う年の春の花壇です。丈の低い紫のチューリップと、花茎が長く背の高い紫とピンクの斑が入ったチューリップの2種の、シンプルな組み合わせ。3種のチューリップだけで、立体感のある色彩の帯ができています。低いツゲの黄緑色の縁取りがくっきり現れて、花壇をより引き立てています。 参考までにイギリスのハンプトンコートの花壇と比べてみてください。フランスとは明らかに違った感覚の植栽です。皆さんはどちらが好みでしょうか? イギリスの花壇に使われている植物は、外側からロベリア、マリーゴールド(白)、マーガレットコスモス(黄色)、斑入りのカンナ。 再び「リュクサンブール宮殿」に戻り、他の花壇の彩りをご紹介しましょう。 公園の森のあちこちに銅像などのモニュメントがあり、その足元は花壇に囲まれています。ゆるく盛り上がったここの花壇も、混植されていますが2〜3種類程度の限られた数の植物を使いながらも、はっきりとした色合いで演出されています。驚くことに、公園内のあちこちに点在するモニュメントのすべての場所で、花の組み合わせは異なっていました。 ここまでご紹介した花壇に植えられているほとんどの植物は、日本でも栽培されています。夏にはほとんど雨の降らないフランスとは違い、ダリアや球根ベゴニア、ゼラニウムなどは、雨が多く蒸し暑い日本では夏花壇での使用は真似ができませんが、花の色使いや組み合わせは、とても参考になります。 フランスの花壇、いかがでしたか? 『フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】』でも解説したように、フランスにはいまだに印象派の色合いが受け継がれているように思いましたが、もしやその色彩感覚は、フランス人が生まれつき持っているセンスなのかもしれません。ちょうど日本人が墨色の濃淡で風景や感情を感じられることと同じかもしれませんね。
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イギリス

英国の名園巡り 侯爵夫人の人生の喜びが散りばめられた「マウント・スチュワート」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 マルチな才能を持った侯爵夫人 イーディス イーディスは父親譲りのポジティブな性質で、乗馬やヨットの旅を楽しむ、行動力のある女性でした。夫の第7代ロンドンデリー侯爵チャールズが政界に入ってからは、支援のために社交界で動き、また、第1次世界大戦時には、女性による後方支援部隊の統率役も担って、上流社会で影響力を持つようになります。一方で彼女は、庭づくりに加え、伝記や子ども向けの物語を執筆するなど、芸術性や文才にも秀でていました。5人の母でもあり、じつにエネルギッシュで、多面的な才能にあふれた人物でした。 朝日と夕日の庭 イタリアン・ガーデン イーディスは結婚当初、ヨットでスペインやイタリアへ旅し、また、持病の療養のため、夫と共にインドに長期滞在したこともありました。そうした旅先で目にした歴史的な庭園の数々が、彼女の植物や庭づくりへの興味を育てたといいます。 第1次世界大戦後の1920年、41歳の時に、イーディスは末娘となるマイリを期せずして身ごもり、その妊娠中に庭園の設計を始めます。それから始まる庭づくりの日々は、彼女にとってこの上なく幸せで、創造的な時間でした。 イーディスが最初に取り組んだのは、屋敷の南側、入り江を見下ろす斜面に広がるイタリアン・ガーデンです。子ども時代を過ごした思い出の場所、スコットランド、ダンロビン城の庭園に似せた整形式庭園(パーテア)が東西に2つ並ぶ構図に、彼女はイタリアで目にしたボボリ庭園のようなルネッサンス期の名園のエッセンスを加えました。 1921年、イタリアン・ガーデンは、熟練庭師と復員してきた21人の男性の力を借りて形づくられました。この庭はもともとローズガーデンとして計画されましたが、海沿いの土地にバラの生育条件が合わず、数年後にまた新しいカラースキームを考えることになりました。 イーディスは2つのパーテアのうち東側(写真左)を、中心から、鮮やかな赤、オレンジ、ブルー、シルバーと同心円状に変化する朝日のイメージで、また、西側は、深紅、薄ピンク、藤色、黄色、濃い赤紫色と変化する夕日のイメージでデザインしました。そして、英国に導入されたばかりの珍しく美しい異国の植物と、主流の宿根草や球根を合わせるという独自のスタイルで、植栽を構成しました。また、異国の花木をスタンダード仕立てにして、そこに新しいつる性植物を這わせるなど、見せ方も工夫しました。 イタリアン・ガーデンの東側には、動物などのセメント製のユーモラスな彫像が並ぶドードー・テラスと開廊(ロッジア)があります。絶滅した大型の鳥ドードーの像は、イーディスの父、チャップリン子爵を表現したもの。というのは、政治家だった子爵は、かつて風刺画でドードー(まぬけ)と揶揄されたことがあったのです。それを笑いに変えてしまう、イーディスのユーモアセンスが感じられます。また、ノアの方舟(アーク)は、アーク・クラブという、侯爵夫妻が主催した上流階級の私的な集まりを記念して置かれました。 イトスギの壁が印象的なスパニッシュ・ガーデン イタリアン・ガーデンの先に続くスパニッシュ・ガーデンは、スペインへの旅の記憶が詰まっています。インスピレーションの源となったのは、王族に案内されて訪ねたアルハンブラ宮殿やヘネラリフェのペルシャ式庭園です。両側に立つ印象的なイトスギの壁は、16世紀のベネチア人の旅人がヘネラリフェの庭へと続くアーケードを描写した記述をもとに、デザインされました。イーディスの構想通りに生け垣を仕立てられる、庭師の腕にも驚きます。 大好きな花が植わるサンクン・ガーデン 屋敷の西側にあるサンクン・ガーデン(沈床式庭園)と、その先につながるシャムロック・ガーデンは、屋敷の1階から見ることのできる唯一の庭です。サンクン・ガーデンの三方はパーゴラで囲まれていますが、イーディスは、そこに珍しい異国のつる性植物を絡めました。その内側に植わるのは、彼女が愛してやまなかったロドデンドロンとユリ。イーディスは香りのよい花が大好きでした。 イーディスにとって庭づくりは、知的活動と身体を動かすことの、両面の楽しみがありました。植物を育てること、そして、その場所にぴったりの植物の組み合わせを見つけることに、夢中になったのです。 イーディスは博識な知人に学んで、植物の知識を深めていきました。庭園のあるアーズ半島は、暖流のおかげで暖かい、地中海性気候の土地。イーディスはプラントハンターを支援して、似たような気候を持つ世界各地からたくさんの新しい植物を集め、この庭で実験的に育てました。 アイルランド神話の世界 シャムロック・ガーデン イーディスを魅了するものの一つに、アイルランド神話がありました。この庭では、アイリッシュハープをはじめ、アイルランドや神話にまつわるモチーフの、たくさんの小さなトピアリーが楽しめます。手前の、手の形をした花壇は、〈アルスターの赤い手〉という神話がモチーフ。セイヨウイチイの生け垣に囲まれた庭園自体も、上から見るとアイルランドの国花である三つ葉(シャムロック)の形を表しています。 他にも、イーディスが末娘のためにつくったマイリ・ガーデンや、大好きなユリを育てたリリー・ウッド、湖畔の墓地、それから、美術品がたくさん飾られた新古典主義建築の屋敷と、見どころがたくさんあります。北アイルランドの至宝を、ぜひ訪ねてみてください。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語)http://www.ntejc.jp/
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フランス

フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】
