春から初夏にかけて、色とりどりの草花を一層引き立ててくれるのが、庭木たちの美しい新緑や色鮮やかな新芽です。
この記事では、約30年のガーデンライフの経験があるガーデンプロデューサーの遠藤昭さんが、花や紅葉など四季の移ろいを長く楽しめる「新緑・新芽が美しい庭木」を10種類厳選。
小さく仕立てられる品種や、日当たりの悪い日陰でも育つ種類など、庭の広さや環境でお悩みの方も必見です。数十年にわたって庭を彩ってくれる、あなたのお庭にぴったりの1本をぜひ見つけてみませんか?
目次
新緑や新芽も美しい庭木ベスト10

春から初夏にかけては、多くの植物が花咲く季節を迎え、街も庭も彩りが増えていく嬉しい季節ですね。そんな色とりどりに咲く草花を一層引き立ててくれるのが新緑の庭木たち。そして、新緑の季節に緑色ばかりでなく、美しい色の新芽を出す魅力的な庭木もあります。さらに庭木の魅力は、その後、数十年にわたり、新緑をはじめ四季折々の移ろいの美しさを届けてくれます。
今回は、新緑や新芽の美しい庭木のから約30年のガーデンライフで、自分でも育てたり植えたりした経験のある10種を選びました。花や紅葉という魅力も合わせてご紹介します。
Select1 アオダモ
【学名】Fraxinus lanuginose

モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹です。
古くから日本で庭木として親しまれ、定番ですが、株立ちの樹形が美しく、最近、洋風の庭にもマッチするので人気が高まっています。特に新緑の季節は涼しげで魅力的です。一時、代用として見た目が似ている常緑のシマトネリコが流行りましたが、シマトネリコは成長が早く暴れるということから、やはり元祖の「アオダモ」に人気が戻っていると感じます。材質が硬く丈夫なので、野球のバットに使用されていることでも有名です。

花は目立ちませんが、4月上旬に白い繊細な姿で、とても美しいのも魅力です。
アオダモの育て方
落葉樹なので、落葉している11月から3月に、日当たりと水はけのよい場所に植えます。
植え付けの際は、必ず「水極め」をします。植え付け後は、必ず支柱を立てて風などで揺れないように固定します。
庭木を植え付ける際に大切な作業「水極めとは?」

- 根鉢より一回り大きな植え穴を掘り樹木を入れ、植穴の半分程度まで土を入れます。
- 穴にたっぷりとホースで水を注ぎ、土と根をなじませるために樹木をゆすり、突き棒で、根鉢と植え穴の間に隙間が無くなるようしごきます。
- 一旦、水が引いたら、残りの土を入れ、根元を軽く踏み固めます。 再度、たっぷりと水を注ぎ、突き棒で再度、上記の作業をします。
- 最後に、根元の周りに土を盛って土手を作り、水やりの時に水が流れないよう水鉢を作ります。
水極めまで完了した植え付け後は、水切れに注意します。特に初めての夏の乾燥には気を付けます。西日も避けましょう。
剪定適期は、他の落葉樹と共通で11月~翌年3月にします。自然樹形を生かす剪定がアオダモには似合います。施肥は植え付け時と2月に寒肥として緩効性肥料を施します。
Select2 モミジ
【学名】Acer palmatum

モミジはムクロジ科カエデ属の落葉広葉樹です。
モミジも日本で季節を彩る庭木として、アオダモと共に人気の高い樹木です。モミジというと紅葉の美しさは有名ですが、私はモミジのなかでも枝垂れモミジの新緑が好きです。とても繊細で清らかな印象です。我が家の枝垂れモミジは、25年ほど経ちますが、高さ1m、幅2m程度に小さく仕立てられていますので、狭い庭にもおすすめです。

12月には紅葉し、落葉したあと再び春にその美しい姿を楽しませてくれます。
モミジの育て方
モミジの育て方は、アオダモに準じますが、モミジは、剪定に弱いとされ、春は早めの2月までに終えるようにします。
Select3 ネグンドカエデ‘フラミンゴ’
【学名】Acer negundo ‘Flamingo’

