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北海道

上野ファームの庭便り「美しいグリーンガーデンの季節」
花が咲き出す直前のフレッシュグリーンは、この季節ならではの見どころ にぎやかな春の球根が一段落すると、上野ファームの庭は、フレッシュな葉を広げる植物たちがつくりだす、美しい緑の世界になります。宿根草が多い上野ファームは、すぐに花で埋め尽くされるガーデンというよりも、美しい緑のキャンパスに毎日一色ずつ色をつけていくように、ゆっくりと開花が進みます。徐々に開花する花で庭全体を描くように、色数が増えていきます。 春から秋までに「どんな葉が展開するか」も観察ポイント 彩りあふれる花がいっぱいの季節も素敵なのですが、開花を待つ植物たちがつくりだす、静かな緑の期間が私はとても好きです。開花後は葉の色も落ちてきてしまうことが多いのですが、花が咲く前の緑は、どの植物も勢いがあり、とても美しいのです。 葉の美しさや形状に思わず惚れ込んだ植物も 私は植える植物を選ぶ時、花の魅力以外に、その植物がもつ葉の美しさや形状に惚れ込んで植えることもよくあります。季節を迎えて咲く宿根草の場合、花の開花期はそれほど長いものではありません。長くても見頃は1カ月ほど、短いものなら10日ほどで見頃が終わってしまう花もたくさんあります。 そう考えるとシーズンの半分以上は花よりも葉を見る期間が長いので、春から秋までどんな葉が展開するのかをじっくりと観察することも、デザインにおいてはとても重要なこと。そのため、みずみずしい緑いっぱいの初夏は、私にとってわくわくする時期でもあるのです。 庭の美しさには、緑と花のバランスが大切 緑の中から鮮やかなアリウムが浮遊するように開花し始めると、美しい緑があるからこそ花がきれいに見えるということに、改めて気づかされます。緑のバランスが庭づくりにおいて、とても大切だということがよく分かります。 西洋オダマキやゲラニウムなど緑を背景にすることで、魅力が引き立つ初夏の花はいろいろとあります。黄緑の葉と黄色の花が美しいアルケミラ・モリスも、葉がとても美しい植物の一つです。 花が咲く前の植物がもつ葉だけの美しさに気づくと、ますますガーデンを見ることが楽しくなると思います。「どんな花が咲くのかな」、「どこからつぼみが出てくるのかな」など、想像を広げながら植物を観察することがとても大切なので、ガーデナーにとってはどの時期でも植物から学ぶことは山のようにあります。 緑のキャンバスに少しずつ花の色が増えていくガーデン 花咲く前のミラーボーダーの様子です。美しい緑のグラデーションだけを楽しむ「グリーンガーデン」というジャンルや楽しみ方があってもいいくらい。植物の豊かな表情は花咲く前から十分楽しめます。この緑のキャンバスにさまざまな色をつけて描くと、下写真のように夏にはこんな絵に仕上がっていきます。 一色一色、日に日に増えていき、にぎやかな色で華やぐ夏の庭へ。 黄金色の葉をもつ花咲く前のアガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’。緑と黄緑の組み合わせがとてもきれいでした。葉の美しさを生かした組み合わせもいろいろと研究中です。 北国ならではの美しい新緑の季節は、いよいよこれからです。緑あふれるガーデンに今日も新しい色が描かれています。
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神奈川県

神奈川「生田緑地ばら苑」ボランティアが支える天空のばら苑
2018年に60周年を迎えた歴史あるばら苑 東京「新宿駅」から小田急線に乗って急行電車で約25分と、都心から近いにもかかわらず、緑豊かな丘の上にあることから、川崎生田緑地ばら苑は「天空のばら苑」とも呼ばれています。 かつて小田急・向ヶ丘遊園地がこの緑多き多摩区の山の上にできたのは1927年。幼稚園や小学校の遠足先として、また、ファミリー向けの憩いの場として人気を博しました。当時、来訪者を迎えるために入り口斜面につくられた、よく手入れの施された大きな花時計は、今でも訪れた方の思い出の中に残っているのではないでしょうか。 遊園地開園30年後の1958年、東洋一のばら苑としてこの遊園地内につくられたのが、「旧向ヶ丘ばら苑」、現在の「生田緑地ばら苑」です。 1958(昭和33)年といえば、今上天皇陛下と皇后陛下(美智子様)がご婚約された年であり、一万円札ができた年です。また、12月には、東京タワーが完工しました。高度経済成長時代まっただ中、勢いのある時代に、当時の人々にとって繁栄と文明の象徴でもあるモダンなバラたちが集められ、60年の時を経て現在に至っています。 ボランティアが支えるばら苑 その後、向ヶ丘遊園地は、2002年3月に残念ながら閉園を迎えますが、ばら苑の存続を求める川崎市民の多くの声によって、川崎市がばら苑の保全をすることになりました。同年4月より、「川崎市生田緑地ばら苑」として多くの市民ボランティアが協力し支えています。 私も、このばら苑の近くに住む市民のひとりとして、6年前から時折ボランティア活動に参加しています。普段は庭のバラと一人で向き合い、全て一人で作業していますが、こちらでは皆で力を合わせ、一緒にバラを育てている一体感が感じられます。剪定、誘引、花がら摘み、草取りなど、地元に暮らすバラを愛する皆さんと一緒に行う作業の時間も、また楽しいものです。 古いばら苑ならではの雰囲気と希少品種を保有 60年の歴史あるばら苑ですので、どこか懐かしい雰囲気が漂う苑内では、他のバラ園では見かけないような古い希少種のモダンローズを見ることができます。 “ロイヤル“にちなんだバラの品種が充実 各国の要人にちなんだ名前を持つバラたちが植栽された「ロイヤルコーナー」は、他のバラ園でもよく目にすることができますが、こちらのばら苑のロイヤルコーナーの充実ぶりは、特筆すべきものがあります。 ロイヤルコーナーに植栽されているこの‘スルタン・カブース’というバラは、中東のオマーン・スルタン国の現在の国王陛下の名を冠したバラです。このバラをオマーン・スルタン国駐日大使ご夫妻が見に来られるなど、バラがつなぐ民間国際交流の輪も広がりを見せています。 新しいバラや注目のバラ苗も植栽 古いばら苑であっても、各国の新しいバラ、世界バラ会連合選出の殿堂入りのバラなど、常に新しいバラの品種や注目のバラに目を向け、新しく苗を植栽しています。 オールドローズが充実のボランティアガーデン ボランティアガーデンには、オールドローズが多く植栽されています。その結果、モダンローズが多い生田緑地ばら苑の品種のバランスを保つことに繋がっています。モダンローズのルーツを探ることはオールドローズを知ることでもあり、原種のバラへたどり着くことでもあります。バラの歴史は、壮大なストーリーを秘めていることに、来訪者が気づけるような、さりげない工夫でもあるのです。 簡単ではありますが、川崎市の生田緑地ばら苑の見どころをご紹介させていただきました。 こちらのばら苑では、春と秋のバラの開花シーズンのみ一般公開を無料で行っています。 いよいよ、今年の春の一般公開の日が近付いてきました。 春の一般公開日程は、http://www.ikuta-rose.jp/をご覧下さい。 最寄駅:小田急「向ヶ丘遊園」駅南口より徒歩約20分 住所:川崎市多摩区長尾2丁目8番1号ほか(旧 向ヶ丘遊園内) 公開中は、バラの講習会、ボランティアによる庭園ガイド、庭園での演奏会等が開催予定です。(雨天中止の場合有り)
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東京・銀座の空中庭園「お買い物の休憩は花咲くおしゃれな庭で」
銀座・和光と銀座三越が向かい合う銀座4丁目の交差点。商業地として日本で最も地価の高いこの場所のほど近くに、季節の花が咲き乱れる空中庭園があります。ファンケル 銀座スクエア最上階「ロイヤルルーム」に併設された、屋上ガーデンです。 ここでは季節に合わせたガーデンイベントが度々開催されており、イベント会期中は誰でも無料で入場できます。春いちばんに登場したのは「早春の女神の庭 球根とビオラのかわいいハーモニー(今期の会期は終了)」。 エレベーターに乗って1階から10階へ。扉が開くと、そこには陽光輝く春爛漫のガーデンが広がっていました。パンジーやビオラ、プリムラ、スイセン、ラナンキュラスなど可憐な花々が咲き乱れ、その瑞々しい生気と香りに包まれていると、今歩いてきたハイブランドが立ち並ぶ都会の喧騒がまるで幻だったかのような錯覚を覚えます。 ガーデン中央には200株のビオラやプリムラで彩られたビッグハートが。ここに使われている花は、今注目を浴びている個人育種品種。高知県の植田光宣さん・寛美さんが作出した「天の羽衣」と、同じく高知県の見元園芸によるバラ咲きプリムラ・ジュリアンで構成されています。他にも今回の展示では12人の育種家による個性的な花が並び、見たことのない美しい花姿に来場者たちは目を奪われていました。 日本の育種技術は世界的にレベルが高く、育種家によって生み出される花々は、日本の風土や文化を反映した繊細さや複雑さを持ち、他国にはない独自で豊かな展開は、世界から注目を浴びています。なかでも近年、次々に生み出されるパンジー・ビオラは、その劇的な変化によって主婦の間に育種ブームを生むほどです。ファンケル 銀座スクエアでは、こうした流れをいち早く展示イベントに取り入れて発信。 