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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪9 茨城「フェアリーガーデン」
自然体な庭をつくりたい人必見 広々としたサンプルガーデン 幹線道路から少し入った住宅街の中に突如広がるガーデンショップ、「フェアリーガーデン」。つる植物が絡むウッドフェンスと雑木で囲まれた、ナチュラルでまるで秘密の花園のようなお店です。 大きな木々や宿根草が茂る人気のサンプルガーデンは、オーナーの柴田しず江さんが25年前からコツコツとつくり上げてきたもの。約250坪もある敷地は、植物をゆっくり愛でながら回遊できるように枕木や自然石が敷かれ、花木、バラ、宿根草、球根などさまざまな植物が植栽されています。今ではこんなにも成熟した庭ですが、ここに至るまでには相当な時間と労力を費やしてきました。 今から25年以上前、自宅を洋風に建て替えた際にガーデニングを始めた柴田さん。建物の雰囲気に合った美しい庭づくりを目標に掲げました。しかし当時はおしゃれな庭づくりの情報が少なかったため、都内の洋書専門店まで何度か出向き、ガーデン関連の洋書を購入。神楽坂にあったスクールでガーデンデザインを学び、庭づくりの知識を身に付けていきました。 洋書には、見たことのない素敵な宿根草やオールドローズがたくさんありました。その当時、それらの植物もまた日本では出回っていなかったため、海外から種子を取り寄せて自身で育苗をスタート。オールドローズは都内の販売店にまで足を運び、少しずつ数を揃えていきました。 しかし、自邸で本格的な庭づくりをするには限界を感じた柴田さんは、苗づくりはプロの農家に依頼し、それを販売するショップをオープンしようと決意。自身だけでなく園芸好きの人たちにも楽しんでもらえるような、サンプルガーデンを併設することで、自身が思い描く庭づくりを実現させました。 サンプルガーデンをつくるにはある程度の広さが必要なので、使われなくなった田んぼを借用して、まずは洋風の建物を建設。その後、ガーデン部分となる場所には業者に客土をお願いし、へこんでいた敷地を平らにしてもらいました。けれど、入れてもらった土には礫やガラが非常に多かったので、最初しばらくは、それらを取り除いて、有機的な資材で土壌改良をすることに注力。整地しながらデザインを考え、花壇となる部分はレイズドベッドにして新しい良い土を入れ、水はけを確保しました。 見ごたえたっぷり、魅力あふれる植栽シーン 柴田さんが、庭をデザインする上で心がけたことは、奇をてらわない自然体な風景であること。縦長で奥行きのある敷地を有意義に使うために、園路を2本縦に通して奥でつなげ、回遊できるようにデザインしました。枕木や自然石を用いてラフに敷いたことで、雑草までもが愛らしく見えます。 ざっくりと石を敷いた園路の両側には、昔から親しまれている植物から最新の植物まで、さまざまな種類が植わっています。「この庭では消毒で薬剤を使用しないので、とにかく性質が強い品種を入れています」と柴田さん。強健な植物を選ぶことでメンテナンスに追われるストレスを極力減らし、それぞれの植物が持つ野趣を生かして自然な風景を演出しています。 庭演出で注目の植物「オールドローズ」 バラは、うどんこ病や黒点病にかかりにくい品種をセレクト。あまり主張が強くない品種であることもポイントで、旺盛に育ちながらロマンテチックなシーンを実現しています。東屋に誘引したバラは‘コーネリア’。 庭演出で注目の植物「クレマチス」 やわらかさをシーンに加えるのに活躍するのがクレマチス。フェンスに絡むのは、軽やかな花形と淡い花色が美しい‘チャッツワース’。 庭にさりげないアクセントをつける細いオベリスクには、ベル形のクレマチス‘雫’を絡ませて。 庭演出で注目の植物「リーフ類×灌木」 樹木の下はしっとりとしたシーンをつくるのに最適な場所。春に白い花穂を下げるコバノズイナと黒い葉のリグラリアでシックにまとめて。 庭演出で注目の植物「リーフ×宿根草×球根」 灌木の株元をにぎやかに彩るブルーベルと黄花のイカリソウ。覆輪のギボウシ‘寒河江’を背景に、反対色の組み合わせが効いています。ほかの場所では、柴田さんのお兄様から譲り受けた3倍体の大きなイカリソウが見られます。 庭演出で注目の植物「リーフ×球根植物」 アスチルベやキミキフガの花が上がる前の緑一色の頃は、ブルーがかった白い星形の花を咲かせるオーニソガラム・ヌタンスが清楚な彩りを添えて。 庭演出で注目の植物「宿根草×一年草」 こぼれ種で広がるヒメフウロと、青いヤグルマギクの、ブーケのような可憐な組み合わせ。 庭演出で注目の植物「宿根草」 園路の傍らで愛らしい彩りを添えるフロックス‘シアウッドパープル’。この花が咲き終わる頃に、ニゲラ‘グリーンマジック’にバトンタッチします。 庭演出で注目の植物「山野草」 庭の奥には、木陰でエビネなどの山野草の花が咲き、野趣あふれる風景が広がっています。 本格派アイテムを添景に用いて メリハリのあるシーンを演出 宿根草が咲き乱れる植栽に変化をつけるため、柴田さんは大きなオーナメントやコンテナをポイントで配し、インパクトのあるシーンを演出しています。アイテムは、英国のウィッチフォード社やドラゴンストーン社などの本格的で大ぶりなものを多用。「中途半端なものをあちこちに飾るよりも、経年変化で味わいが出る本物を数点置くほうが絵になると思うんです」と柴田さん。洋書をから学んだテクニックが、ここにも生かされています。 どっしりとしたドラゴンストーン社のコーンのオーナメント。ここでは、ジャーマンアイリスやギリアなど、草花のフォルムの引き立て役として活用。 日陰のコーナーに配したガーゴイルの置物。シダの陰にひっそりと佇む姿が魅力的です。 ギボウシの奥で存在感を放つ、テラコッタのルバーブポット。 広い花壇をひと区切りしたいときは、アイアンフェンスがぴったり。 冬~早春の間も楽しめる サンプルガーデン 「フェアリーガーデン」のサンプルガーデンは、冬の間もオープンしています。ひっそり静まり返ったような庭にも、よく見てみると発見がたくさん。冬の庭で生きる植物の状態を学べるだけでなく、冬枯れしたその姿を愛でる楽しみもあります。 2~3月になると、たくさんのクリスマスローズがあちこちに咲き群れます。ぜひ寒い時期も訪れてみて。 クリスマスローズは、新潟から仕入れたというシックな花色のものが多数。時期になると店頭で販売されます。 落ち葉の中から、スノードロップやプシュキニア、チオノドクサなどの愛らしい小球根類があちこち顔を出します。 ショップのマスコット的な存在に。 大人気の猫たち フェアリーガーデンでは、数匹の猫たちが店番をしながら遊んでいる様子を見かけます。彼らは柴田さんが保護したという近所の猫たち。近所でどうしても増えてしまって処分されてしまう恐れのある野良猫たちを、自己負担で病院に連れて行き、去勢・避妊の処置してもらっています。生まれたばかりの子猫の場合は、飼ってくれる里親を探し、今まで約80匹を里子に出しました。柴田さんに目をかけてもらった猫たちは、自由に庭を出入りし、恩返しをするかのように? 来訪者に愛嬌を振りまいています。 オーナメントに勝るとも劣らず、存在感を放っている猫たち。みんなに可愛がられているせいか、野良猫のわりにはのんびりとしています。 柴田さんが飼っているオッドアイ(左右の目の虹彩の色が異なる)の白猫の‘小春’。一代目の看板猫‘福’の後継猫として活躍中。お客様との程よい距離感を保ちながら、散歩したり、昼寝をしたりとマイペース。 育てる楽しさを感じてもらいたいという思いで セレクトした花苗 ショップを始めた当初は、農家に作ってもらった苗と市場の苗を同時に発売していましたが、25年経った今では、全国のこだわりの生産者から苗を取り寄せています。実際の庭づくりで品質を確かめている柴田さんが納得のいく、選ばれし植物たちです。「小さな苗から育てて、翌年また花を咲かせてくれる植物の健気さと愛らしさ。育てることの楽しさ、庭づくりの本当の魅力を知ってほしい。そんな思いを込めて販売しています」と柴田さん。 斑入りや銅葉、シルバーリーフなど、葉も楽しめる丈夫で美しい宿根草が充実。 一年草をはじめとする華やかな草花もズラリ。 庭の雰囲気を高めてくれる、本格派資材も並ぶ 柴田さんが洋書で学んだ、経年変化で味わいが生まれる本格的なアイテムを多く扱っています。「ちょっと値段は張りますが、何年も買い替える必要がないので、元が取れてしまいますよ」。これは柴田さんのこだわりの一つです。 ブーケのようなアレンジが人気! 好評の寄せ植え講習会 「フェアリーガーデン」では、「ギャザリング」という手法の寄せ植えづくりに力を入れています。この手法は、ブーケのような美しい仕上がりが特徴です。 ギャザリングづくりと講師担当は、柴田さんの娘である育美さん。講習会は、「月1回・全6回の半年コースと全12回の1年コース、1回のみの体験コース」があります。大人気なので、気になる方は早めに問い合わせを。 ギャザリングのリース。花材はいずれ庭に地植えしても楽しむことができる、丈夫な種類を多く使っています。 柴田さんイチオシの花苗はコレ! シックでおしゃれなパイナップルリリー 柴田さんがオススメするのは、赤黒い葉のシックな佇まいが魅力のパイナップルリリー‘スパークリングバーガンディー’。6月下旬~7月頃にニュアンスのあるピンクがかったクリームイエローの花を咲かせます。花期以外にも美しい葉が楽しめ、植栽にアクセントをもたらしてくれます。丈夫で育てやすいので、ぜひお試しを。 庭の植栽が美しいというだけでなく、植物や動物、命あるすべてを心から愛おしむ柴田さんの温かさがあふれるショップ、フェアリーガーデン。「この庭にいるだけで癒されて、塞ぎ気味だった気分が明るくなった」など、わざわざお礼を伝えてくださるお客様も多く、介護とショップ運営で疲れきっていた柴田さん自身も、結局は庭の植物に救われたという一人。自然体が生みだす、美しく心地よい庭を、ぜひ訪れてみてください。アクセスは、常磐自動車道那珂ICより車で約10分。JR水郡線・上菅谷駅下車徒歩5分。 【GARDEN DATA】 Fairy Garden(フェアリーガーデン) 茨城県那珂市菅谷3023−6 TEL:029−270−7177 https://ameblo.jp/fairyfairygarden/(ブログ) 営業時間:10:00~17:00(施設に準ずる場合あり) 定休日:木曜日(正月) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪8 神奈川「Buriki no Zyoro湘南T-SITE」 ・「私の庭・私の暮らし」バラ初心者が育んだ5年目の小さな庭 神奈川・Y邸 ・暑さに負けず、たくさん可愛い花が咲く夏のイチオシ一年草10種 Credit 文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/フェアリーガーデン
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花の庭巡りならここ! 花と野菜の魅力を満喫できる「花菜ガーデン」
