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三重県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪17 三重「こるれおーね」
西欧の片田舎にワープ感覚の 予約制のショップ 葉擦れの音が心地よい雑木の間に見え隠れする建物。西欧の童話に出てくるような風景です。ここは、庭づくりと資材販売業を営む竹内弘法さんのアトリエ兼店舗「こるれおーね」。普段は工事に出てしまっていることも多いため、予約制のショップとなっています。 まず出合うのは、フランス瓦を載せた建物に囲まれた小さな緑の空間。右側は、竹内さんが建てたアンティーク雑貨を販売するコーナーで、正面と左側は、かつての母屋の外装に手を加えたもの。ふんだんに使われた石の構造物や無造作に置かれた古道具と相まって、映画のセットのような風景となっています。 まるで西欧の古い農家を移築したかのような建物ですが、一般的な古い家屋(母屋)の外壁に石を張り付け、ニッチを設けたり、鎧戸風なあしらいを施したりと、竹内さんが渡欧時に目にした魅力的なシーンが、さまざまな形で再現されています。空間づくりの基本的なイメージは、イギリスやフランスの片田舎の風景です。 たくさんの雑木が植わる小さな空間では、素焼き鉢に植えたリーフ類を古びたテーブルやスタンドに添えるようにディスプレイ。絶妙なバランスで、さりげなくコーディネートがなされています。 ほんのり暗い建物内には、イギリスやフランスで買いつけた古道具を陳列。ビターなシーンづくりに活躍しそうなラインナップ。 地元のものを生かした 庭づくりを提案 店頭で資材販売を行っていますが、竹内さんの仕事のメインとなるのは、「庭づくり」。西欧の風景を意識しながらも、「地元の環境に合わせた庭づくり」を提案しています。 この周辺は、クヌギ、コナラ、ウバメガシなどが自生する自然豊かな場所。これらの環境を破壊して新たな住空間をつくるのではなく、共存していく方法を絶えず考えながら、お客様の希望を形にしています。 庭づくりの参考として、自宅・アトリエの前にサンプルガーデンを設けています。ここでは元から植わる雑木をうまく活用し、自然体なガーデンを提案しています。 雑木を活用する上で重要なのは、樹形や葉の形が醸す雰囲気で植栽場所を決めるだけではなく、木の性質・特性を踏まえた「機能性」も考えてレイアウトすること。例えば、西日が強かったり風が強く吹いたりする方角には、クヌギ、コナラなどしっかりガードしてくれる丈夫な雑木を植栽して日差しや風当たりを緩和。逆に、庭の中心や住居の前などには、ヤマモミジやアオダモなどのスラリとした繊細な木で、日当たりを確保しながら心和ませる効果を持たせるなど、雑木の利点をうまく活用しながら、レイアウトしています。 抜群のセンスを持ちながら、何でもこなしてしまう器用な竹内さん。「こるれおーね」を開業する前には、一般の会社で事務作業をしたり、造園会社で公園施工に携わったりする、サラリーマンの時代がありました。しかし、「もっと自身の感性に近い世界」に近づくために退職し、以前から興味があったイギリスの庭づくりを学びに渡英。日本でイングリッシュガーデンがもてはやされる少し前の頃でしたが、洋書などで見た「石を使った庭づくり」に、強く興味をそそられたのです。 イギリスの造園会社に飛び込んで石積みなどの修業を重ねた後、フランスにも数回渡り、見聞を広めた竹内さん。フランスで見た「無造作で愛らしさを感じる素朴な庭」に心動かされ、戦利品を持ち帰るような気分で帰国しました。 早速、イギリスやフランスから石材や古道具などを仕入れ、自宅の敷地で庭づくりをスタート。まずは、古い母屋を改装して小屋をつくり、徹底してフランスらしさを演出しました。「その当時、フランスのナチュラルな雰囲気が時代にフィットしたんですよね。今考えると、あの頃は海外にばかり目を向けていたな」と、竹内さんは振り返ります。 庭づくりが軌道に乗ってくると、地元の良さを再認識する余裕が生まれ、地産の石や樹木の活用を考え始めました。このあたりの黄色みを帯びた石は、イギリスやフランスの石と馴染みがよいので、竹内さんは部分的に混在させて使用。さらに、植物もこのあたりに自生するウバメガシなどの雑木を使用することで、鳥や虫がたくさん棲息するようになるそう。「土づくりも地元の土をよく研究して行っています。植物も、ここの風土に合った地元のものを選ぶことで、無理のない庭づくりが行えます。健やかな庭づくりが、健やかな暮らしにつながっていくよね」と竹内さん。 古くからある知恵も取り込み、 住空間もデザイン 海外で得たノウハウを自宅の敷地全体に盛り込み、ヨーロッパテイストに仕上げて約23年経った2017年、煉瓦や石など、ヨーロッパのアンティーク資材を用いながら、木造りや土壁などによる日本的工法を取り入れ、新しい住居を敷地内に建て始めた竹内さん。仕事の合間を縫って、手間をかけながらじっくりと家づくりをしています。 着手して3年目のぬくもり感あふれるこの家には、こだわりの手法がいっぱい。「便利でなくてもいいんです。かつて大工だった親父が言っていた『家を建てることとは』のセオリーが、今自分が考える『自然に寄り添った健やかな住環境づくり』と共通していることを、ここ数年で感じ始めたんです。それをじっくり考え、実践、検証しているんです。もっと親父にいろいろなことを聞いておけばよかったな」。 杉皮を載せた軒(左)と薄い石を重ねて載せた屋根(右)。どちらも手間をかけて丁寧な作業を重ねただけあって、深い味わいを放っています。 「こるれおーね」の 雑貨あしらいのあれこれ イギリスやフランスで買い付けてきたアイテムが、ガーデンのあちこちに点在する「こるれおーね」。竹内さんの片田舎の風景づくりの素敵の秘密をご紹介。ぜひシーンづくりの参考にしてください。 【建物の入り口脇には、どっしりとあしらう】 入り口に細々しいものが転がっていると、来た人に不安定さを感じさせてしまうので、ボリュームを持たせてあしらいます。 【きれいに並べすぎない】 アイテムを重ねて飾る時は、向き=振りを少し変えておくことで、軽やかさと動きが生まれます。 【時間を感じさせる】 放置して植物を絡ませたり、「作業の途中」という雰囲気を出したり…。‘時間’を感じさせることで、シーンに深みがぐっと増します。 【ちょっと寂しい場所には、ハンギングを】 なんだか物足りないけど、日陰だし…。そんな場所では、やはり雑貨が活躍。あまりあれこれ使わず、2~3点を組み合わせて飾るといいでしょう。 【さっぱりさせたい場所は、白でまとめる】 ボリュームを持たせたいけれど、さっぱりと飾りたい場所には、色がケンカしない白いアイテムがおすすめ。ここはホウロウでまとめたので、異素材の縄をかけて温かみをプラス。 「こるれおーね」竹内さんのイチオシアイテム 「車輪がついた雑貨」 いろいろなアイテムがありますが、ここぞという場所には、車輪の付いたアイテムがおすすめ。ボリュームのあるボディに車輪の細いラインが対比して、変化のあるシーンを生み出してくれます。また、車輪が動きも感じさせるので、シーンに軽やかさも加わります。 ヨーロッパのデザインや輸入したこだわりのアンティーク資材を取り入れながら、日本の知恵や技術を生かした庭や建物づくりを目指す「こるれおーね」。西洋と日本の異なる魅力を融合させながら、オリジナル性の高い世界を生み出しています。「本物を知り、今目の前にある自然と向き合ってこそ、よい仕事ができると考えています」と竹内さん。よいものを創るには労力を惜しまないその姿勢が評判を呼び、たくさんの人が志摩まで訪れています。不在のことも多いので、訪れる際は一度ご連絡を。アクセスは、志摩神明駅から徒歩約45分。伊勢自動車道 伊勢西ICから車で45分。 【GARDEN DATA】 こるれおーね 三重県志摩市阿児町立神3414-25 0599-45-4352 営業時間:10:00~18:00 定休日:月・火曜日(夏・冬休みあり) http://www.corleone.ecnet.jp/ https://www.corleone1995.com/ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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三重県
しだれ梅の新名所! 三重県「鈴鹿の森庭園」
200本のしだれ梅の名木が春を告げる 三重県津市にある、赤塚植物園グループが運営するこの「鈴鹿の森庭園」は、山々に囲まれた敷地面積2万㎡の敷地に、約200本の「しだれ梅」の名木が集められ、2020年は、2月22日~3月下旬に「しだれ梅まつり」を開催。開花時期に合わせて期間限定で一般公開されます。 園内を桃色に染めるのは、八重咲き品種の「呉服枝垂(くれはしだれ)」が中心です。これらの木々は、日本全国から集められた名木ばかりで、その数は約200本。中には、高さ6mもの大木もあり、ここでしか見られない景色が楽しめます。 一般的な実梅や立ち性の花梅は、中国や日本の古い文献に登場し、「令和」の出典となった万葉集にも多くの梅の歌が残されています。 その一方で「しだれ梅」の歴史は比較的新しく、江戸時代後半になって文献に登場するようになり、種類は約42ほどが確認できます。 鈴鹿の森庭園のしだれ梅「呉服」の中でも、ひときわ存在感を放つのは“天の龍”や“地の龍”です。これらは樹齢100年以上と推定され、現在品種が確認されている中で、日本最古のものではないかといわれています。 じつは、これら「鈴鹿の森庭園」に植わるしだれ梅の名木の中には、かつて全国の個人邸などで育てられていたものもあります。しだれ梅は、たくさんの大輪の花が美しく艶やかに枝垂れる姿から、時代を問わず多くの人々に愛されている一方で、美しい形に整えるのが難しく、病気などで被害を受けてしまうこともあります。開園にあたっては、こうした日本が誇る貴重な財産であるしだれ梅を守り、その伝統的な匠の技を後世に伝えたいという想いで、関係者が所有者のもとを何度も訪れ、数年かかってようやく譲っていただいたものもあるといいます。こうした努力が実って日本中から名木が集まり、鈴鹿の森庭園が誕生しました。 日本の匠の技と歴史が受け継がれた多くの名木が、早春にいち早く桃色の大輪の花を枝いっぱいに咲かせる「枝垂れる姿」は圧巻です。 純白から桃色まで多彩な品種を愛でる また、鈴鹿の森庭園には「呉服枝垂」以外にも、多くの見どころがあります。 濃紅色の代表的な立ち性の花梅「鹿児島紅」や、梅干し・梅酒で人気の「白加賀」、1本の木に紅白の花が咲く「思いのまま」。その他にも「八重緑萼(やえりょくがく)しだれ」や「藤牡丹しだれ」、「酔心梅」など、さまざまな梅を楽しむことができます。 しだれ梅を引き立たせるように植えられている植物たちも魅力的で、白とピンクの玄海ツツジと美しい梅の花の共演は、来園者の目を楽しませてくれます。 足元に目を向けると、うつむきかげんに可憐な花を咲かせるクリスマスローズの姿も。ここでは、赤塚植物園オリジナルの品種も植えられ、早春ならではの花々のコラボレーションも見どころです。 夜空に浮かび上がるしだれ梅のライトアップ 開花期間中は、日暮れから21時まで夜間ライトアップも行われ、立ち並ぶしだれ梅が夜の闇に浮かび上がり、日中とは全く違う幻想的な風景に変わります。光に輝く梅は、ここでしか見られない美しさ。きっと息をのむ、忘れられないひとときになることでしょう。 梅の花を十分に楽しんだら、帰りの出口には売店がありますので、梅散策のお土産はいかがですか? 店内では植物園に植えられていたクリスマスローズなどの苗や、地元の名産品、梅を使ったお菓子、草もちなどが販売されています。ぜひ、梅の季節を堪能してください。 Information 【イベント情報】 鈴鹿の森庭園「しだれ梅まつり」 2月22日~3月下旬 見頃:3月上旬 営業時間:9:00~16:00(ライトアップ期間中は21:00まで時間延長) 期間中無休 入園料金:一般:700円~1,700円(開花状況により変動します) 開花状況等はWebページにて:https://www.akatsuka.gr.jp/group/suzuka/ 【施設名】 鈴鹿の森庭園(すずかのもりていえん) 所在地:〒519-0315 三重県鈴鹿市山本町151-2 TEL:059-371-1777 アクセス:東名阪自動車道 鈴鹿ICより約3km(車で約5分) 新名神 鈴鹿PAスマートICより約3km(車で約5分) Credit 取材協力&写真/赤塚植物園グループ 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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大阪府
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪16 大阪「GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店」