フランス式庭園を彩る花々から色彩感覚を探る 『「フランス「ヴェルサイユ宮殿」デザイン編【世界のガーデンを探る旅6】』では、ヴェルサイユ宮殿とフランス式庭園の誕生、そして庭全体のデザインについてご紹介しましたが、今回はフランス独特の植栽について、花壇を例に解説します。 ベルサイユ宮殿の春の花壇です。黄色系のスイセン(3種類)に赤系のチューリップ(4〜5種類)が混植されています。ポイントは濃紫の八重のチューリップでしょう。黄色や赤だけではぼやけた印象になるので、濃い紫を差し色にして、花壇の色彩を引き締めています。また白いスイセンを入れることにより、全体の色合いが単調に混ざるのを防ぐと同時に優しさをプラスしています。 低い草ツゲに揃えて、草丈の低い球根類に限定し、黄緑の草ツゲと深緑のイチイの刈り込みが花壇の色彩を引き立てています。特にイチイの深緑を点在させることで、広大な敷地に立体感と奥行きを生み、遥か向こうにあるアイボリーホワイトの宮殿までの距離感と重厚さを効果的に演出しています。 ヴェルサイユ宮殿の花壇づくりのテクニックを探る 植栽リスト Case1 【宿根草】ガウラ、マーガレット、ルドベキア、デルフィニウム、ダリア 【一・二年草】ニコチアナ、三尺バーベナ、クレオメ、サルビア、デージー他 こちらは、ヴェルサイユ宮殿の北側の花壇です。少し高めのツゲの刈り込みの中に、いろいろな花が植栽されています。一見無秩序に咲き乱れているかのようですが、それぞれ一塊のブロックになっています。写真の時期は初夏ですが、宿根草と一年草が入り乱れる植栽は、英国庭園に見られるナチュラルな植栽とは違い、モダンな印象を受けます。 植栽リスト Case2 【白色系】ニコチアナ、ストック、ペチュニア 【桃色系】ダイアンサス(セキチク系)2種類、ストック 【黄色系】コレオプシス 南側の花壇は、低い草ツゲのエッジが整ったカーペット花壇です。幾何学的な模様の中に背の低い花々が植え込まれています。一年草と二年草の組み合わせで1ブロック2mほどを1パターンとして、黄色、ピンク、白と繰り返して花色がつながり、まるで絵画の印象派を思わせる淡い彩りがガーデンに浮かび上がっています。 このように花色を混ぜ合わせる手法は、やりすぎると色が濁ってしまうのでセンスを要します。 黄花のコレオプシスに濃い桃色のダイアンサス…およそ調和し難いこの2色をニコチアナ、ペチュニア、ストックの白花がうまくつないでいます。このように10種類近くの草花を組み合わせながらも、色の混乱を避けることは、植物知識と色彩感覚、美的センスなど、さまざまな能力が必要です。しかも、この広大な敷地にタイミングよく植え込むのです。苗の確保と植え込み作業、その後のメンテナンスまでトータルに考え実行する…ガーデナーとは、なんとクリエイティブな仕事なのでしょう。 植栽リスト Case3 【赤〜桃色系】ゼラニウム、ベゴニア、セキチク 【青〜紫色系】バーベナ、ヒエンソウ 【黄色系】不明 【白色系】ペチュニア、ニコチアナ 初夏の植え込み直後と思われる花壇です。20〜25㎝間隔で苗が植え込まれています。これが1カ月も経てば、隙間なくお互いにくっつき合うように育ってくれるとはうらやましい限りです。日本は梅雨や夏の高温多湿により、病気や蒸れで草花へのダメージが大きいのですが、フランスでは高緯度による優しい日の光がぐるっと根元まで届くことや、涼しい夏のおかげで、ある程度の密植は問題がないようです。もちろん、有機物がいっぱい入った土づくりにも力を入れていることでしょう。 現代の花壇にも表現されている印象派‘モネ’の色 初夏の中央花壇です。なんて素晴らしい混植花壇なのでしょう。フランスの人たちの美意識の高さがうかがえる、とても魅力的な植物の組み合わせです。 植栽リスト Case4 【赤色系】ゼラニウム 【桃色系】ダリア(2種類)、ストック(八重)、バーベナ 【青〜紫色系】デルフィニウム 【白色系】デルフィニウム、ニコチアナ、シロタエギク 淡い桃色のダリアを中心に、ゼラニウムの独特な緋色がアクセントになっています。こんもり盛り上がったフラワーベッドには、垂直に立ち上がる縦のラインと、低く広がる淡い色。この色合いは、もしやあの絵画で見た色構成ではないでしょうか? オランジュリー美術館で展示されている、有名なクロード・モネの描いた‘睡蓮’です。ヴェルサイユ宮殿の花壇の色合いは、まさにこの絵そのものではないかと私は思うのです。晩年のモネは、目が徐々に不自由になり、ものの形がはっきり識別できなくなっていたそうですが、その中で描かれたこれら一連の作品‘睡蓮’は、色彩の魔術師と称され、今もなお多大な影響力を持つモネの集大成といわれています。この‘睡蓮’の色使いと、ベルサイユ宮殿の花壇の色づかいには多くの共通点があるように思います。フランスには、今もモネの色彩感覚が脈々と息づいていると感じるのです。 植栽リスト Case5 【赤色系】ゼラニウム、ダリア(2種類) 【白色系】クレオメ、コレオプシスデージー 【シルバーリーフ】不明 晩夏の中央花壇です。緋色のゼラニウム、桃色のダリア、そこに白花のコレオプシスデージーが独特の葉色とともに混植されています。初夏のデルフィニウムに変わって、白のクレオメがふわりと立ち上がり、咲き誇っています。桃色のダリアも草丈を伸ばし、初夏とは違ったボリューム感を見せています。 ヴェルサイユ宮殿のカーペットベディング ヴェルサイユ宮殿のずっと西の端、あまり人が訪れないエリアにまでカーペットベディング(毛氈花壇)がありました。白いエケベリアをうまく使って、赤いベゴニア・センパフローレンスやハゲイトウ、アルテルナンテラなどが使われています。日本では考えられない組み合わせですが、是非チャレンジしたいものです。ベッドを円錐状に盛り上げたり、斜面を生かした花の見せ方には感心します。 植栽リスト Case6 【赤色系】ベゴニア・センパフローレンス、アルテルナンテラ 【葉物】エケベリア、アスパラガス、シロタエギク フランスには、いまだに印象派、特にモネの色合いが色濃く残っているような気がしますが、いかがでしょうか? イギリスをはじめ、他の国ではこのような混植は見たことがありません。ぜひ皆さんも、フランスへ旅する機会があったらフランス式花壇をじっくり観察してください。フランスの草花が特に美しい季節は8〜9月です。
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イギリス

英国の名園巡り 大邸宅のスケールを楽しむ「ブリックリング・エステート」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 英国史の舞台となった屋敷 ブリックリングの歴史は古く、11世紀には、ヘイスティングスの戦いでウィリアム1世に敗れた、イングランド王ハロルド2世の領主館がありました。16世紀には、ヘンリー8世の妻となったアン・ブーリンの父親が所有しており、アンはここで生まれたともいわれています。王室に近い貴族や主教など、ブリックリングは時の有力者の手に次々と渡ってきました。 現在見られるジャコビアン様式の赤レンガ造りの屋敷は、法律家で准男爵のヘンリー・ホバートによって、1619年から建てられたもので、ヘンリーの死後、地所はホバート家の親族によって受け継がれてきました。そして1940年、ブリックリングの最後の主であり、2つの世界大戦の間に政治家、外交官として活躍したフィリップ・カー、第11代ロージアン侯爵によって、ナショナル・トラストに遺贈されました。 ブリックリングの風景でまず目を引くのは、赤レンガの屋敷とシックなコントラストを見せる、堂々たるイチイの生け垣です。エントランスの生け垣は17世紀初めに屋敷が建てられて以来、400年にわたって引き継がれているもの。長い時の流れが感じられます。そして、庭園にチェスの駒のように点在するトピアリーも印象的です。遠目では可愛らしく見えますが、じつは大人が見上げるほどの大きさ。これほど立派なトピアリーには英国でもそうそうお目にかかれません。 ノラ・リンゼイが設計したパーテア 館の東側には、美しいパーテア(植物で幾何学模様を描く整形式庭園)が広がっています。19世紀後半には、大小80の花壇とトピアリーによって凝った模様が描かれていましたが、現在見られるデザインは、第11代ロージアン侯爵の依頼を受けて、1932年にガーデンデザイナーのノラ・リンゼイによって再設計されたものです。 