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豪雨対策から冷却効果まで!ローメンテナンスな庭で暮らしが変わる5つの方法
激烈化する気候、都市部の住宅地にも迫る危険 2024年7月から9月初頭までの間に発令された「記録的短時間大雨情報」は計47回。そのうち43回が1時間に100mmを超す豪雨でした。1時間に100mmの雨とは、ほとんどの排水システムでは処理できない量で、大規模な冠水が発生する雨量です。実際、この夏には台風でないにもかかわらず、豪雨により東京都内のあちこちで道路が冠水し、車が水没する事態となりました。都市部の排水システムは通常、1時間あたり数十ミリの降雨量を想定して設計されているため、下水管がすぐさま満杯になり、マンホールから水が噴き出したり、トイレや台所の排水口から水が逆流するなどの被害も発生。こうした都市型洪水は排水システムの限界のほかに、都市の地面のほとんどが透水性の低いアスファルトやコンクリートで覆われていることも原因の1つです。そのため、地中への水の浸透が間に合わず、短時間で大量の雨水が地表に流れ、冠水や洪水の原因となっています。 グリーンインフラとして世界に増える街中の庭 高架の廃線跡地を約2.3kmの公園にしたニューヨークのハイライン。Pit Stock/Shutterstock.com こうした気候変動がもたらす課題への解決策として、「グリーンインフラ」の整備が進んでいます。「グリーンインフラ」とは、自然のプロセスを利用して雨水管理や都市の温暖化対策などを行う仕組みのことで、世界ではグリーンインフラとして街中や住宅地に庭を増やす取り組みが始まっています。 雨水吸収&水質ろ過装置として機能するレイン・ガーデン 例えば、ニューヨークの観光名所にもなっている全長2.3kmに渡る廃線跡を公園にした「ハイライン」では、土の層、下層土、排水マットを組み込んだ高度な排水システムが採用されており、最大80%の雨水流出を削減し、都市型洪水を防止する役目を果たしています。植物にすぐに吸収されなかった水は排水マットに蓄えられ、乾燥時に利用できるようになっており、補助的な灌漑の必要性を減らし、ハイラインをより持続可能なものにしています。 かつて治安悪化の要因となっていた廃線跡地は「ハイライン」として生まれ変わり、周辺の不動産投資も活性化した。MisterStock/Shutterstock.com また、同市ではハリケーンによる都市型洪水の対策として、街中に1万カ所以上のレイン・ガーデンをつくる「ミリオンダラー・レイン・ガーデン・プロジェクト」が進行中です。レイン・ガーデンとは、雨水を吸収させることを目的につくられた庭で、地中に張り巡らされた植物の根が雨水の通り道となり、地下へ水を誘導したり、植物が水を吸い上げることを利用したものです。ニューヨークでは庭1カ所あたり1万3千ℓ以上の雨水を吸収し、下水システムに流れ込む雨量の削減に成功しています。レイン・ガーデンを通した雨水は土に浸透する過程でろ過され、河川の水質の改善にもつながるため、日本でも善福寺川の水質向上を目的として、杉並区でレイン・ガーデンの取り組みが行われています。 庭によるヒートアイランド現象の緩和効果 緑によるヒートアイランド対策を観光にもつなげているシンガポールの繁華街。Sergey Peterman/Shutterstock.com 庭は雨水を吸収するだけでなく、都市部の熱帯化を緩和するクーリング装置としても着目されています。コンクリートで覆われた地面は、真夏の日射で表面温度が60℃近くまで上がることも珍しくありません。さらに熱せられた地面は赤外放射という熱を発し、頭上からの日射にこの赤外放射が加わると、外気温が30℃の場合、体感温度は40℃にも上がってしまいます。こうした都市部特有の熱帯化をヒートアイランド現象と呼び、熱中症対策として近年、街中にミストを設置しているところがありますが、まさにガーデンはそのミスト装置と同様の働きをします。植物は根から水分を吸い上げ、余分な水分を葉の裏から水蒸気として放出する「蒸散」を行っており、ガーデンは水道代や電気代のかからない天然のミスト装置ともいえるのです。 「ホテル・イン・ア・ガーデン」をコンセプトにしたラグジュアリーホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」。RuslanKphoto/Shutterstock.com 緑による先進的な取り組みが進むシンガポールのホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」では、植物の蒸散作用を利用したエネルギー削減に成功しています。このホテルでは敷地面積のほぼ2倍にあたる15,000㎡を超える緑を有し、建物表面に受ける熱を遮断するとともに、植物の蒸散作用によって建物外壁の全体的な温度を下げ、エアコンのようなエネルギーを大量に消費する冷却方法の必要性を減らしています。同ホテルの環境に配慮した設計は数々の賞を受賞しており、サステナブル建築が都市の居住空間を向上させながら、ヒートアイランドの影響をいかに軽減できるかを示す好例となっています。 ガーデンプランツの炭素固定能力にも集まる注目 根が深く炭素固定に効果的で、バイオエネルギーとしての利用研究も進むパニカム・ウィルガツム。Molly Shannon/Shutterstock.com 植物は光合成を通じて大気中のCO2を取り込み、炭素を有機物として蓄積します。特に成長が早く盛んに光合成を行い、なおかつ根が深く長寿命の植物は、多くの炭素を土壌深くに固定し、長期的に安定した炭素ストックを形成するため、気候変動の緩和に重要な役割を果たすとして注目されています。樹木で構成された森林は重要なCO2吸収源とされていますが、環境省の発表によると2020年の日本の森林等によるCO2の吸収量は4,450万トン、それに対し排出量は11億5千万トン。今ある森林の吸収量では到底追いつかないため、CO2の削減とともに吸収源を増やす対策の1つとしてグリーンインフラが急がれているのです。ガーデンを彩る草花の中にも炭素固定能力に優れたものはいくつもピックアップすることができ、特に長寿命の宿根草類や低木類は有力候補となります。 都市公園は緑の機能性を市民に共有する知的共有スペース 浜名湖ガーデンパークのユニバーサルガーデン。 このように、ガーデンは気候変動の影響を緩和し、持続可能な社会を構築するためのインフラとして重要な役割を果たすことが期待されています。 「都市公園はこうしたインフラ機能を街に提供する役割があり、さらにガーデンの有用な機能を市民に知識として共有する役目も担っています」と話すのは、造園家の阿部容子さん。ガーデンの持つさまざまな機能を分かりやすくデザインした浜名湖ガーデンパークの「ユニバーサルガーデン」の設計者です。阿部さんはガーデンのインフラ機能として、人々の心身の健康を向上させる面にも注目し、五感に積極的に働きかけるようユニバーサルガーデンを設計しました。 五感に合わせてエリア分けされており、小道状のガーデンを通り抜けると心身が健やかになることをコンセプトとしている。 「ガーデンがインフラとして浸透するには、ガーデン自体の持続可能性がポイントです。植物はメンテナンスをしなければ、その機能を十分果たせないばかりか、倒木や予期せぬ繁茂などのリスクを招く場合もあります。また、メンテナンスに労力がかかりすぎても維持が難しくなります。ですから、メンテナンスは必要ですが、ローメンテナンスな庭であることが重要なのです」。 阿部さんは庭のメンテナンスの中でも最も労力が高い雑草管理を大幅に削減する工法を用い、さらにローメンテナンスな植物を200種以上組み合わせてユニバーサルガーデンを設計施工。持続可能でグリーンインフラとしても有効なガーデン設計について解説していただきました。 雑草管理を大幅に減らす「ノンストレスガーデン工法」 ユニバーサルガーデンの施工中。