ギフトプランナーが提案する 365日笑顔になる店 あべのハルカス、通天閣が隣接する街中に位置する天王寺公園。動物園や美術館、庭園もある都会のオアシスです。その公園内の芝生エリアに、2019年11月、レストランを中心とする新しい憩いのスポット‘てんしばi:na’がグランドオープン。芝生エリアの突き当たりにある動物園の入り口脇に、「GARDENERʼS TENNOUJI」がオープンしました。 ガーデニングを楽しむスペースがなく、日常的に花に触れる習慣がない街中の人たちに「植物に触れるきっかけを提供しよう」という思いでスタートした「GARDENERʼS TENNOUJI」。ここはガーデニング・エクステリアの資材を提供する、ライフスタイルカンパニー「タカショー」が運営する園芸店の一つで、全国3店舗あるうちの一番新しいショップです。 ショップのテーマは、‘大切な方へのプレゼントや頑張った自分へのご褒美のプレゼントが買える店’。「誰かにギフトしたいと思ったときに、365日、いつでも一番最初に思い浮かぶ店を目指しています」と店長の中野誠介さん。植物のある暮らしの提案に加えて、ギフトが見つかる店として力を注いでいます。 ガラス張りの開放感あふれる店内は、植物や雑貨などシーズナルなギフト商品でいっぱい。トーンを落とした温かみのある照明とインドアグリーンのつややかな潤い、そしてブラックで統一した什器で構成された空間は、落ち着いた雰囲気が漂っており、ゆったりとした気分で買い物ができます。 ギフトにぴったりのコンパクトなインドアグリーンが充実。スタッフに頼めば、植え替えもしてくれます。 動物園帰りの子どもたちも多く来店するので、動物アイテムが充実。店内のあちこちで、ぬいぐるみの動物が出迎えてくれます。 日当たりの悪い部屋が多い都会の住居でもグリーンの潤いを楽しめるよう、フェイクグリーンも用意。シックな色味のものも揃い、おしゃれなインテリアづくりに重宝します。 ギフトに最適な、ボックス入りのドライフラワーのアレンジなどもあります。バリエーションが豊富なのでお好みのものを選んで。 植物だけでなく、香りのアイテムや食器などの雑貨類も充実。園芸とは直接的には関係のないものですが、植物に興味のなかった都会の人たちが、ガーデニングに興味をもってくれるきっかけになれば嬉しい、との思いで取り扱っています。「雑貨を用いて、グリーンライフの楽しさを知っていただくきっかけづくりをしています。それには興味を持っていただけるような、ストーリーのあるディスプレイが大切です」と雑貨担当の山中梢さん。 ぬいぐるみだけでなく、動物をモチーフにしたユニークなアイテムがたくさん。写真左は、コウノトリやワニの形をしたカトラリー。右は、コアラやブタ、カメなど、リアルなつくりが人気の貯金箱。 おしゃれなステーショナリーも充実しています。「まずは身のまわりの雑貨類などからこだわって、空間づくりの楽しさに気づいていただきたいですね」と山中さん。 店舗外には、ガーデニングの参考になる コーナーがいっぱい ショップ前に広がるウッド×樹脂製のデッキまわりも見どころが満載です。店舗すぐ前にはガーデニング用品や苗、そしてギフトに最適な寄せ植えなどが並んでおり、ギフトにもなるアイテムが充実。その奥の植栽コーナーでは、ライトのきらめきと共に、中野さんこだわりのロマンティックな風景が広がっています 細長いデッキの手前側の植栽帯には、季節の草花とリスやウサギのオーナメントを合わせたユニークな提案が。三世代が楽しめる、ストーリー性を持たせた演出。 動物たちの生き生きとした姿を表現したのは山中さん。「季節ごとに植え替える花に合わせて、動物たちの置き方も変える予定です。ぜひ四季を通して見に来てくださいね」。 ボリュームを持たせたオージープランツの植栽エリアには、アルパカや家などのピックの飾りをプラス。植物に詳しくない人たちも楽しめるような配慮が施されています。 植栽とライティングによる美しい演出で ガーデンライフの楽しさを提案 動物のオーナメントやオージープランツの奥は、店長の中野さんがセレクトしたというこだわりの樹木による、リーフ合わせの妙を観賞するコーナー。美しい色や形の葉を持つ低~高木がふんだんに盛り込まれています。 併設するガラス張りのカフェにも光が差し込むように、サラサラとした小さい葉の樹木類が用いられています。夕刻ともなると樹木の幹や白い球形のオーナメントにライトが灯り、ロマンティックな風景にチェンジ。 最奥に広がるステップフロアコーナーは、カフェのお客様が緑に囲まれて飲食できるようにと設けられた場所。常緑樹と落葉樹をバランスよく配し、緑の潤いを通年感じられるように設計されています。ここは、カフェだけでなく、庭づくりの相談の場としても活用されています。 ファニチャーはタカショーオリジナルのアイテム。樹脂製のメッシュのソファは、雨が降っても水が抜けやすく乾きやすい優れもの。クッションを置いても◎。 中野店長による、おしゃれな庭づくりにおすすめの樹木ベスト4 左/シャボチカバ:常緑樹なので隠したい場所にぴったり。葉が小さく、重い印象になりません。 右/ツツジ:山採りのツツジなのでヒョロリと丈が高く野趣がありますが、モダンな雰囲気も漂わせています。 左/ストローブマツ:ゴヨウマツをやさしい雰囲気にしたようなマツ。枝垂れるさまが植栽に動きをもたらしてくれます。 右/暖地サクランボ:枝が横に平たく広がるエスパリエ仕立ての、暖地向きのサクランボ。初夏に赤い実が付きます。 エントランスのデッキのアクセントになっている2×2mほどの植栽桝には、カツラをシンボリックに植栽。株元には葉色が美しいヒューケラやコプロスマ、マートルなどを添え、冬の寂しい時期でも葉色を楽しめるようにデザインされています。 冬の庭で存在感を放つ植物たち 左/斑入りギンバイカ(マートル):こんもりと葉をつける斑入りのギンバイカ。フトモモ科ギンバイカ属の常緑低木で、とてもよい香りを放ち、春にはやさしい白花が咲きます。斑入り葉なので、庭のアクセントにぴったり。 右/ヘレボラス・スノーフィーバー:白い散り斑が入る原種の有茎種。茎ににじむ赤色が、ニュアンスを生んでいます。 左/グレヴィレア‘ピーチ&クリーム’:線の細い葉や茎の先に、やさしい色の花を次々に付けます。寒さにも強い品種です。 右/バンクシア・スピヌロサ(ヘアピンバンクシア):いかにもオージーらしいユニークな花を咲かせます。花穂は長さ20cm以上にもなり、インパクト大。 左/アカシア‘ブルーブッシュ’:ボリュームのあるシルバーリーフが植栽の間を涼やかに埋めてくれます。 右/ライスフラワー:米粒のような小花を咲かせます。つぼみから開花までの観賞期間が長く、花もちもよいのが魅力。 併設するカフェで 緑を眺めながらのんびり過ごして 「すべての方が笑顔になれるカフェ」を目指し、彩りの美しいイタリアの野菜などを使ったメニューが好評。明るい自然光が入るガラス張りの空間は、開放感がたっぷり。気分転換にぴったりの場所です。 彩り豊かな洋食ランチのあとはおしゃれなデザートを、そして夜は、美味しいディナーをお酒とともに楽しんで。おすすめのメニューを一部ご紹介しましょう。 「ぺこのハッシュソースハンバーグ」 ¥1,280 6種類のキノコを使った自慢の濃厚ハッシュソースで、富士の麓で育った氷見牛ハンバーグの甘さをお楽しみください。 「ぺこといただきますプレート」 ¥980 ぺこの旗つきチキンライスと、氷見牛ハンバーグのお子様プレート。デザートに季節のフルーツもついています。 「ぺこのチョコシフォンケーキ」 ¥800 しっとりと焼き上げたオリジナルのチョコシフォンケーキにミックスベリーとピスタチオを添えました。甘さ控えめのクリームと一緒にどうぞ。 「ぺこのスフレパンケーキ」 ¥1,000 宮城県のブランド“竹鶏たまご”を使用したオリジナルパンケーキ。一つひとつ、ふんわり丁寧に焼き上げました。 「GARDENERʼS TENNOUJI」中野店長のイチオシをご紹介! 「ギフト」を最大のテーマとして掲げているショップだけに、ラッピングに力を入れています。まず購入者が喜んでくれるようにと、どんな価格の商品でも無料でラッピングをしてくれる嬉しいサービスも活用しましょう。 大きな花束のようなラッピングの、ポインセチア‘プリンチア・ローザ’のギフト。どんな小さい鉢花でもより見映えがアップするよう、包み紙やリボンを惜しみなく使い、最高の状態でお届けしています。 ショップの思いを表現した楽しい壁。「下に描かれた動物をお客様に見立て、浮かんでいるのは幸せのギフト。‘ここに来られたお客様のもとに、たくさんの幸せが降ってきますように’という願いを込めているんですよ」と山中さん。 「うるおいのある暮らし」を届けるショップ 「お客様を笑顔に」という思いを込めて、徹底的にギフトに力を入れている「GARDENERʼS TENNOUJI」。ガーデニングのプロの視点で「うるおいのある暮らし」を提案する、多様性に富んだショップです。初心者だけでなく、玄人ガーデナーにもきっと新たな発見があるはず。「これから植物の種類や数、ワークショップなど、さまざまなもの・ことを盛り込んでいきますよ」と中野さん。‘期待度大’の、誕生したばかりのショップです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、地下鉄御堂筋線・谷町線、JR「天王寺」駅、近鉄「大阪阿部野橋駅」、阪堺上町線「天王寺駅前駅」、各駅から徒歩約6分。 【GARDEN DATA】 GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店 大阪府大阪市天王寺区茶臼山5番55号 TEL:06-6796-8010 https://gardeners-japan.jp/tennoji/ 営業時間:11:00 〜20:00/カフェ 11:00-22:00 休日:無休(年始を除く) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力:GARDENERʼS TENNOUJI てんしばイーナ店
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兵庫県
花の庭巡りならここ! 大小2つの温室で植物の息吹を感じる「手柄山温室植物園」
熱帯植物や砂漠植物が息づく大小2つの温室が充実する植物園 1980年にオープンした、歴史のある「手柄山(てがらやま)温室植物園」。敷地面積は11,334㎡で、ゆっくり散策して30〜40分ほどかかる規模です。植物を通して市民が交流できる憩いの場として、また植物の知識を普及する場として手柄山中央公園内に整備された植物園で、年間約3万もの人々が訪れます。 特筆すべきは、大小2つの温室。サボテン、洋ラン、ベゴニア、食虫植物を中心とした熱帯、亜熱帯、砂漠に生きる植物を120科1,500種、2万5,000株を展示しています。温室内にも四季があり、カエンボク→ブーゲンビレア→マンゴー→ラッセレア→グアバ→バナナ→アリストロキア・ギガンティア→オドントネマ→カリアンドラへと開花リレーが繋がり、見どころは季節とともに移ろいます。 温室以外にも、一年草など季節を彩る草花が植栽される大きな花壇、主にオーストラリア産の植物で構成されるロックガーデン、ラベンダーやセージ、タイムなど多様なハーブが植栽されたハーブ園などがあります。春は芝桜、パンジー、バラ、初夏はラベンダー、アジサイ、夏はペチュニア、ベゴニア、ヒマワリと、四季を通してさまざまな花木や草花で彩られ、いつ訪れても華やかです。 また、定期的に多様なイベントが開催され、リピーターが多いのも特徴。夏は子どもたちを対象にした「ジャコウアゲハとウマノスズクサ観察会」、「食虫植物観察会」、「市花さぎ草観察会」、秋は「手柄山散策ツアー」、3月には市花であるサギソウの球根を植え付け、育て方を学ぶ「さぎ草ふれあい教室」があります。 その他、エントランス展示室・レンガ広場展示室では、四季折々に旬の植物に注目し、年に十数回の展示入れ替えを実施。いつ訪れても楽しい企画展が開催され、「毎回の展示会が楽しみ」という声が寄せられています。園内では花苗の販売も行っており、企画展の内容に合わせて品種を豊富に揃えた花苗を目当てに訪れる人も多いとか。売店では土産物や雑貨も販売しているので、お買い物を楽しむのもいいですね、ぜひお出かけを! 日差しが燦々と降り注ぐ温室内で熱帯や砂漠の植物が旺盛に育つ 写真は大温室の様子。約660㎡のドーム空間では、オオギバショウ(タビビトノキ)、マンゴー、ガジュマルがシンボリックな存在。数々のトロピカルプランツが元気いっぱいに枝葉を広げ、冬でも植物の強い生命力が感じられます。写真に写っているのは、タコノキ、ラン類、食虫植物など。途中、階段の上には滝の噴出口があり、大温室内を巡る水のせせらぎにも癒やされます。 こちらの写真は小温室の様子。サボテンを中心に砂漠で生息する多肉植物を、原産地別に展示しています。写真に見えるのはブリンチュウ(武倫柱)、リュウジンボク(竜神木)、キンシャチ(金鯱)など。大きく立派に育った姿には、歳月を重ねたからこそ得られる迫力が備わっています。 ロックガーデン、ハーブ園も見どころ四季の企画展も多様に展開 写真は、園内のロックガーデンの4月の様子で、約1,000株の芝桜が見頃を迎えています。岩の合間を縫うように這い広がり、密に花をつけてピンクの濃淡に染め上げる様子は一見の価値あり。季節が進むと、このロックガーデンではグレビレア、バンクシア、ゼフィランサス、カリステモン、プロテア、メラレウカ、ルリマツリなどの植物が開花します。 また、ハーブ園には、約100種類のハーブが植栽されています。ミント、タイムなどの香りを楽しむものや、ラベンダー、ローズマリー、セージなど花の美しい種類も多くあります。 色や形が「白鷺」にそっくりなことから名づけられたサギソウ。姫路市は、市のシンボルである姫路城(別名白鷺城)にちなみ、昭和41年8月に姫路市の市花に定めました。手柄山温室植物園では、約1,000株が栽培されており、8月が見頃です。また季節に関係なく観賞できるよう専用の栽培温室を設け、周年咲くように開花調整しています。夏には「市花さぎ草展」を開催。 毎年12月にはシクラメン展を開催。約50種、200株のシクラメンがクリスマスツリーやリース、スワッグなどとともに展示され、クリスマスカラーで華やかに彩られます。展示会期間中は、シクラメンの奥深い世界を解説する展示ガイドが行われるほか、クリスマスにちなんだアロマ小物づくり、カラーベル演奏会なども開かれますよ! レストハウス「花の家」で一休み花苗や土産物のショッピングも楽しもう! 