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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。「東京競馬場」のナチュラリスティックガーデン
今、最も関心のあるガーデンデザイン 長い花壇の一番西側、コニファーを背に、右半分は日陰、左半分は逆光という環境下で、ミューレンベルギア・カピラリスとアマランサスが全く違う表情を見せる。 2019年1月に横浜でPiet Oudolf氏の映画「Five Seasons」を鑑賞して以来、僕にとってナチュラリスティックガーデンが一番興味のあるガーデンの形になりました。映画を見る前にも、長野県須坂市の園芸店「ガーデン・ソイル」の田口勇さんにPiet Oudolfの本を見せてもらい、それまで全然知らなかった美しい世界があることを知りました。それからは、北海道の大森ガーデンや上野ファーム、十勝千年の森などでグラス類と宿根草のガーデンを撮りまくり、秋には山梨・清里のポール・スミザーさんが手がけた「萌木の村」で紅葉したグラスと宿根草のシードヘッドを夢中で撮ったりしていました。ただ、その時はまだはっきりした「ナチュラリスティック」という認識はなく、今までの花中心のガーデンから新しい形のものが生まれてきたんだろうというくらいにしか思っていませんでした。 皆が関心を寄せる「ナチュラリスティック」 手前で黄色く紅葉する株は、アムソニア・フブリヒティ。花期は短いが株の姿を楽しむ植物。隣のミューレンベルギアの後ろは羽衣フジバカマで、晩秋に寒暖差が大きくなるとこげ茶色に変化し、ガーデンのアクセントになる。羽衣フジバカマの後方の白い穂はミスカンサス‘モーニングライト’。さらに後方のルドベキア・マキシマは、縦の白い線がアクセントになっている。 「Five Seasons」を観て以降、「ナチュラリスティック」という概念を意識しだすと、SNSのあちこちで自然志向、消毒をしないバラ、化学肥料を使わない庭の話などが目につくようになりました。Facebookでは平工詠子さんのグラスを多用した美しい庭の写真を見せていただき、知り合いのガーデナー、さつきさんのFacebookで服部牧場を見たときには、今最も撮影したいテーマはこれだ! と確信しました。 綺麗な光に浮かび上がる庭をベストなタイミングで撮りたい このエリアには、ミューレンベルギア・カピラリスをはじめ、センニチコウ‘ファイヤーワークス’、アマランサスのスムースベルベットや黒葉のミレット、小型のグラスのペニセタム‘JSジョメニク’、ルドベキア・マキシマなどが茂っている。線路手前のグリーンは、ユーフォルビア・ウルフェニー。 いつも言っていることですが、僕が撮影のときに一番に思うのは「綺麗な光で撮る」ことで、その意味でも「ナチュラリスティックガーデン」の撮影は、まさに僕にぴったりのテーマ。朝日や夕日に浮かび上がるグラスや宿根草の花壇を撮影しているときは、まさに至福の時間です そして2022年10月上旬に、以前僕に服部牧場を教えてくれたガーデナー、さつきさんのFacebookに登場していたのが、今回ご紹介する「東京競馬場」でした。この東京競馬場の庭の手入れに、服部牧場の平栗智子さんが行っていることは知っていましたが、頭の中で競馬場とグラスの庭がうまく結び付かなかったことから、さつきさんにそうコメントすると「今井さん、本当に綺麗ですからぜひ行ってください」と返信がありました。 花壇の中央付近に立ち、レンズを西に向けた完全に逆光の写真。こげ茶色の葉を持ち、コーン状の実が立ち上がるミレットと、穂を立ち上げるペニセタム‘レッドボタン’、さらに後ろのミューレンベルギア・カピラリスが西日を受けて輝く。 その1週間後に秋の服部牧場へ撮影に行くと、今度は平栗さんが「東京競馬場、今が一番綺麗だから、今井さんに撮ってほしいと思っていたんですよ」と。平栗さんが競馬場の手入れに行く日程まで教えてくれたので、2人のガーデナーさんがそこまですすめてくれるならばと、天気のよい日の午後に伺う約束をしました。 美しく捉えるにはどうするか、しばし悩む 「この写真、まるで花火大会の最後の乱れ打ちのよう」と植栽を担当した平栗智子さん。確かに賑やかで楽しい景色だ。 撮影日となった2022年11月18日は、夕方までずっと晴れの予報。グラスの撮影には最適の天候でした。競馬場の入り口に迎えにきてくれた平栗さんが運転するモスグリーンのしゃれた車に先導してもらい、場内を走ってトンネルを抜け、内馬場(コースの内側)に到着。すると、そこは広い芝生のエリアで、子どもたちのためのいろいろな遊具が並んでいました。その外側には、子ども用のミニ新幹線のレールが敷いてあり、競走馬が走るコースとの間が、グラスと宿根草の花壇になっていました。 まだ少し日差しが強いので、花壇の周りを下見しながら「これは大変だ」というのが第一印象でした。なぜなら、写真を撮影するときに、プロカメラマンとアマチュアカメラマンとの一番の違いは、写真の中に無駄なものが写り込んでいるか、いないか。プロのカメラマンは、シャッターを切る前にファインダーの隅々まで見て余計なものが入っていないことを確認し、初めてシャッターを切るものです。 日が沈むまでたった15分の撮影に挑む この写真も花壇中ほどからレンズを西へ向けたカット。プレーリーブルース(中央の大きな白い穂)から後方のミューレンベルギアまで続くグラスが美しく、特に赤いアマランサスがよいコントラストを見せている。 ところが、目の前には緑の芝生にピンクに染まったミューレンベルギアと真っ赤なアマランサス。これだけなら言うことのない景観ですが、その後ろには馬場のコースを縁取る白い柵があり、手前にはコンクリートで舗装された帯の上を線路が通っています。これらの構造物を全部入れずに構図を決めるのは不可能だし、2人が口を揃えて言うように、グラス類は本当に綺麗です。 コニファーによる日陰のグリーンバックで、植物の美しさが際立つ1枚。 太陽がだんだん低くなってくるなか、「どこをどう撮ればいいのだろう」「気になる構造物が少しでも入らないアングルは?」と気持ちは焦るばかりで、一向に撮影が始められませんでした。そして、あっちへ行ったり、線路に降りたりしながらアングルを探しているときに気がついたのです、「線路をガーデンの園路に見立てればいい」のだと。夕日に輝くグラスの花壇と線路をファインダーの中に収めてみると、金色に輝くグラス類が圧倒的に綺麗で、線路すら気にならないと思いました。 ガーデンの一番東側のエリア。何株も植えられているミューレンベルギア・カピラリスが、沈む夕日の最後の光を受けて赤く輝き幻想的だ。 「夕陽に輝くグラス類を綺麗に撮る」「線路などの構造物は、なるべくグラス類の邪魔にならないように入れる」と決めて、そこから日が暮れるまでのわずか15分ほどでしょうか、沈みそうな夕日の位置を確認しながら、長い花壇の周りをあちらに行ったりこちらに来たり。夢中でシャッターを切って、気が付けば夕日は西側の高い木々の向こうに消えていました。
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第1回 東京パークガーデンアワード 代々木公園【舞台裏レポ】5つの庭づくり大公開
コンテストの舞台は都立代々木公園の花壇 コンテストガーデンが作られる以前のオリンピック記念宿舎前広場。2022年10月中旬の様子。 都市公園を新たな花の魅力で彩るプロジェクトとしてスタートした「東京パークガーデンアワード」。第1回の舞台となるのは、都内でも屈指の利用者数がある「都立代々木公園」の中です。アクセスがとてもよく、JR山手線「原宿」駅から徒歩3分の原宿門から入ってすぐ右手の「オリンピック記念宿舎前広場」に、5つのコンテストガーデンと吉谷桂子さんによるモデルガーデン「the cloud」があります。 通路に沿った細長い敷地を花壇に変え、A〜Eの5つの植栽スペースが設けられました。1エリアにつき広さは72〜85 ㎡。 コンテストガーデンが作られる以前、この場所は通路に沿ってハナミズキやオリーブが植わり、地面は芝生に覆われていましたが、2022年10月には今回のコンテスト開催に先駆けて、5つのエリアが同じ土壌条件になるように花壇スペースが整地されました。 10月、花壇スペースを縁取る木枠を設置する様子。 花壇の整地は、既存の表土にある雑草とその種子を駆除する意味から厚み5cm分取り去ったあと、花壇用土には人工軽量土壌を厚み20cm客土し、ベースの土壌として整えられました。 木枠で縁取られた花壇内に所々ある四角い石は、既存の照明設備。灰色に見える土が人工軽量土壌。 「第1回 東京パークガーデンアワード」第1回作庭【12月】 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」をテーマに、各ガーデナーが提案するガーデンコンセプトは、各人各様。それぞれが目指す庭のコンセプトに沿って、2022年12月5日から9日まで行われた第1回目の庭づくりの様子をレポートします。 *コンテスト開催の概要や各庭の月々の様子は、こちらをチェック! コンテストガーデンAChanging Park Garden ~変わりゆく時・四季・時代とともに~ 畑や かとうふぁーむ 渡部陽子(新潟県新潟市)さん率いる作庭チーム。 Aエリアは、培養土と肥料(かんとりースーパー緑水)を全体に敷き詰め、表面をならして基本の用土づくりは完了。この段階で耕さないのは植え付け時に耕すことを想定したためで、手間を最小限にしています。 平らにならした表土に、次々と苗が配置されて、あっという間に地面が隠れるほど数々の植物で埋め尽くされました。Aエリアは、大苗に仕立てられた根張りのよい丈夫な宿根草を用意。品種によって異なりますが、圃場で1~3年以上育てられた苗なので、一般で販売されているサイズの何倍も大きな株ばかりです。 大苗は育成管理に時間がかかりますが、その分株が充実しているといいます。大苗を使う利点は、4つ。① 既存植物とのバランスがとりやすく、周囲の環境にすぐに馴染む。② 植えた年から植物本来の個性が発揮され、しっかり開花する。 ③ イメージがすぐにカタチになるので、庭施工の際もお客様の満足度が高い。④ 大苗なら1ポットで十分ボリュームがでる場合も、市販の小さなサイズの苗だと数多く植栽しがちで、経済的にも苗の生育環境的にもよい。さらに、見頃を迎えた大苗は、ショーガーデンでも活用されることからも、この花壇には大苗が多数使われています。 配置が終わったら、端から順に次々と植え付けを開始。苗は、現地の土壌にスムーズに活着できるよう根の処理(根をほぐしたり、根きりをするなど)を事前に施していたため、現場では、ポットから抜いてすぐに植栽でき、作業時間短縮とストレス軽減になりました。 選ばれた植物は、春から秋に次々とバトンタッチして花を咲かせるものや、風に揺れるグラス類、雑草抑制が期待できるグラウンドカバープランツなど。どれも、特徴や性質を見極めることができる花卉生産者により選ばれているので、ロングライフでローメンテナンスでありながら、美しい花壇となる組み合わせ。 苗を植え付けたあと、原種チューリップやアリウム、カマシア。エレムルスなど、1,500球の球根も植え付けられました。 中段左から/スティパ・イチュー/ストケシア・ラエヴィス/スタキス・ビザンティナ(ラムズイヤー)/ユーフォルビア・ウルフェニー 下段左から/オレガノマルゲリータ/エリムス・アレナリウス/スタキス・オフィシナリス/ペンステモン‘ハスカーレッド 配置にこだわり、交互や列植、斜めなど、ほどよい距離感で植わる小さな植物は、小さいながらも青みがかった緑や銀がかった緑、赤や黄など彩り豊か。合計84種の植え付けが完了しました。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンBLayered Beauty レイヤード・ビューティ 鈴木 学(宮城県伊具郡)さん率いる作庭チーム。 Bエリアは、作庭前の花壇の土壌を独自に検査した結果、pH調整用として無調整ピート(ラトビア産ピート)をまいた上に、肥料もちを高めたい理由から培養土(ベストブレンド)を追加して耕運機で攪拌。 平坦な花壇を山状に盛り上げるためにも、40ℓ200袋という多くの用土が追加されました。結果、元の地表よりも15〜10cm高い土壌が完成。植物を配置するガイドとして、グリッド状に水糸が張られました。 上写真の白く囲まれた部分(図内A)に、パニカム、ユーパトリウムやアガスターシェなどが配置されている。 「さまざまなレイヤーを組み合わせて美しさを構築する」という考えのもと、季節を感じる宿根草ガーデンを作庭。背の高いグラス類と宿根草で作る4つの島(図内A)が通路から眺めた時に奥行きを感じられるような視覚効果も狙って配置されました。 上左/用意された苗の一部。上右/花壇の中には、天然石のステッピングストーンを配置。下左/植物の配置が記された図面。下右/多くの苗がどんどん配置されていきます。 3月から10月まで、月ごとに見頃が移り変わるように選ばれた植物は、合計142種。丈夫な植物、持久性のある植物、病害虫予防、密植に耐える植物、耐陰性の高い植物、観賞期間の長い植物などを考慮して選ばれています。また、こぼれ種で増えたり、宿根草の生育の邪魔にならない一年草も入っています。 球根は、拳以上の大きなアリウムから、小さなクロッカスまで、全部で約5,200球。小球根は、器に小分けしてから配置したことで、植え付け位置の手直しや微調整がしやすい効果がありました。写真左上のオレンジ色の器具は、アリウムやフリチラリアなどを深く植える際に穴を掘るホーラー。フリチラリアは、高温の影響を受けずに長生きさせるため、通常より一段深く植えられました。 3月までに咲くフリチラリアとクロッカスなどの小球根、遅れて咲くアリウムやカマッシアを置いた後、最後にチューリップ、スイセン、アリウム‘パープルセンセーション’をばらまきし、配置具合を確認したあと植え付けられました。アリウム‘サマードラマー’のみ、このタイミングで植え付けると翌年(審査のある2023年)に開花しないと予想して、芽出しのポット苗を植え付けています。 球根の植え付けがすべて完了した後、表土に有機質肥料の「グアノ」と「モルト滓」を散布。どちらも長期的な効果を狙ったもので、グアノはリン酸とカルシウムで植物を丈夫にする目的、モルト滓はチッソ分の補給と土壌の微生物環境の改善を目的としています。最後にバーク堆肥でマルチングをして終了。所々にラベルがついた小枝が刺さっているのは、2月末に行われる2度目の作庭で植え付ける予定の植物の場所を示しています。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンCGarden Sensuous ガーデン センシュアス GreenPlace(埼玉県朝霞市)代表の高橋三和子さんと山越健造さん(山越健造デザインスタジオ、宮城県仙台市)率いる作庭チーム。 園路を挟んで、対になったL字形のCエリアは、黒土と小粒の軽石、バーク堆肥、木酢液入り木炭を表土にまいたあと、耕運機で耕して基本の用土づくりは完了。基本用土は乾燥すると砂状になり、マウンドや窪みといった高低差を付けるのが難しそうだったため、造形をしやすいように黒土を追加。軽石は、黒土を加えたので通気性の向上のために、木炭と堆肥は保水性をよくし、有機物を足すことで土中微生物を増やすために加えられました。 丸の中に印を。「−(マイナス)」が書かれている場所は穴を掘り、「+(プラス)」の場所は盛り上げる。 土を攪拌してフカフカにしたあと、山越さん自ら有機石灰が入ったボトルを手に、図面を見比べながら花壇に数カ所、丸印が描かれました。これは、多様な植生と生物の場を創出するために作られる「マウンド(築山)」と「低地(レインガーデン)」、「フラット(平地)」という、凹凸のある地盤作りのためのガイドラインとなります。 この庭でいう「マウンド(築山)」とは、Hugel mound(Mound culture:ドイツなどが発祥の農法)と雑木林の循環管理方法を融合させたもので、土中に剪定枝などを埋めてから土を盛り上げて山のようにします。このマウンドを作ることで、① ゴミを焼却することにより、発生する二酸化炭素を削減する。② 保水性を高めることにより、水の使用を軽減。③ 微生物など生き物の棲処になる。④ 高さを出すことで周囲の低地に水が集まり、植生の異なる豊かな植栽が可能になるという4つの効果を狙っています。 窪ませた場所の底には、さらに軽石、木炭を入れて透水性を高める。 「低地」は、窪ませることで ① 降雨時の急激な下水道への排水を緩和。② 植栽や土壌によって水質を浄化。③ ヒートアイランド現象の緩和という3つの効果が期待できるレインガーデンとしてのデモンストレーションになっています。 起伏のある地盤が完成すると、全体にニームケーキ(植物性土壌改良材)と元肥をまいて、植物を配置するガイドに沿ってポット苗を配置し、1株ずつ植え付け。 図は審査時に対象だったBエリアの現状分析をベースにした植生ゾーニング例。実際に施工したCエリアに合わせたゾーニングで配置された。 植物は、地表面の形状や湿度、日照などを考慮したA〜Eの5つのエリアに区分され、それぞれに適したものを配置。 上左/築山とその周辺部分。下左/低地とその周辺部分。上右/用意された苗の一部。下右/小さな苗の生育を補うため、木酢液(キクノール)と天然活性液(バイオゴールドバイタル)を希釈した液を仕上げに散布。 盛り上がった築山には、乾燥に耐え、あまり背の高くならないレモンバームやオレガノなどを。窪んだ低地には、アスチルベやユーパトリウムなど、湿度や水に耐性のある種類が選ばれています。また、平地には、築山と低地との緩衝地帯としても機能する安定した植栽スペースとして、多様な表情が見られるようにと、エキナセアやイトススキ、ガウラ、バーベナなどが選ばれ、2〜3月の最終植え付けまでに合計65種が植えられます。