植え穴には専用のリングをはめて、防草シートをしっかり土に留めつける。 「ユニバーサルガーデン」は基本的に雑草管理の必要がないように、ノンストレスガーデン工法で施工しています。ノンストレスガーデン工法とは、簡単にいうと植栽帯全面に防草シートを敷き、植栽計画に沿って適切な植え穴をあけて植栽することで、ガーデン全体に雑草を生えさせない工法です。植栽後、防草シートの上にはバークチップや土壌資材のバイオマイスターを施すので、施工直後から防草シートは見えずに自然な雰囲気です。 マルチングに使用しているバイオマイスター。 バイオマイスターは根を生育させるための肥料成分や土壌中の有害な菌の発生を抑え、植物の生育を助ける善玉菌を多く含んだ土壌資材です。防草シートの上からもそれらの有効成分を土壌に浸透させることができるので、仕上げのマルチング材に使用すると、より効率的に植物を育てることができます。マルチングは自然に減っていくので、上から追加してまき直すことで植物の健全な生育が維持できます。地表は防草シートとマルチング材で覆われており、乾きにくいので、基本的に植え付け初年度以外は自然の降雨に任せ、水やりの手間も必要ありません。 ノンストレスガーデン工法のポイントは、排水機能を整えた土壌整備と防草シートの敷き方・留め方、植物ごとの適切なサイズの植え穴です。ノンストレスガーデン工法の詳細はこちらで解説しています。 グリーンインフラとして有効な植物 マット状に広がるクラピアは地熱を抑える役目を果たす。 ガーデンを持続可能なものとするか否かは、植物選びも重要なポイントです。環境に合った植物を選ぶことでメンテナンスの労力は大幅に減らすことができます。特に近年は、夏の暑さや豪雨に耐えられるものであることが大事な条件になってきています。ローメンテナンスの観点から見れば「丈夫で長寿命」な低木や宿根草が挙げられますし、暑さに耐えられるものは根が深く張るもの。つまりこれらの条件が揃う植物は、グリーンインフラに最適な「グリーンインフラプランツ」といえます。 クラピアの白い小花にはミツバチが集まり、生物多様性にも寄与する。 例えば、ユニバーサルガーデンでグラウンドカバーとして使っている宿根草のクラピアは、地上部の草丈は最大20cm程度ですが、地中の根はなんと150cmまで深く伸びます。一般に深さ1m以上になると炭素固定に有効とされており、クラピアは雨水の貯水や炭素固定能力に効果的であると考えられます。また、クラピアは生育が早く地表近くにも細根が密集し、植栽後2カ月で1株が約0.25㎡を覆い、地温を下げるのにも有効なので、優秀な「グリーンインフラプランツ」といえます。 探そう!グリーンインフラガーデンプランツ こんもり茂った日本の自生種アシズリノジギク。 クラピアの原種は海岸沿いで生育する在来種イワダレソウです。こうした海浜植物は砂地に生育するため、深く広く根を張る性質があり、クラピアのほかにもユニバーサルガーデンに取り入れているアシズリノジギクも同様の能力が期待できます。ほかにもイトススキやフウチソウなどのイネ科のグラス類は、根が深く炭素固定能力が高い植物として注目されており、イネ科が多い日本の在来種には有効なものがまだまだあると私は考えています。光合成を盛んにするという観点からは葉が大きいギボウシや常緑のノシランなども候補になるでしょう。このようにグリーンインフラという観点で植物を見直すと、目に見える美しさに加え、植物のすごい能力に改めて気付き、魅力を再発見することができます。公園の植物やご自身の庭にも、地球温暖化の危機的状況を救う「グリーンインフラプランツ」がたくさん見つけられるかもしれません。 病害虫対策を大幅削減する生物多様性ガーデン ユニバーサルガーデンは200種以上の植物が入っており、基本的に防除や予防の散布といったメンテナンスはしていません。多品種を入れることで益虫と害虫のバランスが自然に保たれ、予防や防除の労力を大幅にカットできます。また、病害虫がよく発生するのは風通しの悪い場所なので、植物が混み合わないよう注意します。植栽計画を立てる際、植える植物の最終的な株サイズを把握し、隣り合う植物の葉が触れ合う程度の間隔を保って植栽位置を決めると、風が通り抜け病害虫が発生しにくくなります。 また、五感に働きかけることをテーマにしたユニバーサルガーデンの「音のエリア」には、鳥を呼ぶエゴノキやジューンベリーなどの樹木があります。実際、木にかけた巣箱では春に子育てをする姿が見られたので、小鳥たちも害虫防除に大いに活躍してくれていることと思います。病害虫対策の観点からだけでなく、たくさんの生き物がいるガーデンは、人にとっても心地よいものです。気候変動の緩和だけでなく、人の心身の健康を向上させるという観点からもガーデンは重要なインフラ機能として評価されています。 未来を変える庭の力 このように、ガーデンはさまざまな問題を解決する力があり、環境面や経済面、健康福祉の観点からも多大な価値を持つグリーンインフラとして社会に広がり始めています。もしあなたが庭を持っているなら、もちろんその庭は重要なグリーンインフラの1つです。庭は私たちが楽しみながら日常生活に取り入れられる持続可能な解決策であり、地球規模での環境保護に寄与する重要な一歩となるのです。
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色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」
浜名湖ガーデンパークとは 「浜名湖花博2024」開催中の2024年5月中旬の様子。photo/3and garden 2004年に開催された浜名湖花博の会場跡地を再整備し、2005年にオープンした「浜名湖ガーデンパーク」。20周年を記念し、2024年4月6日から6月2日の期間、「浜名湖花博2024」が開催されました。イベント期間中は、浜名湖ガーデンパークの水辺の景観を充実させるため、「心安らぐ水辺の風景」をテーマに、フラワーガーデンコンテストが開催されたほか、西側エリアにある「ユニバーサルガーデン」は「かたくり工房」によりリデザイン&施工されるなど、花と緑を楽しむ都市公園として進化しています。 リニューアルした「ユニバーサルガーデン」2024年5月中旬の様子。 photo/3and garden 浜名湖の景観を生かし、楽しいレクリエーションの場として古今東西の庭文化を表現することがこの公園のコンセプトで、入場無料なのも嬉しいところです。56万㎡にも及ぶ敷地は、「西側エリア」、「街のエリア」、「里のエリア」に区分され、特に花壇や美しい庭園を持つのが「里のエリア」内の「花の美術館」、「百華園」、「国際庭園」、「花木園」です。早春から冬まで四季を通してうまく草花や花木による開花リレーをつないでいるため、いつでも見ごたえがあり、年間130万人が訪れる人気のフラワースポットです。訪れた方々からは「素敵な花をたくさん見ることができて心が癒やされました」「散歩がとてもしやすかった、芝生がきれい」などの感想が寄せられています。園内は2時間くらいで周遊でき、お弁当や飲み物の持ち込み可。ペットの同伴もOKです。 一番の見せ場は「印象派庭園 花美の庭」光り輝くような色彩美に優れた庭園 浜名湖花博でつくられた「花の美術館 モネの庭」を再整備し、2005年に披露されたのが「印象派庭園 花美の庭」。印象派の画家、モネが愛したフランス、ジベルニーの自邸の庭を模してつくられた庭を、15年かけて進化させた芸術的な庭園です。広い園内は、整形式フランス庭園の「花の庭」と回遊式日本庭園の「水の庭」で構成。写真はバラのアーチを連ねたシーンで、色彩豊かに空間を彩っています。「花の庭」では、約300品種、500株のバラが見られます。 「花の庭」の各花壇エリアでは、モネの時代に表現できなかった多彩な色彩の花々、優美なフォルムを持つ植物を用いて、現代的な印象派の庭園をつくりだしています。