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鹿児島県
花の庭巡りならここ! 九州を代表するバラの名園「かのやばら園」
温暖な気候の下でのびのびと育つバラのダイナミックな咲き姿を楽しめる 1993年にオープンした「かのやばら園」は、約1万㎡の敷地からスタートし、リニューアルを重ねて、現在は8万㎡にまで発展。近年では、2023年にリニューアルオープンし、大人がくまなく散策して1時間30分ほどかかる規模となっています。 「かのやばら園」は、鹿児島県東部の大隅半島に位置する鹿屋市が、魅力的な観光拠点を目指し、1992年にバラ園の整備をスタート。傾斜地を生かして色とりどりのバラを植栽し、日本最大級のつるバラのトンネルなど、多数の見どころを設けています。現在では約1,500種3万5,000株のバラが開花し、煙るように咲く圧巻のシーンは必見です。 幅4.5m、高さ3.5mの大きなアーチには、‘ポールズヒマラヤンムスク’が豪華に咲く。ポールに仕立てているのは‘玉鬘’。 「かのやばら園」には9つのテーマガーデンがあります。 1.香りのよいバラを集めた「香りのガーデン」2.童話などにちなんだ名前のバラを植栽した「フェアリーガーデン」3.イギリスのナーセリー、デビッド・オースチン・ロージズの品種をコレクションした「イングリッシュローズガーデン」4.主に1867年以前に生まれたバラが見られる「オールドローズガーデン」5.世界各国のバラを集合させた「世界のばら園」6.それぞれ苗木のオーナーが存在する「オーナーガーデン」7.貴族や王族の名前が付けられた「ロイヤルガーデン」8.友好協定を結んだ横浜イングリッシュガーデンのガーデナーである河合伸志さんがデザイン監修した「横浜イングリッシュガーデン友好ガーデン」9.区画ごとにさまざまなカラーコーディネートで植栽した「カラーガーデン」 春は4月下旬〜6月上旬、秋は10月下旬〜11月に見頃となります。この期間は、毎年「かのやばら祭り」が開催され、さまざまなイベントを楽しめますよ! アジサイは、300種2,000株を植栽。5月中旬〜7月上旬が見頃で、時期によってはバラとのコラボも見られる。写真はアジサイ‘ゼブラフラミンゴ’、 ‘ノーブルブルー’と赤バラ‘岳の夢’。 また「かのやばら園」では、南九州の暖地で元気に咲く品種を選んでいるのも特筆すべきでしょう。近年の温暖化によって、暖地でのバラ栽培に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。バラのみならず、開花期の揃う宿根草や一年草を組み合わせたトータルコーディネートは、植栽のヒントになるはずです。バラの栽培教室も行っているので、利用してみるのもいいですね。 「かのやばら園」では、バラの開花期以外にも四季を通して花々の開花リレーを楽しむことができます。春はスイセンから始まり、パンジー・ビオラ→クリスマスローズ→アジサイ→サンパチェンス→ヒマワリ→コスモスへ。毎年8〜10万人が訪れ、リピーターも多い観光ガーデンに、足を運んではいかがでしょうか。 フォトジェニックな写真を撮れるバラコーナーがいっぱい! 「かのやばら園」では、「恋人の聖地」に認定されている「ローズチャペル」や、借景の美しい展望デッキのほか、随所に記念撮影に重宝するフォトスポットが設けられています。写真は、ハート形になるように剪定されたアーチ。‘春風’と‘ボニー’が仕立てられています。 季節ごとに植栽を模様替えしている「ショーガーデン」。職員のガーデナーたちが、おもてなしの心を込めて植栽を手がけています。サインウォールを背景に、緩やかな傾斜がついており、グループでも写真を撮りやすいように工夫されています。訪れた記念に、ぜひ写真に収めたいですね。 手前のベビーピンクのバラ‘サザン・ホープ’は、2014年に「かのやばら園」で生まれた品種です。四季咲きで花もちがよく、次々に開花します。南九州の高温多湿な環境下でもよく育ち、黒星病(黒点病)に比較的強い性質。奥の赤バラ‘テス・オブ・ザ・ダーバーヴィルズ’とのコントラストも美しく、目を引きます。 ばら祭り期間には、ローズトレインが登場し、正面入口〜西側入口間を巡回します。12人乗りで、運賃は片道110円。歩くより少し早い速度で、片道15分ほどかけて往復します。 運転手さんから、ガーデンの簡単なガイドが語られます。 バラの開花期間に限らず一年を通して開花リレーを楽しめる 早春から咲き始めて、春の訪れを告げるムスカリ。見頃は2月下旬〜3月上旬で、約2万球が植栽されています。同時期に、チューリップやサクラも見頃になります。 サクラの見頃は3月下旬〜4月上旬。‘ソメイヨシノ’ ‘ヒカンザクラ’ ‘ヨコハマヒザクラ’などの品種が、計450本植栽されています。園内でお花見を楽しむのもいいですね。「かのやばら園」では飲食の持ち込みはOKです。ただし、飲酒はNGなので、マナーを守って桜咲く景色を楽しみましょう。 ヒマワリの見頃は5月下旬〜8月下旬で、さまざまなエリアで約40万本が植栽されています。群植されたエリアは花が一斉に同じ方向を向くので、背景にして写真を撮るのがおすすめ。 また、ほかにもサルビア、サンパチェンス、タイタンビカスなど、夏の草花がカラフルな彩りを添えます。 コスモスの見頃は10月下旬〜11月中旬。‘センセーション’や‘イエローキャンパス’など約250万本が植栽されています。迷路も作られているので、チャレンジしてはいかがでしょうか。園内はリードをつけていれば、ペット同伴もOKです(但し、温室、売店、レストランはNG。排泄物は持ち帰りましょう)。また、夜の10時までライトアップされるイベントもあります。 園内の売店ではバラグッズや地元のお菓子などお土産物が充実 園内の売店では、バラに関する土産物が多数揃っています。お酒やアイス、サブレなど食品・お菓子類が15点ほど、アクセサリー・雑貨が40点ほど。売れ筋の商品は、ばら焼酎300ml 1,000円・720ml 1,700円 (どちらも税込)、プリザーブドフラワー1,800~7,000円、バラアイス250~330円など。 鹿屋市の特産物は落花生で、最中や饅頭など土産用のお菓子も多種類揃います。風味豊かな落花生スイーツの食べ比べを楽しみましょう。また、すぐ隣にはレストランがあり、「薔薇カレー」や「ばらソフトクリーム」など、バラにちなんだメニューも充実。少し歩き疲れたら、レストランでひと休みするのもいいですね。 Information かのやばら園 所在地:鹿児島県鹿屋市浜田町1250番地TEL:0994-40-2170ホームページ:http://baranomachi.jp/アクセス:公共交通機関/鹿屋バス停から路線バスで約15分(土日・祝日のみ運行)車/大隅縦貫道笠之原I.C.から約20分オープン期間:通年休園日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始。但し、ばら祭り期間中は無休営業時間:9:00〜17:00料金:大人630円、小中高生110円(開花状況により変動有)。※5月5日こどもの日は小中高生無料駐車場/1360台・無料
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宮崎県
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。宮崎「こどものくに」バラ園
育種家ビオラの聖地、宮崎へ初訪問 僕が初めて宮崎を訪れたのは2019年2月のこと。ずっと行きたいと願っていた、宮崎育種家ビオラの聖地「アナーセン」で行われる「パンジー&ビオラ展」を取材するためでした。案内を買って出てくれた橋本景子さんは別便で一足先に宮崎入りし、待ち合わせに指定された場所が「こどものくに」のバラ園でした。橋本さんはバラ園で冬の手入れ作業中でしたので、しばらく青島神社辺りを観光してみることに。もともと神社仏閣には特に興味もなく、観光名所とは縁のない僕でしたが、このちょっとエキゾチックな青島神社に思いがけず魅了されてしまい、時間を忘れて撮影に没頭。「こどものくに」の駐車場に着いたのは、もう夕方近くになっていました。 駐車場から電話をすると、橋本さんは手が離せないとのことで、迎えに来てくれたのは、ガーデナーの源香さんでした。丁寧な挨拶から始まり、バラ園まで案内してくださる道すがら、ずっと1939 年に開園した「こどものくに」の歴史や、創始者の岩切章太郎さんの話を聞かせてくれました。 源さんの説明を聞きながら、バショウなどが育つ熱帯を思わせる林を抜けると、バラ園に到着。バラ園は僕が想像していたよりも小さく、何本かの園路で仕切られたスペースに木立ち性のバラが並ぶオーソドックスなスタイルで、植えられている品種は、少し古いタイプのハイブリッドティー(HT)が多い印象。この段階では、2年後に本気で撮影に伺うことになるとは想像もしていませんでした。 ただ、僕がいろいろなバラ園に行っている経験があるからか、熱心に質問してくれる源さんとバラ談議をしながら園内を歩いているうちに、「ここを宮崎の皆さんに喜んでもらえるバラ園にしてみせる」という源さんの熱い想いが伝わってきました。帰る頃にはすっかり打ち解けて「僕の好きなチャイナローズなら宮崎の気候にも合うと思うので、苗を送りますよ」なんて約束までしていました。 ラナンキュラス・ラックスが作る美しい風景との出合い 2度目に「こどものくに」を訪れたのは、翌々月の4月。2月にパンジー&ビオラ展に伺った際、「アナーセン」の川口のりこさんが写真教室を企画してくれて、二十数名の生徒さんと宮崎のいろいろなガーデンをバスで巡った時になります。ガーデン巡りの最後の目的地が「こどものくに」で、着いたのはもう午後5時を過ぎていました。この時期、バラ園はまだ花は咲いていないのですが、橋を渡った隣の海側エリアではラナンキュラス ・ラックスの花壇が見頃に。ちょうど沈みかける夕陽をバックに、逆光の中でラックスが美しく輝いているではないですか。ラックスは、花弁に光沢のある宿根草ということを知ってはいましたが、これほど見事な光景を見るのは初めてで、興奮してシャッターを切ったことを覚えています。 この見事なラックスは、作り手である隣町の綾町にある綾園芸の草野さんが2014年に100株寄贈したものだそうで、その後、源さんが大切に育て、守ってきた宝物の一つです。このエリアは、春はラナンキュラス・ラックス、秋はミューレンベルギアが美しいグラスガーデンの2交代制になっていて、このミューレンベルギアが、源さんのもう一つの宝物になります。 