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香り・花・実をトリプルで楽しむ観葉植物! シルクジャスミン(ゲッキツ)の育て方と魅力を徹底ガイド

香り・花・実をトリプルで楽しむ観葉植物! シルクジャスミン(ゲッキツ)の育て方と魅力を徹底ガイド

Enung Sri Oktaviani/Shutterstock.com

甘く爽やかな香りを放つ白い花、スパイシーな葉、そして赤く熟す美しい果実——。シルクジャスミン(ゲッキツ)は、観葉植物としての美しさだけでなく、香りや実まで楽しめる万能グリーン。丈夫で育てやすく、インテリアにもぴったりなシルクジャスミンは、初心者から園芸ファンまで幅広く人気を集めています。この記事では、シルクジャスミンの基本情報から、季節ごとの育て方や手入れのコツ、病害虫対策まで、失敗しない栽培のポイントを分かりやすく解説します。

シルクジャスミンの基本情報

シルクジャスミン
Sirinn3249/Shutterstock.com

植物名:シルクジャスミン
学名:Murraya paniculata
英名:orange jasmine、mock orange、china box、cosmetic barktreeなど
和名:ゲッキツ(月橘)
その他の名前:オレンジジャスミン
科名:ミカン科
属名:ゲッキツ属
原産地:インド、マレーシア、中国南部、フィリピン、台湾、琉球諸島
形態:常緑性低木

シルクジャスミンの学名はMurraya paniculata。ミカン科ゲッキツ属の常緑性低木です。名前に「ジャスミン」が入っていますが、じつはジャスミンとはまったく別の植物。ジャスミンはモクセイ科ソケイ属に分類されます。

半日陰の環境でも育ち、冬でもみずみずしい枝葉を保って樹形も美しいので、国内では観葉植物として利用されることが多い植物です。原産地はインド、マレーシア、中国南部、フィリピン、台湾、琉球諸島。熱帯原産の植物で、暑さに強い一方で冬の寒さに弱く、沖縄では地植えができますが、それ以外の日本の地域では冬越し対策が必要です。冬は5℃以上の環境で育てる必要があるため、基本的には鉢栽培とし、季節によって適した場所に移動しながら管理します。

シルクジャスミンの樹高は2〜4mほど。あまり大きくしたくない場合は、まめに剪定することで樹高をコントロールすることができます。

シルクジャスミンの花や葉、実の特徴

シルクジャスミン
Sigit dan Flora Fauna/Shutterstock.com

園芸分類:観葉植物
開花時期:6〜9月(環境に合えば周年)
樹高:2〜4m
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:白

シルクジャスミンの日本での開花期は6〜9月ですが、気温が安定している原産地では、年中花を咲かせる四季咲きです。花色は白で、直径2㎝ほどの5弁花からは柑橘系の甘い香りが漂います。

葉は5〜7㎝ほどの楕円形で光沢があり、枝には互生につきます。葉にはスパイシーな香りがあります。

開花後には1㎝ほどの赤い実がつき、冬頃までに熟します。この赤い実は長い期間にわたって色が褪せないので、常緑の葉と赤い果実とのコントラストが美しく、見映えがするのも魅力の一つです。赤い果実は食用できるとされ、一部ではジャムなどに加工される例もありますが、基本的には観賞用とされています。食べる際は自己責任で、情報をよく確認しましょう。

シルクジャスミンの実
シルクジャスミンの実。tikasofyan/Shutterstock.com

シルクジャスミンの名前の由来と花言葉

シルクジャスミン
Kasmad Macro/Shutterstock.com

シルクジャスミンという名前は、葉の光沢をシルクに、白い花の形や強い香りを持つことをジャスミンになぞらえて名付けられました。和名は「ゲッキツ」で、漢字では「月橘」と書き、これはオレンジのような花の香りが特に夜に強くなるとされることが由来です。この香りから、「オレンジジャスミン」の別名もあります。

