買って後悔…を防いでガーデンショッピングを最高に楽しむ! 元気な植物を見つける秘訣

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich
植物を「買って後悔」した経験はありませんか? ガーデニングの楽しみである植物選びも、時として衝動買いや、購入した苗のコンディションが悪くて残念な結果に終わることも。この記事では、ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさん が、自身の長年の経験に基づき、失敗を避けるための秘訣を語ります。元気な「いい苗」を確実に見つけるための具体的な選び方のポイントと、購入する際に知っておきたい注意点は?この記事を読んで、後悔しない植物選びを楽しみましょう。
目次
植物を買う楽しみ

新しく植物の苗や花を購入するのは、ガーデナーにとって心躍る時間。特にポイントを押さえると、とても楽しいイベントになります。
今回は、植物ショッピングを楽しむための私なりの秘訣をご紹介したいと思います。いい気分で購入した花には、一層愛着を持てるようになるはずです!

さて、ガーデナーや植物愛好家の多くが近隣や御用達のガーデンセンターなどに足を運んで、苗を選んでいることでしょう。特に具体的なお目当てがあるわけではなく、日々の食料品のお買い物や、工具・日用品購入のついでに、植物を探しに行くという人も多いのではないでしょうか。また、私の母国ドイツでは、スーパーや食料品店、小売店、雑貨店などでもいろいろな花が並んでいます。こうしたお店では、どちらかといえば無機質で地味な場所に植物を置くことで、明るい色彩とナチュラル感を演出するという目的もあります。
一方のガーデンセンターでは、バリエーション豊かな植物たちが素敵に陳列され、1つの種類をとってもいくつかのカラーから選ぶことができます。とても魅惑的で、思わず連れ帰りたくなってしまいますね。私もよく、衝動買いをしてしまいます。それがまた楽しいんですよね。
このように、つい買い物カゴに1つ2つ苗を入れてしまったというときは、よきパートナーとなる植物を見つけるのがなかなか難しいものです。色やサイズ、形などを比較しにくいからかもしれません。そして家に帰ってみると、衝動買いを後悔するのもまたよくあること。苗のコンディションが悪く、植物が育ちすぎて根詰まりしていたり、突然枯れたり、うどんこ病を発症したり。鉢植えのものでも1~2週間ほどしか持たないこともざらにあります。

こうした問題から、私の母はスーパーやガーデンセンターでは植物を購入することはありませんでした。購入する際に、母が必ず訪ねるのは自社でナーセリーを持つお気に入りのフラワーショップ。スーパーなどより苗は割高ですが、実際に育ててみると長く元気に育ち、いつもいい買い物をしたと納得させられたものです。また、ショップのオーナーとの会話や、経験豊かなフローリストやガーデナーからのアドバイスを得られたのも、素敵な思い出となっています。
コンディションのよくない苗に注意

最近、地元で購入する苗が、弱々しく、あまり元気に育っていないものが増えているのが気にかかっています。先日、近郊の大きなホーム&ガーデンセンターを訪れたときもショックを受けました。
そこはホームセンターにスーパーが付属した大型店舗で、なんでも揃うお気に入りのお店。屋外のガーデニング向け部分の品ぞろえもよく、いつもきれいにディスプレイされています。
しかし、先日ゴールデンウィーク後に訪れたところ、ズラリと並んだ野菜苗や花苗の多くのコンディションが、あまりによくなかったのです。選別して回収しなければならないような状態のものも、まだラックに置かれたままでした。
小さなポット内で肥料や栄養が足りず、葉が黄色く変色しているキュウリ。つるは長く伸びて隣の植物に巻き付いています。トマトも種類は豊富ですが、管理が行き届いておらず、大きく茂りすぎてすでに定植には不向きな大きさに。植物が互いに絡んでいるので、苗を取るのも大変でした。どちらを向いてもこのような状態で、私の目には、これらのうち1の/3ほどはもう商品として扱うべきではないように映りました。とても残念な出来事でした。
植物購入を楽しむポイント

では、いい植物を安心して手に入れるためにはどうしたらいいのでしょうか? 私なりの植物ショッピングの秘訣は次のとおりです。
- お気に入り店舗を作る
- 平日にゆっくり買い物をする
- 友人と一緒に行く
- 必要なものを事前によく検討する
まずは、お気に入りのお店やナーセリーを作ることがポイント。
お気に入りのお店を見つけたら、時間をたっぷりとってそのお店に行きましょう。可能であれば、平日午前中に行くのがおすすめです。園芸店には木曜日や金曜日に新しく仕入れた苗が並ぶことが多く、種類も揃ったコンディションのよい苗が見られます。もちろん、併設のナーセリーなどで自社栽培しているお店があればベストですね。
ショッピングの際には、園芸好きの友人と一緒に訪れるのもおすすめ。気になる植物について意見交換したり、会話を楽しむことができます。
購入する前には、ガーデンデザインがぶれないよう、その年のガーデンのざっくりしたコンセプトや目標をよく検討しましょう。例えばカラーコンセプトや絶対にほしいハーブや植物、樹木の種類などなど…。必要なものを洗い出しておくことも大切。苗、種子、土、肥料、有機資材、マルチング材、水差し、新しい園芸ハサミ、トレリスなど、ほかに必要なものは何でしょうか?
運搬手段の準備
もう1つ、植物を購入した後自宅に連れて帰るための運搬手段を準備しておくことも大切です。
自分の車を使う場合は、トランクを空けておくことがポイント。大きなトランクがある友人の車に手伝ってもらうのもいいですね。苗や土などを車に積み込む際は、汚れないようにビニールシートかガーデンシートを敷いておきましょう。我が家の車は、そのためにいつも古いビーチタオルが敷いてあります。お店でビニールシートを用意してくれるところも多いですが、ゴミが増えますしあまり好きではないのです。
車がない場合は、レンタカーを借りるか、別の方法で配達してもらう必要があります。
私のお気に入りナーセリー

