植物育成LEDライトは、多肉植物や観葉植物など、インドアグリーンを楽しむ際にその成長をいい感じにサポートしてくれるスグレモノ! でも、いざ買おうかなと思っても種類は多いし、調べれば専門用語ばかりで、困っちゃいますよね。今回はAMATERASで有名なBARREL社に、植物育成LEDライトのあれやこれを聞いてきました。
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目次
植物育成ライトとは? 基礎知識とその機能

植物育成ライトの目的
植物育成LEDライト(以下育成ライト)の目的は、植物の成長と発育を促進することにあります。
波長の強弱が最適に調合された光を照射することにより、植物の光合成を助け、栄養分の生成を促し、植物の成長を調整し、茎や葉、花や果実などの発育をサポートします。
また、季節や地域の気候条件に左右されることなく、安定した成長環境を提供してくれるだけでなく、特定の波長の光が害虫や病原体の発生を抑制し、植物を健康に保ちます。
このように多くのメリットがあるため、ご家庭から園芸のプロに至るまで、育成ライトは幅広く活用されています。

育成ライトを使うことによって、自然環境とは異なる室内で健康に育つ手助け※をしてくれるわけですから、室内で植物を育てている方はもちろん、多肉植物の梅雨越しや越冬の際の日照不足対策に、ぜひ積極的に使っていただきたいです。
※植物が室内で健康に育つには、光のほかに風と温度も重要な要素となります。
【風に関してはこちらの記事で解説しています】
観葉植物などの栽培に役立つサーキュレーターの使い方をプロが徹底解説!
【波長とは】
この記事では、「波長」という言葉が頻繁に出てくるので、はじめに波長について解説します。
波長とは、1つ分の波の長さのこと。電磁波である光にも波の性質があり、この波長によって光の色が決まってきます。
植物の成長に最低限必要なのは、青色と赤色の光。
青色の波長は葉を育てるのに役立ち、赤色の波長は花や実をつけるのを助けてくれます。近年は青赤のほか、緑色の波長なども成長に役立っていることが判明しており、LED技術の進化もあり、これら単色のみでなく、より複雑な色の波長をミックスして、リアルな太陽光に近づけた、フルスペクトル(後述)というものが主流となっています。
植物育成用LEDライトはこれらの波長を組み合わせて、植物の成長を助けるようにできています。
植物育成LEDライトと普通のLEDの違い
育成ライトと一般的なLEDライトの主な違いは、その目的と光の特性にあります。
発光させる原理は同じですが、育成ライトは、植物の成長と発育を促進させるために特別に設計されており、特定の波長の光を放射し、光合成や植物の成長に必要な光エネルギーを提供します。
一方、一般的なLEDライトは、人間の目に適した光(=可視光スペクトル)の中から特定の波長を選び、照明目的に使用されます。

分かりやすく言えば、何千色とある光という絵の具から、植物が欲しがる色成分だけを抜き出し、パレットで混ぜ合わせたのが育成ライトの光で、人間が快適に生活を営むために目に馴染む色だけをパレットで調合したのが、家庭の照明機器のLEDライトの光です。
つまり、両者には光を出すという目的は共通するものの、光の性質を目的ごとに人の手により変えている、ということです。
植物育成LEDライトのタイプ
バルブ型

バルブ型は、家庭用の電球を交換する時のようにソケットにねじこんで使用します。つまり、使用するには別売りのソケットが必須となります。
ソケットにはさまざまなタイプの商品があり、ダクトレールに設置するものや、自由に動くフレキシブルアームとクリップが一体となったタイプのものが主流となっています。
照射範囲が限られるため、1灯で1〜3鉢を照らすのに適しています。各メーカー、中出力の10Wタイプ〜高出力20Wのタイプのものを多く販売していますが、使用する植物の光への耐性(即ち直射日光に強いか弱いか)で出力タイプを決めるとよいです。
クリップ一体型

使う場所を選ばないのがこのクリップ一体型タイプ。
写真(上)のマンガに出てくる火星人のような商品のほか、Amazonを覗いてみると、一様にクリップ一体型といってもさまざまな形態のモデルが販売されています。
カーテンレールや柱など、挟める場所さえあれば手軽に設置でき、写真(上)のようにフレキシブルアームが付いているモデルは、照射したい位置を自由に決められるため、限られた空間を有効活用できます。
ただし、クリップやアームの強度が弱いと、電球の重さに負けてうまく照射する位置を固定できないため、Amazon等の通販で買う場合は、商品レビューを参考にするとよいと思います。
店頭で手に取って選ぶことができる場合は、クリップ部分やアームの可動部分の動作が硬い商品がおすすめです。
パネル型