館長の深澤典子さんは、「美しく華やかな空間であることに加え、銀座の一等地でご覧いただくのに相応しい内容かどうかということも企画の大事なポイントです。個人育種のパンジー・ビオラには日本独自の花文化が色濃く反映され、文化の発信地であり続ける銀座にぴったりだと思います」と話します。ガーデンを見に行くには通常、郊外へ足を運ばなければなりませんが、ここでは日本全国から集められた個人育種による最新品種のビオラが一堂に会し、日本の最先端の園芸文化に触れられる会場構成となっていました。 庭植えできるラナンキュラス・ラックスシリーズ。今年の新色ティーバ。 デザイン・総合演出を手掛けたのは、渡辺さくらさん。ハンギングバスケット・コンテナ制作の他、日比谷ガーデニングショーなど数多くのガーデンイベントの運営に携わってきました。数年前からファンケル 銀座スクエアのこの2月の「早春の庭」の他に、6月の「あじさいガーデン」や10月の「ハロウィンガーデン」も担当。「渡辺さくらとその仲間たち」でガーデン制作を行い、女性らしい細やかな演出とアイデアで入場者数を増やしています。 「イベントとして華やかであると同時に、来場された方が実際に花のある暮らしを始めるきっかけになればと思っています。屋上ガーデンは広さが限られていますが、だからこそ都会の庭づくりの参考にしていただけるような演出を心がけています」(渡辺さん)。 さまざまな鉢植えスタイルの展開も、そうした演出の一つです。 春の花に続き、5月4日(金・祝)〜11日(金)までは、京成バラ園芸の協力でローズガーデンが登場します。2018年春のローズガーデンのテーマは「恋人バラ・恋ばな・恋結び」。京成バラ園芸の新品種「恋結び」をメインに、恋や愛にまつわるバラで庭を彩ります。4日には京成バラ園芸のヘッドガーデナー、村上敏(むらかみさとし)さんによるトークショーが開催され、京成バラ園芸の新品種「恋結び」と今回の庭についてお話しします。また、7日(月)には第一園芸フローリスト江辺雄亮(えべゆうすけ)さん によるフラワーアレンジメントのデモンストレーションが行われます。さらに、最終日にはバラの展示販売会も開催。銀座でローズガーデンを堪能してみませんか。 また、6月1日(金)〜8日(金)までは「初夏のあじさいガーデン」を開催。日本の育種家によって作出された個性的なアジサイが多数登場します。 Information 会場:ファンケル 銀座スクエア10Fロイヤルルーム 問い合わせ:TEL 03-5537-0231(インフォメーションカウンター) http://www.fancl.jp/sq/ Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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兵庫県

花の庭巡りならここ! 都会のオアシスで癒しのひとときを「神戸布引ハーブ園」
1991年秋の開園以来、長く愛されている「神戸布引ハーブ園」。約16万㎡の敷地を整備し、当初は園芸家・ハーブ研究家の広田靚子さんをアドバイザーに迎え、「環境」「人と自然の共生」をキーワードに、ハーブ園の計画が進められました。現在も「香りと色と味わいの世界を五感で実感できる舞台づくり」をコンセプトに、暮らしに役立つハーブを中心とした、香りや彩りの豊かなガーデンを披露しています。 園内は、「展望エリア」「ガーデンエリア」「グラスハウスエリア(温室含む)」「風の丘エリア」の4つにゾーニングされ、それぞれに見応えのあるシーンを演出しています。見どころは、ヨーロッパの田舎風の景色が楽しめる「フレグラントガーデン」、約100種1,700株のハーブが植栽された見本園としての「ハーブミュージアム」、オシャレなキッチンガーデンを提案する「家庭菜園ポタジェ」、1,300㎡のラベンダー畑が広がる「ラベンダー園」、ヨーロッパのカントリーサイドをイメージして4つのシーンを演出する「四季の庭」など、枚挙にいとまがないほどの充実ぶりです。山の景色を借景として生かした、自然風景式ガーデンへ、ぜひ出かけてみませんか。 生命力あふれるハーブや草花が織りなすガーデンから元気をもらおう! 神戸繁華街の三宮から約10分、新神戸駅より徒歩約5分でロープウェイ乗り場「ハーブ園山麓駅」に着きます。ロープウェイに約10分乗ると、「神戸布引ハーブ園」に到着。一般的に、観光ガーデンは郊外に立地するケースが多いのですが、こちらは繁華街から気軽に出かけられる都会のオアシス。ロープウェイ乗車中の眺めも素晴らしく、市民のみなさんをはじめ、県外からの観光客も多く、年間の来場者数は40万人に達します。来訪者からは「景色がよかった」「食事がおいしかった」との感想も聞かれ、リピーターの多いハーブ園です。 写真は「ウェルカムガーデン」のエリア。ドイツの古城をモチーフにしたレストハウスと城門に囲われた広場で、ロープウェイから降り立った瞬間、ハーブ園に来たことを実感できます。季節の花を立体的に飾り、彩り豊かにハーブ園の旬を演出。20〜30種類、約2,000株の植物で彩られる、フォトジェニックなスポットです。 写真は「ローズシンフォニーガーデン」のエリアで、見頃は6月、10月。香りがよく花色が豊富なイングリッシュローズを、香り別に6エリアに分類し、約60種170株のバラを植栽しています。花びらの多いカップ咲きやシンプルな一重咲き、ポンポン咲きなど個性豊かなバラの花姿を堪能。パーゴラを中心にシンメトリーに配されたトピアリーなど、美しいコーナーを背景に、思い出に残る写真を撮りましょう。 「神戸布引ハーブ園」では、四季を通して旬の草花が彩るように植栽計画がなされています。春はミモザ、サクラ、コブシ、ハナナ、チューリップ、カモミールなど。夏はラベンダー、ユリ、ヒマワリが元気に開花。秋はコスモス、セージ類、紅葉と、オータムカラーで彩られます。冬は温室内の植物たちをご覧ください。左の写真のサクラが満開になるのは、例年4月7〜10日くらい、右の写真の豊かなカモミール畑は5月中旬〜下旬です。 また、季節を通して「春の収穫祭(カモミール)」「ラベンダー摘み取り体験」「ハロウィンフェア」「ハーブ&スパイスカーニバル」「紅葉カフェ」「クリスマスマーケット」といったイベントを開催。出かける前に公式ホームページをチェックして、どんなイベントが開催中なのかチェックしておくのも一案です。 春と秋の土・日・祝日、夏季の全日は、ナイトガーデンを満喫できます。ロープウェイや展望エリアから望む神戸の夜景は、宝石をちりばめたような輝きを放ちます。また、森の中の幻想的な空間を光や音で演出するイルミネーションイベント「光の森〜Forest of Illumination」を開催。このロマンティックな景色の中で、ドイツビールやワイン、オリジナルハーブソーセージやハーブステーキなどの料理も楽しめます。 2018年4月にオープンしたカフェ「ザ・ヴェランダ神戸」に大注目! メニュー充実、今話題のホットなスポット 「神戸布引ハーブ園」内のグラスハウスエリアを改装し、2018年4月7日にグランドオープンした「ザ・ヴェランダ神戸」。標高約400mに位置し、眼下は港町神戸の街並みが一望できます。古きよき神戸の洋館のイメージとモダンなカフェが融合した、クラシック&ラグジュアリーな空間で食事やティータイムを楽しみましょう。営業時間は10:30〜16:30(2Fのみラストオーダー16:00)。 写真左は2Fカフェラウンジで77席。季節を彩るデザート、サンドウィッチ、ハーブティー、コーヒーなどのメニューが揃います。写真右は1Fテラス席で89席。広い空をより近くに、そよぐ風を心地よく感じる開放的な空間。布引ハーブバーガー1,000円、サヴァラン900円ほか、スイーツ、ソフトクリーム、ハーブティーを楽しめます。 写真はカフェ「ザ・ヴェランダ神戸」オリジナルブレンドハーブティー(2Fは全12種各1,000円、1Fは全3種各600円)。 「神戸布引ハーブ園」の展望エリアには、展望レストハウス2Fにレストラン「ザ・ハーブダイニング」があります。営業時間は11:00〜15:00(ラストオーダー14:30)、席数は100席、料金は大人2,380円、小学生1,180円、小学生未満無料(メイン料理は除く)。色鮮やかなハーブガーデンをイメージしたメイン料理(肉・魚・パスタ)の9種から好きな一皿を選べ、15種の前菜ブッフェ、メイン料理、オリジナルブレンドハーブティーがセットになった「ガーデンプレートコレクション」です。 左の写真は「鴨のロースト バルサミコソース 菜園をイメージして」、右の写真は「桜海老と春野菜のトマトソース」。 無料のハーブガイドツアーは魅力的なコンテンツ! オリジナル商品を扱うショップも充実 「神戸布引ハーブ園」では、毎日無料のハーブガイドツアーを①11:00~②13:30~③14:30~の3回開催しています。①は「暮らしにとりいれよう! アロマと香り」をテーマに、さまざまな実生活に役立つ精油の活用術を実演を交えて紹介。香りのブレンド方法も説明します。②は「ふれて楽しむフレッシュハーブ」。約100種類のハーブを植栽展示しているハーブミュージアムで、フレッシュならではのハーブの香りや色、味に触れながら活用法を学べます。③は「ハーブガーデンを巡る」。ガーデンを巡りながら植物や季節の花・ハーブを紹介します。各回約45分です。 「神戸布引ハーブ園」では、山麓駅内のショップ、山頂の「ハーバルマーケット」でショッピングを楽しめます。オリジナルブランド商品の品揃えが豊富で、ハーブティー6種各860円、ルームスプレー3種各1,580円、ハンドクリーム3種各1,850円、リップバーム1,450円、ボディクリーム2,800円、エッセンシャルオイル30種各1,620円、ハーバルクッキー2種各1,200円が人気のラインナップです。 Information 神戸布引ハーブ園/ロープウェイ 所在地:神戸市中央区北野町1丁目4-3 TEL:078-271-1160 http://www.kobeherb.com アクセス:新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸」駅より徒歩約5分、ロープウェイで約10分「ハーブ園山頂駅」下車すぐ オープン期間:無休(強風や雷の場合は運休・休園する場合あり。またロープウェイ年次点検のため、2〜3月に約3週間の運休・休園あり) 営業時間:9:00~16:45、9:30〜20:15(3月20日〜11月30日の土日祝、7月20日〜8月31日)※16:45、20:15はロープウェイ上り時刻 入場料:大人1,500円・小人750円(ロープウェイ乗車を含む) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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イギリス