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンDTOKYO NEO TROPIC トウキョウ ネオ トロピック 西武造園 永江晴子 (東京都豊島区) さん率いる作庭チーム。 Dエリアは、植物性完熟堆肥(黒い堆肥)と赤玉土、ピートモスを表土にまき、しっかりスコップで耕して基本の用土づくりが行われました。有機質を混ぜ込む土壌改良を行って保水力や保肥力を高め、根を生育させることで、翌年からの灌水を抑える効果を狙っています。 レイズドベッドの枠に使うヤマハギの枝を仕分ける作業を行いながら、枠作りも進行。 また、土づくりと同時進行で、自然素材を使った「ウィービングレイズドベッド」作りもスタートしました。レイズドベッドとは、枠を設けて地面より高い位置に植える場所を作る手法で、ここでは地温を確保し、冬の寒さによるダメージを軽減する目的や、花壇をリズミカルに表現する目的で設置されました。 今回、この「ウィービングレイズドベッド」のイメージに近づけるためには、曲がりが少ない枝を見つける必要がありました。現場での枝選びの後、さらに事前にモックアップ制作。施工の手順やイメージ通りの仕上がりになるように太さの確認をしてから、実作業に臨んだといいます。レイズドベッドやコンポストの位置を決める角棒が枠の四隅に立てられたあと、黒竹を等間隔で挿し、その間を縫うようにヤマハギの細い枝を下から順に編み上げながら縁取りを作ります。手作業でレイズドベッドが1つ、また1つと組み上がっていきます。 レイズドベッドの枠を自然素材にしたことで、周囲の植物とも馴染み、通気性や排水性を確保。枠の内側に防草シートを張り、底には約10〜20cmほど軽石を敷き詰めてから用土を入れていきます。 高さや形状が異なるレイズドベッドが9個完成。金網の枠(写真上右)はコンポスト用で、この花壇から出る枯れ葉や枯れ枝、花がらなどを堆肥化するために設けられます。レイズドベッドの上とその外側などに苗と球根を配置。高低差がある花壇の中に次々と植え付けられました。 選ばれた植物は、ローメンテナンス・ロングライフであるコンセプトに合わせた宿根草を中心に、サブトロピカルな植物をポイントにしています。個性豊かな植物が東京の地で力強い姿を見せてくれるのを予想し、アロカシア、パンパスグラス、カンナ、アスパラガス、アガベなど合計40種超の植物が選ばれました。昆虫の棲処にもなるバイオネストの設置や一部のサブトロピカルの植物、芝生などは2月の作業で追加されます。 通常、亜熱帯系の植物は、暖かい時期に植栽すれば問題なく越冬するものですが、今回指定された施工時期(12月、2月)は亜熱帯系植物の植栽時期としてはベストなタイミングではありませんでした。そこで、屋外での植え付け時に植物がなるべくダメージを受けないようにと、養生も温室から無加温の温室に移動するなどの配慮がされました。 仕上げに、針葉樹の樹皮(バーク)を粉砕加工したリサイクルマルチング材(ランドアルファ)を表土全体に敷き、金網の内側に不織布が設置されたあと、レイズドベッドを作る際に出た不要な枝などをコンポストに投入して、作業は完了しました。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンEHARAJUKU 球ガーデン 平間淳子(東京都目黒区)さん率いる作庭チーム。 コンテストガーデンのエリアで一番奥に位置し、「オリンピック記念宿舎」の前にあるエリアE。初日は雑草を丁寧に取り去ったあと、根が伸びやすくなるように、また、排水性を高めるためにシャベルで全体を掘り起こしました。それから日頃の庭づくりで使い慣れているという赤玉土と腐葉土を40ℓずつ各12袋を投入。少量のくん炭と元肥もプラスして、基本の用土づくりは完了。 ずらりと揃った植物を前に、どの場所に何を配置するか、段取りを整理しながら、傷んだ部位を切除するなど、苗の手入れも同時進行しました。 多数の植物の中から、まず骨格となる植物を選び、その配置からスタートします。このガーデンの作品タイトルは「HARAJUKU 球ガーデン」。某超有名ガーデンを原宿ならではの遊び心でもじったタイトルで、初夏にはまん丸の花が咲くアリウム、そして秋にポンポン状の花がダイナミックに咲くダリアまで、球状の花を多数組み合わせました。ポップに楽しく見せる植物が選ばれています。 配置図を頼りに、まず苗を配置。離れて見たり、角度を変えて眺めたりしながら、育った姿を想像して位置を微調整。植え付けて半年で見応えが出るように、骨格となるニューサイランやディエテスなどは、一般的なサイズよりも大きな株が用意されました。また、これらの草丈が高く大きな縦のラインとなるニューサイランやディエテス、グラスなどを多めに入れることで、メインとなる丸い花々を引き立てる効果を狙っています。 地面に置かれたレンガは、植え付け時の足場として。植え付けるまでに苗がいたずらされないようにと、一時的にカラス除けのCDが吊されました。 霧のような穂を立ち上げているのは、ミューレンベルギア・カピラリス。ほかにもディスカンプシア‘ゴールドタウ’など、秋にダリアが咲いた頃、幻想的に調和する効果を狙ったグラスが選ばれました。普段は“甘やかさず育てる派”ですが、テーマ通りの庭に最短で仕上げるため、1つずつ植え穴に肥料を入れながら植え付けています。また、植物によっては排水性を高めるために、パーライト、軽石などを植え込みました。 最終日は、全体に球根を配置して一気に植え付け。仕上げにバーク堆肥でマルチングして冬に備えます。特に多くの種類を植えたのがアリウムで、開花期間が少しでも長くなるようにと、球根で16種、苗は2種の合計18種が植えられました。 長く伸びていたディスカンプシアなどは短く切り戻し、常緑のニューサイランやカレックス‘エヴェレスト’などは、そのまま越冬させます。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 日々成長するコンテストガーデンに注目を ご紹介の「第1回 東京パークガーデンアワード」は、5つの庭の魅力を競うコンテストですが、参加するガーデナーたちは、仕上がっていく互いの庭を見て刺激を受けたり、人手が足りないチームの植え付けを助ける場面もありながら、期間内に無事1回目の作庭が完了しました。 代々木公園を舞台に行われた「第1回 東京パークガーデンアワード」。5つの庭を一度に見学できるこの場所は、公共ガーデンに新しい息吹を吹き込むことが期待された2023年において東京の最新のガーデンでした。2023年11月からは舞台を神代植物公園(東京・府中市)に移し、「第2回 東京パークガーデンアワード」が開催されています。
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する ‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて5
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 アゥドルフ氏のガーデンの真骨頂が見られる季節・秋 昨年2021年12月に植えてから初めての秋を迎えた「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」。ガーデンのまわりのサクラがすっかり葉を落とし、生き生きと成長していた植物たちも落ち着きを見せ始めています。 まわりの紅葉・黄葉する木々と同様、植栽も茶色い枯れ穂などがあちこちに点在し、カラフルな花はポイントで色を添えている程度。牧歌的でロマンチックな趣は、この時季にクライマックスを迎えます。 ピンクのアネモネ‘クイーンシャーロット’が奔放に育ち、明るい彩りに。 秋の庭の見どころは、植物の‘終わり’と‘盛り’の対比が見せる「生命の営み」の美しさ。終わりを感じさせる枯れた穂や枝と、まだまだ咲き続ける花が見事に調和し、秋の爽やかなそよ風や澄んだ陽光が渾然一体となる、おおらかで自然な風景が広がっています。 花壇のコーナーに軽やかに広がる、カラミンサ・ネペタとフェスツカ・マイレイ。 ペルシカリア・アンプレクシカウリス‘アルバ’の花×アスチルベの枯れ穂が見せる、勢いのあるシーン。 常に自然からインスピレーションをもらいながら、植物それぞれに敬意を払って向き合うアゥドルフ氏。自然を眺めて感じたことを再創造してデザインしています。彼のデザインの大きな特徴である‘植物の色・葉色だけでなく、フォルムや構造、テクスチャーなどの個性を見極め、斬新なレイヤーで配置した組み合わせ’は、そういった自然へのまなざしから生まれるものでしょう。 ミューレンベルギア・カピラリスの赤みを帯びた穂を背景に、エキナセア・テネシーエンシスのユニークな花と枯れ穂が強調されている。 昨年植栽を手伝った上野ファームの上野砂由紀さんは、「植栽プランをひと目見て、すぐに春~秋まで季節を追って美しく変化していくことがよく分かりました。さまざまな植物をいろいろな角度から引き立てる、たくさんのオーナメンタルグラスたちに、とてもワクワクしますね」。 咲き終わったアスター‘レディインブラック’と、まだ瑞々しいアルソニア・フブリヒティのこんもりとした量感のある組み合わせ。 花後はすぐに次の植物に交換するのではなく 終わりに向かう‘味わい’‘おもしろさ’をも生かすのがアゥドルフ氏の信条。開花期以外の植物がつくる‘間や余白’が何ともいえない余韻を漂わせ、観る人の感情を揺さぶります。秋はそれを最も感じられる季節かもしれません。 ツルバキア・ビオラセアの細長い花茎の先につけたピンクの小花と瑞々しい緑葉が植栽のアクセントに。植えっぱなしでも毎年よく咲く強健種。 一度植えたら基本的に植え替えをしないアゥドルフ氏。今まで環境保護やサステナビリティについての主張を植栽に込めてきたわけではありませんが、結果として彼の提案するガーデンが今の時流に重なり、世界の庭園デザインのムーブメントとなっています。彼があるべき姿を早々と見抜き、それを当たり前のように自然に行っていたことが分かります。 リアトリス・スピカタ‘コボルト’の枯れた穂が直線的なラインを描き、植栽のデザイン性を強めている。 この庭の設置の立て役者であるランドスケープデザイナーの永村裕子さんがアゥドルフ氏の庭の一年を振り返る 「日本の気候は、特に梅雨以降から長期にわたって蒸し暑く、欧米とはまったく異なります。その間ずっと心配で、気温や天気、雨後の水はけの様子、その他の気づきなどをスタッフの日報で教えてもらいながら、植物の生育を遠隔で見守りました。 地上が枯れたリシマキアの退廃的な姿が芸術的。切り取らずにそのままにして独特な世界観を生み出している。 これからの心配は、暖地でのだらだらとした‘衰退の美モードの移行’。「なかなか凛とした冬景色になりません。緑の葉で花をぽつぽつつけたまま越冬するものと、夏に弱ってうどんこ病など不健康な状態で休眠に入ったものなどが混ざって景色がまとまらないんです。私の熊本の現場では、ドライフラワーの冬景色として残すものと、切り戻して緑のロゼット状で冬越しさせるものとを選別し、秋の景色を「強制終了」させます。そのほうが庭としての体裁が保てるのですが、本場をまねてすべて枯れた藪のような姿のままシーズン1を終えさせるか、いまだに逡巡しています」。 ヘレニウムやアガスタシェ‘ブラックアダー’(左)、パルテニウムなどの枯れ穂のフォルムが、ふわりと広がるエグロスティスを背景に効果的に浮かび上がっている。(右) 「ナチュラリスティックを通すのも、勇気がいりますね。現場のみんなや日本全国のガーデナー仲間を頼って、最適解へ導けたらいいなと思います。今年は初年度にしては想像以上にアゥドルフ氏の作品らしい景色をところどころ見られるようになりました。次はもっと全体にムラなく展開できるように、みんなと考えながら取り組んでいこうと思います。日々の植物の手入れを前向きに頑張ってくれたスタッフ、各方面からのさまざまなサポートに感謝しています」 パルテニウム・インテグリフォリウムなど似た姿の穂が連なり、シーンの印象をより深めている。 世界各地の庭のデザインを手掛けているアゥドルフ氏。いずれもオランダからは簡単に現地に赴くことができません。しかし、考え抜かれて選ばれた多年草によるガーデンは、一般の花壇のように植え替える必要は基本的にありません。庭を管理するスタッフたちと思いを共有しながら、ガーデンの維持と進化を図っています。もちろんここ「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」も永村さんやスタッフと連携を取りながら、多摩丘陵に広がるガーデンらしい世界を発信していきます。 秋の庭にさまざまな彩りを添える個性的な多年草たち 左から/エキナセア‘フェイタルアトラクション’、ルドベキア‘リトルヘンリー’、アネモネ‘クイーンシャーロット’ 左から/フロックス‘ブルーパラダイス’、ツルバキア・ビオラセア、ストケシア‘ブルースター’ 左から/ペロブスキア‘レイシーブルー’、スタキス ‘ハメロ’、ベロニカ・ロンギフォリア‘フェアリーテイル’ 左から/サクシセラ‘フロステッドパールズ’、アスター‘リトルカーロウ’、アスター‘トワイライト’ 左から/ペルシカリア・アンプレクシカウリス‘アルバ’、エリンジウム・ユッキフォリウム、パルテニウム・インテグリフォリウム 左から/カラミンサ、リモニウム・ラティフォリウム、ミューレンベルギア・カピラリス 左から/クランベ・マリティマ、エリンジウム・ブールガティ、アキレア‘ウォルターフンク’ 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」以外の場所にも見どころがたくさん! いつも季節の草花で華やかに彩られている園路脇の花壇は見応えたっぷり。ぜひ、花合わせの参考にしてください。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。 艶やかな赤いダリアが主役のレイズドベッド。メインの建物前です。 入り口の園路脇の花壇では、春まで楽しめるストックがやさしい彩りでまとめられている。 敷地奥のスペースでは、季節感のある植栽が、見応えたっぷりに広がっている。 世界的に多くのガーデンを手掛けているピィト・アゥドルフ氏のアジア初のガーデンとなった「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」。欧米とは異なる「高温多湿」といった問題に配慮して選ばれた植物は、今年の猛暑を乗り越え、春に向かおうとしています。アゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 4
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 暑さの中に涼しげに広がる ここならではのメドウ 今年は梅雨明けが異常に早く、猛暑日の連続という過酷な初夏を迎えたピィト・アゥドルフガーデン。アゥドルフ氏はアジアでの高温多湿を想定して植物を選定していますが、この暑さは、多少なりともこたえているのでは…。しかし、多摩丘陵地を渡る涼風と緑で、なんとか持ちこたえているようです。 今年は初めての夏ということで、開花はやや少なめ。一年草を多用する一般的な花壇に比べるとかなり地味に感じると思いますが、自然の姿を楽しむのがアゥドルフ氏のガーデンスタイル。今は株がまだ十分に大きく育っていないので、植栽に近寄って観てみるといいでしょう。 この時季は見頃を過ぎた植物がちらほら見られますが、これもアゥドルフ氏の計算のうち。花後の枯れた穂は切らずにそのままにし、盛りの花と組み合わせることで、アーティスティックなシーンが展開されています。 ここでは、夏の植栽でよく見られる熱帯のトロピカルな植物はありません。それは地植えで越冬できる植物を使って、自然な風景をデザインしているから。基本的に北半球の温帯地域のものだけで構成しているので、夏でもメドウのような牧歌的な風景になっているのです。 1種類を数株まとめて植えることでボリューム感を出し、見応えのある植栽に仕立てるのもアゥドルフ氏のスタイル。例えば、うねるように穂を伸ばすテウクリウム・ヒルカニカムと霞のような穂のエラグロスティス・スペクタビリスを隣り合わせて、ふわりとした幻想的なシーンを生み出しています。 夏をあざやかに彩る 多年草たち 【最前列で彩りを添えるもの】 【色鮮やかで目を引くもの】 【長い花穂がデザインに動きを添えているもの】 【造形美を発揮する白花】 【軽やかさを放つエアリーなもの】 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! いつも季節の草花で華やかに彩られている園内は、どこも見応えたっぷり。これらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。今回は園内中央にある「HANA・BIYORI館」をご紹介。ここには新しい感覚で楽しめるアミューズメントがぎっしり詰まっています。冷暖房完備なのも嬉しいポイント。 「HANA・BIYORI館」の中は、300鉢を超えるフラワーシャンデリア(ハンギングバスケット)をはじめ、空間360度、季節の花々で彩られています。また、中央には樹齢推定400年を超える大樹、パラボラッチョの木が据えられ、人間の力をはるかに超えた植物の力強さをアピールしています。 ベゴニアをはじめ、フクシア、ペチュニア、ゼラニウム、サクソルムが植えられたフラワーシャンデリア。その総数は日本最大級だそう。 明るいフラワーシャンデリアの空間は一日数回、映画館のような空間へと暗転し、「花とデジタルのアートショー」が開催されます。四季に合わせた自然風景や花の映像が次々に展開されるショーは、まさに新感覚。次の季節も観たくなるはず。 館内奥で目を引くのは、たくさんの魚が泳ぐ2基の大きな水槽。幅8mの水槽ではナンヨウハギ、デバスズメダイ、キンギョハナダイなど沖縄の彩り豊かな魚たち約50種1,200匹が、幅3mの水槽ではネオンテトラなど淡水の小魚が気持ちよさそうに泳いでいます。透明感のあるキラキラとしたシーンに、すっと心癒やされます。 HANA・BIYORI館の一角では、子どもに大人気の「コツメカワウソ」が見られます。愛らしい姿に、花とはまた異なる癒やしが。 暑さの中、丘陵を吹き渡る風を味方にして、健気に成長している宿根草。植物のたくましさを感じる風景に元気がもらえます。このアゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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![おしゃれなカフェと花が楽しめる青山フラワーマーケット 南青山本店[お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/07/45c48cce2e2d7fbdea1afc51c7c6ad26-6.jpg)
