【おしゃれガーデニング術】パンジー&ビオラの品種の違いを生かして魅せる! 鉢植えコーディネート

パンジー&ビオラは冬の花の代表選手。10月頃から店頭に並び始め、翌年の4月まで庭を彩ってくれる花期の長い一年草です。毎年、新品種が登場し、八重咲きやフリル、斑入り、ピコティ(覆輪)、バイカラー(2色咲き)など、多彩なバリエーションがあります。そんな豊かな個性を持つ花と鉢とをコーディネートするのも冬のガーデニングの楽しみ。何百種というパンジー&ビオラを育ててきた鳥取県米子市の面谷ひとみさんに、品種の違いを生かしたコーディネートのコツを教わります。
目次
鉢とのコラボでかわいさが際立つパンジー&ビオラ

パンジー&ビオラはさまざまな花色や花形があり、毎年驚くような新品種が登場します。地植えでも冬の庭をかわいらしく彩ってくれますが、草丈10〜20cmのパンジー&ビオラは、鉢植えにするとよりその魅力が際立ちます。定番のテラコッタはもちろん、多彩な個性の花をさまざまな植木鉢とコーディネートするのは、着せ替え人形のような楽しさがあり、寄せ植えや鉢植えがこれほど楽しみな花はほかにありません。
パンジー&ビオラの品種ごとに異なる生育の違い

多彩な個性は色や形だけでなく、育ち方にも違いがあります。この生育の違いは、植えたばかりの頃は気になりませんが、春になると明確に現れてくるので、パンジー&ビオラの品種違いを寄せ植えにするときは、生育差も考慮して組み合わせます。例えば、八重咲きのフリルの強い花は、1輪を咲かせるのにパワーを使うため、春になっても花数がものすごく増えるということはありません。

それに比べて一重の中輪や小輪は、植えたときの3〜5倍くらいになることも珍しくありません。こうした生育の差が大きなものを同じ鉢に植えると、鉢の片側だけがものすごくボリュームが出てバランスが悪くなったりします。経験を積むとそうした品種ごとの違いが分かってきますが、一番失敗がないのは、同じ品種で色違いを寄せ植えにすること。生育差が少なく、春になっても姿のよい鉢になります。

強烈な個性派パンジー×ダークカラーの鉢でシックな雰囲気

八重咲きで花弁のフリルがまるでサンゴ礁のようなサトウ園芸のパンジー‘ドラキュラ’。花心が黒くベインと呼ばれる筋模様が入る個性強めの花は、ダークカラーの鉢と相性ぴったりです。花はカラフルな取り合わせでも、鉢をダークカラーにするとシックな雰囲気にまとまります。前述のように、一般的な一重のパンジーに比べて春の花数の増え方は控えめですが、1輪のもちがものすごくよいのもこの花の特徴です。一重の花は咲いてしおれるまでが早いので、花がら摘みを始終する必要がありますが、この花はその手間がなく美しさを長くキープしてくれます。ただし、八重咲きは山陰では雪に弱いので、軒下が定位置です。

パンジー&ビオラには‘ドラキュラ’に限らず花心が黒っぽく染まるものが多くあるので、黒やディープパープルの鉢色はよく似合います。この鉢は英国王立の植物園Kew garden(キューガーデン)によって認定された高品質釉薬シリーズで、さまざまなカラー展開があり、色幅豊かなパンジー&ビオラとのコラボが楽しめます。全てのアイテムに公式ロゴ「ROYAL BOTANIC GARDENS-KEW-」が刻印されており、高貴な雰囲気も魅力。
釉薬鉢、陶器鉢の冬期使用の注意点

釉薬とは素焼き鉢に光沢を出すガラスコーティングのようなもので、液体が染み込んだり染み出したりするのを防ぐため、食器などによく使われる焼き物の技法です。底部は素焼きになっていることがほとんどで、排水には問題ありません。ただし、寒冷地では内部に残った水分が凍結し、ひび割れが発生することがあるので、気温が下がる夜間まで水が鉢内に過剰に残らないよう午前中に水やりをするなど注意が必要です。0℃を下回るような厳しい冷え込みが予想される場合は、室内に取り込んだほうが無難。陶器鉢も同様です。
透明ブルー系パンジー×モノトーン鉢でロマンチックに!

