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ミモザ(アカシア)は庭木におすすめ! 黄色い花が魅力のミモザの育て方や種類を解説

ミモザ(アカシア)は庭木におすすめ! 黄色い花が魅力のミモザの育て方や種類を解説

tamu1500/Shutterstock.com

黄色いポンポン状の花がたわわに咲き、生花のほかリース、スワッグ、ドライフラワーとしても人気の花木、ミモザ。アカシアとも呼ばれるオーストラリア原産の樹木で、日本でも庭で育てることができて、シンボルツリーとしても人気です。ここでは、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主である遠藤昭さんに、庭で育てがいのあるオージープランツの一つ、ミモザ(アカシア)を解説していただきます。

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ミモザ(アカシア)の基本情報

植物名 ミモザ(アカシア)
学名  Acacia
英名  Mimosa
和名  アカシア、ギンヨウアカシア
科名  マメ科
属名  アカシア属
原産地 オーストラリア
形態  常緑性高木

ミモザ(アカシア)は、オーストラリア原産の常緑性高木。ヨーロッパでは、ミモザといえばフサアカシアのことをいうが、日本では、ミモザはマメ科アカシア属の植物の総称で、ギンヨウアカシアやフサアカシアなども含まれる。

ギンヨウアカシア(Acacia baileyana)は、一般的に日本ではミモザとして知られているが、もともとアカシアは、実に多くの品種が世界中に分布するといわれる。しかし、多くがオーストラリア原産で、現地ではワトル・ツリー(wattletree)と呼ばれている。ボンボリ状の可愛らしい黄色の花と、ミモザという響きも素敵で、近年、庭木としても人気だ。マメ科植物なので、比較的痩せた土地でも育つのも魅力。

ミモザ(アカシア)の花の季節はいつ? 花や葉の特徴

園芸分類 庭木、花木
開花時期 2〜4月
樹高   5〜10m
耐寒性  普通
耐暑性  強い
花色   黄色

「春は黄色い花からやって来る」といわれるが、我が家で真っ先に咲くのがギンヨウアカシアだ。毎年、バレンタインデーには開花する。早春の青空にふわふわイエローの可憐な花が舞い、葉も銀葉で明るく美しく、春を感じて心ウキウキさせてくれる魅力的な花だ。

アカシアというと、「♪アカシアの雨に打たれて……」という流行歌を思い出す方がおられるかもしれないが、この歌のアカシアはニセアカシア(Robinia pseudoacacia)で、北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。和名は「ハリエンジュ」といい、ミモザとは異なるので、ミモザ・アカシアの仲間ではない。

僕もかれこれ25年ほど、さまざまなミモザの品種を育ててきたが、多くは成長が早く、数年で丈高くなり、風や雪で枝が折れたり、夏の蒸し暑さで枯れてしまったものだ。

成長が早いと木の寿命も短くなりがちで、花後には剪定をして小型に保ったほうが寿命は長く保てるという。翌年の花芽が7月頃には上がってくるので、剪定は花の直後にしないと、花芽を落とすことになる。

木にまんべんなく花房をつけ、満開で黄金色に輝くミモザ。Fotografiche/Shutterstock.com

ミモザとアカシアの違いとは

ミモザ

厳密に言うと、ミモザとアカシアは異なる。どちらもマメ科の植物ではあるが、ミモザはオジギソウ属、アカシアはアカシア属に分類される。

ただ、日本でいうミモザはアカシア属に分類され、前述のようにギンヨウアカシアやフサアカシアも含まれるので、この記事では日本式を基準に書いていくこととする。

ちなみに本来のミモザ(オジギソウ属)とアカシア(アカシア属)には、ミモザは触るとお辞儀するように葉を閉じるという特徴があるが、アカシアは触れられても葉が閉じることはない、という違いがあり、それで見分けることができる。

ミモザ(アカシア)の名前の由来

ミモザという名前は、ギリシャ語で「真似る人」という意味の「mimos」に由来している。本来のミモザはオジギソウ属であり、葉に触れるとお辞儀するように動くその動作が、古代ギリシャの劇「ミモスmimos」の劇中に出てくる動きに似ていたことから、その名がついたということだ。