美しき家と庭 英国モリス・デザインの世界を体感する「スタンデン・ハウス・アンド・ガーデン」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい屋敷と庭を訪ねます。 ビール家の愛しの我が家 ロンドンから車で南へ向かい、2時間余り。ウェスト・サセックス州の美しい田園風景を見渡す丘に、スタンデン・ハウス・アンド・ガーデンはあります。この屋敷は、19世紀の終わりに、ロンドンで成功した裕福な弁護士、ジェームズ・ビールの別宅として建てられました。7人の子を持つビール氏は、家族や友人が、週末や休暇を楽しく過ごすことのできる、居心地のよい田舎の家を求めたのです。 屋敷の設計は、モリスの友人で、アーツ・アンド・クラフツ運動の建築家として知られたフィリップ・ウェッブに任され、内装はモリス商会が手掛けました。風景に馴染む、落ち着いた外観の屋敷には、一方で、電気や暖房といった、当時の最新の設備がありました。住み心地がよく、美しい家具やテキスタイルで整えられた屋敷は、ビール夫妻の子や孫の代まで、楽しい我が家として愛されました。 アーツ・アンド・クラフツ運動を提唱したウィリアム・モリス ウィリアム・モリスは、19世紀の後半に、思想家、デザイナー、詩人、作家と多岐にわたって活躍した人物です。職人による昔ながらの美しい手仕事を愛したモリスは、産業革命の流れの中で失われつつあった、暮らしの中の芸術を取り戻そうと、自ら壁紙をデザインしたり、美しい装飾が施された本を出版したりしました。 一体感のある家と庭 モリスは「家は庭に(衣服のように)包まれるべきだ」という言葉を残しています。庭は家の延長であって、そのように使われるべきだと考えていたのです。その考えを受けて、スタンデンの屋敷と庭は、お互いを補い合う、一つのものとして存在していたのですが、じつは、その庭は長い時の流れの中で失われていました。 5年にわたる庭の修復プロジェクト 今から10年余り前のこと、庭にはびこる竹の下から、古い水遊び用の池が発見されました。その後も、塀やロックガーデンなど、かつての庭の名残が次々と発見され、2012年、ついに庭の修復プロジェクトが発足します。プロジェクトチームは、家族写真や地図、支払いの領収書、そして、ビール夫人のガーデンダイアリーといった膨大な歴史的資料から、ここにどんな庭があったのかを探りました。 広さ約5万㎡の庭を、屋外の部屋をいくつもつなげるように設計したのは、独学で園芸知識を身につけ、優れたガーデナーだったビール夫人でした。ピンクのチャイナ種のバラが植わるローズガーデンや、シナノキの並木道、時にパーティーが開かれたクロッケー用の芝生など、植物好きの夫人が設計し、世話をした庭の数々が、プロジェクトによって再発見され、美しくよみがえりました。 リンゴの古木が見守るキッチンガーデン 屋敷の食卓を支えたキッチンガーデンも修復され、野菜や果物の大きな花壇が整えられました。ここには、屋敷が建った当時に植えられたという、ブラムリー種のリンゴの古木が4本、残っています。扇を広げたような形をした見事なエスパリエ仕立てのリンゴは、今も秋になると、美味しい実をたくさんつけます。 18世紀の古い納屋にはカフェがあって、キッチンガーデンで栽培された、ポロネギ、ニンジン、ルバーブ、アスパラガス、イチゴ、リンゴといった、採れたての旬の野菜や果物を使った料理を楽しむことができます。美しい景色の中、ビール夫妻の客人になった気分で楽しむ食事は、格別の味わいに違いありません。 取材協力: 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語) http://www.ntejc.jp/ Information 〈The National Trust〉Standen House and Garden スタンデン・ハウス・アンド・ガーデン ロンドンからは車で約2時間。電車の場合は、ロンドン・ヴィクトリア駅から最寄り駅のイースト・グリンステッド駅(East Grinstead)まで約1時間。駅からはタクシー(約3km、約10分)、または、クローリー(Crawley)行きのメトロバス84番に乗り、スタンデン・ナショナル・トラスト(Standen National Trust)で下車(日曜は運休)。バス停からは徒歩(約800m、約8分)。 12月25、26日を除き、通年開園。庭園の開園時間は、2~10月は10:00~17:00、11~1月は10:00~16:00。屋敷の開館時間は、2~10月は11:00~16:30、11~1月は11:00~15:30。 *2018年度の情報です。開園予定が変わることもあるのでHP等で確認してください。 住所:West Hoathly Road, East Grinstead, West Sussex, RH19 4NE 電話:+44(0)1342323029 https://www.nationaltrust.org.uk/standen-house-and-garden Credit 文/萩尾 昌美 (Masami Hagio) ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川生まれ、早稲田大学第一文学部・英文学専修卒。
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愛知県

花き生産高1位の地域に生まれた、旬の花と野菜が並ぶショップ「Marché&Cafe hana・yasai はなやさ…
2018年5月でオープン2周年を迎える、愛知県豊橋市にある「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」。車でのアクセスが便利な商業地帯にあり、お買い物のついでにも立ち寄りやすい立地です。エントランスには、ガーデニングの本場英国の自然石、コッツウォルドストーンを積み上げた大きなアーチが出迎えます。 お店に一歩入ると、カラフルに咲き誇る季節の花苗が目に飛び込んできて、花好きやガーデニングを楽しんでいるお客さんは、カゴを片手に、一瞬で苗選びのスイッチが入ります。植えどきの花苗やカラーリーフなど、ずらりと並ぶ植物は、その8割が地元で生産されているというのですから驚きです。 店内は、高い天井から自然光が差し込み、大きな木が葉を広げ、まるで外にいるかのような開放的な空間です。この大木は、5月になると幹に甘酸っぱい黒い実をつけるフトモモ科の熱帯果樹「ジャボチカバ」。オープン時からこの場所で成長し、お客さんを迎えています。 店内のワクワク感をさらに盛り上げるのは、ドライフラワーやガーデン雑貨がディスプレイされている2つの小屋。海外のポップアップストアを思わせる石張りの建物は、庭の中にミニチュアハウスなどをモルタル造形でつくることで話題のPiece of Mindが手がけました。 コッツウォルドストーンの石積みアーティストやモルタル造形のPiece of Mindなど、ガーデニング業界で話題の人々がお店づくりに関わり、新しい試みを実践する「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」。なぜ、この地域に新スタイルのお店が誕生したのか、店長の金澤光広さんにお話を伺いました。 「1909年に創業した地元の農業関連企業、イノチオグループの代表が、これからの時代にフィットしたガーデニング関連の新しい店をつくろうと、2015年に企画が浮上しました。そこで、アドバイザーとして迎えたのが、多数のガーデンイベントに関わっているガーデナーで造園家の竹谷仁志さんです。竹谷さんは、これまで園芸店の運営もしていた経験から、既存のスタイルを超えた新しい試みを取り入れていかなくてはいけないと、現在も店づくりを盛り上げてくれています。まずはじめに、竹谷さんは何度も通いたくなるような居心地のよい場所をつくろうと、天井が高い店舗デザインと、希望を叶える建築家を紹介してくれました。また、地元の花と野菜を最大限に生かすため、各所の生産者を訪ね回りました」。 そうして、この店の主役となるのは旬の花苗と地元の美味しい野菜や果物だと決まり、店づくりは着々と進んでいきました。 