スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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樹木
【初心者向け】ヒメシャラの魅力と育て方|シンボルツリーに人気の理由・育て方・剪定のコツまで完全ガイド
ヒメシャラの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com 植物名:ヒメシャラ学名:Stewartia monadelpha英名:Tall Stewartia、Japanese stuartia和名:ヒメシャラ(姫沙羅)その他の名前:シャラノキ(沙羅木)、アカラギ、サルスベリなど科名:ツバキ科属名:ナツツバキ属原産地:日本(関東地方以西、四国、九州)形態:落葉性高木 ヒメシャラはツバキ科ナツツバキ属の花木です。学名はStewartia monadelpha。原産地は日本(関東地方以西、四国、九州)で、寒さにやや弱い性質です。冬には葉を落とす落葉樹で、生育スピードが遅くあまり手がかからないので、古くから庭木として愛されてきました。樹高は12〜15mほどと大きくなりますが、毎年の剪定によって程よい大きさにコントロールすることも可能です。 ヒメシャラの花や葉、幹、実の特徴 Ailintang/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:5〜7月草丈・樹高:12〜15m耐寒性:やや弱い耐暑性:普通花色:白 ヒメシャラの開花期は5~7月で、花色は白が基本ですが、淡くピンクがかるものもあります。葉の付け根から花茎を伸ばし、1.5~2cmほどのツバキに似た5弁花が咲きます。花の中央には多数の雄しべと、先端が5つに裂ける雌しべがのぞきます。 美しい赤褐色の幹が特徴 Martin Hibberd/Shutterstock.com 成木の樹皮はなめらかで美しく、アオギリ、シラカバと並んで「日本三大美幹」と称されることもあり、葉を落とした冬の林では特に美しさが際立ちます。別名の「アカラギ」は、幹の美しさが由来で、木材としては赤褐色で硬く、彫刻や器具、床柱などに利用されています。樹形は自然に整い、箒を逆さにしたように木姿になります。若木の樹皮は赤褐色でなめらかですが、次第にグレーがかった模様が出現して樹皮がまだらにはがれますが、最終的には再び赤褐色へと変化していきます。 秋には紅葉が楽しめる Peter Turner Photography/Shutterstock.com ヒメシャラの葉は長さ5cm前後の楕円形で、先端がとがっているのが特徴です。落葉樹で、秋には赤く紅葉する姿を楽しめます。乾燥が進んでしまうと秋に葉が傷み、観賞価値が下がってしまうので注意。花色がピンクのヒメシャラは、紅葉時により発色の美しい赤い葉になります。 実もなるが食用には向かない 開花後には1cmほどの丸い果実をつけます。9~10月に熟すと5つに裂けて中から種子が飛び出し、自然に落下します。実は枝全体にたくさんつき、種子が飛び散った後も実は殻となって枝に付き続け、落葉後もびっしりと付いたままに見えるのが特徴です。美観を保つため、冬に行う剪定時に取り除いておくとよいでしょう。 ヒメシャラの名前の由来と花言葉 F_studio/Shutterstock.com ヒメシャラという名前は、シャラノキとも呼ばれるナツツバキよりも花や葉が小さいことが由来。ナツツバキがシャラノキやサラノキと呼ばれるのは、仏教の聖木の1つであるサラノキに由来し、本来のサラノキが日本の気候では育たたないため、花姿の似ているナツツバキを代用としたためと考えられています。 ヒメシャラの花言葉は「愛らしさ」「謙虚」などがあります。「愛らしさ」は外見の美しさが由来です。「謙虚」はヒメシャラの花があまり目立たず、葉の間からのぞく奥ゆかしい姿から来ているようです。 ナツツバキ(シャラノキ)との違い ナツツバキ。tamu1500/Shutterstock.com ヒメシャラとナツツバキ(シャラノキ)は混同しやすい木ですが、見分けやすい違いもあります。ヒメシャラの葉や花はナツツバキより小型で、ヒメシャラの葉は先端が細長く尖っているのが特徴。ヒメシャラは葉裏に細かな白い毛があり、花の外面にも同様の毛があるのに対し、ナツツバキの葉は無毛で葉脈がはっきり浮き出ているという違いもあります。また、ヒメシャラの幹は成長すると皮がむけ、常に新しい幹肌を見ることができる一方、ナツツバキの幹は樹皮がむけた跡が斑模様として残りやすい特性があります。ほかに見分けやすいポイントとして、種子が弾けた後の実がらが残っている場合、ナツツバキは先端が尖って突き出しているという特徴があります。 和洋の庭園に合うヒメシャラはシンボルツリーに最適 tamu1500/Shutterstock.com 幹や枝も細く、繊細な樹形が楽しめるヒメシャラは和洋問わず景色に調和するので、シンボルツリーにぴったり。軽やかなシルエットのため、3~4mサイズの木を植栽しても圧迫感が生まれず、ナチュラルで優しい印象をもたらします。自然に樹形が整う木姿を生かし、主に透かし剪定をして自然味のある表情を保つのがおすすめです。 ヒメシャラの木の値段 tamu1500/Shutterstock.com ヒメシャラは大きく育った成木で購入すると、木の値段のほかに植え付けの費用などもかかってきますが、樹高1mほどの若い苗木であれば2万円前後で購入でき、自分で植え付けることも可能です。さらに2年生苗などの幼い木なら数千円で購入することができます。 ヒメシャラの栽培12カ月カレンダー 開花時期:6〜7月植え付け・植え替え:12〜2月肥料:2〜3月、6月剪定:12〜2月 ヒメシャラの栽培環境 tamu1500/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を好みます。半日陰の環境でも十分育ちますが、暗すぎる場所では花つきが悪くなるので注意。西日が強く当たる場所では、夏の強い日差しによって葉が傷みやすくなるので、避けたほうが無難です。 【日当たり/屋内】基本的に屋外で栽培しますが、寒冷地では冬は室内に取り込むとよいでしょう。 【置き場所】樹高が高くなるので、枝葉を伸ばした時に邪魔にならないような場所をあらかじめ確保しておきましょう。また、適度に水はけ、水もちのよい土壌を好み、乾燥に弱い性質をもっています。 耐寒性・耐暑性 ヒメシャラはある程度寒さに耐えて関東以西では地植えでも育ちますが、寒冷地などでは鉢栽培で楽しむほうが無難です。季節ごとに適した場所に移動しながら管理するとよいでしょう。 ヒメシャラの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の花木用培養土を利用すると手軽です。 水やり Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根付いたら、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期や真夏は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 越年後は、毎年生育が旺盛になる前の2〜3月と、開花後に有機質肥料を施し、木の勢いを保ちます。 注意する病害虫 traction/Shutterstock.com 【病気】 ヒメシャラに発生しやすい病気は、さび病や白紋羽(しろもんぱ)病などです。 さび病は、かびによる伝染性の病気です。葉にくすんだオレンジ色で楕円形の斑点が現れます。この斑点は、やや細長くイボ状に突起するのが特徴です。症状が進むと斑点が破れ、中から粉のように細かい胞子を飛ばします。発症すると株が弱り、枯死することもあるので注意。発病した葉は見つけ次第切り取って処分し、適用する薬剤を散布して防除します。 白紋羽(しろもんぱ)病は、発症すると、木全体の葉が縮れて枯れ込み、根や地際に近い樹皮に白灰色の菌糸束や菌糸膜が見つかります。手遅れになると枯死し、周囲に病気が蔓延するのを防ぐために早めに抜き取って土ごと処分することも考えなければなりません。樹勢が弱ると発症する傾向にあるので、勢いのある健康な状態を保つことが大切です。 【害虫】 ヒメシャラに発生しやすい害虫は、チャドクガやコガネムシなどです。 チャドクガは蛾の幼虫で、多数の細かい毛に覆われた毛虫です。体長は2〜3cmくらいで、ツバキ科の植物によく発生します。葉裏などに幼虫が大発生することがあり、見た目にも大変不愉快なので見つけ次第駆除しましょう。このチャドクガは毒をもっており毛に触れるとかぶれて皮膚炎を起こすので、駆除の際には注意が必要です。毛が皮膚につかないように長袖、長ズボン、手袋を着用して作業し、枝ごと切ってビニール袋に入れて処分してください。 コガネムシは主に5〜8月に発生しやすい昆虫です。成虫の体長は2〜3cm。主に葉を旺盛に食害し、網目状態になっていたら近くにいることが疑われます。外部から飛来してくるので防除しにくく、見つけたらすぐに補殺して対処しましょう。また、土中に産卵されると、今度は幼虫が根を食い荒らして株を弱らせます。幼虫は食欲旺盛で、根のほとんどを食いつくすため、枯死に至ることもあるので注意が必要です。 ヒメシャラの詳しい育て方 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com ヒメシャラの植え付けの適期は休眠期の12月〜翌年2月です。植え付け適期以外にも苗木は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。ただし、真夏と真冬は避けたほうが無難です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。苗木が若いうちは、支柱を立てて誘引し、強風などによる倒伏を防ぎます。しっかり根付いたら支柱を取り外しても構いません。 地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 ヒメシャラを鉢で栽培する場合は、入手した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。苗木が若いうちは、支柱を立てて誘引し、強風などによる倒伏を防ぎましょう。しっかり根付いたら支柱を取り外しても構いません。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してあまり根鉢を崩さずに、新しい培養土を使って植え直しましょう。 剪定・切り戻し Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com ヒメシャラの剪定適期は、落葉して休眠している時期の12月〜翌年2月です。自然樹高は12〜15mに達しますが、家庭で栽培するなら管理をしやすくするためにも5m以内にとどめ、剪定によって樹高をコントロールしましょう。ヒメシャラは成長スピードがやや遅いほうです。もともと枝数が少なく、繊細な枝ぶりが美点といえるので、強い切り戻しをせずに自然に整う樹形を楽しむ剪定を心がけます。 まず樹高の半分くらいまでの高さの下の位置で幹から出ている下枝は、すべて元から切り取ります。次に、幹の内側に向かって伸びる枝を切り、さらに込み合っている部分があれば、不要な枝を元から切って風通しをよくしましょう。枝はどこで切ってもいいわけではなく、必ず枝の分岐点まで遡って切り取ってください。剪定した部分から雑菌が入って病気を誘発したり、木の水分を失ったりするのを防ぐために、切り口には必ず癒合剤を塗っておきましょう。癒合剤は園芸店などで手に入ります。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ヒメシャラは、挿し木、種まきで増やすことができます。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、ヒメシャラは挿し木で増やすことが可能です。 ヒメシャラの挿し木の適期は、6〜7月です。その年に伸びた新しい枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して表土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理し、その後は日当たりのよい場所に置きましょう。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。成長とともに鉢増ししながら管理し、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 ヒメシャラは10月頃に果実が熟します。果実を採取して種子を取り出し、流水できれいに洗い流してそのまま種まきしましょう。 黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。ヒメシャラの種子を黒ポットに数粒播いて軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理します。カラカラに乾燥しないように水の管理に注意し、発芽後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら植えたい場所に定植しましょう。 自然で美しい樹姿のヒメシャラをシンボルツリーに tamu1500/Shutterstock.com 株立ちの美しい樹形を楽しめるヒメシャラは、春の新緑、初夏の開花、秋の紅葉と四季の移ろいを強く感じることのできる花木の一つです。和洋を問わず景観に馴染むので、家の顔となるシンボルツリーとして取り入れてはいかがでしょうか。