私は毎年、親しいガーデニング仲間と約束をして、一緒にガーデンショッピングツアーをしています。スタートはいつも、湘南地域の我が家から車で30分ほどの郊外にある、一番のお気に入りのナーセリーから。年に一度、この時にしか行かないので、毎年お店を見つけるのが大変です。道を通り過ぎ、危うく田んぼに入ってしまいそうになったこともあります。
そんな苦労をしてでも行きたくなるそのお店は、造園事務所と新鮮な野菜コーナー、品揃え豊富なハーブ類、そしてヨーロッパから輸入されたオーガニック製品を備えた、老舗のナーセリーです。片側には畑や農場が広がり、反対側は小さな田舎の村という立地にあり、大きな温室で植物が栽培されている場所で、エンドユーザー向けというよりは卸売業者向け。ありがたいことに個人客もOKなので、毎年お世話になっています。ナーセリーへと続く道は舗装もほとんどない土なので、ここを訪れるときはゴム長靴など靴を選んでいくのがちょっとしたコツです。
さてこのお店は、ショッピングカートもとてもユニーク。ベビーカーをリサイクルしたようなカートは、ほかでは私は見たことがありません。オリジナリティあふれるカートは見ているだけで思わず笑顔になり、土の通路で押して進めば、ちょっとしたアドベンチャー気分です。

多くの植物は屋外エリアに陳列され、温室にはハーブ、一年草、そしてバリエーション豊富な夏野菜の苗が並びます。
接客も素晴らしく、とても親切で経験豊富なガーデナーであるオーナーと、30代ほどの息子さんは、いつも忙しく働いている中でも、質問にも丁寧に答えてくれます。買い物に行くたびに、オーナーはいつも親切な言葉をかけてくれますし、友人が特定の植物について質問してもすぐに答えてくれました。経験豊富で、その知識を快く分けてくれるオーナーのお店で植物を買うのは、本当に気持ちがいいものです。
植物が並ぶ温室にはポップミュージックが流れていて、素敵な雰囲気。この心地よい空気と、楽しいショッピングカート、そして気持ちのよい青空の下、雨の翌日の開店直後だったので、ほとんど貸し切り状態だったことを幸いに、思わず友人と少し踊り出してしまいました。
提供されている植物の質はもちろん、お店の環境全体が素晴らしく、買い物をしながら爽やかな音楽の下ですくすくと育つ植物たちを眺める楽しい時間が過ごせます。
このように苗を自社で栽培しているナーセリーでは、この場所で育てられた植物たちは、育った場所からそのまま直接購入して庭に植えることが可能。苗が店頭に並ぶまで待たされたり、暑い中トラックで輸送したりといった、コンディションが悪化する可能性のある生産者から卸売市場、販売店までの流通過程を削減することができます。品質や状態は素晴らしいですし、リーズナブルな価格も魅力で、元気で健康な植物を育てるためにはとても効率的です。
園芸店の取り組みのトレンド

園芸センターやナーセリーが近年ますます重視していることは、「心地よい時間を過ごしてもらい、滞在時間を伸ばす」こと。そのためにはさまざまな方法がありますが、ドイツでは「コンサルティングブース」を設ける方法がトレンドです。これは、園芸に精通したスタッフがアドバイスを提供する専用のブースを設け、呼び出しベルも設置して顧客対応すること。最近の園芸センターのスタッフは、販売商品についてあまり知識がないことが多く、質問に対応できる店長や専門スタッフ、アドバイスなどのお客様対応の時間がないほど忙しいことがほとんど。こうして専門スタッフを用意することで、顧客満足度アップにつなげているのです。
植物購入の失敗談
先日、横浜にある人気のガーデンセンターで、とても残念な経験をしました。学校での園芸プロジェクトのために友人と植物を購入することになり、予算にある程度余裕があって一カ所で揃えることを優先したため、割高ですが品ぞろえの豊富なこちらのガーデンセンターに行くことにしました。
しかしながら、販売員は消極的で、質問をすると何か悪いことをしているような気がするほど。芝生栽培用の土と、芝生のマットを探していたのですが、それについて尋ねたところ、「芝生の購入には予約が必要です」とつっけんどんに対応されてしまいました。もちろん予約が必要なのであればそうしますが、もう少し丁寧に応対してもらえたら嬉しかったです。
その後ようやく親切なスタッフが現れ、必要な数量を尋ねて何とか用意してくれました。店員の態度はひっかかりましたが、その一方で、すべてのリクエストに応えるのがどれほど難しいかは分かります。繁忙期には忙しすぎて、すべてを完璧にこなすのはとても難しいこと。タイミングが悪かったのかもしれません。
この結果、今では芝生を見る度にこの時の買い物体験が頭に浮かび、気分が下がってしまいます。もし次があれば、対応に納得がいかないお店からは購入しないでしょう。
優しい気持ちを込めて育てられた元気な植物を購入したいものですね。
残念ながら、今回のお店は私と友人にとって低評価となってしまいました。植物の種類は豊富ですが、今後はもっと遠くても居心地のよい、フランクな場所で植物を購入したいと思います。
Credit
話 / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -

エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。
Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood
まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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