おしゃれなカフェと花が楽しめる青山フラワーマーケット 南青山本店[お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]
花と花雑貨、カフェ、スクールが一体になった花の複合おしゃれスポット 今年、南青山・骨董通り側に最大面積のフラッグシップショップとしてリニューアルオープンした「青山フラワーマーケット 南青山本店」。花と緑にあふれるフラワーショップや、国内外からセレクトされた約1,000種類の花瓶が並ぶフラワーベースギャラリー、エディブルフラワーを使ったメニューが大人気のティーハウスのほか、デイリーフラワーを気軽に楽しむコツを教えてくれるフラワースクールも併設。都内にいながら花に囲まれ、癒やしのひとときが楽しめます。 高感度の大人を魅了するセンスあふれる花と緑 国内122店舗を展開する青山フラワーマーケットのフラッグシップショップとしてリニューアルオープンした南青山本店。花のセレクトは店舗ごとに異なり、その土地の文化や人々の求めるものに応じて店長がそれぞれ仕入れをしています。南青山といえば、ファッションやアート、美食の最先端エリア。東京で最も感度の高い大人たちが集う街の花屋として、南青山本店には常時ハイセンスでユニークなセレクトの花が数多く並びます。夏はモカラやデンファレ、バンダなど花もちのよいラン類やクルクマ、ヒマワリがおすすめ。国内外のコンテストで受賞した花のコーナー「THE FLOWER」にはこの夏、グラマラスなリシアンサスが登場します。育種家の情熱が注がれた超進化系の花も見逃せません。 都会でヒマワリ畑が体験できる「青山ヒマワリ祭り」 8月1日(月)~8月7日(日)までは、ヒマワリが青山フラワーマーケット、ティーハウス、ハナキチの店内を埋め尽くす「青山ヒマワリ祭り」が開催されます。夏の太陽に向かって元気に花を咲かせる大輪花というイメージのヒマワリですが、近年はアレンジしやすい小輪や中輪、ふわふわした八重咲き、色もレモンイエローからクリーム、テラコッタ、2色咲きなど、そのバリエーションはとても豊か。新しいヒマワリの魅力が発見できます。遠方の方にも一緒にヒマワリ祭りを楽しんでもらうため、Aoyama DIRECT(オンラインショップの産地直送サービス)や、高速バス輸送サービスを活用したヒマワリの販売が、この時期限定で南青山本店でも実施されます。 夏の花を長もちさせるコツも伝授!「ケアツールフェア」 夏は切り花のもちが悪くなりがちですが、その原因は水の汚れと栄養不足。切り花を長くもたせるコツは、スパッと切れ味のよい花ばさみと清潔な水。8月は、花のある暮らしに役立つ選りすぐりのツールをテーマにした「ケアツールフェア」が開催され、限定オリジナル花ばさみの黒バージョンが並び、花を長もちさせるオリジナル切り花鮮度保持剤「フレッシュフラワーフード」のタンクやミストメーカーなどが、いつもよりお求めやすく購入できます。ヒマワリなどは茎に産毛が多く水が汚れる原因となるバクテリアが発生しやすいので、抗菌剤と糖分が主成分のフレッシュフラワーフードを使いつつ、花瓶の水を茎の先端が4〜5cm浸かる程度に加減すると、夏でも花が長もちします。 平日が狙い目の大人気カフェ「青山フラワーマーケット ティーハウス」 移転前の店舗時から常に行列ができていた大人気のカフェ、「青山フラワーマーケット ティーハウス」は、“花農家の温室”がコンセプト。天井や窓辺などにディスプレイされた観葉植物が店内を瑞々しい空気感で満たし、まさに都会のオアシスといった雰囲気。そんな癒やし空間のなかで提供されるメニューは「花かんむりのフレンチトースト」や「フラワーパフェ」、フレッシュハーブをたっぷりブレンドした「フレッシュハーブティー」、色とりどりの美しい花を加えた「フランス紅茶」など、エディブルフラワーやハーブを使った見目麗しい一皿ばかり。リニューアル後は席数を拡大していますが、休日のランチどきは並ぶので平日が狙い目です。 自分のために花を飾ろう。デイリーフラワーのための花教室 ティーハウスの奥には、フラワースクール「ハナキチ」も併設。青山フラワーマーケットのコンセプト「Living Wtih Flowers Every Day」を実践するための、素敵に飾るコツや季節の行事に合わせた花あしらい、ブーケの作り方などを教えてくれます。また、外部のスペシャリストを招いた「花とワインの会 Flower Wine Night」などバラエティに富んだクラスも用意。素敵な大人のたしなみとして、季節の花をササッとあしらうテクニックを身につけてみませんか。 花を買って、食べて、学べる青山フラワーマーケット 南青山本店。花のある素敵な暮らしの扉を開きに、週末お出かけしてみませんか。 Information 青山フラワーマーケット 南青山本店 住所/東京都港区南青山5-4-41 グラッセリア青山1階・2階 電話/03-3486-8787 営業時間/10:00~20:00、日祝 10:00~19:00 青山フラワーマーケット ティーハウス 南青山本店 電話/03-3400-0887 営業時間/8:00-19:00 ハナキチ 電話/03-3797-0704 営業時間/火-金:10:00-21:00 土日祝:10:00-18:00 定休日/月曜日 ※変動あり Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 写真提供/パーク・コーポレーション
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小説家・林芙美子のやすらぎの家と庭【松本路子の庭をめぐる物語】
晩年の安住の地 『放浪記』『浮雲』など、映画や舞台でも知られる小説の作者、林芙美子(はやし ふみこ1903-1951)。彼女が晩年の10年間を過ごした家と庭が、新宿区中井にあり、現在、林芙美子記念館として公開されている。長い放浪生活の果てに得た、安住の地ともいえる家や庭。その瀟洒な佇まいの中に、作家の想いや人生が色濃く漂っている。 自ら設計した家 それまで借家住まいだった芙美子が、下落合(現・中井)に300坪の土地を購入したのは、1939年のこと。家を建てるにあたり、200冊近くの建築の本を買い込み、自ら100枚近く設計の青写真を描いた。それを当時の気鋭の建築家、山口文象に託し、時間をかけて図面を完成させている。 文献だけでなく、建築士や大工を伴い、京都に10日間滞在して、寺社や民家を見てまわった。彼女は「家をつくるにあたって」と題した一文に「東西南北風の吹き抜ける家と云うのが、私の家に対する最も重要な信念であった。〈中略〉生涯を住む家となれば何よりも、愛らしい美しい家をつくりたいと思った」と書き残している。 数寄屋造りの特色と、「茶の間と風呂と台所に力を入れた」という、住み手の暮らしを重視した京風の民家の色合いを併せ持つ家は、1941年8月に完成。台所や茶の間のある生活棟と、芙美子の書斎や画家であった夫・緑敏のアトリエのある棟からなる、よく考えられた間取りだ。各部屋の中から南側に広がる庭を見渡すことができる、開放的な平屋造りになっている。 竹林のある庭 京都の庭を見てまわった芙美子は、ことのほか竹林と苔の庭に惹かれたという。苔の庭は気候的に無理とのことであきらめたが、庭一面に孟宗竹を植えることは叶った。 さらに、柘榴、寒椿、おおさかづきもみじ、カルミアなど、彼女が愛した木々が植えられた。『風琴と魚の町』という尾道を描いた著作に「この家の庭には柘榴の木が4、5本あった」と書き残している。最初に柘榴を植えたのは、それを懐かしんでのことだろうか。 芙美子亡き後、庭には夫の好んだ山野草が多く植えられ、竹林は玄関付近にしか残されていないが、これらの木々は今も健在だ。6月には柘榴がオレンジ色の花をつけて、迎えてくれた。 5月に訪ねた時には、北側の斜面の、家を見下ろすような場所にカルミアの白い花が咲き誇っていた。カルミアの傍には、いくつかのバラが開花していた。 庭への思い 現在は展示室となっているアトリエで、2022年4月から5月にかけて「林芙美子 花への思い」という展示がなされ、芙美子が花の手入れをしている写真を見ることができた。夫の緑敏の柘榴の絵とともに、芙美子の描いた桜草の絵も並び、その傍らには彼女が好んで書いた「花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき」という自筆の色紙が添えられていた。 尾道の家 1903年に山口県下関市(福岡県門司市ともいわれる)で生まれた芙美子は、実の父親からは認知されず、行商人の養父と母とともに各地の木賃宿を転々とする幼少期を過ごした。 一家がようやく落ち着いたのは、12歳から18歳までの6年間を過ごした尾道。尾道市立高等女学校へ進学し、周囲からその文才を評価された。尾道には親子3人が間借りしていた離れの2階が残されている。私は十数年前に「レストランカフェ おのみち芙美子」(現・おのみち林芙美子記念館)を通り抜けたところに建つ、その家に立ち寄っている。およそ5畳の部屋は、親子3人が暮らすのにはあまりに狭く見えたが、彼女にとって、木賃宿暮らしではない、安らぎの場所だったのかも知れない。 『放浪記』の中で「私は宿命的に放浪者である。私は古里をもたない」とした芙美子だが、「海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい」とも書き残している。私はその言葉に救われる思いがした。 ベストセラー作家への道 恋人を追って尾道から上京した後も、女工やカフェの女給などの職業を転々として、苦闘の日々を送っていた。その中で書き続けた日記をもとに、著した自伝的小説が『放浪記』だ。1930年に出版され、『続放浪記』と合わせて60万部というベストセラーとなった。一躍売れっ子作家となった芙美子は、次々に作品を発表。パリやロンドンに長期滞在して、紀行文を書いたりもしている。 終の棲家 何人かの男性と同棲を繰り返した後、画学生の手塚緑敏と暮らし始めたのが1926年。下落合の新居では、生後間もない男児を養子に迎え、緑敏とともに林家に入籍させて、ちゃぶ台を囲んでの一家団欒の日々を送っている。放浪の果てに得た家族との平穏な生活。仕事の合間に食事を作り、漬物を漬けるなど、料理好きな一面もあったという。台所には当時の食器が残されている。 執筆活動は精力的に続けられ、この家で『うず潮』『晩菊』『浮雲』などの代表作が生み出された。だが、仕事の無理がたたり、1951年に心臓まひで急逝。47年の生涯だった。立て続けに依頼される仕事を断ることができなかったという。それもあるだろうが、「誰も語らない、市井の人々を書きたい」という欲求が彼女を突き動かしていた、そのようにも思いたい。 庭のバラ園 2022年5月のアトリエの展示では、バラの庭の写真も飾られていた。家の北側の斜面を登った高台に、かなり広いバラ園があり、おもに夫の緑敏が手入れをしていた。その土地は人手に渡り、今は記念館の斜面に植えられた数本のバラが、往時をしのばせる。 バラ園では、当時切り花として市販されていなかった種類のバラが栽培されていた。そのバラを愛した洋画家の梅原龍三郎のもとに、定期的に花が届けられた。梅原龍三郎の描くバラの花は、芙美子たちの庭で咲いたものなのだ。バラ園は無くなったが、バラは絵の中で永遠に生きている。 芙美子の生涯もまた、その著作の中に息づいている。残された家を訪ね、ひとりの女性の生き方に思いを馳せる、そんな庭めぐりもよいものだ。 Information 新宿区立 林芙美子記念館 住所:東京都新宿区中井2-20-1 電話:03-5996-9207 Fax:03-5982-5789 HP:https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/fumiko 休館日:月曜日 入館料:一般150円、小・中学生50円 アクセス:都営地下鉄大江戸線・西武新宿線「中井駅」より徒歩7分 アトリエ展示:「小さきもの*可愛いもの」(2022年6月1日~8月31日) 取材協力:新宿区立 林芙美子記念館
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 3
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 繊細さと力強さがミックスした 瑞々しい初夏の風景 植え込みから約半年が経った5月半ば。草花もすくすくと育ち、植栽にボリュームが出てきました。この時期は、春咲きの球根類と宿根草の競演が楽しめます。 この時期の植栽に量感を与えているのは、草丈の高いポピー‘マザーオブパール’とアリウム‘パープルセンセーション’など。区分けした6つの花壇それぞれに数株ずつ配置して、つながりを持たせつつ見応えを出しています。 ポピーは、ケシならではの薄い花弁と楕円形のつぼみを支えるクルンとした花茎が印象的。植物一つひとつを眺めてみると、それぞれ質感や造形を重視するアゥドルフ氏の狙いが見えてくるようです。 アリウムの球形の花序と直線的な花茎もアゥドルフ氏のデザイン性を象徴するもの。まとめたり並べて植えたりせず、あちこちに少しずらして配置することで、全体的なつながりを生み、リズミカルな浮遊感でファンタスティックな楽しさを演出しています。 つぼみの段階の植物でも、個性的なフォルムを描くものであれば、植栽の印象を深めることができる重要なアイテムになります。ここでは、コオニユリのつぼみをつけた直線的な茎が、ふんわりとした植栽に力強さを添えています。 同色で揃えた植栽も、質感やフォルムの違いで変化がたっぷり。光沢のあるひらひらとした花をつけるラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’とマットな質感の花茎を伸ばすアスチルベの対比がおもしろい。 セントーレア‘パープルハート’のギザギザした花弁の先が、さりげないアクセントを添えたり、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’の長い花穂が風を感じさせる植栽。 花壇脇の園路にはサクラがつくる緑が影を落とし、木漏れ日がキラキラと輝いています。株元ではここに毎年芽を出す小さな野花たちが、愛らしい彩りを添えています。 初夏を鮮やかに彩る やさしい雰囲気の草花たち 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! メインの建物前の園路脇に設けられたレイズドベッドは、いつも華やかさ抜群。奥に広がるアゥドルフ氏の庭園をやんわり仕切る役割も担っています。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽。ぜひ、花合わせの参考にしてください。 瑞々しさ抜群の春咲き球根植物。成長してきた宿根草とともに初夏をファンタスティックに彩ります。このアゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する ‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 2