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園芸用品
今年は2倍! 大量発生で危険度が増すスズメバチ対策に簡単“置くだけ”蜂トラップ
庭に暮らすさまざまなハチ、それぞれの役割 庭で見かけるハチにはさまざまな種類があります。ミツバチは花粉を運び、果樹や花壇の実りに欠かせない存在としてよく知られています。一方、「刺すハチ」として恐れられがちなアシナガバチやスズメバチも、じつは自然界では重要な役割を担っています。それぞれのハチがどのように暮らしているのか、まずは彼らの生活をみてみましょう。 “小型捕食者”アシナガバチの暮らし 小さめのコロニーで暮らすアシナガバチ。page frederique/Shutterstock.com 春、女王バチが目覚めると、木の繊維をかじって唾液と混ぜ、紙のような素材をつくって巣を作ります。巣はシャワーヘッドのような形で、規模は数十匹ほどの小さな家族単位。成虫は蜜や樹液を舐めて暮らし、幼虫のために毛虫や青虫といった庭木の害虫を狩って与えます。ですから、見た目の怖さに反して、ガーデニングでは庭木を守ってくれる益虫です。 “大型肉食ハンター”スズメバチの暮らし 巨大なスズメバチの巣。Kelly Marken/Shutterstock.com 春、女王バチが営巣し、夏から一気にコロニーが拡大します。その数は数百から数千匹規模に膨れ上がり、厚い層で覆われた球状の巣をつくります。成虫は樹液や果汁を舐めて暮らし、幼虫にはバッタやハエ、他の昆虫を狩って与えます。獲物の範囲が広く、大型昆虫まで捕食するので、昆虫の個体数調整を担う「自然界のハンター」という大事な役割も果たしています。 ラベンダーの花の蜜を集めるミツバチ。paula french/Shutterstock.com ですから、ミツバチが花粉や蜜を食べる“草食系”、アシナガバチが毛虫などを食べる“小型捕食者”だとすれば、スズメバチはバッタや他のハチまで襲う“大型肉食ハンター”です。その強い肉食性が、庭で見かけたときに人にとって“迫力ある存在”に映る理由のひとつでもあります。 アシナガバチとスズメバチの違い アシナガバチもスズメバチも、女王をトップとし、巣の中で役割分担をしながら暮らしを営む社会性昆虫ですが、その営みには以下のような違いがあります。 特徴アシナガバチスズメバチ巣の規模数十匹数百〜数千匹巣の形開放型(六角形がむき出し)球状で閉鎖型役割分担緩やか厳格防衛性穏やか(刺激がなければ刺さない)攻撃的(フェロモンで集団防衛) アシナガバチは「小さな家族のコミュニティ」、スズメバチは「軍隊のような大組織」と言えるでしょう。この暮らし方の違いが、スズメバチの‘恐ろしい’と思われる特性につながる鍵になっています。 なぜスズメバチは攻撃的なのか? ミツバチを襲うスズメバチ。photofort 77/Shutterstock.com スズメバチは攻撃性が強く、恐ろしい存在として知られていますが、それは「性格が荒いから」ではありません。その理由は、前述したように彼らの巣が大規模コロニーであるためです。大規模コロニーであるスズメバチの巣は、それを狙うクマなどの天敵にとっては、膨大な栄養エネルギー源であり、「攻める価値のあるターゲット」です。一方、狙われる側のスズメバチにとっては、 大規模コロニーを守る必要:数千匹規模の仲間と膨大な幼虫を抱えるため、外敵に襲われれば壊滅的打撃を受ける。 捨てられない巣:アシナガバチの巣は解放構造かつ小規模家族なので、天敵から襲われた場合には巣を捨てて逃げることも珍しくない。しかし、スズメバチの巣は閉鎖的構造で「城」のように膨大な資源が集中しているため、放棄するより「徹底抗戦」を選ぶ。 肉食性と縄張り意識:狩りの場や巣の周辺を侵されると、大家族を養うための貴重な餌資源が失われるため、防衛的に先制攻撃。 集団防衛システム:警戒フェロモンで仲間を呼び寄せ、組織的な攻撃が可能。 進化の背景:クマなどの大型捕食者が多い環境で進化してきたため、防衛力を強化せざるを得なかった。 つまり、スズメバチは大家族が住む巨大な巣を守るために、防衛行動を進化させてきたことによって、「攻撃的に見える」というわけなのです。 クマはスズメバチの一番の天敵。Olga1818/Shutterstock.com 庭でハチと安全に付き合うために コガネムシのような甲虫も捕まえるスズメバチ。Oleh Khilinskyi/Shutterstock.com アシナガバチもスズメバチも、本来は人間を狙って攻撃する生き物ではありません。庭木の害虫を食べたり、他の昆虫の数を調整したりする自然界の調整役です。しかし、巣が人の生活圏に近づきすぎると「防衛行動」が働き、思わぬ事故につながることがあります。庭で過ごしたり、屋外で食事を楽しむときなどは、ハチとの距離感を上手に保つ工夫が必要です。 スズメバチから見た「安全な距離」とは では、ハチから見たときの安全な距離感とは、どういうものでしょうか。 巣のまわりには“見えない境界線”があります。2〜3mは危険圏、10mは警戒圏。刺激すれば50m先まで追われることも。庭で巣を見つけたら、無理に近づかず専門業者に相談を。 巣の警戒圏 公的な資料によると、スズメバチは巣の周囲数m〜10mに入ったものを警戒対象にします。特に2〜3m以内は最も危険で、強い威嚇や攻撃を受ける可能性が高いとされています。 追跡距離 いったん攻撃を受けると、10〜50mほど追いかけてくる場合があることが報告されています。つまり「刺されて逃げ切るには、最低でも数十メートルは距離を取る必要がある」ということです。 ※この距離は種(キイロ・オオ・コガタ等)や季節(秋は攻撃性高)、営巣場所、過去の刺激経験で広がることがあります。上記は“目安”であり、迷ったら絶対に近づかず、専門業者へ相談しましょう。 住宅街での注意 狭い庭や住宅街に巣をつくられた場合は、常に “警戒圏”の中で生活することになり、共存は現実的に難しい状況です。この場合は決して自分で駆除を試みず、自治体や専門業者に相談することが最も安全です。 ハチと安全な距離を保つための「蜂トラップ」 そこで活躍するのが、ガーデンストーリーシリーズのガラス製蜂トラップです。このトラップは「ハチを根絶やしにするため」ではなく、人の生活圏に近づきすぎたハチを引き寄せて捕獲し、前述した「安全な距離」を確保するための道具です。 吊るして使う「蜂トラップ ハンギングNatural」。カラーバリエーションは、ブルー/グリーン/パープルの3色展開。 ガラス瓶の底面に開いた小穴から、誘引液(酢+砂糖水など)に誘われて蜂が侵入。一度入ると、上部はしっかり栓をしたコルクで閉じられていて脱出できず、ガラス内壁は滑りやすく登れない構造になっており、ハチは出口を見失ってそのまま捕獲される仕組みです。 ハチの生態を踏まえ、蜜や果汁、砂糖水など甘い香りで誘引します。 設置のタイミングは「ハチが庭に頻繁に現れるようになったとき」。 逆にまったくハチがいない状況では不要。必要なときにだけ設置するのが賢い使い方です。 庭に馴染む、美しいガラス製デザイン 一般的な蜂トラップは「捕獲器具」として無骨なものが多いですが、この製品は庭のアクセントになるような美しいデザインが魅力。 ガラスの透明感が花や緑と調和し、インテリア的な美しさを持つ。 吊るしても、棚やフェンスに置いても、自然に景観に溶け込む。 ガラスに施されたデザインにより、中の昆虫の姿が見えにくく、不快感がない。 実用性だけでなく、「庭の雰囲気を壊さない」という点でガーデンライフに寄り添うアイテムです。 蜂トラップを安全に活用するポイント 置き型の「蜂トラップ スタンド付き Clear」。アイアンの装飾がおしゃれ。 誘引液には砂糖+酢+水、あるいはレモネードなどを使用。 設置場所は、人の通り道や遊び場から離れた庭の隅に。 ハチが多い時期(初夏〜秋)に限定して使うのがおすすめ。 蜂トラップに関するFAQ(よくある質問) Q1. 庭でスズメバチの巣を見つけました。どうすればいい? A. 自分で駆除するのは大変危険です。巣の近くは半径5〜10mが警戒圏内で、2〜3mに入ると攻撃されるリスクが高まります。住宅街など距離が取れない環境では共存は難しいため、専門業者や自治体に相談してください。蜂トラップは補助具であり、巣そのものを取り除くことはできません。 Q2. 子どもがいる庭では、どこにトラップを置けばいい? A. 遊び場や通路から離れた庭の隅に設置してください。庭が狭い場合は、最も子どもが近寄らないエリアに。高さは地上1.5m程度に設置すると、子どもやペットの手が届きにくく安全です。 Q3. 誘因液には何を入れるのがいいですか? A. 砂糖水や果汁、レモネードなどの甘い液体が効果的です。少量の酢を混ぜるとより誘引力が高まると言われています。ただし、こぼした液は拭き取るようにしてください。周囲に匂いが残ると人の生活圏にハチを呼び寄せることになります。 Q5. ハチを全然見かけない時期に設置してもいいですか? A. ハチがまったくいない状況で使うのはおすすめしません。かえって周囲からハチを誘引する結果になることがあります。設置はハチを頻繁に見かけるようになったときに限定してください。 Q6. ハチ以外の庭の害虫にも効果はありますか? A. 甘い匂いに誘われる昆虫には効果があります。代表的には以下のようなものです。 ハエ類(キンバエ、イエバエなど) 蛾類(夜行性の成虫が甘い匂いに寄ってくることがあります) アブ類(吸血性のものも果汁や蜜に引き寄せられます) これらはトラップに入りやすく、庭や屋外での生活の快適さを守る点で副次的な効果があります。 効果が期待できないもの カミキリムシカミキリムシは成虫が樹皮や枝葉をかじり、幼虫が木の内部を食い進めて加害します。餌は木質部や葉であり、砂糖水や果汁の匂いには基本的に誘引されません。したがって蜂トラップでは捕獲できません。 ヨトウムシ・ナメクジ・ダンゴムシなどこれらは土壌や植物を直接食べる性質があり、甘い匂いには反応しないため、対象外です。 庭を守るのは力ではなく知恵。賢いガーデナーの選択 庭に現れるハチは、ただ「怖い存在」ではありません。ミツバチは受粉を助け、アシナガバチやスズメバチは害虫を捕らえる自然界のハンター。彼らは庭や生態系に欠かせない仲間です。ただし、人の生活圏に近づきすぎると、防衛本能から刺されるリスクが生まれます。 こうしたハチの生態を理解すれば、むやみに恐れる必要はありません。大切なのは、適切な距離を保つことです。スズメバチの巣からは最低でも10m、場合によっては50m以上の距離が安全とされ、住宅街では専門業者の助けが不可欠です。 広めの庭におすすめの「蜂トラップ ハンギング Earth」。カラーバリエーションは、ブラウン/グレー/オレンジの3色展開。 ガラス製の蜂トラップは、この「距離をつくる」ための補助具。ハチやハエなど甘い匂いに誘われる昆虫を引き寄せることで、テラスや遊び場から遠ざけ、庭の安心を守ります。 つまり、蜂トラップは「ハチを根絶する道具」ではなく、美しい庭で人と自然が共存するための工夫です。正しい知識と使い方を身につければ、庭で過ごす時間はもっと安全で、もっと心地よいものになりますよ。
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育て方