「手柄山温室植物園」には、レストランや喫茶店はありません。飲み物やアイスクリームなどは自動販売機で、また休憩コーナーのあるレストハウス「花の家」では、コーヒー、紅茶、パンなどの販売をしています。お弁当や飲み物、おやつなどの持ち込みもOK。園内には写真のように姫路市の南部地域を一望できるデッキテラスが設けられているので、風を感じながらランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。 園内のレストハウス「花の家」では、季節の草花や園芸資材のほか、各種展示会に応じた植物を販売しています。写真はシクラメン展期間中の様子で、多品種が揃っています。オリジナルブレンドの培養土も人気商品の一つです。 また、手柄山温室植物園オリジナルのポストカードほか、さぎ草グッズ、ハーブグッズ、雑貨、「姫路モノレールグッズ」のレアアイテムを扱う売店もあり、お買い物も楽しめますよ! Information 姫路市立手柄山温室植物園 所在地:兵庫県姫路市手柄93(手柄山中央公園内)TEL:079-296-4300 手柄山温室植物園 姫路 手柄山 温室 植物園 (公式)(@tegara_shokubutsuen) アクセス:電車/山陽電車、「手柄駅」下車、のち西へ徒歩約10分バス/神姫バス、(JR姫路駅北口発)94系統「手柄山中央公園口」下車、のち西へ徒歩約5分(※土日祝日・夏休みには、園真下の停留所に留まる便利な『手柄山ループバス』が運行。神姫バス、(JR姫路駅南口発)97系統「武道館植物公園前」下車すぐ。詳しくは神姫バスHP「手柄山ループバス」参照)車/姫路バイパス「中地ランプ」から約10分 休園日:金曜日(祝祭日の時はその前日が休園日)、12月29日~1月1日 営業時間:9:00~17:00(※入園は16:30まで) 料金:大人210円、小人(6歳から中学生)100円※団体(30人以上)の場合、大人170円、小人50円 駐車場:普通車/手柄山中央公園内駐車場(温室植物園前駐車場 または手柄山中央公園内駐車場 徒歩約5分) 1日1回200円大型バス/山上まで上がれないので、ふもと近くで乗客下車後、車両だけ野球場西駐車場 または文化センター南駐車場へ停車を。1日1回800円。
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大阪府
花の庭巡りならここ! 体験型イベントが盛りだくさんの温室植物園「咲くやこの花館」
地球上のさまざまな気候帯に根づく多様な植物をコレクション 1990年にオープンした「咲くやこの花館」は、建築面積約4,750㎡、延床面積約6,890㎡で、じっくり展示を眺めて歩くと1時間以上かかる広さ。大阪市で開催された「国際花と緑の博覧会」のメインパビリオンとして建設された植物園です。園内には、5,500種、1万5,000株がコレクションされ、そのうち常に300〜400種が開花するように栽培されています。 館内は「熱帯雨林植物室」「熱帯花木室」「乾燥地植物室」「高山植物室」にゾーニングされ、地球上のさまざまな気候帯に生息する植物を見学することができます。ヒマラヤの青いケシ(メコノプシス)、フニーバオバブなど、数々の珍しい植物が揃う点も見どころです。バックヤードで温度調整、開花調整を行って、一年を通じてさまざまな花が見られる工夫がなされ、なんと夜に咲く月下美人を日中に開花させる技術も披露しています。 また、屋外に外部庭園も整備されているので、こちらにも足を運んでみたいもの。熱帯の水辺を模したロータスガーデン、熱帯植物の中でも耐寒性のあるものを集めたトロピカルガーデン、ジャカランダがシンボルツリーのブロッサムガーデン、地中海式気候で息づく植物を集めたメディタレニアンガーデン、英国様式の見本庭園プチイングリッシュガーデン、乾燥地気候に根差す植物を集めたデザートガーデン、山野草の栽培に好適な、岩を組み合わせて作ったロックガーデンなど、多様な庭園スタイルを見学できます。 「咲くやこの花館」では、一年を通してさまざまな企画展やイベントを行っているのも魅力の一つです。「咲くや塾」と題し、植物など生物に関する大切な話や、企画展のテーマに合わせた話をしたり、他にも寄せ植えやドライフラワー、プリザーブドフラワー制作の講習会、収穫体験会、クラフト体験会など幅広く展開しています。 館内にはレストランがあるので、ランチを楽しむのもいいですね。営業時間は11:00〜15:30(ラストオーダー15:00)、定休日は月曜です。メニューはお弁当、カレー、麺類など軽食がメインで、価格は500円〜。また、吹き抜けのフラワーホールではカフェ(不定期)もオープンしています。館内への飲食物の持ち込みも可能で、限られたエリア内で飲食できます。 また、ミュージアムショップも大人気。植物に関する雑貨や「咲くやこの花館」ならではのオリジナルグッズ、書籍、食品、植物、花苗などが多様に揃い、お土産や記念品などのショッピングも満喫できます。年間約23万人が訪れるという「咲くやこの花館」は、一度は観ておきたい、充実の植物園です。 ガラス張りを通して燦々と光が差す温室では自生地で見るような自然な姿に植栽 「熱帯花木室」では、熱帯の果樹類やヤシ類、美しい花の咲く熱帯性の花木などをメインに植栽しています。トロピカルフルーツは、スターフルーツ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ライチ、レンブ、ジャボチカバ、ドラゴンフルーツ、アセロラ、パイナップルなど多彩。日本では自生するのが難しいものばかりなので、どんな樹姿で、どのように実をつけるかを子どもと一緒に観察すると、食育の場にもなりそうです。 「熱帯雨林植物室」では、熱帯雨林のジャングルをイメージして植栽されています。ジャングルに自生する植物に着生して育つ多種多様なラン類も自然に近い姿で再現。また、沖縄や東南アジアに自生する植物として有名なサガリバナや、世界一横に大きな葉で有名なオオオニバス、色とりどりの熱帯スイレンなども見られます。基本的に、同じ仲間の植物を近い場所に配置しており、同属内での形や色の変化などを視覚的に分かりやすくした展示も特徴的です。 「咲くやこの花館」では、毎日フラワーツアーを開催しています。個人での参加の場合は当日受け付けOK(団体の場合は要予約)。参加費は無料で、約30分かけて館内の植物の見どころやイベントの紹介などのガイドを受けられます。館内案内所で申し込みができ、受け付け開始は10:30〜、12:30〜、14:30〜。出発時間は11:00、13:00、15:00で、先着20名まで。 季節を通してさまざまな企画展を開催体験型のワークショップにもぜひ参加を 「咲くやこの花館」では、季節に合わせてさまざまな企画展を行っており、これがリピーターが多い理由の一つです。毎年3月頃に開催されるのは、約200品種が展示される春の洋蘭展。1階フラワーホール中央のステージを中心に、「大阪愛蘭会」の会員のみなさんが手塩にかけて育てた、数々の洋蘭が見られます。この企画に合わせ、育て方の講習会や展示解説が行われるほか、約2,000株の洋蘭が販売されます。 ゴールデンウィークに合わせて開催されるのは「熱帯フルーツ展」です。約20種の熱帯フルーツや、実際に木になっている様子を展示。写真のように色とりどりのタイの傘を吊してステージショーを開催するなど、会場全体が熱帯地域の雰囲気で包まれます。 7〜9月頃に開催されるのは、食虫植物を約50品種集めて展示する「虫を食べる植物展」。特に子どもに人気の高い企画展で、毎年テーマが変わります。食虫植物が虫を食べる様子を、実演を交えつつ行うライブ解説や、食虫植物の育て方講習会、食虫植物グッズを作るワークショップなど、多彩なイベントを実施しています。 クリスマスを盛り上げる飾り付けが素敵!毎年開催する音楽コンサートも大人気 クリスマスのシーズンには、毎年テーマを変えた飾り付けが行われます。世界各地のツリーの展示のほか、色とりどりのポインセチアやクリスマスツリー、リース、イルミネーションなど、華やかなディスプレイが見どころ。フォトスポットも登場するので、訪れた記念に、ぜひSNS映えする写真を撮りましょう! 毎年、大温室では地元の中・高校吹奏楽部によるクリスマスコンサートも開催、定番のクリスマスソングや世代を超えて楽しめる音楽が披露されます。2019年のスケジュールは以下の通りです。 日程と出演:12月15日(日)大阪信愛学院中・高等学校12月21日(土)大阪国際滝井高等学校12月22日(日)大阪府立四條畷高等学校 演奏時間:15:00〜16:15 会場:1Fフラワーホール 参加費:無料(別途入館料) ※イベント内容・展示は変更となる場合があります。 年明けからもイベント目白押し冬の「咲くやこの花館」を満喫しよう! 1月5日(日)~26(日)は、「POPなきのこ展」を開催。前回の初開催では、14日間で1万3,000人を超える来場者があり、大反響でした。きのこの標本に、虫から出てくるきのこ「冬虫夏草」標本。そして、きのことコケの融合「きのこリウム」の展示は、おそらく日本初⁉︎ SNSで話題になった、きのこリウムの世界に入ったようなフォトスポットも再び登場します。きのこにまつわるさまざまなワークショップが行われ、ここでしか手に入らないきのこグッズも販売。ポルチーニアイスの試食も予定(土・日曜・祝祭日限定)。1月25日(土)には、きのこ博士の講座に、さまざまなきのこ分野で活躍する方々のトークショーを開催。最終日に予定されている、きのこお洒落が集うきのこのファッションショー「きのこコレクション2020」も大注目です。 2月1日(土)~3月1日(日)は、若い世代に大人気の「カカオとコーヒー展」を開催。実際に実がついているカカオやコーヒーノキを目の前で観察できます。 そして、「カカオとコーヒーのなるほど!ライブ解説」(1日3回無料)では、人とカカオやコーヒーの歴史、関わりを紹介。チョコレートの原料となるカカオニブスの試食も体験できます。 行列ができる人気ロースターやバリスタチャンピオンによるセミナー、グルメに関するワークショップが実施されるほか、3月1日にはミニ・ライブも開催。ワールドトラベルカフェ(期間中毎日開店)では、世界13カ国のアレンジコーヒーやカカオティーを楽しめます。 冬の「咲くやこの花館」は、「おいしい、あったか、いい香り」。 植物が生い茂る温室で、ほっこりしませんか? ※イベント内容・展示は変更となる場合があります。 Information 咲くやこの花館 所在地:大阪府大阪市鶴見区緑地公園2-163TEL:06-6912-0055 大阪の植物園-咲くやこの花館 アクセス:Osaka Metro長堀鶴見緑地線「鶴見緑地」駅より徒歩約10分 オープン期間:1月5日~12月27日 休園日:月曜(祝祭日の場合は翌平日) 営業時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) 料金:大人500円※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料【要証明(生徒手帳、健康手帳、敬老優待乗車証等の原本)】※団体割引あり 駐車場:有(中央第2駐車場 大型車8台 普通車200台)
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兵庫県
花の庭巡りならここ! ダイナミックな欧風噴水庭園は必見「神戸市立須磨離宮公園」
上皇陛下ご成婚を機に整備された庭園「王侯貴族のバラ園」が見どころ 「神戸市立須磨離宮公園」は、かつての皇室の別荘「武庫離宮」の跡地につくられた都市公園です。1958年に、当時皇太子だった上皇陛下ご成婚の記念事業として整備が始まり、1967年に正式に開園しました。メイン施設や噴水広場のある「本園」は17.8ヘクタール、「植物園」は5.2ヘクタールで、ゆっくり散策して2時間くらいかかる規模です。 「本園」のデザインを手がけたのは神戸大学工学部で、水をモチーフにした美しい欧風噴水庭園となっています。レストハウスから湧き出た水はメインフォールの滝、カスケードの流れとなって公園中央をストレートにつなぐ水路につながり、最終的に大噴水にたどり着きます。その水路に沿って左右対称にバラが植栽されているのが、「王侯貴族のバラ園」。ここは「神戸市立須磨離宮公園」のメインガーデンで、約180種、4,000株のバラによって豊かに彩られます。本園には、ほかに「つばき園」、「花しょうぶ園」もあります。 一方、「植物園」には、観賞温室や和庭園があるほか、洋風庭園の「花の庭園」、「梅園」、「ぼたん園」、「あじさい園」、「もみじ道」などがあります。園内は、いつ訪れても何かしらの花が見頃を迎えるように、開花リレーでつながれているので、年に何度も訪れるリピーターが多いのが特徴です。 「神戸市立須磨離宮公園」では、毎月さまざまなイベントが開催されており、園内ガイドや蝶の観察会、クラフト体験、ツリーイング、ヨガ、コンサートなどコンテンツも多様なので、事前にホームページをチェックして出かけてみましょう。オススメは「バラ年間管理コース ローズ★Grower」で、年2回の講義をもとに屋外で1年間、全10回の実習を重ねる、バラの育て方の講習会です。事前申し込みが必要で、申し込み順で定員は20名。参加費は無料です。バラのプロフェッショナルに直に教われば、栽培テクニックが確実に上がりそう。ガーデナー仲間も増えるかもしれませんね。ぜひご参加を! 5月中旬〜下旬と10月下旬~11月がバラ園の見頃煙るように咲く4,000株のバラを堪能! 「本園」エリアの一番の見どころは「王侯貴族のバラ園」。見頃は5月中旬で、約180種、4,000株が植栽されています。旧離宮の跡地という歴史にちなみ、日本の皇室や王侯貴族、芸術家などの名がつけられたバラがコレクションされています。