【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】 宿根草が咲くまでの間を彩る 球根植物たちの華やかな競演 3月19日にオープンした、ガーデンデザイナー、ピィト・アゥドルフ氏デザインのガーデン。当時は芽を出したばかりの状態だった球根植物が、桜の開花と同時にピークを迎えました。生まれたばかりで彩りの寂しかった庭は、本格的な春の風景へとシフトしていきます。 宿根草を落とし込んだ植栽計画図以外に、球根の植栽図を別に用意することが多いアゥドルフ氏。球根植栽で有名なジャクリーン・ファンデル・クルートさんとも組んで球根を植えることもあるのだとか。今回は、2020年にドイツでオープンした「Vitra Garden」のために起こした球根植栽図を参考に、永村さんが植栽計画を立てました。 ここでの球根の植栽計画は、純粋なアゥドルフ氏の植栽とは少し異なり、やや賑やかさを意識したセレクト。アジア初のプロジェクトということと、アゥドルフ氏のスタイルに馴染みのない一般客が大半を占めることを意識して、パッと目を引く種類を多めに採用しました。 今回の春の賑やかしとして植えたチューリップやエリシマムは永村さんの提案で、事前にアゥドルフ氏と何度も協議を重ねて採用を決定。アリウムとスイセンに関しては、Vitraで使用されたものをピックアップしました。アゥドルフ氏の作品としては、サクラ並木に囲まれる立地は今回が初めて。「この景色の特徴を生かして、ローカライズしたものを創るのも一つの答えだと思います」と永村さん。 セレクトは次の通り。 A)アゥドルフ氏の作品にも登場した品種の中で、夏越ししそうなスイセン。越年しなさそうでも試験的に入れてみたアリウムやカマッシア。 B) サクラの魅力を増幅するために、花壇を濃淡2色のサクラと一体化して隣の大きな温室の窓に映るようにするで、包まれるような感覚を演出するための、チューリップとラナンキュラス‘ラックス’。 C) 日本・アジア原産の球根として、バイモユリ、リーガルリリー、コオニユリ。 「サクラの開花タイミングと一致する球根植物にこだわっています。サクラの花後を引き継ぐチューリップを多用していますが、じつは、アゥドルフ氏の意向では、『本来は原種を植えたいところ。今回植えたような園芸品種のチューリップはオープニングの時だけ』ということで容認された植栽でした。しかし、サクラとの景色が好評だったため、アゥドルフ氏も喜んでくださり、今後のことは現場の声やお客様の声を生かしながら、アゥドルフ氏と検討を重ねていくことになりました」と永村さん。 来年さらに華やかにパワーアップするか、それとも本来の原種系にトーンダウンして本格派を目指すか、方向を決めるために考えを巡らせている、永村さんと植栽チーム。とはいえ、球根の予約発注は6月までに済ませる必要があるのだとか。植物を相手だと悠長にしていられない難しさがあります。プロたちの判断により描かれる来年の美しい風景も楽しみですね。 アゥドルフ氏は数年後にどのような状態になるかを想定したデザインを提示し、考え方を共有するスタッフに管理を任せてしばらく見守る姿勢を貫いています。日々進化する庭。思いがけず枯れてしまうものもあるかもしれませんが、植物への愛とスタッフへの信頼が美しい風景を育んでいます。 春をあざやかに彩る 球根植物たち 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! いつも季節の草花で華やかに彩られている園路脇の花壇は見応えたっぷり。ぜひ、花合わせの参考にしてください。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。 何年も前から植わっている幾本ものサクラが一斉に花を咲かせる3月下旬から4月上旬。桃源郷のような美しい風景が広がり、お花見にうってつけの場所です。 多年草のピークを迎えるまでの途中段階を、元気いっぱいに咲き継ぐ球根植物。この多年草とは異なる魅力を生かしながら、サクラが美しいHANA・BIYORIならではの風景が生み出されました。アゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 写真協力/永村裕子(※) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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東京・伊豆大島の桜【松本路子の桜旅便り】
野生の桜‘オオシマザクラ’ 日本国内には10種類の野生の桜が分布している。そのうちの一つが‘オオシマザクラ’だ。伊豆大島を中心とした伊豆諸島が主な自生地で、伊豆半島、房総半島、三浦半島など、海岸沿いの暖かい地方にも生育している。 ‘オオシマザクラ’の開花は4月上旬で、3~5cmの白色の花をつけ、桜には珍しくかすかな芳香がある。開花と同時に緑色の若葉をつけ、赤みがかった若葉の‘ヤマザクラ’や、花だけが先に出る‘染井吉野’との違いがある。 伊豆半島の南端で育った私にとって、‘オオシマザクラ’は‘ヤマザクラ’と同様に、なじみのある桜だ。自宅のあった熱帯植物園の裏山で木に登り、口いっぱいに桜の実をほおばった。黒く熟した実は甘酸っぱく、その味の記憶が今も残っている。 伊豆大島への旅 ‘オオシマザクラ’をその故郷である伊豆大島で見たいと、桜の季節に旅立った。東京・竹芝桟橋から高速ジェットで約1時間45分。島に近づくと、白い霞のような木々が見えてきた。船から見ると、桜が海岸線に沿って分布しているのがよく分かる。 伊豆大島は伊豆諸島最大の島で、都心から約120kmの洋上に位置し、行政区域は東京都大島町だ。下船して海岸線の桜を見ながら向かったのは、都立大島公園内の植物園。ここは椿園で知られるが、‘オオシマザクラ’の植栽も豊かで、寒咲き、八重、旗弁を持つ旗桜など、珍しい種類が揃っている。 樹齢800年の‘オオシマザクラ’ 大島を訪ねたらぜひ行きたい場所があった。樹齢800年といわれる桜の古木のあるところだ。島の北東部泉津地区の山中のその木は、幹の周囲6mの大木だが、主幹は倒れ、龍が地面にのたうっているような姿をしている。倒れてはいるが、太い幹から伸びた3本の若い幹に花をつけていた。ほとんど朽ちているように見えるが、根は地中に伸び、新たな息吹を生み出しているのだ。実際に古木に向かい合うと、その生命力に圧倒された。 かつては島に向かう船がこの桜を目印に航海をしたというから、かなりの高木だったのだろう。島の人々は親しみを込めて、この桜を「サクラッ株」と呼んでいる。 「里桜」の親として 野生の桜に対して栽培の桜を「里桜」と呼ぶことがある。植物学上では‘オオシマザクラ’由来の園芸品種を総称して「里桜」としている。園芸品種の中で‘オオシマザクラ’を片親に持つ桜は数多い。 ‘オオシマザクラ’が変異した桜に、鎌倉で発見された‘御車返し(桐ケ谷)’ ‘普賢象’などがある。‘オオシマザクラ’は鎌倉時代に関東の武士によって京都に運ばれた。京都では平安時代より桜の交配技術が進んでおり、この桜を片親としていくつかの新種が生みだされた。江戸時代になるとさらに交配技術が進み、‘関山’ ‘一葉’ ‘白雪’など、現在見ることができる八重桜のほとんどが誕生している。 江戸の末期に生まれた‘染井吉野’も、‘オオシマザクラ’と‘エドヒガン’の種間雑種と考えられている。こちらは江戸の染井村から「吉野桜」として売り出され、明治期に全国的に広まると‘染井吉野’と名づけられた。 桜餅の葉 ‘オオシマザクラ’の花にはほのかな香りがあり、葉を塩漬けにすると香りが際立つ。葉は大きく、産毛が少ないので口当たりもよいことから、塩漬けの後、桜餅に用いられるようになった。「餅桜」の別名で呼ばれるほどで、桜餅のほんのりとした香りは‘オオシマザクラ’のものだ。 現在、桜葉の塩漬けの約7割は、伊豆の西海岸の町で生産されている。葉の収穫時期は5~8月で、樽に塩漬けしてほぼ半年寝かせると、芳香成分のクマリンが発散されるのだという。 木の成育が早く再生力が強いことから、木炭燃料として雑木林に植えられてきて、「薪桜」とも呼ばれる。また浮世絵の版木や建材にも用いられた。そうした実用性に加え、純白に近い、凛とした花姿に惹かれて、この桜を愛でる人も多い。 *植物学の慣例に従い、野生の桜の名前をカタカナで、栽培品種を漢字で表記しています。 Information 都立大島公園 住所:東京都大島町泉津福重2 電話:04992-2-9111 HP: https://www.town.oshima.tokyo.jp/(大島町公式サイト) 伊豆大島観光協会 住所:東京都大島町元町1-3-3 電話:04992-2-2177 HP: www.izu-oshima.or.jp
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ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する ‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 1
世界を席巻する 自然と調和するデザインとは ピィト・アゥドルフ氏は、それぞれの風土に根ざす植物や宿根草を使った自然主義の植栽手法で知られる、世界的に著名なガーデンデザイナー。オランダ国内でさまざまなプロジェクトを手掛け、ニューヨークの高架廃線跡を再開発した空中庭園「ハイライン」、18世紀の農場をアート施設として改装した英国の「ハウザー&ワース・サマセット」などが有名です。自然環境への関心の高まりとともに注目を浴びています。 一般的なガーデンには観賞のピーク時があるのに対し、アゥドルフ氏のガーデンは一年を通して楽しむことができます。それは単に花の美しさの組み合わせで魅せるものではなく、葉色や種をつけた穂の形、質感など、総合的な視点から組み合わされているから。 「最盛期を過ぎて、枯れていく姿までも美しい」としみじみ感じられるシーンで構成されている風景は、見る人の「魂」を強く揺さぶります。朽ちる姿に美を見いだす視点は、日本人の侘び・寂を愛でる精神にも通じています。そんなアゥドルフ氏のガーデンデザインスタイルは、園芸家や造園家の今までの庭に対する認識に大きな変革をもたらしました。またそのような風景づくりは「ダッチウェーブムーブメント」と呼ばれ、オランダの一つのスタイルを確立しました。 自然から得られる感情の再創造により風景を生み出しているアゥドルフ氏。成長する多年草のみならず、蝶や鳥、訪れた子どもまでもがガーデンを構成する要素となるよう、ていねいに風景を紡いでいます。 3年目を迎えた「HANA・BIYORI」が 提案する自然と平和の大切さ 華やかな花々の潤いで、訪れた人々に癒やしと驚きを与えたい…そういう思いで、2020年3月にオープンした「HANA・BIYORI」。ここは緑豊かな多摩丘陵の東端にある遊園地「よみうりランド」に隣接しています。HANA・BIYORIオープン前は聖地公園として、この自然をうまく生かしつつ、歴史的・文化的な建造物も大切に残し、地元の人々に愛されていました。この「自然との共生」を大切にした理念は、まさにアゥドルフ氏の考え方と重なります。 「もう少しHANA・BIYORIらしさを追求したい」と模索していた2年目、ランドスケープデザイナーの永村裕子さんに相談したところ、「もっと自然と共生する植栽を」という方向性に決定。彼女が提案したのは、アゥドルフ氏の庭をここにつくること。彼のデザインはサステナブルで、まさに今の時代SDGsにフィットするとして、「HANA・BIYORI」の新しい指針となりました。 植栽は永村さんの声かけにより、日本各地のガーデナーたちが集結しました。人気ガーデナーの上野砂由紀さんや天野麻里絵さんも参加。コロナ禍でアゥドルフ氏の来日は叶いませんでしたが、綿密なやり取りを重ね、2021年12月に本格的な植え込みがスタート。この春、見事にそのガーデンが完成しました。 「アゥドルフ氏の庭づくりのような、ピークまで複数年、庭を育てながら愛でるといった考えは、まだ日本では一般的ではありません。ここがきっかけで、時間をかけて変化していく庭の楽しみ方への認知が高まればいいですね」と、今回プロジェクトヘッドガーデナーとなった永村裕子さん。「アジア初なので、夏の過酷な暑さに耐えられないものが出てくるかもしれません。でもすぐに植え替えはせず、1年はそのままで、自然に任せて様子を見ることになっています。今植わっているものは、人間でいうと、まだ幼い子ども。2年目は高校生ぐらい、3年目でようやく成人を迎えます。成長過程で見える風景も違いますし、年々見応えが増してくるので、こまめに見ていただけると嬉しいですね」 今のこのような時世もあって、「花で平和を発信できれば」とよみうりランドの溝口烈社長。 ペーター・ファン・デル・フリート駐日オランダ王国大使は「花を通じて文化の違いを埋め、人をつなぐものであってほしい」と自然との共存の大切さに加え、花によって築かれる人の絆の力についても話されました。 「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」 以外の場所にも見どころがたくさん! 園路脇の花壇は、旬の花々が彩りを添えています。ぜひ、花合わせの参考にしてください。 こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。 日本の園芸に携わるガーデナーたちの情熱で生み出されたピィト・アゥドルフ氏のガーデン。アゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。 【ガーデンデザイナー】 ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf) 1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。 Information 新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI 東京都稲城市矢野口4015-1 TEL:044-966-8717 https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ 営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認 定休日:不定休(HPをご確認下さい) アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪33 東京「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガー…
生産者と自身の思いを届ける 誠実さがあふれるショップ シルバーや銅葉など、美しいカラーリーフの樹木が店頭を飾る「Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン)」のエントランス。造園業を営む「立川造園」の窓口でもある園芸店というだけあって、珍しい大鉢の樹木類がたくさん並んでいます。 ここは立川造園の園芸店舗をリニューアルし2016年にスタートしたショップで、スタッフ8名はみな女性。「造園部は男性ばかりですが、店舗では女性ならではの感性を生かして、笑顔と会話を絶やさず、お客様が心地よくショッピングができるようなおもてなしを心がけています」と店長の村形りかさん。 白いタープが心地よい空間には、ナチュラルな印象の苗がずらり。美しい状態で苗を提供するために、徹底した手入れ・管理がなされています。「よい状態を維持することは、生産者の思い、ストーリーをきちんとお客様に届けること。ポップも分かりやすく書いています」と村形さん。 季節の草花は、花壇でも寄せ植えでも、ほかの花と組み合わせがしやすい品種を陳列。たくさんの植物があるにもかかわらず、店内は落ち着いた雰囲気です。それは「園芸好きなお客様が大人の自由時間を過ごせる場に」という思いで、店づくりがなされているから。スタッフは花をこよなく愛する人ばかりで、ショップ中からそれが伝わってきます。 お客様にさりげなく声掛けすることも心がけている村形さん。「お客様との間に壁を作らず、情報交換できる場所」となるよう常に意識しています。場所がら通りすがりのお客様はほとんどいないので、リピートしてもらえるように努力を重ねています。 繊細な草花と雑貨を合わせたディスプレイも必見。「ディスプレイは、隣り合うものは何か? をよく吟味し、相乗効果を狙ったレイアウトを心がけています。雑貨は植物の邪魔をしないことや、お客様が選びやすいことなどを意識しています」と村形さん。 季節感も大切にしているポイント。先まわりしすぎずに、旬をしっかりと感じられるようなディスプレイを心がけています。 2つの出会いが教えてくれた ガーデニングの楽しさと大切さ 細やかな気配りで接客にあたる村形さん。20代の頃の関心ごとは植物ではなく、料理をさらに美しく見せるテーブルコーディネート (la décoration de table)やフランス語を学ぶことだったそう。日仏文化協会が主催する、フランス文化体験プログラムに参加し、コルドンブルーやエコール ルノートルで料理を学んだことも。街の花のある美しい風景や光景も「きれいだな」と思う程度でした。 村形さんが花にのめり込んだのは、2つのこと(出会い)がきっかけでした。一つめは、テーブルコーディネートで花に関心を持ち始めた頃にイギリスで始まった歴史ある装飾園芸の技法を知り、2000年にハンギングバスケットマスターの資格を取得したこと。夢中で向き合ううちに腕を上げ、数年後には園芸雑誌やガーデニングショーで受賞しました。凝り性で、これだと一つ決めると突き進む性格が、今の村形さんを作っています。 きっかけのもう一つは、バラをこよなく愛する地釜政弘さんとの出会い。地釜さんは、東村山の自宅でたくさんの野ばらやイングリッシュローズなどを育てていた方で、地元の小学校にもバラ園をつくり、ミニコンサートを開催するなど地域に大きく貢献していました。村形さんは、その活動やバラを愛する姿に感銘を受け、花が持つ力を知ったのです。 その後はハンギングバスケットの資格を生かしながら、あちこちで活動。地釜さんに背中を押されたこともあり、東村山に拠点を置き、ショップをリニューアルオープンさせるに至りました。 ハウス内も見どころが満載! ワークショップも開催される ハウス内には、観葉植物やギフト用のランのほか、雑貨や季節の球根などが並んでいます。ここのディスプレイもナチュラルシックな雰囲気で、飾り方の参考になります。球根と合わせるコンテナ類は、アンティークタッチのコンパクトなものがほとんど。小球根を植えるのにおすすめ。 スタッフはそれぞれに長けていることが異なる多彩な陣容。村形さんは、そんな仲間をリスペクトしていると言います。切り花店出身者の技能を生かし、フレッシュリースなども販売。 ハウス内では、さまざまなイベントやワークショップも開催。定番の寄せ植えをはじめ、フラワーアレンジやリース作りなど、生活に楽しく取り込めるような講座が催されています。 村形さんのイチオシはコレ! 松村ナーセリーのクリスマスローズ 同じ地域で活躍する松村みよ子さんのリーフが美しいクリスマスローズ。真冬に輝くウィンタープランツとして欠かせません。たくさんの草花と合わせた華やかな寄せ植えなど、今までになかったようなアレンジができます。色・形、斑の入り方も多様で花も楽しめる、といった優れもの。地植えにしてもいいですね。 バラを栽培するガーデナーである恩人の「花で社会貢献する姿勢」に影響を受け、園芸店として地域への大きな貢献を目指す「Garden Shop T- Garden」。女性目線で細やかな気配りと品揃え、ディスプレイが心地よいショップです。2022年3月に店舗はカフェを併設して再リニューアルオープンする予定(詳細はHPをチェック)。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、西武新宿線「東村山駅」より徒歩17分。 【GARDEN DATA】 Garden Shop T- Garden(ガーデンショップ ティーガーデン) 東京都東村山市久米川町2-1-2 TEL :042-395-1956 営業時間:9:30~17:00 定休日:水曜日/8月は長期休暇あり https://www.t-garden-hana.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪30 東京「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンア…