ノラ・リンゼイは上流階級の出身で、独学で園芸知識を身に着けてデザインセンスを磨き、20世紀を代表するガーデンデザイナーとして活躍しました。彼女の友人には、名園ヒドコートをつくったローレンス・ジョンストンや、シシングハーストのヴィタ・サックヴィル=ウェストがいます。 ノラは、噴水を中心に、4つの大きな正方形の宿根草花壇を配置するという、ごくシンプルなデザインに変え、花壇をピンク、ブルー、藤色、白の花々で埋めました。時代の先端をだったその植栽デザインは、今でも古さを感じさせません。 咲き広がる春のスイセン ブリックリングの敷地には広い草地や農場があり、その総面積は2,000万㎡に及びます。屋敷から少し離れた野原のエリアは、春は黄色いスイセンで埋め尽くされ、人々が散策を楽しむ憩いの場となります。 小さな谷のエリアでは、冬はヘレボレス、初夏にはジギタリスが咲き広がって、人々を出迎えます。5月にブルーベルが咲く森もあって、一年を通じて、英国らしい季節の移ろいが楽しめます。 英国ナショナル・トラストでは、会員になって年間パスポートを手にすれば、何度でも庭園に入場することができます。こんなに美しい場所をいつでも楽しめるなんて、地域に暮らす人々が羨ましいですね。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/
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フランス

フランス「ヴェルサイユ宮殿」デザイン編【世界のガーデンを探る旅6】
絶対王政の象徴 ヴェルサイユ宮殿 メソポタミアから始まった西洋の庭の流れは、イタリア・ルネサンスを経てフランス王朝へと受け継がれていきます。それまでは地中海が世界のすべてでしたが、バスコ・ダ・ガマやコロンブスなどの登場によって、大きな世界が認知され、植民地支配による莫大な富がフランスへと流れ込みました。ここに世界の富の中心がイタリアからフランスへと移り、絶対王政の象徴としてのヴェルサイユ宮殿がつくられたのです。 今回取り上げる「ヴェルサイユ宮殿」の庭は、後につくられる数々の庭へあまりにも大きな影響を与えた重要な存在。まずは、ヴェルサイユ宮殿の庭について、詳しくご紹介したいと思います。 フランス式庭園の誕生 フランスの王ルイ13世の狩猟場であったヴェルサイユの丘の上に建てられたヴェルサイユ宮殿。バロック建築の代表作とされるこの美しい建物は、太陽王ルイ14世の命で建築家ル・ヴォーとマンサールが設計し、建造に5年の歳月をかけて1665年に完成しました。 その後50年に渡ってさまざまに手が加えられ、全長550m、部屋数700室を超える豪華で重厚な宮殿が完成したのです。フランス式庭園の最高傑作といわれる庭園は、1667〜1670年に、アンドレ・ル・ノートルによってつくられました。ル・ノートルは、ルイ14世の依頼を受けてイタリアに旅し、かの地でいろいろな庭園を見て回ったといいます。イタリアの旅先で受けたインスピレーションを、彼なりにフランス風にアレンジし、重厚なヴェルサイユ宮殿の建物に負けない1,000ヘクタールもの庭園をつくり出したのです。 ヴェルサイユ宮殿とその庭園は、左右対称の配置になっています。宮殿正面広場には花や緑はまったく見られず、石の重厚感に圧倒されながら、バロック、ロココ調の宮殿に入ります。宮殿の中は外観とは打って変わって豪華絢爛。太陽王ルイ14世の名にふさわしい、きらびやかさを今も放っています。 宮殿を通り抜けると、目の前にはラトナの泉と見渡す限りのシンメトリックな庭園を見下ろすことができます。1919年に、ここでドイツと連合国によって締結されたヴェルサイユ条約により、第一次世界大戦が終わりました。 ル・ノートルがつくったフランス式庭園の特徴は、中心を通る軸線に対して左右対称に幾何学模様をデザインし、いろいろな要素を完璧なまでに配置しているところにあります。この庭園の誕生によって、自然をも支配する絶対君主の存在を人々に示しました。 もともと宮殿は、周囲を見下ろす丘の上に建てられたため、近くに水源がありませんでした。そこで、10㎞も離れたセーヌ川に「マルリーのポンプ」と呼ばれる揚水機をつくって、庭園内の噴水に使う水を水路で運び込んだのです。 宮殿を出て、左右に高く茂る緑の生け垣と真っ白な大理石の彫刻を見ながら丘を下っていくと、楕円形の「太陽神アポロンの噴水」にたどり着きます。ギリシャ神話の神アポロンが、4頭の馬が引く戦車に乗って海から出てくる様子を黄金色の彫像で表現しています。その場所から見上げる宮殿の威容は、まさに自然をも支配したいと願ったルイ14世の心意気を感じさせます。 毛氈花壇とボックスウッド 宮殿を出て左へ行くと、ペルシャ絨毯を思わせる毛氈花壇が広がる南の花壇があります。円錐形に刈り込まれた濃緑のイチイが効果的なアクセントとなり、低く刈り込まれたボックスウッドにより緑の幾何学模様が浮かび上がっています。緑の縁取りの中には、フランス独特の色合いの花々が咲き、訪れる人を引き込んでしまいます。 ルーフガーデンから見下ろすオランジェリー 緑と花の毛氈花壇を楽しみながら進むと、花壇の先に不思議な空間が広がります。と同時に自分がいた場所が、いつの間にかルーフガーデンでになっていることに驚かされます。石の手すり越しに見下ろすと20mほど下には、丸い池を配したフォーマルガーデンの緑とベージュ色の庭が広がっています。ここはオランジェリーに囲まれた春から秋までがシーズンの庭です。よく見てください。ほとんどの植物は緑の木箱に植えられていることにお気付きでしょうか? 植えられている植物は、オレンジの木や月桂樹、それに南の植物のヤシなどです。 これらの木々は、左側に建つ高い窓が配された部屋「オランジェリー」で冬越しをします。オレンジは、もともとインドのアッサム地方が原産地なので、フランスの寒さに弱く、また当時はまだガラスで囲まれた温室はなかったため、オレンジなどの木々は建物の中で加温して冬越しさせました。イタリア・ルネサンスで始まったオランジェリーも、庭とともに着実にフランスへと受け継がれていきます。当時の貴族の人々は、オレンジの実を楽しむだけでなく、冬にはオランジェリーでその香りも楽しんだことでしょう。 トピアリーの道とラトナの噴水 宮殿の裏から右、北の花壇へ行くと、ゆるいスロープの両側に、さまざまに刈り込まれたトピアリーが並ぶ園路があり、下ったその先には「ラトナの噴水」があります。ここでは4〜10月の毎週日曜日に音と水の祭典が開かれています。 ヴェルサイユ宮殿の庭は、基本は左右対称で東西に中心線が走っています。基本的な配置は左右対象ですが、それぞれのパートは必ずしも左右対称ではありません。場所ごとにデザインと工夫が施され、考えられるほぼすべてのタイプの庭がヴェルサイユ宮殿にはあり、そのアイデアの豊かさに驚かされます。ル・ノートルが残したこの庭が、現在までのフランス式庭園のすべてのモデルになっているといっても過言ではないでしょう。 このあと大航海時代に入り、フランス王朝の没落とともに世界の富と文化の中心がドーバー海峡を渡っていきます。イギリスでも最初はフランス式庭園が多くつくられますが、その話はまだまだ先のこと。次回『フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】』では、ヴェルサイユ宮殿の花壇や、パリの庭の話をしましょう。
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イギリス