3度目の宮崎で庭撮影のタイミングを逃す その年の11月には、最新のパンジー&ビオラの買い付けに全国からやってきた花屋さんたちに混ぜていただいて、3度目の宮崎入りをしました。今回は皆さんと同様に、僕もパンジー&ビオラの新花が目的でしたが、バラ園には帰りの飛行場に向かう途中にちょっとだけ立ち寄ることができました。滞在最終日のわずかな時間しかない中、訪れたバラ園は、ちょうど満開の秋バラとたくさんの宿根草が混ざり合い、美しい風景を作っていましたし、橋の向こうのエリアでもミューレンベルギアがじつに見事。しかし、残念ながらフライトの時間が迫っていたため、撮影は翌年にと心に誓って、後ろ髪を引かれながら、急いで飛行場に向かいました。 翌2020年も11月にパンジー&ビオラの新花の撮影を計画していたのですが、この年は天候不順でパンジー&ビオラの開花が遅れていると連絡が入り、他の仕事との兼ね合いもあって、宮崎行きは12月に入ってからになりました。12月10日に宮崎入りしてすぐ「こどものくに」に向かったのですが、11月の末、来場者の方々にバラを切って持って帰ってもらうという「チョキチョキカッティング」というイベントがあったため、バラ園では宿根草だけが美しく風に揺れていました。 11月の最終週までに来ていれば、この宿根草の間に満開のバラが咲いていたのかと想像すると、がっかり。座り込んでしまいたいほど悲しい気分に。来年こそは、源さんのフェイスブックもチェックしながら、バラ園の撮影を最優先でスケジュールを立てなければ! と心に決めたのでした。 2021年は撮影の万全なタイミングを図る 2021年も11月に入り、源さんのフェイスブックを見ていると、10日過ぎから南国特有の夕方の赤っぽい光に浮かび上がる満開のバラ園や、逆光に輝くミューレンベルギ アなどワクワクする写真が、次から次へとアップされ出しました。ちょうどパンジー&ビオラもどんどん咲き出しているようだし、これはいよいよ宮崎行きのベストタイミングが近づいてきたと確信。10日間の宮崎の天気予報をチェックして、晴天が続く13〜15日の3日間の予定で宮崎に出発しました。 13日午後3時半にバラ園に到着。満開のバラと、そのバラを覆い隠すほど大きく育った宿根草に出迎えられて、満足しながらカメラをセット。太陽の位置を確認しながらファインダーを覗いてみると、赤やオレンジのバラの周りに、紫の千日紅や赤いケイトウが咲き誇り、その後ろには大きなグラスが風に揺れています。これは、まさに源ワールド! 深呼吸をして数枚のシャッターを切り、右を見ると大きなカンナが伸びやかに育っています。左にレンズを向ければ、そこも全然違う風景が広がっていて……。そのまま撮影をスタートしました。 バラと宿根草の美しいコンビネーションを撮ったり、ちょっと懐かしい昔のハイブリッドティーの名花を撮ったり、忙しく撮影をしているうちに時間があっという間に過ぎていて、気がつけば、西の山の向こうに陽が沈んでしまいました。橋の向こうのミューゲンベルギアをまだ撮っていないことに気づいて、三脚をかついで走り、グラスガーデンに行ってみると、ダイナミックなグラスの中に赤いカンナが混ざり育っていて、ここもバラ園とは違う、もう一つの源ワールドに。 残念ながら陽は既に沈んでいて、グラス類を撮る時に絶対に必要な逆光ではありませんでした。宮崎滞在はあと2日。このグラスガーデンにはもう一度来ることにして、ガーデン全体の写真を撮るアングルを探してみると、西側にカメラを構えてレンズを東に向けるのがよさそう……。ということは、撮影は朝の光で、東の海から昇ってきた逆光の太陽の光で撮るのがベストと分かりました。 14日早朝は別のガーデンに行く予定にしていたので、このグラスガーデンは15日早朝にと決めて、初日の撮影は終了しました。 早朝から約2時間が撮影の勝負 15日午前6時45分。日の出前の時間はさすがに宮崎でも寒く、三脚にカメラをセットして、陽が昇るのを足踏みしながら待っていると、ガーデンの後方にある木々の下方がだんだんオレンジに染まり始めました。いよいよ撮影開始です。少しずつ露出を変えながら数枚のシャッターを切ったら、また足踏みをしながら5分待ってシャッターを切り、また5分待ってシャッターを…と、7時過ぎまでシャッターを切って、太陽が木々の上にまで昇り、光が強くなったタイミングで場所を移動。逆光に白く輝くグラスの穂を撮ったり、光に透けるカンナの葉を撮ったりしてグラスガーデンの撮影は終了です。 急いでバラ園に移動して、朝の光で見るバラ園は、一昨日の夕方とは全然違う表情を見せています。ここでも昇る太陽と競争しながら、8時過ぎまで撮影し、こうして何年越しかの「こどものくに」の撮影を終了しました。 この年の滞在中は、源さんも忙しくてすれ違いばかり。ゆっくり話を聞くことができなかったのですが、この原稿を書くにあたり、メール取材の中で、こんなに宿根草がバラ園にある理由を尋ねてみました。 2017年までバラ園を担当していた方が高齢となり、退職後を引き継ぐ人がいなかったことから、まだ当時はバラにはそれほど興味のなかった源さんが引き継ぐことになったそうです。「『こどものくに』が好きな人と花好きの人が集まれば、何とかなる」という思いで「ときどき花くらぶ」というグループを作り、仲間たちとバラ園の管理を始めました。初めの頃は草取りばかりで大変だったので、作業が少しでも楽しくなるようにと、好きな草花を持ち寄って植えているうちに今の姿になったとのこと。今後は、バラが好きな人は「バラ組」、椿が好きな人は「椿組」、グラスの好きな人は「グラス組」というように、いくつかのグループを作って、学校のクラブ活動のように楽しく学べる場所にしていきたい、と源さん。 バラ園の宿根草も、グラスガーデンのミューレンベルギアも、ダイナミックに景色を作る源さん。人生の目標もダイナミックで素敵な源香さんが、今後どんなガーデンをつくってくれるのか、今から楽しみです。
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宮崎県
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。冬枯れに美を見る宮崎県「綾ナチュラルガーデン錦原」
ピート・アウドルフ氏に影響を受けて 今月ご紹介するのは、宮崎県綾町にある「綾ナチュラルガーデン錦原」、冬枯れの庭です。3年前の春に、長野県須坂市の園芸店「GARDEN SOIL(ガーデンソイル)」の田口勇さんからピート・アウドルフさんの写真集を見せてもらい、その時、枯れた庭の美しさに目覚めて撮影を始めました。その後、ピート・アウドルフさんの映画『Five Seasons ガーデン・オブ・ピート・アウドルフ』を鑑賞したこともあり、近年、僕の一番興味のあるテーマが「冬枯れの庭」になったのです。 2017年11月、紅葉の「GARDEN SOIL(ガーデンソイル)」の撮影を皮切りに、北海道の「大森ガーデン」、神奈川県愛甲市の「服部牧場」、群馬県太田市の「アンディ&ウイリアムスボタニックガーデン」、横浜の新港中央広場に清里の萌木の村……、と機会があるごとに撮影を続けてきました。そして12月、僕の冬の撮影のもう一つのテーマ「宮崎育種ビオラ」の撮影も兼ねて訪れた宮崎滞在の2日目の朝、日の出とともに撮影したのが、今回ご紹介する「綾ナチュラルガーデン錦原」の写真です。 朝日が昇る前にガーデンに到着 当日は日の出が7時だったため、宮崎市内のホテルを6時過ぎに出発。まだ薄暗い道を車で走りつつ景色を眺めながら、7時少し前に馬事公苑の交差点に到着しました。ガーデナーの平工詠子さんのSNSの投稿で、あまり広くはない道沿いのガーデンだということは分かっていたし、薄暗い光の中でも黄色いマムや赤いコリウスがはっきり見えたので、ここで間違いないと確信し、邪魔にならない場所へ車を止めて庭に入っていきました。 ちょうど正面の空が明るくなってきました。その方角が東で逆光、右手が南側で庭の奥は田園風景。そのさらに奥には山並みが見え、左手が北側で馬事公苑があり、共にサイドからの光になります。僕は常々、ガーデンの撮影の時の基本のライティングは、サイドからの光にしています。この庭の場合は、馬事公苑側に立って南の方向にレンズを向けるか、南の山に背を向けて馬事公苑の方向にレンズを向けて撮るのがサイド光になります。また、時々はレンズを東に向けて、逆光でドラマチックな撮影をすることもあります。 光の確認の後は、庭の真ん中に立ち、ぐるっと見回してよいアングルを探します。幸い撮影の邪魔になる電信柱や畑の網などの気になるものは何もなく、どの方向を向いてもとても綺麗でした。そうこうしているうちに、そろそろ日の出の時間が迫ってきたので、急いで車に戻り、カメラをセットしていると、東の空から一筋の光が差し込んできて、庭が一気に輝き出しました。 ちょっと肌寒い、静かな日の出の瞬間。神々しいとさえいえる光に包まれた「綾ナチュラルガーデン錦原」の撮影開始です。レンズを南や北に向けてサイドの光で庭の全体を撮ったり、太陽が低い位置まで上がってきたところでレンズを東に向けて、ちょっとドラマチックな逆光の撮影をしたり。庭の中を走り回って、時計が8時を回る頃に撮影は終了しました。 美しい冬枯れの庭の撮影を終えて 12月12日の夜。自宅のある千葉に帰って、すぐに写真をPCに取り込んで写真チェックをしてみると、狙い通りの美しい冬枯れの庭が写っていました。が、撮影は終始僕一人でしたし、終わった後はすぐに宮崎市に戻ってビオラの撮影だったため、「綾ナチュラルガーデン錦原」の関係者の方とはお会いしていませんでした。 よい撮影ができたので『Garden Story』に掲載したいと思っていましたが、あいにく連絡先も分からず、宮崎の「こどものくに」のガーデナー、源香さんに聞いてみようと思っていたら、偶然にも僕のSNSに「綾ナチュラルガーデン錦原」の写真がアップされていました。すぐにそこから「みんなでつくる綾町花壇プロジェクト」にメール送信。自己紹介とGarden Story掲載の許可をお願いすると、ものの10分もしないうちにガーデナーの谷口みゆきさんから返信が。そのすぐ後、役場の田牧さんからも連絡をいただきました。返信を待っている間に僕のSNSにアップしていた写真を見て、お二人ともとても喜んでくださったようで、掲載の許可もいただきました。 綾町に根付いている花を育てる習慣 この原稿を書くにあたって、谷口さんと田牧さんのお二人から町の話を伺ったのですが、綾町は50年ほど前から「花いっぱい運動」を展開し、町のあちこちに花壇があったそうです。じつは、どうして宮崎の綾町にこんなに今風なコンセプトのガーデンがあるのだろうと不思議に思っていたのですが、綾町には「花を育てる、庭を楽しむ」という習慣が昔からあったのですね。 町と住民のボランティアさんが一緒になって庭をつくり、花を楽しむ。そのために平工詠子さんのような専門家を招いて勉強もする・・・美しい自然の中で、こういった環境がしっかりできあがっている綾町。宮崎県に、また一つ好きな場所ができてしまいました。次回は、庭の周囲にある桜が咲く頃に撮影に伺いたいと思います。