フラワー&アグリカルチャーに親しむスポット 品種改良の歴史を学べるバラ園は必見! 2010年3月にオープンした「花菜ガーデン」。実は正式名称を「神奈川県立花と緑のふれあいセンター」といいますが、一般公募でつけられた愛称のほうが浸透し、親しまれています。花と野菜から取り、神奈川県の「かな」をふり仮名にして「花菜(かな)ガーデン」と名づけられました。 園内は、季節の花木や草花が楽しめる「フラワーゾーン」、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験ができる「アグリゾーン」、農業や園芸に関する知識を深める施設「めぐみの研究棟ゾーン」の3つに分かれています。 特に「フラワーゾーン」内のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラ専門家の河合伸志さんプロデュースによる、バラの品種改良の歴史が一目で分かる植栽が見どころです。約1,300種が揃うこのバラ園を目当てに訪れる愛好家も多く、春(5月〜6月上旬)と秋(10月〜11月上旬)にはローズフェスティバルが開催され、大賑わい。「バラがとてもきれいで、敷地が広く充実したひとときでした。再度来園したい」という声が多く寄せられています。 「花菜ガーデン」が理想とする園芸家に、カレル・チャペックがいます。エッセイ『園芸家12カ月』は、約90年経った今も世界のガーデナーがバイブルにする書物です。そのライフスタイルに共鳴し、「花菜ガーデン」でもプラスアグリ(農業)をコンセプトに掲げ、今も残る彼の家と庭のイメージを「チャペックの家と庭」として展示。また、体験学習として、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験のほか、ハンギングバスケットづくりや苔玉づくりなど、さまざまな体験型プログラムも実施しています。 キッズビレッジ、キッズファームでは、あえて小型化したアーチやトンネルで子ども目線の異空間の入り口を演出するなど、エリアごとに工夫を凝らしたガーデン演出が楽しく、見応えがあります。「子どもも大人も楽しめる施設になっていると思いました」との感想も聞かれ、花と野菜の魅力をいっそう引き出す展示が、「花菜ガーデン」の魅力です。 エリアごとの華やかなガーデンは眼福! 田植えや野菜の収穫など体験型アグリも開催 写真は「球根ミックス花壇」で、チューリップやアネモネ、スイセン、ヒヤシンスなど62品種、約11万球を植栽。華やかな球根植物たちの競演は、見応えがあります。チューリップは3月下旬〜4月中旬が見頃。配色や植栽のデザインは年によって変わるので、毎春の楽しみとしてリピーターが多く訪れます。 また、2019年は11月中旬〜12月上旬にもアイスチューリップの開花が見られる予定。開花調整されたアイスチューリップは開花期間が長いのも魅力です。 写真は三日月山パノラマ大花壇の5月上旬の様子。ポピーやコーンフラワー、カリフォルニアデージーなどを、ワイルドフラワーのようにバランスよくミックスした花畑を作っています。年に2回の植え替えを行っており、2019年8〜10月は5色のニチニチソウで彩られる予定。植栽は毎年変更され、180度パノラマの迫力たっぷりの花壇は、写真映えする人気のスポットです。 写真は「アグリゾーン」にある「触れん土ファーム」での収穫体験の様子です。他に「花菜ガルテン」や「キッズファーム」「温室」でも収穫体験(有料・持ち帰り可)を実施。内容や時間は、農作物の生育具合やコンディションに合わせて、当日の朝、公式ホームページ上で発表されます。当日の入園窓口にて申し込む先着順で、定員になり次第締め切り。食育の場としても楽しめそうですね。 河合伸志さんプロデュースによる バラ園では品種改良の歴史が学べる 「花菜ガーデン」のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラの品種改良の歴史に沿って系統・分類ごとに展示している「バラの歴史園」です。大きくは野生種からオールドローズ、そしてモダンローズの順に植栽され、時代の流れとともに次々に華やかな花姿が誕生していった経緯を学ぶことができます。そこで、バラがたどってきた今日までの道のりを、車が通った両輪の跡、轍にたとえて「薔薇の轍」と名づけられました。 写真はオールドローズのコーナー。 リージャンロード・クライマー、ロサ・ダマスケナ・トリギンティペテラ、パークス・イエロー・ティーセンティッド・チャイナなどが見られます。 写真はモダンローズのコーナー。芳醇な香りを放つ‘薫乃’、病害虫に強く修景バラとして活躍する‘ノックアウト’、「世界バラ会連合」にて名花として最初の殿堂入りを果たした‘ピース’などが見られます。 香りのバラのコーナーでは、香りを強く放つ品種群を植栽しています。写真手前のピンクのバラが‘エル’、奥に見えるのが‘香貴’、‘快挙’など。バラは咲きたてほどよく香るので、午前中早めに訪れるのがオススメ。香り比べをして、それぞれのバラの魅力を満喫するのもいいですね。 写真のバラの名前は‘花菜ローズ’。花菜ガーデンのバラ園を設計・監修した河合伸志さんが育種したバラで、オープンの記念に贈られました。ニュアンスのあるアプリコット色と芳しい香りが魅力で、シンボルローズになっています。 2019年春のローズフェスティバルでは、普段は販売していないバラ苗を集めた「ローズマーケット」、詳しい解説を聞きながら巡る「バラ園ガイドツアー」、バラの専門家の解説が聞ける「プロに学ぶ! バラの講演会・ガイドツアー」、藤川志朗さんの「花のイラスト展」などを予定しています。 地元の名産品やオシャレ雑貨が充実のショップ& 旬の食材を使ったメニューに大満足のレストラン 「花菜ガーデン」内のショップ「ディア・チャペック」では、神奈川県の特産品や、バラや花をモチーフにした雑貨などが豊富に揃います。広い店内は通路の幅もたっぷりとってあるので、ゆったりとお買い物を楽しめるのがいいですね。旅の記念やお土産に、ぴったりのアイテムを探してみましょう。 ショップのオススメは、左のローズジュース(250ml)324円、右のローズシロップ(120ml )1,296円。ほかにバスフレグランス(入浴剤・1個)324円、ローズドロップクリーム(美容液・80g)2,760円も人気があります。 園内には、レストラン「キッチンHana」(室内約100席、テラス約80席)があるので、歩き疲れたら立ち寄って休憩を。営業時間は3月1日〜11月4日が10:30〜17:00(L.O.16:30)、11月5日〜2月末日が10:30〜16:00(L.O.15:30)、定休日は「花菜ガーデン」の休園日に準じます。神奈川県の旬の食材を使ったランチメニューやデザートセットなど充実のメニューに、どれにしようか迷ってしまうかも!? レストランのグランドメニューは、神奈川県産の「ヤマユリポーク」を使用したポークグリルスープつき1,400円や、牛肉100%のハンバーグスープつき1,200円など。メニュー内容は季節やイベントによって変わります。キッズプレートやペアランチセットなどもありますよ! デザートはシフォンケーキや自家製タルトが500円、ケーキとフリードリンクのデザートセットが700円です。
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皇室ゆかりのバラ〜皇居東御苑のバラとプリンセスローズ〜
昭和から平成、そして令和へと引き継がれるバラ 「令和」の新しい時代が明けようとしています。"皇室とバラ”といえば、雅子様のお印が「ハマナス」、眞子様のお印が「モッコウバラ」。そして雅子様、眞子様のお持ち物には、この「ハマナス」、「モッコウバラ」が描かれているとのことです。 皇居東御苑の一角にあるバラ園には、この「ハマナス」や「モッコウバラ」をはじめ、全部で15品種のバラが植栽されています。もともとは、昭和天皇に献上され、育てておられたバラが大半で、上皇陛下のお考えから1996年(平成8年)に整備され、吹上御所からこちらに移植されたそうです。 では、植栽されている15のバラをご紹介しましょう。 1.テリハノイバラ(ロサ・ウィクライアーナ) 一季咲きで3~4cmほどの白い花を咲かせ、つる性のほふくする枝に光沢のある照り葉が茂るのが特徴です。20世紀初頭、ヨーロッパやアメリカに渡り、さまざまなランブラー、ハイブリッド・ウィクライアーナの作出に貢献しました。 原生地:日本、中国 2.イザヨイバラ(ロサ・ルクスブルギー) 繰り返し咲く約8cmの花は、花弁が多くとても美しい。満月が少し欠けたような花形から十六夜(いざよい)バラと呼ばれます。江戸時代には、葉の形状から、「サンショウバラ」と呼ばれていました。 原生地:中国の南西部から東南アジア 3.シロバナハマナス(ロサ・ルゴサ・アルバ) ハマナスの白花品種で、花径約8cmの花は繰り返し咲き、秋には大きな実を付けます。 原生地:カムチャッカ半島、千島列島 4.コウシンバラ(ロサ・キネンシス) 四季咲き性が強く、コンパクトな木立ち性の樹形。1309年、藤原氏の氏神である春日神の霊験を描いた絵巻「春日権現験記」(三の丸尚蔵館所蔵)の第5巻第2段に描かれた花が、このバラではないかといわれています。 原生地:中国 5.かのこ 一季咲きで、5枚弁の紅色の花弁は、中心が白く抜け、房咲きになります。 原生地:日本 6.フローレンス・ナイチンゲール フローレンス・ナイチンゲール国際基金発足75周年を記念して作出されたバラ。2009年9月に国際看護師協会から贈られ、このバラ園には、上皇・上皇后両陛下がお手植えされました。 1989年、アメリカで作出されたシュラブローズ。 7.のぞみ ほふく性の株でコンパクト。一重の可憐な薄いピンクの花は一季咲きです。 作出は1968年、小野寺透氏。 8.ハマナス(ロサ・ルゴサ) このバラが日本からヨーロッパへ渡ると、「耐寒性に優れ、返り咲き性があり、大きなローズヒップも楽しめる」ことから、北欧などの寒冷地向きのバラの交配に貢献しました。爽やかなスパイシー香があります。 原生地:日本 9.マイカイ 中国では、「マイカイ」(メイグイ)は、バラの総称に加え、薬や食用に使用される、このバラの個体名も指します。ダマスクにスパイシー香が混ざる心地よい香りの花は、お茶やお菓子に利用されてきました。 原生地:中国 10.サクラバラ(ロサ・ウチヤマナ) 5弁の花弁の先にピンクが乗る優しい雰囲気のバラは、つる性で一季咲き。日本のノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)と中国のコウシンバラ(ロサ・キネンシス)の交雑種とみられます。 原生地:日本(九州) 11.サンショウバラ(ロサ・ヒルトューラ) 一季咲きの5弁の大輪。薄いピンクの花の中央にある豪華なシベが美しい。木立ちの大木になり、葉の形状から「山椒薔薇」、富士箱根地区が自生地であることから「箱根薔薇」とも呼ばれています。 原生地:日本 12.ナニワイバラ(ロサ・レヴィガータ) 光沢のあるしっかりとした常緑の葉に、純白の5弁の大輪の花が美しい一季咲きのバラ。樹勢が強く、大きな株に育ちます。1700年頃、日本へ。 原生地:中国 13.ツクシイバラ(ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ) 5弁のハート形の花弁の先に優しいピンクが乗り、房咲きになる姿が愛らしい。一季咲き。 原生地:日本(九州) 14.キモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ'ルテア') 八重咲き(プレナ)の黄色(ルテア)のモッコウバラは、常緑のつる性で、温暖な場所で真価を発揮します。東御苑のバラ園では、陽当たりがよく、ベッド仕立てにしてあるため、とても花付きがよく、開花時には大変見事に咲き誇ります。 原生地:中国 15.モッコウバラ(ロサ・バンクシアエ) 白い(アルバ)八重咲きのモッコウバラは、キモッコウバラと同様、ベッド仕立てに。 19世紀初め頃、八重咲きの白いモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ・バンクシアエ)は、スコットランドの園芸学者兼植物学者ウィリアム・カーによって、中国からヨーロッパに紹介されました。その際、イギリスのキュー・ガーデン所長、ジョゼフ・バンクスの妻の名を付けて、「レディ・バンクス・ローズ」という名で紹介されました。白の一重と八重、黄色の一重には香りがあることから、「木香薔薇」と呼ばれます(黄色の八重は微香)。 原生地:中国 以上のように、植栽されている品種を紐解けば、東御苑のバラ園には、中国との歴史や友好、記念など、日本の歴史、皇室の歴史、バラの歴史の一端が、凝縮されていることが見えてきます。 皇族の方々のお名前を冠したバラ そして、東御苑バラ園には植栽されてはいませんが、皇族の方々のお名前を冠したバラもご紹介しましょう。 ‘プリンセス・ミチコ’(F) ‘エンプレス・ミチコ’(HT) ‘プリンセス・マサコ’(HT) 雅子様がご成婚前に直々に選ばれたバラ「プリンセス・マサコ」。滋賀のWABARA / Rose Farm KEIJIのバラ育種家、國枝啓司さんが1993年に作出しました(現在は非売品)。 ‘マサコ(エグランタイン)’(S) ‘ハイネス雅(みやび)’(HT) ‘プリンセス・サヤコ’(HT) ‘プリンセス・アイコ’(F) 皇室と縁のあるバラ農家、長野県富士見町にある「アサオカローズ」さんでは、美智子様のお誕生日には、1980年から毎年、‘プリンセス・ミチコ’の花束を献上し、2013年からは、‘プリンセス・ミチコ’に3種のバラをブレンドしたローズウォーターを献上されています。 また、寛仁親王妃信子殿下は、公益財団法人日本ばら会の名誉総裁で、淡いローズピンクが美しい‘プリンセス・ノブコ’(HT/2001年 スコットランド アンG.クッカー作出)と名のついたバラもあります。 年号が変わるこの節目の年に、皇室にゆかりのあるバラに再注目してみました。これから全国でバラが咲き誇る季節。ぜひ、お近くのバラ園などでも、皇室にゆかりのあるバラの美しい咲き姿を愛でてはいかがでしょうか?