英国の名園巡り イギリス南西部のエキゾチックな庭「トレングウェイントン・ガーデン」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 世界中の植物が茂る庭 トレングウェイントンの屋敷と庭は、1817年、ジャマイカから帰郷した資産家のサー・ローズ・プライスによって整えられました。その後、1867年に、地元の実業家トーマス・サイモン・ブリソーの手に渡り、以来、1961年にナショナル・トラストに寄贈されるまで、ブリソー家で6代に渡って受け継がれてきました。12万㎡ほどの広い庭には、石塀に囲われたエリアと、小川に沿って小径を散策できるエリアがあります。 庭づくりに特に熱心だったのは、3代目のサー・エドワード・ブリソーです。20世紀前半、彼は、州内随一といわれた有能な庭師とともに、園内に小川を引いたり、世界各地の珍しい植物を集めたりして、庭園を充実させました。 5月になると、かつてプラントハンターが持ち帰った希少な品種を含むアザレアやロドデンドロンが、小径を鮮やかに彩り、甘い香りで満たします。 異国情緒あふれるツリー・ファーンの林 園内で最もエキゾチックな雰囲気が漂うのは、ツリー・ファーン(ディクソニア・アンタルティカ)の茂る林です。一見するとヤシの木のような、オーストラリア原産の大きなシダが、ひんやりとしてほの暗い、静かな世界をつくります。そこに明るさをもたらすべく植えられているのは、鮮やかな花色のツバキやロドデンドロン。他では見られない、ちょっと面白い取り合わせです。 花々に縁どられる小川の庭 こちらは、園内を流れる小川に沿ってつくられた、ストリーム・ガーデン。小川の流れは自然で、その昔に人工的につくられたとは信じられません。アメリカミズバショウ、ヤグルマソウ、ホスタ、シダ、ヘメロカリス、クロコスミアといった植物が植えられた、解放感のある水辺の景色が素敵です。 春から初夏にかけて、小川はさまざまな花に縁どられます。中でも目を引くのは、黄と赤紫の色鮮やかなカンデラブラ・プリムラ。燭台のようにすっと伸びた姿をして、小川のそばでよく育つプリムラです。 ノアの方舟を模したキッチン・ガーデン 石塀でぐるりと囲われ、傾斜のついた花壇のあるキッチン・ガーデンも見逃せません。この地所を最初に整えたサー・プライスは、いささかエキセントリックな信仰を持っていて、キッチン・ガーデンを、ノアの方舟の大きさ(およそ120×20m)に合わせてつくったと伝えられています。なかなかユニークな発想ですね。現在、このキッチン・ガーデンの一部は、地元の人々や小学生のコミュニティーガーデンとして使われています。 ペンザンス周辺には、海辺の断崖絶壁につくられた野外劇場ミナックシアターや、英国最西端となるランズエンドなど、ダイナミックな自然を感じられる観光スポットがあります。ぜひ周遊して、コーンウォールの旅を満喫してください。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/ Information 〈The National Trust〉Trengwainton Garden トレングウェイントン・ガーデン コーンウォール州ペンザンスへは、ロンドンから車で約6時間。電車では、ロンドン・パディントン駅からペンザンス駅まで約5時間。駅のバス・ステーションから庭園へは約20分、タクシーなら約10分。2月12日~10月29日の月~木と日に開園(10:30~17:00、屋敷は非公開)。 住所:Madron, near Penzance, Cornwall, TR20 8RZ 電話:+44 (0) 1736363148 https://www.nationaltrust.org.uk/trengwainton-garden Credit 文/萩尾 昌美 (Masami Hagio) ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川生まれ、早稲田大学第一文学部・英文学専修卒。
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イギリス

英国ナショナル・トラスト ウィンターガーデンの楽しみ
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 足元に咲く可憐な球根花 大木の根元に咲き広がるシクラメン・コウムは、冬の庭に明るさをもたらしてくれる貴重な存在。草丈10㎝程の小さなシクラメンで、多少の霜にも耐えられます。 氷の妖精みたいな小さなアイリスは、レティキュラータ種の‘キャスリン・ホジキン’。草丈12㎝程の可愛らしいアイリスで、晩冬から早春にかけて、スノードロップと同じ頃に花開きます。 うつむく純白の花を咲かせるスノードロップ。イギリスでは落葉樹の林に群生しているところも多々あり、春が近づいていることを真っ先に知らせる花として親しまれています。花姿が微妙に異なる、さまざまな園芸種も出ています。 寒さが生み出す芸術 霧氷に美しく縁取られたカエデの葉。冬ならではのアート作品です。 一面の霜に覆われる、早朝のキッチンガーデン。凍りつくケールが砂糖菓子のよう。 朝もやの中、濠の向こうに浮かぶスコットニー城。静寂に包まれたモノトーンの世界。 庭の人気者 ロビン 裸木の多い冬の庭では、餌を求めてやってくる小鳥の姿も見つけやすく、野鳥観察が楽しめます。赤い顔と丸みのある姿が愛らしいロビン(ヨーロッパコマドリ)は、物語に出てきたり、クリスマスカードのモチーフに描かれたりと、英国の人々に広く愛されています。 ロビンが止まっている低木は、ミズキの仲間、コルヌス・サングイネア‘ミッドウィンター・ファイヤー’。その名の通り、燃えるように鮮やかなオレンジ色の幹や枝が、彩りの少ない冬の庭のアクセントとして楽しまれています。 いかがでしたか、英国の冬の楽しみ。あなたの周りでも、冬ならではの庭景色を見つけてくださいね。 併せて読みたい ・上野ファームの庭便り「冬を楽しみ、冬を飾る」絵になるガーデンシーン ・庭で野鳥観察! 庭にバードフィーダーを置こう 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/ Credit 文/萩尾 昌美 (Masami Hagio) ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川生まれ、早稲田大学第一文学部・英文学専修卒。
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イタリア

イタリア式庭園の特徴が凝縮された「ヴィラ・カルロッタ」【世界のガーデンを探る旅5】
イタリア式庭園の特徴をすべて備えた「ヴィラ・カルロッタ」 北イタリアの庭園巡りも、いよいよこの庭が最後になります。イタリア式庭園の特徴であるテラス状になった植栽帯や、豊富な水と巧みな高低差を使った噴水、そして大理石彫刻の見事さ。さらには、どこにも負けない鮮やかな花の色。そのすべてが見られるのが「ヴィラ・カルロッタ」の庭です。 コモ湖を望むこのヴィラは、湖畔の入り口から正面を見上げると、フォーマルな佇まいの噴水と花壇の向こうにそびえ立つ白亜の邸宅が、緑の山を背景に威厳をたたえて我々訪問者を見下ろしているかのようです。 カルロッタ邸の歴史に関わった貴族たち ここは元々16世紀に絹貿易で財産を築いたクラリチ一族(Clerici family)のものでした。17世紀にミラノの銀行家ジョルジョー・クラリチ伯爵(Giorgio Clerici)の別荘として今の姿になり、その後19世紀にナポレオンの友人のジャン・バチスタ・ソンマリーヴァ伯爵(Gian Battista Sommariva)の手に渡り、庭を改修したり美術品を蒐集するなどしました。その後、この邸宅の名称になっているカルロッタの母親、マリアンネ公爵夫人の手に渡り、夫人の夫が広大な敷地内に植物園をつくりました。そして、結婚祝いに、このヴィラが娘のカルロッタにプレゼントされ、カルロッタ邸となったのです。この素晴らしいヴィラを贈られたカルロッタは、なんと23歳の若さで亡くなってしまいました。 何代もオーナーが変わりながら、7ヘクタールもの敷地の中には、カルロッタの父が世界中から集めた植物により植物園になったのですが、特に、日本のツツジやシャクナゲ、ツバキのコレクションは有名で、日本を思わせる竹林もあります。また、邸宅の中には数々の美術品も収蔵されていますが、なかでも、「ロミオとジュリエットの最後のキス」と題された18世紀末のロマン主義画家による作品が、近くの窓から見える湖の風景とも調和し、訪れる人にため息をつかせます。