ネグンドカエデ‘フラミンゴ’は、カエデ科カエデ属の落葉広葉樹です。
約20年前から人気が出た庭木で、アメリカカエデとも呼ばれています。北米原産の高木で10mほどと立派に成長するので、狭い場所は避けたほうが良いでしょう。魅力は何と言っても、新芽がピンク色の美しいところです。成長すると白くなり、斑入りに葉になりますが、木全体に白が混ざるので、明るい印象です。

ネグンドカエデの育て方
育て方で注意する点は、株が充実してくると成長スピードが早いこと。1年で2m位にまでなります。冬の通常の剪定以外にも、こまめに剪定をしたほうがコンパクトな樹形を保つことができます。そのほかは、アオダモなどの育て方とほぼ同じです。
Select4 ネンキンハゼ‘メトロキャンドル’
【学名】Sapium sebiferum ‘Metro Candle’

‘メトロキャンドル’は、ナンキンハゼ(トウダイグサ科シラキ属)の園芸品種で、落葉広葉樹です。6月頃に新芽が黄色くまるでキャンドルの火のように染まることから、メトロキャンドルと呼ばれているようです。秋の紅葉も真っ赤に染まり、庭のアクセントになります。近年、人気のカラーリーフとしても注目が集まっています。我が家の‘メトロキャンドル’は、植えて20年ぐらい経ちますが、剪定も楽で、育てやすい庭木です。


ナンキンハゼの育て方
アオダモなどの落葉樹に準じます。
Select5 ディクソニア・アンタルクティカ
【学名】Dicksonia antarctica

ディクソニア・アンタルクティカは、オーストラリア及びニュージーランド原産のシダ科の常緑植物です。現地では10mほどになる巨大な植物ですが、我が家の株は30年前に胞子を個人輸入して育てたもので、現在は鉢上げして育てています。
年中、明るい緑の美しい葉を見せてくれますが、特に5月の新緑は、その新しい巨大な葉が芽吹くパワーと美しさが感動的です。30年前は胞子を輸入して育てるしか入手法がありませんでしたが、最近では、国内でも株が流通していて、価格もかなり手ごろになってきました。太古の昔から悠久の時を超え、美しく進化した木生羊歯(もくせいしだ)のディクソニアの美しさを味わってみませんか?

ディクソニア・アンタルクティカの育て方
シダのイメージより、ヤシの木をイメージした方が近いかも知れません。現地でも日向でも育っており、寒さ暑さにも比較的強い丈夫な性質です。一つ気を付けるのは、真夏の西日で葉焼けを起こすことがあるので、真夏は半日陰になる場所がよいでしょう。水はけのよい場所に植えますが、鉢植えの場合、水切れに注意を。肥料は控えめに。東京近辺の露地で越冬するのを確認しています。長く育てていると巨大化するので、鉢植えがおすすめです。
Select6 メラレウカ‘レッド・ジェム’
【学名】Melaleuca bracteata ‘Red Gem’

メラレウカは、オーストラリア原産のフトモモ科メラレウカ属の常緑樹で、別名ティーツリーとも呼ばれています。この10年位で庭木として急速に普及してきた、人気のオージープランツです。‘レッドジェム’は新芽の赤い葉が魅力的です。また新芽の萌芽とほぼ同時に咲く、白い花も魅力的です。メラレウカは国内で数種流通していますが、新芽の美しさはこの‘レッド・ジェム’が最高でしょう。冬になると葉が赤くなります。

メラレウカ‘レッド・ジェム’の育て方
オージープランツですので、日当たり・水はけのよい場所で育てます。耐寒性・耐暑性もあり育てやすい品種です。挿し木でも増やせます。剪定にも強く、オーストラリアでは盆栽仕立ても見かけます。
Select7 ギンヨウアカシア‘プルプレア’
【学名】Acacia baileyana ‘Purpurea’

オーストラリア原産のアカシアの一種で、お馴染みのミモザのプルプレア(銅葉)タイプです。開花は3月初旬ですが、その後に新芽がなんとも言えぬ魅力的なカラーで素敵です。アカシアは成長が早く大きくなるし、短命だからと敬遠されているようです。ですが、毎年、剪定すればコンパクトに育てることができ、寿命も長くなるようです。

