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食べずに咲かせる贅沢! アーティチョークとアザミでつくる「目で楽しむ」家庭菜園

食べずに咲かせる贅沢! アーティチョークとアザミでつくる「目で楽しむ」家庭菜園

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

“家庭菜園”といえば食べるためのもの、と思っていませんか? 野菜は収穫して食べるのはもちろん、あえて収穫せずに“野菜の花”を咲かせ、園芸植物のようにその美しさを愛でるのも楽しいものです。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、夏の菜園で圧倒的な存在感を放つアーティチョークを中心に、“アザミ”や宿根草の組み合わせアイデア、そして庭を美しく保つ毎日のお手入れのコツをご紹介します。

目で楽しむ家庭菜園

家庭菜園
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

“家庭菜園”と聞くと、多くの人は食べることをイメージするでしょう。私も基本的にはそうなのですが、ここ数年は、“野菜の花”の美しさに惹かれることが多くなりました。

季節に応じてさまざまな野菜苗を植えたり、種まきをしたり、といった作業は、すでに身に沁みついたルーティンになりつつあります。こうして植えた苗の一部を収穫せずにそのままにしておき、花を咲かせたり、時に種子を採ったりするには、それなりに忍耐が必要です。収穫したい気持ちを抑えてその株の最後まで、できればシードヘッドをつけて次のシーズンに向けた種子を収穫するまで、庭の一角やプランターで見守らなくてはいけません。ですが、野菜の花も園芸植物に劣らず魅力的で、その価値は十分にあります。

アーティチョーク
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

夏の菜園におすすめ
パープル/バイオレットの花が咲くアーティチョーク

アーティチョーク
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

夏の家庭菜園を彩る花の美しい野菜としては代表的な存在であるアーティチョーク。大型でシンボリックな存在感を放つ、地中海原産の多年草です。シルバーグリーンの葉を持つ巨大なアザミのような姿で、高さは1.5mにも達するため、十分に成長させるには広いスペースが必要です。高温多湿には弱く、日当たりと水はけのよい環境でよく育ちます。

アーティチョーク
食用に利用されるのはつぼみ。victimewalker/Shutterstock.com

アーティチョークはつぼみが食用でき、柔らかく風味豊かな芯と、肉厚なガクの付け根が利用されます。南ヨーロッパや地中海地域では、蒸したり茹でた上で、よくディップソースをつけて食べられる野菜で、調理済みのアーティチョークの缶詰も市販されています。小さく切って、鶏肉やツナのサラダに混ぜても美味しくいただけます。

アーティチョーク
スペインの農地で育つアーティチョーク。BearFotos/Shutterstock.com

ドイツでは、夏の菜園で度々この魅力的な姿を見かけることはありましたが、実際にフレッシュなつぼみを食用にすることは少なく、アーティチョークを食べたいときはこのような調理済みの状態を購入していました。

あ
装飾的なアーティチョークの花。MountainGirl Photography/Shutterstock.com

成長していく様子を見るのはとても興味深いですし、最後に咲く紫の花は観賞価値が高く、かなり長く楽しめます。花が散った後のシードヘッドも見た目が美しく、翌年まで残ることもあります。中には、翌年に新しい芽が土から芽吹くまで種子が残っていたものもありました。

アーティチョークについては、私の一番の興味は食べることよりもその成長を見ることにあるかもしれません。

アーティチョーク
cvictoriac/Shutterstock.com

アーティチョークと組み合わせるおすすめ植物

菜園
Nick P Johnson/Shutterstock.com

ダイナミックで造形的な美しさを持つアーティチョークは、花壇やキッチンガーデンで他の植物と併せても魅力的な光景を演出してくれます。

互いに支えあうマメ類

マメ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

アーティチョークに合わせる植物としては、マメ類が面白いコラボになります。マメ類は土壌に窒素を固定するので、養分を多く必要とするアーティチョークにとっては天然の肥料の役割を担います。また、アーティチョークは、つる性のエンドウやインゲンを支えるナチュラルな支柱のような役割も果たします。

繊細な葉のアスパラガス

アスパラガス
DimaBerlin/Shutterstock.com

アスパラガスとアーティチョークもよい組み合わせ。どちらも何年も楽しめる多年生の野菜で、好む土壌や水はけの環境も似ています。細く長いアスパラガスの芽は、アーティチョークの葉の重厚感を和らげてくれます。

地中海風ガーデンにピッタリのサルビア&ラベンダー

ラベンダー
ラベンダー。Wirestock Creators/Shutterstock.com

サルビア(セージ)とラベンダーは、地中海地域の植物で、同じような日照や水分の条件を必要とします。香りのよい花は花粉媒介者をマグネットのように引き寄せ、またアーティチョークの銀葉の間によく映えます。特にサルビアは品種によって色のバリエーションが非常に豊富で、簡単に組み合わせることができます。