縦長に続く噴水の水路を中心に、左右シンメトリーに展開。手前の赤バラはイタリア語で「乾杯」を意味する‘チン・チン’、奥のオベリスク仕立ては‘ドルトムント’で、赤バラの美しいコーナーです。 「世界バラ会議」で殿堂入りした品種17点を集めた「世界殿堂入りバラ園」や、原種からオールドローズ、モダンローズまで品種の進化の過程が分かる「バラの歴史と文化園」もあります。四季咲きの祖コウシンバラや黄バラの祖ロサ・フェティダなど、品種改良のカギとなったバラのコレクションも必見です。写真はローズフェスティバル期間中の日曜に開催されるバラガイドの様子。予約は不要で、10:30〜と13:30〜の一日2回、30分ほどを目安に、バラ園をガイドしてくれます。 もちろんバラだけじゃない!「神戸市立須磨離宮公園」の彩り豊かな四季 「神戸市立須磨離宮公園」の梅園では、1月上旬から早咲きの品種‘玉牡丹’、‘八重寒紅’が咲き始めます。1,500㎡の園地に約20種、160本の梅が植栽されており、見頃は2〜3月上旬。足元にな菜の花も咲いて、春の到来に心浮き立つ気分になりそう。2月上旬〜下旬には、梅見会とお茶会が開催されます。3月上旬には、1本の木に紅白2色の花をつける、人気の品種‘思いのまま’が咲き始めますよ! 写真は「花の庭園」エリア。バラや宿根草、一年草が混植され、一年を通して華やかな花壇をつくっています。毎年テーマを設けており、2019年は「3つのアイ」。驚くほど目を引く花の「Eye」、可愛らしく楽しい花の「Love(愛)」、須磨の海をイメージさせる青い花の「藍」です。写真は5月頃で、カラフルに目を引く一角です。 「植物園」にある「ぼたん園」の見頃は4月中旬~下旬で、約40種、200株のボタンを植栽。開花期間は1週間ほどですが、早咲きから遅咲きまでバランスよく集められているので、品種ごとに開花リレーをして、長く観賞できます。幾重にも花弁を重ねるゴージャスな咲き姿に、うっとりと見入ってしまいそうです。 「本園」の南東にある、「花しょうぶ園」には約60品種、4,000株が植栽されています。見頃は5月中旬頃。古種も揃い、伊勢系、江戸系、肥後系など系統別に植栽されています。黄系の種間交配種や外国種も見られるほか、平安時代から月見の名所とされてきたことから、『源氏物語』にちなんだ名を持つ品種、‘明石’、‘葵の上’、‘光源氏’なども見られますよ! 11月下旬〜12月上旬は、紅葉の季節。植物園内の「もみじ道」や「もみじ滝」、「和庭園」の散策がおすすめです。イロハモミジを中心とした紅葉の美しい落葉樹は、園内に約600本が植栽されています。 同じ時期には、温室で「秋の洋らん展」が開催されるので、ぜひこちらにも足を運んでみましょう。約200鉢が展示され、甘い香りで満たされます。 眺望のよいレストランでランチやティータイムをカジュアルなカフェスタンドも大人気! 公園を一望できる位置に、レストラン「ガーデンパタジェ 須磨離宮」があるので、庭園を眺めながらのランチやお茶はいかが。モーニング9:30〜11:00、ランチ11:00〜15:00、カフェ11:00〜16:15(L.O.)、木曜定休。ランチメニューは自家製手ごねハンバーグ1,800円、淡路の生パスタ自家製ミートソース1,300円、自家製キーマカレー1,200円、キッズランチ700円など多様です。 ※レストランのご利用は別途入園料が必要です。 写真は、「ガーデンパタジェ 須磨離宮」の人気メニュー、十勝産の小麦と醗酵麹を生地に用いたバブルワッフル プレーン(蜂蜜とバター)、ドリンクつき600円です。トッピングも選べて、チョコナッツ、抹茶ジャポネ各900円、サンシャインオレンジ950円、ベリーベリーベリー1,000円もあります。 また、レストランでは園内で採れたハチミツ「Rikyu Honey」(110g1,200円、170g1,800円)も販売していますよ! 「ガーデンパタジェ 須磨離宮」からの出店、テイクアウトスタイルの「Garden Table」も大人気。土・日曜、祝日のみ、11:00〜16:00の営業です。ビーフパイ500円(チーズ入り600円)、ソフトクリーム(バニラ、ベリー、バラとラズベリー)400円。コーヒー、マンゴーラムネ、洋ナシラムネなどの飲み物も販売しています。 Information 神戸市立須磨離宮公園 所在地:兵庫県神戸市須磨区東須磨1-1TEL:078-732-6688https://www.kobe-park.or.jp/rikyu/ アクセス:公共交通機関/山陽電車「月見山駅」、「須磨寺駅」、「東須磨駅」から徒歩10分JR・山陽「須磨駅」から市バス「妙法寺駅行(75系統)」「離宮公園前」下車すぐ市営地下鉄「妙法寺駅」から市バス「須磨一の谷行(75系統)」「高倉台南口」下車南へすぐ車/姫路方面からは第二神明「須磨インター」おりてすぐ大阪方面からは阪神高速「月見山インター」おりて約1,200m 休園日:木曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)※イベント時の臨時開園、夜間開園あり。 開園時間:9時~17時(入園は16時30分まで) 料金:15歳以上(中学生を除く)400円、小・中学生200円 駐車場:300台(乗用車1回500円、二輪車1回100円)
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三重県
花の庭巡りならここ! 花のカーペットが壮大に広がる「メナード青山リゾート ハーブガーデン」
「美と健康」がテーマのリゾート地 そよ風が薫るハーブガーデン 1977年にオープンした「メナード青山リゾート」。リゾートホテルやゴルフコース、テニスコート、陶芸館や木工館、各種レストランなどを含む総合リゾート施設です。ここでご紹介したいのは、2007年にオープンした敷地面積8万㎡を誇るハーブガーデン。大人の足で一通り見て回るのに約90分、ゆったりと癒しのひとときを過ごせます。 「メナード青山リゾート」は、化粧品メーカー「メナード」直営のリゾート施設で、「美的生活提案」がコンセプト。「美と健康」をテーマに、健康によいとされるハーブガーデンを運営しています。スタッフがリサイクルによって堆肥をつくるなど、できる限り化成肥料や農薬を控えた有機栽培に努めているのもこだわりです。 園内は、花々が虹を描くように色彩豊かに彩る「レインボー畑」、暮らしを豊かにするハーブを集めた「ライフガーデン」や「リビングガーデン」、ウエディングも行える「ローズガーデン」など、テーマごとにエリア分けされています。年に約3回の大規模な植え替えを行い、一年を通して約300種の植物を植栽。標高約600mの高原では、乾燥した涼やかな風が心地よく、昼夜の温度差によって花色がより冴えた発色を見せるのも見どころです。 広大な敷地を生かした、一面を花で埋め尽くす演出は迫力満点で、山々を望む借景の美しさも相まって、ビジュアルの美しい写真を撮影できます。四季折々に生花を摘んだブーケづくりや寄せ植え教室などのイベントも行っており、体験メニューも充実。年に約2万5,000人が訪れ、リピーターも多いのが特徴です。 春から秋まで旬のハーブの香りを楽しめる 一番人気は、一面が紫に染まるラベンダーの季節 「メナード青山リゾート ハーブガーデン」のエントランス。ここで入場料を支払って、入園チケットを購入します。その日一日に限り、チケットの半券を見せれば出入りフリーです。園内へのお弁当などの持ち込みや、ペット同伴はNG(但し盲導犬は可)。ブランチカフェがあるので、休憩はどうぞそちらへ。 写真はカモミール畑で、見頃は5月下旬〜6月上旬。約2,000㎡に、およそ2,000株が植栽されています。満開の時期には白い絨毯となって一面を覆い尽くし、甘い香りに包まれて幸せな気分に。2019年は6月15・16日に収穫祭を行い、摘み取り体験(540円)を実施。なんと抱きかかえられないくらい収穫してOKな、太っ腹企画なんです! 「ドライにすればハーブティー1年分は困らない!」と、毎年楽しみにしているリピーターの姿も見られます。 写真はラベンダー畑。園内にはいくつかのラベンダーエリアがあり、敷地内に計1万㎡、約1万株を植栽。見頃は6月中旬〜7月中旬です。まず‘濃紫’が6月中旬〜7月中旬に開花、次に‘オカムラサキ’が6月下旬〜7月中旬、最後にラバンジン系のイングリッシュラベンダーが7月上旬〜中旬と、見頃が大きく3つに分かれ、長く楽しめます。 2019年のラベンダーフェスタ期間は6月15日〜7月15日で、毎日摘み取り体験(510円)を開催。こちらは開花中なので、束にして人差し指と親指で作る輪に入る程度までという制限があります。7月6・7日には‘オカムラサキ’の収穫祭、7月13〜15日にはラバンジン系の収穫祭を開催。同時に、エッセンシャルオイルの抽出実演も披露されます。 10月中旬〜11月下旬には、セージが見頃になります。約1万㎡に約4万株を植栽。メキシカンセージ、ラベンダーセージ、ボックセージ、サルビア類など、約10〜15種類が色とりどりに花を咲かせます。開けた青空の下、花のカーペットを前にインスタ映えする写真が撮れそうです。2019年は9月28日〜11月24日の期間にミニ花束づくりの教室を、11月22〜24日は収穫祭を開催します。 ハーブ苗やオリジナルブランド「あおやま」など 充実の品揃えが嬉しいショップも併設 「メナード青山リゾート」では、苗の販売も行っています。ハーブを中心に年間100種以上を揃え、季節の旬の苗が豊富に並ぶので、ぜひパトロールを。園内で一目惚れした植物を購入できるかもしれませんよ! 特に人気が高いのは、ラバンデュラ(イングリッシュラベンダー系)や、早咲き品種の‘オカムラサキ’などです。 「メナード青山リゾート」のオリジナルブランド「あおやま」が揃うショップ。ラベンダー、カモミール、月下美人、ローズ、カサブランカなど癒し効果のある香りを配合したコスメアイテムがずらり。ボディエマルジョン、ハンドモイストスムーザー、バスシャワージェル、オーデトワレなど充実のラインナップです。ここでしか手に入らないアイテムですが、気に入った方に向けて通信販売にも対応しています。 園内のブランチカフェ「ルッコラ」で 自家製ハーブのランチやドリンクを堪能 園内のブランチカフェ「ルッコラ」の内装は、丸太の椅子が愛らしいナチュラルスタイル。営業時間は10〜16時、定休日なし、60席あります。主な価格帯は、フードが1,200円前後、ドリンクが500円前後。自家製ハーブを使ったハーブランチやパスタ、カレーのほか、オリジナルブレンドのハーブティーがオススメです。 写真は、一番人気のラベンダーソフトクリーム(410円)。ここでしか味わえない、オリジナルのフレーバーです。バニラクリームにほんのりとラベンダーの香りが混じる、意外にさっぱりとした風味。リンゴのような甘い香りを楽しめる、カモミールソフトクリーム(410円)もあります。 Information メナード青山リゾート ハーブガーデン 所在地:三重県伊賀市霧生2356 TEL:059-269-3181(予約センター 059-54-1236) https://www.menard.co.jp/resort/ アクセス: 公共交通機関/近鉄大阪線伊賀神戸駅から予約制無料送迎バスで約30分 近鉄大阪線榊原温泉口駅から予約制無料送迎バスで約30分 車/名阪国道上野東ICから約40分 伊勢自動車道道久居ICから約50分 オープン期間:4月26日~11月24日(2019年) 休園日:なし 営業時間:9:00~17:00(最終入園16:00) 料金:大人540円、小学生270円(4月26日〜5月24日、8月1日〜9月27日) 大人1,080円、小学生540円(上記以外) ※いずれも2019年・税込料金 駐車場:100台(無料) 併せて読みたい ・連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【北海道・東北・関東】 ・宿根草ショップの店長が提案! 実用的でお得な宿根ハーブ5選 ・バラを育てたい! 初心者さん必見 野生種、オールドローズとモダンローズなどバラの種類を分かりやすく解説 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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和歌山県
花の庭巡りならここ! 貴重な絶滅危惧種も見られる「和歌山県植物公園 緑花センター」