環境も立地もバッチリ 訪れやすい園芸店 閑静な高級住宅街エリアにある「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」。玉川髙島屋S・Cの別館で、アウトドアショップやペットショップなどが併設される「ガーデンアイランド」の2階にあります。 明るい自然光が降り注ぐ店内は温室のように植物が茂る、瑞々しい空間。総合ガーデンセンターというだけあって、広々としたフロアには、ガーデニングライフを楽しくしてくれるアイテムがずらりと並んでいます。 「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」は培養土の製造・卸し会社、プロトリーフ社の直営店。「緑ある暮らしを、もっと素敵に」をコンセプトに掲げ、お客さま一人ひとりに喜ばれるサービスを提供しています。「ビギナーのお客様が多いのですが、高品質なことはもちろん、接客とフォローに力を入れ、常に‘もっと愛される園芸店’を目指しています」と店長の佐藤健太さん。 ここは住宅街も擁しながらも自然が美しく調和するエリアで、住環境に対する意識の高い人が多い街。それだけに、店頭に並ぶインテリアグリーンは丈夫で見栄えのよいものが揃っており、人気の観葉植物フィカスの大鉢は10種類近くもあります。 ここ数年人気なのは、ガラスのビンに苔などのグリーンを入れて楽しむ苔テラリウム。小さなガラス瓶の中に広がる苔の小宇宙は、眺めているだけで癒やされます。完成品だけでなく、苔や砂、ガラスの容器など、これから作るのに必要なものが揃っています。 自社の培養土だけでなく他社製品も含めて、たくさんの培養土・土壌改良剤が並ぶコーナー。最も使う頻度が高い「花や野菜用」「観葉植物用」の培養土は、大・中・小の袋が用意されています。さすが培養土会社、充実したコーナーです。 マンションなど集合住宅でベランダガーデンを楽しむお客様が多いため、さまざまなスタイルの大きな鉢も多く取り揃えています。 開放感たっぷりの 屋外の花苗売り場 緑豊かな住宅街に面した細長い花苗売り場には、季節の草花がずらりと並んでいます。段差をつけた什器は腰高で選びやすい設計。日当たりと風通しがよく、花苗は健やかな状態に管理されています。 異国情緒が漂う 充実の樹木コーナーも必見! インドアプランツや花苗同様、樹木類の品揃えも充実しています。特に力を入れているのがオージープランツと果樹。取材時は秋で、柑橘系が丸い実をたわわにつけていました。「集合住宅のお客様も多いので、落ち葉に配慮するとベランダでは常緑樹のほうがおすすめ。落葉樹は自然な趣が楽しめるモミジなどの雑木を揃えています」と佐藤さん。 樹木類は細長い通路の両脇に。大小さまざまな樹木たちがまるで花壇に植わっているように陳列され、美しい小道のような風景が楽しめます。 左/メラレウカなど、葉の細かい種類を集めたオージープランツコーナー。 中/オージープランツのセルリアの花やグレヴィレアの斑入り葉で、シーンを明るく。 右/アデナンサス×ヒューケラで、ユーカリのプラ鉢を美しくカバー。 左/希少なミモザアカシア(オールリーフワトル)。アカシアでは珍しい、四季咲きの細い枝葉品種。 中/やさしい色合いの花が魅力のグレヴィレア‘ピーチ&クリーム’。 右/庭に1本あると何かと便利なユズ。 庭の雰囲気を高めてくれるアイテム使いのアイデアも、あちこちに散りばめられています。リーフを上手に使った甘くなりすぎないコーディネートがプロトリーフ流。 リフレッシュ効果抜群! 植栽が美しいルーフガーデン 近所の人たちの散歩コースにもなっているプロトリーフのルーフガーデン。屋上だというのに大きな木がたくさん植わって、地上の公園さながらのボリューム感です。春の芽吹きや秋の紅葉など、季節の彩りが人々の心を和ませています。 ベンチがたくさんあるので、買い物の後のひと休みにうってつけ。野菜やハーブの苗はここに並んでいます。 大きな木の下には、のどかな雰囲気の小さなキッチンガーデンが。野菜を庭に取り込む楽しさを伝えつつ、その成長過程を見せてくれます。 ワンランク上の選りすぐりの 植物が並ぶ、新エリア登場 2021年3月、地下2階に新たにグランドオープンした「PROTOLEAF SELECTIONS(プロトリーフセレクションズ)」。ガラスの建物内には、近年人気のサボテンや多肉植物、ユニークな珍奇植物や大型の観葉植物が、外のエリアには、主におしゃれな庭づくりにおすすめの樹木が並んでいます。 ガラスの店内は無機質なしつらえで、メンズライクにコーディネート。どこかラボ的な雰囲気が漂います。 プロトリーフ「niwa-kura」では、庭のデザイン・施工からリフォーム、庭木やバラのメンテナンスまで相談を受けています。相談カウンターが設けられているので、気軽に利用してみて。 2021年でオープン13年目を迎える「PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店」。定期的にフェアやワークショップを開催しているほか、WEBの「Youtubeプロトリーフチャンネル」でガーデニング講座を発信し、園芸の楽しさを伝えつつ徹底したフォローを心がけています。ビギナーからマニアまで楽しめるショップ、ぜひ訪れてみてください。アクセスは、東急田園都市線「二子玉川駅」から徒歩約4分。 【GARDEN DATA】 PROTOLEAF(プロトリーフ)玉川高島屋S・C ガーデンアイランド玉川店 東京都世田谷区瀬田2-32-14 玉川高島屋S・C ガーデンアイランド2F TEL :03-5716-8787 営業時間:10:00~20:00 定休日:1/1(元日)のみ休館 https://www.protoleaf.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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華やかな店先の奥には、季節の掘り出し物も! 東京・二子玉川『メゾンフルーリ』 今日はてくてく、「花屋…
フランス語で“花の咲く家”と名づけた『メゾンフルーリ』は1974年に創業。雑誌『花時間』でも華やかに誌面を飾っていただいたフラワーアーティスト、野口美知子さんが東京・二子玉川にオープンしたお店です。そして、現在、二代目として看板をしょって立つのがご子息の佐々木久満さん。6年前、以前あった場所から、髙島屋本館裏手の二子玉川商店街へ引っ越しました。 和菓子屋さん、カフェと眺めて歩くと、通り沿いに溢れんばかりに花を並べたお店が『メゾンフルーリ』。花を贈る人、自分でいけて楽しみたい人のどちらにも親切な花屋さんなんです。店先でまず、目に飛び込むのは、↓の写真のギフトブーケ。急なプレゼントにも便利なのはもちろん、写真をよく見て! 花の組み合わせがひとつずつ違い、価格も3段階で設定。相手の好みや用途に合わせて、気軽に選べるのがポイントです。 同じ店先で見つけたのは、バラ10本でこのお値段のサービス花束。いきいきとしていて、長く咲きそうですね。近所にほしいくらいのお得な花屋さんでは? リーズナブルな価格を保っているのは、ギフト需要が多いからで、そのため、店内にはバラのほか、華やかさに欠かせないユリもいつもスタンバイしています。ユリは最近、いけていないかも? なんて思っていたら、ちょっと目からうろこですよ。佐々木さん曰く、ユリは、いけやすいよう、どんどん進化している花。取材時にあったユリを見せてもらい納得でした。↓のユリは「スマトラ」。茎が太く、真横に花が向いているイメージが強いユリですが、このユリに関しては、草花を思わせる華奢な茎をもち、楚々とうつむいています。ササユリなどの奥ゆかしい和のユリを連想しませんか? ↓のユリは花が上へ向く「バルベルデ」。バラなどの上向きの花とも合わせやすいのが特徴だそうです。 佐々木さんは、じつは『花時間』の知恵袋のひとり。各地の花の生産者と交流をもち、いつも季節の珍しい花に出会わせてくれます。訪ねたら、見つかるはずですよ! 取材のときにあったのは、↓の紫の花。長野の片桐さんが作っているラペイロージアという花で、山野草のような風情が素敵です。 そして、↓は福岡からやってきたというクサボタン。日本にいくつかあるクレマチスの原種のひとつなんだそう。花びらがカールして、ベル形のクレマチスによく似ていますね。 話を聞いているうちに、植物図鑑の中にさまよいこんだような気分に(笑)。そんな佐々木さんは、意外にもこんなにかわいらしい花も得意だったりします。 訪ねたら、目を皿のようにして花を選びたい『メゾンフルーリ』は、二子玉川駅から徒歩約5分。斜め向かいにできたカフェは、おすすめだそうです。 Shop Data:メゾンフルーリ(Maison Fleurie) インスタグラム/https://www.instagram.com/maison_fleurie_tamagawa 住所/東京都世田谷区玉川3丁目15-12 106 電話/03・3700・8790 営業時間/10:30〜20:00(日曜・祝日~18:00) 定休日/なし Credit 記事協力 構成と撮影と文・鈴木清子
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都会の癒やしスポット 東京の素晴らしい庭園12選
1.新宿御苑 (しんじゅくぎょえん) 広々とした芝生に、大きく茂る木々。高層ビルの立ち並ぶ新宿にあって、新宿御苑は、まさに都会のオアシスとして親しまれる庭園です。江戸時代には徳川家の家臣、内藤家の下屋敷があった場所で、国営の農事試験場、宮内省の御料地を経て、明治39年(1906)に、皇室庭園として誕生しました。 新宿御苑の庭園は、風景式庭園と整形式庭園という、フランス人造園家の設計による2つの西洋庭園と、池泉回遊式の日本庭園が組み合わさっています。明治時代を代表する近代西洋庭園の名作とされ、特に、風景式庭園は日本では珍しいものです。戦後の昭和24年(1949)に、国民公園として一般公開されました。 3月下旬からは桜が見頃を迎え、全国から集められた、一重咲きから八重咲きまでの約65種、1,000本の桜が1カ月間咲き継ぎます。一方、秋の紅葉も見事。赤く染まるカエデなどに加え、整形式庭園ではバラ園の両側に配置されたプラタナスの並木が、鮮やかな黄色に色づきます。11月には、皇室ゆかりの菊花壇展や、大温室での洋ラン展が催されるなど、一年を通じて楽しみの多い庭園です。 新宿門へは、東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅より徒歩5分、JR、京王線、小田急線「新宿」駅南口より徒歩10分。入園料、一般500円。開園は9:00。閉園は、冬場の16:30から夏場の19:00まで、季節により変動(最終入園は閉園の30分前)。休園日、月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)と年末年始(12月29日~翌年1月3日)。春と秋の特別開園期間中は無休。 https://fng.or.jp/shinjuku/ 2.六義園 (国指定特別名勝・りくぎえん) 江戸を代表する大名庭園として知られる、六義園。5代将軍徳川綱吉の側用人だった柳沢吉保が、綱吉より与えられた駒込の下屋敷に自ら設計し、江戸時代中期の元禄15年(1702)に完成させました。綱吉も度々訪れたという回遊式築山泉水庭園は、関東大震災や戦禍を奇跡的に免れ、造園当時の面影を残しています。 柳沢吉保は和歌に造詣が深く、庭園に和歌の世界を表そうとしました。園内には、和歌の浦をはじめ、名歌に詠まれた数々の名勝が表現されています。 明治時代になると、六義園は三菱財閥を築いた岩崎弥太郎の別荘となり、その後、昭和13年(1938)に東京市に寄贈されて一般公開されるようになりました。3月下旬にはシダレザクラの、11月下旬~12月上旬には紅葉のライトアップが行われます。 JR山手線、東京メトロ南北線「駒込」駅から徒歩5分。入園料、一般300円。開園時間、9:00~17:00(最終入場16:30)。休園日、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。*イベント開催期間などは開園時間延長等の変更あり。 https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index031.html 3.浜離宮恩賜庭園 (国指定 特別名勝及び特別史跡・はまりきゅうおんしていえん) 汐留近くにある、徳川将軍家の所有した庭園です。6代将軍徳川家宣の時代から、歴代将軍によって庭園が整えられ、鷹狩などを楽しむ「浜御殿」として使われました。明治維新の後には皇室の離宮となり、その後、東京都に下賜されて、昭和21年(1946)に一般公開されました。 浜離宮には、18世紀に造られた2つの鴨場と、<潮入の池>が今も残されています。<潮入の池>とは、水門から東京湾の海水を取り入れ、潮の満ち引きによって趣を変えるという様式の池。江戸時代から続く庭園で、今も実際に海水が出入りする池があるのは、この浜離宮だけです。 中島の御茶屋へ、総ヒノキ造りのお伝い橋がかかり、趣のある池の景観をつくっています。「松の御茶屋」などの御茶屋の建物は、将軍が鷹狩りの際に食事を楽しんだという御茶屋を、歴史資料に基づいて復元したものです。庭園には、ボタン園、梅林、菖蒲田、藤棚のほか、春は菜の花、秋はコスモスの咲く花畑などもあり、四季折々の花景色が楽しめます。 都営地下鉄大江戸線「築地市場」駅、または、都営地下鉄大江戸線、ゆりかもめ「汐留」駅から大手門口へ徒歩7分。入園料、一般300円。開園時間、09:00~17:00(最終入場16:30)。休園日、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。*イベント開催期間などは開園時間延長等の変更あり。浜離宮恩賜庭園には水上バスの発着所があり、浅草や日の出桟橋からもアクセスできます。 http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index028.html 4.清澄庭園 (きよすみていえん) 清澄庭園が今の形に整えられたのは、明治時代です。三菱財閥を築いた岩崎弥太郎が、かつて大名屋敷だったこの地所を買い取り、社員の慰安や貴賓をもてなす場として、造園に力を入れ、明治を代表する回遊式林泉庭園となりました。大正12年(1923)の関東大震災で建物の大半が焼けてしまいますが、その時、期せずして、広い池と周囲の樹木によって1万人以上の命を救うこととなります。庭園の防災機能を考えた岩崎家は、その翌年、東京市に庭園の東側半分を寄贈。庭園はその後整備され、昭和7年(1932)に一般公開されました。 池の上に張り出すように建てられた、数寄屋造りの涼亭が、景色のアクセントとなっています。磯渡りと呼ばれる、歩を進めるたびに景色が変わるという飛び石を渡ったり、池の周りに置かれている、全国各地から集められた名石の数々を見て回ったりするのも面白いでしょう。多くの野鳥がやってくるため、バードウォッチングを楽しむ人の姿もあります。 都営地下鉄大江戸線、東京メトロ半蔵門線「清澄白河」駅より徒歩3分。入園料、一般150円。開園時間、9:00~17:00(最終入園16:30)。休園日、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。*イベント開催期間などは開園時間延長等の変更あり。 https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index033.html 5.小石川後楽園 (国指定 特別名勝及び特別史跡・こいしかわこうらくえん) 東京ドームのすぐ隣にある小石川後楽園は、六義園と並び、江戸を代表する大名庭園として知られます。池を中心とした回遊式築山泉水庭園で、水戸藩の初代藩主、徳川頼房によって築かれ、2代藩主の光圀により完成に至りました。光圀が敬愛した明の儒学者、朱舜水の影響を受けて、庭園には日本の名所だけでなく、中国の景勝も表現されています。 庭園では、海、川、山、田園という、4つの景観が表現されています。中心となる<大泉水>の辺りが海、京都を流れる<大堰川>にちなんだ大堰川の辺りが川、朱舜水が設計したという中国風の石橋、<円月橋>の辺りが山、そして、菖蒲田や梅林、稲田が広がる辺りが田園と、変化に富む景色が見られます。 JR総武線、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線、都営地下鉄大江戸線「飯田橋」駅より徒歩8分。JR総武線、都営地下鉄三田線「水道橋」駅より徒歩8分。東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園」駅より徒歩8分。入園料、一般300円。開園時間、9:00~17:00(最終入園16:30)。