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佐賀県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪22 佐賀「グミノキ」
のどかなエリアにある 地域密着型の癒やしのショップ 佐賀県の西部に位置する武雄市。ここは、1,300年以上の古い歴史をもつ武雄温泉で有名です。「グミノキ」は、そんな温泉の風情漂うエリアの駅からすぐのところに店舗を構えています。 街道に面した開放感あふれる「グミノキ」は、店舗前に並ぶ色とりどりの草花が目印。植物に興味がない人も、ちょっとのぞきたくような華やかな彩りは、地域の癒やしの空間となっています。 季節の草花に加え、近年注目されているオージープランツやカラーリーフ、果樹など、どれもが庭を表情豊かに演出してくれるようなアイテムばかり。店頭にないものは取り寄せてくれます。 軒下、右手のゾーンは、ワイルドな趣のグリーン売り場。緑のグラデーションが作る潤いに満ちた空間は、植物園にでも来たような楽しい雰囲気です。一方、左手に広がるゾーンは、ドライプランツ類の売り場。こちらも個性あふれるサボテンや多肉植物などがずらり。乾湿、自生地の気候が異なる植物を混在させないメリハリを利かせた展開に、さらに奥の売り場への期待感がぐっと高まります。 庭を飾るアイテム類は、たくさんのグリーンの合間に点在。思いがけないものに出合うような楽しみがあります。これは、ディスプレイコーナーのアクセントや、鉢のポットフットとして活躍するミニレンガ。右側のスマイルレンガは、グリーンの脇に置くだけで愛らしいと人気のアイテムです。 ショップの‘得意’が詰まった 屋内のインドアグリーン売り場 屋外の売り場とは打って変わって、たくさんの観葉植物と旬の鉢花が並ぶ建物内は、四方から光が差し込むカフェのような空間。充満する植物のエネルギーが、訪れた人を元気にしてくれるよう。 この売り場では‘ギフト’に特に力を入れています。グミノキのスローガンは『日本のおもいやりを増やす』こと。「贈られた人が喜ぶことで、贈った人も嬉しくなるでしょ。だから、もらって嬉しいものを軸に店舗展開しています」と、オーナーの田中治さん。加えて、企業・病院・美容室などに飾ってある植物のメンテナンスにも力を入れており、「生き生きとした植物のエネルギーを、そこで働く人や訪れた人に提供したい」と考えています。 この店は、田中さんが何か地域で役立つビジネスをしたいと思いオープンしました。その当時、このあたりでは植物を販売する店がなく、「武雄の人々の生活に潤いを」という思いで園芸店を選びました。それまで勤めていた園芸店で得た知識と、テーマパークで学んだ‘人を楽しませるためのノウハウ’を生かしながら、店づくりをしています。 インテリア好きな人、贈り物を求めて訪れる人が多いグミノキ。そんなお客様の期待に応えるため、ショップ内には、「上質なビタースイート系植物で、おしゃれで、心地よい時間を演出するもの」という基準で選ばれた植物や雑貨が集められています。 インドアグリーン売り場には、植物に合わせたい、グミノキおすすめの雑貨類がたくさん。シャビーシックやビターなテイストのアイテムが、植物とともに雰囲気たっぷりにディスプレイされています。雑貨を使った植物ディスプレイの依頼も受注しており、いろいろなスタイルに応えられることが評判を呼んでいます。 田中さんのおすすめ。 鉢植えの土をカバーするアイテム 観葉植物を飾る際に、気になるのが土。大きな鉢ほど土の存在が目立ってしまいがちで、場合によっては不潔感や無粋な印象を与えてしまうことも。そんな土をカバーするのにおすすめなのが、「バーク」や「クルミの殻」、「ヤシの実のチップ」などのナチュラルな化粧材。自然素材なのでインテリアともなじみやすく、悪目立ちしません。カップ1杯・少量から販売しています。「どれを選ぶかは好みですが、植物とのベストマッチを狙うなら、ぜひご相談くださいね」。 のどかなエリアに彩りを添える地域密着型の園芸店・グミノキ。「町の癒しと笑顔づくりの場に」という田中さんの強い思いが込められたショップです。最近は、田中さんが気に入ったアート(絵画)をインドアグリーンと一緒に展示して、サブスクリプション(一定期間、定額で利用できる)スタイルを導入。気軽にアートに触れながら植物を楽しんでもらうための、新たな取り組みです。たくさんの提案が詰まった「グミノキ」。武雄温泉と併せて是非訪れてみてください。アクセスは、JR長崎本線佐世保線・武雄温泉駅から徒歩で約3分。 【GARDEN DATA】 グミノキ 佐賀県武雄市武雄町昭和40-2 TEL:0954-28-9144 10:00~18:00 祝日:火~金曜日 http://www.guminoki.net/shop.php Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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福岡県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪20 福岡「GARDEN DESIGN MOMONOKI」
庭づくりのヒント満載! 多彩な樹木が揃うショップ ショッピングモールのリラックススポット「GARDEN DESIGN MOMONOKI」。多彩なグリーンのグラデーションがエントランスを彩り、モール内の買い物客に楽しみと癒やしを提供しています。 エントランスで一番目を引くのが、巨大なアガベ・アメリカーナ。シャープで隆々とした大きな葉は抜群の存在感を放ち、テーマパークのワンコーナーのような印象です。 ガラス張りの建物の前には、針葉樹やオージープランツなどの個性的な鉢植えが並び、アガベとともに異国情緒を漂わせています。 見慣れない植物が並ぶ「GARDEN DESIGN MOMONOKI」は、世界の個性的な樹木の生産・卸を行う人気ナーセリーのアンテナショップ。このナーセリーは、第一線で活躍する造園家や園芸店のバイヤーが日本中から買いつけに来る農園です。その評判が伝わり、たくさんの一般の人々から購入希望が多く寄せられたため、8年ほど前に小売りのショップをオープン。数多くの植物の中から一般家庭におすすめのものをセレクトし、草花や雑貨とともに素敵なシーンを提案しながら販売しています。 ショップ内にはさまざまなシーンが設けられ、まるで洋書のページをめくっているかのよう。このデザイン・コーディネートは、ナーセリーのスタッフでもある春香さんがメインとなって手掛けました。ショップのコンセプトは「庭づくりに役立つこと」と春香さん。魅力的なシーンをたくさんつくることで、樹木の使い方を分かりやすく提案できるよう心掛けています。また、個人邸や店舗の庭など、それぞれのスタイルに合わせた設計・施工の相談にも応じ、好評です。 植物を美しく見せるコツは すっきりと 植物のラインナップにもこだわりやアイデアがたくさん。什器や構造物は、植物の葉の美しさを損なわないよう、シックな色合いで統一。個人邸を訪れたような、すっきりとしたコーナーづくりが、店舗内を魅力的にまとめ上げています。 ナチュラルでデザイン性のある空間を生み出している春香さん。そこには、大学で造園を学んだあとに研修でステイしたアメリカ・オレゴン州のナーセリーでの経験が大きく影響しています。「あちらのナーセリーは日本とは異なり、樹木を入れるポット、作業服、年季の入った道具など、どれもデザイン性があるものを使っていたんです。植物を生産してそれをただ見せるだけでなく、トータルで魅力を伝えることが大切だと感じました」。帰国してしばらくしたのち、ご両親が営むナーセリーのアンテナショップを立ち上げた春香さんは、アメリカで見聞きしたことを店づくりに盛り込みました。 店舗内の園路は、さまざまなレンガを枕木や自然石と合わせてラフに敷設。遊び心がさりげなく盛り込まれ、変化に富んだしつらいは、ガーデンデザイナーならではの飽きのこないデザインです。 カフェのような建物内の売り場は アート感覚あふれる空間 建物内の細長い空間では、観葉植物や多肉植物、食虫植物のほか、寒さに弱いデリケートなタイプの植物を販売しています。ここは、以前入居していた店舗が使っていた売り場を春香さんが大きくリノベーションしたもの。外の売り場とは趣ががらりと変わり、春香さんのアート感覚が感じられる場所です。 多彩な品揃えが魅力! 農場のような樹木売り場 樹木を中心とした植物売り場は、ナーセリーのアンテナショップならではの充実の品揃えです。トウヒなどのコニファーやオージープランツをはじめ、斑入り・銅葉・黄葉などの葉色が楽しめる樹木や、観賞価値の高い植物が、ずらりと3列に並んでいます。 オレゴンのナーセリーで見たような、おしゃれで楽しい風景づくりを心がけた樹木売り場。植物の並べ方には、選びやすい工夫も施されています。 小さな農場のような売り場で見つけた 素敵な樹木をご紹介! 左/リューコスペルマム:エキゾチックな花が魅力。鉢植えで育てるとよい。 中/クラブアップル‘ロイヤリティー’:ピンクの花後に実がなる。銅葉の葉もシック。 右/斑入りトキワヤマボウシ:花後も模様の入った葉が楽しめる。 左/姫タイサンボク‘マッティ・メイ・スミス’:ほのかに香るクリーム色の花が愛らしい。 中/ツバキ‘エリナ’:ツバキの小花。枝葉の佇まいも素敵。和洋どちらの庭でもOK。 右/サカキ‘ゴールデンスプレッダー’:葉模様が美しいサカキ。半日陰におすすめ。 左/ハイネズ‘エメラルドシー’:矮性の針葉樹。実はクリスマスリースの飾りにも活躍。 中/モンタナマツ:洋風な庭におすすめのマツ。シンプルに鉢植えでも。 右/カナダトウヒ‘ペンデュラ’:枝垂れるユニークな枝のフォルムが特徴的。 春香さんのイチオシプランツ「ブルビネラ」 鉢植えで販売されることが多いブルビネラ。細長い葉は密生し、こんもりとした株に育ちます。黄色い花を長い花茎に咲かせるので、スタイリッシュな鉢に入れてシンプルな場所に飾れば、オーナメンタルなフォルムが際立ち、おしゃれなシーンを演出してくれます。丈夫で育てやすく、寒い地方でなければ地植えにしても大丈夫。庭にデザイン的なアクセントを加えてくれます。 ナーセリーのアンテナショップとしてスタートして2020年で9年目の「GARDEN DESIGN MOMONOKI」。樹木を通して庭づくりの楽しさや大切さを伝えることに力を注ぐ、提案型のショップです。「いろいろなことが起きるこんな時期だからこそ、身近な癒しの場として庭があることの大切さに気づいてほしいですね」と、店長の山田久美子さんと春香さん。庭づくりの素敵なヒントを見つけに、ぜひ訪れてください。アクセスは、JR鹿児島本線「原田駅」から徒歩で約15分。 【GARDEN DATA】 GARDEN DESIGN MOMONOKI 福岡県筑紫野市原田836−20 TEL:092-926-0045 10:30~18:00 祝日 水・木曜日 http://momonoki-gs.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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沖縄県