朝の透明感ある爽やかな光を表現する「朝陽の花壇」、太陽が沈んで茜色へと移りゆく色彩を表現した「夕陽の花壇」、すべての色が溶け合いグレーに変わってゆく「薄暮の花壇」など、「光」をテーマにした情感あふれる植栽が見どころです。 春はネモフィラ、夏はヒマワリ、秋はコスモス 群稙で魅せるフラワーカーペット 「浜名湖ガーデンパーク」内の「花ひろば」では、メインの花壇として季節によって草花を入れ替えて群植し、ダイナミックな景色をつくっています。春に彩るのはネモフィラで、4月頃が見頃。3,000㎡に約30万本が植栽され、青いカーペットのように一面を埋め尽くします。 「花ひろば」の夏を盛り上げるのは、なんといってもヒマワリ。‘サンマリノ’一品種のみが約4万本植栽されています。‘サンマリノ’は草丈160〜170㎝、ちょうど人の背丈くらいで咲く、写真映えのする品種です。大輪で華やかな表情のヒマワリを背景に、ぜひ記念写真を撮りましょう。 秋に「花ひろば」で華やぐのは、コスモス。品種は‘ドワーフセンセーション’で、濃いピンク〜淡いピンク、白の花色をミックスして、約40万本も群植しています。見頃は10月で、レジャーにぴったりの清々しい季節ですから、ぜひ足を運んでください。 12月中旬〜2月は、「里のエリア」にある百華園のシクラメンが見頃に。写真は「青いシクラメンの小径」で、青みが強い紫色のシックな品種‘アロマブルー’と‘ライラックフリル’を約1,000株植栽しています。花が少なくなる真冬に、これほどの花でいっぱいの景色が見られるのは嬉しいですね。 遊覧船クルーズ&展望塔も利用してみよう 「浜名湖ガーデンパーク」では、遊覧船クルーズが15〜20分間隔で運航しています。見頃の花や庭園のガイドがあり、10分かけて水路を進みます。料金は大人が片道600円(往復1,000円)、子ども(3歳〜小学生)が300円(往復500円)。公園中央を東西に水路をクルーズするため、園内からは見られない景色や花を楽しむことができます。車椅子やベビーカーの使用可、ペット同伴の乗船もOKです。 「浜名湖ガーデンパーク」のほぼ中央に、ガーデンパーク全景を一望できる高さ50mの展望塔があります。料金は1人1回のみで一般・高校生300円、小・中学生100円、高齢者(70歳以上)・障がい者200円。利用時間は9:00〜16:30(9〜5月)、9:00〜17:00(6〜9月)。 展望室の壁面はガラス張りになっており、公園内はもとより、美しい浜名湖まで見渡せます。展望台の一部には屋根のない場所があり、屋外の風を感じることもできます。東西南北、四方を一望できる見晴らしのよい景色を楽しみましょう。 2018年7月に、新しく食事処「のたね」がオープンしました。営業時間は10:00〜16:00、客席数は36席あります。オススメメニューは、通年食べられるうなぎ丼(1,600円)、春〜夏期間限定の鱧かば丼(1,200円)・釜揚げシラス丼800円、秋〜冬期間限定の牡蠣かば丼(1,200円)。ほかにコーヒー、生姜湯、梅ジュース(各200円)、生姜湯200円などのソフトドリンク、ソフトアイスクリーム350円、ジャム氷300円などもあります。 写真はうなぎ丼ミニ(1,000円)。地元の名物を良心的な値段で食べられます。 鱧かば丼ミニ(800円)。春から夏の旬の味を楽しめます。
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伊豆・河津桜物語【松本路子の花旅便り】
早春の桜便り 毎年2月になると、静岡県東部にある伊豆から桜が咲き始めたという便りが届く。4月に開花する染井吉野ではなく、早咲きの河津桜だ。今では伊豆だけでなく、全国で植栽され、早春の桜として知られるようになった河津桜。その誕生物語は、奇跡とも思えるものだ。 わが家のバルコニーにも2本の木が育っていて、鉢植えながらけなげに花を咲かせる。まだ寒い季節に、これから訪れる春を予感させ、気持ちをほっこりと温めてくれる貴重な存在だ。 河津桜、そのルーツ 河津桜は静岡県の河津町で、1955年頃に川沿いの雑草の中で苗木が発見され、発見者の故・飯田勝美さんの家の庭先に移植された。10年目に開花し、大木となったその原木は、今も同地で花を付ける。 2月上旬から、淡い紅色の花が1カ月近く咲き続けることから注目を集め、60年代から有志の手によって増殖されるようになった。その後、調査で新種の桜であることが判明し、発見された地にちなんで、1974年に河津桜(かわづざくら)と命名された。 河津桜は伊豆半島に自生する野生の桜オオシマザクラと、他種の桜との自然交配の結果生まれたもので、一方の親はカンヒザクラと推測されている。オオシマザクラは伊豆大島に多く分布し、その名が付けられた。開花期は3月下旬頃だが、1月下旬に咲く「寒咲大島」もある。 一方のカンヒザクラも野生の桜で、主に沖縄に分布するが、江戸時代後期には関東地方でも栽培されていた。沖縄では1月下旬頃から開花する。オオシマザクラは白色で、カンヒザクラは緋色の花を付けるので、河津桜はその中間の花色といえるのかもしれない。いずれにしても2種類の桜がどのように出会って、交配に至ったか、自然界の不思議を感じさせる出来事だ。 河津川沿いの桜並木 1本の原木から増殖された苗木が、今や現地では8,000本を数えるほど植栽されている。中でも河津川両岸の桜並木は4kmにわたる見事なもので、河津駅近くの河口から上流に向かい約850本の桜が続き、花のトンネルを散策できる。 染井吉野の花が10日ほどで散るのにくらべて、河津桜はたくさんのつぼみが徐々に花開き、花もちもよいので、1カ月ほど花の見頃が続く。例年花の季節に「河津桜まつり」が開催され、2021年は中止となったが、2022年は一部のイベントを除いて開かれる。 わが家の河津桜 河津桜が初めてわが家のバルコニーにやってきたのは、20年ほど前のこと。伊豆から到来した苗木だったが、数年後に、成長しすぎて友人の広い庭に地植えしてもらった。当時は鉢植えの木の扱い方がよく分かっていなかったのだ。 十数年前に河津町の生花店で苗木を求め、再び栽培にチャレンジ。バラと同じように冬の休眠期に鉢の土替えをすると、2mの高さで安定して育つようになった。考えてみれば、桜もまたバラ科の植物なのだ。4階の東側のバルコニーは日当たりがよいので、年によっては1月下旬から開花する。 鉢植えの桜 鉢植えのよいところは、動かせること。普段はバルコニーの隅に置いてある鉢を、つぼみがほころび始めたところで、中央のテーブル近くに移動させる。暖かい日には桜花の下でティータイム、そしてリビングルームから花見ができる。夜はライトアップして、ささやかな夜桜見物も。 桜が咲くと、頻繁に訪れてくるのがメジロ。花の蜜が大好物のこの鳥が、窓辺の木の枝に止まり、夢中で蜜を吸う姿が見られる。食用には適さないが、サクランボも実り、小さな果実は見ているだけで楽しい。青い実が熟し、赤くなると、小鳥たちがやってきてそれをついばんでいる。 Information 第32回「河津桜まつり」 会期:2022年2月1日~28日 アクセス: 車 東名沼津ICから河津町まで、約1時間20分。東名厚木ICから河津町まで、約2時間30分 電車 JR東京駅から特急踊り子号で、伊豆急河津駅まで約2時間40分。新幹線熱海駅から伊豆急行で、伊豆急河津駅まで約1時間30分 開花情報:電話 0558-34-1560 事務局:河津町観光協会 www.kawazu-onsen.com info@kawazu-onsen.com
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花の庭巡りならここ! 海を望む絶景ガーデン「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」
