2015年にシンガポールで初の世界遺産に登録されたシンガポール・ボタニック・ガーデン(シンガポール植物園)。園内でも一番の見所「ナショナル・オーキッド・ガーデン(国立洋ラン園)」を、上野ファームのガーデナー、上野砂由紀さんが案内。シンガポールは、北海道の冬時期にも暖かく植物も楽しめる旅先として、家族で数回訪れているという上野さん。動物や植物、多国籍料理などいろんなジャンルで家族全員が楽しめるスポットがいっぱいなので、子どもと行く海外旅行にもオススメの場所です。

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6万株のランに出合える場所へ

原種1,000種と交配種である洋ラン2,000種、約6万株ものランが集まる植物園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は、約74万㎡、東京ドーム13個分という巨大な国立植物園「シンガポール・ボタニック・ガーデン」の中にあります。オーキッド・ガーデン以外はすべて無料ということもあり、ピクニックやジョギングを楽しむ人がいて、市民の憩いの場にもなっていることが分かりました。大きな樹木に囲まれて日陰も多く、散歩気分でのんびりできます。

ナショナル・オーキッド・ガーデンの入り口では、カラフルなランがお出迎え。日本では、温室や室内で栽培環境を調整しなくては育たないランが、赤道直下のシンガポールでは、屋外で花をいっぱいつけています。地植えで花咲くランを見て、シンガポールならでは!と、まず驚かされました。

黄色のランが無数に咲くフォトスポット

園内に入り、順路に沿って歩くと現れたのは、黄花のランが満開の連続アーチです。クリアーな黄色の小花が無数に咲くこのランは、オンシジウム・ゴールデンシャワーと呼ばれ、このボタニック・ガーデンでつくられた交配種だそう。一つひとつの花をよく見ると、黄色いドレスを着たダンサーのように見えるので、「ダンシング・レディ」という別名もあるといいます。ここでしか出合えない景色の一つです。

熱帯の木々とエアプランツの散策路

さらに進むと、熱帯の木々がダイナミックに枝を伸ばし、美しい緑のグラデーションを見せるコーナーへ。枝のあちこちから枝垂れて伸びているのは、今日本でもブームのエアプランツです。カーテンのように長く伸びたエアプランツは、人気のチランジア・ウスネオイデス。オープンエアでのびのびと生きている様子は、いままで見たことがなく異世界に迷い込んだような気分になりました。美しいカラーリーフを持つ熱帯植物も多く、葉色の魅力だけでデザインされたコーナーは、色づかいなど庭づくりのヒントにもつながります。

ランのカラーバリエーションに心躍ります

熱帯の木々が生い茂る園路を歩いていると、花をいっぱい咲かせたランが次々と現れます。こんなに群生するランの姿を見るのは初めてです。一輪一輪が蝶のように見える愛らしいデンファレが無数に咲いていて、品種や株数に圧倒されます。デンファレの切り花は、シンガポールの重要な輸出品の一つですが、それは、1928年からこのオーキッド・ガーデンで交配と繁殖が行われたことが始まりだそうです。

珍しいランや著名人の名がついたランも展示

高温多湿を好むランや珍しいランがコレクションされた「タン・フーン・シアン・ミストハウス」では、ランには珍しい、青い花弁を持つバンダ・コエルレアに注目。青紫の網目模様や斑模様が魅惑的です。どの花も本当に状態がよく、ランにとって育ちやすい環境だとよく分かります。

また、「VIPオーキッド・ガーデン」では、日本の天皇陛下の名前を持つ真紅のランや雅子さまの名がついた白いラン、英国のエリザベス女王の名を持つ黄色いランや、サッチャー元首相の名のピンク色のランなどが展示されていて、世界中の有名人のランに出合うことができます。一つずつ追っているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

シンガポール植物園内にあるシンフォニー湖に浮かぶようにつくられた演奏ステージ。池には亀がいっぱい泳いでいました。

シンガポールで子どもと一緒に花と自然に触れよう!

シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市です。中心部を拠点にすると、タクシーで20分足らずでいろんな観光名所へ行くことができます。ご紹介のシンガポール植物園やナショナルオーキッドガーデンなど植物や自然に触れながら一緒に楽しめる場所も多く、移動も楽なので子連れ旅にもオススメです。ちょっと足を伸ばして、未来の空中庭園のような「ガーデンズバイザベイ」やジャングルのような「シンガポール動物園」など、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているようです。

Information

「Singapore Botanic Gardens」
開園:5:00~24:00(無休/入園無料)

「National Orchid Garden」
開園時:8:30~19:00(無休/大人5シンガポールドル、12歳以下無料)

所在地:1 Cluny Road, Singapore 259569

アクセス:ファラーロード駅から徒歩12分

https://www.sbg.org.sg

Credit

写真&文/上野砂由紀

北海道旭川にある「上野ファーム」のガーデナー。大学卒業後、アパレル会社に勤務し、園芸を学ぶため退社して渡英。2001年から実家である「上野ファーム」で庭づくりを始め、旭川ではいち早くオープンガーデンをスタート。2008年に放送されたTVドラマの舞台となった富良野の「風のガーデン」や「大雪 森のガーデン」の植栽デザインのほか、全国で講演会・トークショーなども行う。二男の母。

上野ファーム www.uenofarm.net
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