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪8 神奈川「Buriki no Zyoro湘南T-SITE」
グリーンライフをトータルコーディネートしてくれるショップ 湘南の海風が吹きわたる藤沢で、2014年にオープンしたカルチャースポット「湘南T-SITE」。大型書店を中心とした、新しいライフスタイルを提案するこだわりのショップが集まった注目の商業施設です。 3棟のモダンな2階建ての建物には、すべて書店が入っており、売り場は本の分野ごとにエリア分けがされています。各書店には、その分野と関連性があるものを扱うショップやレストランが隣接。本好きの人も、そうでない人も、感覚で楽しめるスポットとなっています。今回ご紹介する「Buriki no Zyoro」は、植物やフラワーアレンジ、庭づくりに関連する本が集まるエリアに面して展開しています。 普段の生活をワンランク上げるための 商品・提案を心がけて この店のコンセプトは「グリーンのある暮らしをトータル的に提案」すること。さまざまなガーデニングの旬をいち早く届けられるよう、草花や樹木、インドアグリーン、切り花、ドライ、多肉植物、雑貨など、生活に取り込みやすい身近なアイテムすべての「これぞ」というものだけをセレクトしています。 空間を巧みに使い、インドアグリーン、多肉植物などの緑に心地よく包まれる店内。什器には、アンティークテーブルやプランターシェルフなど、インテリアにそのまま使えるアイテムを選び、手軽に実践できるような参考にしやすい提案がなされています。 ウッドボックスを重ねて、今人気のビカクシダや銅葉のゴムの木など、個性的なグリーンを飾ったコーナー。ボックスの高さや向きを少しずつ変えることで、立体感のある空間を提案しています。売り場に置いていない植物は、取り寄せ可能。 基礎工事などに使う格子状のワイヤーは、丈夫で悪目立ちしない優れもの。店内の随所で、ディスプレイに活用しています。ここではガーデンツールとエアプランツのスパニッシュモスをハンギング。 コンテナは、グリーンをより美しく見せるフォルム、色、質感を備えた、厳選されたものが揃っています。 自身の感性と性分を生かし またたくまに人気のショップに成長 「Buriki no Zyoro」のオーナー勝地末子さんは、グリーンスタイリストとして、多方面で活躍中。華がありながらもナチュラルなスタイリングは、著名人にも多くのファンがいるほどの人気ぶりです。 勝地さんがショップを始めたのは今から23年ほど前で、当時3人の息子さんの⼦育てが一段落し、何か自身の感性を生かせる仕事を始めたいと思ったことから。20代で大好きなファッションを扱うアパレルメーカーを経営していた経験を生かし、長年学んでいたガーデニングとフラワーアレンジメントを生業に選びました。 オープンする前は、週1~2日でこぢんまりとやっていけたらと考えていましたが、いざ始めると順調に仕事が運び、ほぼフル回転でショップを営業。仕事だけでなく、勉強にも明け暮れました。 「なんでもやり出したら、とことんやりたくなるんです」と勝地さん。トレンドに敏感な勝地さんは時代に先駆け、グリーンや白を基調とした大人っぽい雰囲気のショップづくりを意識し、当時まだそれほど出回っていなかった多肉植物も充実させました。ワークショップもいち早く手掛けていたことで、おしゃれに感度が高い人が集まる場として、どんどん注目を浴びていきます。 多忙な毎日ですが、今でも自身で仕入れを行っています。「生産者さんと話したり、新しい変わった品種を見つけたりすると、どんなに疲れていても、仕事のモチベーションがぐんと上がるんですよ」と勝地さん。 勝地さんが最も大切しているのが、‘ディスプレイ’。スタッフと相談しながらこまめに模様替えをして、常に美しく新鮮な空間を提案するよう心がけています。「せっかく来てくださったのに、楽しく新しい提案がないとつまらないでしょう」。 勝地さんオススメの苔のテラリウム。蓋つきの瓶の中では苔に必要な湿度が保たれるので、このまま飾るだけで、苔が作る小宇宙を身近に楽しむことができます。詳しくはショップ、または勝地さんの著書『はじめてのテラリウム 多肉植物、エアプランツ、苔、蘭でつくる』(エクスナレッジ)で。 無機質でモダンな空間に 心落ち着く有機的な演出を 勝地さんが空間づくりで意識していることは、ディスプレイの美しさだけでなく、居心地の良さの追求。ここの建物は無機質でややハードな印象があるため、勝地さんの世界観を出すには、一工夫が必要でした。そこで勝地さんは、人の背丈を超えるほどの大きな木の幹や枝を要所にレイアウト。直線的な建物に曲線のデザインを加えることでやわらかさが出て、森の中にいるような囲まれ感も生まれています。 日々の暮らしに寄り添うよう 花選びを心がけて ショップの中央のテーブルでは、愛らしい切り花が軽やかな彩りを添えています。この店舗にはナチュラル志向の人が多く来ることもあり、あまり派手さがない自然体な花姿のものがメイン。自由が丘店では勝地さんの感性を求めて来る常連さんからの「贈り物用の花束」の依頼が多いのですが、ここ湘南では、これ! と思う1本、または数本を自分で選んで自宅用として購入していく方が多いのだとか。「生活に花やグリーンで潤いを添えようと思う人が増えているようです」と勝地さん。一輪でも絵になる花材を意識して仕入れています。 ドライフラワーで提案する 最後まで花を楽しむ方法 「Buriki no Zyoro」では、ドライのリースやスワッグも販売しています。飾られているものはスタッフが作ったもので、どれもあたたかみを感じさせるものばかり。植物の本来の魅力を伝えようとする思いが伝わってくる、シンプルで飽きのこないデザインが魅力です。 折れたり、盛りを過ぎたりした花を、スタッフが吊るして飾ったコーナー。「花を最後まで慈しむ気持ち・姿勢が嬉しいんです」と勝地さん。こういった花への思いが伝わり、これが欲しいというお客さまも。 ショップの前には、 厳選した苗ものが並ぶ 「Buriki no Zyoro」では、庭に植える植物ももちろん扱っています。ショップの前のウッドデッキまわりには、植栽をグレードアップさせてくれるイチオシの植物を陳列。また、庭の設計・施工の相談も受けており、こだわりのある美容室やマンションで施工したおしゃれな植栽が注目を浴びています。 今人気のオリーブやオーストラリア原産の樹木類も多数販売。クールな建物にサラサラと揺れる葉が美しく映え、訪れた人の目を潤しています。 リーフガーデンづくりに欠かせない、ユッカやシキミアなどの常緑プランツも充実しています。 今大人気のおしゃれなラナンキュラスやアネモネなど、華やかな花鉢や苗も扱っています。 勝地さんイチオシのグッズはコレ! ハンギングで飾るプランツやアイテム 今までガーデニングに興味のなかった人たちにも、グリーンの重要性が認識され始め、インテリアや玄関まわりなどに少しずつ植物が取り入れられるようになりました。現在需要が伸びているのが、吊るして飾るつる性のグリーン。丈夫で個性的なものが多く、一鉢あるだけで、空間につややかな潤いがもたらされます。 「単に植物を売るだけでなく、一歩先を行く新しい提案で訪れる人々の感性を刺激し、潤いに満ちたライフスタイルを発信し続ける」という施設のコンセプトに準じながら、ほかのショップにはない「瑞々しい癒しの空間」を提供している「Buriki no Zyoro」。ここには、23年間、東京・自由が丘で培った豊かな感性をさらに進化させた、勝地さんの新しい世界が広がっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、小田急線本鵠沼駅より徒歩15分 小田急線・JR藤沢駅より無料シャトルバス運行中。 【GARDEN DATA】 Buriki no Zyoro湘南T-SITE 神奈川県藤沢市辻堂元町6-20-1 湘南T-SITE 2号館 TEL:0466-53-8783 https://www.buriki.jp/ 営業時間:10:00~19:00(施設に準ずる場合あり) 定休日:無休(正月を除く) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪7 東京「渋谷園芸」 ・「私の庭・私の暮らし」インスタで人気! 雑木や宿根草、バラに囲まれた大人庭 千葉県・田中邸 ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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春のお出かけお花見スポット〜城山かたくりの里〜
待ちに待ったお花見の季節 御殿場ザクラ。 うららかな休日は、日帰り可能なお花見スポットに足を伸ばして、春を満喫したくなります。いくつかある気に入りのお花見スポットに、2018年の春、偶然インスタグラムで見つけた「城山かたくりの里」が新たに仲間入りしました。 「城山かたくりの里」は、神奈川県相模原市にある個人所有の山村で、カタクリの花が咲く春のみ一般公開されています。また、所有者で花守人の小林一章氏が、昭和50年頃から始めたカタクリの自生地保護と増植の努力で、今では400坪に30万株が自生し、南関東随一の群生地として知られています。 山の斜面に群れ咲くカタクリの花 カタクリやユキワリソウ、コイワウチワが寄り添うように咲く様子を間近に見ることができます。 「城山かたくりの里」を訪れたのは、2018年の4月1日。残念ながら、カタクリの花は満開を過ぎていましたが、山林のほぼ3分の1が群生地。そこには、今まで見たことのない景色が広がっていました。 山の斜面に咲いているカタクリの花は、散策路から見上げると一輪一輪うつむきがちな花の可憐な表情がよく見え、クルンと反り返った花びらのなんと可愛らしいこと。「春の妖精」と多くの人に親しまれていることがよく分かります。背景のツツジの花も色鮮やかで、満開時には辺り一面が赤紫色に染まり、さぞ美しい光景が広がることでしょう。想像するだけでうっとりします。 キバナカタクリが咲き始めていました。 赤紫色のカタクリの花に代わって、ちらほら咲き始めていたキバナカタクリも見ることができました。黄花はやや遅咲きの希少種だそうで、黄緑がかった透明感のある花が、柔らかな木漏れ日に輝いていました。その清らかさは、一株を今すぐにでも庭に植えてみたいと思ったほどです。 素朴で愛らしいアズマイチゲ。 とはいえ、恥ずかしながらこの時まで、わたしはカタクリの生態をほとんど知らなかったのです。調べてみると、カタクリは北海道や本州の北中部に自生しているユリ科の多年草。樹木が目覚める前の早春に花を咲かせ、春が深まり草木に葉が茂る頃には葉を落とし、再び土の中で長い眠りにつくのだとか。 ニリンソウ。 さらに、タネから花が咲くまでに最短でも7年かかるそうです。7年もかけてじっくりと球根に栄養を蓄えて花を咲かせる準備をするなんて驚きですね。また、日本では自生地が激減し貴重な花となっているようです。 生態を知れば知るほど、どこか神秘的でその健気さが愛おしく感じます。と同時に、約45年もカタクリの保護と増植に時間と手間を費やしてこられた花守人の方々の情熱に、只只、感服するばかりです。 山野草の愛らしさに魅せられて 林床に咲くユキワリソウ。 カタクリの花以外にも、山林のそこかしこにさまざまな山野草の花が咲いていました。例えば、ニリンソウ、ユキワリソウ、イワウチワ、アズマイチゲ、ユキワリイチゲ、ショウジョウバカマ、オオバキスミレ…。地面に積もったフワフワの枯れ葉の間から覗かせる可憐な花たちは、「わたしを見て〜!」と言わんばかり。その姿を、何度腰をかがめて覗き込んだことでしょう。 オオイワウチワ。 じつは、山野草といえば、園芸店で売られているポット苗や庭植えのものしか見たことがなく、こんな風に自然に咲く姿を見たのは、この時が初めてでした。顔を近づけて見れば見るほど、個性的で繊細な花に釘付けに。そのうえ、どの葉っぱも愛らしく、花が終わった後も十分楽しめそう。そう思うと、わが家の庭にも植えてみたいなと思いましたが、居心地良さげに咲いている姿をしばらく眺めているうちに、ちょっと可哀想な気もしてきました。やっぱり山野草は、自然の中で愛でるのが一番なのかもしれませんね。 咲き誇る春の花木 山野草の群生地を抜け、山林の奥へと散策路を進むと、今度はサクラやツツジ、ツバキ、ヤマブキ、ミツマタなど、花木が一斉に花を咲かせていました。赤、桃、黄、白…。 色とりどりの無数の花々が織りなす景色は、まさに春爛漫。中でも、清楚な一重咲きのおかめ桜や御殿場桜、ふくよかな花びらのヤシオツツジ、シベと花びらのコントラストがハッとするほど美しいト伴椿(ボクハンツバキ)など、ふだん滅多に見られない花木の種類の多さに胸が高鳴りました。 ト伴(ボクハン)椿。 紅ヤシオツツジ&ヒカゲツツジ。 それにしても、これほど春咲きの花木のみ植栽している場所は、他に見たことがありません。 さらにその先に広がっていたのは、目を見張るほどの箒桃(ホウキモモ)の群生。真っ直ぐ上に伸びた枝いっぱいの艶やかな大輪八重咲きの紅や白、桃色の花。それぞれが競い合って春霞の空をつかもうとしている壮観さは、感動の一言。その力強さに自然と心が奮い立ちました。 そんな箒桃の下では、写真を撮る人や椅子に腰掛けて絵を描いている人、お弁当をひろげてにこやかに寛いでいる家族の姿も。まるで名画のような幸せに満ちた光景でした。 30万株のカタクリと山野草、そして、春の花木が咲き誇る「城山かたくりの里」は、まさにこの世の桃源郷。今春も、この時季ここでしか見られない景色と感動を味わいに出かけたいと思います。 「城山.かたくりの里」公式ホームページhttps://www.katakurinosato.com/
