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【ガーデニング】セントポーリアについて徹底解説! 特徴から育て方まで

Sunny_Smile/Shutterstock.com
セントポーリアという植物をご存じでしょうか? 室内の彩りとしてよく育てられ、室内花の女王とも呼ばれる植物です。現在でも品種改良が盛んで多くの品種が存在するため、花姿もさまざま。成長の仕方も品種によって異なるので、自分の好みに合うものを探す楽しみもあります。この記事では、たくさんの魅力をもつセントポーリアの基本情報から育て方まで、詳しくご紹介します。
セントポーリアの基本情報

セントポーリアは、和名をアフリカスミレといいます。イワタバコ科 アフリカスミレ属(セントポーリア属、Saintpaulia 属)の植物で、園芸分類では草花になります。原産地は熱帯アフリカ東部にある山岳地帯です。
耐寒性、耐暑性はどちらもあまりなく、過酷な気温には弱い植物ですが、人が心地よく過ごせる温度であれば、弱い光でも通年元気に育ちます。常緑性で比較的開花期は長く、鉢植えの場合は室内のみで栽培することができる特性から、前述の通り“室内花の女王”と呼ばれています。
茎が短い「ロゼット型」と、茎が這うように伸びて横に広がって育つ「トレイル型」があります。園芸品種ではセントポーリア・イオナンタやセントポーリア・コンフューサなど、ロゼット型を中心に品種改良されてきました。
セントポーリアはどんな特徴を持つ植物なの?

セントポーリアの園芸品種は無数に存在し、花の形や色、葉の形は非常に多様です。人工照明の光でも十分に育つので、室内にワーディアンケースを置き、照明器具を設置して栽培することもできます。
開花時期は盛夏を除く通年で、非常に長い期間花を楽しむことが可能です。品種改良により、さらに花が落ちにくく長く楽しめるようになっています。可愛らしい小さな花を咲かせることから、花言葉は「小さな愛」「細やかな愛」「小さな心」など。また別名として、窓から離れた日陰でも美しい花を咲かせる姿に由来して「深窓の美女」とも呼ばれています。
セントポーリアという名前は、タンザニアのウサンバラ山地でドイツ人のフォン・セントポール・イレール男爵が発見したことから名付けられたそうです。
セントポーリアの主な種類とは?

最もよく流通している種類に「オプティマラ」という園芸品種群があります。これは広い範囲の品種を一つのグループとして名付けたものなので、数が多くなっています。室内で楽しむために開花株が生産され、セントポーリアの中では比較的大型のタイプです。このグループの原種として有名なものにイオナンタがあります。イオナンタは現在のロゼット型園芸品種のもとになった原種で、タンザニアの丘陵に自生しています。花色は紫で、セントポーリアの中では大型です。
さらに、コンフューサもセントポーリアの原種であり、標高1,050m付近の森林の岩上に自生しています。青紫色の花を持ち、イオナンタとの交雑で生まれたといわれています。
セントポーリアの育て方

可愛らしい花姿とたくさんの品種という魅力を持つセントポーリアですが、実際に育てる際は、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
セントポーリアは人間が過ごしやすいと感じる環境を好むといわれていることから、初心者の方でも整えやすい環境で育てることができます。
ここからは、セントポーリアの詳しい育て方についてご説明していきます。
栽培環境

セントポーリアの置き場所は、一年を通して直射日光が当たらずレースのカーテン越しに光が差すくらいの明るさのところがベストです。強い光を当てすぎると葉焼けを起こしてしまい、逆に光が弱く日照不足になると花付きが悪くなってしまうので、花の状態を見てほどよい明るさの場所に置くようにしましょう。
植える用土は、水はけと水持ちのバランスのよい有機質を多く含むものが適しているのですが、有機質を使うとキノコバエが発生することがあります。室内栽培なら、においが少なく軽めの、バーミキュライトとパーライトを1:1で混合した土がおすすめです。パーライトを少し減らして、バーミキュライト5、パーライト4、小粒の鹿沼土1などの配合用土でもよいでしょう。さらに、根腐れ防止に鉢底にケイ酸塩白土を敷いておくと、よりよい環境で育てることができます。
気温は、冬は最低でも10℃以上を保ち、夏は直射日光が当たらないよう西向きの窓の近くは避け、北側の部屋など涼しい場所を選ぶようにします。
水やり