子ども連れのファミリー層を中心に 県民に愛される憩いの植物公園 1979年にオープンした「和歌山県植物公園 緑花センター」は、11.17ヘクタールもの規模を持ち、大人の足でゆっくり歩いて2時間ほどの散策を楽しめます。和歌山県民の憩いの場として愛され、年間の来園者数は約19万人。自然の地形、木々を生かした公園では、樹木が約500種5,000本、草花は約1,000種、約2万株が見られます。 園内は、四季折々の草花で魅了する「パノラマ花壇」、ハーブ類や香りのよい植物を集めた「香りの森」のほか、梅園、バラ園、アジサイ園、ハス池、温室、芝生広場などにゾーニングされ、いつ訪れても見頃を迎えた花々が出迎えてくれます。特に、絶滅危惧種に指定されているハナガガシ、紀伊半島特産で絶滅が危惧されているキイジョウロウホトトギスは、この公園以外ではあまり見かけないので、必見です。 園内ではお弁当を広げる家族連れも多く、ベンチや屋根つきの休憩所、スロープなどが整備され、幅広い世代が安心してのんびり過ごせます。「わんぱく広場」では遊具が大変充実しており、子ども連れの家庭では花見も遊びも楽しめ、一日過ごしても飽きない、人気のレジャースポットです。 四季を通して花々で彩られ いつ訪れても旬の開花を楽しめる 「和歌山県植物公園 緑花センター」には広い梅園があり、45品種、69本のウメが植栽されています。まだ寒さの厳しい1月下旬から開花し始め、見頃を迎えるのは2月中旬〜3月中旬。ひと足早く春の訪れを感じさせてくれます。同じ頃に、園内ではクリスマスローズ、ツバキ、サザンカ、ロウバイ、スイセン、シクラメン、ビオラなどが開花。「古典植物と山野草展」のイベントも開催しています。 「和歌山県植物公園 緑花センター」では、14品種、340本の桜が各所に植栽されています。見頃は3月下旬〜4月上旬で、2019年は3月26日(火)と4月2日(火)に桜臨時開園が行われます。自由にレジャーシートを敷いてお花見でき、桜の下、数カ所には桟敷が設置されるので、そちらも利用できます。飲食物の持ち込みOK、飲酒も可能ですが、公共施設なので節度をもって楽しみたいですね。カラオケセットの持ち込みや、バーベキューなど火気の使用は禁止となっています。 「和歌山県植物公園 緑花センター」のメインスポットといえる「パノラマ花壇」は約3,500㎡の広さを誇り、約2万株の草花で彩られます。一年草を中心に季節ごとに模様替えされるので、季節感あふれる花や新しい品種の花々で、いつ訪れても爛漫たる景色。写真は、4月下旬にオレンジや黄色、白などのポピーが咲き広がる様子です。 「和歌山県植物公園 緑花センター」には、75品種、350株ものバラ園があります。見頃は春が5月中旬〜下旬、秋は10月中旬〜12月下旬。写真のような満開時には、漂う芳香にも癒やされます。バラ園を利用して、実践的に学べる「バラの手入れ教室」も開催。冬季剪定を中心に、植え付けや誘引方法、病害虫の種類と駆除、肥料の施し方など、年間の手入れ方法を解説しています。 「和歌山県植物公園 緑花センター」には50品種、約1,000株が植栽された「あじさい園」があります。見頃は6月上旬〜7月中旬。ブルー、紫、ピンク、白など多彩な花色と、ガクアジサイや西洋アジサイなど、さまざまな花姿を楽しめます。また、充実した「あじさい園」を利用して、アジサイの剪定方法をはじめ、特徴や種類、年間の管理方法や増やし方を、講習と実習を通して学べる「アジサイの剪定教室」が開催されています。 熱帯植物が多数お目見えする温室のほか、 土産物ショップも充実! 花が少なくなる冬の寒い時期には、ぜひ暖かい温室を訪ねてはいかが? サボテン、多肉植物、食虫植物、果樹類、ベゴニア類、ラン類など熱帯・亜熱帯の植物が見られます。特にフィリピン諸島のごく限られた熱帯雨林にしか自生していない、ヒスイカズラは見もの。花色が宝石の翡翠に似ていることから名づけられた、エメラルドグリーンの大きな花穂を下げて咲く姿は、一見の価値ありです。 「和歌山県植物公園 緑花センター」の本館には、和歌山県特産の優良土産品を扱う「紀州ふるさとの店」があります。雑貨、ガーデニング用品、お菓子、お寿司、ハチミツ、アイスクリームやジュースなど品揃えも多彩。主な価格帯は300〜700円でリーズナブルな設定です。ここでアイスクリームやパン、お饅頭、お寿司などを購入して、園内の花見を楽しみながら、もぐもぐタイムを満喫するのもいいですね。 人気の寄せ植え教室は早めの予約を! 週末を中心に多様なイベントが楽しめる 「和歌山県植物公園 緑花センター」では、月に1度開催される寄せ植え教室が大人気。約1時間半かけて、季節の草花と花木のアレンジのテクニックなどを学びます。材料や道具は揃っているので、手ぶらでOK、気軽に参加できますね(汚れが気になる方はエプロンや手袋を持参するのがオススメ)。チケット制なので、事前に寄せ植え参加チケットの購入が必要です。 寄せ植え教室のほかにも、週末を中心にクラフト教室、フリーマーケット、ハンドメイド作品展示即売会、郷土食カフェ、コンサートなどの各種イベントが開催されています。スケジュールは公式ホームページで随時更新されるので、事前にチェックして出かけるのもいいですね。写真は、クラフト教室「松ぼっくりでクリスマスツリーを作ろう」のひとコマです。 Information 和歌山県植物公園 緑花センター 所在地:和歌山県岩出市東坂本672 TEL:0736-62-4029 http://www.w-botanicalgarden.jp/ アクセス:公共交通機関/JR和歌山線 岩出駅より岩出市内巡回バス利用(東巡回コース)、バス停「緑花センター・根来公園墓地前」下車、約100m JR阪和線 和泉砂川駅より和歌山バス那賀利用(近畿大学経由 岩出駅前行)、バス停「緑花センター」下車、約100m 南海本線 樽井駅より和歌山バス那賀利用(近畿大学経由 岩出駅前行)、バス停「緑花センター前」下車、約100m オープン期間:通年 休園日:火曜日(ただし火曜日が祝日の場合は、翌平日) 営業時間:9:00~17:00(入園は16:30まで) 料金:無料 駐車場:約500台・無料 併せて読みたい ・「私の庭・私の暮らし」インスタで人気! 雑木や宿根草、バラに囲まれた大人庭 千葉県・田中邸 ・日本の春を彩る美しい花 桜の名所に出かけよう ・知っておきたい! 流行中のバラトレンドと、オススメ品種10選 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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兵庫県
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪5 兵庫「みどりの雑貨屋」
雑貨好きにはたまらないショップ「みどりの雑貨屋」 生活提案型の大型ショッピングモール・西宮ガーデンズ内にある「みどりの雑貨屋」。このショップではモールのコンセプトにふさわしく、グリーンと雑貨でつくる潤いある生活を提案しています。商品はマニアックというよりも、「ガーデニングの初心者も手軽に始めてもらいたい」という思いでスタッフが選んだものばかり。‘育てやすいグリーン×雑貨’に特化した、ありそうでなかなかないショップです。 ‘かわいい’がぎっしり詰まった宝箱のようなショップ ショップに一歩足を踏み入れると、たくさんのグリーンと愛らしい雑貨の森に入り込んだような、ファンタジーな世界にワープした感覚を覚える「みどりの雑貨屋」。100㎡ほどの空間には細い通路がめぐらされ、小さいながらもさまざまなシーンに出合えます。商品数はとても多いのですが、センス良く整然と並べられているので、気持ちよく売り場を見て回れます。 グリーンはすべて、鉢や雑貨と一緒に並べられています。コーディネートに不慣れなビギナーでもイメージしやすいよう、こまやかな提案がなされています。 ショップの中央に設けられたパーゴラが、売り場のシーンの切り替えに大活躍。いろいろなものを置いたり吊ったりと、楽しく飾った見どころの多い空間です。 マクラメやワイヤーバスケットなど、ハンギングアイテムもたくさん。 愛らしい寄せ植えも参考にしたいものの一つ。ベランダガーデンにオススメのオリーブの木も、実付きを考えて2品種以上選べるよう、いろいろな品種が用意されています。 悪条件の場所にオススメのフェイクのグリーンも充実 店内にはたくさんのグリーンがありますが、販売の回転が速いこともあり、どれも瑞々しい状態を維持。スタッフ全員で万全な管理を行っています。しかし、「玄関やトイレなど光が入らない空間にもグリーンを飾りたい」という声が多く寄せられたことから、フェイクのグリーンも多数扱っています。 「最近のフェイクはとてもよくできているので、植物と同じぐらい瑞々しさを感じさせてくれます。特に室内や、日当たりや風通しの悪いスペースなどにオススメですね」と、ショップのコーディネーターであるRIKAさん。悪条件になる場所では、こういったもので対応すればストレスなく過ごせますね。 室内での管理が難しい多肉植物。うまくいかない時は、本物のように瑞々しいフェイクを使ってみませんか? アートフラワーも充実。上品な色合わせで、アンティーク調の雑貨と親和性が抜群。ブーケ状になっているので、おもてなし時のコーナーづくりにぴったりです。 コンテナも什器も要チェック売り場にあるものすべてが商品 おしゃれなコンテナも充実。大きさ・色・形などバリエーション豊かに並びます。いずれもグリーンや雑貨に合わせやすいデザインのものが選ばれているので、ビギナーさんでも考え込まずに購入することができます。 大きなコンテナは土が入るとずっしりと重くなってしまうので、女性でも扱いやすい軽い素材のものも取り扱っています。色は植物や雑貨となじみやすいアイボリーやグレーのものが中心。使う側の目線に合わせた商品選びが感じられます。 また、コンテナを飾っている什器も販売されており、商品の雰囲気を引き立てるように黒や木製のもので統一されています。「ナチュラルなものやメンズライクなテイストは、グリーンが美しく映えるし、雑貨とも合わせやすいんです」とRIKAさん。 キャベツボックスは、オランダの農家で使われていたものを忠実に再現した、ショップのオリジナル商品。細部までこだわり、材を釘だけでなくカスガイでもとめて、底面をメッシュにした本格的な仕上がり。強度も抜群です。 おしゃれなコーナーづくりに欠かせないアイテムも 植栽に忍ばせたり、コンテナに添えたりと、シーンの雰囲気を高めてくれるアイテムもバラエティー豊富に揃っています。たくさんある中から、お気に入りの一点を探すのも楽しい時間です。 洋書の世界のようなお手本にしたいディスプレイ 小さなスペースを巧みに生かし、さまざまなテイストで提案している見ごたえのある‘グリーン×雑貨’の楽しみ方。ディスプレイは月に2~3回と頻繁に変えているので、行くたびに新たなシーンが楽しめます。眺めているだけでもセンスアップにつながること請け合い。 緑色の花瓶とボタニカルアート、ボックスなどを盛り込んだ、つややかなコーナー。 異なるテイストのコーナーが、スムーズに、そして自然に移り変わる見事なディスプレイ。小さなスペースでいろいろ楽しみたい人に、とても参考になる技です。 ガラスのケースに並ぶ、乙女チックな趣のアイテム。やさしい花色のバラと一緒に飾っても素敵。 クラフトのリースも大人気。リースひとつでシーンの雰囲気がガラリと変わるので、ぜひ季節ごとに替えてみて。 RIKAさんイチオシのグッズはコレ!ウッディボックスキャリー みどりの雑貨屋がオススメするのは、「グリーンを部屋に飾る時は鉢カバーにもこだわってほしい」という思いで作ったオリジナルの木製カバー。色は落ち着いたブラウンで、空間のスタイルやテイストを問わずに使えます。作りはキャベツボックスと同様で非常に丈夫。底部にキャスターをつけることができるのも、オススメポイントの一つです。 サイズはLとSの2つ。8号サイズが入るL(W29.5 × D29.5 × H31 cm)と、6号サイズが入るS (W23 × D23.5 × H24.5 cm)。 グリーンと雑貨で見せる‘かわいい’空間づくりにこだわった「みどりの雑貨屋」。‘おもちゃ箱をひっくり返したよう’をイメージして展開された店内には、植物から広がる楽しさのアイデアがたっぷり詰まっています。ぜひ、お気に入りのアイテムを見つけに訪れてみてください。アクセスは、阪急電鉄神戸線「西宮北口駅」から直結する阪急西宮ガーデンズ内。 【GARDEN DATA】 みどりの雑貨屋 所在地: 兵庫県西宮市高松町14-2 阪急西宮ガーデンズ 1階 東モールTEL: 0798-65-4187URL: http://midorinozakkaya.com/ 営業時間:10:00~21:00定休日:無休(正月を除く) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪1 岩手・雫石「花工房らら倶楽部」・ガーデンデザイナーが教える「寄せ植え上手」のコツ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア
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大阪府
素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪4 大阪「Kanekyu金久」