現在は、カルロッタ財団により運営、一般公開され、世界中から観光客が訪れています。 カルロッタ邸の敷地内をご案内します 外から見ると敷地内に高低差があることをあまり感じませんが、一歩中に入ると、前庭には十分な奥行きと広がりがあり、知らず知らずのうちに建物の足下までたどり着きます。そこから見上げるヴィラは白くそびえ立ち、その建物と庭の配置のすばらしい演出効果で、気がついた時は庭の中に吸い込まれているのです。 前庭から最上階のテラスまで登る左右対称につくられた階段には、白い大理石に映えるベゴニアとつるバラが咲き、そして上階の手すりにはアイビーゼラニウムが飾られています。植物のセレクトは、すべてイタリアンレッドです。 最上階からの絶景と庭の融合 テラスの最上階ではコモ湖を望み、遠くの山々が見渡せる絶景が待っています。ここにたどり着くまでに設けられている1段目のテラスと2段目のテラスが、最上階で待っている景色への期待感を徐々に高めてくれます。 まず前庭から階段を上り、最初のテラスに出ると、レモンやオレンジなどの柑橘類のトンネルが現れます。ここで一度周囲の眺望を消し去り、2段目のテラスに到着すると、背丈より高い赤いサルスベリで少し視界と明るさを取り戻します。さらに3段目の最上階へ到達すると、この庭の最高の絶景が目を楽しませてくれます。コモ湖の向こうには濃い緑の山々と蒼い空が広がり、手前に配置された1列の赤いハイビスカスの鉢植えが、それらを引き立てる心憎いまでの演出には、ただただ感心するばかりです。 お屋敷には美術品の数々 全体がパステルブルーに塗られた吹き抜けのメインホールに一歩入ると、真っ白な彫像やレリーフに目を奪われます。カノーヴァの彫刻をはじめ、さまざまな芸術品が当時のインテリアとともに鑑賞できるという贅沢なひとときも味わえます。 ヴィラの裏手にはまぶしい緑、そして振り返れば深い群青色のコモ湖と蒼い空が窓の外に広がっています。天井画や美術品に水面の反射光がさして、鑑賞するものすべてが輝いて見えます。 ヴィラの裏側にもかわいらしい花壇がありました。真っ白な大理石の砂利が緑の中に一際存在感を出しています。つげの生け垣のデザインもちょっとユーモラスで、ここでは赤に代わって優しいオレンジ色がアクセントに。園主のおもてなしの心が感じられます。 植物園の中の毛氈花壇では、寒い北風からヤシを守るように、背景にさまざまな高木や針葉樹の森が広がっています。緩やかな斜面には、ピンク、黄色、オレンジ、パープルとパッチワークのように夏の花が咲き、木々の緑と対比する花色の洪水が、不思議な迫力をつくり出しています。写真の右端に写っている人影と比べれば、この庭園のダイナミックなサイズ感がお分かりになると思います。 「ヴィラ カルロッタ」がある街、トレメッツォ 北イタリアの湖水地方の中でも美しいコモ湖を望む観光地、トレメッツォは豪華な邸宅が立ち並ぶことでも有名な場所です。かつて北イタリアはドイツ語圏(ドイツ、スイス、オーストリア)からの観光客が多かったのですが、今はアメリカンイングリッシュが聞かれ、英語がどこでも通じるので、安心して旅行ができます。 トレメッツォから少し離れた郊外の小さな村でも、広場には花に飾られた道標が出迎えてくれます。ルネッサンスから連綿と続いたイタリアの庭の歴史、宮殿からヴィラ、そして町の中へ。着実に、花のある豊かな暮らしの精神は引き継がれているようです。 ヨーロッパの富と文化の中心は、ルネッサンスの後、フランスの王族文化へと移っていきます。ルイ14世の命を受けたル・ノートルがイタリアを訪れ、そこから得たインスピレーションからベルサイユ宮殿の庭をデザインしていくというお話は、また次回にご紹介しましょう。
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イタリア

これぞイタリアの色づかい「ヴィラ・ターラント」【世界のガーデンを探る旅4】
世界中の植物が2,000種集まった 絶景も見逃せない植物園 今回ご紹介する「ヴィラ・ターラントVilla Taranto」は、世界中の植物約2,000種類が集められた植物園(Botanical Garden)として公開されています。一つずつの植物を観賞するばかりでなく、丘の上からは遠くに雪をいただくスイスアルプスが望める絶景や、真っ青で穏やかなマッジョーレ湖を望む丘もあり、一日ゆっくり景色も堪能しながら、贅沢な時間を過ごすことができる場所です。そして何といっても、ここイタリアでしか見ることのできない素晴らしい色づかいの花壇植栽が魅力です。 お気に入りの土地にガーデンをつくったMr.ネイル この庭は、20世紀の初めにスコットランド人のネイル・マックイーチャン(Neil McEacharn)によってつくられました。彼はお気に入りの土地だったマッジョーレ湖のほとりの古いヴィラを1931年に買い取り、世界中から植物を集めたのちに、この地に植物園を兼ねた壮大な庭をつくりました。それがこの庭園です。16ヘクタールの敷地内には、回遊式のイングリッシュガーデンスタイルをベースにした、世界有数の植物のコレクションがあります。フォーマルな庭をはじめ、噴水やさまざまなフラワーベッドなどがちりばめられ、園路の総延長は7㎞にも及びます。1939年、彼には跡取りがいなかったため、完成した植物園の中に自分を埋葬するという条件で、イタリア政府にすべて寄贈し、現在に至ります。彼は今もこの庭の中心にある花壇の中に眠り、庭を見守っています。 この庭をつくったネイル・マックイーチャンの碑を囲むように、ドーム状に花を咲かせているのは、黄色とオレンジのジニア。シンプルな植栽ですが、とても効果的で華やかです。 巨大なコニファーが並ぶエントランスからガーデン観賞スタート 両側に緑のグラデーションをつくるパイネータム(針葉樹園)のエリア「コニファーアレー」から、ガーデン散策がスタートします。ゆるやかな上り坂を進むと、森林浴をしているような清々しい気持ちになります。1930年代に植えられた樹木は、樹齢100年を超え、見上げるばかりの大木です。それぞれの種の持つ自然樹形や性質を比較しながら見ることができます。さまざまなコニファーの緑の株元を彩っているのは、カラフルなインパチェンスのボーダー花壇です。コニファーの緑の補色である赤いインパチェンスだけでなく、白やピンクを混ぜ合わせることにより、必要以上に鮮烈な印象になりがちな色の対比を和らげて、訪れた人を優しく迎えてくれます。 さらに進むと、夏の終わりのボーダー花壇のエリアに到着。手前には燃えるような黄色と赤のケイトウの花穂が眩しく輝き、陽射しの下で光り輝いています。芝の緑と空の青に対比する花色を選ぶのは、イタリアならではの組み合わせです。芝生はしっかり刈り込まれて、花壇のエッジが効いた、とても分かりやすいガーデンデザインです。 この庭で一番の見どころ 丘の上のフォーマルなテラスガーデン 丘の上に到着すると、テラス状になった敷地は、中央に水の流れを配し、左右対称のフラワーベッドになっています。遠くに山を望む素晴らしい借景の中、緑と赤の対比が目に飛び込んできます。ブロンズの少年が眺めているのは、屋敷の向こう、雪をいただくアルプスの山々でしょうか。 ガーデン全体が強烈なイタリアンカラーで、原色を対比させた配色の中に不思議な静寂感があります。イギリスのナチュラルな植物の組み合わせとはまったく違った、面で色構成されるイタリアの庭デザインは、ほかでは見ることのないものです。フラワーベッドの植物の使い方と配色は、日本のように夏が蒸し暑くなく、カラッとした気候の北イタリアならではの花風景。インパチェンスやケイトウが生き生きと育つ様子を見ると、日本でもこの派手な色づかいを試してみたくなります。 園路沿いには草丈2mにも育った赤やピンクのインパチェンスと、株元を引き締めるアゲラタムの紫。とても日本では考えられないボリュームです。 園内のあちこちに見られる花の植え込み。散策の途中でも飽きさせません。 ハス池の周りにも、対比する花色のサフィニアの鉢植えがアクセントに。 湖から8㎞離れた場所ですが、噴水はパイプで汲み上げた自然の水を使っています。 屋敷を引き立てる強烈な花色のバランス 屋敷の横には、赤一色だけのケイトウ花壇と芝生の対比。アクセントにスタンダード仕立てのバラが空中に浮かぶことで、芝の庭との間をつなぎます。これも、この庭独特のデザインの一つです。 今回、この庭を取り上げた理由は、現代のイタリアの庭の多くが、これほどにはイタリアンカラーを強調していないという物足りなさを感じたためです。造園の歴史から考えると、この庭は時代としては比較的新しいほうですが、それぞれのお国柄に合った植栽と配色は、当時も現在も同じ傾向にあると思います。造園の歴史は、イタリアルネッサンスのあと、フランスやイギリスへと移っていきます。次回はもう一つ、イタリアルネッサンスのヴィラをご紹介します。