水やりのタイミングについてご説明します。
春と秋には、用土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりをします。
夏場は高温で生育が停滞するため、乾燥気味にしておきます。室温が30℃以上になったら水を与えて、その後は鉢が軽くなったら水を与えます。冬場は10℃以下になった場合は夏場と同様に水やりを極力控えて乾燥気味に育てます。しかし、冬場でもさかんに生育している株には水を十分に与えましょう。
水やりの際、葉に水がかかると葉全体に斑点模様ができてしまうことがあるため、注意しましょう。また水が切れた状態が長く続くと、下葉が落ちるようになります。こうしたことを避けるために、鉢受け皿にパーライトを薄く敷いて、水やりの際に鉢が浸からないように気をつけながら、常に鉢受け皿に水がある状態にして、その上に鉢を置いて管理するとよいでしょう。用土が適度な湿度を保ち、葉が落ちるのを避けることができます。
肥料・追肥

肥料を与えるタイミングは、真夏と真冬を除いて9~5月の間に液体肥料を月に1~2回を目安に施すのが基本です。株の大きさや成長の程度を見ながら、随時追肥をして生育管理をしましょう。液体肥料は記載されている使用濃度の最も薄めの倍率で、回数を多く与えることがうまく育てるコツです。一般的な液体肥料であれば、水やり代わりに5,000〜1万倍に薄めたものを与えても。さらに、10~11月には緩効性肥料を施すとよいでしょう。
植え付け・植え替え

植え付けや植え替えの適期は6月下旬です。
植え替える際は、毎年古い用土を落としてから行うようにします。
セントポーリアを数年栽培していると、下葉が落ちて、腰高の株になってしまいます。こうなった場合は根を切って挿し芽をし、株を更新するとよいでしょう。根腐れで弱っている株の場合は、腐敗した部分を切り取って挿し芽するか、葉挿しをして仕立て直すようにしましょう。
増やし方

セントポーリアの増やし方には、一般に葉挿しと挿し芽の2種類の方法があります。
葉挿しの方法は、しっかりと育った葉を1~2cmほど葉柄を付けたまま切り取ります。葉柄はなくてもかまいません。葉の切り口から1/3のところまでが土に埋まるように、市販の挿し木・タネまき用土に挿します。自分でピートモス、バーミキュライト、パーライトを等量ずつ配合した土を使ってもいいでしょう。葉挿しの際は、少し斜めにして埋めるとよく育ちます。まっすぐ挿すと葉が安定せずに根が出にくいのですが、やや寝かせて挿すことで安定し、根が出やすくなります。適期は3~5月か8~9月です。
花にストライプが入った「縞花」と呼ばれる品種は、葉挿しで増やすと縞の入らない花が咲く株になってしまいます。こうした品種は、挿し芽で増やします。縞花品種の花芽やつぼみが伸びてきたら、葉と花芽、つぼみがつくように茎を切り、用土に挿しておきます。なるべく乾燥しないように、挿し芽をした鉢を容器に入れ、ラップフィルムなどで覆っておくと成功率が高くなります。適期は葉挿しと同様に3~5月か8~9月です。
注意すべき病害虫

特に注意が必要な病気は、灰色かび病です。これは11~7月にかけて、花びらに水が染みたような斑点が現れる病気です。花がらをこまめに摘み取り、株の隙間に落ちた花弁などもすぐ取って清潔に管理することで予防できます。風通しが悪く湿度の高い環境で発生しやすいので、日ごろから風通しのよい環境で育てるようにしましょう。
また、注意すべき害虫としてアブラムシやホコリダニがいます。
アブラムシは、肥料が多すぎる場合や風通しが悪い場合に発生しやすく、茎葉や新芽に寄生して食害をもたらすので、見つけ次第すぐにガムテープなどを使って駆除しましょう。大量に発生した場合は薬剤を散布します。
ホコリダニは、高温で乾燥した環境が続くと発生しやすい害虫です。発生すると芽や花の柔らかい場所から食害を与え、また非常にサイズが小さいので、実際に被害が出るまで寄生されていることに気づかないこともあります。予防には鉢受け皿にパーライトを薄く敷いた上で水を浅く張るなどして、湿度を保っておくとよいでしょう。
セントポーリアの栽培に挑戦して一年中楽しもう

ここまで、セントポーリアの魅力や育て方などについてご紹介しました。セントポーリアを楽しむには、まずは数ある品種の中から好みの種類を探し出すことが大切です。お気に入りの品種が見つかったら、ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう。室内でも育てることができ、環境作りが簡単ですので園芸初心者の方にもおすすめです。この記事を参考にしてセントポーリアの美しい花を楽しんでみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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