寄せ植え好きにはたまらないショップ「Kanekyu金久」 店頭にずらりと並ぶたくさんの花々が、広い通りで目を引くショップ「Kanekyu金久」。春には外壁を覆うつるバラ‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’の美しい花が、華やかに出迎えてくれます。この店の開店時間は、園芸店には早い午前9時。オープンと同時に次々とお客様が訪れています。 お客様を飽きさせない 工夫を凝らしたショップづくり 「Kanekyu金久」は、かつて主に盆栽や山野草を扱う店でしたが、オーナーである父から経営を任された神藤直行さんが、草花や雑貨まで幅広く扱うガーデニングショップとして、今から20年ほど前にリニューアル。以前からあった売り場にショップの建物を加え、それをぐるりと囲むように回遊式の売り場を設けました。 何台もある花苗台の中央には、オススメの草花を植えた大鉢や寄せ植えをディスプレイ。その下にはポット苗がきれいに並んでいます。また、ハンギングバスケットや雑貨類を飾ったアーチやウォールで空間を区切り、小部屋が次々に現れるような構成に。決して広くはないスペースですが、パーゴラやアーチ、花台を巧みに使った立体感のある演出が、ショップ奥への見通しを阻み、新たに広がる売り場への期待感をいっそう高めています。そのめくるめく展開は、まるでアミューズメントパークのようです。 最近人気のさまざまなビカクシダやカラーリーフに囲まれたコーナーは、植物園の温室にいるような気分になります。 常に植物にとってベストな場所を選んでディスプレイ。パーゴラの桟にかけたスパニッシュモスが、奥のエリアを隠すスクリーンの役目を担っています。 苗の状態はピカいち! スタッフ全員で行う徹底した管理 売り場に所狭しと並ぶ花苗は、どれも非常に状態がよい印象。「植物は元気なものをもちろん仕入れていますが、入荷後の管理も徹底しています」とオーナーの神藤さん。蒸れやすい植物は、トレイにひとマスずつ飛ばして並べて風通しを確保するほか、少しでも状態が悪くなれば店の奥で養生するなど、常に苗の状態に目を光らせて、こまめなチェックを行っています。また、販売後にお客様のところで100点満点になるよう、生産者と出荷のタイミングを図ったり、鉢やポットに土増しや施肥をして苗のクオリティを上げる努力も。仕入れ数も徹底管理し、最良の状態の植物を提供することに力を注いでいるのです。 日本中の生産者を回って仕入れた こだわりの植物がずらりと並ぶ 注目している植物が旬を迎える少し前になると、全国どこでも生産者の所に直接足を運び、市場からはもちろんのこと、育種家や生産者からも苗を仕入れている神藤さん。ほかでは見られないような花も並びます。展示会などにも頻繁に顔を出すよう努め、信頼関係を築いていることで、生産者が特別自信を持って勧める希少な株を入手できるのです。 特に神藤さんが力を入れている植物の一つがクリスマスローズ。年内から全国を駆け回り、国内で屈指の育種家に良質な株を注文。1~2月には店中、クリスマスローズでいっぱいになります。売り場は育種家ごとに分けて株を陳列。花や葉の個性は育種家によって少しずつ異なるので、見比べながら自分の好みを見つけられます。期間中は、この店特有の「ドラフト会議」というくじ引き大会のイベントが開かれ、大いに盛り上がるのだそう。また、旬の育種家によるトークイベントなども毎年開催されています。 植物だけじゃない! 店の最大の‘売り’は寄せ植え提案 「良質で豊富な品揃え」に加えて力を入れているのは、寄せ植えづくりの提案です。‘Kanekyu金久スタイル’と称するこの店の寄せ植えのメソッドは、いろいろな種類を盛り込みすぎずにシンプルに仕上げ、ワンシーズンずっと楽しめることを大切にしたアレンジづくり。美しいデザインであることはもちろん、健やかな状態を維持できる組み合わせであることにも重点を置いています。「花だけでなくカラーリーフを積極的に使うと、きれいが長もちするだけでなく、表情がぐっと深まりますよ」と、スタッフで寄せ植え担当の植田英子さん。 多肉植物コーナーに瑞々しい彩りを添えている寄せ植え。アレンジの提案だけでなく、売り場の盛り上げ役としても。 寄せ植えにオススメのカラーリーフも充実。花よりもリーフを多めに盛り込むのが‘Kanekyu金久スタイル’。 大小さまざまなコンテナもたくさん取り揃えています。グリーンが頭上を覆う売り場の中でのショッピングもなかなかオツなもの。 Kanekyu金久スタイルの寄せ植え かわいらしい・華やか・シックなど、さまざまな雰囲気の寄せ植えが揃っています。どれもシンプルで育てやすいものばかり。ぜひ参考にしてみて。 ◆あでやかでいてナチュラルな寄せ植え 【使った花】 ペンタス、クレロデンドロム、ヒポエステス(白斑)、のミスカンサス、ワイヤープランツなど ◆カップ型の鉢でフォーマルな寄せ植え 【使った花】 左/コルディリネ‘ピンクパッション’、斑入りサザンクロス‘フィオリーナクイーン’、ペルネッティア、ヒューケラ 右/コルディリネ‘ピンクパッション、’ヘミジギア‘ピンクサファイア’、ハツユキカズラ ◆色味を抑えたシックな寄せ植え 【使った花】 ビオラ、コクリュウ、エリカ‘バレリーグリフィス’、プリムローズジャスミン ◆繊細で淡雪のような寄せ植え 【使った花】 左/エリカ‘エアリーホワイト’、コロキア、ヒサカキ‘ミスティホワイト’ 右/カルーナ、ヒサカキ‘ミスティホワイト’ ◆カラーリーフのみのしっとりとした寄せ植え 【使った花】 左/ヒューケラ、アスパラ、コクリュウ、ヘミグラフィス 右/ヒューケラ、シダ、アイビー インドアグリーンも充実 ギフトにも最適 建物の中は、インドアグリーン売り場です。毎年、沖縄に仕入れに行き、定番品種から変わった種類まで豊富なバリエーション。どれもおしゃれなコンテナに丁寧に植え込みがされているので、ギフトにも最適です。希望があれば植え替えや取り寄せも可能なので、ぜひ相談してみて。 神藤さんイチオシの植物はコレ! 砂糖菓子のように愛らしいミニシクラメン 冬に注目なのが、最近変わった種類が多く出回っているミニシクラメン。「お気に入りの鉢に、ひと株ポンと入れるだけで、シーンがぐっとおしゃれになりますよ」と神藤さん。一般的なシクラメンより丈夫で育てやすく、冬は霜や寒風の当たらない明るい場所で、夏は水を切りながら涼しい場所で管理すれば、翌年また楽しめます。 【フリルがかるシクラメン】 【コロンと咲くシクラメン】 【つぼみがユニークなシクラメン】 【ツートンカラーの品種】 【葉が変わっている品種】 【そのほかの愛らしいシクラメン】 育種家がこだわって生み出した植物を求めて日本各地を回り、自分の目で確かめながら入荷するスタイルにこだわり続ける店「Kanekyu金久」。植物の管理にも一切妥協をしないといった姿勢が生み出した、信頼と珠玉の逸品が詰まったショップです。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、JR阪和線日根野駅から徒歩15分。 阪神高速4号湾岸線「泉佐野南」IC、または 阪和自動車道「泉佐野・上之郷IC」から約10分。 【GARDEN SHOP DATA】 Kanekyu金久 〒598-0021 大阪府泉佐野市日根野2545 TEL: 072-467-2413 URL: http://kanekyu.sblo.jp/ 営業時間:9:00~18:00 定休日:無休(正月を除く) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪3 神奈川「苔丸」 ・まだまだ買い時! パンジー・ビオラでつくる バスケットの花かごとリースの寄せ植え ・ガーデンデザイナーが教える「寄せ植え上手」のコツ Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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三重県
花の庭巡りならここ! 地域住民の誇り、英国式庭園「松阪農業公園ベルファーム」
地域の人々が関わるイングリッシュガーデン 2004年にオープンした三重県の「松阪農業公園ベルファーム」は、伊勢自動車道の松阪ICから降りてすぐの立地にあり、松阪の豊かな自然環境や地域農業を生かし、「食育」・「緑育」の場を提供することを目的に設置されました。総敷地面積23万㎡の広大な園内には、地域の人々に愛される、緑に囲まれた癒しの場として整備された、敷地面積1万4,000㎡のイングリッシュガーデンがあり、ゆっくり歩いて30~40分ほどで見て回れます。 イングリッシュガーデンは、日本に英国式庭園の魅力を広めたケイ山田さんの設計。リニューアルを重ねつつ、現在は9つのエリア、チェルシーガーデン、ローズガーデン、ウォールガーデン、オーチャードガーデン、ハーブガーデン、ローディー(シャクナゲ)ガーデン、コニファーガーデン、インドアガーデン(グラスハウス内)、ストリームガーデン(改装中)を見学できます。 毎週火曜日には、地域のボランティアスタッフが訪れて、雑草抜きや植え替えなどの植物のケアに励み、植物を愛する人たちのコミュニケーションの場になっています。イングリッシュガーデンに不可欠な植物でも、松阪の温暖な気候では育たないケースもあり、代わりになる植物は何か試行錯誤しながら、年月をかけて松阪の気候風土に合うスタイルのイングリッシュガーデンに育ててきました。地域の気候に合った植物とは? 最新のトレンド品種とは? その答えが見つかるスポットとして、ガーデナーが情報を求めて訪ねる交流の場にもなっています。 灌木と草花が織りなすハーモニーは必見! 手入れの行き届いたガーデン 写真はウォールガーデンに対で植栽されたアメリカハナナシで、自然に樹形が三角形に整う花木です。3月下旬〜4月上旬が見頃で、花色は淡いピンクから白へと移ろいます。桜と同様に開花期は短く、1週間程度。樹高が7〜8mあるため、満開の時期は大変見応えがあり、アメリカハナナシの花見を目的に訪れるファンの姿も多く見られます。 チェルシーガーデンエリアの4月下旬〜5月上旬の景色です。直径4×高さ4mの六角形のコンサバトリーには、樹齢約15年の藤が覆うように仕立てられ、満開時は壮観。ガラス張りのコンサバトリーの中から見る藤の姿も素敵です。地植えのネモフィラやワスレナグサなど、ブルーの草花とも好相性ですね。 ローズガーデンのエリアでは、花つきがよく優美な花姿が魅力のイングリッシュローズを中心に植栽。オベリスクが5基あり、つるバラ‘ソンブレイユ’などを這わせてメリハリをつけています。本場のイングリッシュガーデンではピンクのバラと紫のラベンダーの組み合わせがよく見られますが、この地域ではラベンダーの育ちが悪いのが悩みでした。試行錯誤の結果、得られた解決策は、暑さに強いジャイアントキャットミントを代わりに植栽すること。ピンクとブルーの色の対比がとてもエレガントです。 バラの見頃は5月中旬〜下旬で、イングリッシュガーデンのトップシーズンでもあります。園内には約60品種500株のバラを植栽。写真はイングリッシュローズの‘ボスコベル’とジャイアントキャットミントの競演です。 イングリッシュガーデンに入ってすぐのボーダーガーデン。手前にはピンク、紫、白のペインテッドセージを植栽しています。同時期に咲くジギタリスやペンステモンと相性がよいうえに、草丈60〜80cmで花壇の中段を埋めるのにちょうどいい花材。花つきがよく枝葉がやわらかいので、風にそよいで混ざり咲く姿もたおやかです。 自然豊かな里山の借景が素晴らしい 毎月の体験教室やイベントも充実の松阪農業公園ベルファーム 松阪の里山の借景に恵まれているイングリッシュガーデン。広葉樹が里山の景色をつくっているので、四季の移ろいを感じることができます。特に、4月頃のヤマザクラがふもとから頂上へだんだんと上がっていく景色、萌えいづる季節の新緑のグラデーション、寒さが増すほどに深い緑から冬枯れへと移り変わる景色……園内のイングリッシュガーデンももちろん素敵ですが、美しい里山の景色も見どころの一つ。小鳥のさえずりがすぐ近くで聞こえて、時にはカワセミの姿も見られますよ! グラスハウス内のインドアガーデンは、雨の日でも楽しめるエリア。このプールには、睡蓮、パピルス、コロカシアなどの水生植物を植栽。初夏からは睡蓮の端正な花姿が見頃になります。15時を過ぎると花が閉じてしまうので、午前中に訪れるのがオススメです。 また、毎月多彩な体験講座が開催されており、フラワーアレンジやプリザーブドフラワー、草木染め、ハーブせっけん作り、料理教室など魅力的なコンテンツが目白押しなので、ぜひ参加してみましょう(予約が必要な講座が多いので、公式ホームページをチェックしてください)。 写真は秋の景色で、パンパスグラスが季節感を演出、センニチコウ、リコリス、黄色コスモス‘キャンパスイエロー’などの花々が彩りを添えます。10月末~11月上旬は、ハンギングバスケットやコンテナのコンテストも開催されるので、ぜひ作品群を見に出かけましょう。 温暖な気候のため冬もオープンしており、年に1度くらいしか積雪はありません。でも実のところ、雪化粧をしたコニファーガーデンはとてもロマンティックな雰囲気を堪能できるので、貴重なタイミングを逃さずに。またバラの植栽が多いため、この時期は剪定のコツをつかみに訪れる熱心なガーデナーの姿もちらほらと見られます。 カフェのパティシエ作ジェラートはリピートして全制覇したい! 2018年オープン、無添加生地のこだわりパン屋さんも大盛況 「松阪農業公園ベルファーム」内、イングリッシュガーデンのエントランスには、「ガーデンカフェ ルーベル」があります。営業時間は10:00〜16:00(平日)、10:00〜17:00(土日祝、11〜3月は16:00)、ランチタイムは11:00〜14:00。園内の直売所から届く朝採れ野菜など、地元の旬の食材を使った食事を楽しめます。写真は野菜ソムリエの手作りランチ。パティシエのミニデザートつきで平日1,050円。 「ガーデンカフェ ルーベル」のオススメは、パティシエが作る季節のジェラート 。ミディアムサイズ2種盛り340円、3種盛り440円。フレーバーは季節によって変わり、こく旨ミルク、最高級抹茶(プラス30円)、松阪牛肉みそ、チョコレート、ブルーベリー、カボチャ、イチジク、塩レモン、アンズヨーグルト、ブラムリー、巨峰シャーベット、はちみつばんかんなど、常時10種類以上の味が楽しめます。個性的なフレーバーがずらり、これはぜひリピートしたいデザートですね! 2018年春には、「松阪農業公園ベルファーム」の直売所(農家市場内)に「国産小麦のパンとスイーツのお店『やさい畑』」がオープンしました。営業時間は10:00〜16:00。 国産小麦を100%使用し、イーストフード、保存料などの合成添加物は使わない無添加生地にこだわっており、すべて店内で手づくりしています。イートインスペースもありますよ(イングリッシュガーデン内での飲食は不可)! 「国産小麦のパンとスイーツのお店『やさい畑』」のオススメは、写真の最高級伊勢抹茶さくさくメロンパン162円。ほかにパンドミ345円、阿波黒牛揚げカレーパン270円、季節のフルーツタルト400円も人気です。 掲載している商品および価格は、2018年11月現在(消費税込み)の内容です。今後変更になる場合もありますのでご了承ください。 Information 松阪農業公園ベルファーム 所在地:三重県松阪市伊勢寺町551-3 TEL:0598-63-0050 http://www.bellfarm.jp/ アクセス:公共交通機関/JR・近鉄松阪駅よりタクシーで約20分、バスで約30分 車/伊勢自動車道松阪インターより東に約500m オープン期間:周年 休園日:2019年4月より、5・8月を除く毎週水曜日(祝日の場合は翌日)、12月31日、1月1日 ※臨時休園あり 営業時間:イングリッシュガーデン10:00〜17:00 (施設により異なる) 料金:無料 駐車場:普通車700台、大型バス10台(無料) 併せて読みたい ・花の庭巡りならここ!「かおり風景100選」に認定された「山形県村山市 東沢バラ公園」 ・花の庭巡りならここ! 麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」 ・花の庭巡りならここ! 色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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滋賀県
