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- 【初夏の庭】緑豊かなシェードガーデンづくりにおすすめの植物
庭を素敵にしたいけれど、我が家は日当たりが悪くて……と庭づくりを諦めていませんか? 日当たりがよくない場所であっても、日陰や半日陰で育つ植物を上手に選べば、緑豊かな一角になります。神奈川県で小さな庭づくりを楽しむガーデン愛好家の前田満見さんの庭では、午前中しか日の当たらない半日陰の場所があります。北東にある庭の入り口は、狭いながらも日陰を好む植物たちの緑豊かなシェードガーデン。華やかさはありませんが、瑞々しい緑に囲まれた心安らぐ空間です。今回は、そんなシェードガーデンの葉物や草花を前田さんに教えていただきます。
目次
豊かな葉物で瑞々しく

日陰や半日陰は、何となく暗くてジメジメしたイメージですが、直射日光を好まない植物たちにとっては天国。なかでも、カラーリーフなどの葉物は生き生きと育ちます。
その代表格がホスタ。日本原産のギボウシが欧米で品種改良されたものです。斑入りや青灰系、黄緑系など、色彩や模様のバリエーションに富み、ホスタだけでもシェードガーデンができると言っても過言ではないほど数多くの品種があります。しかも、もともとは日本原産なので、日本の風土にもよく馴染みます。

もちろん、わが家の北東のシェードガーデンにも5種類のホスタを植えています。濃い緑系の‘フランシー’、青灰系の‘ハルション’と‘エルニーニョ’。黄緑系の小葉が愛らしい‘ゴールデンティアラ’。名前を忘れてしまいましたが、白い斑入りのホスタは鉢植えに。

なるべく色味が重ならないようにセレクトしているので、緑のグラデーションだけでも十分見栄えします。放射状にふわっと開く葉の形状も優雅で、夏には、ユリ科らしい薄紫色の花をいくつも立ち上げ、花のない日陰の庭に涼しげな彩りを添えてくれます。まさに、シェードガーデンの主役です。

そんなホスタの脇役が、ツワブキやシダ類、ヒューケラです。ツワブキは、白い斑入りの‘ウキグモニシキ’。清涼感のある丸葉が美しい品種です。常緑で一年中みずみずしい葉色を保ってくれるのも嬉しいところ。昔から日本人に親しまれてきたツワブキは、落ち着いた和の風情がありシェードガーデンに似合いますね。

シダ類は、枝分かれした葉の形状が孔雀の尾羽のように華やかなクジャクシダと、褐色の葉軸とシルバーリーフのコントラストが目を引く ニシキシダ‘ゴースト’。
そして、青灰色の葉が魅力的なコンテリクラマゴケの3品種。それぞれが個性的ですが、なかでもコンテリクラマゴケは、シダ類としては珍しい這性で、極日陰のほうが青灰色が冴えて光沢感が増し、数少ない日陰のグラウンドカバーに最適です。

また、這性を生かして試しにハンギング仕立てにしてみたところ、青白い光を纏って枝垂れる様子があまりに神秘的で見惚れてしまいました。日陰のハンギングとしても活用できるなんて、何とも嬉しい限りです。

そして、ヒューケラ(ツボサンゴ)は、ハニーゴールドからオリーブグリーンに変化する‘トパーズ・ジャズ’。明るい葉色とレモンイエローの小花が、シェードガーデンに華やかさを添えてくれる大好きな品種です。ヒューケラは、なぜか地植えにすると消えてしまうので鉢植えで育てていますが、気軽にレイアウトを変えて楽しめるので意外と重宝しています。

バリエーション豊かな葉物は、丈夫で手間いらず。その組み合わせを考える楽しさと、ほぼ一年を通して変わらない瑞々しさは、花にも劣らない魅力があります。
特に、強い陽射しが照りつける夏は、目にも涼しく癒やされます。
つる性植物で壁面に緑を

シェードガーデンをできるだけ明るく見せるために、カラーリーフのつる性植物も欠かせない一つ。わが家では、ブドウ科のヨーロッパブドウ‘プルプレア’と黄金ノブドウを庭の入り口付近に、ヘンリーヅタとアメリカヅタをガーデンシェッドの壁面に誘引しています。

ヨーロッパブドウ‘プルプレア’は、シルバーリーフがクールでお洒落。黄金ノブドウは、名前の通り輝くような黄金葉が魅力です。この2種類を庭の入り口付近の木製フェンスに誘引し、その足元にホスタとヒューケラの鉢植えを置いています。扉を開けると目に飛び込んでくるカラーリーフのハーモニーが、わが家のウェルカムリーフ。メインガーデンへと静かに誘います。

そして、ヘンリーヅタとアメリカヅタは、どちらも端正な葉の造形が魅力です。ひと株でガーデンシェッドの壁面を覆ってしまうほど生育旺盛で、植えてから2年ほどで殺風景な壁面に緑の装飾を施してくれました。特にヘンリーヅタが絡まるガーデンシェッドの窓辺が一変。

外見はもちろんのこと、内見の仄暗さに浮かぶヘンリーヅタは、まるで絵画のようです。春の褐色の葉から秋の紅葉まで、さまざまな表情を見せてくれるので、季節ごとに窓辺を飾る楽しみもできました。

そんな「絵になる景色」が、今ではシェードガーデンの見所の一つに。つる性植物のデザイン力、やっぱり素晴らしいですね!
白い花が誘う庭の入り口

葉物の緑が中心のシェードガーデンですが、半日陰で育つ白い花を差し色に植えています。なぜなら、日向より白色が際立ち、より一層緑が瑞々しく見えるから。

春はバイカオウレンとユキザサの山野草。初夏はジギタリスとシノグロッサム、秋はホトトギスが彩ります。緑に包まれて咲く白い花々は、とても静かな佇まい。目にするだけで心が安らぎます。

そして、庭の入り口の扉には、初夏になるとつるバラとスタージャスミン、クレマチスの白い花が咲き乱れ、シェードガーデンが一気に華やぎます。つるバラは一重咲きの‘キフツゲート’、クレマチスはフロリダ系の‘白万重’です。

‘キフツゲート’は、とても樹勢が強く暴れん坊。冬には強剪定して何とか樹勢を抑えていますが、毎年、可憐な花をたくさん咲かせてくれます。
白い星形の極小花が降り注ぐように咲くスタージャスミンは、心が洗われるような愛らしさ。満開時は、息を呑む美しさに圧倒されます。更に、艶のある常緑の葉も、一年中緑を保ってくれるありがたい存在です。

クレマチス ‘白万重’は、ライムグリーンとクリーム色の八重咲きが品よく、どことなく和の風情も。咲き始めから終わりまで、さまざまな表情を見せてくれる大好きなクレマチスです。クレマチスもつるバラも、日当たりを好む植物ですが、幸いにもこの2種類は、半日陰のこの場所を気に入ってくれたようです。

さらに、スタージャスミンの側に、低木のチンシバイもふわりと寄り添います。数え切れないほどの白梅に似た小花、真珠のようなつぼみの何と清楚で可愛らしいこと。明るい黄緑色の切り込み葉と相まって、清々しい景色を醸し出しています。

シェードガーデンの白い花々の競演は、これからが見頃。甘い香りのつるバラ‘キフツゲート’とスタージャスミンが、とっておきのブレンド香を振りまいて庭へと誘います。
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