「定番品を置かず、旬のものが次々と入れ替わる店にする。そうすると、足を運ぶたびに新しい花が並んでいることに気がつき、よく見たら地元の花で、いっそう親しみと興味が湧く。そうすることで、地元の生産者や農家の刺激にもなると竹谷さんと意気投合しました。地元の生産者には、他の地域には珍しいこだわりのナーセリーや代替わりした若い生産者も増えています。彼らが生産する優秀な植物がこの地域に集まっていることや、世界に誇る技術をもった日本の花づくりをPRするアンテナショップでありたいと考えています」。 花きの一大産地「愛知・渥美半島」の 旬がいち早く届く店 渥美半島は日本のほぼ中央にあたる愛知県の東南端部に位置し、年間平均気温が16℃と温暖で、四季を通じて晴天の日が多く、日照時間が長いことから農業全般が盛んな地域です。主な生産品は、アジサイやカーネーション、シクラメン、ポインセチアなどの鉢物をはじめ、花壇苗や観葉植物、洋ラン、切り花の菊など、品目が多いうえ全国へ周年出荷できる物流のよさも強みです。そんな花きの生産額全国1位である愛知県の中でも、約4割(約224億円)の花が生産されている渥美半島の入り口付近に位置するのが「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」。この地の利を生かして、地元産にこだわった店が誕生しました。 地元産の旬の野菜と果実を たっぷり味わえるカフェメニュー カフェのメインメニューの一つが、具材たっぷりのサンドイッチ。写真は、季節の果実を使ったイチゴ大福サンドや、渥美半島キャベツ&みそカツ、豊橋大葉ゴマチキンなど。野菜や果実の旬の移り変わりに合わせ、定期的に新サンドが登場します。切り口が鮮やかでボリュームがあるサンドイッチは、インスタ映えすると女性たちにも人気。 カフェではスイーツも充実。2〜3月の旬はイチゴ。写真左から、イチゴ大福サンド350円、イチゴのバニララテ500円、イチゴワッフルボール650円。ほかにも、イチゴチーズケーキ、イチゴやミニトマトなどをいただく豆乳チョコフォンデュなど、オリジナルメニューが充実。家族や友人とおしゃべりも弾むカフェタイムが楽しめます。 生産者、農家、お客さんが交流する 季節のイベントを多数開催中 2月は冬のインドアグリーンとしても近年人気が高いオーストラリアの植物を集めたコーナーが登場。オーストラリア原産のカンガルーポーやエレモフィラニベア、プロテアなど、切り花で見かけることが多かった植物が根つきの大鉢で並び、お客さんを喜ばせました。こちらも地元にあるこだわりのナーセリーの一つ「渡会園芸」の苗です。 花と緑に親しむ イベントも充実 花と緑に親しんでもらうには、実体験が大切! というお店のコンセプトから、毎月催されるイベントは多岐に渡ります。例えば、園芸初心者さんを対象にした「はじめのいっぽ」から、先生を招いて行われる「寄せ植え教室」、地元の名物生産者による「農家ライブ」など、つくり手や栽培のプロとお客さんが直接つながる時間を設けて、植物の魅力を伝えています。また、消費者の生の声が聞けるとあって、農家や生産者の刺激にもなり、いい相互作用が生まれているとか。イベントは園芸関連に限らず「親子DEサンドウィッチをつくろう!!」や「朝の美と健康講座『はちみつ』」、「折り紙カフェ」、地元の食材をたっぷり使った「美腸ランチ会」などもあり、イベントに参加した人が意図せずに旬の花に触れる機会にもなっています。 店内には、花苗や観葉植物、ガーデングッズのほか、地元産の魅力的な食材も並び、ギフト用のフラワーアレンジをオーダーできるコーナーまで併設。カフェのついでに花を買ったり、プレゼント用の花に添えて美味しいお土産も購入できたりと、いろんな“ついで”が叶うのも嬉しいお店です。 Information Marché&Cafe hana・yasai 〜花と野菜といいくらし〜 はなやさい 所在地:愛知県豊橋市曙町測点157-2 TEL:0532-46-6509 http://www.hana-yasai.com/ 営業時間:8:00〜18:00 定休日:毎週水曜日 及び年始 Credit 写真&取材/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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京都府

日本庭園巡りの旅へ 京都・天授庵と高桐院
天授庵と高桐院 天授庵(てんじゅあん)は、京都でも指折りの格式を誇る臨済宗大本山南禅寺の塔頭の一つ。東庭の枯山水庭園と、南庭の池泉回遊式庭園の2つの庭園があります。数年前に、両親とこちらを訪ねた時、池泉回遊式園の幽玄で神秘的な景色に心を奪われました。以来、いつかもう一度訪れたいと思っていました。 そして、今回初めて拝観した高桐院(こうとういん)は、臨済宗大徳寺の竹林の片隅にひっそりと佇む塔頭。千利休邸の書院を移築した西庭と、本堂前の「楓の庭」があります。 天授庵〜庭園へ誘う木漏れ日の門 滴るようなカエデの新緑と、木漏れ日に輝く苔の絨毯に包まれながら敷石を進むと、木戸の門が見えてきます。ここが天授庵の池泉回遊式庭園の入り口。柔らかな光と心地よい静寂が心を鎮め、簡素な門が、訪れる者を優しく迎えてくれます。 天授庵〜神秘的な緑の世界 庭園に入ると、まず目に飛び込んでくるのが空を埋め尽くすほど鬱蒼とした樹木。重なり合う緑の隙間から見える青空とのコントラストの何と美しいことでしょう。その景色が、睡蓮が浮かぶ池の水面に映り込み、天と地が混ざり合うような幽玄美を醸し出していました。 また、池の桟橋に立ち水面を覗くと、空中に吸い込まれるような感覚に。しばらく眺めていると、不思議な力で守られているような安らぎを感じました。天授庵は、その名前の通り「天を授かれる」神秘的な体験ができる庭園です。 さらに、紅葉の頃には、この緑一色の世界が真っ赤に染まり、夕暮れにはライトアップされるのだとか。闇夜に浮かび上がる錦秋の天授庵….。きっと、燃えるようなパワーに満ちた景色に包まれることでしょう。 高桐院〜心地よい緊張感の一直線の参道 襖絵のような枝振りのよい松と苔が配置された高桐院の入り口は、何ともいえない品のよさが漂っています。ここから鍵の路に進むと見えてくるのが一直線に伸びた石畳の参道。高桐院で一番有名な景色です。 左右に植栽された真っ直ぐに伸びた竹とカエデ、一本の青竹の柵、エッジの効いた石畳の佇まいに、すっと背筋が伸び快い緊張感に満たされます。 高桐院〜「詫び」の精神を感じる庭 「利休七哲」の一人、細川忠興によって創建された高桐院には、かの有名な千利休邸から移築された書院のある庭があります。「詫び茶」を好んだ利休らしい簡素なつくりの書院は、当時の暮らしぶりを垣間見られる貴重な建物。室内から見える庭もまた、あっさりと落ち着いた雰囲気でした。 その中で、一際目を引いたのが一本のカエデの大木。瑞々しい青葉のカエデは見事な枝振りで、室内の何処にいても見えるように植栽されていました。今ならシンボルツリーというところでしょうか。きっと、四季折々に移ろうカエデの風情を室内から楽しんだことでしょう。 もう一つ目にとまったのが、細い竹を組み合わせてシュロ縄で結んだ利休垣。天然素材の程よい透け感の垣根は見た目も涼しげで、竹とカエデが多用されているこの庭にしっくりと馴染んでいました。簡素な書院と調和のとれた植栽や利休垣。閑寂(詫び)を好んだ庭主の精神と暮らしぶりが身近に感じられました。 高桐院〜「楓の庭」に見る余白の美 高桐院の本堂前に作庭された「楓の庭」は、竹薮を背景にカエデと苔のみを植栽した、これまで見た日本庭園の中で最もシンプルな様式です。本堂の深い軒下に設えられた縁側に座ってこの景色を見ると、カエデの配置や枝振り、葉の一枚一枚までが明確で、足元に絶妙に配された一基の石灯籠が圧倒的な存在感を放っていました。 それは、削ぎ落とされたシンプルな植栽デザインだからこそ際立つ、まさに余白の美。日本画に見るような日本人特有の美意識が表現されていました。その美しさの中に、わたしは深い寛容と無限の癒しを感じました。「楓の庭」は、静かに自身の心と向き合いながら、いつまでも眺めていたくなる庭でした。
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群馬県

花の庭巡りならここ! ため息がこぼれる美景を堪能! 「東武トレジャーガーデン」【閉園】