花の庭巡りならここ! 近代名建築を華やかに盛り上げる西洋式回遊庭園「びわ湖大津館 イングリッシュガー…
湖を背景にバラも健やかに育つガーデン 1934年に建てられた昭和初期の近代名建築、「旧びわ湖ホテル本館」をリニューアルし、2002年に「柳が崎湖畔公園 びわ湖大津館」としてオープン、隣接する敷地にはイングリッシュガーデンがつくられました。その後、数度のリニューアルを経て、県下最大の300種、3,000株のバラで彩られる「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」として親しまれるに至っています。 「花と湖、四季折々の花々に囲まれた楽園で過ごす安らぎのひととき」がコンセプトのイングリッシュガーデンは、約5,900㎡の敷地を持ち、大人の足でゆっくり歩いて約30〜60分ほどの散策を楽しめます。それは湖上を渡るさわやかな風と優しい花の香りを感じながら、心身ともにリフレッシュできる穏やかな時間。琵琶湖を借景にしたガーデンウェディングも開催されており、祝福の心を表すように手入れの行き届いた景色は、必見です。 ローズソムリエ、小山内健さん監修の 300種、3,000株のバラにうっとり! 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」は、大まかに「グラベルガーデン」「ボーダーガーデン」「ノットガーデン」「ランドスケープガーデン」「スイレンの池」のエリアに分かれています。写真は小石、砂礫を組み合わせ、可憐な花々やハーブを植え込んだ「グラベルガーデン」。春はソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラなどの花木と、チューリップ、スイセン、ポピーなど春の草花との競演が楽しめます。特にチューリップは約20種8,000球が植栽されており、4月頃が見頃です。 美しい琵琶湖と一体になった、絵画のような景色を楽しめる「ランドスケープガーデン」では、5月上中旬に「野田藤」が見頃になります。池に渡した太鼓橋を覆うように長い花房を垂らす、それはそれは見事な景色! フォトスポットになること間違いありません。 バラの名所でもある「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」。バラの見頃は5月中旬〜6月中旬、10月下旬〜11月下旬です。写真はランドスケープガーデンの一角にあるローズガーデンで、散策路の両サイドに四季咲き性の品種が植栽されています。ローズガーデンは、京阪園芸のローズソムリエ小山内健さんの監修で、間近でバラの姿形や香りが楽しめるように設計されています。アーチを彩るのは‘コルデス・ジュビリー’で、開いた黄色い花が花弁の縁から徐々にピンクに染まっていく、ひと株で花色のグラデーションが楽しめるバラです。 バラは、「F&Gローズゾーン」「つるバラゾーン」「香りのゾーン」のほか、皇室や著名人にちなんで名付けられたバラを集めた「皇室ゾーン」「音楽家ゾーン」「俳優・女優ゾーン」「ペインターズ(画家)ゾーン」などに分類して植栽されています。 青空の下、琵琶湖から渡る風が心地いい! エリアごとのシーン演出に心が躍る英国式庭園 散策路や塀に沿って細長く取られた植栽スペースは「ボーダーガーデン」が。立体的に植栽されたこのエリアには、芝生のグリーンや、つるバラには希少なオールドローズ、色とりどりの宿根草、ハーブなどが絶妙に調和する風景を楽しめます。ピンクのつるバラは‘スパニッシュ・ビューティ’と‘キュー・ランブラー’。 白バラの‘アイスバーグ’、‘ホワイト・クリスマス’のアーチで場面転換される向こうに見えるのは、「ノットガーデン」。ノットは「結び目」を意味し、ツゲを刈り込んでトピアリーのように紋章を形づくり、その中心に花やハーブを植えて強調しています。琵琶湖に面しているため視界が開けて心地よく、また紋章をはっきり見るには「びわ湖大津館」建物の上階から眺めるのもオススメです。 「スイレンの池」では、5種以上、約150株の耐寒性スイレンと、約5種50株の熱帯性スイレンが集められ、優雅な姿を見せてくれます。見頃は6~9月で、訪れた方からは「太鼓橋の藤の景色とも相まって、庭を愛した印象派の画家、モネの絵のように素敵」との感想も聞かれます。 写真は琵琶湖側からノットガーデンを通して「びわ湖大津館」を望む景色。ノットガーデンでは年2回の植え替えがあり、秋はアメジストセージが紫色に染め上げます。 「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」では、年間を通してジャズコンサートやハロウィン、お姫様体験会(ドレス試着体験)などの各種イベントや、寄せ植え教室、基礎バラセミナー、各種カルチャー教室も開催。特にバラ監修の小山内健さんのセミナーは、毎回盛況を見せています。ぜひ公式ホームページをチェックして、気になるイベントに参加しましょう! 琵琶湖を望むレストランで美食を満喫! ギフトショップもバラにまつわる雑貨が充実 ひと通り散策を終えたら、港町をイメージしたフレンチレストラン「ベルヴァン・ブルージュ」で、琵琶湖を一望しながらラグジュアリー感のある食事やティータイムを楽しんではいかが。頬をなでる風が心地いいテラス席もあります。営業時間は10:00〜21:00。ランチコースは2,160円、3,500円・5,000円(共に要予約)。ほかにお子様ランチ1,080円、カレー1,080円〜などがあります。デザートは自家製ワッフルセット1,080円、ケーキセット910円など。 写真は、「シェフのおすすめランチコース」2,160円。季節の前菜、本日のスープ、メイン料理、デザート盛り合わせ、パンまたはライス、コーヒーまたは紅茶をいただきます。メニュー内容は月ごとに替わるので、リピートしてみたいですね。 「びわ湖大津館」内には、ショップ「Shiga no Hana(シガノハナ)」があるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。ギフトやお土産にぴったりの、滋賀県ならではのクラフト品やお菓子、バラ園にちなんだローズ雑貨がさまざまに揃います。
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京都府
花の庭巡りならここ! 古都にフランスの風を感じるスポット「ガーデンミュージアム比叡」
フランスをコンセプトにデザインされた 「ガーデンミュージアム比叡」 2001年4月にオープンした「ガーデンミュージアム比叡」は、17,000㎡の敷地を持つ庭園。以前の比叡山遊園地の建て替えに伴い、京都と姉妹都市にあたるフランスをコンセプトに、新たな観光スポットとして開園しました。フランス人デザイナーのルイ佐藤さんが庭園のデザインを手がけ、「京阪園芸」が当初の植栽を担当。この庭園の一番の特徴は、フランス印象派画家の描いた絵画をモチーフにしたガーデンデザインで、園内にはモネやルノワールなどの印象派の陶板画が45点設置されています。 園内は「花の庭」「睡蓮の庭」「香りの庭」「こもれびの庭」「藤の丘」「バラ園」の6つのエリアに分かれています。「花の庭」「睡蓮の庭」は、印象派の画家・モネの庭をテーマに植栽。「香りの庭」ではプロヴァンス地方の丘陵地をモチーフに、ラベンダーなどのハーブや黄色い花を中心に、立地を生かして斜面一面に花を咲かせる演出をしています。「藤の丘」では多様なワイルドフラワーが揺れる自然の野原のような景色に……と、各エリアによって異なるシーンが演出されており、歩を進めるのが楽しく、足取りも軽くなります。 年間の来園者数は約8万人で、「昼と夜の気温差のために、花の発色が鮮やか」「小鳥のさえずりがよく聞こえて癒される」「夏の暑い時期でも、たくさん花が咲いていて爽やか」との声が寄せられ、リピーターも多く訪れます。ミュージアムとミックスした新スタイルの観光ガーデンに、ぜひ足を運んでみてください。 まるで絵画の中に入り込んだような 色彩豊かなガーデンが広がる 「ガーデンミュージアム比叡」のエントランス。大人の足でゆっくり歩いて1時間ほどかかる園内は、約1,500種10万株の植物で彩られています。訪れるのにオススメの時間帯は午前中。「香りの庭」や「藤の丘」は東向きの斜面にあるため、太陽の光を受けて生き生きとした表情が見られ、バラが強く香るのも、睡蓮が咲くのも午前中だからです。また、曇りの日は特に色鮮やかに見え、霧の日もとても幻想的でオススメです。 一方、夏は夕暮れが涼しく、特に「藤の丘」にたくさん植栽されているクレオメが、いっそう艶やかに開花します。夜は「ジャルダン・デ・ルミエール」と題したキャンドルライトアップとともに夜景も楽しめるので、夕方以降に訪れるのがオススメですよ! 4月20日の開園以降、花の見頃が続くように花期をずらして植栽したり、庭ごとに表情が異なるように植え方を変えたりと、植栽テクニックの技が光るので、自庭の参考にもなりそう。 そして「ガーデンミュージアム比叡」の春本番は、ゴールデンウィークの頃で、チューリップやシャクナゲが見頃を迎えます。印象派の陶板画が設置されている付近は、その絵に描かれている世界が広がるように同じ色の花を植栽しており、絵画との素晴らしいコラボレーションが楽しめます。 「こもれびの庭」の花の回廊を中心に、「ガーデンミュージアム比叡」の園内にはホンシャクナゲや西洋シャクナゲなど、約30種300本が植えられています。一番の見頃は5月上旬〜6月。背景に咲いているピンクに彩られた花木は桃の木で、開花が揃う時期を狙って訪れるのもいいですね。 「ガーデンミュージアム比叡」の「ローズガーデン」には、約180種1,000株のバラが植栽されており、6月中旬から見頃を迎えます。冬の厳しい寒さも乗り切れるように、耐寒性のあるバラや修景バラを多く植栽。アーチやフェンス、ガゼボなどにつるバラを誘引した、立体的な演出も見どころです。バラのハイシーズンには、「京阪園芸」のバラのスペシャリスト、小山内健さんを招いて、園内を歩きながらバラの講習会を行っています。 写真は丈夫に育ち、こぼれんばかりに咲く修景バラ‘ボニカ82’。「ガーデンミュージアム比叡」は山頂に位置するため冬の寒さが厳しい土地柄で、雪の重さで折れるのを防止するため、冬期剪定の前に仮剪定をしています。 「ガーデンミュージアム比叡」の「睡蓮の庭」は、印象派の画家、モネのフランス・ジヴェルニーにある自邸の庭園を参考につくられました。フジの絡まる太鼓橋を背景に、池には約10種100株の睡蓮が植栽され、モネの絵画「睡蓮」の世界が広がっているかのようなエリアとなっています。訪れた方からは「まるでジヴェルニーに来たみたい」という感嘆の声が聞かれます。 9月になると、シュウメイギクが見頃を迎えます。山頂の気候と相性がよいのか毎年自然に株数が増しています。「ガーデンミュージアム比叡」では、飲食の持ち込みが可能なので(但しカフェへの持ち込みは不可)、すがすがしい秋にはピクニック気分でお弁当を広げるのもいいですね。 自然の野原のような植栽をしている「藤の丘」では、9月下旬〜10月に約3,000株のコスモスが見頃になります。コスモスはタネ播きの時期をずらし、3回に分けて植え替えをして花が途切れないように工夫。9月は台風の強風によってなぎ倒されることがないよう、矮性の品種‘ソナタ’を植栽しています。さらに秋が深まるとともに、‘イエローキャンパス’と‘オレンジキャンパス’が加わり、少しずつガーデンの表情に変化を与えているのも工夫のポイントです。この時期はダリアやサルビアも見頃になり、秋の庭園を華やかに盛り上げます。 標高840mに位置するガーデンミュージアム比叡は 見晴らしがよく、爽やかな風を感じる 「ガーデンミュージアム比叡」の標高は、約840m。琵琶湖、大津市街、京都市内が一望できます。比叡山頂の気候は市街地よりも4〜5℃低いため、ゴールデンウィーク頃にチューリップが、初夏にバラが咲くなど、少し遅れて開花期がやってきます。そして真夏の端境期でも、宿根草などの花が色鮮やかに、元気に咲き誇り、標高が高い場所ならではのガーデンの景色が楽しめます。 「ガーデンミュージアム比叡」内には、眺望を楽しみながら飲食できる「カフェ・ド・パリ」があるので、ランチやティータイムのひとときを過ごしてはいかがでしょう。営業時間は10:30〜16:30、ラストオーダーは16:00。客席数は110席で広め。価格帯はランチメニュー1,600円、ケーキセット750円。人気メニューは牛肉をじっくり煮込んだ「ビーフシチューセット」です。 土産物や雑貨が揃う充実のショップ ワークショップも開催しているので、ぜひご参加を 「ガーデンミュージアム比叡」内のショップ「メゾン・ド・フルール」では、ミュージアムグッズやガーデニンググッズ、フランス雑貨、ハーブ・アロマグッズなどを揃えています。営業時間は10:00〜17:00。特にオリジナルハーブティーが人気です。 「メゾン・ド・フルール」のショップでは、「体験工房アロマ石けんづくり」のワークショップを土日・祝日に開催しています(2週間前までに予約すれば、平日でもOK)。パームオイルからできた添加物を含まない石けん素地に、好みのアロマオイルを選んで香りと色をつけ、オリジナルの石けんをつくります。観光の記念に、ぜひトライしてみましょう! Information ガーデンミュージアム比叡 所在地:京都府京都市左京区修学院尺羅ヶ谷四明ヶ嶽4番地 TEL:075-707-7733 http://www.garden-museum-hiei.co.jp/ アクセス:京阪三条駅または出町柳駅から比叡山ドライブバス 「比叡山頂」下車すぐ 叡山電車八瀬比叡山口駅のりかえ叡山ケーブル・ロープウェイ比叡山頂駅下車すぐ オープン期間:4月中旬〜12月上旬 営業時間:10:00~17:30 (夏季ナイター営業あり) 料金:大人 1,200円、子供 600円 駐車場:有り230台(比叡山内駐車料金無料 ※別途通行料金が必要となります。) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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兵庫県