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イギリス

イギリス、中世の館「コーティール」のクリスマス・ガーランド(花綱飾り)
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 伝統となったガーランドづくり コーティールのヘッドガーデナー、デイビッドさんに、お話を伺います。ガーランドづくりが始まったのは、今から60年余り前のこと。最初は、ここで働くスタッフやボランティアのために開かれるクリスマス・パーティーの飾りつけにと、つくられたのだそうです。毎年続けるうちに、庭で育てた花をドライフラワーにして使うようになって、ノウハウも蓄積。今ではコーティールに欠かせない年中行事となって、来園客を喜ばせています。 さて、ガーランドづくりの手順を追ってみましょう。 制作が始まるのは11月の初め。完成まで10日余りかかります。まず、ガーランドの土台に使う、トベラの仲間を庭から採ってきます。 小枝を切り揃え、小さな花束のように束ねていきます。 花綱の芯となる、長さ18mほどのロープに小枝の束を巻き付けて、ワイヤーでしっかりとくくりつけます。 モコモコの緑の太綱がどんどん伸びていきます! これが花綱の土台になります。 大切に育てたドライフラワー 次は花の飾りつけ。飾りに使うドライフラワーの花々は、どれもコーティールの庭で栽培され、収穫されたものです。スターチスやヘリクリサム、ラグラス、ゴウダソウ、スターチス・スウォロウィーといった、ドライフラワーに適した品種です。 切り花用の庭で栽培された花々は、コーンウォール州の変わりやすい天候の中、大切に育てられました。夏が来て花が咲き出したら、収穫の日々が続きます。2017年の収穫量は、堂々の3万2,000本。過去最高は4万本だったそうです。そして、なんと、その年収穫したすべての花が、ガーランドに使われます! ドライフラワーをきれいにつくるコツは、十分に花が開いた完璧な状態で摘むこと。そして、摘んだ当日からよく乾かせるように、お昼前に摘むことです。摘んだら、後で作業しやすいように葉をすべて落とし、20本ずつの束にして、風通しのよい冷暗所の天井から吊るして、乾燥させます。時間と労力を要する作業です。 中世の館にふさわしい壮麗なガーランド さて、工程もいよいよ大詰め。天井から土台となる緑の太綱が吊るされ、スタッフは組まれた足場の上で、色鮮やかなドライフラワーを差し込んでいきます。 隙間なく差し込まれた花々。均等に行きわたるよう、区画ごとに差す本数はしっかり計算されています。毎年、花の種類が少しずつ変わり、それに伴って、でき上がる花綱の印象も変わります。 ついに完成! 他に類を見ない、オリジナルのガーランド。真冬に現れた見事な花景色です。 扉まわりにも違うデザインのガーランドが。豪華な花飾りに、古風な建物が引き立ちます。人々の熱意から生まれた素晴らしいガーランドで、素敵なクリスマスが迎えられますね。 Information 〈The National Trust〉Cotehele (コーティール) コーティールへは、ロンドンから車で約4時間半。電車では、ロンドン・パディントン駅からプリマス駅経由で最寄りのカルストック駅(Calstock)へ。ロンドンから距離があるので、プリマスで宿泊するなど、余裕のある旅程を組むとよいでしょう。カルストック駅からコーティールへは車で10分ほどですが、駅にタクシー乗り場はないので自分で呼ぶ必要があります。また、駅から2.4km、道しるべに従って森の中を歩いても行けますが、坂道あり。冬の午後は暗くなるので懐中電灯の用意を忘れずに。庭園は通年開園。屋敷の開館は3月11日~10月29日。10月30日~12月31日(25日、26日を除く)は、クリスマス・ガーランドの飾られたホールのみ開館。11時~16時。 住所:St Dominick, near Saltash, Cornwall, PL12 6TA 電話:+44 (0) 1579351346 https://www.nationaltrust.org.uk/cotehele Credit 文/萩尾 昌美 (Masami Hagio) ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川生まれ、早稲田大学第一文学部・英文学専修卒。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】クイーン・メアリーズ・ガーデンズの花綱
ロンドン随一のローズコレクションは6月が見頃 クイーン・メアリーズ・ガーデンズは、ウィンザー朝の国王ジョージ5世の妻、メアリー王妃の名を冠した庭園で、1932年に一般公開が始まりました。ロンドンでは最大級のバラのコレクションとなる1万2,000株が植えられ、クラシックなバラからモダンローズまで、主な品種が揃っています。 リージェンツ・パーク内の壮麗なジュビリーゲートから、庭園のあるインナーサークルと呼ばれる区画に入ると、無数に花を咲かせるバラの花壇がさっそく迎えてくれました。淡いピンクに、オレンジ、濃い紫。さまざまなバラが咲く花壇が、カーブを描く園路に沿って続きます。一つの花壇には一つの品種が咲き、それが全部で85もあるそうです。 腰丈ほどに群れ咲くバラや、目の高さで咲くバラ、オベリスクに仕立てられたバラ、さまざまなバラが次々と現れて、景色が変わっていきます。左手には池があって、6月の初夏の陽気に爽やかな風が吹いていました。 「このバラは香るかな?」一種ずつ顔を近づけては確認したり、カメラを向けたり、たくさんのバラに囲まれて、なかなかお目当ての花綱の庭までたどり着きません。今回は見つけられませんでしたが、公園を管理する機関「ロイヤル・パークス」の名を冠したバラもあるそうです。ハークネス社作出のアプリコット色のハイブリッド・ティー・ローズで、病気に強くてよく咲き、公園用に最適なバラとのこと。 360度バラに囲まれるガーランドの名所 ガーデニングで「ガーランド」とは、綱につるバラが伝いロマンチックな景色を生むデザインのこと。このサークル状につるバラが誘引された花綱が見られる有名な場所がここ「クイーン・メアリーズ・ガーデンズ」です。高さ3mを超す木製のオベリスクが円を描くように立ち並び、その間に2本の綱が渡されて、多種のつるバラが絡まっています。まだつぼみが多い時期でしたが、早咲きのつるバラが開花を始めて、ロマンチックな景色をつくっています。 満開のつるバラの下で過ごす穏やかな時間 日本の観光ガーデンでも、この綱にバラのつるを沿わせて咲かせるガーランドとか、花綱(はなづな)仕立てに出合うことがありますが、ここのように、広い場所を使って360度、ぐるりと円形に花綱がつながっているガーデンは、ほかにありません。花綱で囲まれた園の内側にももちろんバラが咲き、美しいグラデーションを見せています。 花綱の下にはところどころベンチが置いてあって、語り合う人や新聞を広げる人、バラを静かに眺める人と、思い思いにくつろぐ姿があります。花に囲まれた空間で過ごす人たちは、みんな穏やかな表情。芝生をつつく野鳥の微笑ましい姿もあります。 インスタ映えするフォトスポット バラが美しく咲く様をカメラに収める楽しそうな姿はもちろん、バラを背景に自撮りする人も多数みかけました。見上げれば、重そうに花房を下げるバラがすぐそこに。まさにインスタ映えするフォトスポットです。 バラとの組み合わせ植物もチェック つるバラを誘引しているオベリスクの株元付近をよーく見ると、ブルーやピンクの小花を咲かせる宿根草が植わっています。バラが咲くシーズンに合わせて花盛りを迎える品種を選んでいるようです。写真左はペンステモン。右は、種ができつつある花後のアガパンサスと、キャットミント。芝生の緑にブルーの小花が愛らしく映ります。 左写真は、日本でもバラの下草として人気のゲラニウム。右写真は、一重のバラの下草としてブルーのセントーレアが色を添えています。 それぞれのオベリスクには、誘引されているつるバラの品種名が記されています。日本ではあまり聞きなれない品種もあって、イギリスにいるんだなぁ、と改めて実感。ぐるりと2周、3周しては、ベンチに腰掛けて、いろんな角度からバラの風景を楽しむ……。見ごたえたっぷりの、素敵なローズガーデンです。 併せて読みたい 一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア 宿根草ショップの店長が教える! 2018年度の人気ガーデン植物5選 知っておきたい! 流行中のバラトレンドと、オススメ品種10選