約8万㎡の敷地をもつ「東武トレジャーガーデン」は、「芝桜のガーデン」、「シーズナルガーデン」「水辺のローズガーデン」と、大きく3つのエリアに分けて構成。約4,000種100万株の植物が息づく花園は、「美しきバラと千の花々」というコンセプトのもとに、息をのむような美しいシーンが次々と登場し、自然に奥へと歩みを進めたくなるようランドスケープデザインされています。また、隣接する野鳥の森と茂林寺沼低地湿原を借景に取り込んだ自然豊かな景色が広がり、まるで別世界を訪れたような気分に。2018年は4月1日〜6月10日の期間に春季フェスタを開催。花々が咲き競うこの時期に、ぜひ足を運んでみてください。期間中はイベントも多数開催しており、4〜6月に100万人のクラシックライブのほか、オリジナルブレンドのハーブティー教室や、多肉植物や小物づかいでステップアップコンテナガーデン、ローズガーデンツアーなどを予定しています。 広大な敷地を生かし、面で魅せる「芝桜のガーデン」と「シーズナルガーデン」 「東武トレジャーガーデン」内の「芝桜のガーデン」エリアの見頃は、4月中旬〜下旬頃。ピンク系と白の芝桜5品種が約20万株植栽され、見事なピンクのグラデーションをつくり出します。背景には53本のソメイヨシノが植えられており、どちらも満開を迎えた際には、絶好のフォトスポットとして人気を呼んでいます。 「シーズナルガーデン」エリアの見頃は4〜6月頃。草花を混植したエリアで色鮮やかな約80万株の花々が、季節が進むごとに順次美しく咲き誇ります。 写真のように面で魅せるエリアの中心に立つ樹木は、輝くような黄色いカラーリーフが目を引く、ネグンドカエデ‘ケリーズゴールド’。その手前のブルー一色で大地を埋める花は、ネモフィラです。 「シーズナルガーデン」の左の写真は、紫のラークスパー、ホワイトレースフラワー、ヤグルマギクが咲き競う、ブルー系の花色でまとめた一角。背景のレンガ造りの構造物は、展望台として全景を見渡せます。館林の茂林寺に伝わる「分福茶釜」と同様のご利益(開運出世・寿命長久)があるという茶釜のオブジェも置かれているので、ぜひ立ち寄ってみましょう。 右の写真は、「シーズナルガーデン」の混植エリアで、4月下旬頃の風景です。オレンジ、黄色、ピンクなどの暖色系でカラーコーディネートし、リナリア、デージーなどを植栽。後ろに少し見えているネモフィラのエリアとのコントラストが楽しめます。 7つのシーンで構成される「水辺のローズガーデン」で、バラの魅力を存分に味わう 「水辺のローズ」の見頃は5月中旬〜下旬。このエリアは、さらに7つのシーンに分けられています。「初夏のさくらのトンネル」、「ブルーローズのラヴィリンス」、「心を癒すフラグラント・ローズ・ガーデン」、「イングリッシュローズが咲き誇るペレニアルボーダー」、「風にバラが唄うナチュラルガーデン」、「清き白バラの天蓋」、「エントランス・ボーダーガーデン」です。タイトルからもロマンティックなガーデンの様子が伝わってきます。 写真は「初夏のさくらのトンネル」のシーン。淡い桜色のバラ‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク・ランブラー’のアーチを連ねてトンネルに仕立て、桜が爛漫に咲く季節をイメージさせる植栽となっています。 写真は「イングリッシュローズが咲き誇るペレニアルボーダー」。バラのナーセリー、「デビッド・オースチン・ロージズ」が生み出したブランド「イングリッシュローズ」の品種群は、四季咲きで花つきがよく、優美な花姿が魅力です。それらの特性を生かし、バラの花色をより引き立たせるために、組み合わせる下草は脇役として控えめにしています。手前でたわわな房咲きになっている、オレンジイエローのイングリッシュローズは‘モリニュー’です。 写真は「清き白バラの天蓋」のシーン。園路へダイナミックに渡したパーゴラには、白バラの‘つるアイスバーグ’、‘ボルティモア・ベル’などが仕立てられ、青空によく映える清楚な景色をつくり出しています。パーゴラの下には多数のベンチが配されており、休憩可能です。ただし、園内への飲食物の持ち込みは不可となっています。喫煙も不可(所定の位置に喫煙所あり)、ペットの同伴はカート限定利用でOK(小型犬に限る。有料でカート貸し出しあり)。 写真は「心を癒すフラグラント・ローズ・ガーデン」のワンシーン。香りが強く、花姿もグラマラスなバラばかりを集めた、癒しを誘う一角です。バラは花が開いたばかりの頃に最も強く香るので、このエリアを楽しみたいなら午前中の早い時間帯を狙うのがオススメ。曲線を描いた園路のため、歩を進めるたびにシーンが変わり、奥行きを感じる演出がなされています。手前の赤いバラは‘ドゥフトボルケ’、オレンジ色のバラは‘ジャスト・ジョーイ’。 「エントランス・ボーダーガーデン」の入り口には、石づくりのアーチがしつらえられています。このアーチを優美に彩るのは、数ある品種のバラの中でも高い人気を誇る‘ピエール・ドゥ・ロンサール’。アーチをくぐると、宿根草を中心としたボーダーガーデンを両脇にもつ「ロングボーダーガーデン」の景色に場面転換されます。 レストランで舌鼓を打ったら、オリジナルグッズが揃うショップをのぞいてみよう! 「東武トレジャーガーデン」の花々で彩られた美しい景色を観覧するには、大人の足でゆっくり歩いて1時間くらいかかります。少し歩き疲れたなと感じたら、レストラン「ヴィクトリアンハウス」で休憩するのもオススメ。営業時間は、10:00〜16:00、ラストオーダー15:30、テラス席は9:30〜17:00、開園期間中(4月1日〜6月10日)のみオープンしています。コース料理やパスタのほか、フルーツパフェやパンケーキなどスイーツも揃い、充実したメニュー内容。右の写真は人気メニューの「ヴィクトリアンプレート」です(価格帯は季節によって変動)。 土産物店も2店舗あるので、ぜひのぞいてみましょう。ガーデンショップ「Mary’s Room」は、花苗のほかテキスタイル、ガーデン用雑貨、ハーブティーなどガーデニングの枠にとらわれない多様な品揃え。土産物ショップ「こるり」では、地元群馬県館林の名物品などを販売。バラ餡とシソ餡の2色の餡が入った「ちゃがまんじゅう」が人気商品です。 Information 東武トレジャーガーデン【閉園】 所在地:群馬県館林市堀工町1050 TEL:0276-55-0750 http://treasuregarden.jp Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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イギリス

イギリス流の見せ方いろいろ! みんな大好き、チューリップで春を楽しもう
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々で見つけたチューリップの開花シーンをご紹介します。 存在感ある鉢植えで魅せる まずは、世界中のガーデナーが憧れるシシングハースト・カースル・ガーデンの、鉢植えアレンジ術を覗いてみましょう。 春のコテージガーデンにドーンと置かれているのは、明るいオレンジ色のチューリップが溢れんばかりに咲く銅製の大鉢。存在感たっぷりで、見る者の視線を集めます。このガーデンの春の植栽は、黄色とオレンジがテーマカラー。鮮やかなオレンジ色の花が、トピアリーの緑や鉢の緑青によく映えて、快活な春の景色をつくっています。 こちらは一転して、ニュアンスカラーの、優しいトーンの花景色です。鉢にしているのは、かつて家畜用に使われていた、古い石の餌入れ。イギリスの田舎ならではの発想ですね。温かみのあるレンガ造りの家壁にしっくり合う石鉢と、それにマッチする花色のチューリップをうまく選んでいます。 花壇に置かれたこちらの鉢植えは、素焼きの大鉢を使い、赤や紫の同系色の花色でまとめたもの。色とりどりの春の花が咲いて、野原のような、のどかで可愛らしい印象の花壇に大鉢を置くことで、面白味のある変化を生み出しています。 フォーマルガーデンの彩りに イギリスの屋敷でよく見られる整形式庭園は、きれいに刈り込んだトピアリーや生け垣などで幾何学的な模様を描いた庭。その花壇は季節の花で彩られますが、花色が豊富なチューリップは、春の整形式庭園を彩るのにもぴったりです。 こちらは、ウェールズにあるエルディグのヴィクトリア朝様式の庭園。緑の球状のトピアリーと、赤い玉が浮かぶように連続するチューリップの花が、リズム感のある楽しげな景色をつくり出しています。 チェシャー州、ライム・パークのダッチガーデンでは、幾何学模様を塗りつぶすように、明るい花色のチューリップが咲き誇ります。 デザインの幅を広げる2色づかい 花壇に咲かせる場合、異なる2色のチューリップを組み合わせると、植栽のデザイン性がぐっと高まります。こちらは、コッツウォルズの名園、ヒドコートの花壇。先が尖り、反りかえった花弁を持つ、ユリ咲きの白と黄のチューリップが、きらめく星のように花壇を明るく彩ります。 次は、ウェールズ、ダフリン・ガーデンの、ビビッドなマゼンタ色とオレンジ色の組み合わせ。ライトグレーの抑えた色調で統一された敷石や植木鉢が、鮮やかな花色を引き立てる、現代的な印象のテラスガーデンです。カラフルな宝石のような色合わせには、子どもも思わずかくれんぼしたくなる楽しさがありますね。 一方、こちらはウェールズ、トレデガー・ハウスの整形式庭園。きっちりと刈り込まれたツゲの生け垣に囲まれて咲くのは、白と黒のチューリップ。可愛らしいというチューリップの一般的なイメージを覆す、モダンでシックな雰囲気の組み合わせです。 草原や森にナチュラルに咲き広がる チューリップは、広い面積に咲き広がる様も素敵です。こちらは、ウェスト・サセックス州、スタンデンの庭。クロッケー用の芝生の脇にある土手に、芝草に交じってさまざまな色柄のチューリップが咲き広がります。キャンディが散りばめられたような、にぎやかな花景色は、花色や花姿が豊富なチューリップならではでしょう。 最後は、ケンブリッジにあるアングレジー・アビーのウィンターガーデンです。ヨーロッパシラカンバの林でピンクのチューリップが一面に咲き広がる様は壮観。色の少ない時期を明るくしようと、ガーデンデザイナーが計画した見事な花景色です。白く輝く樹皮とピンクの花色の組み合わせが、おとぎ話の世界のようにロマンチックですね。 さて、いろいろな見せ方のあるチューリップ、いかがでしたか。ぜひ、庭づくりのヒントにしてみてくださいね。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/
