DIYで素敵な庭デザインを叶えた香川県・秋友邸
花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。SNSで全国のガーデニング仲間とつながりながら、自身も千葉の自宅でDIYと庭づくりを楽しむ橋本景子さんが、お気に入りの庭をご案内します。今回は、香川県でフェンスや収納庫など数々のオリジナルのエクステリアを手づくりして素敵な屋外空間を楽しんでいる秋友真弓さんの庭をご紹介します。
目次
庭でDIYを始めたきっかけ
高松市の静かな住宅街を走り、緩やかな坂を上っていくと、その途中に秋友真弓さんのご自宅があります。ここは13年前に90坪ほどの敷地を更地にして新築し、それを機に施工業者にカーポートやアプローチを作ってもらって、ガーデニングをしてきました。しかし、3年前に自分でパーゴラを作ってからは、奥さまがデザインし、ご主人がお休みの日を利用していろいろなものを作るという、DIYの共同作業が続いています。
もとからDIYが好きだったわけではないという秋友さんのご主人ですが、「こんなのできる?」という奥さまのふわっとした願いを叶えるために、どんどん技術が進歩。今では庭だけでなく、家の周りをぐるりと囲むようにDIYの作品が並べられていて、そのプロ並みの出来栄えには驚かされました。
ここからは、Mayさん(奥さま)に書いていただいた見取り図を参考にしながら、DIYの一つひとつを詳しくご紹介したいと思います。
家を囲む秋友邸のDIY作品
秋友邸は、図の手前、玄関側が南東向きで建物をぐるりと囲むように敷地を無駄なく使ってガーデニングを楽しんでいます。では、図内A〜Jを巡りながら順にご紹介しましょう。
エリアA アイアンパネルでバラを誘引
A /Mayさんの好きなブルーにペイントした4枚のアイアンパネルを壁面に固定して、つるバラの‘ピエール・ドゥ・ロンサール’を誘引しました。グリーンとピンクとブルーという色の組み合わせのバランスが見事なのは、控えめな壁面の色と、主張しすぎないサイズのアイアンを使った効果でしょうか?
芝生のガーデンの入り口付近にはサークル状にレンガを敷き、大きな鉢などの置き場として利用しています。
エリアB ガーデニング収納庫
B /立水栓の脇の壁面に作られた、ガーデニング用の収納庫。デッドスペースになりがちなコーナーを利用して背の高いキャビネットを作り、ハサミやほうきを入れています。見せてよし、使ってよしの好例のDIYです。
エリアC 敷地の角のパーゴラ
C /週末を利用し、数カ月を費やして作成されたコーナーパーゴラです。床面の乱張りの石のテラスももちろんDIY。パーゴラは、木製品の本格的な手法であるホゾを組んで作ったため、手間暇かかりましたが、冬場にはバラを外して、隙間をコーキングしたりペンキを塗り直したりして、長く使えるようにとメンテナンスも完璧です。
パーゴラの前にはレンガを埋め込んだアプローチと円形のレンガ積みのレイズドベッドがあり、オリーブやギボウシなどが植えられています。
エリアD 3連アーチが奥へ誘う小道
D /パーゴラの前に3連のアーチを連ねて、‘ダム・ドゥ・シュノンソー’、‘フランボアーズ’、‘バニーユ’など、可愛らしくて香りのあるバラで小道を演出しています。
エリアE ラティスでさりげなく目隠しした回廊
E /家屋の南西側 隣家との境にはラティスを交互に立てて回廊風にし、洗濯物を干す場所が見えないようにと工夫したDIYです。左から‘アンジェラ’、右奥のバラは‘群星’。さらにもう少し大きくなるランブラー系を植えて、バラで屋根を作るのが将来の夢です。
反対側から見てもこの通り、視界をさえぎるための工夫が見事です。最初は隙間のないパネルで仕切るつもりでしたが、風が通る場所なので、ドアのようにすると風の抵抗が大きすぎるのではないかというご主人の意見で、隙間のあるオリジナルのラティスを作って並べました。
エリアF 狭い場所にもバラを咲かせて隣家との目隠しに