ガーデンで存在感を放つ“アザミ”たち

アザミ
鋭いトゲを持つジャコウアザミ。Dave A Bennett/Shutterstock.com

アーティチョークは巨大なアザミのようなダイナミックな姿が魅力ですが、アザミもまた、野原や庭を美しく彩る植物です。

アザミは、キク科アザミ属の植物の総称で、葉の縁に鋭いトゲを持ち、針状の特徴的な花を咲かせます。トゲは植物全体に生えている場合もあり、草食動物から身を守る役割を果たしています。

アザミ
ハーブとしても利用されるマリアアザミ。Kabar/Shutterstock.com

また、アザミの魅力は花だけではありません。アザミに特徴的な羽毛状の種子は、「thistle-down」、すなわちアザミの綿毛とも呼ばれます。この綿毛は触れると驚くほど柔らかく、心地よい感触。屋外で風に舞う光景は美しく、軽やかで幸せな気分にさせてくれます。

二年草のアザミは、特に野生生物にとって非常に価値が高い植物です。花粉媒介者にとって必要なさまざまな資源を提供し、種子は野鳥の餌に、葉はチョウの幼虫に棲み処に、そして綿毛は鳥の巣の材料となります。

アザミは種類によっては繁殖力が強く、侵略的になるものもあるため、それぞれの生育条件や繁殖方法を知っておくことが重要です。種子ができる前に刈り込むことで、庭や近隣への侵入を防ぐことができます。種子ができた場合は堆肥には入れず、焼却処分しましょう。

アザミ
Orest lyzhechka/Shutterstock.com

さて、英語ではアザミを意味する「thistle」という名で呼ばれる、トゲのあるアザミのような姿を持つ魅力的な植物たちがあります。そのうちのいくつかをご紹介します。

エリンジウム・ギガンチウム(セリ科)

エリンジウム・ギガンチウム
JohnatAPW/Shutterstock.com

草丈は最大1mになり、夏にトゲのある苞葉に囲まれた淡緑色の円錐形の花穂を枝分かれさせて咲かせます。花は成熟すると青色に変化します。通常は開花後に枯れるため、二年草として栽培されます。

エリンジウム・カンペストレ(セリ科)

エリンジウム・カンペストレ
travelpeter/Shutterstock.com

多年草で、産毛のない緑色の、丈夫なトゲのある葉を持ちます。エリンギウム・ギガンテウムに比べて背丈は低いのが特徴です。キノコのエリンギは、主にこのエリンジウム・カンペストレの枯死した根につくことが名前の由来なのだそう。

エリンジウム・マリチマム(セリ科)

エリンジウム・マリチマム
The_Botanist_Traveler/Shutterstock.com

高さ10~40cmで、深く伸びる直根を持ちます。「sea holly」の名のとおり、ヒイラギに似たトゲのある銀白色の葉を持ちます。夏に開花しますが、花がらが長く残り、やがて茶色く色褪せていくまで、数カ月間楽しめます。冬には地上部が完全に枯れますが、水はけのよい土壌で環境に合えば、毎年芽を出します。風や潮風、砂質土壌に非常に強く、海岸沿いのガーデンに最適。

エキノプス・リトロ(キク科)

エキノプス・リトロ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Green Solutions

コンパクトでブッシュ状に生育する多年草で、高さは約60cm。幅広でトゲのある葉を持ち、直径2.5~4.5cmの球状のスチールブルーの花を咲かせます。夏に開花するメタリックな色合いの花は、多くの昆虫にとって格好の餌場となります。ほかの植物や環境と合わせやすく、栽培しやすいので、ドイツの庭園でよく植えられる定番植物。グラス類との組み合わせも素敵です。

キルシウム・リブラレ ‘アトロプルプレウム’(キク科)

キルシウム・リブラレ ‘アトロプルプレウム’
N.Stertz/Shutterstock.com

鮮やかな赤紫色の筒状花が密集した、アザミのような花をつけ、草丈約1mに成長します。美しいパープルレッドの花は、ガーデンに自然な彩りを添えてくれます。初夏から秋にかけて開花し、特に花がら摘みをすれば長く楽しめます。日当たりのよい場所で、保水性と栄養分に富んだ土壌を好みます。さほど流通がないため、入手は難しいかもしれませんが、探す価値は十分にあります。‘アトロプルプレウム’は、英国王立園芸協会(RHS)が優れた園芸植物に授与する世界的に権威ある賞、ガーデン・メリット賞を受賞しています。

キルシウム・リブラレ ‘アトロプルプレウム’
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ホワイト&ブルーのドリームガーデン

アリウム
helen Reid/Shutterstock.com

私のお気に入りの組み合わせが、白×青の色合わせ。その組み合わせにおすすめなのが、オルラヤ(オルレア)・グランディフローラです。

オルラヤ・グランディフローラ

オルラヤ・グランディフローラ
tamu1500/Shutterstock.com

オルラヤ・グランディフローラは草丈45~75cmの一年草。分枝してよく茂り、ギザギザに切れ込んだ葉と、平たい散形花序に咲く白い花が特徴です。内側の花は小さく、外側の花弁は大きく広がった花は、レースのような印象を与えます。花付きがよく、開花期間も長く、昆虫を引き寄せます。日当たりのよい開けた場所で、水はけのよい土壌や痩せた土壌でよく育ちます。ナチュラルなインフォーマルガーデンやワイルドガーデンにもよく似合います。枯れた花やしおれた花をこまめに取り除いて、より長く美しい姿を保ち、開花を促しましょう。