ガーデンマムで秋の庭を豪華に! 秋から12月まで長く咲かせる秘訣と人気品種3選
「ガーデンマム」ってどんな花が咲く植物? ガーデンマムは日本のキクが海外に渡り品種改良されたもので、いわば帰国子女のキク。キクというと、日本では仏花、または古来より栽培されている「厚物(あつもの)」など伝統園芸植物、海外では秋のガーデンに欠かせない花として愛される人気の宿根草です。 また、日本では一般的に菊は仏花のイメージが強いのですが、本来は格式高く、尊い花として日本を象徴する花としてパスポートの表紙にも描かれています。海外でもポジティブな意味合い(喜び、幸福、友情、長寿など)で受け止められており、黄色、オレンジ、ピンク、赤、白、などカラーバリエーションの豊富さから、庭を明るくする花として親しまれています。 特にアメリカでは開花時期が重なることもあり、ハロウィンやサンクスギビング(感謝祭)の時期に、カボチャやワラ、コーンストークなどと一緒に玄関や庭を飾る定番の植物として扱われています。寒くなるにしたがい花が少なくなる晩秋にも、ひと際鮮やかに咲き、抜群の花もちのよさで長く秋を彩ってくれる頼もしい存在です。 「ガーデンマム」の特徴 ガーデンマムは、日本で古来より栽培されているキクと違い、分枝性(枝分かれする性質)が強く、1株で驚くほどたくさんの花を咲かせます。満開になると株全体を花が覆い尽くし、こんもりときれいなドーム状になります。自然に姿よく生育するため、初心者にもおすすめ。株幅、草丈とも約30cmで、花壇はもちろん鉢植えで楽しむのにもぴったり。 12月まで咲かせる「ガーデンマム」の育て方のコツ もともと、日本生まれのガーデンマムですから、日本の気候によく合い、丈夫に育ってくれます。ただし、とても分枝性が強く枝数が多いため、株内が蒸れがちになるので、風通しよく育てましょう。鉢植えなら、長雨に気をつけて雨のかからない場所に移動したり、地植えの場合は、地面より少し高くなった花壇などに植えることで風通しを確保できます。蒸れで発生しがちな灰色かび病などの病気予防のために、ベニカXガード粒剤などを混ぜて植えるとより安心です。また、花を晩秋まで楽しむには、定期的に水やりの際に液肥を与えるのがコツ。地域によっては12月まで咲き続けます。 進化し続ける「ガーデンマム」 さらに形よく、美しい最新品種を紹介 ガーデンマムの魅力は何といっても花色の豊富さと育てやすさです。 一株一株の花のボリュームがあるので、色のコラボレーションを楽しむように多数の種類を並べたり、単色をまとめて統一感のある飾り方をするなど、演出法もいろいろ。ここでご紹介のガーデンマムの苗は、「平田ナーセリー」が自社農場で丁寧に生産している大株をお届けします。今なら、お買い得な早期割引(20%OFF)期間中! つぼみがつく前の今、苗を取り寄せてご自身で植え替えることで、2倍の花数が楽しめるのでおすすめです。 ジジシリーズ ガーデンマム「ジジシリーズ」は、ポンポン咲きの可愛らしい花を咲かせます。分枝性がよくピンチ(摘心(てきしん)とは、植物の茎の先端部分を摘み取り、わき芽の成長を促す作業)をしなくても形がまとまり株一面に花を咲かせます。もっとも早咲きで色づき始めの早い品種です。 ジジ ゴールデン オレンジから黄色の輝く花色が楽しめるジジ ゴールデン。咲きすすむにつれて色の変化を楽しめるのも、このシリーズの特徴です。 ジジ オレンジ オレンジのなかに、明るい黄色味も感じる立体感のある暖色花。秋風に似合う花色。 ジジ ダークピンク 落ち着いた大人シックのピンク花。可愛い花色が秋の庭に華やかな色彩をプラスします。 ジジ スノー 白からパウダーピンクの色変わりが1鉢で楽しめます。ふわりと優しい花色に癒やされます。 ジジ イエロー ぱっと庭が華やぐくすみのない黄色花。光を受けて輝くように咲く花が次々楽しめます。 アレクシアシリーズ ガーデンマム「アレクシア」は、手軽に豪華な秋の庭を楽しみたい方にぴったりの品種です。きれいなドーム型に形がまとまりやすく、ポンポン咲きの花で花つきのよさも特徴。株一面が隙間なく真ん丸で厚みのある花で埋め尽くされます。その圧倒的なボリュームは、一鉢置くだけで庭や玄関周りを華やかに彩ってくれます。 アレクシア ライトピンク 愛らしいピンク色の立体感のある花が株を覆うように咲く様子は圧巻。 アレクシア パープル こっくりと深みのあるワインカラーの花が株一面に咲きます。他の色と組み合わせてコントラストを楽しみたい。 アレクシア ホワイト ほんのりクリームがかったつぼみから、開くと純白に。緑葉に引き立つ、清楚な雰囲気。 アレクシア イエロー 整ったクリアーな黄色花が輝くように咲いて、周囲を明るくしてくれます。 アレクシア オレンジ 濃いオレンジのつぼみが開くにつれて明るいオレンジ色に。緑葉に映える元気カラー。 ミルクシェイクシリーズ ガーデンマム「ミルクシェイク」は、先端が細長い花びらが可愛らしい、フルーツのような色合いが魅力のガーデンマムです。形のまとまりがとてもよく、株全体を覆い尽くすほどの花つきのよさが特徴。一鉢で圧倒的なボリューム感を楽しめます。 ミルクシェイク チェリー 深みのあるダークチェリー色で上品な印象のガーデンマム。奥行きを感じる花色が楽しめます。 ミルクシェイク ココナッツ 黄色みを帯びたつぼみは、開花とともに上品なココナッツホワイトへと変化します。繊細な色合いを楽しみたい品種。 ミルクシェイク ラズベリー 花心付近は濃いラズベリー色で、周囲を囲む花びらは優しいパステルピンク。立体感のある花姿が魅力。 <人気のガーデンマム 3シリーズの魅力を比較> 品種/シリーズ特徴ジジシリーズ八重ポンポン咲き/摘心不要/早咲きで色づきも早いアレクシアシリーズポンポン咲き/花付きがよい/ドーム状に整うミルクシェイクシリーズ個性的な細長い花弁/美しい分枝株/花数多く豊かな開花 「ガーデンマム」の上手な選び方。植え替えで花数2倍! 通常、園芸店の店頭に並ぶガーデンマムのほとんどは、つぼみがふくらみ、今にも咲きそうな状態で販売されます。そうした株はそのまま鉢で楽しめますが、もっと花数を増やすには秘密があります。 ガーデンマムは8月中旬から10月下旬までの間にぐんぐん成長します。その生育期間の早い段階で植え替えることで、株が1〜2回り大きく成長し、その分、花数もいっぱい増えるのです。「平田ナーセリー」ではつぼみがまだ小さく、葉っぱが豊富に茂った生育初期の良株を揃えています。購入後はぜひ植え替えをして、株を大きく育てて花いっぱいの秋を楽しんでください。花数を増やすには、花が咲いているものより下写真のような緑の株がおすすめです。 ガーデンマムの植え替えに挑戦してみよう ガーデンマムの植え替え動画はこちらからご覧いただけます。 <準備するもの> ガーデンマムの苗 ナーセリーの土 オールパーパス 土のお守り ベニカXガード粒剤 メネデール 手順1ガーデンマムの根鉢を崩さないようにポットから抜き出します。ガーデンマムに既に花芽が付いているので、根を崩すのはNG。せっかく付いた花芽がダメになってしまいます。 手順2培養土にオールパーパス、土のお守りを適量混ぜます。また、アブラムシやうどんこ病などの病害虫予防にベニカXガード粒剤も適量混ぜるとGood! 昼夜の気温差が大きくなるこの時期は、うどんこ病や灰色かび病などのさまざまな病気も発生しやすくなります。そのため、あらかじめ病気予防に効果のあるベニカXガード粒剤を用土にブレンドしておくと安心です。 手順3ガーデンマムの根鉢に土のお守りをまんべんなくまぶします。根腐れ防止効果のある土のお守りを直接根にまぶすことで、植え替え時に傷んだ根が腐るのを防止したり、細根の発育を促進します。 手順4植え付けが終わったら、水に活力剤メネデールを適量混ぜて、鉢底から流れ出るまでたっぷり水やりして植え替えは完了です。花が開いてくるまで日当たり、風通しのよいところで管理しましょう。ガーデンマムは成長しながら開花していきますので、週に1回、有機100%液肥を与え最後まで花を咲かせてあげましょう! こんもり茂った株全体につぼみを無数につける9月中旬のガーデンマム。 「ガーデンマムの植え付け・植え替えにおすすめの商品」は以下からチェック! ガーデンマムにおすすめの培養土「ナーセリーの土」 植替えの元肥えに!「オールパーパス」 根腐れ防止・丈夫な根の発根促進に!「土のお守り」 病害虫が付く前の予防にイチオシ!「ベニカXガード粒剤」 植え替え後の発育促進に「メネデール」 追肥におすすめ!「有機100%液肥」 「ガーデンマム」は、敬老の日のギフトにもおすすめ 「花ギフト」贈答用ガーデンマム。左は、名の通り夜空に輝くような黄花の「満月」。右は、落ち着いたピンクの花がたっぷり咲く「ことぶき」。 ガーデンマムの花言葉は「高貴」古来より格式高く、尊い花として扱われてきました。また、古くから延命長寿の力を持つと信じられ、お年寄りの長寿を祝う際や、敬老の日の贈り物としても、菊は縁起の良い花とされています。さらには、海外でもオーストラリアでは、ガーデンマムの「マム(Mum)」という愛称から、母の日(Mother's Day)に贈る花としても親しまれています。花数いっぱいのガーデンマムをプレゼントして花咲く喜びを大切な人と共有しませんか。
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花と緑
「吾亦紅」ってなんて読む? 正解できたらすごい難読植物名漢字クイズ【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.10
身近な植物!「吾亦紅」ってどんな植物? Fumeezz/Shutterstock.com 実際に育てていても、漢字で表記されると案外分からない植物も多いもの。普段呼んでいるのとは違う名前があったり、意外な漢字表記があったり、植物の漢字も面白いものです。 そんな植物の漢字表記の中から、身近な植物に関するものをクイズで出題! 今回のお題は「吾亦紅」。あなたはこの漢字が表す植物が分かりますか? ヒント 夏から秋にかけて咲く丈夫な花。野趣ある風情が茶花としても人気。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ われもこう Flower_Garden/Shutterstock.com ワレモコウの基本データ 学名:Sanguisorba officinalis科名:バラ科属名:ワレモコウ属原産地:ユーラシアの温帯から亜寒帯、北米大陸北西部~西部和名:ワレモコウ(吾亦紅、吾木香など)別名:サンギソルバ、ウマズイカ、ダンゴバナなど英名:great burnet開花期:7~10月花色:赤茶形態:宿根草(多年草)草丈:20~180cm 日本の山野に自生し、秋を彩る山野草として古くから親しまれてきたワレモコウ。日本では『源氏物語』や『徒然草』にもその名が登場します。茎が細く、わずかな風にもゆらゆらと揺れる繊細な佇まいが魅力です。野趣を感じさせる咲き姿は、ナチュラルガーデンや雑木の庭、和の庭によく似合い、秋らしい花なので季節感の演出にもおすすめ。茶花やドライフラワーとしてもよく利用されます。花のように見える部分はじつは萼なので、暑い季節も花もちがよく、夏~秋と長期間にわたって開花するのも嬉しいところ。耐寒性、耐暑性に優れ、手を掛けなくてもよく育ちます。生薬としても利用され、また特に同属のオランダワレモコウ(サラダバーネット)は食用のハーブとしても有名です。 「吾亦紅」の由来とは? High Mountain/Shutterstock.com ワレモコウは、現代では漢字で「吾亦紅」と書くことが一般的になりましたが、ほかにも「吾木香」「我毛紅」「我毛香」「我妹紅」などたくさんの表記があります。今回ご紹介した「吾亦紅」の場合は、「~もまた」という意味の「亦」を「も」と読んで、「吾(われ)亦(も)紅(こう)」となります。ちなみに、源氏物語では「吾木香」という漢字表記で登場しています。 ワレモコウという名前の由来ははっきりしませんが、キク科の植物で線香の原料にもなるモッコウ(木香)と似たほのかな香りがあるとされること、または「木瓜紋(もっこうもん)」を割った形に似ていることを由来とする説の2つが有名です。「われもこうありたい」の意味で名付けられたという説や、ワレモコウ自身が「われも亦た紅なり」と唱えたという俗説もありますが、こちらは漢字を元につけられたのではないかと考えられています。 ワレモコウは「我も恋う」に重なる名前から、俳句や短歌などに詠まれてきた花です。有名なものとしては、高浜虚子の次の俳句などがあります。 吾も亦紅なりとひそやかに 高浜虚子 クイズ一覧はこちら!