ギンヨウアカシア‘プルプレア’の育て方
オージープランツですので、日当たりと水はけのよい場所で育てます。耐寒性・耐暑性もあり育てやすいです。枝が折れやすいので、積雪の重みには注意が必要です。成長旺盛なアカシアを育てるポイントは、なんといっても剪定です。7月には翌年のつぼみができ始めるので、花後、4~6月には前年の位置位を目処に、強めに剪定しましょう。
Select8 スモークツリー
【学名】Cotinus coggygria

ウルシ科ハグマノキ属の落葉樹です。名前の通り、スモークのようなふわふわとした花が魅力の花木で、花色も数種のバリエーションがあり、カラーリーフの品種もあります。通常の緑色の葉の品種でも、新芽は銅色。さらに朝日に当たると、驚くほどきれいです。新芽とほぼ同時につぼみが出て、5月の下旬に開花時期を迎えます。

スモークツリーの育て方
基本的に、他の落葉樹と同様の育て方でですが、一つ注意点は、うどん粉病にかかりやすいこと。普段から風通しをよくすることと、兆候が見られたら、早めに殺菌処理をすることを忘れずに。うどん粉病は一度かかると、葉が元には戻らないので注意が必要です。なお、挿し木で増やすことができます。
Select9 ヤツデ
【学名】Fatsia japonica

ウコギ科ヤツデ属の常緑低木です。新緑というと、なんとなく落葉樹のイメージがありますが、常緑樹で新緑が美しいのがヤツデです。なんと鮮やかな美しい緑でしょう。日本人はこの個性的な形の葉に見慣れていますが、欧米では珍しく、モミジなどと並んで海外で人気の日本の庭木です。意外と和洋どちらの庭にも似合い、日陰でも育つので、北側や日当たりの悪い場所に緑がほしい場合に重宝します。最近は斑入り品種も人気です。

オージーガーデンが主流の我が家の庭の隅に灯篭が処分しきれずに鎮座しており、11月頃にはヤツデが花をつけ、“逆異国情緒?”。豊かな不思議な雰囲気を醸し出してくれます。

ヤツデの育て方
日陰から半日陰の水はけのよい場所で育てます。耐寒性・耐暑性があり、本当に手がかかりません。植える時期は3~4月または、9~10月で、剪定も同じ時期に行います。
Select10 ベニカナメモチ(レッドロビン)
【学名】 Photinia × fraseri. ‘Red Robin’

バラ科カナメモチ属の常緑樹で生け垣によく使用されます。元々、日本ではベニカナメモチが剪定に強く、庭木や生け垣に使用されてきましたが、ベニカナメモチは、病害虫(ごま色斑点病など)に弱く、耐寒性も劣るので、ベニカナメモチとオオカナメモチの交雑種の‘レッドロビン’が、多く使用されるようになりました。見た目には、ほとんど変わりませんが、‘レッドロビン’は葉がやや大きく、枝ぶりが荒いです。

ベニカナメモチの育て方
常緑樹なので、植え付けは3~4月、および9~10月に行います。
日当たりがよく、水はけのよい場所に植えます。植え付けて1年目は、乾燥しないよう気を付けて水やりを行いますが、2年目以降は、降雨にまかせても大丈夫です。
褐斑病、ごま色斑点病にかかりやすく、対策としては、風通しをよくし、初期段階で薬剤を散布します。トップジンM水和剤やベンレート水和剤などの殺菌剤が効果的です。施肥は植え付け時と2月に寒肥として緩効性肥料を施します。
また、生け垣の刈り込みは、必要に応じて年に数回行います。適期は、7月、9月、12月〜翌年3月が目安です。
庭木は一生の暮らしのパートナー! 四季折々の感動を自宅のお庭で

新緑・新芽が美しい庭木10種から気になる種類は見つかりましたか? 私自身の約30年のガーデンライフを彩ってくれたお気に入りを集めた結果、大好きなオージープランツが3種ランクインしました。しかし、昔ながらのモミジから異国情緒あふれるディクソニアまで、どれも新芽の生命力と美しさに毎年感動をもたらしてくれる自慢の庭木たちです。庭木は、春の芽吹きから花、そして紅葉と、数十年にわたって私たちに四季の喜びを教えてくれます。これからのお庭づくりや、新たな庭木を迎える際の参考にしてください。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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