シルクジャスミンの花言葉は、「純粋な心」です。

シルクジャスミンの主な仲間

矮性ゲッキツ

矮性ゲッキツ
Monkey D Boat/Shutterstock.com

小さな細かい葉に、全体にコンパクトになる矮性種。盆栽にも利用されます。

カレーノキ

カレーノキ
PULAK BABU/Shutterstock.com

和名はオオバゲッキツ。カレーリーフとも呼ばれ、葉にスパイシーな香りとカレーの様な風味があり、カレーのスパイスなどに利用されています。白い花が枝先に集まって円錐花序を作り、花後につく黒い果実は食用もできます。

ジャスミンという名前を持つ主な植物

シルクジャスミンは、「ジャスミン」という名前がついていてもまったく別の植物。このように、香りのよい花にはジャスミンという名前を持つものが多くあります。シルクジャスミン以外の代表的なものをいくつかご紹介します。

マツリカ

マツリカ
Cancer_July/Shutterstock.com

モクセイ科ソケイ属。一般的なジャスミンとして知られ、ジャスミンティーの香りづけなどにも利用される種。アラビアンジャスミンやピカケなどとも呼ばれます。半つる性の常緑低木で、夏の夕方から早朝に咲き、時間とともにピンク色を帯びる一日花です

ハゴロモジャスミン

ハゴロモジャスミン
Ness.BD/Shutterstock.com

モクセイ科ソケイ属。半常緑のつる植物で、外側が薄いピンク色の香りのよい白い花を咲かせます。ジャスミンの仲間では比較的寒さに強く、暖地では庭植えも可能なことからガーデナーからの人気も高い種類です。

カロライナジャスミン

カロライナジャスミン
Popova Valeriya/Shutterstock.com

ゲルセミウム科ゲルセミウム属。ジャスミンとはまったく異なる種類で、有毒なので決して口にしてはいけません。常緑性のつる植物で、鮮やかな黄色の花にはよい香りがあります。生育旺盛なのでパーゴラやフェンスに仕立てると迫力のある庭景色を演出することができます。

スタージャスミン

スタージャスミン
Best smile studio/Shutterstock.com

キョウチクトウ科テイカカズラ属。ジャスミンとはまったく異なる種類で、有毒なので決して口にしてはいけません。常緑性つる性低木で、生育旺盛でよくつるを伸ばし、開花期には香りのよい白い花を一面に咲かせます。

シルクジャスミンの栽培12カ月カレンダー

シルクジャスミン
Rofidd/Shutterstock.com

開花時期:6〜9月
植え付け・植え替え:5月中旬〜8月
肥料:5〜10月
剪定:5〜10月

シルクジャスミンの植え付け適期は、5月中旬〜8月なので、この時期を目安に栽培をスタートするとよいでしょう。

5〜10月が生育期で、この期間は2カ月に1度を目安に緩効性肥料を与えます。また、枝葉を盛んに伸ばして樹形が乱れてきたら、適宜込み合っている箇所の枝を透かすように剪定して、常に風通しよく管理しましょう。開花期は6〜9月です。

11月からは寒くなるので、室内や温室に取り込んで日当たりのよい窓辺などに置きます。シルクジャスミンは寒さに大変弱いので、室内の最低気温が5℃以下にならないように温度管理することが大切です。

越年後に再び生育期に入り、遅霜の心配がなくなる5月になったら、再び屋外に出します。その際は、急に直射日光下にさらされると葉焼けしてしまうことがあるので、徐々に光にならしていくとよいでしょう。

シルクジャスミンの栽培環境

シルクジャスミン
Fai thawaree/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】基本的には日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。耐陰性があるため半日陰や明るい室内でも生育しますが、極端に日当たりの悪い場所では、葉色が冴えずに樹勢が衰えてくるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】耐陰性があるため明るい室内でも生育しますが、室内に置く場合は暗い場所を避け、日差しが差し込む窓辺などに置いてください。

【置き場所】春から秋は戸外で光に当て、冬は日光が当たる暖かい室内で管理するとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

シルクジャスミンは暑さに強い一方で寒さには弱く、耐寒温度は5℃程度です。庭やベランダに鉢を置いている場合は、10℃を下回る時期になったら、室内の窓辺や温室などに置いて冬越しさせましょう。越冬後、暖かくなってから室内から外へ出す際に、強い日差しを直接浴びると葉が傷むことがありますが、徐々に慣らしていくとうまく順応します。