パンジー&ビオラにはとても一言で「何色」と言えないような繊細な花色がたくさんあります。特にブルーの透明感のある花色を引き立てるには、色彩を排除したモノトーンの鉢がよく似合います。植木鉢といえば茶色のテラコッタが一般的ですが、ブルー系の花色にはウォームカラーのテラコッタが強すぎることがあるので、黒、白のほか、グレーの鉢もおすすめです。


花色と鉢色を合わせたワントーンコーデ

カラフルな色合いがたくさんあるパンジー&ビオラですが、なかでも黄色の花は遺伝子上誕生しやすく、花付きのよい品種も多いです。ですから、黄色の鉢はパンジー&ビオラと合わせやすく、1つ持っておいても困りません。冬の間は曇りや雨の日が多い山陰では、明るい黄色の植木鉢とパンジーがひだまりのような明るさをもたらしてくれます。

花色と鉢色を合わせたワントーンコーデは1鉢1株でも目を引く存在感があるので、ガーデンテーブルの上や門柱の上など、狭い場所でも活躍します。小ぶりで色柄ものも多く、パンジー&ビオラとのコーディネートが楽しめます。

花柄&レリーフ鉢でエレガントな寄せ植え

青い花柄の鉢に、ブルー系のパンジー&ビオラをコーディネートしました。花柄の鉢はあまり多くはありませんが、このウィリアム・モリスシリーズはどんな花も不思議と上品にまとまります。ウィリアム・モリス(William Morris)は19世紀に活躍した英国の思想家、詩人、芸術家で、草花や自然をモチーフにしたファブリックや壁紙を数多く残しました。「美しいと思わないものを家に置いてはならない」という信念のもと作品を作り、“芸術と仕事、そして日常生活の統合”という理念を掲げたモリスのアーツ&クラフツ運動は近代デザイン史に大きな影響を与えました。

モリスの代表的なパターンであるフローラルやウィロー(柳の葉)などのバリエーションがあり、サイズも大中小と揃うので置き場所に合わせて選べます。

こちらはローラ・アシュレイの横長のコンテナで、白一色の全面に花柄のようなクラシカルなレリーフが浮かび上がります。横長のフォルムはフォーマルな印象なので、玄関前などにおすすめです。淡いラベンダー色のパンジーとスイートアリッサムをコーディネートして、エレガントにまとめました。
籐のバスケットに花たっぷりで田舎風リラックス

ピンク系のパンジー&ビオラを主役に、ガーデンシクラメンやブラキカム、ルブス、エリカなどを寄せ植えしました。いろいろな種類がたっぷり入っているのが、バスケットの雰囲気には似合うような気がします。バスケットタイプの鉢は中にビニールがセットしてあり、土がこぼれないようになっています。どんな花色にも似合い、軽量で移動しやすいのも優れた点です。この鉢は持ち手がついているのもポイント。

サイズ豊富な定番テラコッタは1株植えからたっぷり寄せ植えまで

鉢の定番といえば、テラコッタ。植木鉢の中では、最もデザインもサイズも豊富で選び放題です。大鉢はたっぷり寄せ植えをすると、彩りの少ない冬の庭を華やかに彩ることができます。3号サイズの小さな植木鉢は、1株だけをコレクション的に愛でるのにぴったり。英国にはプリムラ・オーリキュラを1鉢1種植えて専用の棚に並べた「オーリキュラ・シアター」という観賞方法がありますが、近年の芸術的なパンジー&ビオラも、そのような飾り方をしたら壮観に違いないと思います。

我が家の玄関は、冬はさながらパンジー&ビオラシアターです。階段を利用して大小さまざまな鉢にパンジー&ビオラを植えていますが、この花たちのおかげで、ほとんど晴れることがない米子の冬も、気持ちを明るく過ごせます。こちらでは雪が降る前の今がちょうど植えどき。今年も、新たな花との出会いと寄せ植えをめいっぱい楽しんでいるところです。
Credit
アドバイス / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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撮影 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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