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。栃木県那須町「コピスガーデン」
クリスマスローズも多数扱うナーセリー 今回ご紹介する庭は、栃木県那須町にあるガーデンショップ「コピスガーデン」です。この庭に初めて行ったのは2015年の2月。この時は、バラが目的ではなく、クリスマスローズの取材でのことでした。「コピスガーデン」の母体は、宿根草や球根、クリスマスローズのナーセリーとしても有名な「大森プランツ」です。クリスマスローズが大好きな僕にとっては、大森プランツといえば、堀切園の樋口規夫さんの「ウィンターシンフォニー」というくらいクリスマスローズの印象が強い会社で、この時の取材もクリスマスローズのイベントに合わせて樋口さんの撮影をするのが目的でした。 フレンチローズが咲くバラ園の一つ 取材が終わって、お世話になった当時の担当だった鈴木さんにご挨拶をした時、「5月末のバラもきれいですから、一度お越しください」とお誘いを受けました。「大森プランツ」でフランスのバラナーセリーである「ギヨー」社などのバラも扱い始めたことは知っていましたし、僕の重要な仕事である『ローズカレンダー』用に、フレンチローズを撮影できるバラ園を探していたこともあり、「5月末、コピスガーデン、ギヨーのバラ」と頭の中にインプットして帰路につきました。 撮影は5月末の15時にスタート 毎年5月末になると、新潟にある「国営越後丘陵公園」のバラの撮影が恒例になっていて、この年も29日に新潟に行き、夕方のバラ園を撮影し、一泊して翌日の早朝のバラ園の撮影を済ませて、お昼から「コピスガーデン」へと向かうことにしました。「コピスガーデン」までの道のりは、日本海側を北陸自動車道を北上して、磐越自動車道に乗り、会津を抜けて東北自動車道を少し南に走るという、総距離約260km、3時間ほどのドライブです。当日は天気も良くて快適なドライブで、15時過ぎに「コピスガーデン」に予定通りに到着。前述の鈴木さんにご挨拶をして、すぐにバラ園へ向かいました。 個性的で主張するバラの魅力をカメラに収める 高い木々に囲まれたショップの建物の間を抜けて、階段を数段下りて道なりに右に進んでいくと、目の前に突然バラの庭が現れました。そこには、さっきまで新潟の越後丘陵公園で見ていたバラとは違う、いつも見慣れているオールドローズとも全然違うバラが。それは、色の強さも形も、咲き方もそれぞれのバラ一本一本が主張し合っているように感じさせる「ギヨー」社のバラが見事に咲いていました。バラの間にはネペタやラムズイヤーの宿根草も自由に咲いていて、大げさに表現するなら「見たこともない美しい世界が広がっていた!」のです。 カメラを担いでワクワクした気分でバラの庭をぐるりと下見をしながら、何周も歩き、バラを眺めながら品種名を覚えたりもして、光が良くなった17時から撮影を開始しました。今回初めて見る「ギヨー」社のバラも多数あって、ファインダーの中のバラを見ては「個性的なバラが多いな」と改めて思ったりしながら、独特な「ギヨー」社のバラの魅力をとらえようと、その日も陽が沈むまで撮影しました。 翌年のバラの最盛期も再び訪れる 翌年の2016年の5月は撮影が立て込んでいて、「コピスガーデン」の様子も気になっていたものの、結局行くことができずにいました。しかし6月上旬のある日、当時、ガーデニング雑誌『BISES』の副編集長だった倉重さんから「今『コピスガーデン』のバラが丁度きれいと聞いたので、撮影をお願いできませんか?」と電話が入りました。『BISES』は花の撮影を始めた頃から憧れの雑誌で、花や庭の撮影のきっかけを作ってくれた媒体なので、断るなんてことはできません。 天気予報を見ると那須の天気は翌日の午前中だけ晴れで、その後はずっと雨マーク。ピークのバラ園に長雨が降ったらバラは終わってしまうし、翌日は午後から別の撮影が入っています。ということは……。暗い内に家を出て、早朝に「コピスガーデン」に到着したら2時間も撮影して帰れば可能だと判断。倉重さんには「大丈夫です!」と返事をして後は翌朝の天気を祈るだけでした。幸い、翌日の「コピスガーデン」は朝から晴天! 美しいバラの庭を前にして『BISES』に載せる写真を撮るぞッと、いつもより高揚した気分で撮影を進め、日が高くなってきた8時過ぎには撮影を終了しました。 ガーデニング雑誌と写真展で注目された一枚 この時の写真は、自分でも納得の写真で、『BISES』掲載の後、東京・六本木の「FUJIFILM SQUARE」で開催された写真展「バラ大国 日本 輝くバラたちの庭」にも大きく引き伸ばされて展示された、僕にとっても記念すべき一枚になりました。 その翌年からは、「コピスガーデン」の皆さんもガーデニング雑誌に掲載された写真を見て喜んでくれたことがきっかけとなって、何度も写真講座を企画してくれたりと、良いお付き合いをさせていただいています。美しいバラやクリスマスローズの咲く「コピスガーデン」。マイフェイバリットなお庭の一つです。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪7 東京「渋谷園芸」
ガーデニングライフに、‘アイデア’と‘美しさ’を提案するショップ 住宅街の中に広がる、緑したたる渋谷園芸。夏には、敷地内に点在するケヤキの大木が心地よい緑陰を落とします。渋谷園芸がオープンしたのは約43年前。そして今から7年前に隣の敷地からこの場所に移設し、現在に至っています。 街道沿いの店頭には、大きなテラコッタをのせたイギリス製の車、クーパーがお出迎え。道行く人の目を引いています。これは、渋谷園芸の看板商品・ウィッチフォード社の鉢のユニークな宣伝カー。でも、実際には走っていません。 農家の面影を感じさせる ノスタルジーあふれるショップ もともとは地主・農家で、その広い敷地を生かして店舗をのびやかに展開している渋谷園芸。ショップのシンボルツリーであるケヤキは、オープン当時からここを見守っている100年を超える大木。その傍らに建つ明治元年築という木造の納屋もまた、重鎮の貫録を放っています。この150年ほど経つ建物は現在、売り場兼ギャラリーとして活用され、まだまだ現役として活躍中です。 納屋の中はほの暗く、白い漆喰の壁や太い木の梁が昔の面影をしのばせています。そこに、渋谷園芸が直輸入するイギリス・ウィッチフォード社の鉢を並べて展示。納屋の雰囲気を壊さぬよう、かつて使われていた飾り棚や素朴な台、什器などを利用して、雰囲気よくディスプレイされています。ウィッチフォード社の鉢の扱い数は日本一を誇り、厳選したショップにも卸しています。 ガーデナーのあこがれであるウィッチフォード社の鉢。手づくりならではのぬくもりや深みのあるつややかな色合いが魅力です。どんな植物にもよく合い、品のあるシーンを演出してくれます。 太い梁には、アンティークの照明(商品)やドライフラワーをハンギング。納屋の中は見所たっぷりです。 通常、ウィッチフォード社の鉢がメインのディスプレイになっていますが、時によって季節の催しを祝う演出にすることも。取材した2019年2月は桃の節句にちなんで、45年もののお雛様が、華やかな情緒を放っていました。 こだわりの植物が並ぶ 大樹の下でショッピング 渋谷園芸の理念の一つに、「誠実を第一とし、創意工夫を心掛け、世に必要とされる会社であること」があります。その理念に沿って、来店するすべての園芸家に満足してもらえるよう、小さな草花から樹木に至るまで鮮度はもちろん、種類が豊富であることにこだわっています。 以前ショップの近くに花卉市場があったことから、関係者や生産者との深いつながりを、今もなお大切に維持している渋谷園芸。その強みを生かし、お客様への還元につなげています。「大抵のものが取り寄せ可能です。売り場になければ、ぜひご相談ください!」と店長の伊藤能久さん。店頭販売のほか、リース、ディスプレイ、造園など幅広く事業を展開し、学校での花壇づくりなど、地域にも貢献できるよう努めています。 2階建ての店内も充実 あらゆるものがずらりと揃う 清潔感のある明るい店内には、雑貨や園芸資材、観葉植物、切り花やプリザーブドフラワーなどが美しく並びます。屋外売り場同様、ゆったりとスペースが取られているので、子ども連れでも安心。 吹き抜けで天井が高い売り場。植物にも人にも心地よい、明るく清潔感あふれる空間です。 雑貨売り場も頭上をグリーンが覆い、まるで温室の中にいるような気分に浸れます。 2階は、白い空間に爽やかに映えるインドアグリーンの売り場。コンパクトなものから尺鉢まで勢ぞろい。 インテリアショップのような雰囲気 コンテナ&資材コーナー 2つ目の理念に「生活をより良くするために、商品を企画・提案する能力を培い、高めること」があります。その理念の通り、売り場には普段の生活がもっと潤うよう、随所に楽しい提案を散りばめて展開。特に、一番奥にあるコンテナやアイアン製品、小物類を扱うコーナーでは、インテリアショップにでもいるかのような徹底した雰囲気づくりがなされ、目を楽しませてくれます。 オーナーの思いが詰まった レストラン‘樹藝夢’で本物の良さを味わって 3つの理念の最後が「好奇心、好対応、好感、貢献の4Kを大切にすること」です。園芸売り場に加え、その理念がより強く感じられる場所が、敷地内にあるカフェ&レストラン‘樹藝夢’(じゅげむ)。7年前のショップ移設の際にオープンしたクラシカルなレストランで、イタリアン・フレンチベースのコース料理のほか、気軽なワンプレート、スイーツが楽しめます。 レストランに一歩足を踏み込むと、重厚感のある調度品が至る所に。園芸店とは思えないほどの上質感が漂う異空間は、海外のレストランにでもいるかのような気分です。ここには、お客様に休憩の場を提供するだけではなく、「美のある生活を提案したい」というオーナー、渋谷忠司さんの思いがたっぷり詰まっています。 調度品に飾られた品々は、美術館やギャラリーで見かけるようなものばかり。それらのほとんどがアールヌーボー期の美術品です。これは、芸術に造詣が深いオーナーの渋谷忠司さんが世界各地で見つけたもので、本物が醸し出す優雅な佇まいが、芳しい空間を演出しています。 ウィスキーなどが並ぶボード中央には、20世紀・アールヌーボー期に活躍したドイツの建築家でデザイナーでもあるペーター・ベーレンス作のテーブルライトが。これは、ルードヴィッヒ大帝のために1902年に作られたもの。最上段に並ぶ銅製のケトルが、ドイツにいるような雰囲気を漂わせています。 こちらは、フランスで活躍したガラス工芸家・エミール・ガレ作のライトが3つ下がるコーナー。 作品に描かれたgalléのサインに、テンションが上がります。 カップボードの上には、フランスのオーギュスト・ロダン作の彫刻「バラの帽子の少女」が。 そして隣の飾り棚の中には、同じくフランスで活躍したガラス工芸家・ドーム兄弟のブドウ柄の花瓶などが収められています。 重厚感あふれる室内に軽やかさを与えているのが、壁に飾られたやさしいタッチの水彩画。これは、アートを愛する渋谷さんの趣味の一つ。 専属シェフが作るフレンチ・イタリアンのメニューは、軽食のケーキから本格的コース料理まで、お腹のすき具合に合わせて選べます。どれも色彩豊かに美しく仕上げられており、眺めているだけで、春の花畑にいるような浮き立つ気分に。こだわりのワインと一緒なら、さらにフレイバーな時間を味わうことができます。 前菜やスイーツには、可憐なエディブルフラワーがあしらわれています。食べるのがもったいないほどの愛らしさに、うっとり。エディブルフラワーは、それを専門に扱う横山園芸のもの。 渋谷園芸イチオシのグッズはコレ! ウィッチフォード鉢・ブルーカラー 今までウィッチフォードの塗り鉢は、モスグリーン、オリーブグリーン、ハニーの3つのカラーがありましたが、昨年そこにブルーが加わりました。どんな草花にも上品にマッチし、日本の山野草にもよく合います。 農家ののどかな風情を残しながら、45年もの間、ここで園芸店を営む渋谷園芸。掲げた経営理念にのっとり、随所ににじませた‘ノスタルジック’で‘クラシック’な雰囲気が、人々の好奇心を刺激しつつ、ほっとひと息つける時間を提供しています。ぜひ、楽しいアイデア、本物の美しさが詰まった渋谷園芸の世界を味わいに、訪れてみてください。 パーキングは40台駐車可能。アクセスは西武池袋線・都営有楽町線・都営大江戸線練馬駅より約13分、西武新宿線野方駅より約14分。 【GARDEN DATA】 渋谷園芸 176-0013東京都練馬区豊玉中4-11-22 TEL: 03-3394-8741 URL: http://www.shibuya-engei.co.jp 営業時間:9:00~17:00 定休日:無休(正月を除く) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪5 兵庫「みどりの雑貨屋」 ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪6 埼玉「フローラ黒田園芸」 ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/渋谷園芸