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家庭菜園
リボベジとは? 再生野菜でキッチン菜園&節約を楽しもう【おすすめ野菜10選と育て方】
いま話題の「リボベジ」とは? いま話題の「リボベジ」という言葉をご存じですか? リボベジは「リボーン(生まれ変わる)」と「ベジタブル(野菜)」を組み合わせた造語で、「再生野菜」という意味。日常の料理で出た野菜の切れ端を再び育てる方法で、ちょっとした家庭菜園気分を楽しめる人気のアイデア。SNSでも「#リボべジ」の投稿が目に留まります。 KingTa/Shutterstock.com 種子や苗をわざわざ購入することなく、普段は捨ててしまう野菜のヘタや根元などを使って栽培がスタートできるので、とても手軽! 容器と水だけ用意すれば、すぐに挑戦できます。ヘタや根元がある野菜であれば、ほとんどリボベジに挑戦できます。本来捨てるはずだった生ゴミから、収穫まで楽しめるエコな節約術で、子どもの自由研究にもおすすめですよ。また、キッチンの片隅で健気に育つ植物たちの存在は、暮らしに癒やしも与えてくれます。 Ja Crispy/Shutterstock.com リボベジの魅力 Sandy Randy/Shutterstock.com 【手軽】始めるのに特別な道具がいらない・野菜くず+水+容器(小皿やコップなど)だけでOK!・ベランダや地植えの庭がなくても、キッチンの窓辺などで育てられる 【エコ】食品ロスを減らせる・生ゴミを食材に変換できる 【節約】再収穫してちょっとした料理の彩りやトッピングに使える・葉ネギや三つ葉など、買い足さずにちょこっと使える・少量ながらいつでも野菜が手に入る 【癒やし】植物の成長を見ると気持ちが和む・捨てるはずだった部分から成長する植物の逞しさに感動!・水を替えたり、伸びた葉を観察したり、植物を育てる楽しさが味わえる レースのように繊細で可愛らしい、ヘタから育てたニンジンの葉。Pundapanda/Shutterstock.com リボベジの基本の育て方 Kalinkina Svetlana/Shutterstock.com リボベジの基本はたったこれだけ! 誰でも気軽にスタートできます。 <用意するもの> 容器(コップ・浅いお皿・プラスチックトレイなど) 水 育てたい野菜の切れ端 <育て方> 容器に浅く水を入れ、野菜の切れ端を入れる 毎日水替えをする 育ったら収穫して料理に kariphoto/Shutterstock.com 【リボベジのポイント1】■直射日光は避け、明るい日陰で管理を リボベジは置き場所に注意が必要! 植物が育つためには光が必要ですが、特に夏は直射日光に当てると葉が焼けてしまったり、水の温度が上がって野菜が傷みやすくなったりします。直射日光の当たらない、明るい日陰の場所で育てるのがベストです。また湿気がこもるとカビが発生しやすいので、風通しのよい環境に置きましょう。 【リボベジのポイント2】■水の量と水替えが成功のカギ 容器に入れる水は少なめでOK! 水の量が多すぎると腐って失敗してしまう可能性が高くなります。ニンジンやダイコンなどの根菜類のヘタなら切り口が水に浸る程度、ネギやコマツナなどの葉物類の根元なら、根が水に浸かる程度に調整しましょう。清潔さを保つため、毎日の水替えも忘れずに! 【リボベジのポイント3】■旬の野菜がおすすめ 旬の野菜はちょうど生育が旺盛になっているため、成功しやすくおすすめです。手に入りやすいのもポイント! 【リボベジのポイント4】■新鮮な切り口を用意しよう Tio Hakim/Shutterstock.com 水に浸かる面が乾燥などで傷んでいると、うまく水を吸い上げることができません。レタスの芯などをリボベジに利用する場合、表面を薄く切り落として新しい切り口を用意すると成功率がアップします。 【応用編】■土に植えるとさらに元気に The little paint/Shutterstock.com 器に水を入れるだけという手軽さが魅力のリボベジですが、小さな植木鉢などを使って土に植えれば、より大きく生育し、市販の野菜と変わらないほどに成長してくれるものもありますよ! 地植えであれば、ブロッコリーやキャベツなど、栽培に時間がかかる野菜も収穫できます。根付いてしまえば日々の水やりだけでOKなので、水替えの手間も軽減し、腐る心配もほとんどありません。ただし、なかなか根が出ないと水を吸えず、根付く前に腐ってしまうこともあります。初めに水に浸けて根を出させてから土に植えてもよいでしょう。 また、野菜の切れ端だけでなく、トマトやナス、パプリカ、スイカなどから種子を採って種まきすることも可能です。 リボベジのメリット・デメリット Ja Crispy/Shutterstock.com メリット 捨ててしまうヘタや切れ端から再収穫できるので、お得で節約に。 水&容器だけでOK! 肥料なしでも成長します。 土を使わない水耕栽培なので、キッチンでも清潔。 残り物を使うので、失敗を気にせず挑戦しやすい! 日々の成長が目に見え、観葉植物のように育てる喜びが味わえます。 今まで捨てていた野菜くずを有効活用でき、生ゴミの削減に。 デメリット こまめな管理が必須。水替えや容器の洗浄をしないと雑菌が繁殖しやすくなり、カビが生えることも。特に気温が高い時期は失敗しやすく注意が必要です。 野菜によって再生回数に違いがありますが、一般的には再生は1~2回程度が限度。繰り返すと生育も鈍るので、新しいものに替えましょう。大量収穫は期待しすぎないのが吉。 リボベジで育てた野菜は、衛生面から火を通すのがおすすめ。炒め物やボイルなどに利用するとよいでしょう。 リボベジにおすすめの野菜TOP10 pundapanda/Shutterstock.com リボベジできる野菜の特徴 リボベジに向くのは根元がついた葉物野菜。ニンジンやダイコンなどの根菜類も、リボベジでは葉を収穫するために栽培しましょう。種まきをすれば根を収穫できますが、切れ端から育てるリボベジの場合は、根を収穫するためには土に植える必要があり、栽培にも時間がかかります。リボベジにおすすめの野菜を10種ご紹介します。 豆苗 kariphoto/Shutterstock.com リボベジ野菜の代表格といってもいい豆苗。購入時のパッケージにも、大抵再生栽培のやり方が記載されているほどで、成長が早くすぐに葉が伸び、再生させてもたっぷり収穫できます。リボベジに使うのは、豆がついている根元部分。生育が鈍るまで、2~3回は繰り返して収穫を楽しめますよ。 <育て方> 豆苗の豆部分を容器に入れ、根が浸かる程度の水を入れます。この時、脇芽を落とさないよう茎をやや長めに残すのがポイント。脇芽が残っているとそこから伸び、再生までの時間が短くなります。豆まで水に浸かると腐りやすくなるので、水は根が浸かる程度に浅めに入れましょう。水がなくならないように注意すれば、1週間~10日ほどで収穫できます。2回ほど収穫が楽しめますよ。 小ネギ(万能ネギ) kariphoto/Shutterstock.com 栽培スタートの翌日から少し葉が伸びているのが分かるほど再生力が高く、根つきで販売されていることが多い小ネギは、リボベジデビューにもイチオシ! 繰り返して収穫することもでき、キッチンに少量あると毎日の料理に便利です。リボベジに使う部分は、根元部分。輪ゴムなどでまとめられていたら外さずにそのまま使うと、倒れたりばらけたりしにくく扱いやすいです。 <育て方> 栽培はコップに水でOK。成長して背が高くなると倒れやすくなるので、深さのある容器がおすすめです。5cm程度を残して根元を切り、根を下にして水を入れたコップに入れましょう。水は根の部分が浸かる程度にし、毎日水替えを。1週間ほどで収穫できるサイズまで成長します。 三つ葉 KOHUKU/Shutterstock.com スポンジ付きで販売されていることも多い三つ葉は、上品な香りをプラスしてくれるので、キッチンに少量あると嬉しい存在。リボベジに使うのは根元部分で、スポンジごとリボベジに利用できます。育てた葉はおつゆや卵とじなどに。 <育て方> 根から4〜5cmを残してカットします。脇芽を残しておくと再生が早くなりますよ。成長すると倒れやすくなるので、やや深さのある容器がおすすめです。水の量は根、またはスポンジが半分ほど浸かる程度が目安。根の全体が水に浸かると傷みやすくなります。数日で葉が開き始め、1週間~10日ほどで収穫できます。土に植えてもよく育ちます。 ニンジン kariphoto/Shutterstock.com ニンジンもリボベジで栽培できます。リボベジに使うのはニンジンのヘタで、再生するのは葉の部分。根を収穫することはできませんが、ニンジンの葉は栄養価が高く、みそ汁の実や炒め物などに利用できますよ。