休園日、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。*イベント開催期間などは開園時間延長等の変更あり。 https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index030.html 6.旧古河庭園 (国指定 名勝・きゅうふるかわていえん) 旧古河庭園は、大正初期につくられた、和と洋が見事に調和する庭園です。古河家の邸宅でしたが、戦後、国の所有となり、現在は東京都により一般公開されています。武蔵野台地と低地の境目という、高低差のある立地を生かし、北側の台地の上に洋館を、斜面にテラス状の西洋庭園、その先の低地に日本庭園を配置した、特徴あるつくりになっています。 洋館と西洋庭園を設計したのは、三菱一号館やニコライ堂などを手掛け、日本の近代建築の礎を築いた英国人建築家、ジョサイア・コンドルです。西洋庭園は、左右対称の模様を描くフランス整形式庭園で、春のバラの季節には洋館を背景に美しい景色を見せ、ライトアップもされます。一方、日本庭園は、近代日本庭園の傑作、無鄰菴を生んだ京都の庭師、7代目小川治兵衛の手によるもので、心の字をかたどった心字池を中心に、大滝や枯滝を置いています。旧古河庭園は、時代を代表する2人によるコラボレーションが見られる、稀有な庭園です。 JR京浜東北線「上中里」駅より徒歩7分。東京メトロ南北線「西ヶ原」駅より徒歩7分。入園料、一般150円。開園時間、9:00~17:00(最終入園16:30)。休園日、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。*イベント開催期間などは開園時間延長等の変更あり。*洋館、茶室は旧古河邸(大谷美術館)の管理。 https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index034.html 7.八芳園 (はっぽうえん) 白金台という都心にありながら、美しい緑と静けさに満ちている八芳園。結婚式場として有名ですが、その素晴らしい日本庭園は一般にも開かれています。江戸時代初期に、徳川家康に仕えた大久保彦左衛門の屋敷があったというこの場所は、20世紀の初めになると、日立製作所などの企業の礎を築いた1人とされる、久原房之助の邸宅になりました。庭園づくりに熱心だった房之助は、12,000坪に及ぶ庭園を整え、今に遺される景観をつくり上げました。 自然の丘陵と水の流れを利用した池泉回遊式庭園では、池を囲む緑の中に、移築された明治時代の茶室「夢庵」といった歴史ある建物が置かれ、美しい調和を見せています。錦鯉が悠々と泳ぐ水辺の景色は、まさに日本の美が感じられるもの。樹齢500年を超える、見事な盆栽の展示も見どころです。散策の後は、本館ロビーのスラッシュカフェで、喫茶を楽しむこともできます。 東京メトロ南北線、都営三田線「白金台」駅より徒歩1分。開園時間、10:00頃~22:00頃(結婚式など宴席の都合により変更あり)。休園日、夏季休業と年末年始。 https://www.happo-en.com/banquet/about/ 8.皇居東御苑 二の丸庭園 (こうきょひがしぎょえん にのまるていえん) 皇居の中、かつての江戸城の二の丸につくられた広さ約6万坪の日本庭園で、平成30年(2018)10月に開園50周年を迎えました。東京の中心に、こんな穏やかな庭景色があることに驚かされます。江戸時代、この二の丸には、茶人で作庭家の小堀遠州の手になる庭園がありましたが、たびたびの火災により焼失。現在見られる回遊式庭園は、9代将軍徳川家重の時代に造られた庭園の絵図面を基に、昭和時代につくられたものです。 庭園が最も華やぐのは、4月下旬~5月のツツジの見頃と、菖蒲田に育つ84品種のハナショウブが見事な花姿を見せる6月です。ヒレナガニシキゴイの棲む二の丸池には、初夏から秋にかけて、コウホネなどの水生植物が水面に黄や白の花を咲かせます。雑木林や、各都道府県から寄贈された「都道府県の木」が植えられた区画もあり、新緑や紅葉の季節の散策も楽しめます。 東京メトロ丸ノ内線・東西線・千代田線・半蔵門線、都営地下鉄三田線「大手町」駅より徒歩約5分で大手門へ。入園無料。開園時刻は9:00。閉園時刻は、冬場の16:00(最終入園15:30)~夏場の18:00(最終入園17:30)まで、季節により変動。休園日は、月曜日と金曜日(天皇誕生日以外の祝日にあたる場合は開園。月曜日が休日にあたり開園する場合は、翌火曜日に休園)、年末年始(12月28日~翌年1月3日)。 https://www.kunaicho.go.jp/event/higashigyoen/higashigyoen.html 9.豊島区立 目白庭園 (としまくりつ めじろていえん) JR目白駅近くの住宅街にある池泉回遊式の庭園で、平成2年(1990)に、潤いのある街づくりの一環として豊島区によってつくられました。池の周りを巡りながら景色の変化が楽しめ、数寄屋建築の茶室〈赤鳥庵〉や、池に浮いているように見える〈六角浮き見堂〉が周囲に配置されています。〈赤鳥庵〉の名は、かつて近隣に暮らした児童文学者、鈴木三重吉の創刊した雑誌『赤い鳥』に由来します。 園内には花木や山野草を含め、さまざまな草木が植わり、四季の移ろいを感じることができます。春にはカルガモの親子が可愛らしい姿を見せ、夏は、築山の谷間からしぶきを上げて流れ落ちる滝が、涼しさを運びます。また、毎年、11月末から12月初頭にかけて、秋の庭園ライトアップが開催され、幻想的な紅葉の景色が楽しめます。 JR「目白」駅より徒歩5分。入園無料(庭園ライトアップ時は有料)。開園時間、9:00~17:00、7~8月は9:00~19:00。休園日、毎月第2・4月曜日(月曜日が祝祭日と重なる場合は、その翌日が休園日)、年末年始(12月29日~翌年1月3日)。 https://www.seibu-la.co.jp/mejiro-garden/ 10.山本亭 (やまもとてい) 柴又帝釈天で有名な葛飾柴又にある山本亭は、カメラ部品を製造する山本工場の創始者、故山本栄之助の自邸でした。木造瓦葺き2階建ての趣ある書院造りは、大正末期から昭和にかけて、西洋建築を取り入れて改築され、西欧化に向かった時代を感じさせる和洋折衷の建物となっています。洋間〈鳳凰の間〉のステンドグラスやマントルピースといった美しいしつらえが、大正ロマンを今に伝えます。 山本亭の庭園は、室内から眺めることを意識してつくられた、書院造庭園。常緑樹の豊かな緑を背景に、手前に池が広がり、一方で、奥の築山から流れ落ちる滝が奥行きを与えています。室内から見える限られた空間に、日本庭園のエッセンスが凝縮されたこの庭は、米国の日本庭園専門誌『Sukiya Living Magazine』の人気庭園ランキングで、最高3位、毎年上位に入って世界的にも注目されています。美しい庭園に降りることはできませんが、景色を眺めながら喫茶を楽しむことができます。 京成金町線「柴又」駅より、徒歩8分。入館料、100円。開館時間、9:00~17:00。休館日、第3火曜日(第3火曜が祝日と重なる場合は、その翌日が休園日)、12月の第3火曜日~木曜日。 http://www.katsushika-kanko.com/yamamoto/ 11.神代植物公園 (じんだいしょくぶつこうえん) 調布市にある神代植物公園は、昭和36年(1961)に都内唯一の植物公園として開かれました。約4,800種、10万本(株)もの樹木や灌木が植えられた、広大な公園です。園内は植物の種類ごとに30ブロックに分けられ、ウメやマグノリア、ツツジ、カエデ、ツバキなど、四季折々の花が楽しめます。また、大温室では熱帯スイレンなどの熱帯植物を、一年を通じて観賞することができます。 噴水を囲んだ沈床式庭園のバラ園は有名で、都内最大の規模。春は5月下旬、秋は10月中旬が見頃です。著名なバラ育種家、故鈴木省三の手による、野生種とオールドローズのコレクションもあります。また、280品種、12,000株が植わるツツジ園の花盛りも圧巻です。隣接する深大寺の裏山だったという雑木林は、昔ながらの武蔵野の面影を残し、美しさに溢れます。深大寺門前では、名物の深大寺そばをぜひお試しあれ。 京王線「調布」駅から小田急バス「神代植物公園前」または、京王バス「神代植物公園」下車。JR中央線「三鷹」駅、または「吉祥寺」駅から、小田急バス「神代植物公園前」下車。入園料、一般500円。開園時間9:30~17:00(最終入園16:00)。休園日、毎週月曜日(月曜日が祝日や休日の場合はその翌日が休園日)、及び、年末年始(12月29日~翌年1月1日)。 https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/ 12.夢の島熱帯植物館 (ゆめのしまねったいしょくぶつかん) 東京湾に浮かぶ夢の島公園内にある、夢の島熱帯植物館。目の前に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のアーチェリー会場が整備される、注目のエリアです。半円形のドームが3つ並ぶ大温室の中では、熱帯雨林に似た環境が作られ、珍しい熱帯植物が育てられています。館内や大温室の暖房や冷暖房はすべて、隣接する新江東清掃工場から送られてくる、高温水のエネルギーでまかなわれています。 植物館には、イベントホールや映像ホールもあって、熱帯植物と人々の生活との関わりを紹介するさまざまな展示やイベントが行われています。一年を通じて大温室内のエキゾチックな花々を見られるほか、屋外では、青い花を咲かせるジャカランダや、真っ赤なブラシノキの生け垣など、珍しい植物の姿も見られます。 東京メトロ有楽町線、JR京葉線、りんかい線「新木場」駅より徒歩13分。東京メトロ東西線「東陽町」駅から都バスで「夢の島」下車、徒歩5分。入館料、一般250円。開館時間9:30~17:00(最終入館16:00)。休館日、月曜日(月曜日が祝日や休日の場合はその翌日)、及び、年末年始(12月29日~翌年1月3日)。 http://www.yumenoshima.jp/botanicalhall/ Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 2) ESB Professional 3) Mariangela Cruz 4) Yingna Cai 8) Takashi Images 11) Gimas 14) picture cells 16) kawamura_lucy 17) CHEN MIN CHUN 26) crbellette 27) kuremo 29) KK_papa 33) Carlos Huang 35) Carlos Huang 37) Apple1966 / Shutterstock.com 21-23) 八芳園 8)3and garden
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東京都

12 Best Gardens in Tokyo
1. Shinjuku Gyoen National Garden(新宿御苑) Located within walking distance of one of the world’s busiest Shinjuku station is Shinjuku Gyoen National Garden, a true oasis for urban citizens. The garden is famous for its cherry blossoms in spring; there are more than one thousand cherry trees of 65 varieties, which bloom continuously for a month from late March to late April. More than a million people come and enjoy the cherry blossoms in wide open spaces. There used to be a mansion of the “Daimyo” (a feudal lord) Naito on the site during the Edo Period (1603-1868). After the Meiji Restoration (1868), the estate was purchased by the Meiji government of the days and used as an agricultural experiment station. In 1906, an imperial garden was created here and used as a palace garden to welcome guests of honor from overseas. The garden, however, was mostly destroyed by air raids in WWII. After the war, the garden was re-designed as a national garden and was open to the public in 1949. The garden consists of the three garden styles; English landscape garden, French formal garden, and Japanese traditional garden. It was originally designed by a French landscape designer in the beginning of the 20th century, and is considered to be an excellent example of modern Western-style gardens existing within Japan. Autumn coloring of leaves of maples and plane trees is also worth seeing. In November, a traditional and graceful display of chrysanthemums is shown in the Japanese garden. How to get there: 5 minutes’ walk from Shinjuku-gyoemmae station on the Tokyo Metro Marunouchi line (M-10). 10 minutes’ walk from Shinjuku station on the JR-East lines, the Keio line, and the Odakyu line. Admission: 500 yen Hours of opening: 9:00 - 16:30 (1st Oct.1 to 14th Mar., last entry 16:00) 9:00 - 18:00 (15th Mar. to 30th Jun., 21st Aug. to 30th Sep. last entry 17:30) 9:00 - 19:00 (1st Jul. to 20th Aug., last entry 18:30) Closed on Mondays (if Monday is a national holiday, closed on the next weekday), 29th Dec – 3rd Jan. https://fng.or.jp/shinjuku/en/ 2. Rikugien Gardens (六義園) Rikugien is one of the best gardens created by “Daimyos” (feudal lords) during the Edo Period (1603-1868). The garden was designed and created by Daimyo Yoshiyasu Yanagisawa in his estate in Komagome, which was given to him by his lord, the fifth Tokugawa Shogun Tsunayoshi, at the turn of the 17th and the 18th centuries. Yoshiyasu had a detailed knowledge of “waka”, Japanese poetry, and tried to reproduce beautiful scenic spots of Japan which were expressed in old waka poems by arranging a large pond and hills in the garden. During the Meiji Period (1868-1912), Rikugien was purchased by and became the residence of Yataro Iwasaki, the founder of the Mitsubishi zaibatsu (conglomerate). Later the garden was donated to the city of Tokyo and was opened to the public in 1938. Rikugien miraculously survived both the Great Kanto Earthquake in 1923 and