フラックス(亜麻)は美しいブルーの花が魅力! 育て方から亜麻仁油の食べ方までご紹介
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可憐な一重の小花が次々と咲くフラックス(亜麻)。澄んだブルーの花は、風を感じてふわふわと揺れる姿が優しげで、ナチュラルガーデンなどに向いています。この記事では、フラックスの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方、活用の歴史などについて、詳しく解説します。
目次
フラックス(亜麻)の基本情報

植物名:リナム
学名:Linum
英名:flax
和名:アマ(亜麻)
その他の名前:フラックス、ブルーアース、ペレニアルフラックス、宿根アマ
科名:アマ科
属名:アマ属
原産地:北半球の温帯、亜熱帯
形態:宿根草(多年草)・一年草
フラックスは英名のflaxからきたもので、学名はLinum(リナム)、和名はアマ。アマ科アマ属の一年草、または宿根草です。原産地は北半球の温帯、亜熱帯で、200種ほどが分布しています。日本で主に流通しているのは、宿根草のLinum perenne(リナム・ペレンネ)、ベニバナアマの和名で知られるLinum grandiflorum(リナム・グランディフロルム)などで、園芸種もいくつか見られます。一年草のフラックスの茎から作られる繊維はリネン生地の材料に使われているほか、種子からは亜麻仁油が採取でき、北海道の一部で生産されています。草丈は50〜70cmで、花壇では中段〜後段に向いています。
フラックスの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:4〜7月
草丈:50〜70cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:青、白、ピンク、赤
フラックスの開花期は4〜7月で、花色は淡いブルー、白、ピンクなど。花茎を立ち上げた先に、花径2〜3cmほどの5弁花がつきます。日の出とともに開花し、午後には散ってしまう一日花ですが、花つきがよく開花期間中は次々とつぼみを上げて多数の花を咲かせます。花後には球状の実をつけ、種子採りも可能です。亜麻の葉は茎に互生につき、長さ2〜4cmの細長い線のような形をしています。
フラックスの名前の由来や花言葉

学名のLinumは「糸」という意味で、茎から繊維が取れることに由来します。和名のアマ(亜麻)の「亜」は「次に」という意味を持ち、麻の次に繊維や食用油などが取れる有用植物という意味で名付けられたとされています。
フラックスの花言葉は「あなたの親切に感謝します」です。
フラックスの主な種類
フラックスには一年草と宿根草があり、一年草のフラックスはリネンやハーブとしても利用され、宿根草のフラックスはペレニアルフラックスや宿根アマと呼ばれます。主な種類をいくつかご紹介します。
フラックス(L. usitatissimum)

繊維や油などが利用できる有用植物で、英語ではコモンフラックスとも呼ばれ、一般に栽培されています。散りやすい小さな花は整った花形で色も美しく、繊細な印象です。まっすぐ伸びた茎の頂部に、房状に花を咲かせます。苗ではほとんど出回らず、種まきから育てるのが一般的です。
ペレニアルフラックス(L. perenne)

宿根フラックス、宿根アマとも呼ばれるとおり多年性で、花はやや大きめ。花付きがよく、株元から分枝してボリュームがある株姿になります。細長い葉は茎に密につきます。白花種もあります。
リナム・グランディフローラ(L. grandiflorum)

紅花フラックスや紅花アマとも呼ばれます。赤く大きめの花は華やかで、観賞用によく栽培されます。花の中心部分が黒紫になるのが特徴。ピンクや白の園芸品種もあり、代表的な品種に‘スカーレット・フラックス’があります。一年草です。
亜麻色はどのような色?

『亜麻色の髪の乙女』というドビュッシーの名曲がありますが、この「亜麻色」とはどのような色を指すのでしょうか。この名曲から、金髪のような色をイメージする方も多いでしょう。亜麻色とは、アマの繊維から作った糸を紡いだ色を指しており、明るい薄茶色です。
フラックスの栽培12カ月カレンダー
開花時期:4〜7月
植え付け:5月、10月
肥料:特になし
種まき:10月頃(秋まき)、3月下旬〜4月(春まき)
フラックスの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照不足では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。
【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。
【置き場所】土壌は水はけ・水もちがよく、腐植質に富んだ環境を好みます。もともと乾燥した気候のもとで自生してきた植物なので、水はけのよい土壌づくりをしておくことがポイントです。高温多湿が苦手なので、鉢植えの場合は風通しがよく涼しい場所で夏越しするとよいでしょう。
耐寒性・耐暑性
フラックスは暑さにはやや弱いです。一年草のフラックスは暑くなると枯れてしまいますが、越年して数年は生育する宿根草のフラックスも、暑さの厳しい暖地では夏を乗り越えることは難しいケースが多いようです。鉢植えは、夏は風通しがよく涼しい場所に移動し、地植えの場合は梅雨前に鉢に植え替えて同様に管理するのも一案です。寒さには強いですが、秋に種まきをして冬越しさせる場合は、株元にバークチップなどでマルチングし、霜対策をしておくとよいでしょう。
フラックスの育て方のポイント
用土

【地植え】
苗を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどで土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、過度な乾燥が続くようであれば、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、フラックスは乾燥気味の環境を好み、いつもじめじめした状態になると根腐れすることがあるので注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え・鉢植え共に】
植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。フラックスはやせ地でも育つ植物で、肥料を多く与えすぎると、倒れやすくなったり、軟弱になって病気が発生しやすくなるので、追肥は必要ありません。ただし、株に勢いがなく葉色が冴えない場合は、液肥を与えて様子を見てください。
注意すべき病害虫
フラックスの栽培では、健全に育っていれば病害虫が発生する心配はほとんどありません。ただし、肥料の与えすぎによって軟弱な株になった場合は、病害虫が発生しやすくなるので注意します。
フラックスの詳しい育て方
種まき