花の庭巡りならここ! 大人の遠足にうってつけのスポット「兵庫県立フラワーセンター」
1976年にオープンした歴史ある公園、「兵庫県立フラワーセンター」。自然の松林に囲まれた園内は、中央に満々と水をたたえた亀ノ倉池、大小さまざまな花壇や樹木園、四季を通じて楽しめる大温室で構成されています。総面積46万㎡の敷地は、園内なら大人の足で1時間〜1時間30分で巡ることができます。また、飯盛山の展望台やつばきの森、つつじの小道まで足をのばすと2時間ほど。ピクニック気分で出かけるのに、ちょうどよいスポットです。 植物は4,546種(在来種2,053種、園芸種2,493種)が息づき、花壇では春のチューリップに始まり、夏はサルビア、ジニア、ヒマワリ、秋はマリーゴールド、コスモス、ダリア、冬はビオラへと咲きつないでいきます。またサクラ園、バラ園、シャクナゲ園、ボタン園、ツバキ園、ウメ園のほか、アジサイ、ツツジの小道や林床植物を集めたウッドランドなどがあり、いつ訪れても何かしらの花が見頃を迎えているのが、花好きには嬉しいところですね。 園内には花の相談所があり、常時園芸相談を受け付けているので、うまく育たない植物の悩みごとがあれば、ぜひ立ち寄ってみましょう。ブーケやリースづくり、バックヤード見学会、食虫植物教室など、イベントや講習会も随時行っているので、事前に公式ホームページをチェックして、園内の散策に加えて体験型教室に積極的に参加するのもオススメです。 春はなんといっても22万株のチューリップ花壇! 夏は元気いっぱいのヒマワリ畑に衣替え 4月中旬から、風車前花壇は500品種22万株のチューリップが見頃になります。長期間楽しめるように、一つの花壇に同色で開花期の異なる球根を植えつけているのがマル秘テクニック。これは自宅のガーデンにも応用できそうですね。どんな風に植栽しているのか、チェックしてみるのもツウの楽しみです! また、4月の土・日曜は、子どもや女性向けに、オランダ衣装試着体験も行っています。この衣装、実は「兵庫県立フラワーセンター」にお勤めの職員さんの手づくりなんですって! なんだか温かみのあるおもてなしを感じませんか? ちなみに「兵庫県立フラワーセンター」では飲食の持ち込みもOK。青空の下、花々に囲まれてお弁当を広げれば、いっそうおいしく感じられそうですね。 夏の見どころはヒマワリ。園内には14品種1万株が植栽され、見頃は7〜8月です。群植されたヒマワリが一斉に同じ方向を向く景色は、背景の風車とも相まって、インスタ映えすること間違いなし! ぜひ記念にヒマワリと一緒に写真を撮りましょう。 「兵庫県立フラワーセンター」では、ペット同伴OKです。ただし、必ずリードをつけて、糞の始末はきちんとするなど、マナーは守りましょう。 夏は毎年サマーイルミネーションが催され、8月の金・土・日には、夜間の18:00〜21:00も園内で過ごすことができます。光るおもちゃの販売やかき氷、焼きそばなどの屋台も登場。お祭り気分を味わいましょう。「レストハウスフルーリ」も特別営業を行い、バーベキューも楽しめます(バーベキューへの持ち込みは不可)。 2018年は8月3日〜9月2日の金・土・日と8月13・14日が開催日。8月12日にエレクトーンコンサートが開かれ、8月19日には本場徳島阿波踊りが行われるので、ふるってご参加を! 秋が見頃の植物が織りなす景色を楽しもう! 雨天時や冬は大温室をゆっくり堪能 風車前花壇の秋を彩るのはマリーゴールドで、見頃は10月頃です。黄色やオレンジの花が密に咲き、花のカーペットのような景色をつくり出します。 南料金所横には、ガーデニングショップやギフトショップがあるので、お土産を探しに足を運んでみてください。営業時間は9:00〜17:00。北播磨地方の名産品、特産品を中心にした品揃えで、人気商品は、日本酒「富久錦」、もちむぎ麺、山田錦せんべい、黒豆ようかんなど。価格帯は1,000円前後が平均で、お手頃感があります。 「兵庫県立フラワーセンター」秋の名物、ダリアが見頃になるのは、9月下旬〜10月。100品種1,500株と、多様なダリアが植栽されているので、育ててみたい品種に出合えるかもしれません。ほかにも、この時期はコスモスなども見ごたえがあります。 菊は日本を象徴する花の一つで、大菊や盆栽など丹精込めて栽培する趣味人が多いことでも知られています。「兵庫県立フラワーセンター」では、毎年秋に兵庫県の菊愛好家が出品する「兵庫県連合菊花展覧会」を開催。美しい葉のつき方、ふっくらとした花姿、全体のバランスが整った草姿など、それは見事な菊が出揃います。 2018年の「第41回兵庫県連合菊花展覧会」は、10月14日〜11月18日開催予定。11月1日が審査日なので、どの菊が最も評価されたのか、奥深い世界を覗いてみましょう。 「兵庫県立フラワーセンター」の落葉樹が紅葉し、見頃を迎えるのは11月上旬。モミジ、ケヤキ、ドウダンツツジなどが鮮やかに発色し、園内をオータムカラーに染め上げます。写真はモミジバフウの並木が美しい「彫刻の道」の景色です。 「兵庫県立フラワーセンター」の大温室は1,971㎡の広さを誇り、大小7つの部屋に分かれています。開花期の異なる植物を集め、華やかに咲かせる「四季の花室」、色とりどりのベゴニアが約300鉢も並ぶ「球根ベゴニア室」、トロピカルな雰囲気で約150種の熱帯花木などが彩る「熱帯植物室」、インテリアプランツのゲスネリアが約300鉢も集まる「ゲスネリア室」、野生種、園芸種ともに楽しめる「ラン室」、ここでしか見ることのできないレア品種も揃えた60種500株の「食虫植物室」、そして四季の草花の鉢などが並ぶ「フラワーホール」です。 写真は1〜4月が一番華やぐ「ラン室」で、コチョウランが咲き競っています。多い時期には1,000鉢ものランがお目見えします! 地元の旬の食材を使ったおもてなし料理 充実のレストランで美食を満喫! 「兵庫県立フラワーセンター」には、喫茶や食事が楽しめる「レストハウスフルーリ」があるので、歩き疲れたらぜひご利用を。喫茶は10:00〜16:00、ラストオーダー15:30、食事は11:00〜14:00。客席は1階、2階ともに100席あります。ただし、冬期などの閑散期は休業しているので、出かける前にチェックしておきましょう。 「レストハウスフルーリ」の価格帯は1,000〜2,600円。人気メニューは「季節のおすすめ膳」1,800〜2,000円(季節により内容及び価格変更あり)、「志方牛ステーキ御前」2,600円、「飯森(豆腐料理)」1,650円です。写真はたくさんのおかずを少しずつ楽しめる「十六彩膳」2,500円。 Information 兵庫県立フラワーセンター 所在地:兵庫県加西市豊倉町飯森1282-1 TEL:0790-47-1182 http://www.hyogo-park.or.jp/flower-center/ アクセス:中国自動車道 加西I.C.から南へ3km オープン期間:通年 休園日:毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は翌日)、12月28日~1月1日、チューリップまつり・菊花展覧会開催期間中は無休 営業時間:9:00〜17:00(入園は16:00まで) 料金:一般500円、70歳以上250円、障がい者250円、高校生以下無料 駐車場:バス21台、乗用車570台(無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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海外
旅して感じたイングリッシュガーデンと日本庭園の共通点
日本庭園を巡って感じた共通点を探る 2年前の6月、イングリッシュガーデン巡りの旅を終えた時、なぜか心にふと芽生えた日本庭園への想い。その理由を確かめるために、翌年、同じ時季に京都の日本庭園を巡りました。 イングリッシュガーデンと日本庭園。それまでは、どちらかというと接点がないように感じていましたが、実際に訪れてみると、いくつか共通点を見つけることができました。 重厚な門構え 訪れた庭園の入り口には、どこも素晴らしい門構えがありました。中でも印象的だったのが湖水地方のホッカー・ホール&ガーデンと、大徳寺の塔頭高桐院です。ホッカー・ホール&ガーデンは、重厚な褐色の石壁とエレガントな鉄製の門扉が、いかにも貴族の庭園らしく、シンメトリーに設置された品のよい色彩のコンテナとオブジェにイギリスらしさが溢れていました。 高桐院は、大胆に組まれた大木と瓦が力強く凛とした佇まい。ひと枝ひと枝手入れされた松とみずみずしい苔の緑が鮮やかでした。石と木、鉄と瓦、素材やデザイン、植栽の相違はありますが、どちらも堂々たる風格。互いの伝統と美意識がひと目で伝わってくる門構えです。 また、その他にも、一直線に伸びた石畳と芝生アプローチ、竹と常緑樹のシンプルな植栽など、類似した景色をいくつか見ることができました。 歴史ある建物と植栽の調和 回訪れたイングリッシュガーデンは、20世紀のイギリスを代表する有名な庭園ばかり。庭園内の建物も100年以上経過した歴史あるものでした。例えば、ヒドコートマナーガーデンの茅葺きの家、シシングハーストカースルガーデンの塔や母屋、キフツゲートコートガーデンやバーンズリーハウスガーデンのエレガントな館など。古い雰囲気を損なうことなく修復された建物が、イギリスの風土に合った草花のクラシカルな植栽と調和し、得も言われぬ美しさを醸し出していました。 同じように、日本庭園でも歴史ある貴重な建物を見ることができました。京都御所から移築された平安神宮神苑の橋殿と尚実館、南禅寺の山門や永観堂の本堂です。ここでは、松や桜、モミジなどの日本古来の樹木が多用されていました。選び抜かれた植物と色彩を抑えた植栽が、格式高い日本建築と調和し、清らかで凛とした空気が漂っていました。 歴史ある建物とその国の風土に合った植栽が調和しているからこそ、このような素晴らしい景観が生まれるのですね。 魅力ある壁面 イングリッシュガーデンの魅力の一つは、壁面の華やかさ。味わいある蜂蜜色や褐色のレンガ壁を、さらに魅力的に演出しているのが、つるバラやクレマチス、つるアジサイなどのつる性植物です。壁一面に誘引された満開の花々が咲く様は、もはや芸術。その美しさに幾度となく目を奪われました。 日本庭園の壁面は、主に漆喰や石、木材が用いられています。モノトーンの上、イングリッシュガーデンのように壁面を花で彩ることもないので、どちらかというと地味な印象。 けれども、埋め込まれた瓦が美しい文様を刻む漆喰塀、端正な石積みなど、随所に丁寧な職人技が光る素晴らしいものでした。そんな壁面の背景に清々しく映えていた青モミジ。イングリッシュガーデンも日本庭園も、どちらも壁と植物とのバランスが美しく、魅了されます。 心和む自然と一体化した景色 イングリッシュガーデンを訪れて特に心に残ったことの一つは、自然と一体化した景色です。不思議なことに、日本庭園でも同じような景色を見ることができました。 例えば、ヒドコートマナーガーデンで見た、鬱蒼とした樹木に囲まれた場所でひっそりと咲いていたピンクや白の可憐な野花。その景色にとてもよく似ていたのが、平安神宮神苑の巨木に囲まれた池に群れ咲く花菖蒲と睡蓮です。 どちらも、まるで森の中のオアシス。一瞬、ここが庭園であることを忘れてしまうほど自然に溶け込み、秘密の場所を見つけたようなワクワク感を味わえました。 そのほかにも、草木で覆われた先が見えない小径や南禅寺の天授庵の池にかかった橋は、自然の奥深くへ誘われるような神秘的な景色でした。 今まで経験したことのない感動を与えてくれたイングリッシュガーデン。実際に目と肌で感じた美しさは、想像を遥かに超えていました。そして、その感動は、改めて日本庭園の素晴らしさに気付かせてくれました。 イングリッシュガーデンと日本庭園に間違いなく共通していたのは、国の伝統や文化、美意識、自然への敬意。「イングリッシュガーデンにようこそ!」と、誇らしい笑顔で迎えてくれたイギリスの人たちのように、わたしも日本人として日本庭園を誇れるように、もっと見聞を広めていきたいと思いました。 Credit 写真&文/前田満見 高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。 Instagram cocoroba-garden