ミュージアムもガーデンも眼福!年に何度も訪れたい観光スポット 1963年に開園した「伊豆海洋公園」は、もともとハワイ風の南国ムードにあふれるガーデンビーチとして人気のスポットでした。50年以上に及ぶ長い歴史の中で、階段式花壇のオープンや名称変更など、幾度かのリニューアルを変遷。2017年には「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」として、新しい観光スポットとなりました。 「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」の敷地は42,000㎡にも及び、ガーデンとミュージアムをゆっくり散策して40〜60分の規模。城ヶ崎海岸に佇む立地条件は素晴らしく、ダイナミックな断崖絶壁と紺碧の海を園内のどこからでも眺めることができます。四季を通して季節の花々で彩られる楽園さながらの景色に癒やされること間違いありません。 園内にある「ティファニーミュージアム」も見どころ。約120年前に制作されたアンティークティファニーのステンドグラスランプやウィンドウパネルなど約70点を展示。ランプシェードの内側やランプベースの縁、パネルに隠し絵のように入っている「TIFFANY STUDIOS NEW YORK」の刻印を確かめたり、貴重なティファニー作品を至近距離で鑑賞できます。 美しいガーデンとミュージアムが一体となった、新しい観光スポットは、早くも年間約5万人が訪れるほどの人気ぶり。来場者からは「外国みたい!」「絶景!」「世界に引けを取らない素晴らしい場所」との声が寄せられています。ガーデンはもちろん、なんとミュージアムでも撮影OK。アンティークドレスのレンタルも行っており、ロケーションを生かした写真撮影も大好評です。ショップやカフェなどの施設も充実しているので、ぜひ出かけてみてはいかがでしょう。 海を見渡せる眺望のよさに癒やされる!四季を通して爛漫と咲く圧巻の花景色も見どころ 3〜5月頃、青い海を背景にマーガレットが咲き誇る景色。クリサンセマム・パルドサム‘ノースポール’と合わせ、合計1,000株を植栽しています。摘心を繰り返して大株に育て、こんもりと茂った草姿を覆うように、花数たっぷりに見事に咲いています。 すらりと花穂を立ち上げて、ダイナミックに咲き誇るルピナスの群植も見応えがありますね。こちらは3〜4月が見頃。同じ時期にはリナリア、クリサンセマム・ムルチコーレなどが、敷地いっぱいに広がる花壇をカラフルな花色で彩ります。 園内の「あじさい苑」は特筆もので、見頃は6月初旬〜中旬頃。もともと城ヶ崎海岸付近はアジサイの改良種の交配親となった‘城ヶ崎’、‘伊豆の華’などのふるさとで、アジサイの変異が多いエリアです。地域性を生かし、「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」ではアジサイの品種を200種以上コレクション。日本原種のヤマアジサイ、アナベルを中心としたアメリカアジサイ、華やかな改良品種などにエリア分けして植栽しており、バラエティー豊かなアジサイの表情を楽しめます。 こちらは7〜8月のポーチュラカが群生する景色。草丈が低く、這うように広がる性質を生かして、華やかな花の絨毯に仕立てています。写真は3,000株が植栽されたシーズンの様子ですが、2020年はヒマワリ「サンフィニティ」を追加する予定。夏らしい景色を楽しめそうです! 植栽の工夫により冬も見どころたっぷり!1月から桜やチューリップが満開に 1月上旬〜2月上旬には、‘寒桜’が見頃になります。寒緋桜と山桜の交配種で、1973年より植栽が始まり、現在では約100本が早春の城ヶ崎海岸をピンクに染め上げます。花色はソメイヨシノよりもややピンクの色味が濃く、より華やかなのが特徴。一足先に春の足音を感じられます。 1月初旬頃には、冬に開花するように調整され、開花期間が長いのが魅力のアイスチューリップが、見応えのある景色をつくります。エントランス付近の海を見渡せる花壇約1,000㎡に、2019-2020冬期シーズンは‘ダイナスティ’、‘ファーストクラス’、‘ハクウン’、‘リンファンダマーク’、‘オスカー’、‘イエローフライト’、‘ピンクツイスト’、‘フラッシュポイント’、‘ダブルプリンセス’などを植栽。約3,600球が華やかに咲き競います。 ミュージアム、ショップ、カフェが充実観光スポットとして大満足のラインナップ 「ティファニーミュージアム」に展示されているアンティークティファニーの作品群は、植物や昆虫などをモチーフにしたものが多いのが特徴です。シーズンにより、スイセン、チューリップ、モクレン、ナスタチウム、バラなど、展示品のモチーフとなっている植物をガーデンにも植栽するなどの工夫もしています。 館内には、「アンティーク&ショップ さくらさくら」があり、ショッピングも楽しめます。雑貨、アンティーク小物、菓子類、伊豆のお土産など豊富なラインナップで、特におすすめは、オリジナルトートバッグ1,410円、モザイクアロマランプ(コンセント型)2,180円。レンタルドレスコーナーもあるので、変身して撮影会を満喫するのもいいですね。 「ミュージアム別館」には、ステンドグラスランプやアンティーク家具が並ぶカフェがあり、客席数は41席。厳選した豆を使用したコーヒー、原料にこだわったオーガニック紅茶、エディブルフラワー(食べられる花)を使用した手づくりスイーツやプレッツェルのランチなどが楽しめます。 写真はランチメニューの「プレッツェル スモークサーモンとソーセージ〜甘酸っぱいバルサミコソースとともに」スープ、コーヒーまたは紅茶、プチデザートのセット1,680円(単品は1,080円)。他にもランチはプレッツェルとローストビーフとソーセージのセット、パスタセットなどがあり、アップルパイやチーズケーキ、デザート盛り合わせなど、スイーツも充実しています。 城ヶ崎海岸や伊豆大島を望む、オーシャンビューが楽しめるテラス席は、25席。こちらはペット同伴OKです。天候の悪い日以外は、年間を通してテラス席を開設しています。絶景を前に、ランチやデザートも一層おいしくなりそうですね。また、アンティークティファニーの作品を見ながらくつろげる室内席にも「ペット連れ優先席」があります。ペットキャリーやペットカート(カバーを閉めること)で利用可能です。 Information ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン 所在地:静岡県伊東市富戸841-1TEL:0557-51-1128 ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン アクセス:電車/熱海駅よりJR伊東線で伊東駅へ、伊東駅から伊豆急行線に乗り換え、伊豆高原駅にて下車 伊豆高原駅から東海バスで約9分、またはタクシーで約7分 伊豆海洋公園バス停すぐ前車/東名高速道路、厚木ICより小田原厚木道路・国道135号線経由で約85km オープン期間:通年 休園日:なし 営業時間: 9:00~17:00(3~10月)、9:00~16:00(11~2月)※最終入園は閉園30分前まで 料金:大人(中学生以上)1,200円、小学生600円、幼児無料 ※小学生以下のお子様は要保護者同伴※お得な年間パスポート発売中 有効期限:販売日より1年間 価格:3,600円(シニア割引、福祉割引あり) 駐車場/300台、入園者は無料、入園しない場合は普通車700円
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熱帯植物の楽園「熱川バナナワニ園」【松本路子の庭をめぐる物語】