パネル型は天井等から吊り下げて使うのが一般的ですが、植物を置くシェルフ(棚)の天板に取り付けて使用する方もいます。
照射面積が広いため、複数の植物を置いたり大きな植物に照射した時に、満遍なく光を届けることができます。
また、BARREL社製のパネルライト「ROKI」のように、専用のスタンドを用いることで、パネルライトをスタンド型として楽しむこともできます。

パネル型は発光面の面積により照射範囲が異なるため、1灯(1パネル)でどの程度の範囲の植物を照らせるのか、商品スペックを事前に確認しておく必要があります。
スタンド一体型

スタンド一体型は置き場所さえ決めればすぐに使えるため、育成ライト初心者の方もディスプレイのイメージがしやすく、最も使い勝手がよいタイプです。
高さ調節があるタイプは、照射する植物の大きさによって照射の強弱をはかれるため便利です。
ただし、基本的にスタンド型は照射面積が狭いため、1灯で3〜5号鉢くらいまでの植物を1鉢照らすぐらいの用途に限られます。
スタンド一体型は見た目がとてもシンプルなので、うまくインテリアに取り入れれば、植物の存在感を高めながら空間を有効活用できます。
植物育成LEDライトの選び方

対象とする植物で種類を選ぶのがベスト
多肉植物

サボテンやユーフォルビア、パキポディウムなど、ドライで温暖な環境を好む多肉植物たちにとって、ジメジメした梅雨や冬の寒さは大敵。
屋内に取り込めばこれらを凌げますが、その間は植物にとって日照不足にならないの?
その問題を解決してくれるのが育成ライト。
7号鉢(直径21cm)くらいまでの植物ならバルブ型1灯でOKですが、複数鉢ある場合はもう2〜3灯増やすか、あるいは広範囲を照射するパネル型を吊って一気に照射するのもよいです。
観葉植物

Pix: barrel.plantlight/Instagram
常に屋内で管理する観葉植物は、部屋の向きによっては満足な日照を得られないことも。
お日様が好きだけど、過度な太陽光が苦手な観葉植物と育成ライトの相性は抜群です。
小さいガジュマルなどには小出力のスタンド型で可愛くディスプレイすることもできますが、高さが1mを超えるようなゴムの木などには、天井にダクトレールを設置し、スポットライトタイプで出力が高めの育成ライトで照射したりすることで、見栄えもショールームっぽくなりますし、何よりもバランスのよい樹形に育ってくれます。
ただし、植物との照射距離や角度によっては、育成ライトの照射が強すぎて葉焼けを起こす場合もあるため、取扱説明書に記載されている「推奨照射距離」などを必ずチェックしてからお使いください。
水生植物

テラリウムなどで楽しむ水生植物。水槽内の水草の成長にも育成ライトが活躍してくれます。
水草など、水中の植物を綺麗に魅せるためには、各社、色味などの面で工夫をしているようですが、水中は赤などの暖色光よりも、青などの寒色光のほうが光が届きやすく、また水中の色も綺麗に見えるため、フルスペクトルで青が強めのタイプの育成ライトがおすすめ。
パネル型やバルブ型などさまざまなタイプの商品が販売されており、20〜45cmの水槽で1灯が目安となりますが、小型の水槽には小型のバルブ型をおすすめします。
なぜなら、テラリウムは光が強すぎると苔や水草も葉が焼けやすいので、小型のもので調光できるタイプや、リフレクター(反射板)を取り替えることで光を弱くするなど、小型のテラリウムには光量の調整ができるタイプのものを選びましょう。
家庭菜園

家庭菜園で育成ライトを用いる場合は、光合成の効率を重視したスペクトルの育成ライトがおすすめ。
具体的には、赤色660nm付近の波長が主体になったライトが最適です。いわゆる、点灯するとピンク色になる育成ライトですね。

市場に出ているカイワレや豆苗、葉物野菜など、工場で大量生産する野菜の多くは、葉や茎の成長速度を高める赤色波長と青色波長をミックスしたピンク色の育成ライトを照射し、高率重視で生産しているケースが多いんですよ。
これにならい、家庭菜園にもピンク色の育成ライトを用いることで高い収穫率が期待できます。
果樹花木

