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【実録!】丈夫で長生き! 20年間開花経験アリの宿根草マストバイ7

【実録!】丈夫で長生き! 20年間開花経験アリの宿根草マストバイ7

植えっぱなしで丈夫に育ち、ローメンテナンスな庭づくりで選ばれている宿根草(しゅっこんそう)は、近年根強い人気ですが、すべての宿根草が長生きするとは限りません。その理由は、日本の夏が蒸し暑いため、気候変動に対応しにくいものがあるからです。そこで、園芸歴30年を超えるベテランガーデナー、遠藤昭さんが、自宅の庭で本当に20年間、植えっぱなしで育った実績のある宿根草を7種ご紹介します。

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1 アガパンサス

アガパンサス

我が家の宿根草の最優等生は、なんといってもアガパンサスである。

以前も「20年間育てて判る宿根草の醍醐味」と題して、アガパンサスをご紹介した。

アガパンサス

今年で栽培して28年目。思い起こせば、私が庭づくりを始めてすぐの頃、小さなビニールポットに植わるアガパンサスを買い、まずは鉢植えで育て始めた。みるみる成長し、数年後には直径50cmほどの大鉢に植え替え、それからなんと20年くらい、そのまま植えっぱなしだったのだ。

アガパンサス

さすがにこの数年、花付きが悪くなり、昨年、思い切って株分けをした。毎年、春先に、発酵油カスと鶏ふんを与えた程度で、水やり以外は、本当に植えっぱなし。開花時期以外は庭の隅でほぼ放置状態だった。それでも、立派に毎年咲いてくれている。なんて手がかからない子だろう。

アガパンサス

大きな鉢でも育つので、ベランダ園芸でもダイナミックな演出ができるはず。

2 ヘメロカリス

ヘメロカリス

へメロカリスは、日本ではあまり普及していないが、オーストラリア、メルボルンではよく見かけた。20年くらい前にメルボルン・フラワーショーに行ったとき、ヘメロカリスの専門店があって、2株ほど購入し、今でも元気だ。

ヘメロカリス

アガパンサスと同じく、鉢植えでほとんど放置状態でも大株に育ち、毎年、たくさんの花を咲かせてくれる。

ヘメロカリス

ヘメロカリスの詳しい育て方については『令和に期待の花「ヘメロカリス」魅力と育て方』をご覧いただきたい。当時、新年号発表の頃で、「令和に期待の花」と記した。ぜひ、丈夫で長もちの宿根草へメロカリスに引き続き期待したい。

3 シュウメイギク

シュウメイギク

秋を代表する花で、名前はシュウメイギク(秋明菊)だが、じつはキク科ではなくキンポウゲ科である。

何を隠そう、我が家にある植物のほとんどは28歳。つまり、1995年に庭づくりを始めて、最初の2年間くらいで庭中が植物で覆い尽くされ、新しい植物を入れる余地が無くなったのである。

シュウメイギク

このシュウメイギクも確か28歳。もう高齢であるが、宿根草の中でも最も安定して毎年咲いてくれる花だ。すっかり、我が家の秋の庭の定番となった。毎年、同じ頃に同じ花が咲く庭というのは、安心感がある。長年、園芸をやっていると、次第に冒険して新しい植物を育てることも減っていくのもあるが、庭は庭主が安らげる場所であるのが一番だと思い至る。

シュウメイギク

丈夫で育てやすいが、夏の西日に弱いので、半日陰程度の場所に植えるとよい。また地植えでも乾燥には要注意。花が太陽の方向を向いて咲くので、植える場所によっては花が見えにくくなるので気をつけよう。肥料は少なめのほうが、本来の山野草らしい姿に育つ。

4 クリスマスローズ

クリスマスローズ

毎年、新しい品種が出回り、ずいぶん長いこと人気があるクリスマスローズだが、植えっぱなしで育てる場合は、昔ながらの一重で素朴な花が咲く品種が特に丈夫で長もちするようである。我が家のクリスマスローズの多くは、他の宿根草同様に25年以上経っており、こぼれ種でも育っている。