約5,000種の熱帯植物が育つ楽園 静岡県、伊豆熱川にある熱川バナナワニ園。ここには16種類約130頭(交雑含む)のワニが飼育されており、ワニ園としての注目度が高い。またバナナの温室では、世界各地のさまざまな種類のバナナがたわわに実っている。 だが意外に知られていないのが、約5,000種の熱帯植物を見ることができるということ。豊富な源泉を有する熱川ならではの、温泉熱を利用した温室がいくつも連なり、熱帯植物の楽園ともいえる姿を見せている。 ブーゲンビレアとハイビスカスのアーチがお出迎え 熱川バナナワニ園は開園が1958年と、歴史ある植物園。本園のほか、1971年には分園もオープンした。本園は熱川の駅前で、駅から園の入り口まで徒歩1分と、地の利がよい場所にある。 本園に入ると、まず熱帯花木の温室があり、ブーゲンビレアの巨大なアーチに迎えられる。周りには八重や珍しい色のブーゲンビレア、さらにさまざまな種類のハイビスカスが茂っている。 ブーゲンビレアやハイビスカスは、近年耐寒性のある種類の苗が市販され、関東以南では露地植えも可能だ。また観葉植物として、室内の窓辺で育てることもできる。温室でこうした花々に囲まれると、我が家でももっと熱帯植物を育てたいという気にさせられる。 ヒスイカズラをはじめ、珍しい熱帯の花々 園内の植物は世界各地から取り寄せられたもので、学芸員が旅先から持ち帰った貴重なものも多い。ランに関しても、お馴染みのコチョウランやカトレアのほか、原種ランが1,500種展示されている。 開花期に人気を博すのがジェードパイン。ヒスイカズラとも呼ばれ、3月から5月にかけて、濃いエメラルドグリーンの房を何百と付ける。フィリピン原産のマメ科の大型つる性植物。「女王の耳飾り」とも称される、宝石のような花だ。東京都内では植物園の温室などでも見ることができるが、日本で初めて育成開花させたのがこの園だという。花数も桁外れに多い。 本園中庭ではオーストラリア原産の多肉植物ドリアンテス・パルメリーのつぼみが5月の開花を待っていた。栽培29年にして2度目の開花だという。こうした珍しい花をはじめとして、ほぼ一年中見られる花々、季節ごとに出合える花、と見どころは尽きない。 水面を彩る水生植物 エレベーターに乗り、本園の上階に向かうと、熱帯性スイレンの温室に至る。常時60種ほどのスイレンの花が見られ、水面に映る花姿が優美だ。 また大温室の池ではオオオニバスが直径2mを超す円形の葉を広げる。学名「ビクトリア・アマゾニカ(Victoria amazonica)」。イギリス女王の名を冠するにふさわしい迫力だ。夏休みには体重30kg以下の子どもに限り、水面に浮く葉の上に乗り記念撮影ができるイベントがある。オオオニバスは夜に開花し、刻々とその花姿を変えていく。昼間、その名残の幻想的な花を見ることができたらラッキーだ。 バナナ、パパイヤ、マンゴーの実り 熱帯果樹の茂る温室群は分園に位置する。分園は本園から500mほど離れており、順次マイクロバスで送迎される。圧巻なのは、20種類のバナナが立ち並ぶ温室。 バナナは木ではなく草なので、成長がきわめて早い。植えてから1年半ほどで収穫できるという。夏は特に収穫量が多く、温室で熟した珍しい種類のバナナを園内のフルーツパーラーで味わうことができる。 パパイヤとマンゴーの温室では、果実とともに花も見ることができる。パパイヤの花はクリーム色で楚々としている。熱帯果樹の温室では、チョコレートの原料のカカオの実、グアバ、ミラクルフルーツなどの果物が実っている。 熱帯植物を育てたい! 園内を巡っていると、植物の息吹や温室特有の空気感に、言いようのない懐かしさを憶える。子どもの頃、私は父の仕事の関係で伊豆の熱帯植物園の敷地内にあった家で育ち、温室が遊び場だった。 その植物園は今存在しないが、ブーゲンビレアやハイビスカスの茂るさまは、いわば原風景ともいえるものだ。オオオニバスの葉の上に乗せられ、また夜半に家族総出で、ハスの開花を見に出かけたことなど、幼児期の記憶が鮮明に蘇る。 熱帯植物の持つ多彩な色や、珍しい形。果物の濃厚な味わい。今、そうしたものに心惹かれる。トロピカル体験をした熱川の旅から帰り、アイスクリームバナナという名前のバナナの苗木を取り寄せた。都心のマンションのバルコニーでの鉢植え栽培なので、実を得ることは難しいだろうが、バナナの葉が背丈ほどに繁るさまを想像して楽しんでいる。 Information 熱川バナナワニ園 所在地:静岡県賀茂郡東伊豆町奈良本1253-10 TEL:0557-23-1105 http://bananawani.jp アクセス:伊豆急行線「伊豆熱川駅」(東京から約2時間)下車、駅から徒歩 1 分 営業時間 9:00〜17:00(最終入園16:30)年中無休 入園料:大人1,800円、子ども(4歳から小学生)900円、4歳未満無料
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花の庭巡りならここ! 四季を通して多様な植物で彩られる「はままつフラワーパーク」
四季を通して美しい花々が咲き乱れる「はままつフラワーパーク」 1970年開園の「はままつフラワーパーク」は、浜名湖畔の自然の地形を生かしてつくられた植物園です。30万㎡の敷地は東京ドーム6.4個分、大人の足でゆっくり歩いて1時間半〜2時間かかる広さ。約3,000種100万株の樹木や草花が植栽され、四季折々に多彩な表情を見せてくれます。敷地内には、ウェルカムガーデン、ローズガーデン、原種ツツジ園、ハナショウブ園、日本庭園、クリスタルパレス(大温室)など、特色のあるエリアを多種多様に展開しており、季節ごとに花の見頃が移ろっていくので、いつ訪れても花々にあふれる感動的な景色を楽しめます。特に吉谷桂子さんプロデュースの「スマイルガーデン」は一見の価値あり! 年間入場数は約50万人にのぼり、リピーターの多さも突出しています。生き生きと咲き誇る花々に心癒されること間違いなし、ぜひ足を運んでください! 4月上旬がトップシーズン! 桜とチューリップが織りなす景色は一見の価値アリ 「はままつフラワーパーク」の春は、梅とスイセンの競演からスタート。2月上旬〜3月上旬が見頃で、梅は約110品種300本、ラッパズイセンは約20品種8万球が植栽されています。斜面を生かして梅園をつくっており、梅の足元を覆い尽くすようにスイセンが開花する様子は、大変迫力があります。 世界一美しいと評される「桜とチューリップの庭園」。花の見頃は3月下旬〜4月上旬。約1,300本の桜と約50万球のチューリップが生み出す景色は、感動的で息をのむ美しさです。 チューリップは品種、系統、花色などの特性を生かした組み合わせで植栽し、開花期も早生から晩生までをリレーさせて、長期間楽しめるように工夫しています。 写真は、なんと1月1日から開催される「早春チューリップの展示」の鉢物チューリップで、まだ寒い時期から春を感じさせてくれます。 4月下旬になると、藤が見頃を迎えます。写真は樹齢約20年の野田九尺藤11本が植栽された藤棚。長さ80mにわたってトンネル状に続き、長く伸びた花房が風にそよぐ様子は圧巻の美しさです。写真にベンチが見えますが、「はままつフラワーパーク」園内への飲食物の持ち込みはOKなので、ここでお弁当を広げてのお花見もよさそうですね。 写真は樹齢約20年の白藤を8本植栽したエリアです。満開時には光を受けて輝き、青空によく映えます。 ローズガーデンでは、5月中旬〜6月上旬に約200品種1,000株のバラが咲き競います。モダンローズ、ミニバラ、オールドローズなど多様な品種で構成。シンメトリー技法を用いた伝統的なデザインの「整形ガーデン」、バラのほかに季節の宿根草を組み合わせた「ナチュラルガーデン」、日本の皇室や世界の王室に捧げられたバラを集めた「インペリアルローズコーナー」など、変化に富んだ演出をしています。 ロマンティックな景色にため息がこぼれる 吉谷桂子さんプロデュースの「スマイルガーデン」 「スマイルガーデン」の見頃は4月上旬〜6月中旬。「笑顔がこぼれる庭」をコンセプトに、日本を代表するガーデンデザイナー・吉谷桂子さんがプロデュースするガーデンです。約150mの小道には、1万3000株を超える草花が咲き乱れます。 毎年秋、吉谷さんの指揮のもとに植栽して冬越しさせるので、春には健やかに育った草花がダイナミックに咲き揃います。 