葉が大きくなりすぎると硬くなるので、ある程度育ったら収穫しましょう。 <育て方> ニンジンのヘタを水に浸けて栽培します。ニンジンのヘタは2cm程度と厚めに切ることがポイント。切り口を下にし、切り口から水を吸わせて栽培します。その際、もう1つのポイントが水を少なめにすること。水が多すぎると腐りやすいので、切り口だけが水に触れるようほんの少しでOK。毎日水替えをし、その際にぬめりが生じていたら洗い流すと腐りにくくなります。2週間ほどで収穫できるサイズに成長します。 大根 kariphoto/Shutterstock.com 大根もニンジン同様に、根ではなく葉の栽培に挑戦できます。リボベジに使うのはヘタで、再生するのは葉の部分。周囲の茎は取れてしまいますが、中心部分の葉が伸びていきます。 <育て方> 大根のヘタを水に浸けて栽培します。根の部分は2~3cm、葉が付いている場合は葉の部分も2~3cm残して利用しましょう。切り口を下にして水を入れた容器に入れましょう。切り口から水を吸わせて栽培します。水が多すぎると腐りやすいので、切り口だけが水に触れるよう水は少なめに。つまようじを刺して容器の縁に掛け、大根を浮かせるように栽培してもよいでしょう。毎日水替えをし、その際にぬめりが生じていたら洗い流すと腐りにくくなります。10日~2週間ほどで収穫できるサイズに成長します。 チンゲン菜 dwimulyani/Shutterstock.com チンゲン菜もリボベジにおすすめの野菜の1つ。ミニサイズのチンゲン菜を収穫できます。リボベジに使うのは根元部分。中心にある小さな新芽を残すと再生しやすくなるため、1~2枚残しておくのがおすすめです。 <育て方> 3cmほど残して根元をカットします。根元を下にして容器に入れ、少しだけ浸かる程度に水を入れます。1~2週間ほどで新しい葉が伸び始め、1カ月ほどで収穫できるサイズになります。周囲の茎から溶けるように傷みやすいので、傷んできたら栽培を終了しましょう。土に植えてもよく育ちます。 小松菜 yoshi0511/Shutterstock.com いろいろな料理に使えて何かと便利な小松菜も、リボベジで楽しめます。リボベジに使うのは根元部分。中心から新しい葉が伸びるので、周囲の茎はぽろっと取れてしまっても大丈夫です。 <育て方> 3~5cm残して根元をカットします。根元を下にして容器に入れ、根の部分が少しだけ浸かる程度に水を入れます。背が高くなるので、ある程度深さのあるよう気がおすすめ。数日で新しい葉が伸び始め、3週間ほどで収穫できます。土に植えてもよく育ちます。 レタス(リーフレタス) Mehriban A/Shutterstock.com いろいろな種類があるレタスですが、基本的に根元があればどんなレタスでもOK。結球レタスは芯の部分、リーフレタスは根元を利用します。サニーレタスやリーフレタスが育てやすくおすすめです。土に植えるとさらによく生育します。 <育て方> 結球レタスは芯の部分、リーフレタスは根元を10cm程度残して使います。水に触れる部分を薄く切り落とし、新鮮な切り口を用意してあげると水の吸い上げがよくなります。水の量は、切り口が5mmほど浸かる程度が目安です。5日ほどで新しい葉が現れ、10日〜2週間ほどで収穫できます。 セロリ Heike Rau/Shutterstock.com 根元付きで販売されていることが多い香味野菜のセロリも、リボベジにおすすめ。中心部分から新しい葉が伸びてきます。独特の香りが少量でも料理のアクセントになりますね。リボベジには根元部分を使います。 <育て方> セロリの根元を5cmほど残し、容器に水を入れて栽培します。根元部分だけが浸かるよう少なめに水を入れましょう。成長して背が高くなると倒れやすくなるので、深さのある容器がおすすめです。5日ほどで新しい葉が伸び始め、20日ほどで収穫できます。 キャベツ Lisic/Shutterstock.com 水耕栽培で育てる場合、通常のキャベツのように結球するまで成長させることは難しいですが、伸びた葉をスープの具材などに利用できます。リボベジに使うのは芯の部分。ほかの野菜に比べて栽培に時間がかかるので、やや上級者向け。 <育て方> キャベツの芯を切り出して利用します。芯の上部から葉が伸びて再生するため、上部を切り落としてしまわないように注意しましょう。中心の葉を少し残しておくと、再生までの時間を短縮できます。水に触れる部分を薄く切り落とし、新鮮な切り口を用意してあげると水の吸い上げがよくなります。切り口だけが浸かる程度に少なめに水を入れ、ぬめりが生じていたら洗い流しながら栽培します。早ければ3〜5日で新しい葉が出始め、1カ月ほどで収穫できます。 【リボベジ早分かりリスト】 野菜名リボベジに使う部分再生する部位・特徴収穫までの目安栽培のポイント豆苗豆がついている部分新しい葉が伸びる1週間~10日明るい場所で育ちやすい。小ネギ(万能ネギ)白い根元(5~10cm)上に葉が伸びる約1週間コップに水でOK。輪ゴムがついていたらそのままのほうが便利。三つ葉根付き部分葉が出る1週間~10日新芽を残すのがポイント。土に植え替えても。ニンジンヘタ部分(2cm程度)葉が伸びる(食用・飾りに)2週間ほどぬめりをぬぐうと腐りにくい。土に植えるとさらに育つ。大根上のヘタ部分(2~3cm程度)葉が伸びる(炒め物などに)2週間ほど葉がついている場合は葉も2~3cm残す。チンゲン菜根元(2~3cm)葉が伸びる1カ月ほど再生は早いが長期はNG。土に植え替えても。小松菜根元(5cm程度)葉が伸びる3週間~1カ月ほど水の量は根元が少し浸かる程度。土に植え替えても。レタス(リーフレタス)芯または根元(10cm程度)中心から新しい葉が出る10日~2週間ほどサニーレタスが育てやすくおすすめ。セロリ根元(5cm程度)葉が伸びる20日ほど日当たりがあると◎。キャベツ芯+中心の葉の根元葉が出る1カ月ほど芯の上部を落とさないように注意。葉は再び丸くはならない。 失敗しないために! よくあるQ&A Mehriban A/Shutterstock.com 臭くなった/ぬめった/カビが出た…などのトラブル対策 リボベジ野菜が傷むよくある理由は、水替えをしていないこと。毎日水替えをし、水温が高くなりやすい夏場はできれば1日2回水を替えると安心です。また、リボベジ野菜にぬめりがついていたら、水替えの際に拭きとるか洗い流しておきましょう。傷んだ部分があればこまめに取り除きます。特に葉物野菜は外側部分から傷んでいくので、日々のメンテナンスは欠かせません。 葉が伸びてこない リボベジに挑戦する際、ギリギリまで調理に使った残りだと、新しく葉が伸びてこないことがあります。ヘタを使う場合は厚めに、根元を使う場合は長めに残して切るのがコツ。 何度も収穫できる? リボベジは、野菜の切れ端に残った栄養と水だけで育てるので、基本的に長く収穫することはできません。生育も鈍り、何度も再生させると傷みやすくなります。野菜にもよりますが、1~2度の再生で終わりにするとよいでしょう。 肥料を使ったほうがいい? リボベジでは基本的に水だけでOK。液体肥料をごく薄く入れると生育はよくなりやすいですが、その反面傷んだりカビが発生したりといったトラブルが起きやすくなり、結果として失敗のリスクが上がってしまいます。管理が難しいので、手軽にトライしたいリボベジでは水だけで育てるのがおすすめです。栽培に慣れてきたら肥料を試してみるのもいいでしょう。 栽培に向く季節は? リボベジはいつでも栽培スタートできますが、成功率が高いのは、気温がそれほど高くない春。気温が高い夏は野菜が腐りやすく、反対に気温が低い冬は成長が遅く、収穫できるサイズになるまで時間がかかるため、その間に傷んでしまうこともあります。 夏は、キッチンなど育てている場所が常にクーラーが効いていて明るい部屋なら成功します。しかし、夜間はクーラーを切っている時間が長いなどの場合は、水が腐ったり葉が傷んだりしやすいので注意。人が過ごしやすい温度に維持されている室内なら栽培が可能です。 まとめ pundapanda/Shutterstock.com 根元やヘタなど、再生できる部分があれば、ほとんどの野菜で可能な再生野菜「リボベジ」。捨ててしまうはずの野菜の切れ端から新しく葉が伸びる様子はお世話をしていても楽しく、エコ&節約にもつながります。地植えにしてもっと大きく育てたり、根元からだけでなく種まきに挑戦してみたり、いろいろな形で楽しめますよ。「育てて楽しい」「食べてうれしい」リボベジ栽培にチャレンジして、暮らしをもっと楽しく豊かにしてみましょう!
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樹木
【香りが魅力】ニオイバンマツリの花が紫から白に変化する理由とは? 育て方や冬越しのコツも解説!