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岩手県

花の庭巡りならここ! 美しいランドスケープデザイン「フラワー&ガーデン森の風」
2014年にオープンした「フラワー&ガーデン森の風」。2万3,191㎡という広大な敷地は、メインガーデン「森の渓谷」とコミュニティーガーデン「森の丘」の2つのエリアに分けられ、それぞれにテーマを持たせたランドスケープデザインが広がります。庭の監修は、イギリスのチェルシーフラワーショーで数々の受賞歴を持つ石原和幸さんが担当。約200種類10万株の植物が息づくガーデンでは、雪割草から始まり、季節の一年草・宿根草や、ツツジ、ドウダンツツジ、アジサイなどの低木類が次々と咲き継いで、四季を通して彩り豊かな景色が広がります。 高齢者や障がいを持つ方も安心して利用できるように、施設内は十分なサポート体制がとられているのも特徴です。散策コースは、傾斜地も広くてゆるやかなスロープで結ばれ、歩きやすく設計されています。 水辺の景色が癒しを誘う、メインガーデン「森の渓谷」 メインガーデン「森の渓谷」では、「エントランスガーデン」「メインガーデン」「チェルシーガーデン」などのテーマをもたせた、ランドスケープデザインが広がります。水のせせらぎや表情豊かなグリーンの濃淡が織りなす、里山のような癒しのガーデンが歩みを誘います。 写真は7月頃の「チェルシーガーデン」のエリアで、石原和幸さんが過去にチェルシーフラワーショーにて受賞された数々の作品が展示されています。 上写真はメインガーデン「森の渓谷」の「メインガーデン」のエリア。ゆるやかに流れる滝と池が2カ所にあり、水辺の景色が印象的ですが、これらには井戸水を利用したタイマー付き循環システムが採用されています。そんなことは微塵も感じさせない里山の景色が、ミニマムな空間の中で表現されている様子は必見です。水のせせらぎとともに聞こえてくる野鳥のさえずり、サラサラとした葉擦れの音、しっとりした緑陰……ここでは優しい時間が流れていきます。 四季を通して花々が咲き誇るコミュニティーガーデン「森の丘」 「フラワー&ガーデン森の庭」は傾斜地を利用した庭園で、上層にはコミュニティーガーデン「森の丘」のエリアが広がります。空がぽっかりと開けて、とても開放的な空間です。主にコニファーと一年草を中心に、旬の草花で鮮やかに彩られた景色から、活力をもらえそうです。 足元は歩きやすいアスファルト塗装で、車椅子や杖での来場者も安心して散策できます。また奥にはエレベーターがあり、下層のメインガーデン「森の渓谷」にも楽に移動できます。 写真は、6月下旬頃のコミュニティーガーデン「森の丘」の一角です。凹凸がある敷地のくぼみを利用して、一面に白いベゴニアを植栽。中央には、赤いベゴニアのドレスを着た女性の像が立っています。 このエリアは、ネモフィラ、シバザクラからベゴニアへと開花リレーをし、一年を通して景色が変わっていきます。 左の写真は、多年草・宿根草を中心に植栽した花壇。開花期を揃え、草丈や花色を考慮してコーディネートしたナチュラルガーデン。 右の写真は、ビオラやヘリクリサム・パルドサムなど春咲きの一年草と、ウッド素材を組み合わせ、自然との調和を意識したエリアです。 イルミネーションが光り輝くナイトガーデンも大人気! 「フラワー&ガーデン森の庭」では、ナイトガーデンのイルミネーションも行っています。左の写真が夏の闇夜を明るく彩る光の芸術、右が冬の雪化粧とともに広がる幻想的なライトアップの様子です。2018年4月21日〜11月5日の期間は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の世界をテーマにした、34万球のライトを使ったイルミネーションが灯されます。 ほかにも、年間を通してさまざまなイベントを催しています。スタッフが案内するガーデンツアーやガーデニング講習会のほか、花の写真展、洋ラン展示、動物とのふれあいコーナー、昆虫フェスタなど、ファミリー揃って楽しめるイベントが盛りだくさんです。 コミュニティーガーデン「森の丘」には展望台があります。カップル向けに、鐘をついたり愛の鍵をつけたりといったスペースを設けており、プロポーズやウェディング写真の前撮りなどに利用されています。最近ではコスプレ撮影会にも利用される、人気のフォトスポットです。 土産物店も充実しており、オリジナルのお菓子をはじめ、岩手のお菓子(価格帯600〜1,000円)、ガーデン写真集1,000円、絵葉書300円、女性用小物(価格帯1,000〜2,000円)、オリジナル蜂蜜ソフトクリーム350円、ソフトドリングなどが販売されています。 Information フラワー&ガーデン森の風 所在地:岩手県岩手郡雫石町10-64-1 TEL:019-695-8787 http://fg-morinokaze.jp/ アクセス:東北新幹線盛岡駅から無料シャトルバス約45分 JR雫石駅よりタクシー約15分 東北自動車道 盛岡ICより約20分 オープン期間:シーズン営業4月21日〜11月4日(2018年)、イルミネーション営業11月5日(2018年)〜1月6日(2019年) 営業時間:シーズン営業10:00~20:00(最終入場19:00)、イルミネーション営業16:00〜20:00(最終入場19:00) 入園料:シーズン営業 大人600円・小学生300円・シルバー(60歳以上)500円・未就学児無料・障がい者 大人300円・小学生150円 イルミネーション営業 大人400円・小学生200円・シルバー&未就学児無料 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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フランス

フランス「リュクサンブール宮殿」の花壇【世界のガーデンを探る旅8】
『フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】』で、フランスにつくられる花壇における色彩感覚について解説しましたが、場所をパリ市内のリュクサンブール宮殿に変えて引き続きフランス独特の植栽について話をしたいと思います。 「リュクサンブール宮殿」は、パリの中心部にあり、元老院の議事堂として使用されていた宮殿で、現在は公園として一般に公開されています。毎日パリ市民が三々五々集まってきて、気ままに花を眺めながらそれぞれの時間を楽しんでいます。特に春に植えた花壇の花々がちょうど見頃になる初夏には、毎日晴天が続くうえ夜は22時頃まで明るいことも手伝って、パリ市民には人気スポットになっています。 フランス式の混植花壇はここにも 「リュクサンブール宮殿」も、やはり混植の花壇です。まずご紹介するのは、宮殿の前庭です。オレンジ色のダリアにピンクのペチュニア、それぞれの個性的な色合いを和らげているその他の花は、ブルーのサルビアやフレンチマリーゴールド、濃い紫のペチュニア、ブルーサルビアなど。それぞれが混ざり合って、緑の芝生に映えてきれいです。 角度を変えて、花壇に近づいてみましょう。左の背の高いえび茶色の植物は銅葉ヒマ(別名トウゴマ、‘ニュージーランド・パープル’)です。渋い色合いといい、ボリュームといい存在感のある植物で、夏花壇のフォーカルポイントとしてぜひ使いたい植物です。 植栽リスト Case1 【赤~オレンジ色系】銅葉ヒマ、ダリア、ペチュニア 【黄色系】フレンチマリーゴールド、カルセオラリア、ルドベキア 【青~紫系】ペチュニア、サンジャクバーベナ、サルビア(メドーセージ) 【葉物】スイスチャード、タイム 園内には、あちこちに椅子がいくつも置いてあります。色も渋いモスグリーンで、人どめの柵も低くて花壇の観賞の邪魔にならず、足掛けとしてもちょうどよい高さ。こんなところにもフランスのセンスを感じます。全体が、それぞれ心憎いまでに、色彩のハーモニーをつくりだしています。 宮殿のサイドにある花壇は、螺旋状に花が植えられています。結構自己主張が強いピンクのペチュニアを赤や黄色のコリウス、オレンジのマリーゴールドなどが独特の調和を見せています。ベージュ色の園路の砂利までもが、うまく引き立て役にまわっています。 植栽リスト Case2 【赤~オレンジ色系】銅葉ヒマ、ダリア、ペチュニア、ジニア 【黄色系】フレンチマリーゴールド、カルセオラリア、ルドベキア 【青~紫色系】ペチュニア、サンジャクバーベナ、サルビア、ヘリオトロープ 【葉物】スイスチャード、コリウス 宮殿に近い花壇です。ここの特徴は、高さを低く抑えて絨毯のような彩りで、明るく宮殿の荘厳さを引き立てている点です。手前と奥の花壇でマリーゴールドの色を微妙に変えることで、単調な配色にならないように奥行きを出す工夫があります。左奥に見えるヤシの木は、冬にはオランジェリー(温室)に運び込まれて、翌年の出番まで静かに春を待ちます。 植栽リスト Case3 建物側 【黄色系】マリーゴールド 【紫色系】ペチュニア、サルビア、ヘリオトロープ 【白色系】ジニア 手前の花壇 【オレンジ色系】マリーゴールド 【紫色系】ペチュニア、サルビア 【白色系】ジニア 違う年の春の花壇です。丈の低い紫のチューリップと、花茎が長く背の高い紫とピンクの斑が入ったチューリップの2種の、シンプルな組み合わせ。3種のチューリップだけで、立体感のある色彩の帯ができています。低いツゲの黄緑色の縁取りがくっきり現れて、花壇をより引き立てています。 参考までにイギリスのハンプトンコートの花壇と比べてみてください。フランスとは明らかに違った感覚の植栽です。皆さんはどちらが好みでしょうか? イギリスの花壇に使われている植物は、外側からロベリア、マリーゴールド(白)、マーガレットコスモス(黄色)、斑入りのカンナ。 再び「リュクサンブール宮殿」に戻り、他の花壇の彩りをご紹介しましょう。 公園の森のあちこちに銅像などのモニュメントがあり、その足元は花壇に囲まれています。ゆるく盛り上がったここの花壇も、混植されていますが2〜3種類程度の限られた数の植物を使いながらも、はっきりとした色合いで演出されています。驚くことに、公園内のあちこちに点在するモニュメントのすべての場所で、花の組み合わせは異なっていました。 ここまでご紹介した花壇に植えられているほとんどの植物は、日本でも栽培されています。夏にはほとんど雨の降らないフランスとは違い、ダリアや球根ベゴニア、ゼラニウムなどは、雨が多く蒸し暑い日本では夏花壇での使用は真似ができませんが、花の色使いや組み合わせは、とても参考になります。 フランスの花壇、いかがでしたか? 『フランス「ヴェルサイユ宮殿」の花壇編【世界のガーデンを探る旅7】』でも解説したように、フランスにはいまだに印象派の色合いが受け継がれているように思いましたが、もしやその色彩感覚は、フランス人が生まれつき持っているセンスなのかもしれません。ちょうど日本人が墨色の濃淡で風景や感情を感じられることと同じかもしれませんね。