5,000㎡に及ぶハナショウブ園は、日本屈指の約720品種100万株を植栽。見頃は6月上旬〜中旬です。湿地帯に咲くハナショウブは、木製の園路を巡りながら、それぞれの品種を近くで観賞できます。 写真は約600mにわたるアジサイ並木の景色で、見頃は6月上旬〜下旬です。西洋アジサイ約52品種3,000株、野生アジサイ約40品種500株を植栽。ブルー、ピンク、紫、白のアジサイが顔を揃え、園路のそぞろ歩きに心が弾みます。 冬はイルミネーションの季節で、夜間まで時間を延長して開園しています。「フラワーイルミネーション2018」は11月23日〜2019年1月6日を予定。屋外の展示テーマは「ホッとイルミネーション」と題し、藤棚の光のトンネルや光の吊り橋のほか、噴水池で30分ごとに行われる「水と音楽のショー」のライトアップを楽しめます。一方、「クリスタルパレス」温室内の展示テーマは「クリスマスタウン」。高さ8mのモミの木のツリーを中心に、華やかなポインセチアなどを添えたクリスマスガーデンを演出します。 ガイドつき「フラワートレイン」は大人気! カフェやショッピングエリアも充実 「はままつフラワーパーク」の園内では、「フラワートレイン」が走っています。運転手が車内マイクを使って園内の見どころをガイドしながら、時速15㎞ほどで、ゆっくりと約15分かけて運行。39人乗りで1回の乗車につき大人100円、子ども50円です。ハイシーズンの混雑期は1時間に4〜5回、閑散期は1時間に2回くらいの間隔で走行。3台のうち2台が車椅子に対応しており、1台につき1〜2名が車椅子のままで乗車できます。 「はままつフラワーパーク」では、年間を通してさまざまなイベントが開催されています。サクラソウ、アサガオ、アジサイ、観葉植物、多肉植物など、テーマを設けて育て方を解説するガーデニングの講習会のほか、クラフト教室や音楽コンサートなど多様なので、公式ホームページをチェックして出かけるのもオススメです。写真は8月の土日・祝日開催、水の上に浮かぶ世界一大きな葉っぱ「オオオニバスに乗ってみよう!」体験のひとコマ。 園内のショップでは、花苗も充実した品揃え。地元生産者から毎日届く新鮮な切り花のほか、花苗、鉢物、資材(土や鉢など)が、100〜5,000円の価格帯で揃います。人気の商品は、地元生産者直送のコチョウラン1,000円前後、サボテン260円〜アニマルの鉢入り1,000円など。 地元の名産品やオリジナルのお菓子・グッズなど、土産物用の商品も多様に揃います。本物の花びらをあしらったクッキー「花一輪」(18枚入り)432円がオススメです。 「はままつフラワーパーク」園内には、飲食店もあるので、歩き疲れたら休憩しましょう。左写真は「カフェレストラン 花の散歩道」。座席数は140席で、ランチの価格帯は500〜950円。地ビールのヴァイツェン500円、フラワーパフェ500円、ぜんざい450円などもあります。 右写真はクリスタルパレス(大温室)内にある、カジュアルなカフェ。バラのエッセンスを使ったソフトクリームが絶品です。 Information はままつフラワーパーク 所在地:静岡県浜松市西区舘山寺町195 TEL:053-487-0511 http://e-flowerpark.com アクセス: 公共交通機関/JR浜松駅より遠鉄バス1番乗り場より舘山寺温泉行きで約40分、「フラワーパーク」バス停下車すぐ 車/東名浜松西I.Cより県道65号と県道48号を経由し舘山寺温泉方面へ約15分、新東名浜松いなさI.Cより約30分 オープン期間:通年 休園日:12月29日〜31日 ※臨時休園の場合あり 営業時間: 9:00〜17:00(3〜9月)、9:00〜16:30(10〜11月)、10:00〜16:30(12〜2月) ※イベントにより変動あり 料金:大人無料〜1,000円、小・中学生/無料~500円 ※季節によって異なる。詳しくは公式ホームページ参照 駐車場:600台(1回200円) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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花の庭巡りならここ! 美術館と庭園が融合した文化香る「クレマチスの丘」
美術館と融合した、クレマチスが主役のガーデン 「クレマチスの丘」は、庭園、美術館、文学館、地場の食材を使ったレストラン、自然公園などで構成された文化香るスポット。庭園は、静岡県長泉町がクレマチス苗の生産地として国内6割のシェアを誇ることから、クレマチスを主役として展開しています。 クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館は、傾斜地に建つ展示棟を中心に、上下2つのエリアに分けて展開されています。園内には、白い花のみで構成されたホワイトガーデン、クレマチスの品種を分かりやすく展示しているポール仕立てのクレマチス、木立性のクレマチスを集めたアイランドベッド、クレマチスとつるバラで構成されている石垣壁など、テーマごとに場面転換があります。各場面でテーマカラーやカラースキームが決められており、植物によるカラーコーディネートは、美術館らしいこだわりの美意識が息づいています。また、庭園内には、ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻作品が各所に常設されていて、植栽との調和も見どころです。 クレマチスファンが集う聖地には レアから最新トレンドまで幅広い品種が集結 クレマチスガーデンには、約250品種2,000株が植栽されています。早春咲きのアーマンディー系からスタートし、フォステリー系、モンタナ系、早咲き大輪系、遅咲き大輪系、インテグリフォリア系、ヴィチセラ系、ヴィオルナ系、テキセンシス系、フロリダ系、ヴィタルバ系、シルホサ系、そして冬に開花するアンスエンシスへとリレーし、一年を通して開花。最も多くのクレマチスが咲くのが6月初旬です。クレマチスは最新品種はもちろん、日本作出のあまり生産されていない希少な品種なども揃え、年々数を増やしています。トレンドや珍しい品種を求めるなら、ぜひ足を運んでおきたいクレマチスの聖地です。写真は、‘セム’、‘ジェニー’、‘ジャックマニー’、‘テンテル’、‘ベラ’が混ざり咲くフェンス。 園内が最も華やかになるのは、バラ(約100品種900株)とクレマチスが競演する5月中旬〜下旬。クレマチスとバラの組み合わせでは、クレマチスのつるでバラの生育が邪魔されないよう、またバラの棘がクレマチスのやわらかい新芽を傷つけないようにと、誘引の工夫が随所に見られます。クレマチスとバラを共存させる植栽術からは、個人の庭でのガーデニングのヒントも得られそうです。 左写真は、4月上中旬のチューリップが咲き乱れるホワイトガーデン。白花のクレマチス20品種を中心に構成されています。代表的な品種は‘アンスンエンシス’、‘アーマンディー’、‘モンタナ・スノーフレーク’、‘白万重’、‘アルバ・ラグジュリアンス’、‘ロコーコラ’など、できるだけ強健で多花性の品種を選んでいます。 右写真は、ポール仕立てのクレマチスのコーナー。高さ3mと3.3mの鋳鉄製ポールを計約100本設置してクレマチスを絡め、品種名や花の特徴などを書いたラベルを付けて、「クレマチス博物館」としての役割も果たしています。主に四季咲きの品種を植栽し、剪定によって春から晩秋まで花期を長く保つよう調整。クレマチス同士の組み合わせや、下草のあしらいも見どころです。毎年約10品種の新しいクレマチスが追加されています。 イロハモミジに寄り添うクレマチスは、モンタナ系の‘スノーフレーク’。モンタナ系のクレマチスは、原生地での様子が再現できるよう、樹木仕立てにしています。株元から枝までは、人の手によって誘引されていますが、枝に到達した先は、クレマチスが自由につるを伸ばして生長する姿を観賞できます。 庭園内には多くのベンチが置かれており、自由に休憩できますが、飲食は不可。 