収穫が楽しみな果樹や花木。屋外管理の植物も育成ライトを用いることで、収穫量や開花率のアップが期待できます。
特に、日照条件の悪い場所に植えてある果樹花木には相性がよいです。
ただし、屋外で使用するには、防水仕様の屋外用植物育成LEDランプであることが必須となります。
目安としては、前述の家庭菜園でも用いる600〜660nm付近のスペクトルが開花や結実に大きく影響する波長域となるため、購入する際はこの部分の波長域が強い育成ライトを選ぶとよいでしょう。

ただし、ソケット部分は防水ではないため、防水用の受け具を使用するかソケットが濡れない環境での使用が前提となる。
照明の色はさまざまだがインドアグリーンにはフルスペクトルがおすすめ
市販の育成ライトの光源は、大きく分けて、太陽光色(白色系)、電球色(暖色)、ピンク(青色単色球と赤色単色球のMIX)の3色があります。
この色の違いは、前述のようにスペクトルによって表され、太陽の光の色に近ければ近いほど太陽光のように白くなっていきます。

白といっても、単純に白い色ではない
確かに太陽の光は白く見えますが、白といっても単純に白い色というわけではなく、可視光線や紫外線、赤外線など、太陽から地球に届くさまざまな光や電波の波長がミックスされて、あのように白く見えるのです。
その中でも私たち人間が目で見て唯一、色として判別できるのが「可視光線」。
可視光線が網膜を刺激することにより、脳が波長ごとに色を判別しています。

この可視光域の色すべてが大なり小なり含まれた波長のことをフルスペクトルといい、鑑賞目的の園芸、即ちインドアグリーンではこのフルスペクトル仕様の育成ライトがおすすめです。
ではなぜフルスペクトルが最適なのか?
次項では、フルスペクトル育成ライトを業界で初めて作ったBARREL社に、フルスペクトルに関しての解説と、フルスペクトル植物育成ランプを選ぶうえでのコツや注意点を伺いました。
BARRELに聞く、フルスペクトルってそんなにいいの? じゃあ、どうやって選ぶの?


なぜフルスペクトルがよいのか?
フルスペクトルとは、400~750nmの可視光領域(光を目が認識できる領域)のすべての波長を含んだ光を指します。
記事前半でも解説されているように、植物は赤と青の光があれば基本的な光合成は行うことができます。
この2色は、葉や茎を作り上げるのに必須な光だからです。
そのため、以前は赤色の単色LEDと青色LEDを組み合わせて同時に発光してピンク色光になるLEDライトが育成ライトの定番でした。

しかし、赤と青の二色では、光合成の「量」はまかなえても、「質」までカバーすることはできません。
人間に例えれば、酸素と水さえあれば生きていくことはできますが、健康に生きていくためには、各種ビタミン群やカルシウム、鉄分など、さまざまな栄養素を取り込まなければなりません。
植物にとっての光も同様で、赤と青以外にも、黄色や緑、オレンジなど、さまざまな波長の光(=可視光線)があり、それらの光が混ざり合った光線を浴びることで、植物はより「質の高い」光合成を行うことができ、健康に育つことができます。
こういった多様な波長の光の集合体こそが「太陽光」であり、それを物理的に解析したものがフルスペクトルです。
そして、そのフルスペクトルをLED技術に応用したものが、フルスペクトル植物育成LEDライトです。

言ってみれば、フルスペクトルとは、光の世界のマルチビタミンのようなものですね。
そしてフルスペクトルLEDは、育成ライトを購入するうえでの一つの目安だといえます。
フルスペクトル光源が植物に与える影響
フルスペクトル育成ライトは、太陽光の成分を入念に研究して作り出された光です。
さすがにリアル太陽から放射される生の太陽光にはエネルギーの「量」の面では敵いませんが、「質」の面では、植物の成長にとって必要な光の要素がちゃんと盛り込まれているため、使用することで太陽光下と遜色ない成長の効果を得ることができます。
植物が受ける影響はフルスペクトルの調整により異なる
フルスペクトル光源には商品ごとに調整が施されており、それぞれに特性があります。
例えば弊社製品を例に取ると、青の波長が高めのAMATERASなどは、エネルギーの高い青色波長が植物の葉にストレスを与えるため、植物はそれに対し防御反応を取るために、必然的に葉が厚くなったり、硬くなったりします。
面白いもので、植物にとっては迷惑なものが、観賞する人間にとっては結果的に葉が引き締まった樹形になるなど、都合よく作用するのです。
観賞面だけでなく食用面でも、レタスなどの葉物野菜に人工光源を用いて作る際に、この作用が応用されています。
また、イチゴなど一部の果物もこの作用で糖度をコントロールしたりしています。