なお、「パントマイム」という言葉は、ギリシャ語の「pantos=すべて」と「mimos」の合成語が語源となっている。

その後、オーストラリア原産のアカシアがヨーロッパに渡来した際、ミモザ(オジギソウ)と見間違えられたことから、アカシアが「ミモザ」と呼ばれるようになったということだ。

ミモザ(アカシア)の花言葉

ミモザの花言葉は、国によって異なる。

日本では、「優雅」「友情」。イタリアでは、「感謝」。フランスでは、「思いやり」「豊かな感受性」。

特にイタリアでは3月8日を「ミモザの日」として、男性から女性へ日々の感謝と敬意の気持ちを込めてミモザの花を贈る、という素敵な習慣がある。ここでいう「女性」は、恋人や妻に限らず、母や祖母、同僚や友人も含めてである。女性たちは、贈られたミモザを飾って楽しむだけでなく、その日は日常から離れて外食やお出かけを楽しむのだ。

ミモザ(アカシア)の代表的な種類

ミモザ(アカシア)には1,000を超える種類がある。ここでは代表的な5種を紹介しよう。

ギンヨウアカシア

ギンヨウアカシア
tamu1500/Shutterstock.com

我が家の庭にもあるギンヨウアカシアは、名前のとおり銀色の葉が美しく、日本でよく出回っている種類。葉の長さが短めなのが特徴で、樹高も低め。コンパクトで育てやすいといえる。

パールアカシア

パールアカシア(Acacia podalyriifolia)は、丸い葉と丸いふわふわの花が特徴のミモザ。

上の写真はパールアカシアの実生で、成長が早く4年目で樹高が4mほどになった。一度、夏に枯れたが、残った枝を挿し木にしたら成功して、この木は2代目だ。亜熱帯のクイーンズランド州の南東部に分布しているが、耐寒性があり、雪が降っても枯れることはなかった。ただし、雪の重みで枝が折れることがあるので注意が必要だ。

丸く平たいシルバーリーフがきれいだ。

三角葉アカシア

こんな三角葉アカシアという品種もある。名前のとおり三角形の葉が特徴で、シャープなイメージも持ち合わせる。樹高は低めで、他のミモザより花が咲く時期が若干遅い。

プルプレア種

また、新芽が銅葉(紫色ともいわれる)の、プルプレア種も魅力的だ。葉の形はギンヨウアカシアと同じで、銅葉は成長すると銀色に変わる。さらに冬が終わる頃には緑色に変化するので、季節とともにさまざまな色を楽しめる。花の数はあまり多くはない。

ちなみに、「プルプレア」はラテン語で紫という意味だ。

フサアカシア

フサアカシア
FatimeBarut/Shutterstock.com

フサアカシア(Acacia dealbata)は、ギンヨウアカシアより葉が長く緑色なのが特徴。葉は触ると柔らかくて、鳥の羽根やレース編みのようにも見える。樹高が高く10mを超えることもあるので、スペースの考慮とこまめな剪定が必要だ。ヨーロッパでは、「ミモザ」というと、このフサアカシアをさすことが多く、「フランスミモザ」とも呼ばれる。

ミモザ(アカシア)の栽培12カ月カレンダー

開花時期:2〜4月
植え付け・植え替え適期:4〜5月、9〜10月
肥料:4〜5月
剪定:5〜6月

ミモザ(アカシア)の栽培環境

日当たり・置き場所

ミモザは日光が大好きだ。日当たりのよい場所で育てると花付きもよくなる。冬でも気温がマイナス5℃を下回らない地域であれば、地植えもできる。

水はけも大事。そして風通しのよい場所も好む。だが、ミモザの枝は柔らかいので、雨や風で倒れやすくもある。地植えにするときは、幹を支柱などで支えるなどの工夫をしたり、鉢植えの場合は、梅雨や台風のときには安全な場所へ移動させるなど対策はしたほうがいい。

温度

ミモザは、冬でも最低気温マイナス5℃くらいまでは耐えることができる。それを下回ると冬越しは難しいだろう。

夏は25〜30℃くらいが適温だが、水切れには注意が必要だ。

ミモザ(アカシア)の育て方

ミモザの育て方や手入れ方法を解説しよう。

用土

ミモザはあまり土質を選ばない。水はけさえよければ、庭土や市販の培養土でもきちんと育つ。もし用土を自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土3、軽石1の割合をおすすめする。

