【日陰の庭にも】ティアレラは初心者でも育てやすい丈夫な花! 可憐な花を楽しもう

Melinda Fawver/Shutterstock.com
ティアレラは日陰でも愛らしい花が咲き、シェードガーデンに人気の植物です。この記事ではそんなティアレラの特徴から、自宅で楽しむための育て方の基本について詳しくご紹介します。
ティアレラの主な特徴

まずはティアレラとはどのような植物なのか、その特徴からご紹介しましょう。
基本情報

ティアレラはユキノシタ科ティアレラ属の常緑多年草です。草丈は30〜50cmで、冬は葉が地面にぺったりくっついていて、まるで寝ているような状態。春になると徐々に葉が持ち上がって、やがて茎が伸び上がって、その先に穂状の花が咲きます。開花の時期は4〜5月です。耐寒性が強く、耐暑性は普通です。ティアレラは見た目も似ているヒューケラ(ツボサンゴ)の近縁種です。
原産国は北米ですが、日本では亜高山帯や森林などにティアレラの一種であるズダヤクシュ(Tiarella polyphylla)が自生しています。観賞用としてポピュラーなものは、北アメリカ原産のティアレラ・コルディフォリア(T. cordifolia)や、ティアレラ・ウェンリー(T. whenrry)などを元に交配された園芸品種です。
栽培が比較的簡単で、丈夫で日陰でもよく育つため、初心者にもおすすめです。
花や葉の形状

ティアレラの花色には主にピンクや白などがあり、花径1cmほどの小さな花が穂状になって散らばって咲きます。
葉は深い切れ込みが入る品種が多いですが、丸葉のものもあります。葉脈に沿って「タイガーストライプ」と呼ばれる濃赤の斑が入る品種も多いです。葉の表面には細かな産毛が生えています。葉は秋になると紅葉し、また冬にはくすんだ色になる品種もあります。
ヒューケラとの違い

ティアレラとヒューケラは葉がよく似ており、花が咲いてない時期に葉だけで見分けるのは難しいです。
花の形は大きく異なり、ティアレラは花びらが開いいて咲きますが、ヒューケラはスズランのように花びらがやや閉じた壺形をしています。
分類上は属から異なり、ティアレラはユキノシタ科ティアレラ属、ヒューケラはユキノシタ科ツボサンゴ属(Heuchera属)です。ティアレラとヒューケラを交配した「ヒューケレラ」という品種群もあります。
栽培環境

ティアレラを綺麗に育てるにはどのような環境が好ましいのでしょうか。ティアレラに適した栽培環境について解説します。
ティアレラに適した場所

ティアレラは日陰でも半日陰でもよく育ちます。しかし、日当たりのよすぎる場所は葉焼けしてしまう可能性があるので避けましょう。落葉樹の株元や午後から日陰になるような場所が最適です。
鉢植えでも地植えでも育てられます。日陰で育ち、花もたくさん咲くので、シェードガーデンにおすすめの植物です。
用土

ティアレラは乾燥しやすい土で育てるのには向きません。反対にぬかるんでいる場所も嫌います。適度に湿った土が最適です。
ティアレラを植える際は、水はけがよく保水力のある用土を使いましょう。水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなります。鉢植えの場合は鉢底ネットを置いた上に軽石を敷き、草花栽培用の土を入れます。地植えでは土を耕して腐葉土を混ぜ込んでおくとよいでしょう。
育て方の基本

ここからはティアレラの育て方の基本についてご説明します。
水やり

地植えの場合は雨の当たる場所であれば、根付いた後は自然の降雨のみで水やりは必要ありません。ただし、日当たりのよい場所に植えていて、夏場などに土がかなり乾燥している場合は適宜水やりをします。丈夫な植物ですが、乾燥を嫌うので乾かさないように注意しましょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。鉢底から水が流れてくるまで与えるのが目安です。
肥料

ティアレラには肥料はそれほど必要ありません。他の草花が元気に育っている場所で地植えにしている場合は、特に肥料を与える必要はありません。
鉢植えの場合は元肥を入れるようにしましょう。また、追肥として春と秋に少量の緩効性化成肥料を置き肥するか、月に2回程度液体肥料を与えます。肥料を与えすぎると葉だけが育ちすぎる可能性があるので注意が必要です。
植え付け・植え替え

ティアレラの植え付けの適期は、3~4月の春と9月中旬~10月の秋の、穏やかな気候の時期です。植え付け直後はたっぷり水を与え、しばらく直射日光の当たらない場所で育てます。2週間くらいすると通常の育て方ができるようになります。
植え替えの適期は、春に芽が動き出す前です。地植えの場合は、数年間は植えっぱなしで植え替えなくても構いません。しかし、花つきがだんだん悪くなってきたら植え替えたほうがよいでしょう。鉢植えの場合は、鉢底から根が出てきたら、一回り大きな鉢に植え替える必要があります。植え替えずに育て続けてしまうと、鉢の中が根でいっぱいになってしまい生育が悪くなります。鉢植えの際の植え替えは2年に1度が目安です。植え替えする際は、株分けも同時に行うと効率よく作業できます。
剪定・切り戻し

ティアレラの手入れでは、花がら摘みや剪定、切り戻しが必要です。終わった花茎は株の根元でカットしましょう。春の芽吹きの頃に前年の葉で傷んだものがある場合は、株元で切って取り除いておくと、古い葉に邪魔されず新しい葉がスムーズに伸びてきます。
また、冬に全体を短めに丸くカットすると、翌春に新芽や花芽のみになり、見栄えがよくなります。大株の場合は葉の量が多くなるため、春までに間引き剪定することをおすすめします。
夏越し・冬越し

ティアレラは強い日差しが苦手なため、夏場は日差しや蒸れに注意する必要があります。鉢植えの場合は、風通しのよい明るい日陰に移動させるといった対策が有効です。
またティアレラは耐寒性が強いので、冬越しに特別なケアは必要ありません。ただし寒冷地で育てている場合は、霜の当たらない場所に移動するとよいでしょう。
病害虫

ティアレラには特に注意すべき病害虫はいませんが、まれにアブラムシがつくことがあります。日当たりや風通しの悪い環境では、アブラムシが増えやすくなります。アブラムシが見つかった場合は、根気強く取り除くか適用がある薬剤で退治するのも方法です。
代表的な品種

ティアレラにはたくさんの品種があります。ここでは、その中でも代表的なものについてご紹介します。
スプリングシンフォニー

‘スプリングシンフォニー’は薄ピンク色の花を咲かせる品種です。葉は切れ込みが深く、斑が入り美しいです。小型でコンパクトにまとまって育ち、花つきが非常によい人気の品種です。
ピンクスカイロケット

‘ピンクスカイロケット’はティアレラの代表的な品種で、ピンクの花を咲かせます。花期にはピンクの花穂が株を覆うように咲きそろい、美しい光景をつくります。また葉は切れ込みが深く葉脈に赤い斑が入り、花期以外の時期もカラーリーフとして楽しめます。
シュガーアンドスパイス

‘シュガーアンドスパイス’は白い花を咲かせる品種です。縁に切れ込みがしっかり現れる葉には黒褐色の斑が幅広く入り、葉も花も大ぶりで見栄えがよいです。
ティアレラを育てて可憐な花を楽しもう!

ティアレラは日陰でも花がたくさん咲くため、シェードガーデンなどに選ばれる人気の植物です。葉が美しいので、開花期以外もカラーリーフとして楽しめますよ。比較的育てやすいので、ぜひ庭で育ててティアレラの可愛い花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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