ランドスケープと彫刻作品の調和にも注目! 講習会などのイベントも多数開催 クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館の庭園内には、ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻作品が常設で19点展示されています。美術館と庭園の建設計画の段階から、作家本人が関わり、作品の配置を決定しました。写真の作品『プリマヴェーラ』は、2002年の開館後、この庭園に合わせて制作・設置されたものです。クレマチスが彩る美しい庭園と彫刻作品の調和は、この庭ならではの魅力。 クレマチスのシーズンには、金子明人先生(園芸研究家、クレマチス栽培研究の第一人者。日本クレマチス協会理事、国際クレマチス協会会員)を招いて、ガーデンツアーに加え、ミニ講座やミニ体験を行っています。 2018年の日程は、以下の通りです。 第1回/5月4日(祝・金)13:00〜14:30 ミニ講座「早咲き大輪系の魅力」 第2回/5月19日(土)13:00〜14:30 ミニ講座「はじめてクレマチスを育てる方へ〜クレマチス栽培の基本」 第3回/6月3日(日)13:00〜14:30 ミニ講座「クレマチス苗の植えつけ教室」(クレマチス苗のお土産つき) 第4回/6月10日(日)13:00〜15:00 ミニ体験「クレマチスの挿し木に挑戦してみよう」(挿し木したポットは持ち帰り可) 第5回/6月16日(土)10:15〜12:15 ミニ体験「クレマチスの剪定に挑戦してみよう」 *参加費はクレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館入館料込みで各1,500円、第3回のみ3,500円(花苗代含む)。 *要予約(クレマチスの丘コミュニケーションセンター☎︎055-989-8785)、各回の定員に達したら募集は締め切られるのでお早めに。 金子先生のクレマチス講座以外にも、ハーブやバラをテーマにした講習会などイベントを随時行っているので、公式ホームページをまめにチェックすることをオススメします。 花苗店や書籍&雑貨店などでショッピング レストランで食の楽しみまで クレマチスの丘には、フラワーショップ「ビオトープガーデン」があり、クレマチスのシーズンには約200品種のクレマチス苗や開花鉢が店頭に並びます。人気の品種は‘プリンセス・ダイアナ’、‘白万重’、‘テッセン’など。クレマチス以外にも、多肉植物やガーデン雑貨のほか、量販店ではなかなか目にしない仕入れ担当者オススメの個性的な花苗が並びます。 写真左、ヴァンジ彫刻庭園美術館併設のミュージアムショップ「NOHARA BOOKS」では、美術関連図録や書籍、絵本のほか、暮らしを彩る雑貨も販売。人気の品は「クレマチスの丘オリジナル和三盆」756円。 写真右「ブティック クレマチス」では、クレマチスをモチーフにしたグッズ、洋服やバッグ、雑貨、アクセサリーを販売しています。人気商品は花をモチーフにしたストール2,160円、バッグ1,300円。 クレマチスの丘のレストランでは、駿河湾の魚介類や箱根西麓の契約農家から届くみずみずしい野菜など、地元食材を活かした味わい豊かなひとときを楽しめます。 写真は、カジュアルなイタリアン「ピッツェリア&トラットリア CIAO CIAO(チャオ チャオ)」。営業時間は10:00〜21:00、ランチタイム11:00〜ラストオーダー14:30、ティータイム14:30〜17:30、ディナータイム17:30〜ラストオーダー19:30(第1・3火曜日はディナー休み)。 新窯で焼き上げるピッツァを中心に、パスタや前菜などメニューも充実。バラエティー豊かなオリジナルジェラートも常時約10種類あります。 左の写真は「マルゲリータ クレマチス」2,500円、右の写真はティラミス500円、ハーブティー500円。※メニューは季節によって異なります。 Information クレマチスの丘 クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館 所在地:静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1 TEL:055-989-8787 https://www.clematis-no-oka.co.jp アクセス:JR東海道線三島駅北口(新幹線口)より無料シャトルバス運行 【東京方面より】東名 裾野I.C.よりR246経由、沼津方面へ10km 【名古屋方面より】新東名 長泉沼津I.C.あるいは東名 沼津I.C.より伊豆縦貫道(東駿河湾環状道路)へ、長泉I.C.出口R246右折/新東名 長泉沼津I.C.より5km オープン期間:通年 休館日:水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 営業時間:10:00~16:30(11〜1月)、10:00~17:00(2〜3月、9〜10月)、10:00〜18:00(4〜8月) ※入館は閉館30分前まで 入館料:クレマチスガーデン ヴァンジ彫刻庭園美術館 大人1,200円、高・大学生800円(4〜10月)、大人1,000円、高・大学生500円(11月〜3月)※小・中学生無料 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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花の庭巡りならここ! 18世紀のフランス庭園を再現「河津バガテル公園」
まるで海外にいるかのようなフランススタイルのガーデン 2001年にオープンした「河津バガテル公園」には、3万㎡という広大な敷地に1,100品種6,000株のバラが植栽されたバラ園があります。周囲には人家や建物がなく、森林に囲まれているため野鳥のさえずる声が近く、まるで異国を訪れたような気分に。なぜならこの庭園は、フランスのパリ市にある「パリ・バガテル公園」の姉妹園で、フランススタイルの庭園を再現しているからです。 18世紀に貴族のためにつくられた庭園スタイルをそのまま継承し、トピアリーとバラを組み合わせて幾何学模様を取り入れたガーデン風景が広がります。フランスと日本では気候が異なりますが、四季や気温に恵まれた日本では本場フランスよりも華やかに花々が咲き競うと、現地からの評価も高いとか。日本にいながらにしてフランスの庭を満喫できると、年間2〜3万人が訪れ、リピーターが多いというのもうなずけます。観光ガーデンとして、カフェや土産物店も充実しているので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。 貴族が愛したフランスの庭を、日本で愛でる贅沢なひととき 「河津バガテル公園」のバラの見頃は、5月中旬〜6月末と10〜11月。春バラのフェスタ期間中は、5月12日からの土・日曜に専門スタッフによるガイドツアーを行っています。開園前の6:30〜7:00の早朝ツアーを開催し、咲き始めの濃い香りを楽しむイベントも開催されているので、ぜひご参加を! 写真は芝庭にぽっかり浮かぶような球体に刈り込んだトピアリーを中心に据え、その周囲に約1.2mの高さでロープを張り、低めにつるバラを仕立てたエリア。奥に見えるつるバラを絡ませたオベリスクは、園内に36基設けられ、高低の変化に富んだ景色をつくり出しています。 ツゲを低く刈り込んで小道を縁取り、スタンダード仕立てにしたバラや、つるバラを絡ませたオベリスクを配したコーナー。稜線の美しい山並みの借景と調和するように、高低差のバランスを計算したメリハリのある演出をしています。赤、ピンク、白に花色を絞った優美なカラーコーディネートで、あふれんばかりに咲く素晴らしい景観は、専門スタッフの高い技術があってこそ。大人の足で30分ほどで見回れる広さですが、ほとんどの来場者は時間をかけてじっくりとバラを愛で、眼福のひとときを過ごしています。 