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イングリッシュガーデン現地取材シリーズ。今回旅したのは、ロンドンにある「クイーン・メアリーズ・ガーデンズ」です。ここはロンドン北部、入園無料の王立公園リージェンツ・パーク内にある市民の憩いの場で、ローズコレクションも見応えがあるバラの名所として知られています。バラが見頃を迎える6月、360度バラが彩る「ガーランド(花綱を意味する)」がロマンチックな名庭をご案内します。

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ロンドン随一のローズコレクションは6月が見頃

クイーン・メアリーズ・ガーデンズは、ウィンザー朝の国王ジョージ5世の妻、メアリー王妃の名を冠した庭園で、1932年に一般公開が始まりました。ロンドンでは最大級のバラのコレクションとなる1万2,000株が植えられ、クラシックなバラからモダンローズまで、主な品種が揃っています。

リージェンツ・パーク内の壮麗なジュビリーゲートから、庭園のあるインナーサークルと呼ばれる区画に入ると、無数に花を咲かせるバラの花壇がさっそく迎えてくれました。淡いピンクに、オレンジ、濃い紫。さまざまなバラが咲く花壇が、カーブを描く園路に沿って続きます。一つの花壇には一つの品種が咲き、それが全部で85もあるそうです。

腰丈ほどに群れ咲くバラや、目の高さで咲くバラ、オベリスクに仕立てられたバラ、さまざまなバラが次々と現れて、景色が変わっていきます。左手には池があって、6月の初夏の陽気に爽やかな風が吹いていました。

「このバラは香るかな?」一種ずつ顔を近づけては確認したり、カメラを向けたり、たくさんのバラに囲まれて、なかなかお目当ての花綱の庭までたどり着きません。今回は見つけられませんでしたが、公園を管理する機関「ロイヤル・パークス」の名を冠したバラもあるそうです。ハークネス社作出のアプリコット色のハイブリッド・ティー・ローズで、病気に強くてよく咲き、公園用に最適なバラとのこと。

360度バラに囲まれるガーランドの名所

ガーデニングで「ガーランド」とは、綱につるバラが伝いロマンチックな景色を生むデザインのこと。このサークル状につるバラが誘引された花綱が見られる有名な場所がここ「クイーン・メアリーズ・ガーデンズ」です。高さ3mを超す木製のオベリスクが円を描くように立ち並び、その間に2本の綱が渡されて、多種のつるバラが絡まっています。まだつぼみが多い時期でしたが、早咲きのつるバラが開花を始めて、ロマンチックな景色をつくっています。

満開のつるバラの下で過ごす穏やかな時間

日本の観光ガーデンでも、この綱にバラのつるを沿わせて咲かせるガーランドとか、花綱(はなづな)仕立てに出合うことがありますが、ここのように、広い場所を使って360度、ぐるりと円形に花綱がつながっているガーデンは、ほかにありません。花綱で囲まれた園の内側にももちろんバラが咲き、美しいグラデーションを見せています。

花綱の下にはところどころベンチが置いてあって、語り合う人や新聞を広げる人、バラを静かに眺める人と、思い思いにくつろぐ姿があります。花に囲まれた空間で過ごす人たちは、みんな穏やかな表情。芝生をつつく野鳥の微笑ましい姿もあります。

インスタ映えするフォトスポット

バラが美しく咲く様をカメラに収める楽しそうな姿はもちろん、バラを背景に自撮りする人も多数みかけました。見上げれば、重そうに花房を下げるバラがすぐそこに。まさにインスタ映えするフォトスポットです。

バラとの組み合わせ植物もチェック

つるバラを誘引しているオベリスクの株元付近をよーく見ると、ブルーやピンクの小花を咲かせる宿根草が植わっています。バラが咲くシーズンに合わせて花盛りを迎える品種を選んでいるようです。写真左はペンステモン。右は、種ができつつある花後のアガパンサスと、キャットミント。芝生の緑にブルーの小花が愛らしく映ります。

左写真は、日本でもバラの下草として人気のゲラニウム。右写真は、一重のバラの下草としてブルーのセントーレアが色を添えています。

それぞれのオベリスクには、誘引されているつるバラの品種名が記されています。日本ではあまり聞きなれない品種もあって、イギリスにいるんだなぁ、と改めて実感。ぐるりと2周、3周しては、ベンチに腰掛けて、いろんな角度からバラの風景を楽しむ……。見ごたえたっぷりの、素敵なローズガーデンです。

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