花の庭巡りならここ! トロピカルフラワーに囲まれる「国営沖縄記念公園(海洋博公園)・熱帯ドリームセンタ…
花々に彩られた、この世の楽園植物の生命力に癒やされるひとときを 「国営沖縄記念公園(海洋博公園)」の園内にある、1986年にオープンした「熱帯ドリームセンター」。ここは国営沖縄記念公園のテーマ「太陽と花と海」の「花」を象徴する施設として整備されました。敷地面積は約6ヘクタールで、ゆっくり散策して1時間かかる規模です。 全体のデザインは、「熱帯樹林の中に遺跡、廃墟があり、その内部に足を踏み入れると、突然、熱帯・亜熱帯の花々が咲き乱れるこの世のものとも思えない別世界が展開している」という非日常性、意外性をイメージしています。 園内は、3つのラン温室(ファレノプシス温室、バンダ温室、カトレア温室)、熱帯果樹温室、ビクトリア温室の5つの温室と、2つの中庭、アフリカ区の植物を植栽する回廊棟などから構成されています。どの季節でも花を楽しめるよう開花調整を行い、常時2,000株以上のランを展示しており、いつ訪れても大変華やかです。 「熱帯ドリームセンター」は海岸線に立地しているため、冬の強い季節風に直面しますが、遺跡を思わせる外壁は防風壁にもなっており、北からの潮風を防ぐ役割を持っています。写真は、「熱帯ドリームセンター」のランドマークともいえる施設で、園内の大部分や瀬底島、水納島、伊江島、伊是名・伊平屋島が一望できます。高さ36mで、ビルの7~8階建てに相当します。 園内には、ラン約1,500種、高木類約120種、中低木類約120種が植栽され、沖縄ならではの気候の下、珍しい植物を数多く目にすることができます。写真は、5本のアフリカバオバブを眺められる回廊棟。1983年に移植し、1998年に日本で初めて花が咲き、翌年には同じく日本で初めて実をつけることに成功しました。園内にはさまざまなフォトスポットが用意され、SNS映えするシーンが満載です。 今までの展示に加えて、木枠を使ったビカクシダのディスプレイなど、新しい展示法も模索していく予定だそう。毎年10~12月の「ブーゲンビレア・ハイビスカスフェア」、12~1月の「チューリップフェア」、2万株近いランが披露される2月の「沖縄国際洋蘭博覧会」など、季節ごとのフェアが開催されるほか、園芸教室や植え付け体験なども行い、魅力的なコンテンツが揃っています。 土産物売り場のフラワーショップ「南国」では、ランの小鉢や花をモチーフにした雑貨類を取り扱っているので、ぜひ立ち寄りを。歩き疲れたら休憩できるカフェ「スコール」もあり、長時間過ごしても飽きることがありません。年間14万人が訪れる、沖縄でも人気のレジャースポット「熱帯ドリームセンター」に、ぜひお出かけください。 カラフルな熱帯フラワーが温室内をダイナミックに彩る 写真は「カトレア温室」で、「花の女王」とも呼ばれるカトレア類を展示。入口には多くのカトレアが集められ、鮮やかな花や豊かな香りを楽しめます。歩みを進めて、つる植物やサルオガセモドキで覆われたアーチをくぐると、視界の抜ける開放的な空間が広がりますよ! 5月には、黄色の小さな花を咲かせるオンシジウムでアーチがつくられ、花のシャワーのような演出が見事です。 この「ビクトリア温室」は、アマゾン流域の水生・湿地性植物を展示しています。ビクトリア温室の名称は、オオオニバス(以前の学名Victoria regia ビクトリア・レジア)に由来。1階には大型水槽があり、アマゾン流域の淡水魚が優雅に泳ぐ姿を見学できます。 こちらは熱帯アジア原産のバンダをはじめ、世界最大のラン科植物グラマトフィラムなどのランを展示する「バンダ温室」。花を上から吊り下げて展示しているので、ジャングルの中にいるような不思議な気分を味わえます。 「熱帯果樹温室」では、パラミツ、果実の王様ドリアンなど、約20種の熱帯の果樹を展示。温室の高さは15mにも及び、可能な限り柱を少なくした大空間となっているため、迫力満点です。柱などには熱帯性のつる植物を配し、橋の上から、果樹・花木の花や実を間近に見られるようになっています。 温室の外の広大な敷地では異国情緒あふれる植栽を楽しめる 温室の外は、北が100×50m、南が8×50mの、南北2つの中庭に分かれています。北がアジア、オーストラリア区、南が北中南アメリカ区、そして回廊広場がアフリカ区にゾーニングされ、それぞれに原産地の樹木を植栽。花壇では年に数回植え替えが行われ、季節の花が楽しめます。 写真は、水辺の景色が楽しめる「ロータスポンド」で、夏には色鮮やかな熱帯スイレンが咲き誇ります。定期的に藻の除去など、池の清掃を行っているため、ほどよいバランスで水生植物が分布。葉の直径が1.5mほどにもなるパラグアイオニバスもあり、夏には子どもにその葉に乗ってもらう体験イベントも行っています。 窓の向こうの植物の姿を楽しみながら美味しいトロピカルフードを満喫 園内には、トロピカルフルーツカフェ「スコール」があります。休憩にぴったりですね。主なメニューはタコライス、トロピカルフルーツカレー、パイナップルポークボウルなどの軽食、月桃ゼリー、もちもちおきなわドーナツ、パンケーキ、アイスクリーム、スムージーなど。畜肉由来原料、アルコール不使用のハラール、ベジタリアン・ヴィーガン対応メニューも提供しています。営業時間は9:30~18:30(3~9月)、9:30~17:30(10~2月)、軽食のラストオーダーは閉店の1時間前まで。 Information 国営沖縄記念公園(海洋博公園)・熱帯ドリームセンター 所在地:沖縄県国頭郡本部町字石川424番地TEL:0980-48-2741 http://oki-park.jp/kaiyohaku/inst/38 アクセス:バス(那覇空港より)/高速バスを利用の場合 約3時間一般路線バス利用 約3時間30分やんばる急行バス 約2時間20分沖縄バス 空港リムジンバス 約2時間15分沖縄エアポートシャトル 約2~3時間 車/那覇空港から国道58号線を利用 約2時間50分那覇空港から高速道路許田ICまでを利用する場合 約2時間 (アクセスの詳細はHP参照:http://oki-park.jp/kaiyohaku/acc/) オープン期間:通年 休園日:12月の第1水曜とその翌日(設備点検実施日) 営業時間: 8:30~17:30(入館締切17:00、10月~2月)8:30~19:00(入館締切18:30、3~9月) 料金:海洋博公園の入園料は無料(ただし、熱帯ドリームセンター館内は有料。大人:760円 中学生以下:無料(2020年3月31日までの試験運用)※沖縄美ら海水族館の入館チケットもしくは年間パスポートの提示で大人料金が半額の380円になります。 駐車場:普通車約 840台、無料※施設全体の総台数約1,900台 無料(熱帯ドリームセンター最寄りの駐車場はP8。62台、身障者用の2台を含む)
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鹿児島県
花の庭巡りならここ! 最先端のオシャレ観光農園が登場「農園ガーデン空」
木々が美しいナチュラルガーデンに癒されフルーツの収穫体験に心躍る 「農園ガーデン空」は、2018年7月25日にフルオープンした観光農園。「地元の鹿児島県阿久根市に、地元の方々はもちろん遠方からも人が集う場所をつくりたいと思い、都会の喧騒から離れた『ヒーリングガーデン』をコンセプトに、新しいレジャースポットを誕生させました」と、代表の野村雄介さん。 園内は、大別すると①植物の四季の変化を楽しむゾーン、②食用の植物を見て楽しむポタジェガーデン、③旬の花を楽しむゾーン、④緑に囲まれて休憩するゾーンに分けられています。「収穫して楽しみ、食べて楽しみ、美しい花や木を見て楽しめるガーデン」をテーマに、ガーデンの見学やフルーツの収穫体験ができるほか、洗練されたカフェやマルシェも充実しています。 ①植物の四季の変化を楽しむゾーンの「ひみつの花園」エリア内には、ランドスケープアーティストの石原和幸さんが手がけた「石原ガーデン」もあるので注目を。雑木や宿根草をメインに植栽し、滝や池などからのせせらぎが癒やしを誘うナチュラルガーデン。ベンチに腰掛けると、木々の葉擦れの音が心地よく、時間を忘れて眺め入ってしまいそうです。 一方、「テラスカフェ 空」の周りにある「空の庭」や「青の庭」は鹿児島の「en mo yukari」さんの手によるもの。その他のゾーンはスタッフが植栽を進め、園内には樹木約100種、草花は通年150種以上、約5,000株が見られます(2019年現在)。春はチューリップ、シバザクラ、イペー、初夏はアジサイ‘アナベル’、カラー、夏はヒマワリ、スイカ、カボチャ、インパチェンス、秋はコスモスと、四季を通して旬の花が咲き誇ります。 また、ブドウやパッションフルーツ、スイカ、カボチャ、ヤマイモなど果物や野菜をあしらったパーゴラや、琉球石を縁取りに使った花壇、オーダーメイドのコンテナのアイキャッチなど、自庭のヒントになりそうな工夫も満載。 農園の敷地は約50,000㎡、公開されている部分は約30,000㎡で、すべて見て回ると1時間前後かかります。