ニオイバンマツリの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com 植物名:ニオイバンマツリ学名:Brunfelsia英名:Yesterday-Today-and-Tomorrow、Morning-Noon-and-Night、Kiss-me-quick、Paraguayan jasmineなど和名:ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)その他の名前:ブルンフェルシア科名:ナス科属名:バンマツリ属原産地:ブラジル、アルゼンチン形態:常緑性低木 ニオイバンマツリの学名はBrunfelsia australis。ナス科バンマツリ属(ブルンフェルシア属)の花木です。原産地はブラジル、アルゼンチンなどで、寒さにやや弱い性質を持っています。樹高は30〜300cmほどの低木で、剪定によってコンパクトにまとめやすく、扱いやすい庭木の一つです。また、常緑性のため冬でも葉を落とすことなくみずみずしい葉姿を保ちます。開花すると芳しい香りを放つのも美点で、夜になると香りがより強まります。 ニオイバンマツリの花や葉の特徴 sarin nana/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:4〜7月草丈・樹高:30〜300cm耐寒性:やや弱い耐暑性:普通花色:紫~白 ニオイバンマツリの開花期は4〜7月。花径3〜4cmほどの花は筒状で、先端が5枚の花弁に分かれ、花つきがよく満開時は見応えがあります。咲き始めは紫色で、咲き進むほどにだんだん褪色して白になるのが特徴。そのため開花期は2色の花が咲いているように見え、紫から白のグラデーションや紫×白のコントラストが楽しめます。また、甘やかな香りを放ち、夜になるとより強くなるのも魅力。開花後に実をつけることがありますが、株全体に毒があるため食べられません。 ニオイバンマツリの葉は長さ6〜8cmほどの先が尖った楕円形で、互生につきます。光沢のある硬質な葉は常緑性で、冬もみずみずしい姿を楽しめます。 ニオイバンマツリの名前の由来や花言葉 joloei/Shutterstock.com ニオイバンマツリは、漢字で書くと「匂蕃茉莉」。「匂」は香りがよいこと、「蕃」は外国から持ち込まれたことを意味します。「茉莉」はジャスミンのことで、まさしくジャスミンのような甘く強い香りを放つことから名付けられました。ただし、ニオイバンマツリはナス科の植物で、モクセイ科に分類されるジャスミンの仲間ではありません。 学名Brunfelsia australis の「Brunfelsia」は、ドイツ植物学の父と称されるブルンファス氏の名前にちなんでいます。「Australis」はラテン語で「南の」という意味です。 ニオイバンマツリの花言葉は、「浮気な人」「夢の名」「幸運」「熱心」などです。 ニオイバンマツリの近縁の仲間 ニオイバンマツリにはいくつかの仲間があります。ここでは、代表的な種類についてご紹介します。 アメリカバンマツリ Zeren Z/Shutterstock.com アメリカバンマツリの学名はBrunfelsia americana(ブルンフェルシア・アメリカーナ)。名前にアメリカが入りますが、原産地は西インド諸島です。開花期は5〜9月で、花径8cm前後の花を咲かせます。咲き始めは白で、次第にクリーム色がかってくるのが特徴。果実が実りやすいのも特徴です。ニオイバンマツリ同様に芳香があり、特に夜に香りが強まります。英名は「Lady-of-the-night」。 バンマツリ AMINUL H/Shutterstock.com バンマツリの学名はBrunfelsia uniflora (ブルンフェルシア・ユニフローラ)。花数はやや少なめで、日本でガーデニングに利用されることは多くありませんが、ニオイバンマツリと同様に紫から白へと移ろう香りのある美しい花を咲かせます。 パウキフロラ Rose Marinelli/Shutterstock.com パウキフロラの学名はBrunfelsia pauciflora(ブルンフェルシア・パウキフロラ)で、原産地はブラジル。開花期は3〜6月で、花径7cm前後の花弁にややフリルが入るのが特徴です。ニオイバンマツリのように花色は紫から白へと変化し、芳しい香りがあります。 ニオイバンマツリの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4〜7月植え付け・植え替え:4月中旬〜6月肥料:4月中旬〜10月 ニオイバンマツリの栽培環境 yaninaamira/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。日照不足になると、葉色が冴えなくなったり、間伸びして株姿が乱れたりするので注意しましょう。ただし、夏の強い日差しにより葉焼けすることがあるので、夏は風通しのよい半日陰で育てます。 【日当たり/屋内】基本的に屋外で育てますが、寒さにやや弱いため、寒冷地では冬は室内に取り込んで管理します。 【置き場所】水はけ・水もちのバランスがよい、ふかふかとして腐植質に富んだ土壌を好みます。強い日差しを浴びて葉焼けすることがあるので、朝のみ日が差す東側や、落葉樹の足元など真夏は木漏れ日がチラチラと差すような半日陰の場所を選ぶとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 ニオイバンマツリは、耐暑性はありますが冬の寒さには弱く、耐寒温度は5℃くらいまで。地植えにしている場合は鉢に植え替え、室内の窓辺や温室などに置いて冬越しさせましょう。霜や低温の心配がない暖地では、地植えでも冬越しができますが、念のためマルチングなどで防寒対策をしておくと安心です。 ニオイバンマツリの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 花木用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 水やり topseller/Shutterstock.com 蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 生育期の4月中旬〜10月に、2カ月に1度を目安に、緩効性化成肥料を株の周りにばらまき、スコップなどで軽く耕して土になじませます。または、10日〜2週間に1度を目安に、液肥を与えてもよいでしょう。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 ニオイバンマツリは病気の心配はほとんどありませんが、まれにすす病が発生することがあります。 すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆っていき、見た目が悪いだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因ですす病が発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。 【害虫】 ニオイバンマツリに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシなどです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ニオイバンマツリの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、葉の色艶がよく、株元がしっかりして枝ぶりのよいものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Monkey Business Images/Shutterstock.com 苗木の植え付け・植え替え適期は、4月中旬〜6月です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。 ニオイバンマツリは寒さに弱い植物のため、冬越し対策が必要です。暖地を除き、地植えにしている場合は、晩秋までには鉢に植え替えましょう。日当たりのいい室内や温室などに移動させて、冬越しさせ、越年して霜が降りる心配がなくなった頃に再び地植えにします。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗木より1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出し、根鉢を崩さずに鉢の中に入れて仮置きし、高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。 日常のお手入れ 【花がら摘み】 ニオイバンマツリは次から次へと花が咲くので、終わった花は園芸用バサミで切り取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【剪定】 ニオイバンマツリは、開花が終わった頃を目安に剪定します。枝が伸びすぎて、持て余すようであれば、適した長さまで切り戻し、バランスのよい樹形を保ちましょう。 冬越し sarin nana/Shutterstock.com 【地植え】 地植えにしている場合は、晩秋に鉢に植え替えて暖かい室内や温室に置いて冬越しさせます。越年して十分に気温が上がる5〜6月に、再び庭植えに戻すとよいでしょう。 【鉢植え】 秋になったら暖かい室内や温室などに取り込んで冬越しさせましょう。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ニオイバンマツリを増やす場合は、挿し木をします。挿し木とは、茎を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、ニオイバンマツリは挿し木で増やすことができます。 ニオイバンマツリの挿し木の適期は、5〜9月です。その年に伸びた新しくて勢いのある茎を10〜15cmほどの長さで切り取ります。採取した茎(さし穂といいます)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ニオイバンマツリは毒性に注意 Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com ニオイバンマツリは木全体に毒を持ち、特に未熟な果実や種に多く含まれています。幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることがないように十分注意して管理しましょう。口に入れると、手足の痺れや嘔吐などの症状が現れます。 ニオイバンマツリの葉が落ちる理由 takepicsforfun/Shutterstock.com ニオイバンマツリの栽培で、「常緑のはずなのに、葉を落としてしまった」というケースがあるようです。まず考えられるのは、土壌が乾燥しすぎてしまったこと。鉢栽培では水切れに注意して管理し、特に真夏は乾燥しやすくなるので庭植えでも晴天が続く場合は水やりをして補いましょう。また、根詰まりが原因であることも考えられます。一年を通して鉢栽培にしている場合は、定期的に鉢から出し、古い根を整理して植え直しましょう。もう一つ考えられるのは、寒さにあったこと。5℃を下回る環境では、葉を落としてしまうことがあります。しかし寒さで枯れてしまったと早急には判断せずに、春まで様子を見守ってください。暖かくなると再び新芽を出して、復活することも多いようです。 ニオイバンマツリで庭を華やかにしよう joloei/Shutterstock.com 香りもよく2色の花色が楽しめるニオイバンマツリは、庭に個性をもたらすとして人気が高い花木です。ぜひ庭やベランダなどで育てて、優美な咲き姿を愛でてはいかがでしょうか。
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ガーデン&ショップ
【参加者募集中!】都立公園を花で彩るコンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」応募方法
東京パークガーデンアワードとは 写真(上)は、「第1回 東京パークガーデンアワード 代々木公園」のコンテストが開催される以前の様子。オリーブなど既存の樹木はそのままに、芝地が整地されてコンテストの花壇エリア(写真下)が作られました。コンテスト期間中、東京の最新ガーデンが見られるスポットとして多くの人々が訪れました。 2022年にスタートした「東京パークガーデンアワード」は、都内の公園を舞台に、新しい発想を活かした花壇デザインを競うコンテストで、2022年には代々木公園、2023年は神代植物公園で開催。今年は、砧公園を舞台に開催中です。東京都が主催し、12月の作庭から翌年11月のファイナル審査まで約1年かけて行われているガーデンコンテストです。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」で開花した多数の宿根草。ロングライフ・ローメンテナンスをテーマに選ばれた植物は、3月から11月の間、バトンタッチをするように花壇を彩りました。なかには3〜4カ月もの期間咲き続けた種類も。 このコンテストの最大の特徴は、宿根草を活用した「持続可能なガーデン」をテーマにしていること。デザインに加え、植物や土壌に関する確かな知識やノウハウが求められる、今までのものとは一線を画すガーデンコンテストとして注目されています。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」でグランプリを受賞した「Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜」季節の変化。 書類審査を通過した5名の入賞者には、抽選によって割り当てられた区画に、それぞれのガーデンを制作いただきます。そして、植物が成長をスタートした4月中旬に「ショーアップ審査(春の見ごろを迎えた鑑賞性を審査)」を、7月中旬には「サステナブル審査(梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査)」を、11月上旬には「ファイナル審査(秋の見ごろの鑑賞性と年間の管理状況を審査)」という、3回の審査を経てグランプリが決定します。 第4回コンテスト会場とテーマ コンテストの舞台となる東京都江東区にある夢の島公園は都心から近く、東京湾に浮かぶような立地の都立公園です。 かつてのごみの埋め立て地を緑豊かな海辺の公園へと変貌させた「都市再生のモデル」となる公園でもあります。 園内にはユーカリ、デイゴ、ヤシなど熱帯・亜熱帯植物が生育し、熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な 芝生広場を備え、訪れる人々に南国リゾートの雰囲気を感じさせてくれます。 今回のテーマは「海辺のサステナブルガーデン」です。 東京パークガーデンアワードが実施されるエリア(熱帯植物館西側の グリーンパークの一画)は、公園のシンボル樹であるユーカリの樹林地に面しています。ユーカリの木々を背景に広がるウェーブガーデン(波をイメージしたダブルボーダーの花壇)に、海辺という環境に適した宿根草を使い、持続可能なガーデンを制作していただきます。 ガーデン制作費として最大180万円支給 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」2023年12月作庭時の様子。 書類審査を通過した5名の入賞者には、植物代などガーデン制作にかかった材料費として最大180万円が支給されます。今年は花壇面積が約24㎡と、例年に比べ小さく、ご参加いただきやすくなっています。 【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 「第3回東京パークガーデンアワード砧公園」審査の様子。第4回の審査員は、福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚さん(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー)、本木 一彦さん(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子さん(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」応募方法 【申込者について】 ・一般市民、企業・団体、学生などを含め、プロ・アマ、国籍を問わず応募できます。・グループでの応募の場合は、必ず代表デザイナー1名を決めてください。・応募は1名(1団体につき)1件までとします。・定められた期間にガーデン制作やメンテナンスを行なっていただきます。 【ガーデン制作について】 ・ガーデン制作エリアは、「グリーンパーク」内です。 ・ユーカリの樹林地を背にしたエリアです。・ 重機の使用はできません。・ 植物代などガーデン制作にかかった材料費について180万円(税込)を上限に支給します。 ・ガーデン制作は2025年12月15日(月)〜12月19日(金)の5日間の中で行っていただきます。 以降、メンテナンスを行う中で補植も可能です。 【応募に必要な書類】 ・申込書・平面設計図・デザイン画(様式不問) 過去のコンテストガーデンをチェック!