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千葉県

花の庭巡りならここ! 花々で彩られるレジャー施設「東京ドイツ村」
花に特化したレジャースポット 斜面を彩る壮大な花畑を見に出かけよう! 2001年にオープンした「東京ドイツ村」は、広さ91万㎡ (東京ドーム19個分)の敷地を持つ観光施設。四季を通して美しい花々で彩られる、花の名所としても知られています。春は菜の花、シバザクラに始まり、晩春にはキンギョソウ、ジギタリス、バラが見頃に。夏はヒマワリ、ペチュニア、バーベナ、もこもこのコキアで彩られ、秋はコスモスと真っ赤に紅葉したコキアが見どころになります。冬は壮大なイルミネーションが登場し、まばゆいばかりの光の演出は感動的です。 広い園内には、フラワースポット以外にも、さまざまなアトラクションやこども動物園、わんちゃんランド、パターゴルフ場などがあります。広くて移動に時間がかかるので、車に乗ったまま入園でき、目的地ごとに駐車場が整備されているのもユニークです。 「東京ドイツ村」はSNSでその魅力が拡散され、外国から訪れる人々は年間100万人にも上ります。飲食店は10店舗が入っており、和食、洋食、パン屋さんなど、食べ歩きも楽しい充実度。ショップではソーセージ、ドイツビール、バウムクーヘンなどドイツ由来の品々のほか、千葉県物産品も多数揃えています。 四季を通して花の絨毯が登場! 壮大な景色を背景に、ぜひ写真に収めよう 「芝桜の丘」では、5万㎡に25万株のシバザクラが植栽されています。見頃は3月下旬〜4月上旬。這うように茎葉を伸ばし、小さな花を株いっぱいにびっしりと咲かせて地面を覆い尽くします。傾斜のある広い敷地を生かした演出は壮観! 春色の絨毯を背景に、ぜひ写真に収めましょう。同じ頃に、菜の花の満開も楽しめます。 5月は、約1万㎡の敷地に3万5000株で彩るキンギョソウが見頃を迎える季節。写真は、パステルピンク、白、黄色の3色を組み合わせてドーム状に仕立て、一面をカラフルに彩った風景。毎年配色を変え、趣向を凝らした花のパレットが登場するので、リピーターも楽しみにしています。同じ時期にジギタリス、バラ、ギガンチウムも見頃に。さらにその先は、ユリへと咲き継がれます。 写真は「東京ドイツ村」の夏の景色。背景の建築スタイルもあいまって、異国情緒たっぷりですね。手入れの行き届いたグリーンの芝生がみずみずしく、縁取るようにヒマワリやバーベナ、ベゴニアなどが彩ります。もこもことしたフォルムが愛らしい、グリーンのコキアの群稙も必見です。芝生の中に入ってくつろぐこともできるので、お弁当やおやつを広げて休憩するのもいいですね(レストランへの飲食物の持ち込みはNG)。 グリーンのコキアが真っ赤に紅葉するのは、9月下旬〜10月中旬。2万株が植栽されており、コキアを目当てにやって来た多くの人々で賑わいます。斜面を生かして植栽され、面を彩る見せ方をしているので、とても写真映えがしますよ! 同じ時期に、ガーデンマムも見頃を迎えます。 「四季の丘」では、5,680㎡に300万本のコスモスが植栽されています。「秋桜」の別名の通り、秋を彩る代表的な花です。草丈1mほどのたおやかな花が秋風にゆらゆらと揺れる様子は、大変優美。花畑の中に整備された小道をゆっくり散策して、ピンクや白、赤紫、オレンジや黄色に彩られた景色を楽しみましょう! 冬はイルミネーションで幻想的に演出! 収穫体験は子どもと一緒に参加すると楽しい 11月〜3月は、ウィンターイルミネーションのイベントが開催されます。音楽に合わせてイルミネーションが変化する「光と音のショー」、全長70mにも及ぶ「虹のトンネル」、壮大なスケールの「3Dイルミネーション」は圧巻の一言。関東最大級の規模で、外国から訪れる人々からの人気も高いイベントです。 「東京ドイツ村」では、ここで育った野菜や果物の収穫体験も行っています。春はタケノコ、初夏はジャガイモ、秋はラッカセイ、サツマイモ、秋から冬にかけてはミカン狩りが楽しめて、料金はそれぞれに異なります。写真は、7〜8月以外ならいつでも楽しめるしいたけ狩り。子ども向けの食育に利用してもよさそうですね。 ドッグランのある「わんちゃんらんど」で犬と遊ぼう! 動物と触れ合える「こども動物園」も人気 写真は、敷地内にある「わんちゃんランド」。全面芝生の広大なドッグランがあり、夏期限定で「ドッグプール」が開放されます。利用料は1日800円、当日に限り再入場可能です。「わんちゃんランド」以外でのペット連れは不可となっているため、ほかのアトラクションを楽しみたい方に向けて、一時預かり(500円)も行っています。また「わんちゃんランド」には14匹がいて、ふれあい(500円)&レンタル(15分500円)も。都会でペットを飼えない方々の利用が多く、散歩体験が大好評です。 園内には「こども動物園」があり、動物との触れ合いや餌やり体験ができるので、子ども連れで訪れる方に人気です。モルモット、ヤギ、ヒツジ、リス、マーラなどが待っています。写真は、「東京ドイツ村」のマスコットキャラクター、マイクロミニブタです。スマイルが愛らしいですね! 「東京ドイツ村」内には、飲食店が10店舗入っているので、リピートして全制覇するのもアリ。写真は「レストラン・カフェテリア」の店舗で、バーベキューが楽しめるのがセールスポイントです。ドイツのソーセージ、「ミュンヘナーヴァイスヴルスト」1,290円、「オーバークライナー」1,290円は、ぜひ味わっておきたいもの。もちろんドイツ産生ビールや瓶ビールも充実していますよ! Information 東京ドイツ村 所在地:千葉県袖ケ浦市永吉419 TEL:0438-60-5511 http://t-doitsumura.co.jp/ アクセス:館山自動車道「姉崎袖ヶ浦IC」より約3km(約5分) オープン期間:通年 休園日:なし 営業時間:9:30~17:00(最終入園16:00) ※季節により変動あり 料金:大人800円、小人(4歳~小学生)400円 駐車場:約3,000台(1台1,000円) ※季節により変動あり 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! 体験教室のプラン充実の観光ガーデン「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」 ・花の庭巡りならここ! 世界一の藤棚が見られると海外からの呼び声が高い「あしかがフラワーパーク」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。イギリス以上にイギリスを感じる庭 山梨・神谷邸 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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埼玉県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪6 埼玉「フローラ黒田園芸」
ショップの目玉の一つ 来客の目を引く美しいサンプルガーデン シックでナチュラルな寄せ植えづくりで常に注目を浴びているスタッフの黒田健太郎さん。彼が花や雑貨で生み出す世界は透明感にあふれており、美しいものに敏感なガーデナーから絶大な支持を集めています。 そんな健太郎さんがつくるショップの見どころの一つが、“サンプルガーデン”。販売などの合間をぬって手入れしている、奥行きのある美しい庭です。季節を通して見どころが満載で、早春は瑞々しい葉が美しい宿根草や春咲きの球根植物、夏はインパクトの強いサルビアやダリア、カンナなどの宿根草、そして秋は落ち着いた大人色のキク科の花とグラス類など、季節の草花が競うように花壇を彩ります。 色鮮やかなのに自然に見えるのは、健太郎さんの計算によるもの。「植物は整然と揃えて並べて植えるのではなく、異なる草丈で高低差を出しながら植栽に凹凸をつけ、立体感のあるナチュラルな風景に見えるように工夫しています。植えたばかりの植物でも、植え込んでしばらく経過したように見えるよう、成長して枝が暴れたような苗を使うことが多いんですよ」と健太郎さん。草花のほか、コバノズイナやメギ、フィソカルパスなどの灌木を用いて、植栽にメリハリをつけています。 庭を盛り上げる数々のDIYも必見! サンプルガーデンや売り場を盛り立てているのが、小屋やあずまやなどのDIY。ツタが絡み、あしらわれた雑貨が見え隠れするさまは、こなれ感たっぷりでショップの見せ場の一つとなっています。これらは健太郎さんがデザインを考え、DIYが得意な社長さんがつくったもの。もともとは、高齢のお客様のために、休憩しながら花が選べるようにしつらえたものでしたが、今では絵になる点景物として、訪れた人の目を楽しませています。 かつては生産者だったからこそ 今にたどり着いた努力 「フローラ黒田園芸」は、かつてペチュニアやベゴニアなどをつくる生産農家でした。今から40年ほど前、生産した苗を社長さん(健太郎さんの父)が売り始めたのがショップの始まりです。そして数年後、健太郎さん兄弟が加わり、店はどんどんパワーアップしていきました。 もともとインテリアに興味があり、子どもの頃からおしゃれなインテリア雑誌などを眺めることが好きだった健太郎さん。そのせいもあって、学校卒業後は都内の観葉植物や花卉装飾を請け負う会社で老舗の料亭や高級紳士服店などの装飾に従事していました。当時会社には、スピーディーにきれいに装飾を行うタイプと、話術に長けたタイプの先輩2人がいて、彼らの動きがとても勉強になったといいます。 数年の修行から戻ってフローラ黒田園芸に入社。まず最初に取り組んだのは、「つくりすぎた苗や人気のない色の花苗をどうするか」ということでした。そこで修行で学んだディスプレイ感覚を生かし、人気のない花をディスプレイで魅力的に見せて、販売につなげることに注力。そうすることで、ただ店頭に並べるだけでは伝わらなかった花の魅力がお客様に届き、次々と手に取ってもらえるようになりました。そのとき健太郎さんは、ディスプレイ力が販売力に直結することを確信。これが今のショップの魅力につながる原点となります。 ショップが軌道に乗ると、苗の生産時に使っていたガラスハウスを店舗らしく改造。前面のガラスをレンガ積みのウォールに変えて、おしゃれな店構えにしつらえました。手を加えたのはほんの一部分ですが、イギリスのような雰囲気がほんのりと漂う空間に生まれ変わりました。 健太郎さん、社長であるお父様、弟の和義さんが数人のスタッフの協力を得て運営する「フローラ黒田園芸」。3人とも、何でも一通りできますが、得意分野を生かすために役割分担しています。健太郎さんは寄せ植えづくりや広報を、社長さんはDIY、和義さんは植物の仕入れを主に担当。それぞれの個性を尊重しながら、一丸となってショップを魅力的に見せる努力を重ねています。 売り場に点在する寄せ植えもチェック! 飾り方まで参考に 健太郎さんがつくる寄せ植えは、外の売り場に点在しています。ただ単にアレンジを並べただけでなく、雑貨と合わせてコーディネートも提案。「植物・コンテナ・背景」の3つの要素をしっかり考えることが重要だということが分かります。 建物内も見どころたくさん! グリーンや雑貨の使い方が学べる レンガの壁が印象的なガラスのハウス内は、インテリアグリーンや雑貨、資材売り場。こちらも屋外売り場同様、参考になるシーンにあふれています。これらのディスプレイを意識しながら店内を回れば、素敵なヒントがいくつも見つかります。 素敵なコーディネートの秘密は ドライフラワー使いにあり! 健太郎さんのコーディネートは、いずれも見る側の想像をかき立てる不思議な魅力をたたえています。例えば、深い森を思わせたり、フェアリーが出て来そうだったり……。ガーデニングの世界を超え、おとぎ話の世界に誘うような雰囲気があるのです。この独特な世界づくりに欠かせないのが、花壇の枝や実などを利用したドライフラワーです。 庭で咲いた花のうちドライフラワーに向くものは、はじめは切り花としてフレッシュを飾り、その後、枯れたものをドライとして生かすという健太郎さん。瑞々しい状態とは異なる魅力を放ってくれます。 ディスプレイで使うアイテムが並ぶ バックヤードも魅力的 園芸誌などから寄せ植えの取材・撮影依頼も多い健太郎さん。撮影時にアレンジと一緒に飾るアイテムにも、古びた雑貨やドライフラワーを多く使っています。これらのアイテムは、屋内の売り場の一角に無造作な雰囲気で並べられています。ややほこりをかぶったような雰囲気も味わいがあり、また一興。 社長さんが育てたおいしい実り。 ぜひ、お土産にどうぞ 「フローラ黒田園芸」では、店舗の周りにある畑で採れた収穫物が、花苗に交じってときどき店頭に並びます。冬季はショップの隣にある畑で穫れたミカンを販売。