the WWII. The lighting-up of gorgeous weeping cherry trees can be seen in late March, and the one of autumn colors from late November to early December. How to get there: 5 minutes’ walk from Komagome station on the JR-East Yamanote line and the Tokyo Metro Namboku line (N-14). Admission: 300 yen Hours of opening: 9:00 – 17:00 (last entry 16:30) Closed: Dec 29th – Jan 1st. https://www.tokyo-park.or.jp/teien/en/rikugien/index.html 3. Hama-rikyu Gardens (浜離宮恩賜庭園) Hama-rikyu is an attractive garden for strolling. Located along the Tokyo Bay, the place was originally a falconry field of the Tokugawa Shoguns. In 1654, Tsunashige Matsudaira, the prime minister of Kofu and a younger brother of the fourth Tokugawa Shogun Ietsuna, obtained a permission from him to reclaim land from the sea and build a villa. As Tsunashige’s son became the sixth Shogun, the estate has belonged to the Tokugawa Shoguns since then, and the past Shoguns made various changes to the traditional garden. The estate was called as “Hama Goden” (Beach Palace), where the Shoguns enjoyed falconry and their stay by the sea. After the Meiji Restoration in 1868, the garden became a detatched palace for the imperial family. After WWII, it was given to the city of Tokyo by the imperial family, and then was opened to the public in 1946. The garden has a tidal pond, whose seawater of which is drawn from Tokyo Bay through a sluice gate. This is to create an interesting difference in the scenery by using the change of the water levels. The pond is the only existing seawater pond within Tokyo. Nakajima-no-ochaya, the teahouse which is built over the water in the middle of the tidal pond, is photogenic together with a long wooden bridge built over the water. The teahouse was first built in the early 18th century and was renovated in 1983. A large number of the original buildings and trees were damaged by the Great Kanto Earthquake in 1923 and WWII. The three teahouses by the tidal pond were all reconstructed in modern times in reference to the historical records. There are also interesting gardens of peonies, Japanese apricots, Japanese irises and others. How to get there: 7 minutes’ walk to Otemon gate from Tukijishijo station on the Toei Subway Oedo line (E-18). 7 minutes’ walk from Shiodome station on the Toei Subway Oedo line (E-19) and the Yurikamome line. Also accessible by water bus run by Tokyo Cruise. Admission: 300 yen Hours of opening: 9:00 – 17:00 (last entry 16:30) Closed: 29th Dec. – 1st Jan. https://www.tokyo-park.or.jp/teien/en/hama-rikyu/index.html 4. Kiyosumi Gardens (清澄庭園) In 1878, Yataro Iwasaki, the founder of the Mitsubishi zaibatsu (conglomerate), purchased an abandoned traditional garden created by a “Daimyo” (feudal lord) during the Edo Period (1603-1868), and set about reconstructing it for the purpose of entertaining his guests and providing recreation to his employees. A large pond with three small islands in it is the centerpiece of the garden, and “Ryo-tei”, a house built above the pond, provides a scenic view. Various kinds of interesting stones collected from every region of Japan are set around the pond. The completed beautiful garden was sadly ruined by the Great Kanto Earthquake in 1923, but the spacious garden with a large pond and many trees saved more than ten thousand lives from fires. The Kiyosumi gardens were donated to the city of Tokyo by Iwasaki family shortly afterward as part of the disaster preparedness. The gardens were repaired and maintained, and then were opened to the public in 1932. How to get there: 3 minutes’ walk from Kiyosumi-shirakawa station on the Toei Subway Oedo line (E-14) and the Tokyo Metro Hanzomon line (Z-11). Admission fee: 150 yen Hours of opening: 9:00 – 17:00 ( last entry 16:30) Closed: 29th Dec. – 1st Jan. https://www.tokyo-park.or.jp/teien/en/kiyosumi/index.html 5. Koishikawa Korakuen Gardens (小石川後楽園) Koishikawa Korakuen is one of the best gardens created by “Daimyos” (feudal lords) in the Edo Period (1603-1868), as with Rikugien Gardens. The garden was made by Yorifusa Tokugawa, the first feudal lord of Mito, and then was completed by Mitsukuni Tokugawa, the second feudal lord. Mitsukuni was influenced by Shu Shunsui, the renowned scholar of Confucianism in the Ming dynasty, so the garden had many Chinese features as well as Japanese ones. The garden is designed for strolling and enjoying the changeful sceneries. The beautiful sceneries of the sea, rivers, mountains, and the countryside are reproduced in smaller size by arranging hills, rivers, ponds, and man-made structures like bridges. There is even a rice field, which is rare to see in Japanese gardens, and which now gives elementary school pupils in the area an educational opportunity to learn how to grow rice. How to get there: 8 minutes’ walk from Iidabashi station on the JR-East Sobu line, the Tokyo Metro Tozai line (T-06), the Tokyo Metro Namboke line (N-10), the Tokyo Metro Yurakucho line (Y-18), and the Toei Subway Oedo line (E-06). Admission: 300 yen Hours of opening: 9:00 – 17:00 (last entry 16:30) Closed: 29th Dec. – 1st Jan. https://www.tokyo-park.or.jp/teien/en/koishikawa/index.html 6. Kyu-Furukawa Gardens (旧古河庭園) You will find a wonderful combination of Western and Japanese garden styles made by the two talented designers in Kyu-Furukawa Gardens, the former residence of wealthy Furukawa family. In 1917, British architect Josiah Conder, who had been invited by the Meiji Government and engaged in many national architectural projects during the second half of the 19th century, designed a house and a formal garden in Western style here. The estate had a unique landform with height difference, so Conder placed a house on a hill, and a terraced formal rose garden on the slope in front of the house. Another garden was set on a lower land, a peaceful Japanese garden designed and created by a famous garden designer, Jihei Ogawa from Kyoto. The house and the formal rose garden in Western style provided a new look then. The rose garden is most beautiful in late May, when it is specially lit up in the evening. Autumn colors in the Japanese garden are fantastic in late November. How to get there: 7 minutes’ walk from Kaminakazato station on the JR-East Keihin-Tohoku line. 7 minutes’ walk from Nishigahara station on the Tokyo Metro Namboku line (N-15). Admission: 150 yen *The house is differently managed. Hours of opening: 9:00 – 17:00 ( last entry 16:30) Closed: 29th Dec. – 1st Jan. https://www.tokyo-park.or.jp/teien/en/kyu-furukawa/index.html 7. Happo-en (八芳園) Located in the heart of Shirokanedai city is the peaceful, green garden known as Happo-en. While Happo-en has especially become known for its wedding and banquet venues, its marvelous traditional Japanese garden is open to the general public. In the early 17th century, the Happo-en estate was the residence of Hikozaemon Okubo, a samurai general who served under the Tokugawa shogunate in the early Edo period. The estate was later purchased in the early 20th century and became the residence of Fusanosuke Kuhara, a famous entrepreneur who helped to found several companies including the famous company Hitachi. Fusanosuke Kuhara devoted his time and efforts into creating the wonderful 12,000 square meter garden we see today. At the center of this lush green garden, which is comprised of natural hills and water features, is a pond, making this garden perfect for strolling. In the surrounding foliage you will find historical landmarks, such as a 19th century teahouse called “Muan” and a stone pagoda, both of which were transported and rebuilt on site, creating perfect harmony within the garden. In this garden, you can enjoy 500 year old bonsai