また、TSUKUYOMIのように、赤色の波長が高めに調整してある場合は、光合成が促進され、株全体の成長に大きく作用します。
これは、植物の中にある葉緑素(クロロフィル)が赤色の光を効率よく吸収するため、成長に欠かせないエネルギーへの変換効率が高まるからです。

光のエネルギーが柔らかなTSUKUYOMI(左)は光源が赤みを帯びているが、植物の見え方はAMATERAS(右)よりもナチュラルだ。
このため、AMATERASは樹形を自分好みに作り込みたい園芸上級者に適しており、TSUKUYOMIは植物をバランス良く育てたい初心者を含めたすべての方に適しています。
このように、フルスペクトルでもその中の色の波長の強弱により、植物が受ける影響が微妙に異なるため、色の強弱や質にも注視し、用途に合ったライトを選ぶとよいでしょう。

写真の2つは筆者所有のもので、現在のAMATERASはNEO TSUKUYOMI(20W)のデザインと同じく放熱フィンが樹脂部まで伸びている。
何よりも、植物が最も美しく見える
BARREL社屋では、商品開発と研究のため設置された無数のフルスペクトル育成ライトが、煌びやかに植物たちを照らして出しています。
そのどれもがとても美しく、屋外の自然光下で見るのと変わらない色彩で植物たちが視界に飛び込んでくるのが分かると思います。
綺麗に魅せるには「演色」にも注目
育成ライトに限らず、ほとんどのLED照明器具にはパッケージに「演色性(Ra)」という値が記されています。
これは、その照明機器が、自然光が当たったときの色をどれだけ再現しているのかについて、JIS規格に定めた数値で表しているのですが、最大値が100(=自然光と同等)なので、AMATERASのRa96と、TSUKUYOMI、YEW(スタンドライト)のRa97は、ほぼ自然光下と同等に植物たちを照らすことができます
因みに、一般的な蛍光灯はRa50〜60です。
高価なものがよいのか、安価なものは良くないのか?
弊社がAMATERASを作ったときは、園芸の世界では「植物育成ライト」という言葉自体がまだなくて、Amazonで販売を始めたときも、どのカテゴリーに商品を置いたらよいのかがわからず、「ペット」など、かけ離れたところに登録をして販売していました(笑)
その後、育成ライトも一つのジャンルとして定着し、現在は各社とも活況を呈しており、値段の面でもチョイスの幅が広がったのは消費者には大変好ましいことだと思います。
ではその中で、値段による優劣はあるのか?
これは、あると思います。
弊社でも後続他社製品を調査分析したりしますが、主力商品のAMATERASやTSUKUYOMIに関していえば、光源の開発に対しては植物と光の専門家(kumanomi.360氏)が監修していて、お互い納得がいくものができるまで一切妥協はしなかったため、植物のナチュラルな見え方に関しては先駆者であると自負しています。
また、熱を持ちやすい電源部に関しても一切の妥協をせず開発に時間を費やしているため、AMATERAS/TSUKUYOMIは後続他社製品に比べて圧倒的に熱効率がよいと思います。
安価な製品というのは、この電源の部分で性能が不安定なものが多いようですね。

LEDは一般的に高寿命を謳っていますが、電源部の動作が安定していないとその寿命も短縮されます。
また、LEDは今までのフィラメントを用いた電球とは異なり発光部のみの交換ができないため、LEDが発光しなくなった場合は即ち製品自体の交換が必要となります。
家電製品は熱を持てば持つほどネルギー効率が悪くなるため、それは必然的に電気料金にも跳ね返ってきます。
もちろんAMATERASも長時間点灯すれば筐体が発熱しますが、12時間点灯し続けても、触っていられないほど熱くなることはありません。
基本的に育成ライトは8〜12時間の連続点灯を推奨していますので、電源部の安定性は育成ライトの性能を見る上で、重要なポイントと考えていただければと思います。
BARRELはすべての製品に対し、これら信頼性の担保を家電製品としては異例の3年保証(完全無償修理)で行っているので、使用時間で考えれば価格以上のパフォーマンスがあると考えています。