サツマイモや柿など季節の収穫物が並ぶことも。とてもお得な価格で、お土産に最適。 「フローラ黒田園芸」イチオシのグッズはコレ! ベンチプランター 健太郎さんがオススメするのは、社長さんお手製の「ベンチ型プランター」。コンパクトサイズで玄関先やベランダにぴったりです。植える部分がやや浅いので、小型の草花や多肉植物を育てるのに最適。色は9色ほどありますが、「手づくりなので、店頭にあったりなかったりします。興味のある方は、ぜひスタッフにお声がけください」と健太郎さん。大きさはワンサイズでW71.5×D32×H71cm。 抜群のコーディネートセンスで、地域密着型の園芸店を全国から人が集まる人気園芸店に成長させた「フローラ黒田園芸」。今もなお地域の人たちに愛され続ける理由は、近所の人が立ち寄りやすい“オープンな雰囲気”を常に意識しているから。家族経営の強みを最大限に生かし、アットホームな雰囲気が店内を包んでいます。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、JR大宮駅・北与野駅・埼玉新都心駅からバスで約10~15分。「円阿弥」下車・徒歩4分。 【GARDEN DATA】 フローラ黒田園芸 〒338-0007埼玉県さいたま市中央区円阿弥1-3-9 TEL: 048-853-4547 URL: http://florakurodaengei.com/ 営業時間:9:00~18:30春夏(3~10月)、9:00~18:00秋冬(11~2月) 定休日:無休(正月を除く) 併せて読みたい ・黒田健太郎さんに学ぶLesson3 数株で素敵に! シンプル寄せ植え&コーディネート ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア ・Junk sweet garden tef*tef*が教えるワンランク上の寄せ植えテクニック Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/黒田健太郎
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千葉県

花の庭巡りならここ! 植物がテーマのミュージアム「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館…
3つのガーデンと屋内花壇、温室の熱帯植物が楽しめる 1996年に開館した「三陽メディアフラワーミュージアム(開館時の名称: 千葉市花の美術館)」は、敷地面積、約3ヘクタールで、ゆっくり歩いて1時間くらいで一巡りできる広さです。屋外の前庭・中庭・後庭、アトリウムガーデン(屋内花壇)や熱帯温室で構成され、年間約1,600種4万8000株の植物が育っています。温室の熱帯・亜熱帯植物、展示棟のアトリウムガーデンなど、天候に左右されない展示構成も魅力です。屋上庭園にはキッチンガーデンがあり、子ども連れの家族からは「スーパーに並んでいる姿しか知らない野菜が実際に実っている姿を、初めて見た」「野菜の花もきれい」といった声も聞こえてきます。 手入れが行き届いたガーデンは、年に数回の植え替えがなされ、いつ訪れても華やぐ景色に心浮き立ち、足どりも軽くなります。春は河津桜からスタートし、ポピー、初夏のバラ、アジサイ、ラベンダー、夏はヒマワリ、秋はダリア、コスモス、冬は寒咲きのナノハナ、クリスマスローズ、スイセンなどへと開花リレーがつながります。温室では、3月頃から咲くヒスイカズラが人気。季節の花が見頃を迎える時期に合わせて、「フラワーイースター」「ローズフェア」「ハーブウィーク」「ハロウィンパーティー」「フローラルクリスマス」など年9回のイベントを開催しており、足繁く通うリピーターも多く見られます。 前庭・中庭・後庭とゾーニングされ、 それぞれに異なるガーデンスタイルで魅了 「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」のエントランスには、ウェルカムフラワーが飾られているので、これを目印に、どうぞお入りください! 植え替えは年に4回実施しており、2色以上の花色を組み合わせた、華やかな寄せ植えがゲストを迎えます。上写真は初夏のエントランスの様子で、フラワーボックスを鮮やかに彩っているのは黄色とオレンジのナスタチウムです。 なお、屋外の庭はペット同伴で散策できます。館内へは、ペットをキャリーバッグに入れてファスナーを閉じていればOKです。 レストラン、アトリウム、温室に囲まれた中庭のナチュラルガーデンは、四方から眺めることができます。アトリウムから中庭に出られるので、車椅子でも散策が可能です。宿根草をメインに、一年草を添えて華やぎをプラスした植栽で、季節の移ろいを感じることができます。ところどころにガーデンテーブルと椅子が置かれており、屋内以外は飲食物の持ち込みOKなので、おやつを広げて一休みするのもいいですね。 後庭のローズガーデンでは、約200種300株のバラが楽しめます。ゲートには、3本のアーチに仕立てられた3種の‘ピエール・ドゥ・ロンサール’がお出迎え。フェンスやコテージにもさまざまなつるバラが彩りを添えます。「バラの海」と名づけられた花壇はバラと宿根草、一年草が奏でるハーモニーが見どころ。白、ピンク、赤、オレンジ、黄色、紫の6つの色別に、カラーコーディネートされています。 上写真のバラは‘ルノアール’。‘レオナルド・ダ・ビンチ’‘レンブラント’‘モネ’など芸術家にちなんだ名前のバラが植栽されている「バラの美術館」コーナーで見られます。 温室は熱帯植物に囲まれて、まるでジャングルのよう! 冬は、高さ23m、直径33mもの規模を誇る温室を、ゆっくりと見学してはいかがでしょう。温室内の滝の周りに生い茂るヤシやヘゴ、色鮮やかなハイビスカス、コチョウランのほか、パイナップルやバナナ、グァバなどの果樹も含む熱帯・亜熱帯の植物が約300種、3,000株植栽されています。 写真のように、ヒカゲヘゴやヤシなどは高さ10m以上にも達し(ダイオウヤシはなんと20m!)、まるでジャングルに入り込んだかのよう。ふだんはなかなか触れることのできない植物の姿を、観察してみましょう。 室内のアトリウムガーデン。写真の季節は冬で、一足早く春の花々を植栽。冬でも草花が爛漫と咲く景色は、花を愛するガーデナーはもちろん、訪れるすべての人々にとって何よりのサプリメントですね。 アトリウムガーデンは年6回、テーマを設けて模様替えしています。春は「イースターガーデン」、夏は「アドベンチャーガーデン」、秋は「ハロウィンパーティー」、冬は「フローラルクリスマス」など、季節によってガラリと雰囲気が変わりますよ! 「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」のアトリウムガーデンの中でも人気が高いのが、多肉植物を使った箱庭の展示です。この展示はミュージアムのスタッフがデザインから作成。小さな家なども手づくりし、多肉植物を約100種類ほど使って美しい箱庭の景色をつくりだしています。写真は秋のハロウィンの季節に展示したもので、それぞれの季節に合わせて細かく模様替えされているんです! 夏は麦わら帽子をかぶった釣りをしているおじさんがいたり、冬には家の玄関扉に小さなクリスマスリースが飾られ、毛糸の帽子をかぶったおじいさんやおばあさんがクリスマスを楽しんでいたりと、ほっこりと心なごむ演出が見られます。 年間約40講座が開催されるカレッジは大人気 雑貨ショップやレストランも忘れずにのぞこう! 「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」内にある「花工房」では、さまざまなフラワーカレッジ(寄せ植えやクラフト教室など)を年間約40講座設けています。写真は、夏に開かれた子どもカレッジの陶芸教室。好きな葉を粘土に押しつけて型を取り、葉っぱのお皿などをつくっています。特に夏休みの子どもカレッジは大人気で、キャンセル待ちになることもしばしばです。 お土産ものを扱う売店もあるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。お花をモチーフにした雑貨が多数揃うセレクトショップでは、素敵な品々に目移りしそう。ハンカチや布巾、ホームフレグランスサシェなど500〜1,000円くらいの雑貨が人気で、手土産にちょうどいいですね。店頭では、鉢花も販売していますよ。 「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」内の休憩棟には、併設でイタリアンレストランもあるので、ちょっと一息を入れるのもいいですね。中庭に面した大きな窓から自然光が入る明るい店内で、ガーデンの花や緑を眺めながら食事を楽しめます。また、テラス席ではワンちゃん同伴OK。ワンちゃん用のメニューもありますよ! Information 三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館 所在地:千葉市美浜区高浜7-2-4 TEL:043-277-8776 https://sunsetbeachpark.jp/facilities/flower.html アクセス:公共交通機関/JR稲毛駅西口2番線バス乗り場より、海浜交通バス「海浜公園プール」行で「花の美術館」下車。または「高浜車庫」行で終点下車徒歩5分 JR稲毛海岸駅南口2番線バス乗り場より、海浜交通バス「海浜公園入口」行で終点下車徒歩5分 オープン期間:通年 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始12月29日〜1月3日 営業時間:9:30~17:00 料金:大人300円 小・中学生150円(30名以上利用で団体割引有) 駐車場:550台 普通車:300円(3時間まで)、以降1時間経過ごとに100円、1日最大600円 ※プール開催中のみ1日600円 大型車:1日1回2000円 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ! エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 ・神秘の色のヒスイカズラ、その魅力とは ・花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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神奈川県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪3 神奈川「苔丸」
鎌倉の住宅街にある園芸ショップ「苔丸」を訪ねる 鎌倉駅からバスに乗り、長谷観音や大仏を通り越して揺られること約15分。緑豊かな住宅街の中のローカルなバス停で下車し、1~2分歩いたところに「苔丸」があります。ショップのシンボルツリーとなる大木のサクラが目印で、その奥に佇む古い平屋が店舗。どこか懐かしさ漂うノスタルジックな雰囲気が、訪れた人を奥へと誘います。 身近にあるものを使った 独創的なディスプレイが魅力 季節の草花が並ぶ店先の陰に隠れたショップのエントランスから、苔丸の世界が楽しめます。建屋の壁を利用して木を組んだ棚には、ノコギリやハサミなどの古びた道具類や、山に転がっているような木片や動物の骨などが、ディスプレイ。一見ガラクタに見えるようなものでも植物と巧みに合わせて、遊び心あふれる見ごたえのあるシーンをつくっています。丁寧なディスプレイからは、オーナーの細やかな人柄がうかがえます。 マニアも身震いする 珍奇植物がずらりと揃う 中庭の建物側に設置した手づくりのサンルーム内は、オセアニアやアフリカ、南米などのユニークな植物がずらり。マニアもうなるこの品揃えは、オーナーの赤地光太郎さんのこだわりの一つです。仲買い人を通すこともありますが、多くはプランツハンターである知人に依頼して入手したもので、一般的な園芸店には出回らないようなものばかり。珍奇植物を知らなかった人も十分楽しめる空間です。 冬の寒さが苦手な植物が多いので、2018年春にサンルームのような空間を製作。雨の日も、ゆっくり買い物ができます。 建屋の掃き出し窓を取り除き、木の素朴な扉を自身で設置。ちょっとした棚を付けて、盆栽のような仕立ての珍奇植物をかわいらしくディスプレイ。 ニュージーランドでの出合いを きっかけに、自身の世界が花開く 植物にまつわることなら大抵こなせるという器用な赤地さんは、もともと切り花業界の出身で、花の販売だけでなく室内装飾なども幅広くこなしていました。数年働いたのちに見聞を広めるべくニュージーランドに渡り、園芸店でアルバイト。そこのオーナーの独特なセンスと植物の世界の奥深さに触れた時間は、とても衝撃的で意義深いものだったといいます。その経験が赤地さんを大きく前進させ、‛苔丸’をオープンさせるきっかけとなりました。 今から約15年前に自宅から近い古い民家を借り、園芸植物や資材、切り花を扱う‘苔丸’をオープン。「好きに改装していい」という大家さんの好意で、さっそく知人の手も借りながら建物を大改造。ニュージーランドの体験をもとに、自由な発想でコツコツと自身の世界をつくり上げていきました。 