今後も拡張する予定で、年々の進化も楽しみの一つです。 見学して楽しいナチュラルガーデン&収穫体験にエキサイトする農園エリア 園内の「日本庭園」は、花を見せるというよりは、木々の様子から季節の移り変わりを感じられるように植栽されたエリア。池にはカエル、トンボ、アメンボが棲みつき、鯉やメダカを放流すると自然に生態系ができ上がりました。奥に見える東屋からの眺めは格別です。 イギリスの「チェルシーフラワーショー」で数々の受賞歴を持つ、石原和幸さん監修の「石原ガーデン」です。写真は5月末〜6月頃の景色。落葉樹と、斑入り葉やブロンズ葉などのカラーリーフプランツが織りなす、グリーンのグラデーションが目に優しいナチュラルガーデンです。 傾斜地にあるため、ゆるやかなスロープを整備して、奥のカフェ入り口につなげています。カフェ入り口にはカラフルな草花を配して、お客さまにウェルカムのサインを。花壇内のアイキャッチになっている壺は、オブジェとして見せたり、生花を活けこんだりと、シーズンによって雰囲気を変えるアイテムです。 農耕民族の血が騒ぐ!?たわわに実った果実に大興奮! 「コモレビ農園」エリアでは、「お店で売られているフルーツや野菜がどのような姿で育っているのか知ってもらいたい」という思いから、植栽展示のほか、収穫体験の受け入れをしています。子ども向けの食育にぴったりですね。行っている収穫体験は、イチゴ、レモン、イチジクなど。電話かホームページでの事前予約がおすすめです(当日受付もあります)。 イチゴ狩りは12月下旬〜5月10日頃まで。大きな実がたくさん色づいていますよ! イチゴ狩りのマナーとして、次のことを守ってくださいね。ヘタの近くまで赤くなった実を採ること、次のイチゴを育てるためにも花を摘まないこと、ハチがいても受粉のために働いているので、そっとしておくこと、食べ放題の場合は、残さずにヘタ近くまできれいに食べること。それから、農園内を走ったり、イチゴを取り合ったりしないで、みんなで楽しく参加しましょう! オシャレなカフェメニューが嬉しい!見晴らしのいいテラス席がおすすめ 園内には、展望テラスのある「テラスカフェ 空」があります。開店時間は11:00〜16:00(ラストオーダーは季節によって異なる)、火曜定休です。ランチメニューのおすすめは、手づくり野菜ハンバーグセット1,380円、阿久根産アジフライのライ麦パンサンドセット1,380円、レモンプレートセット1,380円。ドリンクは、コーヒー350円、アイスカフェラテ380円、レモンスカッシュ280円、ホットいちごミルク400円。 カフェでは、イチゴのシーズン限定メニューも登場します。「コモレビ農園いちごのパフェ」1,850円。インスタ映えするビッグサイズで、基本的には3〜4人でシェアすることが多いのですが、中には一人でたいらげる方も! 鹿児島の特産品や雑貨を集めたセンスのいいマルシェでショッピングを 園内にはショッピングが楽しめる「ここマルシェ」があるので、お土産や旅の記念に立ち寄りを。開店時間は10:00〜16:00、火曜定休です。園内で採れたフルーツや、鹿児島県産の加工食品、雑貨、花苗など幅広い品揃えで、お気に入りの一品に出会える喜びがあります。特におすすめは、自家製の薩摩揚げセットです! マルシェでは、園内で採れた旬のフルーツを使った、手づくりのジェラートが販売されているので、ぜひお味見を! レギュラーメニューは、イチゴ、レモン、ミルク、チョコレート、チョコチップ。期間限定メニューが、ブドウ、スイカ、イチジク、カボチャで、いずれも400円です。 ※価格は2019年9月取材当時のものです。 Information 農園ガーデン空 所在地:鹿児島県阿久根市多田454-2TEL:0996-73-3685 【公式】農園ガーデン空 アクセス:肥薩おれんじ鉄道「阿久根駅」より車で約8分 オープン期間 通年 休園日:火曜 営業時間:10:00~17:00 料金:大人・中高生300〜1,000円※季節によって変動あり、小学生以下無料 駐車場:70台(無料)
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福岡県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪11 福岡「フクオカエフェクト」
おしゃれな博多っ子も満足! 随所に盛り込まれた個性あふれる提案 博多湾に面した緑豊かな地域・福岡市西区に、昨年秋、同じ県内の行橋市にある「ゆくはし植物園」の姉妹店としてオープンした「フクオカエフェクト」は滞在型の園芸店で、九州最大級の広さを誇るショップです。 このあたりは比較的新興住宅街が多く、福岡のリゾート地・糸島への通り道であることから、若い世代が多く行き来するエリア。週末ともなると植物を取り入れたおしゃれな暮らしを求めて、園芸好きの老若男女から園芸初心者さんまで、たくさんの人が訪れます。 まず、ショップの入り口では、巨大なアガベを中心とする植栽がお出迎え。流行に敏感でおしゃれな博多っ子たちの心を鷲掴みにするカッコいい演出です。 駐車場に続く敷地内の道路沿いにも、ユッカやニューサイランなどが植わる異国情緒あふれる花壇でおもてなし。お客様をワクワクさせる遊び心が盛り込まれています。カラーバリエーション豊富なリーフと愛らしい小花を組み合わせた、難易度の高い植栽。ショップスタッフの、レベルの高さがうかがえます。 園芸店開業30年以上のノウハウを盛り込んだ 何でも揃う園芸の百貨店 姉妹店である「ゆくはし植物園」は、前身の店舗時代を含めると開業30年あまりの歴史があります。その長い年月で培った園芸店経営のノウハウを生かし、さらに進化させた形で「フクオカエフェクト」はオープンしました。 開業当初から日本全国の農家とのつながりを大切にし、いち早く新しい品種や珍しい植物を取り込んできたというていねいな仕入れの積み重ねにより、姉妹店と同様「フクオカエフェクト」の売り場には、多種多様の新鮮な花苗がずらりと並んでいます。 広大な売り場面積の約半分が、草花苗の売り場。たくさんの植物が並んでいるので、ビギナーでも見やすいように工夫がされています。例えば、新しい植物や意外な育ち方をする植物は、ポット苗のかたわらに、大株に成長した見本鉢を飾るなど、お客様の視点に寄った展開がなされています。 チェック! 美しいだけではない ストーリー性を感じさせる寄せ植え提案 苗売り場のあちこちに配されたナチュラルな寄せ植え。よく見ると動物が顔をのぞかせているものも。これはオーナメントの使い方の一つの提案ですが、訪れた人をほっこり癒す効果を発揮しています。 多肉植物売り場も ユニークな提案が盛りだくさん 苗売り場の一番奥のエリアは、多肉植物コーナー。こちらも多種多様な苗が並んでいますが、目を見張るのが、たくさんの多肉植物の寄せ植え。これでもかというぐらいの数のアレンジが並んでいます。スタッフも楽しんでいる様子が、あちこちから伝わってきます。 グリーンのグラデーションが美しい リーフ類や樹木の売り場 大きく育つリーフ類や樹木類は、愛らしい草花コーナーとはガラリと趣が変わり、景観をつくるようにダイナミックに展開されています。一般的な庭木、オージープランツ、個性的なカラーリーフなどに分けた、とても見やすくイメージが湧きやすい陳列です。 花を咲かせていた ユニークなオージープランツ4つ 最近人気を集めているオージープランツ。取材時(6月)に個性的な花を咲かせていた4種類をご紹介します。 資材類も見やすさ抜群 きちんと管理されたディスプレイ オベリスクやコンテナ、ガーデン雑貨類も植物同様、広い敷地を生かし整然と見やすく陳列されています。豊富なバリエーションで迷ってしまいそう。 「フクオカエフェクト」の見せ場 インドア&ライフスタイルエリア たくさんの観葉植物を扱うこのショップでは、飾り方のアイデアをインテリアの部分から提案。さながらインテリアショップのようなしつらいが話題を呼んでいます。インテリア好きのスタッフが集まり、楽しみながらディスプレイしています。 インドア&ライフスタイルエリアの一角には、おしゃれなカフェが設けられています。メニューはサンドイッチをメインとした軽食で、カフェを囲むカウンターだけでなく、エリア内の数カ所に設けられたインテリアディスプレイのソファやイスに座っていただくことができます。 大きな窓に面した明るいこちらの部屋でも飲食OK。とはいえ、特に混んでいる時は、長居は禁物です。 安くて新鮮と評判の切り花 普段用とギフト用、どちらも充実 姉妹店にはない「切り花売り場」は、古い和風建築を生かし、新旧・和洋が見事に融合した、独特な雰囲気を醸す艶やかな空間です。普段用に1本から買えるカジュアルなスタイルですが、ギフト用のアレンジをオーダーすることもできます。 「フクオカエフェクト」コンシェルジュ藤原さん イチオシのグッズはコレ! 洋らんグラマトフィラム 「フクオカエフェクト」では、多種多様のランも取り扱っています。なかでもオススメなのが、明るく爽やかなグリーンの小花が並ぶ大型のラン。暑さで日もちが気になる時期も、たっぷり2カ月ほど楽しめます。茎が柔らかいため、さまざまな仕立て方も可能。ギフトだけでなく、自宅でも楽しんでみてください。おしゃれな空間を演出してくれます。 「フクオカエフェクト」のエフェクト(effect)とは、英語で ‘効果’を意味する言葉で、店名には、「植物で暮らしにうるおいをもたらす効果を提供する」という理念が盛り込まれています。オープンしてから1年足らずですが、どんなスタイルにも対応できる品数と幅広い提案は園芸店の枠を超え、いまや暮らし全般をコーディネートしてくれる頼もしい存在となっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、福岡都市高速道路 福重I.Cから車で5分、JR筑肥線 姪浜駅南口からバスで20分・生の松原団地南下車、徒歩1分。 【GARDEN DATA】 〒819-0046 福岡県福岡市西区西の丘2-1 TEL: 092-407-6113 https://fukuoka-effect.jp/ 営業時間:10:00 – 18:00 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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熊本県
花の庭巡りならここ! バラ園と和風庭園ともに楽しめる「エコパーク水俣」
