ビギナーさんが初めて育てるのに向いている野菜は、やはりミニトマトでしょう! サラダに、お弁当の彩りにと、お料理で大活躍するのもいいですね。ここでは、鉢植えから始めるミニトマトの栽培法について、詳しくご紹介していきます。完熟の味を楽しめるのは、家庭栽培ならではの贅沢。ぜひミニトマトを育てて、健やかな野菜生活を楽しんでください!

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トマトとミニトマトについて

ミニトマト

トマトは、ナス科ナス属の果菜類で、原産地は南米アンデスの高地。3〜4月にタネを播き、5月〜6月上旬頃に苗を植え付けて、6月下旬〜9月中旬に収穫、その後は枯死する一年草です。トマトの種まきには加温設備が必要なので、家庭菜園でトマトの栽培を楽しむ場合は、4月下旬頃から出回り始める苗を購入して、植え付けから始めるのが一般的。草丈は、放任すれば人の背丈を越えてぐんぐん伸びます。

トマトは、サイズによって大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトに分類されています。今回スポットを当てるミニトマトは、果実の重みが20〜30gくらいで、栽培しやすく収穫量が多いのが特徴です。

トマトは、南米アンデス地方で古代から食用されていましたが、ヨーロッパを経て日本に伝えられたのは、江戸時代。最初は真っ赤な色や青臭い味が好まれず、「赤茄子」と呼ばれて観賞用として栽培されていたようです。一般に食べられるようになったのは明治後期以降で、日本人の嗜好に合った品種が開発された昭和以降から急速に普及しました。

今日では、人気の夏野菜として需要が高いことから品種改良が進み、糖度の高いトマトや料理に向くトマト、黄色やオレンジのトマトなど、さまざまな種類が出回っています。

トマトとミニトマトに適した環境

トマト

南米のペルーやエクアドル近辺が原産地のトマトは、標高3,000m級の高原地帯がふるさと。比較的雨の少ない地域で、日当たりがよく、昼夜の温度差が大きい環境を好みます。したがって、日本の高温多湿の気候、それも夜に気温が下がらず熱帯夜が続く夏が、トマトにとっては過酷な環境なんです!

そのせいか「トマトの栽培は難しい」と、家庭菜園の世界ではささやかれがち。そこで、ビギナーさんにおすすめなのが、ミニトマトにターゲットを絞ることです。ミニトマトなら収穫量も豊富なうえに、摘芯や摘果、雨除けなどの栽培テクニックにあまりこだわらず、放任してもよく実ってくれますよ!

ミニトマトの育て方

ここからは、ビギナーさんに向けて「ミニトマトの鉢栽培」にターゲットを絞った、育て方の実践編です。準備するものから、鉢への植え付け、日頃の管理など、ビギナーさんでもすぐに取りかかれるように、詳しく解説していきます。

準備するもの

ミニトマトの育て方

【大鉢】

10号鉢(直径約30㎝)に1株を目安に、大型の鉢を用意します。ミニトマト自体は小さく、購入時の苗もまだ小さいので、ビギナーの方なら「小さい鉢でもいいかな」とイメージしがちでしょう。しかし、すぐにミニトマトはぐんぐん茎葉を伸ばして、人の背丈ほどにまで成長します。ベランダやテラスなどでの鉢栽培では、たっぷり土が入る大鉢を用意するのが成功の秘訣です。

【鉢底ネットと鉢底石】

鉢底ネットは、鉢穴から土が流れ出すのを防ぐとともに、病害虫の侵入も防ぎます。

鉢底石は、水はけをよくするために鉢底に敷きます。

【培養土】

市販の果菜類用の培養土を使うと便利です。トマトに向いている培養土か、必ずパッケージの記載を確認してから購入しましょう。なぜなら野菜によっては、土壌酸度の適正値が異なるためです。トマトに適した配合の土を選んでください。

【ミニトマトの苗】

ヒョロヒョロと間延びしておらず、節間がしまってがっちりとした、勢いのある苗を選びましょう。値段は高めになりますが、接木苗(野生の台木に品種を接木している苗)を選ぶと、病気に強いので、より管理が楽になります。

【支柱とひも】

ミニトマトは人の背丈ほどにまで成長し、たくさんの実をつけるので、倒伏を防ぐために支柱とひもは必須アイテムです。長さ約2mの支柱を3本用意し、誘引するためのひもも準備しておきましょう。ひもの代わりに園芸用のビニタイを購入しておくと、より使いやすくて便利です。