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北海道

上野ファームの庭便り「ポップカラーを楽しむ春の庭」
庭の主役は元気をくれる“ポップカラー” 静かな新緑につつまれた早春の庭が、一気に明るくにぎやかに変わる瞬間は、チューリップなどの球根植物が咲き始める時です。次々と開花を始める明るい色のスイセンやチューリップを見ていると、気分も明るくなります。球根シーズンはビビッドな色彩で、はずむようなポップカラーが主役です。以前はガーデン内にスイセンやチューリップをあまり植えていなかったのですが、ここ数年スイセンやチューリップの種類を積極的に増やして春のガーデンを楽しんでいます。球根の魅力を知れば知るほど、使い方によって表現も大きく広がる球根植物の力に気づかされます。 バリエーションが多い球根花たち スイセンやチューリップは、カタログを見ているだけでも驚くほどの種類と花色があります。あまりにも素敵なものばかりなので、選びきれずいつも悩まされます。スイセンは、昔のイメージだとラッパズイセンのような花形を想像しますが、今はスイセンとは思えない華やかな八重咲きや、フリルがかる花びらまであり、形もさまざまです。 チューリップはさらに種類が豊富で、白や紫、黄色、赤、ピンク、オレンジなど、一つの植物でここまで多彩な色を選べる植物というのはなかなかないように思います。さらにフリンジ咲きやユリ咲き、八重咲きなど、咲き方の個性も魅力的です。 彩り豊かな春を楽しもう! 球根のよいところは、庭づくりや寄せ植えの初心者さんでも、秋にしっかりとした球根を植えるだけで翌年必ずきれいな花が見られるということです。球根を植え替えて、毎年違ったカラーテーマや組み合わせを楽しむのも面白いですよ。色の組み合わせ方次第で、春の庭の印象は大きく変わります。部屋の模様替えをするように、気軽にいろいろな球根を庭に取り入れて、彩り豊かな春を楽しんでください。 植え方や色使いで多彩に広がる球根の世界 芝生にスイセンと原種系チューリップを植えれば、ナチュラルな雰囲気に。派手な色合いのチューリップでも、緑の中にランダムに配置すると自然な雰囲気がつくれます。 上野ファームの球根の植え方 1カ所にまとめて植えるのではなく、宿根草の株と株の間に1球から5球ほどの球根をランダムに配置していきます。 宿根草の間から、チューリップが湧き出るように開花します。黒と紫と白で落ち着いたトーンの組み合わせに。チューリップの花が終わる頃には、ちょうど宿根草が伸び始めて開花後のチューリップは見えなくなります。 新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』発売中 2016年に敷地内にグランドオープンした新エリア「ノームの庭」の紹介をはじめ、北国ならではの植栽と上野ファームの美しい写真を多数収録した新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』が2018年3月に発売されました。庭のデザインから施工・メンテまで関わってきた富良野の「風のガーデン」は、進化を続けながら2018年で10周年。これまでの庭づくりへの思いなどをつづった書下ろしコラムや、「上野ファーム」で咲く230品種の草花図鑑など、「上野ファーム」の最新情報がいっぱい詰まった一冊です。
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イギリス

英国の名園巡り 侯爵夫人の人生の喜びが散りばめられた「マウント・スチュワート」
120年前のこと、英国の慈善団体ナショナル・トラストは、開発で失われていく自然や、歴史ある建物や庭といった文化的遺産を守り、後世に残そうと、活動を始めました。多くのボランティアの力によって守り継がれる、その素晴らしい庭の数々を訪ねます。 マルチな才能を持った侯爵夫人 イーディス イーディスは父親譲りのポジティブな性質で、乗馬やヨットの旅を楽しむ、行動力のある女性でした。夫の第7代ロンドンデリー侯爵チャールズが政界に入ってからは、支援のために社交界で動き、また、第1次世界大戦時には、女性による後方支援部隊の統率役も担って、上流社会で影響力を持つようになります。一方で彼女は、庭づくりに加え、伝記や子ども向けの物語を執筆するなど、芸術性や文才にも秀でていました。5人の母でもあり、じつにエネルギッシュで、多面的な才能にあふれた人物でした。 朝日と夕日の庭 イタリアン・ガーデン イーディスは結婚当初、ヨットでスペインやイタリアへ旅し、また、持病の療養のため、夫と共にインドに長期滞在したこともありました。そうした旅先で目にした歴史的な庭園の数々が、彼女の植物や庭づくりへの興味を育てたといいます。 第1次世界大戦後の1920年、41歳の時に、イーディスは末娘となるマイリを期せずして身ごもり、その妊娠中に庭園の設計を始めます。それから始まる庭づくりの日々は、彼女にとってこの上なく幸せで、創造的な時間でした。 イーディスが最初に取り組んだのは、屋敷の南側、入り江を見下ろす斜面に広がるイタリアン・ガーデンです。子ども時代を過ごした思い出の場所、スコットランド、ダンロビン城の庭園に似せた整形式庭園(パーテア)が東西に2つ並ぶ構図に、彼女はイタリアで目にしたボボリ庭園のようなルネッサンス期の名園のエッセンスを加えました。 1921年、イタリアン・ガーデンは、熟練庭師と復員してきた21人の男性の力を借りて形づくられました。この庭はもともとローズガーデンとして計画されましたが、海沿いの土地にバラの生育条件が合わず、数年後にまた新しいカラースキームを考えることになりました。 イーディスは2つのパーテアのうち東側(写真左)を、中心から、鮮やかな赤、オレンジ、ブルー、シルバーと同心円状に変化する朝日のイメージで、また、西側は、深紅、薄ピンク、藤色、黄色、濃い赤紫色と変化する夕日のイメージでデザインしました。そして、英国に導入されたばかりの珍しく美しい異国の植物と、主流の宿根草や球根を合わせるという独自のスタイルで、植栽を構成しました。また、異国の花木をスタンダード仕立てにして、そこに新しいつる性植物を這わせるなど、見せ方も工夫しました。 イタリアン・ガーデンの東側には、動物などのセメント製のユーモラスな彫像が並ぶドードー・テラスと開廊(ロッジア)があります。絶滅した大型の鳥ドードーの像は、イーディスの父、チャップリン子爵を表現したもの。というのは、政治家だった子爵は、かつて風刺画でドードー(まぬけ)と揶揄されたことがあったのです。それを笑いに変えてしまう、イーディスのユーモアセンスが感じられます。また、ノアの方舟(アーク)は、アーク・クラブという、侯爵夫妻が主催した上流階級の私的な集まりを記念して置かれました。 イトスギの壁が印象的なスパニッシュ・ガーデン イタリアン・ガーデンの先に続くスパニッシュ・ガーデンは、スペインへの旅の記憶が詰まっています。インスピレーションの源となったのは、王族に案内されて訪ねたアルハンブラ宮殿やヘネラリフェのペルシャ式庭園です。両側に立つ印象的なイトスギの壁は、16世紀のベネチア人の旅人がヘネラリフェの庭へと続くアーケードを描写した記述をもとに、デザインされました。イーディスの構想通りに生け垣を仕立てられる、庭師の腕にも驚きます。 大好きな花が植わるサンクン・ガーデン 屋敷の西側にあるサンクン・ガーデン(沈床式庭園)と、その先につながるシャムロック・ガーデンは、屋敷の1階から見ることのできる唯一の庭です。サンクン・ガーデンの三方はパーゴラで囲まれていますが、イーディスは、そこに珍しい異国のつる性植物を絡めました。その内側に植わるのは、彼女が愛してやまなかったロドデンドロンとユリ。イーディスは香りのよい花が大好きでした。 イーディスにとって庭づくりは、知的活動と身体を動かすことの、両面の楽しみがありました。植物を育てること、そして、その場所にぴったりの植物の組み合わせを見つけることに、夢中になったのです。 イーディスは博識な知人に学んで、植物の知識を深めていきました。庭園のあるアーズ半島は、暖流のおかげで暖かい、地中海性気候の土地。イーディスはプラントハンターを支援して、似たような気候を持つ世界各地からたくさんの新しい植物を集め、この庭で実験的に育てました。 アイルランド神話の世界 シャムロック・ガーデン イーディスを魅了するものの一つに、アイルランド神話がありました。この庭では、アイリッシュハープをはじめ、アイルランドや神話にまつわるモチーフの、たくさんの小さなトピアリーが楽しめます。手前の、手の形をした花壇は、〈アルスターの赤い手〉という神話がモチーフ。セイヨウイチイの生け垣に囲まれた庭園自体も、上から見るとアイルランドの国花である三つ葉(シャムロック)の形を表しています。 他にも、イーディスが末娘のためにつくったマイリ・ガーデンや、大好きなユリを育てたリリー・ウッド、湖畔の墓地、それから、美術品がたくさん飾られた新古典主義建築の屋敷と、見どころがたくさんあります。北アイルランドの至宝を、ぜひ訪ねてみてください。 取材協力 英国ナショナル・トラスト(英語) https://www.nationaltrust.org.uk/ ナショナル・トラスト(日本語)http://www.ntejc.jp/