シルクジャスミンの育て方のポイント

シルクジャスミンは、寒さに弱いので庭植えにはせず、鉢植えにして栽培するのが基本です。季節に応じて適した場所に移動しながら管理しましょう。

用土

土
Wstockstudio/Shutterstock.com

観葉植物の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

日頃の水やりを忘れずに管理します。乾燥しやすい真夏は水を欲しがるので、水切れには注意しましょう。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために葉にかからないようにし、株元の表土を狙って与えましょう。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

5〜10月の生育期間に、2カ月に1度を目安に、緩効性肥料を株の周囲に施し、軽く耕して土に馴染ませます。

注意する病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

シルクジャスミンに発生しやすい病気は、うどんこ病、炭疽病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発生しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因で発生する伝染性の病気で、葉に褐色で円形の斑点ができるのが特徴です。その後、葉に穴が開き始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去しましょう。枝葉が茂りすぎたら、枝を間引いて風通しよく管理してください。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。

【害虫】

シルクジャスミンに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシなどです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

シルクジャスミンの詳しい育て方

苗木選び

矮性ゲッキツ
A Studios/Shutterstock.com

ホーセンターや花苗店で苗木を購入する際は、鮮やかなグリーンで艶のある葉色のものやがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。葉が黄ばんでいるものや、間のびしてヒョロヒョロと頼りなく枝葉がついているものは避けます。また、根がしっかり張っているかも確認しておきましょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Nataly Studio/Shutterstock.com

シルクジャスミンの植え付け適期は、5月中旬〜8月です。ただし、猛暑日になりやすい7月下旬〜8月下旬は避けたほうが無難です。

入手した苗木よりも1〜2回り大きいサイズの鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、ポットから出し、根鉢を軽くくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで育てていると、成長とともに根詰まりしてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

はさみ
Aleksei Golovanov/Shutterstock.com

シルクジャスミンの剪定適期は、生育期の5〜10月です。

剪定の際は、どこで切っても構いません。込み合って風通しが悪くなっている箇所などがあれば、内側に向かって伸びている枝や交差している枝、弱々しくなっている枝、枯れ枝などを選び、分岐している部分まで遡って切り取ります。大きくなりすぎて持て余すようであれば、思いきって小さくしたい高さまで切り戻してもかまいません。芽吹く力が強いので、再び枝葉を伸ばすようになります。剪定した枝は挿し木に利用可能です。

温度管理

シルクジャスミン
Isnaini Dzatie Bahjatien/Shutterstock.com

シルクジャスミンは寒さに弱いので、ベランダやテラスなどの屋外に置いている場合は、気温が10℃を下回るようになったら室内か温室に取り込みましょう。日が差し込む窓辺などに置き、室温が5℃を下回らないように管理します。5℃を下回ると葉を落とすことがあるので注意。しかし葉を落としたからといって早々に枯れたと判断せずに、翌年の春まで待ってください。生育期になって再び芽吹き始めることがあります。

越冬して生育期に入り、夜温が10℃以上になったら再び外に出しても構いません。ただし、いきなり直射日光にさらすと葉焼けすることがあるので、徐々に光に慣らすようにしてください。

日常のお手入れ

ゲッキツ
Windi Holly/Shutterstock.com

【葉の手入れ】

観葉植物として室内で栽培している場合、葉にホコリなどがついて汚れていたら、適宜拭き取り、みずみずしい姿を保つとよいでしょう。ハダニが発生しやすい時期は、葉の表と裏に霧吹きなどで水をかけると予防になります。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

シルクジャスミンは、挿し木で増やすことができます。

挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、シルクジャスミンは挿し木が可能です。

シルクジャスミンの挿し木の適期は、5〜8月です。新しく伸びた枝を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために挿し穂の下葉を半分くらい取りましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

シルクジャスミンは見た目も香りも楽しめる

シルクジャスミン
KPhrom/Shutterstock.com

甘い香りを放つ白い花が魅力のシルクジャスミン。熱帯原産の植物のため、国内では主に鉢植えを前提に栽培されており、人気が高いインテリアグリーンです。開花後は赤い実をつけ、グリーンの葉とのコントラストも美しいシルクジャスミンを、ぜひ育ててみてください。

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