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【重宝する植物】丈夫で日陰でもよく育つハラン! 特徴や育て方を一挙公開

【重宝する植物】丈夫で日陰でもよく育つハラン! 特徴や育て方を一挙公開

mizy/Shutterstock.com

「和風にも洋風にもマッチする植物を探しているけど、なかなかピンとこない」という方も多いのではないでしょうか。そんな時は、緑が美しく耐陰性があるハランを選ぶのをおすすめします。日本からヨーロッパに伝わって人気を博した植物で、どんなスタイルの庭にも調和するのが魅力。この記事では、ハランの基本情報や特徴、詳しい育て方について、ご紹介していきます。

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丈夫で品種も豊富! ハランについて

ハラン
Alex maschtakov/Shutterstock.com

ハランは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)ハラン属の多年草です。以前はユリ科に分類されていましたが、近年キジカクシ科に変更されました。また漢字では「葉蘭」と書くので、ランと関連するようにも思えますが、ランの仲間ではありません。

ハラン

ハランの原産地は日本、主に中国・九州地方で、昔から日本の野山に自生してきた植物なので、環境に馴染みやすく、放任しても旺盛に育つ特性があります。暑さには強いほうですが、主に中国・九州地方が原産地であることから分かるように、寒さにはやや弱い傾向。寒冷地では寒さ対策が必要です。また、半日陰の環境でもよく育つので、北側の庭や日が差し込みにくい樹木の足元などにも植栽でき、シェードガーデンで活躍する一面もあります。

ハラン
地際に咲くハランの花。

ハランの開花期は、3月下旬〜5月上旬。地際に花径4cmほどの紫色の花が咲きますが、葉に隠れてしまうのでほとんど目立ちません。そのため、ハランは主に葉姿の美しさを楽しむ植物とされています。草丈は20〜100cmで、幅広の長い葉を地際から放射状に広げます。常緑性で、一年中みずみずしい葉を保つので、冬の庭も寂しくなることがありません。

ハランは古典園芸の時代から愛されてきた植物で、古くから品種改良が行われてきたため、品種が豊富なのも魅力です。葉脈の方向にストライプ状に白い斑が入るものや、葉の先端のみ白い斑が入るもの、蛍が飛んでいるかのような幻想的な斑が入るものなどバラエティーに富み、選ぶ楽しみがあります。個性的なカラーリーフや、観葉植物として利用可能です。

ハランは昔から日本で親しまれてきた

ハラン
yuri-ss/Shutterstock.com

お弁当に、おかず同士がくっつかないようにする仕切りとして入っているグリーンのシート「バラン」は、もともとはハランに由来するものです。ハランには殺菌作用があるため、昔は実際にハランの葉をお弁当などに使用していました。現在も料亭や寿司店ではハランの葉を細工し、盛り付けの飾りとして登場しています。江戸時代から流行した古典園芸の世界では、ハランの斑入り種が多数作出され、葉を愛でる植物として親しまれてきた歴史を持っています。ちなみに、ハランの花言葉は、「平癒」「強い心」「強い意志」などです。

置き場所や水やりはどうする? ハランの育て方

ここまで、ハランの基本情報や特徴、名前の由来、花言葉などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、気をつけたい病害虫、増やし方など、育て方について詳しく解説します。

ハランは日差しの強い場所が苦手

ハラン
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ハランは、強い日差しに当たると葉焼けしやすくなるので、午前のみ日が差す東側か、一日中チラチラと木漏れ日が差すような半日陰の場所を選んで栽培しましょう。ただし、あまりに暗い場所では、間のびした草姿になるので注意。観葉植物として室内で育てるなら、明るい窓辺などで管理します。

ハランは本来湿り気のある土壌を好みますが、乾燥に耐える性質もあります。土壌を選ばずよく育ちますが、水はけ・水もちのよい有機質に富んだ土づくりをしておきましょう。ハランは暑さには強いのですが、寒さをやや苦手とする性質。暖地なら戸外で越冬できますが、凍結の心配がある場合はバークチップや敷きワラなどでマルチングをし、寒さ対策をしておきましょう。寒冷地では鉢に植え替えて凍結しない場所へ移動して管理するのが無難です。

土は水はけのよいものを

土
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【地植え】

植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んでよく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