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イギリス

英国の名園巡り 英国で最も美しい風景式庭園「ストアヘッド」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 風景画さながらの美しさ ストアヘッドの門をくぐり、庭園に向かうと、そこには絵のように美しい景色が広がっています。ゆるやかにうねる緑の芝生の先で、風景の中心となるのは、穏やかに水を湛える湖。自然な佇まいを見せていますが、じつは、川をせき止めて人工的につくったものというから、驚いてしまいます。湖の周りには、針葉樹や広葉樹、さまざまな種類の大木が豊かに葉を茂らせ、その緑の中に建てられた古代神殿(パンテオン)が、景色に趣を与えています。 ストアヘッドを愛したホア一族 ストアヘッドの歴史は、1717年、銀行業で成功を収めたホア一族の2代目、ヘンリー・ホア1世が地所を買い取り、パッラーディオ様式の大邸宅を建てたことに始まります。 ストアヘッドの世界的名園を設計し、形にしたのは、その息子のヘンリー・ホア2世。彼は、1743年から30年余りをかけ、建築家のヘンリー・フリットクロフトとともに、湖を造成し、50人のガーデナーを使って植林するなど、ダイナミックな造園に情熱を注ぎました。 次に地所を継いだ、ホア2世の孫は、祖父が植えたモミの代わりにさまざまな広葉樹を植えるなどして、改良を試みます。こうして、ストアヘッドの屋敷と庭は、代々のホア一族によって愛されました。 永久の楽園と称される庭 17世紀まで、英国貴族の間では、フランスのベルサイユ宮殿に代表される、左右対称の整形式庭園が人気でした。しかし、18世紀に入ると、その幾何学的なデザインに堅苦しさを感じるようになったのか、より自然な趣のある風景式庭園を称賛する動きが起きます。ストアヘッドはその先駆的な存在で、1740年代に公開されると「生ける芸術作品」と絶賛を浴びました。 ヘンリー・ホア2世は、自らの土地に、自らの信条や願いを表現する景観を創ろうとする小さなグループ〈ジェントルマン階級のガーデナー〉の一員でした。彼は芸術に造詣が深く、イタリアへも旅しており、造園のインスピレーションを、17世紀フランス古典主義の巨匠、クロード・ロランやニコラ・プッサンの風景画から得たといわれます。ホア2世がここに創ろうとしたのは、画家たちの描いた理想的な風景、つまり、永久の楽園のような景色だったのです。 ストアヘッドの春夏秋冬 ストアヘッドの広大な庭に花壇はありませんが、湖の周辺では、早春のスノードロップから、春のラッパズイセン、初夏のブルーベルなど、季節の花々が咲き継ぎ、開放的な花景色が広がります。また、5月になると、木々の間でシャクナゲの類が鮮やかな色の塊となって、彩りを添えます。 メドウにワイルドフラワーが咲き乱れる夏は、芝生でのピクニックや、園内の散策を楽しむのに最高の季節。湖畔を一周すると、木々の間から次々と新しい景色が開けます。のんびりと思い思いのペースで巡るのもいいし、3月から10月にかけて行われている、ボランティアによるガイドツアーに参加するのもよいでしょう。庭園について深く知ることができる上に、絶景スポットにも案内してもらえます。 ストアヘッドでは秋の紅葉も見応えがあります。真っ赤に染まる北米原産のサトウカエデを皮切りに、日本のモミジやセイヨウシデ、セイヨウトチノキなど、多種多様な落葉樹が次々と紅葉して、庭園の景色を日々変えていきます。 そして、葉が落ちた頃にやってくる冬。静寂に包まれたモノトーンの世界も、格別の美しさを見せてくれます。
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シンガポール

花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」
6万株のランに出合える場所へ 原種1,000種と交配種である洋ラン2,000種、約6万株ものランが集まる植物園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は、約74万㎡、東京ドーム13個分という巨大な国立植物園「シンガポール・ボタニック・ガーデン」の中にあります。オーキッド・ガーデン以外はすべて無料ということもあり、ピクニックやジョギングを楽しむ人がいて、市民の憩いの場にもなっていることが分かりました。大きな樹木に囲まれて日陰も多く、散歩気分でのんびりできます。 ナショナル・オーキッド・ガーデンの入り口では、カラフルなランがお出迎え。日本では、温室や室内で栽培環境を調整しなくては育たないランが、赤道直下のシンガポールでは、屋外で花をいっぱいつけています。地植えで花咲くランを見て、シンガポールならでは!と、まず驚かされました。 黄色のランが無数に咲くフォトスポット 園内に入り、順路に沿って歩くと現れたのは、黄花のランが満開の連続アーチです。クリアーな黄色の小花が無数に咲くこのランは、オンシジウム・ゴールデンシャワーと呼ばれ、このボタニック・ガーデンでつくられた交配種だそう。一つひとつの花をよく見ると、黄色いドレスを着たダンサーのように見えるので、「ダンシング・レディ」という別名もあるといいます。ここでしか出合えない景色の一つです。 熱帯の木々とエアプランツの散策路 さらに進むと、熱帯の木々がダイナミックに枝を伸ばし、美しい緑のグラデーションを見せるコーナーへ。枝のあちこちから枝垂れて伸びているのは、今日本でもブームのエアプランツです。カーテンのように長く伸びたエアプランツは、人気のチランジア・ウスネオイデス。オープンエアでのびのびと生きている様子は、いままで見たことがなく異世界に迷い込んだような気分になりました。美しいカラーリーフを持つ熱帯植物も多く、葉色の魅力だけでデザインされたコーナーは、色づかいなど庭づくりのヒントにもつながります。 ランのカラーバリエーションに心躍ります 熱帯の木々が生い茂る園路を歩いていると、花をいっぱい咲かせたランが次々と現れます。こんなに群生するランの姿を見るのは初めてです。一輪一輪が蝶のように見える愛らしいデンファレが無数に咲いていて、品種や株数に圧倒されます。デンファレの切り花は、シンガポールの重要な輸出品の一つですが、それは、1928年からこのオーキッド・ガーデンで交配と繁殖が行われたことが始まりだそうです。 珍しいランや著名人の名がついたランも展示 高温多湿を好むランや珍しいランがコレクションされた「タン・フーン・シアン・ミストハウス」では、ランには珍しい、青い花弁を持つバンダ・コエルレアに注目。青紫の網目模様や斑模様が魅惑的です。どの花も本当に状態がよく、ランにとって育ちやすい環境だとよく分かります。 また、「VIPオーキッド・ガーデン」では、日本の天皇陛下の名前を持つ真紅のランや雅子さまの名がついた白いラン、英国のエリザベス女王の名を持つ黄色いランや、サッチャー元首相の名のピンク色のランなどが展示されていて、世界中の有名人のランに出合うことができます。一つずつ追っているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいます。 シンガポールで子どもと一緒に花と自然に触れよう! シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市です。中心部を拠点にすると、タクシーで20分足らずでいろんな観光名所へ行くことができます。ご紹介のシンガポール植物園やナショナルオーキッドガーデンなど植物や自然に触れながら一緒に楽しめる場所も多く、移動も楽なので子連れ旅にもオススメです。ちょっと足を伸ばして、未来の空中庭園のような「ガーデンズバイザベイ」やジャングルのような「シンガポール動物園」など、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているようです。