2019年にバラ園がリニューアル 若木が年々成長する姿が楽しみ! 2007年にグランドオープンした「エコパーク水俣」。正式名称は「水俣広域公園」といいますが、愛称のほうが広く知れ渡っており、この呼び名で親しまれています。広さは41.8ヘクタールを誇り、市民の憩いの場として整備された公園です。園内は「海のゾーン」「街のゾーン」「里のゾーン」「山のゾーン」の4つに区分けされ、野球場やテニスコートなどさまざまなスポーツ&レジャー施設、環境保全を学ぶための施設などが集約。そんな中、ここで注目したいのは「里のゾーン」のバラ園と「山のゾーン」の竹林園です。 バラ園の広さは約1,300㎡、大人の足でゆっくり歩いて約20分で周遊できます。850種、5,000株のバラを植栽しており、年間10万人が訪れる人気のスポットです。フランスやイギリスの庭園を参考に、バラを仕立てたガゼボやパーゴラ、アーチをつないだトンネルなどを随所に配し、立体的で奥行きのある風景をつくり出しています。なかでも高さ5m、幅40mのバラの宮殿(鉄製ガゼボ)は、フォーカルポイントとして一番の見どころです。 また、バラは「オールドローズ」「モダンローズ」「イングリッシュローズ」「フレンチローズ」「クライミングローズ(つるバラ)」と、コーナーごとにテーマを持たせて植栽。色別に分けたコーナーもあり、それぞれ白、ピンク、赤のみでまとめた植栽は、いかにバラの品種が多彩かを教えてくれます。「誰もが圧倒される、バラによる色の洪水を目指しています」と話すのは、管理事務所の前田宜重さん。2019年春は、さらに充実させるべくリニューアルオープンしたばかりです。新たに迎えた若木が毎年大きくなり、さらに見応えをアップさせながら進化していく姿を見せてくれることでしょう。 バラ園のすぐ近くには竹林園があり、国内はもちろん海外から集められた竹が165種も植栽されています。竹は古くから庭園の垣根などに利用されてきたほか、食用や工芸品、日用品として日本人の生活に欠かせない植物でした。竹の持つ生命力やみずみずしさに、水俣病と戦ってきた地域の想いを重ね、「環境再生のシンボル」として竹林園を整備。かすかな風にもサラサラと揺れる笹の葉が清々しい、自然と調和する和風庭園で癒しのひとときを過ごしましょう。 「エコパーク水俣」には、バラ園や竹林園以外にも、桜、ツツジ、花菖蒲、ラベンダー、アジサイなどの名所があり、いつ訪れても自然豊かな景色が広がっています。園内への飲食物の持ち込みはOKなので、天候に恵まれた日には、随所に設けられているベンチで、ランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。また、園内へのペットの同伴が許可されています。ただし、リードをつけて、ペットの落とし物の後始末はきちんと処理するなど、マナーを守りましょう。 煙るように咲く豊かなバラの姿にうっとり 感動のため息をもらしつつ、歩みも軽やかに バラの見頃は、4月下旬〜5月下旬。写真は、高さ2.5m、長さ200mにもわたって展開される、バラの壁です。この壁を彩るのは、シュラブローズの‘アンジェラ’。等間隔に支柱を立ててロープを張った簡易な境界線を、たわわに咲くことで定評のある‘アンジェラ’が埋め尽くすように咲く姿は圧巻です。 この仕立て方は、自庭で咲くつるバラにも応用できそうですね。小径にはカーブがついているので視界が遮られ、さらにその先へ続く景色への期待感が高まり、歩みを誘います。 池に色とりどりのバラの花を浮かべた、記念のフォトスポット。ベンチに座ると、カメラの画角(28mm)にちょうどよく収まるように設計されています。手前に掲げている「MOYAI ROSE」の「もやい」とは、「舫い」のこと。「船を綱で結びとめる」または「船と船をつないで共同で漁をする」という意味があり、ひいては「手をとりあって絆を深めよう」という意思を表現しています。この地域では、水俣病事件で分断された地域や社会、自然との関わりを再びつなぎ直す願いを込めた「もやい直し」活動が行われており、バラ園もその一助となるべくつくられたものです。実際、バラ園の植栽は障がいをもった方々が中心となって手がけたもので、地域の交流の場となっています。 縦の空間を生かした立体的な演出として、庭園の数カ所にバラのアーチが設けられています。アーチの幅は2.3m、高さは2.1mで、20本のアーチが続くバラのトンネル。左右から、つるバラの‘ミネハハ’、‘ギーサヴォア’、‘ペッシュボンボン’などを仕立てています。煙るように咲くバラの生命力に、大きな感動を味わえるはずです。 アーチに仕立てられている、つるバラの‘ミネハハ’。1904年にアメリカで生まれた品種で、樹勢も病害虫への耐性も強いことで知られています。大変花つきがよく、小ぶりのピンクの花が枝葉を覆うように爛漫と咲く姿が見事。樹高は約3mで、アーチを彩るのにぴったりのバラです。 これはバラ園の航空写真です。大小2つのサークルが作られ、エリアごとにテーマをもたせてバラが植栽されています。どこからでも自由に回遊できる動線が整備され、さまざまな角度から見学できます。大きなサークルの方は、なんだかバラが開花した姿をモチーフにしているように見えますね。 静謐な雰囲気に包まれる和風庭園では 木々の葉擦れの音に癒されるひとときを 「エコパーク水俣」園内の「山のゾーン」には、伝統的な侘び寂びを感じる日本庭園「竹林園」があります。竹や笹をコレクションする庭園は珍しく、国内外から集められた竹・笹を165種も植栽。風に揺られてささめく葉音から、ヒーリング効果も得られそうです。広い池を渡るための飛び石も置かれ、優雅に泳ぐ鯉の姿を間近に見られます。栄華を誇る大名屋敷の庭園を訪れるような、贅沢なひとときを楽しみましょう。 バラ園に隣接する道の駅では特産品が目白押し バイキングレストランでは旬の味を楽しんで 敷地内には、「道の駅みなまた みなまた観光物産館まつぼっくり」があります。営業時間は9:00〜17:00(12月30日は〜16:00、1月3・4日は10:00〜16:00)、休業日は月曜、12月31日です。地元の特産品やお菓子が数多く揃うので、お土産にどうぞ。 またレストランも併設しています。「ご飯処 たけんこ」の営業時間は11:00〜14:30、定休日は第3月曜日です。バイキング形式で大人1,100円、子ども600円。そば、ちゃんぽん、ピザなどのメインを選び、さらにバイキングで副菜のサラダ、お惣菜、煮物、デザート、ドリンクを自由にサーブできます。
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大分県
花の庭巡りならここ! 高原に広がる圧巻の花畑!「くじゅう花公園」
くじゅう連山に囲まれるロケーションの下 感動的に広がる花畑の景色は理想郷そのもの 1993年にオープンした「くじゅう花公園」は、九州の中心に位置する久住高原にあります。くじゅう連山が目の前に鎮座し、遠くには阿蘇五山、祖母山・傾山を望める絶好のロケーション。約22万㎡の園内を巡るには、大人の足でゆっくり散策して2時間ほどかかります。 「くじゅう花公園」は「若者からお年寄りまで、大自然に囲まれた非日常な癒しの世界に浸ってもらいたい」という目的のもとに整備された公園です。園内には約500種500万本の植物が植栽され、ガーデンエリア、花畑エリア、森のエリア、温室エリア、果実エリアに分けられた園内では、春・夏・秋、いつ訪れても花々が織りなす迫力ある景色を楽しめます。年間約100万ポットの苗を自社生産する「花苗生産センター」も強みの一つで、ダイナミックな花の景色づくりを支えています。 「くじゅう花公園」では、花の季節に合わせて、チューリップの球根掘り上げイベントや、ラベンダーの摘み取り体験を開催。クラフト作家が集合する「花公園クラフトフェア」も人気です。年間来園者数は20万人にものぼり、訪れる人々に美しい花々の景色を披露し、安らぎと感動をもたらしています。 春霞のたなびく高原に浮き立つのは 花々で彩られた夢のような絶景 「くじゅう花公園」のチューリップの見頃は4月中旬。写真のように花の絨毯が広がり、ため息がこぼれるような景色を楽しめます。配色デザインは毎年変わり、2019年は「四季彩の丘」エリアに展開。1,200㎡に3万本を植栽しており、珍しい品種を揃えた「チューリップコレクション」は必見です。「チューリップフェスティバル」は、4月20〜29日に開催予定(暖冬により、1週間ほど前倒しになる可能性があります)。 写真は「シバザクラの丘」エリアの4月中旬〜5月上旬の景色です。1,500㎡に1万株を植栽。斜面になっているので、下から見上げるとダイナミックな花の景色が広がります。2019年はリニューアルのため観覧休止となっていますが、2020年から再開される素晴らしい景色に期待しましょう。 ポピーは4月下旬〜5月に見頃を迎えます。毎年植栽する場所や株数を変えており、2019年に登場するのは「四季彩の丘」エリアです。約1,600㎡と約1,200㎡の2カ所のエリアに約3万株を植栽。チューリップやシバザクラのように花色を面で見せる演出とは対照的に、オレンジ、黄色、白の花色をバランスよくミックスさせた花畑も見応えがあります。 写真は、「くじゅう花公園」の「久住ガーデン」エリア。他のエリアの面で魅せる演出とは異なり、一年草、多年草、花木を組み合わせた、ナチュラルガーデンをつくっています。つる植物を仕立てたアーチやオベリスクなど、立体感を演出する構造物も随所に配してアクセントに。開花期を合わせた花の組み合わせ術や、草丈の高低差を生かした植栽なども、庭づくりのヒントになりそうです。 初夏から秋にかけても開花リレーがつながれ いつ訪れても、魅惑の花畑を満喫できる 「ローズガーデン」では、3,500㎡に350種、3,500株のバラが楽しめます。2019年は5月25日〜6月9日に「ローズガーデン祭」を開催。期間中はバラの花苗市が立ち、専門スタッフが品種に応じた栽培法を教えてくれます。咲き姿を確かめて購入できるのは嬉しいですね。5月25・26日、6月1・2日には、バラの専門家を招いて「バラ教室」を開催。参加は無料です。また、同じ日程で「バラのフレグランス作り体験」(参加料金1,000円。材料費込み・要予約)も行われます。 「くじゅう花公園」のサルビアの見頃は9月中旬から10月下旬です。3,500㎡に2品種、赤、白、青紫の3色を使って約4万株を植栽。毎年配色のデザインを変えているので、サルビアのカーペットを楽しみに、リピーターが多く訪れます。