植え付け・植え替えのポイント

ガーデニング
AlenKadr/Shutterstock.com

ハランの植え付け・植え替えの適期は、3月下旬〜6月中旬か、9月下旬〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後に、たっぷり水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、40〜60cmの間隔を取ってください。

庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。ただし、植え付けから数年経って株が込み合ってきたら、掘り上げて株分けをしてください。改めて植え直し、株の若返りはかりましょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。ハランの苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。

水やりはたっぷり! 季節によってメリハリを

水やり
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水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、ハランは湿り気のある土壌を好むので、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬は土が乾燥しづらくなるので、与える頻度を控えめにしつつ、適宜水やりを続けてください。

枯れた葉・傷んだ葉を手入れしよう

剪定
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

ハランの葉は、茶色く枯れこんだり、傷んだりしても自然に落ちることはないので、見栄えのよさを保つためにも、随時取り除くようにしましょう。枯れた葉がいつまでも残っていると、病害虫が発生しやすくなるので、株周りはいつも清潔に保つようにしてください。

また、葉がたくさんついて込み合っているようなら、適宜間引くように切り取って、風通しをよくします。あまり葉を取りすぎると株の勢いが弱るので、バランスよく調整しましょう。

肥料は冬の間に寒肥を

肥料
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【地植え・鉢植えともに】

強健な性質なので、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施します。その後は、毎年12〜2月に緩効性肥料を株の周囲にまき、スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。斑入り種は、肥料が多すぎると斑の出方が悪くなるので、与えすぎに注意します。

鉢植えの場合、水やりとともに肥料成分が流亡しやすくなるので、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見てください。

ハランがかかりやすい病気と対策

農薬
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ハランが発症しやすい病気は、円星病、褐色斑点病、炭疽病などです。

円星病は、20〜30℃前後の時期に発生しやすくなります。カビが原因で、葉に5〜10mm程度の円形の斑点が現れます。大きくなると斑点同士が融合して、大きく不規則な形の斑点が多発。斑点の縁は褐色で、中央は灰色をしているのが特徴です。病気が進行すると、やがて株は枯れてしまいます。発症した株があれば、周囲に病気が蔓延しないように、土ごと処分してください。予防としては、水はけのよい土づくりをし、密植や繁茂のしすぎを避けて風通しよく管理します。また、窒素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。土壌から感染しやすいので、水やりの際に泥はねして土が茎葉につかないように注意します。

褐色斑点病は、20℃前後の雨が多い時期に発生しやすくなります。カビが原因で、葉に5mm前後の褐色の斑点が現れ、やがて大きくなって不揃いの円形の斑点が多発。病気が進行すると、株は枯れてしまいます。予防としては、水はけのよい土づくりをし、窒素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。土壌から感染しやすいので、水やりの際に泥はねして土が茎葉につかないように注意します。

炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生やすくなります。カビが原因で、葉に褐色で円形の斑点が現れるのが特徴です。その後、葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去して土ごと処分しておきましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理してください。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。

ハランにつきやすい害虫と対策

カイガラムシ
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ハランに発生しやすい害虫は、カイガラムシです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ハランの増やし方は株分けと種まき

種まきポット
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ハランは、株分けと種まきで増やすことができます。

【株分け】

ハランの株分けの適期は、3月下旬〜4月上旬か9月中旬〜10月下旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて4〜6芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。

【種まき】

種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

ハランの種は市販されていませんが、植え付けたハランが開花した後につけた種を採取し、種まきして増やすことができます。開花した後、株元に丸い実ができるので、熟したら中から種を取り出し、そのまま播きます。

3号鉢に市販の草花用培養土を入れ、指で穴を数カ所あけ、種まきをします。土をかぶせて最後にたっぷりと水やりをしましょう。発芽までは風通しのよい半日陰に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついて込み合ってきたら、適宜間引いて生育のよい苗を残しましょう。本葉が数枚ついてしっかりした苗に育ったら、植えたい場所に定植します。

※園芸品種の場合、親と同じ草姿になるとは限りません。

初心者向けのハラン! 豊富な品種を楽しもう

ハラン
mizy/Shutterstock.com

ハランは、古くから日本で親しまれてきた植物で、環境に馴染みやすく手をかけずとも旺盛に育つので、ビギナーさんにもおすすめ。品種も豊富に揃い、斑の入り方がさまざまなので、美しいカラーリーフプランツとしても活躍します。ぜひ庭に取り入れて、美しい葉姿を楽しんではいかがでしょうか。

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