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園芸用品
植物の水やりが追いつかない! 残暑を乗り切る「神アイテム」3選|プロも実践新水やり術
水やりが“試される”残暑がやってくる 今年の夏は、暑さがレベチ。40℃に達するような猛暑日が続き、全国各地で水田や農作物が干上がる被害が発生。また、ダムの貯水量が大幅に低下し、子ども達が楽しみにしているプール営業を中止する自治体まで出ているほどです。 さらに、環境省の「熱中症予防情報サイト」や気象庁のWBGT指数によると、8月下旬から9月上旬も厳しい残暑が続く見込みです。そんななか、私たちの庭やベランダ、室内の観葉植物にも、水不足の影響がじわじわと及び始めています。 庭や畑では… 枯れ始めたトマトの苗。VVVproduct/Shutterstock.com 強烈な日差しと乾燥で、キュウリやトマトなどの夏野菜の収穫が早く終わった 毎日水やりしていても、鉢植えや花壇の植物がチリチリに 水やりが追いつかず、「枯らしてしまった…」という声も 室内では… Tatiana Diuvbanova/Shutterstock.com エアコンによる乾燥で観葉植物の葉先が枯れ込んでいる 風通しの悪さと乾燥でハダニが発生 葉水が必要だとわかっていても、つい後回しにしてしまう さらに、留守中や旅行中は、「水やりどうしよう…」という不安がつきまといます。 今こそ、水やりを“ラクに・効率的に・無駄なく”見直すとき 水の確保が社会全体の課題となる中、限られた水を賢く使う工夫が、私たちのガーデニングにも求められています。 水不足でも植物を守る、プロやガーデナーの工夫とは? バラの株元をリシマキア‘オーレア’、タイムなどを這わせて、乾きを防止。造園家、阿部容子さん施工の庭。 朝夕の涼しい時間帯に水やりを行う 鉢の表面にマルチング材やグラウンドカバープランツを活用して乾燥を防ぐ 土の配合を保水性の高いものに変える(ピートモス、バーミキュライトなど) 鉢植えは直射日光を避け、日陰や半日陰に移動 室内では葉水で湿度を補い、ハダニ予防も 夏の間だけ給水装置や自動灌水器を設置する工夫も増加中 太田さんが土壌の保水性を上げるために使っている生分解性の有機吸水ポリマー。写真/太田敦雄さん また、園芸家の太田敦雄さんは、自身の園芸店「ACID NATURE 乙庭」でポット苗の用土や植栽工事などで生分解性の有機吸水ポリマーを活用しています。この方法では、 ポリマーが水を吸って膨らみ、土中でじわじわ水分を放出 根にとって必要なタイミングで水が届く 水のムダも手間も減らせて、暑い時期にも植物が元気に育つ という利点があり、植物にも人にもやさしい灌水方法として注目されています。 もちろん、植栽設計の段階から導入されているプロの事例ですが、家庭でも鉢植えや花壇の土に混ぜることで、手軽に応用することが可能です。 温暖化がますます進む昨今は、何も意識せず漫然と「水を与える」のではなく、太田さんの実践のように、「植物が必要なときに、必要なだけ水を使えるようにする」という視点が、これからのガーデニングに欠かせません。 昔ながらの壺「OLLA(オジャ)」は、最先端の灌水ツール 植物が“必要なときに、必要なだけ水を吸える”――それは吸水ポリマーのような土壌改良だけでなく、「給水のしかた」を変えることで実現できる方法もあります。 なかでも、今あらためて注目されているのが、2000年以上前から世界の乾燥地で使われてきた素焼きの壺「OLLA(オジャ)」による自動灌水です。 「OLLA(オジャ)」とは? スペイン語圏で「壺(pot)」を意味する「OLLA(オジャ)」は、素焼きのテラコッタ製の壺を土中に埋め、植物の根に水分を吸わせる伝統的な灌漑技術です。ただの壺のように見えて、じつはすごい機能性を発揮します。それが、「土が乾いたときにだけ」、じんわりと水をにじませてくれる仕組みです。 【OLLAのすごい機能】 土が湿っている間は自動で水が止まる 植物が必要なときにちょうどよく水が届く 水やりの手間も、水のムダもぐっと軽減! 国連食糧農業機関(FAO)やアリゾナ大学の研究でも、水やり効率は通常の5〜10倍とされているほど、超高効率な灌水法なんです。 OLLAの“必要なときだけ給水”の仕組み 必要なときだけ給水され、土が湿っている時は水が止まるという仕組みは、テラコッタ(素焼き陶器)という素材に秘密があります。テラコッタは焼き締め温度が低いため、微細な多孔質構造(無数の小さな穴)を持っています。そのため、内部の水はポットの表面を通じてじんわりとにじみ出ます。このにじみ出しは、土壌の乾燥状態に応じて起こるのが特徴です。 イギリスのガーデンセンターに並ぶOLLA。 周囲の土が乾いているほど、水が引っ張られて出ていき、逆に土がすでに湿っていると、外の水分量と壺内の水分量のバランスが釣り合って、水の動きが止まります。これは自然の毛細管現象や浸透圧と同様の原理で、電力・配管・複雑な設備不要で、エネルギーゼロで自律給水できる省エネ構造がSDGs時代に合致し、世界で改めて利用が高まっています。 用途や植物のサイズで選べる1.9Lと4Lの2タイプ 【1.9Lタイプ】 直径40〜60cmほどの鉢や小さな花壇に 約2〜4日分の給水が可能 旅行や週末留守時の水やり代行にぴったり 【4Lタイプ】 中〜大鉢や家庭菜園にも対応 1回の給水で約4〜7日持続(条件による) 直径70〜100cmまでの範囲に水を届けることが可能*実験では、1日あたり400〜800mlの範囲でじわじわ給水されることが確認されています(出典:extension.arizona.edu, nativeseeds.org)。 OLLAの設置はとても簡単です ① OLLAを土に埋めて、口が少し地上に出るように設置② 水を満タンに注ぎ、付属のコルク栓でフタ③ 数日ごとに水量をチェックするだけでOK! コルクを開けてときどき水量をチェック。 OLLAはこんな方におすすめです 鉢やプランターが多くて、水やりに時間がかかる 毎日忙しくて、つい水やりを忘れがち 留守中や旅行前の水やりが心配 水道代や水資源のムダを減らしたい 見た目にもナチュラルで庭になじむ灌水グッズが欲しい 使用者の声「なんでもっと早くOLLAを知らなかったんだろう!」 最初は“ただの壺”にしか見えなかったこのアイテム。でもOLLAの歴史を知り、仕組みを知り、実際に使ってみたら…その便利さにびっくり! 「大きなプランターがぜんぜん乾かない!」「水切れに弱いブルーベリーの鉢植えで重宝!」「朝晩の水やりを1回飛ばしても平気になった」「子どもや高齢の家族でも安心して育てられる」 などの感想も寄せられています。 「エコな暮らし」に、地球の先輩からのヒントを OLLAを活用して、夏も季節の花を楽しもう。 植物の根が欲しいだけ、必要な分だけ。乾いた土が水を“呼び寄せる”OLLAの仕組みは、今こそ見直すべき知恵です。 サステナブルな暮らしのパートナーとして、ぜひこの頼れるサイズをお庭やベランダに取り入れてみてください。 水やり中、ホースで植物を傷めるのを解決する「ホースガイド」という選択 「OLLAのような自動潅水も便利だけど、日常の水やりでも困ってる」という悩みも多いもの。 水やりの際によくある失敗…。 たとえ日々きちんと水やりをしていても、 「ホースが引っかかって大事な草花をなぎ倒してしまった…」「ホースを引っ張った拍子に植木鉢が倒れて割れた…」 そんなもったいない失敗、心当たりはありませんか? じつは、ガーデナーの多くが「ホースの扱い」に地味なストレスを感じており、そのプチストレスを解消してくれるのが“ホースガイド”というアイテムなんです。 ホースの通り道に立てて花を守るホースガイド このホースガイドは、ホースが曲がる場所に立てるだけで、回転するコマ状のパーツがホースの動きをスムーズに誘導。植物をなぎ倒すことなく、庭全体を気持ちよく水やりできるようになります。 しかも見た目は、アンティーク調の鋳鉄製で、上部のモチーフは「カエルの王様」「ジョウロ(左)」「エレガントハート(中)」「ロイヤル(右)」と、オーナメントのように庭に映えるデザイン。「便利グッズなのに可愛い!」とガーデンストーリーの投票でも人気でした。 「ホースが引っかからないだけで、水やりがこんなにラクになるとは!」「見た目が可愛いので、いくつか並べて使いたい」などの声も。 さりげなく庭に溶け込み、仕事はしっかり 地面に差し込むだけの簡単設置 ホースの引っかかりやねじれを軽減 デザイン違いも複数展開(「カエルの王様」「ジョウロ」など) 数本まとめて設置すれば、花壇まわりやアプローチも安心 「見た目重視で選んだのに、こんなに実用的だったなんて」という驚きが、ガーデナーの心をつかんでいます。 葉水で元気をチャージする、ガラス製霧吹き 外の植物だけでなく、室内の観葉植物もこの時期は水分不足に悩まされています。特にエアコンの風が当たる場所では、葉先が枯れたり、ハダニが発生したり。そこで大切なのが、「葉水(はみず)」というケアです。 葉水とは、植物の葉の表面に霧状の水をかけてあげること。湿度を上げて乾燥を防ぐほか、葉面からの水分吸収やハダニ予防にも効果的です。 そんな葉水を習慣づけるために、“気づいたときにすぐ使いたくなる霧吹き”があると、植物との距離がぐっと縮まります。 インテリアとしても美しい「ガラス製霧吹き Blue 3色セット」 この霧吹きは、クラシカルなフォルムの透明ガラス製。光を受けてキラリと輝くブルーのボトルは、窓辺や棚の一角に置くだけで絵になる存在感です。 片手で扱えるコンパクトサイズ 柔らかなミストで葉をやさしく包む 水量がひと目でわかるクリアボトル 丈夫なポリプロピレン製スプレー部分で安心 しかも、微妙にデザインが異なる3個セットなので、お気に入りの植物ごとに使い分けたり、花友さんとシェアしたり、プチギフトにも◎。 「“見える場所”に置けるから、葉水が習慣になった」「可愛いから、つい手に取ってしまう」――そんな声が届いています。 ガーデンストーリーが選んだ「GARDEN STORY Series」 今回ご紹介した便利で美しい水やりアイテムたちは、すべてガーデンストーリーが読者の声を取り入れながら、本気で選んだ“植物との暮らしをもっと心地よくする”ためのセレクションブランド【GARDEN STORY Series(ガーデンストーリーシリーズ)】の中からピックアップしたものです。 このシリーズでは、 ガーデナー視点で厳選した「使いやすさ」「見た目」「植物へのやさしさ」を兼ね備えたグッズ 50アイテムを超える多彩なラインナップ 季節や悩みに合わせた特集形式のおすすめ展開も 今後も、季節の変わり目や植物の困りごとに寄り添うアイテムを、続々ご紹介していきます。 まとめ:水やりを見直すことで、植物も、あなたもラクになる Toeizuza Thailand/Shutterstock.com 水不足が社会的な問題になる中、私たちの小さな庭やベランダでも、「ムダなく、効率的に水を届ける工夫」が求められています。 毎朝バタバタして水やりができない 暑さで鉢がすぐ乾いてしまう 留守中の水やりが心配 室内の観葉植物が元気をなくしている… そんな日々の小さな「困った」を、少しの工夫と“いい道具”でラクにする。それが、ガーデンストーリーが提案するこれからの「水やりのかたち」です。 あなたの植物との暮らしが、もっと心地よくなりますように。
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花と緑
「蘆薈」ってなんて読む? 正解できたらすごい難読植物名漢字クイズ【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.8
身近な植物!「蘆薈」ってどんな植物? Fumeezz/Shutterstock.com 実際に育てていても、漢字で表記されると案外分からない植物も多いもの。普段呼んでいるのとは違う名前があったり、意外な漢字表記があったり、植物の漢字も面白いものです。 そんな植物の漢字表記の中から、身近な植物に関するものをクイズで出題! 今回のお題は「蘆薈」。あなたはこの漢字が表す植物が分かりますか? ヒント 薬用になる植物として知られ、食用にも利用される多肉植物。別名は医者いらず。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ ろかい(あろえ) Roger de la Harpe/Shutterstock.com アロエの基本データ 学名:Aloe科名:ススキノキ科属名:アロエ属原産地:アフリカ南部から地中海沿岸、マダガスカル、カナリア諸島和名:ロカイ(蘆薈)別名:医者いらず英名:Aloe開花期:12~2月(種類により異なる)花色:赤、黄、オレンジ、複色形態:多年草(常緑性多肉植物)樹高:2~200cm アロエは多肉植物の一種で、乾燥した砂漠や岩場に自生し、強靭な生命力を持ちます。よく知られているものは、日本でも古くから栽培されているキダチアロエや、食用としてヨーグルトなどによく利用されるアロエベラなど。アロエは現在650種類以上が確認されており、大きく分けると観賞用、薬用、食用のカテゴリーがあります。姿や模様が多様で、特に観賞用のアロエには個性的なルックスのものも多く、コレクターにも人気です。アロエは非耐寒性の種類が多く、日本では冬は屋内に取り込んで管理するのが一般的ですが、中には耐寒性のあるものもあります。性質に合わせ、場所を選んで植栽することで、ユニークな庭演出にも活用できますよ。暑さや乾燥に強いため、近年の猛暑の夏を彩る植物としても魅力的です。 「蘆薈」の由来とは? Andi WG/Shutterstock.com アロエの漢字は「蘆薈」と書きますが、この漢字は漢名に由来します。もともとアロエの語源は古代アラビア語で”苦い”を意味する「alloeh」。これを中国では「蘆薈(ろえ)」と表記したのが由来とされています。その後鎌倉時代もしくは室町時代初期に日本に伝わり、「蘆薈」を音読みして「ろかい」と読むようになりました。つまり、学名や英名と同じ由来なのです。現在も、アロエの和名や生薬名ではロカイ(蘆薈)が使われています。 クイズ一覧はこちら!