水やり

ミモザは地植えの場合、植えてから1年くらいは土の表面が乾いたらたっぷりの水やりをしたほうがいいが、根が定着した後は水やりの必要はない。自然の雨に任せるので十分。

鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりの水をあげるとよい。特に夏はとても乾きやすいので、鉢底から流れ出るくらい十分に水をあげよう。

肥料

ミモザに肥料が必要だとしたら、開花後の4月から5月頃。花が咲き終わったら、長い時間をかけてゆっくり効果を発揮する化成肥料や油粕を使うとよい。

ミモザには自分で窒素を吸収する力があるので、肥料は窒素成分が少ないものをあげるように。

ただ、育ちが悪いなどでないかぎり、必要以上に肥料を与える必要はない。

植え付け

ミモザの植え付けの適期は春(4〜5月)と秋(9〜10月)。植え付ける際は前述の日当たりなどを考慮し、慎重に場所を選ぶことが重要。ミモザは移植が苦手だからだ。

市販の苗を購入したら、根鉢のサイズの倍くらいの大きさと深さの穴を掘って植え付けて、水をたっぷりあげる。

植えてすぐは風などで倒れやすいので、支柱を添えるのもおすすめだ。

ミモザは成長が早くどんどん大きくなるので、基本的に地植えが向いているが、鉢植えの場合は、深さのある鉢を選び、植え替えのたびに少しずつ鉢の大きさをサイズアップしていこう。

剪定

ミモザは生育旺盛。放っておくとグングン高さが増して5mは超える高木になる。美しい樹形のミモザに保つためには、そして、細い枝が伸び過ぎて強風で折れてしまうのを防ぐためにも、定期的な剪定が必要だ。

剪定時期は花が咲き終わった5〜6月頃。伸びた枝は切り戻し、混み合っている枝や葉も剪定して、バランスを取るのが重要。

遅くとも7月までに剪定作業は終わらせたい。なぜなら、7月頃からは次の花芽がつき始めるからだ。その後剪定すると、翌年の花つきに影響が出てしまうのだ。

夏越し

耐暑性は強い。夏でも地植えの場合、水やりはしなくても大丈夫。7月から8月にかけて、翌年の花芽がつき始める。

冬越し

マイナス5℃を下回らなければ越冬可能。下回る場合は、鉢植えでの管理が必要だ。

ミモザ(アカシア)の増やし方:挿し木、種まきのすすめ

ミモザの増やし方には、挿し木や種まきがある。

ミモザは、日本ではあまり長寿ではなく、大きくなるし、夏に突然枯れてしまうことが多いので、梅雨時期に挿し木苗をつくっておくとよいかもしれない。

挿し木苗の作り方は、ミモザの枝を、10〜15cmほど切り出す。その枝の下から半分ほど葉を取り除いて、切り口を斜めに切ったら2〜3時間、コップなどに入れた水に浸す。
その後、挿し穂の切り口に発根剤を塗布したら、挿し木用の培養土をポットなどに1/3程度入れたら、割り箸などで穴を開けてゆっくりと植える。表土が乾いたら水を忘れずに。根が出るまで1~2カ月は、なるべく動かさないのがポイント。

また、花後にマメ科特有の鞘に入った種子ができるので、採取して播いて苗を育てるのも楽しい。タネは熱湯に一晩浸けておくと発芽しやすい(オーストラリアの植物は山火事を経験して発芽するものが多い。詳しくは、『オージーガーデニングのすすめ「発芽させる6つの方法」』参照)。

ミモザ(アカシア)のトラブル-害虫、根腐れ-

ミモザの害虫被害で最も多いのは、イセリアカイガラムシによる被害。イセリアカイガラムシは、ほかのカイガラムシと同じように、一気に大量発生する。幹につくと樹液を吸って株を弱らせてしまう。

また、カイガラムシの排泄物が葉に付着すると、カビが発生して葉が黒いすすのような粉で覆われるすす病になることも。こうした被害を防ぐためにも、1匹でもイセリアカイガラムシを見つけたら、地道にこそげとるか、薬剤を散布するなど、早めの対処が必要だ。