クリスマスローズ

種を採取して育てたことも。自家採取で育てることは楽しいです。

クリスマスローズを植えるときに注意したいのが、通路に面したところに植えたほうが花を観賞しやすいということ。また、地植えでも数年ぐらい経つと根が固まり木質化するので、できたら、2~3年で株分けをしたほうがよい花を咲かせる。なんといっても、花期が長いのが魅力。

クリスマスローズ

季節ごとの育て方のコツは、「平成園芸を彩った三種の神器「バラ」「クレマチス」「クリスマスローズ」」を参照してください。

5 アカンサス

アカンサス
写真左のギザギザの葉がアカンサス。

多くの宿根草は、春に芽生えて花を咲かせ、秋には地上部は枯れるものが多い。しかしアカンサスは、地中海性気候に育つ植物なので、5月頃に花を咲かせて、夏枯れする。

アカンサス

そして、秋から新芽が出て、真冬は美しい緑の葉を湛える。真冬に嬉しい美しい緑だ。我が家で20年以上放置状態のまま育っている元気者だ。

アカンサス

アカンサスの葉は60cmほどに伸びるので、株の直径は1m以上になる。花茎は180cmほどの高さまで伸びるので、育てる際は、ある程度のスペースの確保が必要だ。育て方は、「イングリッシュガーデンの名脇役「アカンサス」の魅力と育て方」を参照してください。

6 エリゲロン

エリゲロン

我が家の庭には、オーストラリア原産のいわゆる「オージープランツ」が多いが、メルボルンに住んでいたとき、庭に生えていた思い出の欧米の草花も多い。このエリゲロン・カルビンスキアヌス(Erigeron Karvinskianus)も、その一つ。

エリゲロン

メルボルンの家の門からガレージに至る10m程度の車寄せの両脇に茂って、たくさんの花を咲かせていた。

エリゲロン

コンクリ―トの、ほんの少しの隙間にも生える。上写真は、擁壁の隙間に咲いている写真。こぼれ種でも生えて、雑草のように強い。ハルジオンやヒメジョオンの仲間で、雑草っぽいが、その飾らぬさりげなさが可愛い。

エリゲロン

ちょっとした隙間を埋めるのに最適だ。幅5cm程度あれば、ご覧のようにボリュームが出る。本当に雑草のような丈夫な性質の植物なので、増えすぎたら抜けばよいし、放置していても十分咲く。

7 ホスタ(ギボウシ)

ギボウシ
 

最後に選んだのは、新緑が美しく、日陰でも育ってくれる、丈夫で長もちのホスタだ。

シェードガーデンの優等生とでも言おうか。日本に古くから自生している植物で、株分けでどんどん増える。園芸仲間の間では株を交換したりして、知らず知らずの間に増えてしまうホスタである。

ホスタ

我が家でも自分で購入した記憶はないのに、10種くらいのホスタが生息している。いずれも、育て始めて20年ほどは経っており、株分けをしては知り合いにプレゼントしたりしている。

ホスタ

仲間内で交換したりすると、問題は品種名が不明の場合が多いこと。実際、我が家のホスタも品種がはっきりしているのは、「寒河江」くらいで、ほかは不明。まあ、品種が判らなくても、美しさには変わりないので、良しとしている。

ホスタ

夏の直射日光や西日は、葉焼けを起こすので避けたほうがよい。適した場所は、半日陰から明るい日陰。

株分け、植え付けや植え替えは、休眠中の2〜3月に済ませる。夏を除く成長期には施肥を。鉢植えの場合は、水切れしないようにするのが注意点だ。

ガーデン
オージープランツのカンガルーポーとコラボするヘメロカリス。奥にはアガパンサスの青も。

アガパンサス、ヘメロカリス、シュウメイギク、クリスマスローズ、エリゲロン、アカンサス、ギボウシの7種は、自分が20年間育てた経験のある、マストバイ宿根草です。葉や花が造形的で少し大ぶりの宿根草が多いですが、庭の景色を引き締め、季節ごとにフォーカルポイントになってくれる頼もしい植物です。ぜひ、長く付き合える宿根草を仲間に入れてみてください。

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