大輪で艶やかな花を咲かせるユリは、初夏の花壇の主役花の一つ。日本でも広く親しまれてきた球根植物のユリは、エキゾチックな魅力を漂わせ、ガーデニングの本場イギリスでも人気の高いガーデンプランツです。そんなユリの庭での使い方や育て方を、ガーデンでの実例写真とともにご紹介します。

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ユリとはどんな花? 植物?

テッポウユリ
Takakophoto/Shutterstock.com

日本にもヤマユリやササユリ、テッポウユリなどが自生し、古くから人々に愛されてきたユリの花。鱗茎であるユリ根を食用にするコオニユリがあるなど、日本人にとって広く親しまれている花です。系統や園芸品種もとても多く、ゴージャスな花を咲かせるものから華奢で可憐なものまで、花姿や草姿、開花期まで、さまざまなユリが存在しています。花束などに使われる印象も強いユリですが、その華やかな姿と豊かな香りは庭植えや鉢植えなどで、ガーデンに咲かせてもとても魅力的。ガーデニングでもぜひ取り入れたい植物です。

ユリのガーデン

ちなみに、ガーデニング界におけるユリの花のブームは、東洋のユリが巻き起こしたものだといわれています。ヨーロッパに自生するユリは、清楚で控えめなものが多かったのに対し、日本や中国には大輪で観賞価値が高い品種が多く、オリエンタルな印象もあって、ヨーロッパのガーデニング界に渡ると爆発的な人気を集め、多数の球根がヨーロッパへと輸入されました。今日では、ヨーロッパで品種改良された‘カサブランカ’をはじめとするオリエンタル・ハイブリッドなど、多くの園芸品種が日本でも人気を集めています。

多彩な品種があるユリの分類

ユリには大きく分けて、次の4つの分類があります。

  • 【テッポウユリ亜属(レウコリリオン系)】
    花弁に斑点がなく、香りのあるラッパ形の花を下向き、または横向きに咲かせる。
  • 【ヤマユリ亜属(アルケリリオン系)】
    杯状の花を下向き、または横向きに咲かせる。
  • 【スカシユリ亜属(プセウドリリューム系)】
    杯状の花を上向きに咲かせる。
  • 【カノコユリ亜属(マルタゴン系)】
    花弁が強く反り返った花を下向きに咲かせる。

上記に加え、マドンナリリーなどが含まれるLiriotypus、オニユリやコオニユリなどが含まれるSinomartagonもあります。これらの亜属に加えて、オリエンタル・ハイブリッドやアジアティック・ハイブリッド、マルタゴン・ハイブリッドなど、交配によってさまざまな園芸品種が生まれています。

なお、英国王立園芸協会(RHS)の園芸区分では、それぞれの園芸品種は8つのグループに分けられ、そこに原種や変種を加えて9つの系統に分類されています。

ユリの品種は数多く、花色、花姿や草丈もさまざま。品種によって好む環境や開花期が異なるので、いくつかの品種を組み合わせれば、長い期間ユリの花を楽しむこともできますよ。

代表的なユリの品種

リーガルリリー

リーガルリリー
Fotokon/Shutterstock.com

1903年に中国の四川省で発見されたリーガルリリーは、その美しさと丈夫さなどから、イギリスで人気を集めた、ガーデニングに欠かせない花の一つ。

ヒメサユリ(オトメユリ)

ヒメサユリ
KPG Payless2/Shutterstock.com

優しげな淡い桃色の花を咲かせるヒメサユリ。

‘カサブランカ’

カサブランカ

純白の大輪花に豊かな香りを漂わせる‘カサブランカ’は、ガーデンでも育てやすく、切り花としても需要が高い品種。

カノコユリ

カノコユリ
Tom Meaker/Shutterstock.com

くるりと反り返った花弁が愛らしいカノコユリ。日本自生種なので育てやすい。白花種も人気。

ヤマユリ

ヤマユリ

大輪で豊かな香りを漂わせるヤマユリは、日本を代表する自生種。耐寒性が強く育てやすいが、ウイルス病にかかりやすいので注意。

ベニスジヤマユリ
ヤマユリの変種で、希少なベニスジヤマユリ。

マルタゴンリリー

マルタゴンリリー
Islavicek/Shutterstock.com

くるりと反り返った花を咲かせるマルタゴンリリーはナチュラルガーデンにオススメ。マルタゴンリリーやマルタゴン・ハイブリッドには上根がないという珍しい特徴があります。