園内では、ペットの同伴OK。一緒にフォトジェニックな写真を撮影して、SNSで披露するのもいいですね。 9月下旬〜10月中旬にはコスモスが見頃を迎えます。5,000㎡に、なんと100万本が咲き競う規模! 空気が澄んで空が高くなる秋は、くじゅう連山の雄大な景色もよく見通せます。「くじゅう花公園」の園内には、飲食物を持ち込んでもかまいません。頰をなでる高原の風を感じながら、お弁当やおやつを広げてピクニック気分を味わいましょう! レストランやカフェの店舗数が多く 雑貨店や土産物店の品揃えも充実! 「くじゅう花公園」には、レストラン、カフェ、ドライフラワーショップ、アロマグッズショップ、豆の専門店、雑貨店、土産物店など計15店舗があり、食事やお買い物の楽しみがあるのもうれしい! 写真のドライフラワーショップ「Rose de Mai(ローズ・ド・メイ)では、予約不要で「リースづくり体験」に参加できます。料金は1,200円〜。 土産物店では、地元の特産品などが販売されているので、ぜひお立ち寄りを。訪れた記念にオススメなのは、「くじゅう花公園花畑オリジナルカレンダー」1,000円です。 写真は「久住高原お菓子工房 シャーロット」で手作りしているバラのジェラート。くじゅう高原産の搾りたて生乳100%で作った、こだわりのミルクジェラートをベースに、旬のフルーツを使ったフレーバーを季節限定で販売。何度でもリピートしたくなります! 座席数20、テラス席もあり。 Information くじゅう花公園 所在地:大分県竹田市久住町4050 TEL:0974-76-1422 www.hanakoen.com アクセス:豊肥本線 豊後竹田駅より タクシーで約30分 オープン期間:3月~11月 休園日:なし 営業時間:8:30~17:30(最終入園17:00) 料金:大人(高校生以上)1,300円、小人(5歳以上)500円 駐車場:300台(無料) 併せて読みたい ・春のおでかけお花見スポット〜城山かたくりの里〜 ・天野麻里絵さんの「やってみよう!初めてのガーデニング」小さな花壇で育てる一年の花サイクル ・花の庭巡りならここ! 牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」
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鹿児島県
花の庭巡りならここ! 南国ならではの植生が楽しめる「フラワーパークかごしま」
島々を入れると南北に長い鹿児島県ならではの 珍しく、貴重な植物コレクションを楽しめる 1996年にオープンした「フラワーパークかごしま」は、「花・風・光のシンフォニー」をテーマにした、花と緑であふれる公園。花き生産の盛んな地域性を生かし、花き生産者と市民の交流の場として設立されました。敷地面積は36.5ヘクタール(東京ドーム7個分)にも及び、大人の足でゆっくり歩いて2時間ほど。年間約12万人が訪れ、市民の憩いの場となっています。 園内には2,400種、およそ40万本の植物が。1月から開花する桜‘イズノオドリコ’から始まり、チューリップ、ポピー、ダリアなど、季節を通して満開の花畑が楽しめます。また、「シャクナゲの森」「ツツジの森」「バラ花壇」「ジャングル花の谷」など、エリアごとにテーマ性のある展示があり、それぞれに異なるスタイルの花壇やガーデンを観賞できます。 「フラワーパークかごしま」では、一年を通してさまざまなイベント、園芸教室、カルチャー教室が開かれており、参加型の企画をたくさん用意しているのも特徴です。売店では地元特産品が充実しており、サツマイモのアイスクリームが大人気。園内には飲食店は入っていないので、一日かけて遊ぶつもりならお弁当やおやつ、飲み物を持参するのがオススメです。売店でパンや飲み物、お菓子を購入するのもいいですね! 敷地の広さを生かした、面で魅せる花畑は圧巻 写真映えする添景物を置いたフォトスポットも人気 写真の‘イズノオドリコ’は、1月中旬から2月中旬まで約1カ月咲き続ける、早咲きの桜です。熱海で造園業を営んでいた石井武夫さんが発見し、命名した品種で、「フラワーパークかごしま」に寄贈されました。樹齢40年ほどで、花色は色鮮やかなピンク。約60本が植栽されており、いち早く桜の花見が楽しめます。 2月〜3月中旬になると、「フラワーパークかごしま」は5万本のチューリップで彩られる「チューリップ祭り」が開催されます。開花調整して長く満開の景色を楽しめるように演出。ユリ咲きや原種など、珍しい品種も揃い、同時期に咲くビオラやパンジーとの共演も見どころです。また、イベント期間内には「チューリップ展示会」のコーナーが設けられ、終了後には恒例の開花株即売会が開かれています。 3月末から4月にかけては、オレンジや黄色、白などのポピーが花盛りになり、1万本以上で花畑を埋め尽くします。この写真にも写っている通り、風車などの添景物を取り入れて、インスタ映えスポットを作っているので、ぜひご利用を! 同じ時期には、シャクナゲ、ハヤトミツバツツジも見頃になります。 「西洋庭園」のエリアは、ツゲのトピアリーで幾何学模様を描いた、イギリス式ガーデンです。敷地内にある、標高の高い展望回廊から眺めると、美しい幾何学模様が浮き立ちますよ! 背景にある白い建物では、園内で収穫したハーブを使って、ハーブティーの入れ方やハーブを使ったデザートの作り方、ハーブの虫除けスプレーづくりなど、体験講座のイベントが開催されます。 5月の「花広場」エリアは、ダリアの季節。約10品種、10万本が満開になります。イベントとして、「ダリア収穫祭」も。1回目は花を摘み取って持ち帰ることができ(開花状況によって変更あり)、2回目は開花が終わる頃のタイミングで行われ、球根ごと掘り上げて10株ずつ持ち帰ることができます。気に入った品種を選んで自庭に植えれば、翌年開花するとあって、毎年人気の高いイベントです。 島々を抱く南国鹿児島ならではの植生を再現 トロピカルな花々の景色を楽しもう こちらは「ジャングル花の谷」のエリア。鹿児島県は、島々を入れると南北約600kmにも渡り、東洋のガラパゴスといわれるほど珍しく貴重な植物が見られます。ここでは、奄美や種子島、屋久島の植物を入り口に、だんだんと北上していくように植物を配置。南北に長い鹿児島県を実感する、多彩なジャングルの景色を楽しめます。 「屋内庭園」エリアは、明るい透明な屋根が設けられた、ウィンドウスルー形式の半人工的な環境の庭園です。防風壁、自然の山の尾根に囲まれているため、オープンエアながらも冷たい風や寒さから植物が守られ、バナナやヤシの木が枝葉を大きく伸ばしています。大型コンテナの寄せ植えは季節によって草花を模様替えし、四季を通してカラフルに演出しています。 「屋内庭園」の春から秋にかけては、トロピカルフラワーのハイビスカスやブーゲンビリアがこぼれるように咲き続け、南国ならではの景色を楽しめます。このエリアの隣には、ヒメショウジョウヤシが迫力たっぷりに植栽されている温室もあるので、悪天候の際の雨宿りにちょうどいいスポットですね。 展望回廊から海を望むナイスビューを楽しんで 園内では年間を通して多彩なイベントを開催 展望回廊は標高約40mで錦江湾を一望できるビュースポット。すがすがしい潮風が感じられ、大隈半島が見渡せるほか、種子島宇宙センターから打ち上げられるロケットも見ることができます。天候に恵まれた日は、ここでお弁当を広げるのもいいですね。写真中央の海に突き出している「竹山」は、地元では「スヌーピー山」と呼んで親しまれています。「スヌーピーが仰向けに寝ているようだから」ということですが、スヌーピーのお昼寝姿、ぜひ見に行ってみましょう! 「フラワーパークかごしま」では、さまざまなイベントが開催されています。12月上旬〜1月上旬はイルミルーションで彩られ、優しい光に包まれるナイトガーデンを満喫できます。写真は毎年冬に開催されるクリスマスローズ展の様子で、1,000株が品種によって系統立てて展示され、コレクターの熱い視線が集まります。ほかに定期的に園芸教室やカルチャー教室も開催されており、ホームページでその都度告知されます。参加希望の場合は、事前に予約が必要です。 Information フラワーパークかごしま 所在地:鹿児島県指宿市山川岡児ヶ水1611 TEL:0993-35-3333 http://www.fp-k.org/ アクセス:公共交通機関/JR鹿児島中央駅から指宿駅まで約80分、JR指宿駅からバスで約35分 JR山川駅からバスで約20分 車/鹿児島市内から車で約90分(約60km) 山川港から車で約15分 オープン期間:通年 休園日:12月30、31日 営業時間:9:00~17:00(最終入園16:30〜) 料金:高校生以上620円 小・中学生300円 幼児無料 駐車場:525台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 全エリアを見渡せる屋根つき回廊が斬新!「とっとり花回廊」 ・花の庭巡りならここ! インスタ映えする景色の宝庫「淡路島国営明石海峡公園」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。芝とハーブとバラがコラボする庭 愛知・寺田邸 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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福岡県
花の庭巡りならここ! 老若男女が集う花いっぱいの総合公園「響灘緑地(グリーンパーク)」