もともとお母さまが自然な庭をつくっていたことから、植栽のセンスも備わっていた赤地さん。店の奥に広がる庭も見ごたえたっぷり、必見です。そよそよとした植物が多い植栽は、世界各地原産の植物が盛り込まれていているのに、とても自然な趣。茂みの中にさりげなく配した古道具などの雑貨類が庭におもしろみを与えていています。その気負いのない自然なスタイルが心地よさを生んでいるのか、ここ数年で庭づくりの依頼が急激に増加。「ここに植わっているものを使って、庭をつくってほしい」という依頼も多く、そのたびに植物が持ち出されるので、庭は頻繁につくり替えています。半年に1回のスパンで変わることが多いので、ショップを訪れるたびに新たな風景が楽しめます。 赤地さんの真骨頂! 創意工夫を凝らしたサンルーム 赤地さんがデザインを考え、知人に形にしてもらったというサンルーム。よく見てみると、大きさも雰囲気も違う窓枠が使われています。フランスの木製の窓やアイアンの窓、イギリスのステンドグラス、日本の古民家の扉など、どれも古くて味わいのあるものばかり。すりガラスも使われていましたが、見通しをよくするために透明のガラスに交換。また、レトロモダンなデザインのライトは、ノルウェーのプールサイドで使われていたものだそうです。雰囲気の異なるアイテムをしっくりと馴染ませながら味わいを出す空間づくりは、赤地さんだからこそなせる業といえるでしょう。 珍奇な植物だけでなく ナチュラルな草花も揃う 苔丸では、楚々とした山野草や草花も販売しています。これらは、赤地さんが自然な庭づくりをする際に、あるといいなと思うもの。花色は白や青、パープルが多く、ラインの細いものがメインです。古びた雑貨や構造物、野趣を感じさせる樹木などとナチュラルに調和する草花が選ばれています。 植物以外のアイテムも充実 ギャラリーのような陳列も魅力 雰囲気のある店内には、鉢や雑貨類が整然と陳列されています。アイテムはいずれも渋い雰囲気で、アイアン製のものは日本やインドなどの古い道具類がメイン。鉢はひとひねりしたデザインが多いので、個性的な植物と合わせれば、アートな世界が楽しめそう。 がらりと趣が異なる やさしく上品な雰囲気漂う切り花 生活全般を彩る提案をしている苔丸では、切り花も販売。花は白やライムグリーンをメインにした、シックでノーブルな印象のものが並びます。こちらは奥様がメインで担当。苔丸らしい渋い空間にマッチしつつ、女性的で上品なエッセンスも感じられる、ナチュラルなセレクトです。 より個性が際立つ ショップ兼作業場(アトリエ) サンルームに併設するやや薄暗い部屋は、アンティークや古道具が並ぶショップ兼クラフト用のアトリエ。古代の土器やインドの古い生活道具、ヨーロッパのアンティーク瓶などが個性的な植物に合わせて飾られ、不思議な世界を織りなしています。 かつて住居だったとは思えない空間。和風だった古い壁面には工事現場の足場で使っていたという長い木板を貼りつけ、山小屋のようにワイルドに仕上げました。庭側の掃き出し窓は取り外してアーチ状の出入り口を設け、スムーズな動線をおしゃれに確保。押し入れや天袋だった形跡が見受けられるものの、それがかえって面白みとして生かされています。思い切ったリノベーションを重ねた空間は赤地さんの感性が凝縮され、個性を表現するキャンバスになっています。 申し込みがやや困難 大人気のクラフト講座 アトリエでは、月の第1・3・4週目の木曜日、午前1回・午後2回の一日3回、クラフトの講習会が催されています。作るものはリースやスワッグなどが主で、その時の気分で選べます。花材はここにあるものから自由に選ぶことができ、でき上がりは人それぞれ。寄せ植えレッスンをお願いすることも可能です。少人数制で、すぐにいっぱいになってしまうそうなので、気になる人は事前に問い合わせを。 赤地さんイチ押しはコレ! 他ではまだ見られない植物 ベスト4 かなりマニアックで購入する人は限られてくるかもしれませんが、一見の価値ある植物4種をご紹介します。 見慣れない異国情緒漂う植物、昔ながらの素朴な草花、日常で使われていた味わいのある古い道具に、ひんやりとした質感の無機質な道具――古今東西、あらゆるものが混在し、独特な世界感が広がっている園芸ショップ「苔丸」。個性的だけどどこか懐かしさを感じる空間は、鎌倉山の立地と相まって、ここでしか感じられない居心地のよさがあります。ぜひ鎌倉観光を兼ねて訪れてみてください。アクセスは、鎌倉駅より鎌倉山行きバスで約15分、旭ヶ丘停留所下車徒歩約2分。 【GARDEN SHOP DATA】 苔丸 神奈川県鎌倉市鎌倉山2-15-9 TEL/FAX: 0467-31-5174 URL: http://www.kokemaru.net 営業時間:10:30~18:00 定休日:火曜日 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪2 東京・世田谷「toolbox世田谷」 ・小さな庭と花暮らし「苔の緑を楽しむ」 ・黒田健太郎さんに学ぶ 数株で素敵に! シンプル寄せ植え&コーディネートLesson1 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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東京都

秋バラが咲き誇る都会のバラ園「神代植物公園」の歴史と見どころ
昭和36年から数々のバラの名花を植栽 神代植物公園のバラ園は、1961年(昭和36年)につくられました。歴史あるバラ園には、約400品種、5,200株のバラが植栽され、本園の整形式沈床庭園では、主にモダンローズを数多く見ることができます。また、その横には、野生種が植栽されたオールドローズ園や国際ばらコンクール花壇があります。 世界バラ会連合より「優秀庭園賞」が贈られた庭 2009年(平成21年)には、世界41カ国のバラ会が加盟する「世界バラ会連合」より、バラの育成、維持管理、展示様式が高い水準であると評価されたバラ園に贈られる「優秀庭園賞」を受賞しています。 かつての「日米親善のバラ園」の面影を今に伝える「本園」 「本園」内をゆっくり見て回っていると、高芯剣弁咲きのバラが多いことと、作出国がアメリカのバラが多いことに気がつきます。その理由は、1959年(昭和34年)に、アメリカ・ロサンゼルスより、同地の中央公園のバラ園で採取した約80品種のバラの接ぎ穂が「日米親善のバラ」として東京都へ贈られたことから縁ができたためといわれています。 1959年当時の名花であったハイブリッドティーローズやフロリバンダローズが東京都へ贈られ、「日米親善のバラ園」として、ここ神代植物公園に植栽されたとのことです。当時の日米親善のバラは、現在13品種が残っていて、2018年10月に訪れた時、ちょうどそのバラたちの咲く姿を見ることができました。 ‘フロリック’(F)1953年作出 ‘ワイルド・ファイアー’(F)1955年作出 ‘ヘレン・トローベル’(HT)1951年作出 ‘ピース’(HT)1945年作出 ‘クイーン・エリザベス’(Gr)1954年作出 ‘レディ・ラック’(HT)1956年作出 ‘レッドキャップ’(F)1954年作出 ‘ファンファーレ’(F)1956年作出 ‘リリベット’(F)1953年作出 ‘ヒート・ウェイブ’(F)1958年作出 ‘ルビー・リップス’(F)1958年作出 ‘グリーン・ファイヤー’(F)1958年作出 ‘ムーン・スプライト’(F)1956年作出 また、本園内では、1961年に植栽され、57年が経った現在も花を咲かせる‘クイーン・エリザベス’の古木も見ることが出来ます。 バラの歴史と系譜をたどる「野生種・オールドローズ園」 「野生種・オールドローズ園」に向かうと、春の一季咲きのバラが多いせいか、本園に比べて秋はひっそりとした雰囲気です。その中でも花を咲かせているバラたちは、中国原産で18世紀から19世紀初めにかけてヨーロッパへ持ち込まれ、ヨーロッパのバラたちに四季咲き性をもたらしました。 現在、当たり前のように、秋に多くのバラの花を見ることができるようになったのは、このバラたちのおかげだと、しばし見入っていました。ふと周りを見渡せば、秋には花を咲かせない一季咲きのバラたちも、ローズヒップという美しく可愛らしい置き土産を残してくれています。 世界中の育種家の未発表の新品種が並ぶ「国際ばらコンクール花壇」 こちらは、「国際ばらコンクール花壇」です。このコンクールは、1963年から始まり、以来毎年、日本国内や世界中の育種家から未発表の新品種を公募し、2年間の試作を行う中で、「公益財団法人 日本ばら会」の審査員が審査を行い、入賞花を選出しています。 本園の温室寄りの花壇には、歴代のコンクール入賞花が植栽されています。この‘クイーン・オブ・神代’(HT)は、2009年度コンクールの四季咲き大輪金賞受賞花です。2011年の開園50周年を記念して、名前を公募し命名されました。 秋は春よりも気温が低くなるため、バラの開花時間が少し長くなり、さらに寒暖の差で生じる花色の深みが加わって、何ともいえない美しさを感じる時が多くあります。春より濃く感じられる香りと共に、じっくりと一輪の花と向き合って観賞するには、秋はベストシーズンかもしれません。 ぜひ、秋バラの咲くバラ園へ出かけてみてください。
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横浜は「バラの街」! 3つのローズガーデンの魅力を紹介
花や緑が“ネックレス”のように人・街・時をつなぐ祭典 観光地として人気の横浜。近年はさらに横浜の豊かな自然を育もうと、「ガーデンシティ横浜」を目指す事業を推進しています。その中心的な取り組みとして展開されているのが、花と緑の祭典「ガーデンネックレス横浜」です。花や緑が“ネックレス”のように、人・街・時をつなぐというコンセプトで開催され、3月は桜、4月はチューリップ、5月はバラが、次々に横浜の各地を彩りました。異国情緒豊かな横浜の街並みとさまざまな植物たちが織りなす美しい景色は、地域の人々や観光客から人気を集めています。 横浜市の花“バラ”に出合える3つのガーデン バラは横浜の市の花であり、港の見える丘公園と山下公園にある次の3つのローズガーデンは、「ガーデンネックレス横浜」をきっかけに、異なるテーマでリニューアルされ、人々を魅了しています。 イングリッシュローズの庭 ご紹介する1つ目は、港の見える丘公園内にある「イングリッシュローズの庭」です。約120種、1,200株のイングリッシュローズが植栽されています。 “イングリッシュローズ”とは、イギリスの育種家、デビッド・オースチンが作出したバラの総称で、ブランド名でもあります。春の最盛期の後も繰り返し咲く性質をもった四季咲き性で、豊かな香りを持ち、とても人気があります。 こちらの庭では、イングリッシュ・ローズにさまざまな宿根草が組み合わされ、見事なハーモニーを奏でています。そして、庭の中央付近には、世界中で愛されている黄色の名花‘グラハム・トーマス’の回廊があります。この回廊に足を踏み入れると、バラに包まれ、きっと幸せな気持ちになりますよ。 香りの庭 2つ目は同じく、港の見える丘公園にあるバラ園「香りの庭」。バラを中心に、200種類以上の香りの植物が迎えてくれます。 こちらは沈床花壇で、周囲から一段低く、香りが溜まりやすい構造になっています。訪れるなら、特に香りがよい“ゴールデンタイム”とされる朝がオススメです。 バラは、ダマスク、フルーツ、ティー、ミルラの4つの香りに分類して植栽されていますので、ぜひこの庭でバラの香りの違いを体感してみてください。 未来のバラ園 そして最後は、山下公園にある「未来のバラ園」です。 近年、ドイツやフランスでは、環境への配慮から、無農薬で栽培できるバラの育種が盛んです。このバラ園も、自然環境を考えた未来のモデルガーデンを目指し、無農薬で栽培できる耐病性のあるバラを中心に植栽されています。これからバラを栽培してみたいと考えている人は、こうした耐病性のあるバラからお気に入りを見つけてチャレンジしてみてはいかがでしょう。 また、係留されている氷川丸を背景にしたこの庭では、まさに横浜ならではの素敵な景色も楽しめます。 「ガーデンネックレス横浜」は2019年も引き続き開催される予定で、5月には新たなバラのイベントも企画されています。 来年はどんなバラの花に出合えるのでしょう。今からワクワクしますね。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪2 「庭道具屋 toolbox」