植え付け

ミニトマトの植え付け
  1. 大鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
  2. 市販の果菜類用の培養土を入れます。鉢縁から2〜3cm下くらいまでを目安に、水やりの際に水があふれ出さないよう、ウォータースペースを取っておきましょう。
  3. 鉢の中央に、苗の大きさに合わせた植え穴をあけます。ポットからトマト苗を取り出して、根鉢を崩さないように植え付けましょう。根元に土を寄せて、ぐらつかないようにしっかり押さえておきます。
  4. 鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをします。
  5. 3本の支柱を鉢縁に立て、奥まで深く差し込みます。差し込みが浅いと倒れやすくなるので注意。3本の支柱の上部をまとめ、ひもでとめて固定します。
  6. トマトの苗の主枝を支柱に誘引し、ひも、またはビニタイでとめて固定します。

日々の手入れ

ミニトマト栽培

【置き場所】

日当たりがよく、風通しのよい場所で育成します。ベランダやテラスなど、コンクリート状のフロアで管理する場合は、床からの熱を遮断するために、脚をかませておくか、ウッドパネルなどを敷いて対策しましょう。実がつき始めたら、雨が当たらない軒先やベランダなどへ移動するとベター。

【水やり】

表土が乾いたら、株全体にかけずに株元の土を狙って鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。一番花が果実をつける頃までは、水やりを控えめに管理しましょう。梅雨明け後、真夏の高温期は乾燥しやすいので、朝夕2回の水やりを行いましょう。真昼に与えると、すぐに太陽熱によって温度が上がり、お湯のように熱くなってトマトが弱るので、涼しい時間帯に与えることがポイントです。

【誘引】

茎葉が順調に伸びてきたら、随時支柱に茎を誘引して、ひも、またはビニタイでとめて、倒伏を防ぎます。ひもをかける位置は、花の下ではなく、葉の下を目安に。主枝が折れないように、無理せずに螺旋状にとめていきます。

【肥料】

一番果が膨らみ始めたら、大さじ3杯くらいの化成肥料(N-P-K=8-8-8)を表土にまいて、土になじませます。以降は2〜3週間に1度を目安に、追肥しましょう。あまり肥料を多く与えすぎると、茎葉ばかりが茂って実がつかない「つるボケ」の状態になってしまいます。株の状態を見て、与えすぎには注意しましょう。

【仕立て方】

脇芽が葉のつけ根から出てきたら、茂りすぎて日当たりが悪くなるため摘み取ります。脇芽が出たらすべて取り、主枝の1本のみを残す、1本仕立てにしましょう。ミニトマトは樹勢が強いため、主枝と第1果房のすぐ下の脇芽を伸ばして、2本仕立てにしてもかまいません。草丈が支柱の高さを越えて、持て余すようようになったら、主枝の先端を切り取って、それ以上伸びないようにします。

【一番花を実らせる】

トマトは、一番花に確実に実をつけさせることがポイント。一番花に実がつかないと、茎葉ばかりが茂る「つるボケ」の状態になってしまうからです。しかし、一番花が咲く頃は気温も低く、天候が悪いと虫が活動しなくて受粉できないこともあります。そこで、「トマトトーン」などのホルモン剤を吹きつけて、確実に実らせるのがおすすめ。すると、樹勢が安定して第2花房以降も安定して結実します。

ちなみに大玉トマトの場合は、1花房に6個以上の実がついた時は、4〜5個のみ残して他は摘果し、一つひとつの果実を充実させる必要がありますが、ミニトマトは摘果の必要はありません。

【害虫の予防】

トマトの生育期は、病害虫が発生しやすい時期です。早期に発見して捕殺しましょう。適応の薬剤を散布して防除すると万全ですが、「せっかくの家庭栽培だから薬剤を使いたくない」という場合には、木酢液やニームなど、自然由来の害虫除けけを利用するのも一案です。

【雨除け】

トマトの果実は、雨に当たると実が割れてしまったり、病気にかかりやすくなったりします。果実がつき始めたら、軒下やベランダなど、日当たりがよく雨の当たらない場所へ移動しましょう。そのような場所がない場合は、支柱とビニールがセットになった被覆資材のキットを設置すると便利です。

【収穫】

実が赤くなって熟した順に、朝のうちに収穫していきます。ミニトマトは約3カ月間、収穫を楽しめます。

害虫の対処方法

ミニトマトの害虫

トマトの大敵は、オオタバコガやタバコガ。青い実のヘタ近くに4〜5mmの丸い穴があき、周りに糞がついていたら、オオタバコガやタバコガの幼虫がいることを疑いましょう。茎の中に入って食害し、茎の先端のほうが枯れ込んでくることもあります。幼虫は緑色をしたイモムシで、大きくなると4〜5cmにもなって、旺盛に活動するので注意。異変があった時は株周りをじっくり観察し、見つけ次第捕殺しましょう。被害にあった果実は摘み取って処分します。薬剤で駆除しようとしても、果実や茎の内部に入り込んでいるとあまり効果がないので、6月頃のまだ小さいうちに発見して対処することが大切です。