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山形県

花の庭巡りならここ!「かおり風景100選」に認定された「山形県村山市 東沢バラ公園」
昭和31年に設立された、歴史ある「山形県村山市 東沢バラ公園」は、地元の方々にも長く親しまれています。設計を手掛けたのは、日本のバラ界の父、故・鈴木省三さん。およそ7万㎡にも及ぶ敷地には、約750品種2万株のバラが植栽されています。見頃は6月上旬〜7月上旬、9月中旬〜下旬。この期間は「バラまつり」が行われて多くの人で賑わい、さまざまなイベントも開催されます。「いつ訪れても花や葉の状態が美しく、行き届いた管理が素晴らしい」とリピーターが多く、年間5万人の来場者があります。 バラの香りが風にのってエントランスに集まる植栽に 「山形県村山市 東沢バラ公園」は、山と湖に囲まれた借景の美しい自然豊かな公園です。バラ園は、設立当初から親しまれている「クラシックガーデン」、オールドローズを集めて植栽された「オールドローズ園」、日本の皇室をはじめ世界の王室の方々の名前が冠されたバラが集められた「皇室のバラ」など、さまざまにテーマを設けたエリアによって構成。平成11年に誕生したオリジナルのバラ‘むらやま’をはじめ、‘グリーンローズ’や‘黒真珠’など珍しい品種のバラも見られます。 写真の高さ約3.5m、約3m四方のローズドームには、つるバラを這わせてフォーカルポイントにしています。さらに奥の大きなシンボルツリーのケヤキは、絶好の休憩スポット。緑陰のもとでお弁当を広げてピクニックを楽しむ人や、のんびり読書をしている人の姿が見られます。 「山形県村山市 東沢バラ公園」は、平成13年に全国のバラ園で唯一、環境省の「かおり風景100選」に選ばれました。山の形に沿って傾斜がつけられた公園は、山からエントランスに向かって風が通るように設計され、バラの香りが風にのって集まる工夫がなされているのです。馥郁としたバラの香りを十分に堪能するには、午前中の早い時間に訪れるのがオススメです。 「山形県村山市 東沢バラ公園」には、市制施行50周年を記念してモニュメント「幸せのローズベル」が寄贈されました。「恋人の聖地」とプレートされた、ロマンティックな雰囲気が魅力で、カップルで訪れて一緒にベルを鳴らす姿も多く見られます。このエリアではラベンダーピンクの大輪花、‘ショウゴ・エレガン’が毎年たくさんの花を咲かせ、インスタ映えのするフォトスポットとして人気です。 目に鮮やかなグリーンの芝生で整えられた、小高い丘の上につくられた休憩場のガゼボは、公園内を上から見渡せるビュースポット。園内への飲食の持ち込みは自由ですが、喫煙は不可(園外に喫煙所あり)。ペットの同伴はOKです。リードをつけて、糞は持ち帰るなどのマナーは守りましょう。 手前のバラはアメリカで生まれた‘リオ・サンバ’で、黄色で咲き始めた後、オレンジ、朱色へと変化していく姿を楽しめます。 喫茶スペースや体験教室、ギャラリーが充実する「バラ交流館」 園内には「バラ交流館」があり、軽食コーナーや土産物販売店のある棟、体験教室が開催される棟、押し花や陶器といったクラフト作品を展示するギャラリー棟の3棟が並んでいます。バラまつりの期間中には、押し花教室を開催しており、1作品につき約30分で体験できます。参加料は500円〜です。 バラ交流館内の飲食スペースは20席ほど。メニューは、バラソフトクリーム300円、バラアイスカップ320円、バラコーヒー300円、ローズティー、ローズヒップティー各250円など。食事メニューは山形牛重1,500円などのほか、お好み焼きやフランクフルトもあり、天気のよい日はテイクアウトして、青空の下でいただくのもオススメです。 土産物売り場では、バラキャンデー240円、バラサイダー270円、バラ紅茶(ティーバッグ)270円が人気商品となっています。 左の写真のインスタ映えするバラサンデーは400円。右の写真は、左がローズヨーグルトムース350円、右がローズシュガー入り飲むヨーグルト350円。いずれもバラの香りがふんわりと漂う、人気メニューです。 バラまつり期間は、毎年趣向を凝らした多彩なイベントを開催 バラまつり期間には、毎年さまざまなイベントが開催されています。写真は、市民サークルのフラダンスの発表会と、バラの愛好家必見のバラの育て方教室、バラの相談所などのイベントの様子です。 ほかにもバラのアレンジメントやレカンフラワー、ハーバリウム、七宝焼き体験教室、ジャズバンドなどの演奏会が行われます。また2018年のメインイベントに村山市出身の「薔薇から生まれた薔薇王子」のコンサート、夜まで楽しめる「夜のバラまつり」など、多彩なイベントが開催されます。バラまつり期間中のイベント情報は、ホームページで要チェックです!
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京都府

日本庭園巡りの旅へ 京都・東山「永観堂禅林寺」
東山の古刹 永観堂禅林寺 永観堂禅林寺は、東山のふもとに建つ歴史ある古刹。古今和歌集に「もみぢの永観堂」と詠まれる京都屈指の紅葉の名所で、境内には、約3,000本ものイロハモミジやヤマモミジが植えられています。 植栽と一体となった長い回廊 このお寺には、御影堂や釈迦堂、阿弥陀堂といった諸堂が点在しており、それらすべてが、経年変化の檜の滑らかな木肌と、滴るような青モミジに囲まれた長い回廊で結ばれていました。 また、所々に設えられた縦格子の建具の端正な佇まいは、翠緑を切り取る額縁のよう。 内外を曖昧に仕切る和の建具の美しい意匠が、味わい深い風情を醸し出していました。雨風をしのぎ、強い陽射しを遮るだけでなく、四季折々の自然の景色を屋内からも愛でることができる和の建具は、自然への敬愛と日本人ならではの繊細な感性が生み出した伝統建築。わが家にも取り入れたくなりました。 圧巻の臥龍廊 数ある回廊の中でも圧巻だったのが、山の斜面に建てられた開山堂へ続く臥龍廊です。その廊下は、急斜面の地形に合わせて曲線を描く特殊なつくりとなっていて、その名の通り、あたかも龍が臥せているような形状でした。一瞬、足がすくむほどの迫力に圧倒されながら上っていくと、畳4帖ほどの小ぢんまりした開山堂がありました。 このお堂には、永観堂の開山の像が祀られていました。そういえば、古来より龍は神様の化身、もしくは使者といわれています。この臥龍廊は、開山の像(神)を拝むなら、ここを通って心身を清めよという意味合いがあるのかもしれません。また、お堂の窓から、荘厳な屋根瓦に映えるモミジと、遠くに京都の山並みが垣間見え、初夏の爽やかな風に擦れるモミジの葉音や、時折聞こえる野鳥の声が、なんとも心安らぐ空間でした。 自然の景色を凝縮した庭園 諸堂の中心にある御影堂には、深い軒下の縁側に腰掛けると、庭全体が見渡せる程よい広さの日本庭園があります。目を惹くのは、いぶし銀の瓦を施した壁面に、清然と植えられたモミジの高木と赤松。いかにも日本庭園らしい組み合わせですが、不思議と堅苦しさを感じないのは、山の中に自生しているような樹形と、型にとらわれない剪定にあるような気がしました。また、その足元には、自然石を配した池と白い玉石を敷いた枯山水を彷彿とさせる景色が。 白い玉石は、山間から緩やかに流れる湧き水のように木漏れ日に輝き、池には白いスイレンが、水辺にはハナショウブとカキツバタが季節の彩りを添えていました。 そんな、自然の景色が凝縮したような庭を眺めていると、ふと、「無作為の作為」という言葉が脳裏に浮かびました。「無作為の作為」とは、自然な雰囲気を生かして、かけたのが分からないような手間をかけること。ある京都の老舗造園屋さんがおっしゃっていた言葉です。そして、「われわれのモットーは、庭ではなく景色を売ること。そのために、無作為の作為を行う」と。 人知れず手間をかけ真心を込める庭仕事。だからこそ、こんなにも心が和むのですね。 日本庭園の奥深さを、またひとつ目の当たりにしたような気がしました。 3,000本もの青モミジが紅葉する秋。どんなにか素晴らしいことでしょう。いつか、赤く染まるモミジの永観堂も訪れてみたいものです。 併せて「イングリッシュガーデンを巡る旅」のシリーズや、『イングリッシュガーデン旅行を終えて〜日本庭園への想い〜』もご覧ください。




