F /通路が狭くなっている箇所では、家屋側の雨樋に固定した3本の細いパイプを扇状に広げて、左から‘ジャクリーヌ・デュプレ’、右からは‘ブラッシュ・ノアゼット’を誘引、ここでも隣家からの視線をさえぎる工夫をしています。アーチパイプは村田晴夫さんのオリジナルの製品で、スリムで場所を取らずにバラを誘引できるツールとしてとても気に入っています。
エリアG 物置小屋をおしゃれに隠す扉
G /「なんて可愛いドア!」とうっとり眺めていたのに、説明を受けると、なんとイナバの物置を隠すための工夫だったとは(笑)。左からモッコウバラ、右からは‘サマースノー’が物置を覆います。ここでも曲線を生かしたドアがオリジナル性を引き立てています。白とグリーンとブルーを基調とした爽やかなコーナーは、オーナーのMayさんの人柄を象徴するようです。
エリアH 物置を隠す花咲くラティス
H /物置のサイドの壁を隠すためにラティスを設け、‘サマースノー’を誘引しています。足元には鉢を隠すためのボードが張られています。イナバの物置を隠すためのDIYの工夫は、じつはここが最初の一歩でした。
エリアI ガーデンキッチン風の室外機カバー
I /ガラス瓶や花瓶などの可愛い雑貨が棚に並んでいますが、じつはこれはガーデンキッチン風にデザインされた室外機カバーです。2台分の室外機を隠すためのDIYは大掛かりなものになりました。
横から見ると室外機がよく見えますが、排出される空気をさえぎらないようにしつつ、室外機を隠す工夫は、なかなかテクニックがいるもの。でも、この幅広の板を横に使うというアイデアは、真似させていただきたいくらいです。
室外機カバーの隣には、レンガを積んだガーデンシンクがあります。扉もちゃんと開け閉めできて収納としても使えるようになっています。こんなシンクがあったら、ガーデニングが楽しくなること間違いなしですね。
エリアJ ライトも灯る駐車場のラティス
J /広い駐車場の一面も、お隣との境に視線をさえぎるためのラティスを設置。扉風のデザインで、ライトも点灯するように作られています。
あちこちで使われているアイアンのラティスは、もともと庭用にデザインされたもの。他の場所でパネルとして使う際には、このアイアンのカーブをCADでおこして型紙を作り、薄い板に写してから材木に乗せてジグソーでカットするという細かい作業を経ています。
夕方になると、‘ブルー・マジェンタ’が絡み咲くランプが点灯します。広いガレージの一角に置かれたテーブルでは、高松のガーデナーの皆さんとのガーデントークが盛り上がりました。
訪れた日は、ちょうどオープンガーデン当日だったので、テーブルに置かれたバラには、一つひとつ名前が添えられていました。庭を訪ねて来た方に見ていただくためにと用意された美しい飾りです。
秋友さんのこれからの庭づくり
「Mayさん、これからは庭をどんなふうにしていくつもりですか?」という私の問いに
「庭の形は大体できたので、これからは植栽を充実させたいです。庭で咲いた花でアレンジやドライフラワー、リース作りも楽しみたいです。でもフルタイムで働いていて、特に春の開花シーズンは庭仕事との両立が大変なので」と答えたMayさん。
「DIYとしては、まだ他にもなにか予定はありますか?」という問いには、「屋根のついた洗濯物干しのコーナーに、ガーデンキャビネットを作ってもらって、テーブルと椅子を置いて、お茶ができるコーナーにしたいかな?」と。
お茶ができるコーナーができたら、またぜひ訪問したい、DIY好きにはたまらないガーデンでした。
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Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.1万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどう作ろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
見取り図/秋友真弓
秋友さんのインスタグラム ma_5702
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