trees, as well as Nishikigoi carp swimming leisurely around the pond, creating a beautiful scene, a scene where you can witness the true beauty of Japan. Finally, after enjoying a stroll around the garden guests can relax with a cup of tea at the Thrush Café located in the lobby of the main building. How to get there: 1 minute walk from exit 2 of Shirokanedai station on the Tokyo Metro Namboku line (N-02) and the Toei Subway Mita line (I-02). Hours of Operation: 10:00 – 22:00 (Hours are subject to change) The facilities are closed during the summer and New Year’s holidays. https://www.happo-en.com/banquet/about/ 8. The East Gardens of the Imperial Palace (皇居東御苑 二の丸庭園) Right in the heart of Tokyo, surprisingly peaceful sceneries are waiting for you. The East Gardens of the Imperial Palace have been open to the public since 1968 and have been popular destinations. In 2019, more than 2.2 million people visited there. During the Edo Period (1603-1868), there used to be the Edo Castle on the site with a traditional garden designed by Enshu Kobori, a famous garden designer and tea master in the early 17th century, but the garden was lost to several fires. The gardens you see today were created in the 1960s in reference to a plan of the gardens dating back to the middle of the 18th century. The gardens’ highlight is late April when colorful azaleas are in full bloom. In June, you will find elegant Japanese irises being at their best. It is also enjoyable to see the beautiful Nishikigoi carp swimming around a pond and to stroll in lush woodland areas. How to get there: 5 minutes’ walk from Otemachi station on the Tokyo Metro Marunouchi line (M-18), the Tokyo Metro Tozai line (T-09), the Tokyo Metro Chiyoda line (C-11), the Tokyo Metro Hanzomon line (Z-08) and the Toei Subway Mita line (I-09). Admission: free Hours of opening: 9:00 – 17:00 (1st Mar. to 14th Apr., 1st Sep. to end Sep., last entry 16:30) 9:00 – 18:00 (15th Apr. to 31st Aug., last entry 17:30) 9:00 – 16:30 (1st Oct. to end Oct., last entry 16:00) 9:00 – 16:00 (1st November to end February, last entry 15:30) Closed on Mondays and Fridays (if Monday is a national holiday, closed on the next weekday), 28th Dec – 3rd Jan. https://www.kunaicho.go.jp/e-about/shisetsu/kokyo.html https://www.kunaicho.go.jp/e-event/higashigyoen02.html 9. Mejiro Garden (豊島区立 目白庭園) Mejiro Garden is located in a quiet residential area near JR Mejiro station. It is a relatively new Japanese garden created in 1990 by Toshima ward of Tokyo for the inhabitants of the ward. The cozy garden is designed to stroll around a pond. Rocks, a waterfall, and other garden structures such as a traditional teahouse and a hexagonal pavilion, are set around the pond. Many kinds of flowering plants and trees including wild grasses and plants of Japan will let you feel the changing of the seasons. It is amusing to see a family of spot-billed ducks which come to the pond in spring. The special lighting-up of autumn colors is fascinating from the end of November to the beginning of December. How to get there: 5 minutes’ walk from Mejiro station on the JR-East Yamanote line. Admission: free (charges for the autumn illumination) Hours of opening: 9:00 – 17:00 except Jul. and Aug. (9:00 – 19:00 in Jul. and Aug.), and the autumn illumination. Closed: the second and the fourth Mondays of the month(if Monday is a national holiday, closed on the next weekday), 29th Dec. – 3rd Jan. https://www.gotokyo.org/en/spot/644/index.html 10. Yamamoto-tei (山本亭) Yamamoto-tei stands right next to Shibamata Taishakuten, a famous 17th century Buddhist temple, which is a popular sightseeing spot in the Shibamata area. Yamamoto-tei was the residence of Einosuke Yamamoto, the successful founder of Yamamoto Kojo, a manufacturer of metal parts. Einosuke renovated the traditional shoin style house several times in 1920s by adopting newly-introduced western architecture. The house is a good example of the mixed architectural style of the days. The garden of Yamamoto-tei is a shoin-zukuri garden, a garden design which has priority to admire the garden view from the inside of a house. A pond is the centerpiece backed by evergreens, and a waterfall at the back of the garden gives the depth to the whole picture. Yamamoto-tei is the 4th -ranked garden in the 2019 Shiosai Project, the garden rankings of Japan organized by Sukiya Living Magazine, a specialized Japanese garden magazine based in the USA. Enjoy looking over the beautiful garden with having a cup of tea inside the house. How to get there: 8 minutes’ walk from Shibamata station on the Keiseikanamachi line. Admission: 100 yen Hours of opening: 9:00 – 17:00 Closed: the third Tuesdays of the month, the third Tuesday, the third Wednesday and the third Thursday of December. http://www.katsushika-kanko.com/yamamoto/eng/ 11. Jindai Botanical Park(神代植物公園) The spacious Jindai Botanical Park sits in Chofu city, a suburb of Tokyo which has good access to the central area. More than 4,800 kinds of plants are cultivated here including shrubs and trees such as roses, ume trees (Japanese apricots), cherry trees, magnolias, rhododendrons, azaleas, maples, and camelias. You’ll enjoy flowers of the season throughout a year, as well as tropical plants in a large greenhouse. The formal sunken rose garden is one of the largest within Tokyo. Spring roses are at their best in late May and autumn ones in mid-October. Azaleas and rhododendrons in spring are also fantastic. The park has unchanged natural woodland areas which used to belong to the adjacent Jindaiji Temple, one of the oldest Buddhist temples within Tokyo. On the streets outside the temple, there are lots of diners who serve “Jindaiji soba” noodles, the traditional local specialty. How to get there: From Chofu station on the Keio line, take the Odakyu Bus bound for Kichijoji station or Mitaka station, then get off at Jindai Shokubutsu Koemmae. Or take the Keio Bus bound for Jindaiji, then get off at Jindai Shokubutsu Koen. Admission: 500 yen Hours of opening: 9:30 – 17:00 (last entry 16:00) Closed on Mondays (if Monday is a national holiday, closed on the next weekday), 29th Dec – 1st Jan. https://www.gotokyo.org/en/spot/431/index.html Jindaiji Temple: https://www.jindaiji.or.jp/en/ 12. Yumenoshima Tropical Greenhouse Dome (夢の島熱帯植物館) In the waterfront areas along Tokyo Bay stands the eye-catching Yumenoshima Tropical Greenhouse Dome. Three glasshouse domes are heated by the energy of high-temperature water sent from the adjacent disposal facility, to establish a tropical rainforest climate favorable for cultivating tropical plants. Various kinds of exotic tropical plants and flowers including orchids and ferns, which come from the rainforests in South-East Asia, the Amazon valley and the Zaire valley, are on display throughout the year. At the event hall, lectures about tropical plants are given regularly. The Yumenoshima waterfront area attracts attention as it is the archery venue of Tokyo 2020 Olympic and Paralympic games. How to get there: 15 minutes’ walk from Shin-kiba station on the Tokyo Metro Yurakucho line (Y-24), the JR-East Keiyo line and the TWR Rinkai line. Admission: 250 yen Hours of opening: 9:30 – 17:00 (last entry 16:00) Closed on Mondays (if Monday is a national holiday, closed on the next weekday), 29th Dec. – 3rd Jan. http://www.yumenoshima.jp/english.html Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 2) ESB Professional 3) Mariangela Cruz 4) Yingna Cai 8) Takashi Images 11) Gimas 14) picture cells 16) kawamura_lucy 17) CHEN MIN CHUN 26) crbellette 27) kuremo 29) KK_papa 33) Carlos Huang 35) Carlos Huang 37) Apple1966 / Shutterstock.com 21-23) 八芳園 8)3and garden






