アリウムとオルラヤ
Shinano Shinshu/Shutterstock.com

オルラヤ・グランディフローラと合わせる青系の花には、定番のアリウムのほか、コンボルブルス・サバティウス(セイヨウヒルガオ)もおすすめです。

コンボルブルス・サバティウス

コンボルブルス・サバティウス
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

地中海沿岸(イタリア)原産の、匍匐性の木質多年草です。壁面を覆い尽くすように垂れ下がる姿や、ハンギングバスケットを彩るラベンダーブルーの花々が美しく、大変人気があります。トランペット形の小さな花は、春から秋にかけて咲きます。日当たりと水はけのよい場所を好み、一度根付くと非常に乾燥に強い植物です。

地中海性気候のような温暖な地域では冬越しが可能で、多年草として扱われますが、寒冷地では一年草扱い。切り戻すことで、新芽の成長と開花が促されます。英国王立園芸協会(RHS)のガーデン・メリット賞を受賞した優秀なガーデンプランツです。

ホワイト&ブルーのガーデン
爽やかなホワイト&ブルーのガーデン。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

一日の始まりは花がら摘みから

花がら摘み
Joanne Dale/Shutterstock.com

花がら摘みは、一日の始まりにぴったりの庭作業。涼しい朝の時間に外へ出て、庭やコンテナの植物の様子をチェックしながら行いましょう。同時に、水やりが必要かどうかも確認できます。

花がら摘みにはいくつかのメリットがあります。

まずは、必要のない種子を結ばせることなく、開花や生育に株のエネルギーをより集中させられること。花弁数の多いボタンやシャクヤク、バラ、サザンカなどの場合は、古くなって落ちた花びらが辺りに散らばるのを防ぐことができます。落ちた花びらは、時にとても煩わしく、掃除が大変になってしまいます。

また、こぼれ種で増える植物は、意図しない場所から芽が出るのを防ぐことができます。

花がら摘みの方法

花がら摘み
JulieK2/Shutterstock.com

手で摘む

一番シンプルな方法は、指でつまんで摘み取るか折り取ること。花茎ごと摘み取るようにすると、見た目も整った印象に保つことができます。

園芸バサミやナイフを使って

固く太い茎や繊維質の茎を持つ植物の場合は、ハサミやナイフなどの刃物を使いましょう。基本的に、次のつぼみまたは葉のすぐ上で切り戻し、終わった花を切り取ります。

デルフィニウムやルピナスのように、1つの花茎に複数の花が咲く植物の場合は、個々の花を摘み取るか切り取り、すべての花が咲き終わったら、つぼみ・葉・側枝のすぐ上で切るか、必要に応じて株全体を半分~1/3程度まで切り戻します。開花後に地面近くまで切り戻すと、再び盛り返して2度目の開花をする植物もあります。

花がら摘み
Sarah Marchant/Shutterstock.com

植物のたくましさに触れる日々

植物
ajar jayanto/Shutterstock.com

私たちの家のすぐ目の前や、道路沿いやタイル、コンクリートの小さなひび割れ。こうした場所を舞台に、日々小さな驚異が起こっています。種子と水が流れ込む、数ミリほどのわずかな隙間があれば、植物たちがたくましく育つことができるのです。

日本では、土壌を固定したり高低差を埋めるため、道路沿いに積み上げられた大きなコンクリートブロックをよく見かけます。これらのコンクリートの壁には、高い場所から流れ込む水を排出するための排水管が設置されていますが、先日、幅5cmほどのその小さな排水管から木が生えているのを見かけました。まさに驚きの光景です。排水管本来の機能は失われてしまいますが、代わりに根を張った木が斜面を安定させる役割を果たしています。

カモミールと大葉
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

一方、我が家の前では道路と外壁の間の小さな隙間から、庭のすぐ外側にカモミールとシソが生えています。昨年、道路に面した前庭に植えたカモミールとシソが、今年になってこぼれ種で出てきたのでしょうか。散歩中の犬のおしっこが肥料になっているのか、緑のシソはとても元気に育っています。

私は、こうした道路沿いの小さな隙間から生えている植物は、すべて取り除くことはしません。邪魔にもなりませんし、生き延びようとする強い意志と能力を持ち、虫たちの貴重な食糧にもなるこうした植物は、日々の生活を少しだけ明るくしてくれるからです。

除草剤を買ってきて庭の隅々や石の隙間に撒く前に、立ち止まってちょっと考えてみましょう。そこは、植物にとって小さな楽園になっているかもしれません。

生きようと努力するすべての植物や生き物に感謝の気持ちを持ち、こうした小さな花園の美しさを楽しめたらいいですね。

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