閑静な住宅街の中に小さな店を構える「toolbox世田谷」(2018年10月21日〜「庭道具屋 toolbox」として移転)。古い倉庫を都会的にリノベーションし、シンプルにしつらえた店内には、オーナーが厳選したガーデンアイテムがところ狭しと並びます。その商品の本格的な重厚感と豊富さに、初めて訪れた人はみな圧倒されます。 目利きのオーナーが現地で見つけた 世界の選りすぐりがズラリ 店内に並ぶアイテムは、イギリスやドイツ、フランスなど、ヨーロッパのものが中心。商品が美しく見えるよう、それぞれ専用のラックが設けられ、整然と展示されています。 ツール類はみな用途が異なり、形も大なり小なり異なっています。たくさんの中から自身が求めているアイテムを選ぶのは至難の業ですが、心配はいりません。ショップオーナーの黒田明雄さんが、工房やその国のガーデニング事情などの話も交えて、詳しく説明してくれます。各工房のこだわりの違いなどを知ると、品を選びやすくなるだけでなく、ガーデニングの楽しさがぐっと膨らむものです。 世界各国の本物に触れた経験が 「toolbox」の誕生につながる もともとエクステリア会社でエクステリア&ガーデンデザイナーとして活躍していた黒田さん。約5年間デザインに従事し、その後ポストやライトなどのガーデンエクステリアプロダクトの輸入・開発の部署を立ち上げました。世界のガーデンプロダクトを研究するために、イギリスやオーストラリア、ドイツ、北欧など、各国のガーデンショーや工房、メーカーなどに足を運んで、職人やデザイナーにも会い、技術、歴史などについても学びました。「イギリスのチェルシーフラワーショウやハンプトンコートのガーデニングショーは数えきれないぐらい行ったよ。当時は何もかもが珍しく、とにかく楽しかったね」。 もともと建築も含めてデザインの世界にいたというだけあって、あらゆるものを効率よく吸収しながら‘確かな目’を養っていきました。そして、今から約10年前に独立。自身の世界を集約させたショップ「toolbox」をオープンしたのです。 工房ごとに異なる個性を 国ごとに比べてみよう 以前は、イギリス製のガーデンツールがメインでしたが、最近はオーストリアやオーストラリア、オランダなどのツールも多数取り扱っています。最近、他国に生産を任せて安く量産するメーカーも増えてきたそうですが、ここで扱うものはいずれも、伝統的な製法で職人が丁寧に作った「ぬくもりを感じる逸品」にこだわっています。 上の写真はオーストリアのPKS Bronze社のもので、あたたかみのある輝きを放つ銅合金製。オーストリアの自然科学者・ヴィクトル・シャウベルガー氏の「銅合金の農具は土壌を改善し、農作物の品質を高める」という1950年の実験結果に基づいてつくられています。滑らかな取っ手部分はブナ材。 オーストリアの繊細な印象のものとは大きく異なり、がっしりとした印象があるオランダ・スネーブル社のガーデンツール。100年以上の歴史がある工房で、園芸農家の声を受けながら改良を重ねてきたツールです。材質はステンレス製で錆びる心配がなく、エッジがシャープで使いやすいのが特徴。握りやすい柄はタモ材など。 ハサミも充実のラインナップで、アメリカや日本、スイス製があります。切れ味はどれも甲乙つけ難い優れものばかりなので、握った感じや重さなど、実際に触れて好みのものを選べるのも、この店ならでは。さらにスイス製のフェルコのハサミは、すべてのパーツに分解してメンテナンスできるのが大きな魅力。バラの愛好家たちに支持されている理由が分かります。さすが精巧なモノづくりが得意なスイスの技ですね。 黒田さんがデザインした 秀逸アイテムも必見! エクステリア&ガーデンプロダクト開発業務をショップとは別に継続していることもあり、自身で手がけたオリジナルホースリールを販売しています。これは日本製で、重厚感のあるボディはアルミ合金。劣化しづらく長もち。3色のボディの色と装飾ディスクの種類も豊富でカスタマイズされています。さらに、「ノズルがずば抜けて優れているんですよ」と黒田さん。「水の勢いを調節しつつ、それを固定できる」という設計で、使っていて疲れません。この機構を採用した散水ノズルは、日本ではこの会社の製品だけです。 どれも素敵で目移りしてしまいますが、シックなカラーの「オリジナル(中段)」はクラシックな印象を、メタリックな輝きを放つ「コスモシリーズ(上段)」はモダンな印象があり、よく見比べると醸し出す雰囲気が異なるので、自庭に合ったものを選びましょう。 庭をおしゃれに見せてくれる アイテムも充実 プランツタグや麻ひもなど、植栽シーンを素敵に演出するために欲しいアイテムも充実。実用性と遊び心を兼ね備えたデザインに、眺めているだけで園芸意欲が膨らみます。「見映えも重視したい」という、オープンガーデンなどをしている方に特にオススメです。 緯度が高いことに加えサマータイムもあり、夏は夜遅くまで日が沈まないヨーロッパ。庭が広いだけでなく、職場が自宅から近い人が多い、蚊がいないなど、さまざまな条件が揃い、夜もガーデンで家族や友人と過ごす人が多いそうです。「だから、日本人よりも庭に居心地の良さを求めるんですよ」と黒田さん。おしゃれだけど飽きのこない庭をつくるためには、見映えのよい添景物が必須。ガーデンオーナメントだけでなく、バードフィーダーなどもデザイン的なものが求められています。 シーンづくりの参考にしたい! 洗練されたディスプレイ 小さなショップ空間を有効活用したディスプレイも見逃せません。天井や壁面を巧みに活用し、見ごたえたっぷりにコーディネートされています。店内の見通しや動線を妨げずに、ここぞという場所に強弱をつけて飾るテクニックは、やばりデザイナー出身の黒田さんだからこそなせる技。“商品の使い方が想像できるように”意識されたディスプレイは、ベランダやインテリアのコーナーづくりに大いに参考になります。 店内中央で目を引いた、吊り下げ型物干し。愛らしい絵柄のタネ袋や手袋を吊り下げて、空間を軽やかに演出しています。これは18~20世紀の頃、一般の家庭で使われていた伝統的なデザインの物干しの形をそのまま復活させた製品です。付属の滑車を天井に取りつけて、長いロープで本体を上下させるので、手の届かない高い場所にも設置が可能です。ハーブ&フラワードライヤーとして活用したり、インテリアのアイテムとしていろいろ使えそうです。 おしゃれなガーデンブーツを手に入れたら、ブーツラックにもこだわると、素敵に見せながらの収納が可能。ブーツを逆さに吊るすので、ホコリが入るのを防げます。ガーデンブーツはデンマークからやってきたイルセ・ヤコブセン社のもの。編み上げがおしゃれで、タウン用としても愛用できそうです。ラックは英国・クレモアミル社の3足かけられるもの。 階段の上の空間には、異なる形・素材のバスケットを組み合わせた、シンプルなコーディネート。表皮をそのまま生かした木の巣箱も合わせて遊び心を加えています。すっきりと素敵に見えるのは、色のトーンを揃えているからなのでしょう。木製のバスケットは英国・ロイヤル・サセックス社のガーデントラッグ。ワイヤー製のものはフランスのコンブリション社のワイヤーバスケット。スクエアのバスケットは、オランダ製と、ここも国際色豊かなコーナー。 繊細さピカイチ! 日本のアイテムにも注目 商品は、海外製品に限らず、日本製のものも並んでいます。繊細な技術と手入れを必要とする盆栽は、我が国が生んだ誇るべき文化。それを支える道具類も繊細であることが求められます。黒田さんはそこに着目し、盆栽用の華奢な銅製土入れや銅製熊手なども、多肉植物やミニ盆栽などの細かい作業にオススメのアイテムとして揃えています。 黒田さんイチ押しはコレ! ドイツ製の黄色いガーデンブラシ 50年程前からドイツでつくられているガーデンブラシ。ブラシ部分がカーブしているのが大きな特徴です。ブラシは固すぎず柔らかすぎないところがポイント。熊手とは違い、芝生に引っかかることなく落葉を掻き出してくれます。もちろん、レンガや石のアプローチの掃除にもオススメ。化学繊維なので劣化しづらく、庭の掃除が格段に楽になります。 世界にはさまざまなガーデンツールがあり、庭の楽しみ方も千差万別。一つの道具を通して異国の園芸文化のほんの一端に触れるだけで、ガーデニングの時間がぐっと楽しくなるものです。「toolbox世田谷」はそんな機会を与えてくれる場所。ぜひ、奥深いガーデニングの世界をのぞきに訪れてみてください。アクセスは、東急田園都市線・用賀駅から徒歩約10分。ご紹介の実店舗に並ぶツールは、ネットショッピングも可能なので、ぜひアクセスしてみてくださいね。 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪1 岩手・雫石「花工房らら倶楽部」 ・マーク・チャップマンさんもオススメ! デザイン性の高いガーデングッズ5選 【GARDEN SHOP DATA】 庭道具屋 toolbox 世界のこだわりのガーデンツールやアイテムを扱う、園芸ショップ。逸品がずらりと並ぶ品ぞろえに、本格派ガーデナーの熱い支持を得ている。2019年1月、世田谷・用賀から移転して、埼玉県越谷市にオープン予定。 住所:埼玉県越谷市恩間413-10 TEL: 048-971-7814/FAX: 048-971-7815 URL: https://www.rakuten.co.jp/toolbox/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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環境省『みどり香るまちづくり』を受賞したラベンダーの小径
公園から海まで約2km、草花が咲き香る散歩道 藤沢市の北部から、南にある相模湾に向かって流れる引地川沿いには、ウォーキングを楽しむのにうってつけの緑道が整備されています。そのうち、川沿いにある長久保公園から海までの約2kmにわたっては、ラベンダーに加え、ローズマリーやセージ、ハニーサックルやシャリンバイなど、香りのよい植物が多種植えられて、ことさら楽しみの多い散歩道です。 2014年、長久保公園を管理する「公益財団法人 藤沢市まちづくり協会」は、環境省が主催する第9回『みどり香るまちづくり』企画コンテストに、この香りあふれる散歩道の植栽企画を応募し、見事入賞を果たしました。そして翌年、「ながくぼグリーンサポーターハーブ部会」に属する市民ボランティアの協力で、約2㎞に及ぶ川沿いの花壇に苗の植えつけが行われ、香りの小径が実現したのです。 五感で楽しむ散歩道に込められた思い 雑草取りなどの日頃の管理は、総勢80名ほどが所属する市民ボランティアによって、3年に渡り行われてきました。植えたばかりの頃はとても小さかったラベンダーも、今では大きく生長し、遠くまでラベンダー色に染まるほどの見事な香りの小径となっています。この小径は、ラベンダーを見るだけに止まらず、香りを嗅いだり、風にそよぐ音やハチの羽音を聞いたり、手に触れるなど、五感すべてで味わうことができる場所。企画者と管理者による“植物をより身近に感じてほしい”という願いが込められています。 満開を迎えたラベンダーの小径には、どこから来たのか、驚くほどたくさんのミツバチやクマバチが、蜜を集めようと飛び交います。首都圏の市街地であるこの辺りは、普段これほど多くのハチを見かけることはありません。軽やかなミツバチの羽音を聞いていると、この小径が地域の生態系を守る、一助となっていることを感じます。 収穫したラベンダーでクラフトづくり 植え込みから3年が経過し、立派に咲くようになったラベンダー‘グロッソ’の花は、クラフトづくりの材料として収穫できるまでになりました。収穫時の6月、長久保公園では、ながくぼグリーンサポーターハーブ部会の会員でJHS上級ハーブインストラクターの池田貴美子さんを講師に招いて、市民向けのラベンダーバンドルズ講習会を開催しています。バンドルズとは、ラベンダーの束にリボンを編み込んでつくるクラフトのことで、作業をしていると部屋中が花の香りに満たされます。癒し効果もたっぷりの、楽しい香り体験です。 近隣の小学校に広がる香りの輪 ラベンダーバンドルズづくりの講習は、2017年からは近隣の小学校のPTAとの連携によって、児童向けにも行われるようになりました。この日参加したのは、高学年の児童30名ほど。「みなさん、ラベンダーを知っていますか?」。ボランティアで講師を務める、アロマテラピストの角本久美さんが、子どもたちに語りかけます。 それぞれ好きな色のリボンを選んで、児童のバンドルズづくりが始まりました。ながくぼグリーンサポーターハーブ部会のボランティアが側について、手ほどきします。子どもたちはみな熱心に、そして、器用にリボンを編み込んでいきます。 教室に広がるラベンダーの香りにうっとりする子もいれば、「うちの親はこの香りが苦手なんだ」と残念がる子もいます。中には、持ち帰ったバンドルズを家族中が喜んで、ラベンダーを庭に植えることにした、という子もいました。フレッシュな花の香りに触れることは、子どもたちの「植育」にもなっています。 *ラベンダーバンドルズのつくり方はこちら 取材協力: 公益財団法人 藤沢市まちづくり協会 http://f-machikyo.or.jp/ 藤沢市長久保公園都市緑化植物園 https://nagakubokouen.jp 角本久美 Herb & Aroma Kumincure主宰 https://ameblo.jp/kumincure/ 併せて読みたい ・‘ハーブの女王’ラベンダーの香りの楽しみ方 ・ガーデンセラピー活動レポート〜憩いの場となる屋上庭園づくり〜 Credit 写真&文/ 萩尾昌美 (Masami Hagio) 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。神奈川生まれ、2児の母。



