つるバラを仕立てたパーゴラの全長は、なんと約80m。花つきのよい品種を組み合わせ、白からピンク、赤、アプリコット色など、ダイナミックな色彩リレーを楽しめます。晴れた日は抜けるような青空とのコントラストも楽しめるので、ぜひ思い出に残るフォトジェニックなシーンを撮影しましょう! 奥に見えるモニュメントは、パリ・バガテル公園にある「皇居のキオスク」を忠実に再現した建物で、「河津バガテル公園」のシンボリックな存在。小高い場所にあるので、シンメトリーにデザインされたバラ園を一望できるビュースポットとして人気です。キオスクの中にはベンチがあるので、休憩がてらしばらく座って眺めを楽しむのがオススメ。ただし、持ち込みできるのはペットボトルなどの飲料品のみです。ペット同伴はOKですが、リードをつけたり、糞の後始末をきちんとしたりといったマナーは守りましょう。 バラテイストのジュースやソフトクリームが人気のカフェでひと休みを 園内にはカフェが2店舗あります。写真は「河津バガテル公園」直営のカフェで、開園と同時にオープン、ラストオーダーは16時。客席は室内とテラスとで合計54席、テラス席はペット同伴OKです。軽食はバガテルカツサンド500円、エビピラフ、カレーピラフ各700円など、ドリンクはコーヒー、紅茶、アップルティー各400円、グラスワイン600円、ビール700円などがあります。 特に人気の高いメニューは、バラの香りが楽しめるバラソフトクリーム380円(左写真)とバラジュース500円、スパークリングローズ500円(右写真)です。 調香体験コーナーやバラ講習会も開催! 土産物店も充実の品揃え 「河津バガテル公園」では、調香体験コーナーも設けています。バラの香りに含まれる7種の香料を混ぜ合わせて、オリジナルフレグランスをつくります。体験時間は1回約30分で、10㎖で1,000円、20㎖で1,600円。通年行っており、予約なしで参加できます。 また、シュートの管理や病害虫対策、冬の剪定法など、バラの管理に関する講習会を、毎週土・日曜の11時から開催しています。1回完結スタイルの内容で約30分、無料なので、ぜひご参加ください。 園内にある土産物店の品揃えは、充実したラインナップ。バラジャムやローズヒップティー、バラ石鹸、バラをモチーフにしたハンカチなど200〜400種の雑貨類が揃い、お買い物を楽しめます。右の写真は、バラの香りが楽しめるオリジナルのバスパウダー200円。バラ苗も100品種以上を揃えており、価格帯は新苗が1,000円〜、大苗が2,800円〜です。
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静岡県
花の庭巡りならここ! 世界バラ会議で受賞歴のある熱海「アカオハーブ&ローズガーデン」
バラをはじめ、さまざまな植物が競演する「アカオハーブ&ローズガーデン」 静岡県にある「アカオハーブ&ローズガーデン」は、約600種4,000株のバラが咲き誇り、球根植物やハーブ、宿根草などさまざまな植物が織りなす見応えのある景色が楽しめます。2015年には「第17回世界バラ会議“優秀庭園賞”」を日本の民間企業で初めて受賞し、内外から注目を集めました。 12のテーマで構成された見どころいっぱいのガーデン 「アカオハーブ&ローズガーデン」は斜面を利用したガーデン。まず送迎口からバスに乗車し、それぞれのテーマガーデンの解説を受けながら約5分で頂上に着きます。バスを降りたら園路に沿って下っていき、思い思いにテーマガーデンに立ち寄りながら元の場所へ。眼下に海を望むナイスビューを堪能しつつ、優美な花々に囲まれる幸せなひとときを過ごしましょう。 斜面にガーデンがあるので、下から見上げる景色も圧巻。 「アカオハーブ&ローズガーデン」のデザインを担当したのは、ランドスケープデザイナーの白砂信夫さんです。つるバラをトンネル状に仕立てた「クライミングローズガーデン」、デビッド・オースチン・ロージズ社作出のバラが咲き誇る「イングリッシュローズガーデン」、イエローでまとめた「黄金のバラの庭」、褐色系の花々を集めた「夜の女王の庭」など、12のテーマガーデンで構成されています。アーチやオベリスク、バラと一年草や宿根草を組み合わせてトータルにコーディネートされた迫力ある景色は、ガーデニングのヒントにもなりそうです。 上写真は、結婚式が挙げられる、華やかなウェディングガーデン。 綿密な植栽プランによる開花リレーで、四季を通して花爛漫 「アカオハーブ&ローズガーデン」では、ハーブガーデンも充実しています。セージやローズマリーをはじめ、約100種のハーブを植栽。特に、段々畑に群生させたラベンダーが開花する初夏は見応えがあります。 風香るラベンダーの段々畑。 品よく香るラベンダーにちなんだ淡い紫色の「ラベンダーソフトクリーム」は、オリジナルでレシピ開発したレアアイテム。ぜひ味わっておきたいところです。 「アカオハーブ&ローズガーデン」は、その名の通り、バラとハーブが際立つガーデンですが、その観賞期以外にも開花リレーを計画して見どころをつくっています。1月はアタミザクラ、2月はナノハナ、3月中旬〜4月はチューリップ、9月はダリアやノボタン‘コートダジュール’、10〜11月はアメジストセージが群れて咲き、一年を通して華やかな景色が広がります。 カフェやショップ、体験工房もある、充実のコンテンツ! 「アカオハーブ&ローズガーデン」では、2017年9月にカフェ「COEDA HOUSE(コエダ ハウス)」がオープンしました。建築家の隈研吾さんが手がけた360度ガラス張りの木造カフェで、8㎝角のヒマラヤヒノキを積み上げた「積み木の柱」が、モダンかつ温かみのある雰囲気を醸しています。一番の高台に建つため相模湾が一望でき、水平線まで開けた海が眼前に広がる癒しのスポットです。 カフェのメニューは、パティシエの藤井幸治さんがプロデュースしたオリジナルスイーツ、熱海のダイダイを使ったチーズタルトの「熱海タルトフロマージュ(写真左)」、フワフワの食感を追求し、ミカンハチミツを使って仕上げたバームクーヘン「COEDA KUCHEN」がオススメ。ほかに、バラの花びらのジャムをあしらった、オリジナルのローズアイスクリーム(写真右)も人気があります。 「アカオハーブ&ローズガーデン」は、ペット同伴もOK(リードをつけることが義務づけられています)。抱いて膝に乗れるサイズなら、バスへの同乗も可能です。カフェの「COEDA HOUSE」にもテラス席が用意され、一緒にくつろぐことができます。 ガーデニングショップも併設されているので、お気に入りの花苗やガーデングッズを探してお買い物を楽しむのもまたよし。体験工房では「ハーブのせっけん作り」や「コロン作り」「子ども向けネイチャークラフト」など、季節によってテーマが変わる体験教室も開催しています。楽しいコンテンツがたくさん詰まった観光ガーデン「アカオハーブ&ローズガーデン」は、ぜひ一度は足を運びたいスポットです。 Information 「アカオハーブ&ローズガーデン」 所在地:静岡県熱海市上多賀1027-8 TEL:0557-82-1221 http://garden-akao.com/index.html アクセス:熱海駅よりバスで15分(熱海駅6番乗り場「網代旭町行き」に乗車、“アカオハーブ&ローズガーデン”バス停下車徒歩2分 280円) 通年開園 ※但し12月・1月の毎週火曜日は定休 Open 9:00~17:00(16:00最終入園) 入園料: 大人700円、小人400円(1月1日~2月28日) 大人1,000円、小人500円(3月1日~5月14日) 大人1,200円、小人600円(5月15日~6月10日) 大人1,000円、小人500円(6月11日~11月30日) 大人700円、小人400円(12月1日~12月31日) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/