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イングリッシュガーデンの聖地、「シシングハースト・カースル・ガーデン」へ旅する
イングリッシュガーデンを巡る旅も、いよいよ後半。コッツウォルズ地方のKingham駅から電車で約2時間、ロンドンPaddinton駅に到着しました。そこからタクシーに乗り、Charing Crosse駅へ。この駅は、旅の最後に訪れるシシングハースト・カースル・ガーデンへのアクセスが抜群で、宿泊先のホテルも駅に隣接していました。チェックインをすませると、日が暮れるまでロンドンの美しい街並みを散策しました。 忘れられない出会い 翌日は、いよいよシシングハースト・カースル・ガーデンへ。最寄り駅のStaplehurst駅はCharing Cross駅から電車で1時間ほどで到着しました。ところが、ここで思わぬハプニングが。下調べではこの駅の電話ボックスからタクシーを呼んで、ガーデンへ行く予定でしたが、なぜか電話ボックスが閉まっていたのです。そのうえ、チケット売り場の窓口も閉められ、駅員さんらしい姿も見えません。 困り果ててあたふたしていると、上品ないでたちの男性が、声を掛けてくれました。事情を話すと、その男性は、親切に自分の携帯からタクシーを呼んでくれたのです。何度もお礼を伝えると「シシングハーストは素晴らしいガーデンだよ、楽しんでね!」と、笑顔で立ち去って行きました。まさに、絵に描いたようなイギリス紳士! こんな奇蹟のような出会いも、旅の忘れられない思い出です。 夢のようなホワイトガーデン Staplehurst駅からタクシーで約20分。ようやく私たちは、憧れのシシングハースト・カースル・ガーデンへ到着しました。この庭園は、1930年に英国の作家、ヴィタ・サックヴィル=ウェストと、夫のハロルド・ニコルソンによってつくられた、世界中のガーデナーが憧れるイングリッシュガーデンの聖地(現在は、ナショナルトラストによって管理されています)。 エントランスを抜けると、目の前に高い塔が現れました。私たちは、この塔に上って庭園を上から見てみることにしました。狭く細い階段を上ると、広大な庭園と、辺りの緑豊かな田園風景が360度見渡せました。言葉では言い尽くせない美しさと開放感。真上から見た庭園は、生け垣やレンガ塀で区切られ、色別に植栽された部屋が幾つもあるように見えました。 塔を降りると、まず初めに向かったのは白い部屋。そう、あの有名なホワイトガーデンです。ここは、シシングハースト・カースル・ガーデンのシンボル。本や雑誌で何度も見た夢のような場所です。緊張と興奮のあまり足がすくみ、頭の中も真っ白に……。そんな私を、アイリスやジギタリス、ボリジ、アストランティア、デルフィニウムなどの白い花々が迎えてくれました。 差し色の淡い黄色のハナビシソウやシャクヤクも、何とも優しげな雰囲気。溢れんばかりの白い花々に囲まれて、いつのまにか緊張もほぐれ清々しい気分になりました。残念ながら、ホワイトガーデンのシンボルローズ、ロサ・ムリガニーはまだつぼみでしたが、そびえ立つ塔を背景に満開の白バラが咲く光景を想像すると、心が浄化されていくようでした。 オールドローズが咲き誇る ロマンチックガーデン ホワイトガーデンの余韻に浸りながら、次はピンク〜パープル系の部屋へ。入り口には、味わい深い古いレンガの壁を覆い尽くすように、満開のツルアジサイとモンタナ系のクレマチスが絡まり、奥へと誘うように水色の可愛らしいアイアンの扉がありました。 ワクワクしながら中へ入ると、数えきれないほどのバラの花と、濃密な香りに包まれました。思わず、「わあ〜、なんて素敵なの!」と声をあげると、近くにいた女性がこちらを見てにっこり。「So lovely!」と声をかけてくれました。言葉は通じなくても、私のリアクションに共感してくれたようで嬉しくなりました。 淡いピンク〜赤紫色の華やかなバラの足元にも、同じグラデーションのジギタリスやアリウム、シャクヤクなどがバランスよく混植されていて、その完璧なカラーバランスは植栽のお手本。それでいて堅苦しさを感じないのは、バラの支柱やオベリスクに小枝や植物のつるが利用されていたり、誘引や剪定の仕方にも秘密がありそうです。 そよ風にふわりと揺れるバラの花と、その足元に寄り添う多年草の花々。きっと庭主だったヴィタさんも、こんなロマンチックな景色がお好みだったに違いありません。 そう言えば、建物の一角にヴィタさんが好きだったというオールドローズが、ガラスの一輪挿しに並んでいました。一輪一輪、手書きで名前が記されたラベルも添えられて。今は亡き彼女の面影を感じられる心憎い演出に感激しました。 そしてもう一つ、彼女がお気に入りだったイチジクは、何と、レンガの塀に誘引されていました。こんなユニークなイチジクの仕立て方を見たのは初めてだったので、ちょっと驚きましたが、永い時を刻んだ味わい深いレンガ塀に、しっくりと馴染んでいました。イチジクのふくよかな実がなる頃は、どんなにか素敵でしょうね。 明るい木漏れ日のようなイエローガーデン そして、次は黄色の部屋へ。黄色は、明るく元気をくれる色ですが、黄色の花を植栽する時、配色を一歩間違えると、何となくまとまりのない印象になりがちです。なので、これまで黄色の花をどちらかというと敬遠していました。ところが、この部屋の植栽を見て、黄色い花の印象が変わりました。 レモンイエローのアイリスと黄緑色の葉物の組み合わせは、春の柔らかな陽射しのよう。鮮やかな黄色とオレンジ色のゲウムは、ビビッドな色同士なのに、可憐な小花がチラチラと木漏れ日のように見えました。その中で一際輝いていたのが、赤と黄のバイカラーのオダマキ。個性的でキュートな存在感に目が釘付けになりました。組み合わせる葉物や花の雰囲気で、黄色がこんなにも違った印象に見えるのですね。わが家の庭にも、黄色の花を植えてみたくなりました。 古い建物と植栽の調和 シシングハースト・カースル・ガーデンの見所は、完璧な植栽やカラーバランス、ガーデンデザインなど、書き尽くせないほどありますが、古いレンガの壁や建物もその一つ。ヴィタさん夫妻は、この庭園をつくり始めた時、残存していた古い建物の雰囲気を失わないように、再使用可能な古いレンガや石を使って修復したそうです。 必要以上に美化することなく、植栽は建物との調和を何よりも大切にしたのだとか。だからこそ、この庭園のバラや草花が、より生き生きと自然に見えるのですね。改めて、植栽と建物との調和の大切さを痛感しました。 そして、ヴィタさんとハロルド夫妻の意思やビジョンを失うことなく、150年経った今も庭園を維持し続けている、イギリスの誇るべき文化財保護財団「ナショナル・トラスト」。シシングハースト・カースル・ガーデンは、イングリッシュガーデンの真髄を目の当たりにできる、まさに聖地でした。 Credit 写真&文/前田満見 高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。 Instagram cocoroba-garden




