一年草のフラックスは苗がほとんど出回っていないため、種まきからスタートするのが一般的です。種まきは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことがメリット。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。苗が手に入れば、苗の植え付けからスタートすることも可能です。
種まきの適期は、秋まきの場合は10月頃、春まきの場合は3月下旬〜4月です。暑さに弱いので、暖地では秋に播いて越年させ、株を大きくして開花に向かわせるとよいでしょう。
まず、黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種子を播いてごく薄く覆土します。最後にたっぷりと水を与えます。発芽までは雨の当たらない明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりしましょう。1週間ほどで発芽するので、発芽後は日当たりのよい場所へ移動し、植え付け適期まで育苗します。
植え付け・植え替え

フラックスの植え付け適期は、秋まきの場合は10月頃、春まきの場合や花苗店で苗を購入した場合は5月頃です。苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に苗よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさずに植え付けます。苗が複数の場合は、10〜30cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
宿根草タイプを地植えして越年した場合、環境に合ってよく育っていれば植え替えの必要はなく、また、移植を嫌うため植え替えは極力しなように育てます。また、冷涼な土地であっても2〜3年で衰退するため、長年育てたい場合は、毎年タネから小苗を育てて更新するか、こぼれダネで毎年新しい苗を育てることをおすすめします。
【鉢植え】
鉢の大きさは、6〜7号鉢を準備します。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
宿根草タイプを鉢植えにして越年できた場合も、2〜3年で衰退するため、長年育てたい場合は、毎年タネから小苗を育てて更新していくことをおすすめします。
日常のお手入れ

【花がら摘み】
多数の花が咲くうえ、一日花なので花がら摘みの手入れをすることは現実的ではありません。花がらはそのままにして、タネが熟すまでの姿も楽しむことをおすすめします。亜麻を翌年も同じ場所で育てたい場合は、種子を採らずそのままタネが地面に落ちるのを待ち、こぼれダネで翌年の苗ができるように管理します。もし、別の場所で再び育てたい場合は、種子が熟したら採取して保管し、秋や春に種まきをするとよいでしょう。
増やし方

フラックスは種まきで増やします。
フラックスは移植を嫌うことや、2〜3年で株が衰退するので、種まきで増やします。花がら摘みをせず咲かせたままにしておけば、多くの種子が採取できるので、熟した種子を採取して密閉容器に入れ、種まき適期まで保管しておきましょう。
種まきの方法については、「種まき」の項目を参照してください。
亜麻(フラックス)の歴史

亜麻は古くから栽培され、暮らしに利用されてきた植物です。ここでは、世界と日本の亜麻の歴史についてご紹介します。
世界における亜麻の歴史
亜麻は古代から栽培されてきた植物で、中東やユーラシア大陸西部で利用されてきたことが分かっています。石器時代には繊維と種子を利用していた記録があり、紀元前7000年前にはトルコやシリアで、紀元前5000年頃にはエジプトでも栽培されていました。時代が進んで800年頃にはフランスで食用として利用され、1700年代中期には北米で商業生産されるようになりました。現在では世界各国で栽培されています。
日本における亜麻の歴史
日本には明治時代に北海道の開拓に努めた榎本武揚が、駐ロシア大使として赴任していた時に亜麻の種子を入手し、屯田兵に栽培させたことが始まりとされています。寒さに強い性質から主に北海道での栽培が盛んになり、第二次世界大戦頃にピークを迎えましたが、1960年代頃からは徐々に衰退していきました。2000年代に入ると、その質のよさが再注目されて、栽培が復活し始めています。
亜麻(フラックス)の繊維が原料のリネンの特徴

亜麻の茎を採取したのち繊維として加工し、織られた生地がリネン。天然繊維の中でも特に強い生地として知られ、濡れると強度が増して洗濯にも強いのが特徴です。通気性と保水性に優れ、現代でも衣類やシーツ、カーテンなど幅広い用途に用いられています。シワになりやすいのが難点ですが、カジュアルな着こなしとしてシワを生かしてもいいですね。
亜麻仁油の特徴

亜麻の種子から採れる油を「亜麻仁油」といいます。ここでは、亜麻仁油の特徴についてガイドします。
亜麻仁油はどんな油? 保管方法は?
亜麻の種子から採れる油を「亜麻仁油」といい、食用のほかに塗料など幅広く利用されています。栄養価が豊富なため、近年はスーパーフードとしても注目を浴びています。保管の仕方が悪いと劣化が進みやすいため、使用後はしっかりと蓋をしめ、空気に晒さないようにしましょう。また低温でも劣化しやすくなるため、冷蔵庫には入れないでください。
亜麻仁油の食べ方
亜麻仁油は、加熱せずそのまま摂取するのがよいとされています。スプーン1杯程度が適量ですが、そのままでは苦みがあるので、何かに混ぜると食べやすいでしょう。ドレッシングを作る際に他の食用油の代わりに用いるほか、ヨーグルトに混ぜたり、冷奴や納豆にかけたりするのもおすすめです。
亜麻仁油に含まれる成分
亜麻仁油には、必須脂肪酸のオメガ3系のαリノレン酸やオメガ6系統のリノール酸が豊富に含まれています。これらは体内では作られないため、食品から摂取する必要がある成分です。
フラックス(亜麻)は花が観賞できリネンや亜麻仁油の原料にもなる植物

古代から人々の暮らしに寄り添ってきたフラックス(亜麻)。その優美な花姿も魅力で、春から初夏にかけて咲く花は心を癒やしてくれます。ぜひフラックスを手に入れて、庭やベランダを彩ってみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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