ミモザの葉が落ちてしまったという場合には、根詰まりによって水が行き届かない乾燥や、逆に水のやり過ぎによる根腐れが原因として考えられる。冬の寒さが厳しい地域では、低温による影響もあるかもしれない。適正な管理で未然に防ぐことができる。

春はミモザ(アカシア)の花粉症に注意

ミモザの咲く春先、この時期は日本ではスギ花粉が飛び散っているが、僕はアカシア(ミモザ)花粉症なのである。あのボンボリのような花は、見るからに花粉がいっぱいではないか! 僕が最初に花粉症になったのは、メルボルン駐在中である。多くの日本人がワトル・ツリーと呼ばれるアカシアの花粉症で悩まされたのだ。

オーストラリアのミモザのシーズン。 Photo/ taewafeel /Shutterstock.com

ガーデン都市と呼ばれるメルボルンの花粉の量は、きっと東京の比ではないと思う。家々の庭にはたくさんの花が咲き乱れ、花粉を撒き散らしているのだ。春先から夏にかけて、芝刈りをした夜はもう、花粉症の症状で眠れないほど苦しんだ。アカシアは花も葉も美しいが、花粉症の方は庭で育てるのは要注意かも知れない。

種まきをして発見した感動

長いこと園芸をやっていると、さまざまな感動があるが、僕は新しい植物の神秘を発見した時に感動する。咲いて当たり前の花が咲いても感動はあまりないが、植物の未知の世界に遭遇し、未知が既知のものとなる瞬間に感動がある。このミモザ(オーストラリア原産のアカシア)は普通、偶数羽状複葉であるが、中には三角葉や平葉のアカシアがある。

数年前に、パールアカシア(Acacia podalyriifolia)という、平たい葉っぱの少し変わったアカシアの種子を入手して播いたら、普通のアカシアのような偶数羽状複葉の芽が出てきた。「あれ? 品種が違ったのかな?」と思いつつそのまま育てていたら、ある時、異変に気がついた。なんと羽状複葉の根元が平葉になっているではないか!

ユーカリにも幼木の時は丸い葉で、成木になると普通の長い葉になる品種があるが、パールアカシアも成長過程で葉のカタチが変化するようだ。不思議大陸の植物は本当に面白い。

3月8日はミモザの日(国際女性デー)

ミモザの日
Alena Gridushko/Shutterstock.com

3月8日は国際女性デーとして知られている。国際女性デーは、女性の権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指すために、国連により1977年に定められた。

なぜ3月8日かというと、それは1904年3月8日にニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めて起こしたデモに由来する。

また、イタリアでは、3月8日を「ミモザの日」として、男性から女性へ感謝の意を表してミモザの花束を贈る風習があった。3月8日はミモザの花が咲き誇る時期であり、ミモザは国際女性デーのシンボルとなった。

ミモザ(アカシア)を飾る〜剪定枝を活用したスワッグや、リース、ドライフラワーの作り方〜

ところで、このミモザは、最近流行のスワッグの材料にもぴったりだ。つぼみの状態も可愛い。ユーカリやメラレウカと一緒に束ねるのがオススメだ。そうだ、この原稿執筆の手を休めて、スワッグを作ろう…と、庭からつぼみのついたパールアカシアやオージープランツの枝を切ってきて、束ねて、ほんの数分で仕上がったのが上写真だ。庭にオーストラリアの木々があると、ユーカリの香りと共に、おしゃれなインテリアが思い立ったときすぐ楽しめる。

ミモザで作ったリースも、この時期花屋などの店頭で多く見られる。玄関先に、自分で手作りしたリースやスワッグを飾るのも、お客様を出迎えるのに華やかでいい。ドライフラワーにするだけでも、絵になって可愛い。

ミモザのスワッグやリース、ドライフラワーの作り方は、ガーデンストーリーの下記記事をぜひご参考に。

また、伐採したアカシアの木は、オーストラリア・レンガのアクセントに埋め込んで使用している。こうして考えてみると、いろいろと活用方法があるものだ。庭に植えて季節を感じるばかりでなく、生活に活用できるオージープランツ、ぜひ育ててほしい。

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