オランダだけでなく世界中で最も影響力のあるガーデンデザイナーの一人と言われるピィト・アゥドルフ氏(Piet Oudolf)。日本のガーデナーにとっても憧れの存在で、庭をじかに見てみたい!という人も多いはず。そんなピィト・アゥドルフ氏がデザインした庭が、2022年3月新感覚フラワーパーク 「HANA・BIYORI」 (東京都・稲城市)内に誕生しました。その名も「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」。これから美しく成長していく庭を、四季を追ってご紹介します。今回レポートするのは、球根と宿根草が咲く初夏の風景です。

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【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】

【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】

繊細さと力強さがミックスした
瑞々しい初夏の風景

植え込みから約半年が経った5月半ば。草花もすくすくと育ち、植栽にボリュームが出てきました。この時期は春咲きの球根類と宿根草の競演が楽しめます。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
背後に並ぶサクラの葉色が濃くなり、幼い草花のやわらかさを引き立てている。

この時期の植栽に量感を与えているのは、草丈の高いポピー‘マザーオブパール’とアリウム‘パープルセンセーション’など。6つに区分けした花壇それぞれに数株ずつ配置して、つながりを持たせつつ見応えを出しています。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO

ポピーは、ケシならではの薄い花弁と楕円形のつぼみを支えるくるんとした花茎が印象的な植物。植物一つひとつを眺めてみると、それぞれ質感や造形を重視するアゥドルフ氏の狙いが見えてくるようです。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
淡いピンクやブルー、白が構成する、やさしいカラーがふんわり幻想的なコーナー。

アリウムの球形の花序と直線的な花茎もアゥドルフ氏のデザイン性を象徴するもの。まとめたり並べて植えたりせず、あちこちに少しずらして配置することで、全体的なつながりを生み、リズミカルな浮遊感でファンタスティックな楽しさを演出しています。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
音符のように上下して並ぶアリウム‘パープルセンセーション’。濃厚な花色が、まだやわらかさが残る緑の中で存在感を放っています。

つぼみの段階の植物でも、個性的なフォルムを描くものであれば、植栽の印象を深めることができる重要なアイテムになります。ここでは、コオニユリのつぼみをつけた直線的な茎が、ふんわりとした植栽に力強さを添えています。

 初夏の庭

同色で揃えた植栽も、質感やフォルムの違いで変化がたっぷり。光沢のあるひらひらとした花をつけるラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’とマットな質感の花茎を伸ばすアスチルベの対比がおもしろい。

初夏の庭

セントーレア‘パープルハート’のギザギザした花弁の先が、さりげないアクセントを添えたり、ラナンキュラス・ラックス’アリアドネ‘の長い花穂が風を感じさせる植栽。

ラナンキュラス・ラックス’アリアドネ‘

花壇脇の園路にはサクラがつくる緑が影を落とし、キラキラと輝いて心地よさたっぷり。株元では昔から生えている小さな野花たちが、愛らしい彩りを添えています。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
初夏の庭
花壇の傍らに植わるサクラの下では、ニガナやニワセキショウ、タンポポなどが一面に広がっている。

初夏を鮮やかに彩る
やさしい雰囲気の草花たち

アリウム・パープルセンセーション、カマッシア‘ライヒトリニーアルバ’、オーニソガラム
左から/アリウム‘パープルセンセーション’、カマッシア‘ライヒトリニーアルバ’、オーニソガラム。
サポナリア オキモイデス、ゲラニウム マックスフライ、アスペルラ
左から/サポナリア・オキモイデス、ゲラニウム‘マックスフライ’、アスペルラ。
サルビア‘カラドンナ’、サルビア・ネモローサ‘ブルーヒル’、セント―レア‘パープルハート’
左から/サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、サルビア・ネモローサ‘ブルーヒル’、セント―レア‘パープルハート’。
ポピー‘マザーオブパール’、スカビオサ・オクロレウカ、スカビオサ・コーカシカ パーフェクタ
左から/ポピー‘マザーオブパール’、スカビオサ・オクロレウカ、スカビオサ・コーカシカ‘パーフェクタ’。

「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」
以外の場所にも見どころがたくさん!

メインの建物前の園路脇に設けられたレイズドベッドはいつも華やかさ抜群。奥に広がるアゥドルフ氏の庭園をやんわり仕切る役割も担っています。こちらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽。ぜひ、花合わせのご参考にしてください。

HANA-BIYORI花壇
ダークな花・葉色のキンギョソウが、ピンクの甘さを大人っぽく抑えている。
HANA-BIYORI花壇
園路を挟んだ反対側ではアジサイがアールのデザインを描き、まるでヨーロッパの庭園のよう。
HANA-BIYORI
エントランス付近では、カラフルな傘で楽しい演出が施されている。

瑞々しさ抜群の春咲き球根植物。成長してきた宿根草と彩る初夏の風景はファンタスティックな趣です。このアゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能しに訪れてください。

【ガーデンデザイナー】

ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf)

ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf)

1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。

Information

新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI

東京都稲城市矢野口4015-1

TEL:044-966-8717

https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/

営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認

定休日:不定休(HPをご確認下さい)

アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分

Credit

写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

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