夏のガーデンは“ローメンテナンス”がポイント! 手間をかけずに魅せる夏庭を美しく保つための実践ガイド
夏庭の管理はローメンテナンスに
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終わりが見えない猛暑と湿度に悩まされる日本の夏は、今まさに最盛期。水やりや植物のチェックなど必要最低限な数分以上は、庭に出るのもつらい季節が続きます。空調の効いた室内に戻るとホッとするような気候では、ガーデンはますます窓から眺めるだけのものになりますね。
こんな夏の間は、庭を楽しむためには「ローメンテナンス」がキーワード。そうでなければ、もう少し屋外でも過ごしやすい気候になるまで辛抱して待つことになります。
先日、近郊の有名なローズガーデンを訪れました。もちろん、バラの開花期ではありません。そんな時期のバラ園を見て歩くのも楽しいものですが、熱心な植物やガーデンの愛好家でない限り、見所が少ない景色にはがっかりしてしまうでしょうね!
ヨーロッパでは、あちこちにガゼボやベンチなどが備えられた日陰のスペースがあり、腰を下ろして休むことができます。今回訪れたバラ園にもそのように配慮された木陰のベンチはあったのですが、さすがにこの気温では木陰といえども暑すぎて、庭を存分に楽しむことはできませんでした。また、メンテナンスが行き届いていない箇所もあり、バラの間に植えられたヘメロカリスやアイリスなどの花を咲かせる多年草や、グラウンドカバーはほとんど枯れてしまっていました。このように、個人の庭に限らず夏の庭を美しく保つのは難しいものです。
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夏の庭はどこを見ても雑草が育ち、大事に植えた植物たちよりもずっと勢いよく生い茂っています。雑草は養分や水分を横取りしながら、手塩に掛けた植物たちのスペースを侵食していきます。それだけでなく、日本各地を襲う台風もまた、大きな脅威になります。雑草たちや、嵐や強風、豪雨などの厳しい気候条件に対し、バルコニーやベランダー、庭の植物たちを見栄えよく管理するためには、どうしたらよいでしょうか。
今回は、夏の庭をローメンテナンスかつ魅力的に管理するためのアイデアを3つご紹介します。
アイデア1 まずは庭の整理を
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一番初めにやるべきは、ガーデンの不必要なものを整理して、すっきりさせること。庭の片隅に転がった古い空の植木鉢は片付け、古びて汚れたり雨漏りする収納ボックスなどは処分しましょう。ガーデンファニチャーも、コンパクトで強い日差しや悪天候にさらされないよう仕舞えるものが便利です。ガーデンツールも、風通しがよい日陰かつ取り出しやすい場所に収納しましょう。
アイデア2 ガーデンデコレーションを活用
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私にとって、夏のメインカラーはグリーン。どこを見渡しても緑ですし、景色を彩るカラフルな花もその数を減らします。
緑一色の庭をより魅力的にするための強い味方が、オーナメントやオブジェなどのデコレーションです。例えばアイアン製や陶器性などで、ちょっとした装飾がついた鳥用の水飲み場やバードバス。野鳥たちも暑い時期には水も必要ですし、室内からも見える安全な場所に設置すれば、水場があることに気づいて訪れる野鳥たちが、庭や日々の暮らしに楽しいアクセントになってくれます。
もちろん、水替えなどの手入れは欠かせませんし、水場の周りがフンなどで汚れてしまうこともあります。庭にとってはいい肥料かもしれませんね! こうした問題点もあるので、設置場所の選定には注意が必要。問題が発生したら、場所を移動してもよいでしょう。
小鳥たちは周囲の茂みをチェックして、虫や毛虫を捕まえてくれるかもしれません。そうなれば、野菜や花に害を及ぼす害虫を減らすことができますね。
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ドイツで人気のガーデンオーナメント
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ドイツでは、陶器のボール形ガーデンオーナメントがとても人気で、大きな容器に入れたり、花壇に直接置いたりしているシーンをよく見かけます。ほとんどがカラフルな陶器製で、あらゆる好みに対応しています。ガーデンオーナメントを専門とするアーティストも多く、それぞれ独自のタッチでオリジナルな作品を生み出しています。生育環境に置くと、とても美しく見えます。ガーデンに取り入れると、とても映えて美しく見えますよ。周囲の植物との調和のとれた組み合わせになります。
緑青を帯びたアンティークカラーの鉄も人気の素材。モダンな庭には、錆の心配がなく銀色に輝くステンレスなどのメタルがよく似合います。
屋外用のライトもおすすめ
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屋外用のライトもまた、人気の高い装飾品です。ランタン型のライトは、バルコニーや庭のエントランス脇に置かれることが多く、ドイツでは一年中活躍します。冬には本物のキャンドルに火を灯すこともありますが、夏はキャンドルだと暑さで溶けてしまうため、最近では充電式の明かりが入っています。家の前やバルコニー、テラスなど、あまり目立たない場所を明るく照らしてくれます。