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樹木
エンジェルストランペット完全ガイド|豪華な花と育てるコツ・危険な毒性まで
エンジェルストランペットの基本情報 volkova natalia/Shutterstock.com 植物名:エンジェルストランペット学名:Brugmansia英名:Angel’s Trumpet、Brugmansia和名:キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)その他の名前:ブルグマンシア、エンゼルトランペット、ダチュラ科名:ナス科属名:ブルグマンシア属(キダチチョウセンアサガオ属)原産地:熱帯アメリカ形態:低木 エンジェルストランペットは、ナス科ブルグマンシア属(キダチチョウセンアサガオ属)の花木です。原産地は熱帯アメリカで、寒さに弱い性質を持ち、最低気温が0℃以下になる地域では、冬越し対策が必要です。とはいえ強健な性質で放任してもよく育つので、初心者でも育てやすい花咲く樹木の1つです。また、樹高は1~3mほどの低木で、あまり大きくなりすぎず扱いやすいのも長所といえるでしょう。注意したいのは花、葉、樹液すべてに毒があることで、花がら摘みや剪定などを行う際には、ゴム手袋などを着用して作業する必要があります。 以前はダチュラ属に分類されていたため、今でもダチュラと呼ばれることがありますが、現在はキダチチョウセンアサガオ属(ブルグマンシア属)に分類されています。 エンジェルストランペットの花や葉の特徴 54613/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:5〜11月草丈・樹高:1〜3m耐寒性:やや弱い耐暑性:普通花色:白、ピンク、オレンジ、黄 ラッパ形の大きな花が下向きに咲くのが特徴的で、花径は25~30cmほどです。開花期は5~11月で、花色は白やピンク、オレンジ、黄色などがあります。数輪ずつ連なって咲く姿は迫力があり、大株に育つと一度に50~100輪も咲かせることも。品種によっては夕方から香りを漂わせるものもあります。花が終わった後には、トゲをまとった丸い実がつき、熟すと果皮が割れて中の種子を飛ばします。葉は10~20cmほどで、楕円形で先が尖り、縁がギザギザとした鋸歯があります。本来は常緑ですが、寒いと落葉して枝が枯れます。霜や凍結に注意すれば、地上部が枯れても株自体は枯れることはなく、春に暖かくなると株元から新しく芽を吹きます。 植物全体、特に根や種子に強い毒性があるため扱いには注意が必要です。 エンジェルストランペットの名前の由来と花言葉 Sanatana/Shutterstock.com エンジェルストランペットは、当初チョウセンアサガオとして日本に伝わりました。チョウセンアサガオ属(ダチュラ属)に分類されていたので「チョウセンアサガオ」「ダチュラ」などと呼ばれることもありますが、現在は草本性で主に一年草のものをダチュラ(チョウセンアサガオ)、木本性で複数年生育するものをブルグマンシア(キダチチョウセンアサガオ)として区別し、近年はほとんど英名の「エンジェルストランペット」で流通するようになっています。学名はブルグマンシアですが、かわいらしい響きのエンジェルストランペットの通名が浸透しており、学名ではあまり流通していません。エンジェルストランペットという名前の由来は、淡い黄色いラッパ型の花が、天使の持つトランペットのように見えたことからといわれています。 エンジェルストランペットの花言葉は「愛嬌」「偽りの魅力」「変装」「あなたを酔わせる」など。「愛嬌」はかわいらしい花の姿をイメージしたもの。一方「偽りの魅力」や「変装」は、愛らしい花姿ながらも毒を持つことに由来します。「あなたを酔わせる」は、エンジェルストランペットが持つ毒に幻覚作用があるためです。 ラッパ形の花を咲かせるほかの植物 エンジェルストランペット以外にも、ラッパ形の花を咲かせる植物はたくさんあります。そのうち魅力的な花を2つご紹介しましょう。 チョウセンアサガオ(ダチュラ) ediy van de moel/Shutterstock.com チョウセンアサガオは、エンジェルストランペットと同じナス科で花姿も似ていますが別種で、ナス科チョウセンアサガオ属に分類されています。ガーデニングで広く栽培されるのは主に一年草ですが、多年草もあり、各地で野生化したものも見られます。チョウセンアサガオは大きなラッパ形の花を咲かせますが、花が下にぶら下がるエンジェルストランペットとは異なり、花が上を向いて咲きます。エンジェルストランペット同様に毒があるため、取り扱いには注意が必要です。 テッポウユリ Takakophoto/Shutterstock.com テッポウユリは、ユリ科ユリ属で日本の固有種です。開花時期は6~8月で、直径10~15cmほどのラッパに似た白い花を咲かせます。甘い香りを放ち、数輪咲く様子も豪華で海外でも人気。地植えにしている場合は2年に1回は植え替えが必要ですが、連作を嫌うので、球根を掘り上げたら前年と同じ場所には植え付けないようにしましょう。 エンジェルストランペットの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜11月植え付け・植え替え:4〜6月肥料:4〜10月 エンジェルストランペットの栽培環境 imageBROKER.com/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を好みます。あまり日当たりがよくない場所では、花つきが悪くなってしまうので注意してください。ただし、夏は半日陰のできるだけ涼しい場所に置くか、遮光するとよいでしょう。 【日当たり/屋内】戸外での栽培が基本ですが、寒さにはやや弱いため、冬は室内や温室に取り込んで管理しましょう。 【置き場所】有機質に富んで水はけ・水もちがよく、肥沃な土壌を好みます。また、強風が吹きつける場所では葉や花が傷みやすくなるので、風の通り道となる場所は避けたほうが無難です。また、生育旺盛で大きくなりやすいため、スペースを確保して植え付けます。 耐寒性・耐暑性 エンジェルストランペットは、寒さにはやや弱い性質を持ち、耐寒性は0〜マイナス3℃程度。ほとんど凍結することがない暖地であれば戸外で越冬できますが、凍結する寒冷地では鉢栽培にして、季節に応じて適した場所で移動しながら管理するとよいでしょう。また、耐暑性は普通程度にありますが、高山に自生している種が多く、日本の夏の極端な暑さでは弱ってしまうこともあります。品種により真夏の強い日差しに弱いものもあるので、購入苗についているラベルを確認して適した場所を選ぶようにし、必要に応じて涼しい半日陰に移動したり遮光したりして夏越しさせるとよいでしょう。 エンジェルストランペットの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の花木用培養土を利用すると手軽です。自身で用土を配合する場合は、赤玉土小粒6、腐葉土2、ピートモス2の割合で混ぜ合わせて用いるとよいでしょう。 水やり Ivanko80/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになってしまいます。すると株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。 肥料 Singkham/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 追肥は4〜10月の成育期に、月に1度を目安に緩効性肥料を株の周囲にばら撒き、スコップなどで軽く表土を耕し、土に馴染ませます。株に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見守りましょう。 注意する病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 エンジェルストランペットに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 【害虫】 エンジェルストランペットに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 エンジェルストランペットの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、葉色が鮮やかで、株元がしっかりとしていてぐらつきがないものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Jurga Jot/Shutterstock.com エンジェルストランペットの植え付け・植え替えの適期は4〜6月です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、入手したら真夏や真冬を除き、早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢を崩して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。 地植えにしている場合は、暖地では植えたままにしてもかまいません。熱帯性の花木のため寒さには弱いので、0℃以下になる地域では寒くなる前に鉢に植え替え、暖かく日当たりがよい室内や温室で越冬させてください。 【鉢植え】 エンジェルストランペットを鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。エンジェルストランペットの苗木をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めます。根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずして小さくし、新しい培養土を使って植え直しましょう。 日常のお手入れ jejim/Shutterstock.com 【支柱の設置】 苗木がまだ幼いうちは、支柱を立てて幹を誘引しておき、強風などによる倒伏を防ぎます。十分に育ったら、支柱を撤去してもかまいません。 【花がら摘み】 エンジェルストランペットの終わった花は、適宜摘み取りましょう。まめに傷んだ花を摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 剪定・切り戻し Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com 【芽かき】 地際から出てくる新芽があれば、樹形を乱す原因となるので、全て切り取っておきましょう。 【切り戻し】 開花期間中は、開花が途切れた枝を2〜3節ほど切り戻すと、わき芽が出て再び花芽が上がってきます。 【剪定】 開花が一通り終わり、樹形が乱れていたら、切り戻して仕立て直します。深めに切り戻してもよく、翌年の生育期に入ると再び枝を伸ばして生育し始めます。 【枯れ枝の整理】 枯れた枝からは新芽を出さないので、越冬したのちの3〜4月に枯れ枝があれば切り取ります。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com エンジェルストランペットは、種まきと挿し木で増やすことができます。 【種まき】 種を採取する場合は、開花の後半になったら花がら摘みをやめて果実をつけさせます。果実が熟すと実が割れるので、種を採取して乾燥させ、種まきの適期まで保管しておきましょう。 エンジェルストランペットの種まき適期は5〜7月です。3号ほどの黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れて十分に水で湿らせた後、数粒ずつまきます。発芽までは乾燥・過湿にならないように適度な水管理をしてください。発芽後は生育のよい苗を1本残して間引き、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。育苗して根鉢が充実し、十分に育ったら植えたい場所に定植します。 【挿し木】 挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木で増やせるものと、そうでないものもありますが、エンジェルストランペットは挿し木で増やせます。 エンジェルストランペットの挿し木の適期は、5〜8月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(さし穂といいます)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴を開け、穴にさし穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。 エンジェルストランペットの毒性とは Shulevskyy Volodymyr/Shutterstock.com エンジェルストランペットが持つ毒にはアルカロイド系の成分が含まれ、一定量以上摂取するとせん妄や幻聴・幻覚を起こし、酷ければ意識障害や呼吸困難に至るとされています。 また、切り口から出る汁が皮膚に付着すると炎症を起こし、目に入ると失明の可能性もあるようです。手などに傷がある時は触らないようにし、剪定などの作業の際には必ずゴム手袋を着用してください。子どもやペットがいる家庭では、十分に注意して管理しましょう。 果実やつぼみをほかの野菜と間違えて食べ、中毒を起こす事例も発生しています。つぼみはオクラに、葉はモロヘイヤに、根はゴボウに似ているため、誤認を防ぐためにもこれらの野菜をそばで育てないようにしてください。 エンジェルストランペットの見事な花を咲かせよう! Konstantinos Livadas/Shutterstock.com ラッパ形の花として知られるエンジェルストランペットは、大ぶりな花がたくさんつき、とてもゴージャスなシーンを作り出してくれます。自宅で育てる場合は、強い毒に注意してメンテナンスし、華麗な咲き姿を楽しみましょう。