テッポウユリ

テッポウユリ
Takakophoto/Shutterstock.com

イースターの花としても親しまれる、ラッパ形の花を横向きに咲かせるテッポウユリ。

‘クシマヤ’

クシマヤ

珍しい‘クシマヤ’は、淡いグリーンに中心部が赤紫色という神秘的な色彩のユリ。

ユリのあるガーデン風景

ユリのあるガーデン
木陰にユリを群植してナチュラルな風情に。軽井沢レイクガーデンにて撮影。

ユリには大きく分けて、茎の先端にまとまって花が咲くタイプと、花茎全体にまんべんなく花がつくタイプがあります。テッポウユリ系やアジアティック・ハイブリッドの一部など、横向きまたは上向きの花が、茎の先端にまとまるタイプは、数株まとめて植えてフラワーアレンジの主役のように利用し、株元や周囲を白の小花など、他の植物でカバーするとよいでしょう。このタイプは日当たりを好むものも多いです。

上向きに咲くユリ
Aynur_sib/Shutterstock.com

上向きに咲くユリは、群植させてボーダーガーデンにも。

ユリのガーデン
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矮性のユリとカラーリーフのコリウス、ダリアを合わせて花壇の手前の彩りに。

ユリのガーデン
Janno Loide/Shutterstock.com

コテージガーデンの一角に咲く、色鮮やかなユリの花。

一方、花茎全体に花を咲かせるカノコユリ系や、大輪で一株でも存在感のあるオリエンタル・ハイブリッドなどのヤマユリ系は、うつむき加減で咲くものも多く、ナチュラルな印象のガーデン演出にぴったり。木陰やシェードガーデンでの栽培がオススメです。

マルタゴンリリー マルタゴンリリー

くるりと反り返った花を下向きに咲かせるマルタゴン・ハイブリッドはナチュラルガーデンにオススメ。

ユリのガーデン

白いヤマユリと穂状の青い花を合わせて涼しげな色合いに。純白のユリはホワイトガーデンを構成する花としても活躍します。

ユリのあるガーデン
Elisa Putti/Shutterstock.com

赤い壁面をピンクの背景に、ピンクのムクゲとオレンジ色のユリを合わせて。

ヒメサユリのガーデン

淡いピンク色のヒメサユリと、ピンクのリクニス‘フローレ・プレノ’、白花のアリウムを採り合わせた一角。

コンテナのユリ栽培
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また、ユリはコンテナでの栽培もオススメ。花が終わったら、バックヤードなど目に付きにくい場所へ移動して、来年の花のために日に当てて育て、秋、上部が枯れるまで水切れしないようにするとよいでしょう。

ユリのアレンジ
Yulia Kuznetsova2017/Shutterstock.com

庭で咲いたユリをフラワーアレンジメントに利用するのも素敵です。

ユリの育て方

ユリの球根
Elena Zajchikova/Shutterstock.com

ユリの仲間は通常秋植え球根として秋に出回り、10~11月頃に植え付け適期を迎えます。球根を購入したら、乾燥しないように早めに植え付けるとよいでしょう。ユリは水はけのよい土を好むので、栽培の際は、水はけのよい土壌で育てましょう。球根と地面の間に伸びる上根のスペースを十分に確保するため、深植えにします。

品種によって違いがありますが、一般に葉の細いユリは日当たりを好み、葉の広いユリは半日陰を好むといわれています。どちらも地温が高くなるのは嫌うため、風通しのよい場所で育て、下草を植えるなど地面に強い直射日光が当たらないようにするとよいでしょう。落葉樹の木陰などで育てるのもオススメです。

ユリの球根
WR.lili/Shutterstock.com

水やりは、庭植えの場合は特に必要としませんが、鉢植えなら土が乾いたらたっぷりと。花後も水やりを忘れないようにします。ただし、土がずっと湿っている状態は嫌うので、梅雨など雨が続く時には軒下など雨の当たらない場所へ移動してやるとよいでしょう。ユリは茎が丈夫なので、根が十分に張っていれば、支柱は立てなくても大丈夫です。

ユリの花
DolfinVik/Shutterstock.com

花後は球根が消耗しないよう、花がら摘みを忘れずに。その際、ウイルス病に感染を防ぐため、ハサミは使わないようにするとよいでしょう。栄養を蓄えさせるために、葉は自然に枯れるまで残しておきます。

球根は植えっぱなしで翌年も楽しめます。鉢植えの場合は1~2年に1回程度植え替えを。庭植えの場合でも数年に1回植え替えるとよいでしょう。

Credit

 写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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