ミニトマト栽培の注意点

トマトの中でも比較的育てやすいミニトマトは、ぜひビギナーさんにチャレンジしていただきたい野菜の一つです。しかし、じつのところビギナーさんにハマってほしくない「ミニトマト栽培の罠」があります。これからご紹介する栽培の注意点について、知っているのと知らないのとでは大違い。健やかに育てて、収穫の喜びを味わいましょう。

プランターの深さが足りない

ミニトマト栽培

4月下旬頃から花苗店やホームセンターに出回り始めるミニトマトの苗は、まだ大変幼い状態です。トマトが生育している姿を見たことがないビギナーさんは「これより1〜2回り大きな鉢を準備すればいいのかな」とイメージしがちでしょう。でも、それが失敗の原因に。ミニトマトであっても、草丈は人の背丈以上になるんです。その地上部を支えるためには、十分に根が張れる土の量が必要になります。少なくとも深さ30cmはある10号以上の鉢や、大型プランターを準備して植え付けましょう。背丈が大きくなるのはもちろん、茎葉を大きく広げて株幅も40〜60cmになるので、ベランダやテラスなどで育てる場合は、置き場所を確保できるかも検討しておいたほうがよさそうです。とにかく、実際に育て始めてから「こんなに大きくなるの!?」とビックリしないように、サイズ感をイメージしておいてくださいね。

水を与えすぎている

ミニトマトの水やり

トマトの原産地は、南米アンデス地方の高原地帯です。年間を通して日照量が多く、比較的雨の少ない気候の下で生育してきたトマトは、乾燥した気候には大変強い性質をもっています。したがって、トマトの栽培では、適切な水の管理がポイントに。水を与えすぎると、根腐れを起こしたり、甘みが落ちたりするほか、実が水分を含みすぎて膨張し、割れてしまう原因にもなってしまいます。

トマトの栽培に限らずですが、毎日の習慣として水やりをするのはNGです。動物のように毎日決まった時間に食事を欲しがるのとは違い、植物は土の状態に合わせて水やりをする必要があります。晴れた日もあれば、雨の続く日もあり、毎日土が乾くわけではないのです。常にジメジメした状態が続くと健康に育たなくなってしまうので、土の状態を見て、乾いていたら、鉢底から流れ出すまでたっぷりと与えることがポイント。また、トマトの茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっている証拠です。ただちに水やりをしましょう。植物が発するメッセージが分かるようになると、愛情もより増していきますよ!

脇芽かきをしていない

トマトの脇芽

トマトを栽培していると、主枝とは別に葉の茎の根元から、脇芽が出てきます。この脇芽が出たら、小さいうちに摘み取っておくことが大切なポイントです。脇芽を放置しておくと、茎葉の量が増えて日当たりや風通しが悪くなるうえに、茎葉が多くなるだけ養分が分散されて、実つきが悪くなってしまうのです。脇芽は収穫まで頻繁につくので、こまめにチェックしましょう。

脇芽を見つけたら、晴れた日の午前中に手で摘み取ります。これは、ウイルス病が入らないように傷口を早く乾燥させるためで、同じくウイルスの伝染を防ぐためにも、剪定バサミよりは手で摘み取るのがおすすめです。

大玉トマトにも挑戦してみよう!

トマト栽培

この記事では、ミニトマトの栽培について、さまざまな角度から解説してきました。ビギナーさんでも、きっとたくさんのミニトマトを収穫できるはずです。この成功体験は、次のステップに進むきっかけとなることでしょう。栽培難度は上がりますが、次は中玉トマトや大玉トマトなど、食べ応えのあるトマトの栽培にきっとチャレンジしたくなるはず。いずれも基本的な栽培方法は同じですから、さまざまなトマトを育てて、味比べを楽しんではいかがでしょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1) ChiccoDodiFC 2) maruco 3) ChiccoDodiFC 4) Toru Kimura 5) I_life 6) ChiccoDodiFC 7) Ruth Swan 8) Agenturfotografin 9) vaivirga 10) FotoHelin 11) yoshi0511 /Shutterstock.com

参考文献:
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう』著者/藤田智 発行/日本放送出版協会 2007年5月25日発行
『わが家の片隅でおいしい野菜をつくる』監修/藤田智 発行/日本放送出版協会 2008年2月10日第5刷発行
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行

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