高さや形の異なる金属製のトレリスなども素敵な選択肢ですね。
アイデア3 季節限定! ミニガーデンづくり
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夏は広いガーデンの管理は大変なので、私は庭の一部を選んで、そこのメンテナンスに集中するようにしています。この夏に向けて、その場所に私が準備したのが「ミニスクエアガーデン」。高さ約10cm木製のフレームを四辺で組んでレイズドベッドを作り、ネジで固定しました。高さは周囲の環境や育てる植物の最終的なサイズに合わせて調整できます。このように、管理できる範囲だけにスペースを狭めたミニガーデンを庭に設置するのも1つの方法です。
新しくミニガーデンをつくる際は、ダイニングやリビングの前など、毎日眺めて楽しめるよう、室内から見える場所を選ぶのがおすすめ。花壇の下になる土は雑草をしっかり取り除き、新しい植物が根を張りやすいように少し掘り起こしておきます。フレームの中には、バランスの取れた園芸用培養土、または完熟堆肥などの良質な土壌資材を混ぜた土を入れましょう。植え付けに向けてこのように準備しておくと、素晴らしいスタートを切ることができます。
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もし庭に空いたスペースがなく、グラウンドカバーが全体を覆っていたとしても、問題ありません。その場合は、バルコニーボックスやプランターをグラウンドカバーの上に置くだけで、一面緑の植物の空間に色彩を加えることができます。ウッドプランターのほか、素焼きの鉢や、季節の植物を植えた陶器の鉢などを置いてもいいですね。
こうしたミニガーデンをつくるにあたり、花壇を仮設するか、鉢植えなどを置くかという2つの方法の大きな違いは、メンテナンスです。花壇に地植えにする場合、土に根を張って地中からも水を得ることができるので、さほど水やりを必要としません。もっとも、土の質と、周囲に植えている植物により、必要となる水やりの量は異なります。一方、鉢植えなどを置くコンテナガーデンでは、毎日の水やりは必須。日当たりや気候によっては1日2回の水やりが必要となる場合もあります。
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花壇の準備ができたら、次に決めるべきは「どんなミニガーデンにしたいか?」ということ。季節の花、ハーブ、宿根草などのジャンルや、高さ、カラーコンセプトなどを考えてみましょう。カラーテーマを考えておくと、ぴったりの植物を見つけるのに役立ちます。
カラーコンセプトとしては、緑とのコントラストが美しいのは、ビビッドな赤です。夏に咲く赤い花といえば、ペラルゴニウム、ハイビスカス、サルビア、ネメシア、ミリオンベル、ペチュニア、サフィニア、バーベナ、デロスペルマ(耐寒マツバギク)など、数え上げたらきりがありません。
ほかに、季節の花の組み合わせとしてコスモス、サルビア、ジニア、レースフラワーを合わせたり、ハーブガーデンにチャイブ、ニンジン、パースニップ、パセリを植えて、小さな花を咲かせるマリーゴールドを混植したりなど、いろいろなパターンを作ることができますね。
クチナシに何が?
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先日、3輪の花をつけ、甘い香りを漂わせるクチナシの鉢を購入しました。コンディションもよく、つぼみもいくつか上がっていたのですが、残念ながらそれらのつぼみは咲くことはなく、結局、私が目にすることができたのはこの3輪の花だけ。購入後は、毎日のようにつぼみが1つずつ落ちていってしまいました。
そこで、鉢の場所を変えることに。ダイニングルームのウッドテラスの前という、朝・昼・晩と目に入る絶好の場所を見つけました。鉢を移動したその日から、私と夫は毎日食事の時間にクチナシをチェックするようになりました。
それでも、なぜかうまく育たなかったのです!
あるとき、鉢の周囲のウッドテラスに、丸くて小さい黒いものが広がっているのに気づきました。「これはアオムシがいるに違いない!」と2人がかりで小さな枝を1つひとつ確認してみたところ、大きさの異なる5匹の青虫を見つけました。見つけるのは本当に大変でしたが、敵の正体は判明。
これで一安心、と思っていたのですが、なぜかまだクチナシは回復しません。毎日チェックしていると、またしても小さなアオムシがクチナシの新芽をムシャムシャと食べているのを見つけました。
結局、夜中にクチナシを食べつくすこの食いしん坊のアオムシたちを退治するのには、2週間以上かかりました。
そして現在、ついにクチナシは回復し始め、注意深く見ると、新しい芽も確認できました。今年のうちに、また花が見られることを願っています。
着実に、かつ注意深く観察することが、ガーデニングを成功させるための秘訣です。少なくとも、私たちの愛する植物に害を及ぼす害虫や病気について、より深く理解するのに役立ちます。