市民に愛されている総合公園は ガーデニングに関するイベントも多彩 「響灘緑地(グリーンパーク)」は、1991年に開催された第8回全国都市緑化フェア「グリーンルネッサンス北九州’91」の跡地に、1992年4月にオープンした公園です。面積は196ヘクタールで、周遊には大人の足で2時間ほどかかります。 公園の基本テーマは「水・緑・動物たちとのふれあい」。響灘の海洋と頓田貯水池の「水」、広大な芝生広場と樹林地などの「緑」、ポニーやカンガルーなどの「動物」とも親しめる自然に恵まれた公園は、市民の憩いの場となっています。 園内の花緑は、四季を通して開花リレーでつながれ、いつ訪れても花々で華やかに彩られる景色を楽しめます。その他、サイクリングコースやサイクルボート、グラウンドゴルフコースもあり、老若男女を問わず幅広い層が訪れて楽しめる総合公園です。 また、花や緑の講習会・教室など、一年を通して約80回の「Open Class」も開催。バラの育て方、野菜づくり、樹木の手入れ法などの講座のほか、開花が終了したチューリップの活用のため、チューリップ畑の球根をプレゼントする「チューリップほりほり体験」など、ガーデニングに関するイベントも多数催されています。 ほかにも週末を中心にコンサートやマーケットも開かれ、年間来場者数は49.3万人(2017年実績)にも上り、年々増加傾向! 市民に愛されている、花でいっぱいの総合公園にぜひ出かけてみませんか? いつ訪れても色とりどりの開花を楽しめ 季節に応じたイベントを多数開催 「響灘緑地(グリーンパーク)」では、3月上旬〜5月上旬に「ファミリーフラワーフェスティバル」を開催。この時期はチューリップやパンジー、ネモフィラ、キンギョソウなど、春の花々15万株が華やかに咲き誇ります。特にチューリップは2万1000株(2018年実績)が群植され、写真のように斜面を豊かに彩る景色は必見! この時期は「花と音楽と遊び」をコンセプトに、ミュージシャン出演の「ファミリーフラワーコンサート」などを開催しています。 「響灘緑地(グリーンパーク)」には1万3000㎡の敷地を持つバラ園があり、320種、約2,500株が植栽されています。見頃は、春が5月中旬〜6月中旬、秋が10月中旬〜11月中旬。日本のバラの発展を支えた育種家、故・鈴木省三さん作出の品種を集めた「鈴木省三コレクション」、皇室・王室の名前のついたバラを集めた「皇室・王室のバラコーナー」、世界ばら会連合世界大会で殿堂入りに選ばれた名花を集めた「殿堂入りのバラのコーナー」など、テーマ性のある植栽が見られます。 バラが見頃の時期には、地元の音楽団体のコンサート「Roses Garden Concert」や、バラ園をライトアップして夜間公開する「Night Roses Garden」、バラの苗木販売・栽培相談コーナーなど、楽しいイベントが開催されています。 また、春・秋のバラフェア期間限定のショップが登場。バラにちなんだ雑貨やお菓子などが販売されます。特に地元の若松区で「若松のお土産コンテスト」を受賞したお土産品がオススメ。主な価格帯は600円前後で手に取りやすく、来園の記念にぴったりです。 夏はアジサイ、コキア(緑)、ペチュニアなどによる開花リレーが、公園を華やかに彩ります。写真のヒマワリの見頃は、7月中旬〜8月下旬です。 夏は子ども向けイベントが充実しており、世界中から集められたカブトムシ・クワガタの展示、園内で幼虫から育てられたカブトムシとのふれあいや販売も行っています。園内の「じゃぶじゃぶ池」をはじめ、「サイバーホール」「滝プール」などの水場では水遊びイベントも開催。夏休みは、特にファミリー層で賑わいます。 9月中旬〜10月末にはコスモスが見頃を迎えます。約6万株(2018年実績)が植栽された花畑を背景に、記念写真を撮るのもいいですね。同時期にマリーゴールドやケイトウも咲いています。 秋はレジャーに適したシーズン。週末を中心に動物とふれあうイベント、食イベント、スタンプラリー、音楽とダンスの祭典「TOMATO FESTIVAL」など、さまざまな催事が目白押しとなっているので、ぜひホームページでの告知を参照して出かけてみましょう! 3棟の温室で熱帯の動植物を展示 冬のイルミネーション夜間開園も見応えあり 「響灘緑地(グリーンパーク)」には、3棟の温室があるのも注目ポイント。特に冬は暖かな室内にホッとするうえ、青々とした葉を元気いっぱいに茂らせる熱帯植物の生気から、エネルギーをもらえそうです。急に天候が悪くなった場合の雨宿りにもいいですね。 「熱帯生態園」は約1,500㎡もの建築面積を誇り、熱帯花木、ヤシ、熱帯果樹、水生植物など約130種4,000株が見られます。「第2温室」では熱帯に育つ珍しい植物やサボテンなどを展示、「第3温室」では熱帯生態園に舞うオオゴマダラの黄金に輝く蛹(さなぎ)を観察できます。 「熱帯生態園」では、ヤシや熱帯花木が壮大に枝葉を広げる姿を楽しめるだけでなく、熱帯地域に生息する鳥、爬虫類、日本一大きな蝶オオゴマダラなど、ふだん見ることのできない動物や昆虫類も展示。ほかにカピバラ、カワウソ、オニオオハシ、リクガメなどの動物も飼育しており、ふれあいイベントも実施しています。「熱帯生態園」は別途入場料として、一般300円、小・中学生150円(2019年4月1日より、一般350円、小中学生200円)が必要です。 「響灘緑地(グリーンパーク)」では冬季期間、週末を中心に夜間開園(雨天中止)を行っています。入場は17:00〜21:00で、最終入園は20:30。約13万球が灯されるイルミネーションのほか、樹木を照らし出す色とりどりのプロジェクションマッピングを実施、都市緑化センター内には巨大なリースも灯され、屋内外で楽しめます。2019年は2月24日までの土・日曜に開園、夜間の入園料は無料です。 地元の旬の味を楽しめるカフェはメニュー充実! 動物とふれあえるスポットは子どもに大人気 「響灘緑地(グリーンパーク)」園内には、地元産の旬の素材を使った地産地消カフェ「Agrizm Cafe」があります。園内の菜園で栽培された野菜も使われていますよ。営業時間は10:30〜16:30(L.O. 16:00)、冬季期間中(12〜3月中旬)は土・日・祝日のみの営業となります。屋内34席のほか、テラス席も12席あり、天気のよい日はテラス席で過ごすのもいいですね。 写真は、フライドチキンがメインのランチプレート(若松地KINGプレート)1,080円です。ランチプレートは、ほかにパスタ、フィッシュフライ、スープカレー、ピザトースト(平日のみ)が選べます。その他カレーライス、ケークサレ、フライドチキン、フライドポテト、ソフトドリンク、デザートなど、メニューは充実! サイドメニューをテイクアウトして、園内のベンチや芝生広場でゆったりいただくのもオススメです。 「響灘緑地(グリーンパーク)」内には「ポニー広場」があり、乗馬、馬車乗車、エサやり体験ができるので、子ども連れの家庭に人気です。福岡県ではここでしか体験できない「ヤギ&ポニーショー」も開催。障害物をジャンプで越える様子や、小さな足場に4本脚で乗るチャレンジを見られます。 乗馬料、馬車利用料は別途料金です。ポニーの乗馬は体重70kg以下、小・中学生300円、幼児200円、一般(高校生以上)500円。馬車は一般200円、中学生以下100円、乳児〜1歳無料(2019年4月1日から料金が変更となります。詳細はホームページをご確認ください)。
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長崎県
花の庭巡りならここ! ヨーロッパの街並みがバラで埋め尽くされる長崎「ハウステンボス」
長崎県佐世保市にある「ハウステンボス」では、以前からテーマパーク内に再現されたヨーロッパの街並みを彩る美しいガーデンで、訪れる人々を魅了してきました。そして2010年よりバラを主役にした「ローズガーデン」へのリニューアルが行われ、さらに魅力が増しています。息を呑むような素晴らしい景色のローズガーデンは来場者からの評判もよく、年々見所も増え、今や2,000種のバラが植栽され、アジア最大級、日本一のイベントを行うまでになりました。美しい街並みを借景にバラが煙るように咲く、夢のようなローズガーデンに出かけてみませんか。 バラが煙るように咲く圧巻の景色 水路を中心に130mに及ぶカスケードガーデン。 草花を白で統一した中、ピンクのバラのアーチが映えるホワイトローズガーデン。 「ハウステンボス」内のガーデンは、2万6000㎡にも及ぶアートガーデンをはじめ、宮殿の前庭を彩る2種のローズガーデン、運河沿いの溢れんばかりのバラなど、さまざまなガーデンが展開されています。一番の見所はアートガーデン内のカスケードガーデン。修景バラとつるバラで仕立てたタワーを、水路を挟んでシンメトリーに配したデザインが130mも続き、水面にもバラの花が映り込んで迫力のある景色が広がります。 園内に咲くバラの品種は2,000にも及び、イングリッシュローズをはじめとするブランドローズのほか、オールドローズや香りの強いバラ、国際ローズコンテストで受賞歴のあるバラなど多様に揃い、見たことのないバラに巡り合うこともできそう。「バラ祭」のイベント期間は「ローズマーケット」が立ち、さまざまな苗を販売しているので、一目惚れしたバラがあったらぜひ立ち寄ってみましょう。ローズガーデンの見頃は5月上旬〜6月上旬と、11月上旬です。 船から眺めてみたり、イルミネーションを堪能したり。楽しみ方も多彩 運河船に乗って、バラの景色を楽しむ。 「ハウステンボス」の「バラ祭」期間は、盛りだくさんのイベントが催されます。園内の全長6㎞に及ぶ運河には客船が運行し、運河沿いに1㎞にわたって垂れ下がるように植栽された、壮大なバラの景色を楽しむことができます。また、閉園の22時まで、夜はイルミネーションで照らし出され、明るい日中とは違った表情を楽しめるのもイベント期間ならでは。ほかにもパレードや音楽のステージ生演奏、バラの専門家によるセミナーなども行われます。 チューリップの季節にはヨーロッパらしい風景が広がる! 格式あるオランダ王室が公認する宮殿の前庭を彩るチューリップ。 「ハウステンボス」の花のハイシーズンは、バラの期間だけではありません。3月中旬〜4月上旬に見頃を迎える「チューリップ祭」も人気のコンテンツです。バラにバトンを渡した後は、6月にアジサイ、夏にユリ、ヒマワリが見頃になります。秋には、世界各国のアーチストが集結する「世界フラワーガーデンショー」を華やかに開催。そして冬にはコチョウランの展示が行われ、年中美しい花の景色が楽しめます。花を愛する人にとって、何度でも足を運びたいテーマパークです。 Information 「ハウステンボス」 所在地:長崎県佐世保市ハウステンボス町1−1 総合案内ナビダイヤル0570-064-110 https://www.huistenbosch.co.jp/ アクセス:JRハウステンボス駅下車すぐ 西九州自動車道大塔ICから約10キロ 休園日:無休 Open:9:00~22:00(時期により変動あり) 入園料:【1DAYパスポート】大人6,900円、中人5,900円、小人4,500円、シニア6,400円 http://www.huistenbosch.co.jp/guide/ticket/ Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/