6~7月の梅雨の鬱陶しい時期に、オレンジ、イエロー、レッドなどのカラフルな花が庭を明るくしてくれる球根花「ヘメロカリス」。性質は丈夫で長持ち、手間いらず。しかも花が美しい“スーパー・パーフェクト・プランツ”の一つです。神奈川の自宅の庭で25年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに、海外で見つけ、その後14年育て続けているヘメロカリスの魅力と育て方を教えていただきます。

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ヘメロカリスのプロフィール

ヘメロカリス
一日花だが、毎日たくさんの花を次々と咲かせる。

学名:Hemerocallis
俗名:Daylily(デイ・リリー)
科名:ワスレグサ科
属名:ワスレグサ属(ヘメロカリス属)
原産地:東アジア

ヘメロカリスは、あまり日本では馴染みがないが、じつは日本のニッコウキスゲやノカンゾウがその仲間で、欧米では「Daylily」という俗名で親しまれている。名前の通り一日限りの花だが、次々と花を咲かせ、6~7月の梅雨の鬱陶しい時期に、オレンジ、イエロー、レッド等を中心に庭を明るくしてくれる。

ヘメロカリス
梅雨に濡れるヘメロカリスも情緒がある。

スーパー・パーフェクト・プランツのヘメロカリス

アガパンサスとヘメロカリス
アガパンサスの青花を背景に引き立つヘメロカリス。

僕がこの花に初めて出合ったのは、随分昔だが、2006年4月にオーストラリアで開催された「メルボルン・インターナショナル・フラワーショー」の会場で、出店していたヘメロカリスの専門店でのことだ。その品種の多様性に驚嘆し、日本では見かけない八重咲き品種の球根を思わず2品種ほど購入して持ち帰ったのだ。メルボルンとは季節も逆だし、日本で発芽するか心配だったが、6月には感動の開花をしてくれた。

白花の一重のヘメロカリス
白花の一重のヘメロカリスも清楚で爽やかな風を運んでくれる。

それ以降、なんと14年間も鉢に植えっぱなしで、毎年開花してくれる。まさしくスーパー・パーフェクト・プランツなのだ。丈夫で長持ち、手間いらず、しかも花が美しい。元々、東アジアの原産なので、日本の気候にも合っているはずだ。それなのに人気が出ないのはなぜだろうと長年、不思議に思っている。

八重咲きのヘメロカリス
八重咲きが豪華だ。

園芸の世界では、時代ごとに花のブームがあるが、ブームになる花の共通点は品種が多様性に富み、品種改良が簡単で比較的育てやすいことだ。

古くはハナショウブ、サクラソウ、そして菊やツバキ。最近ではバラ、クレマチス、クリスマスローズなどなど。

ヘメロカリス

この条件からしても、ヘメロカリスは、近い将来、日本でも人気が出て、「令和の花」になることを期待している。

ヘメロカリスの育て方

植え付けの場所

へメロカリス
羊歯を背景にすると、ワイルドな印象。

ヘメロカリスは、日本ではニッコウキスゲなど、霧ヶ峰などで育っており、痩せた土地でも育つが、やはり園芸種を立派に育てて花をたくさん咲かせるには、水はけのよい肥沃な土壌が望ましい。また、日照が必要で6時間以上の確保が望ましく、日陰では開花しにくい。鉢植えの場合は、水はけをよくするために必ず鉢底石(軽石)を入れ、園芸用土で育てる。地植え、鉢植えとも夏の水切れには注意すること。

ヘメロカリス‘Golden Zebra’
‘Golden Zebra’という小輪の品種。

植え付けの時期と植え付け方

ヘメロカリス

9月の彼岸過ぎがヘメロカリスの植え付けの適期だ。ただし、冷涼地では早めに植え付けるか、春に植え付けるとよい。

また、比較的大きく成長する植物なので、植え付ける際は少なくとも30~40cmは間隔を空け、深さ30cmぐらいまで培養土を入れてから、根と茎の境目が2~3cmほど土中に埋まるようにして、最後にたっぷり水を与える。

日常の管理

ヘメロカリス

地植えは、ほとんど放置状態でも育つが、4~5月頃に、発酵油粕を与えると、より元気に育ち花付きもよくなる。鉢植えの場合は、4~5月頃と9~10月に緩効性化成肥料の置き肥が効果的。鉢植えの水やりは、表面が乾いたらたっぷりと与え、開花期から夏の水切れに注意。冬は控えめに。花後には花がら摘みを行う。

増やし方

3~4年で大株になるので、通常3~4株に株分けができる。株分けの適期は秋の彼岸前後。種子から育てることもできるが、開花するまで3~4年はかかる。

ヘメロカリスの新芽
寒い年には、葉が枯れることもあるが3月には復活。

病害虫

ヘメロカリスのつぼみ
比較的少ないが、花芽やつぼみにアブラムシが付くことがあるので、注意。

多彩な花色で注目のヘメロカリス

ヘメロカリスの花
左上:Jerry Gantar 右上:Jerry Gantar 左下:S.O.E 右下:Jerry Gantar /Shutterstock.com

近年、日本でも欧米で比較的ポピュラーな園芸草花は、ほとんど入手でき、日本でもポピュラーなものが多い。同様に、最近このヘメロカリスに関しても、通販でも扱いが増えているので、今後、日本でまだまだ普及する余地のある花だと思う。珍しい品種は海外通販でも正しい手続きをすれば入手できるので、チャレンジ精神のある人には面白い花ではないだろうか。

アガパンサスやヘメロカリス、ギボウシなどが育つ梅雨の庭
梅雨時の自宅の庭では、アガパンサスやヘメロカリス、ギボウシなどがコラボする。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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