植物育成ランプは、照射する、ということだけで考えれば、値段の高い安いに関わらず一定の効果は期待できるものです。
しかし、「高品質な光をどれだけの長い期間照射し続けることができるか」「その期間をどう担保してくれるか」というところの指針として、価格は目安になると思います。そうした点も考慮しつつ製品情報やカスタマーレビューなどを読むと、自分にとってマッチする商品がどれかが見えてくると思います。
パワーで選ぶのは避けよう
育成ライトを選ぶ際、単純にハイパワー=よいとは考えないでください。
植物はそれぞれ光を取り込む量が決まっており、過剰な光は植物にダメージを与えます。
これを光阻害といい、光阻害が起こると植物は成長が鈍化し、最悪の場合は枯れてしまいます。
光阻害を防ぐ意味でも、育てる植物の自生地での環境などを事前にネットなどで調べ、植物の光の耐性を考慮し、それに合わせたライトのパワーを選びましょう。
一般的には、真夏の直射日光でも育つ植物には照射パワーが高めのライト、直射日光に弱い観葉植物などには照射パワーが中程度の育成ライトが向いています。
照射パワーが高めのライトは、植物の吸水と蒸散のサイクルも早めるため、水やりの頻度にも注意が必要です。
照射パワーの調整は、付属のリフレクターで可能
ライトの照射パワーは、リフレクター(反射板)を取り外して光を拡散させたり、ライトを植物から離して使用するなど、照射距離でも調整できます。

ちなみにリフレクターを付けたり外したりするのは至って簡単。
下の画像は、リフレクターを付けた状態と外した状態を表したものですが、付けたものは中心部に照射パワーが集約されている様子が分かり、外した状態は照射が拡散され、広範囲に柔らかな照射が行われていることが分かります。

初心者の方は、AMATERASのような照射パワーが高めのライトをこのように調整しながら使うより、まずはTSUKUYOMIなどの照射パワーをバランスよく中程度で抑えたライトで慣れたほうが安全です。
慣れればハイパワーライトで樹形を作り込むことも
植物の中でも、サボテンや塊根植物、盆栽などは、ある程度の外的ストレスを与えることで、樹形が引き締まり、葉の密度がより高くなるなど、荒ぶった感じになります。

育成ライトに慣れた方の中にはこの性質を活かし、パワーが高めな育成ライトを用いて照射距離や水やりのタイミングを細かく調整するなど、経験と技術を駆使して好みの樹形を作り上げる方もいます。
育成ライトは、出力ごとのクセやコツさえ掴むことができれば、さらに高度な園芸の楽しみ方もできます。
発芽したてや幼苗など、小さい株には低出力のほうがベスト。成株に至る前の小さい株はストレスに弱いので、光阻害を予防するためにも出力弱めのタイプで優しく育てましょう。
LEDライトは省エネ
LEDライトはエネルギー効率がよく、電気代も比較的安いです。
例えば、光のエネルギーが高めのAMATERAS(20W)を例に取ると、1日12時間使用しても、月に約263円、年間で約3,156円です。
育成ライトは少ない電力で効率的に光を供給できるので、とても省エネなんです。
BARRELの植物育成LEDライト商品紹介とご購入
BARRELとは

BARRELは2016年創業。
元農業大学教授の監修のもと、家庭菜園用育成ライトの販売からスタート。
発足当時は、吸収スペクトルの中で最も効率のよい、青の特定波長と赤の特定波長を組み合わせた、いわゆるピンク光タイプのLEDを販売。
しかし、家庭から漏れるピンクの光に対し改善を模索し、改めて開発したのが、高い評価を得た「SUNシリーズ」。
その成果を踏まえ、水中のスペクトルを意識して開発したAMATERASを2008年に発表。
テラリウム愛好家のみならず、ビザールプランツマニアからも熱狂をもって迎え入れられる。
AMATERASはそれまで画一的だった育成ライトに革命を起こし、現在もBARRELの主力商品として、多くの植物愛好家たちから支持を受けている。
BARREL社製植物育成LEDライトの主なラインナップと特徴
BARREL社の育成ライトの特徴は、すべての製品がインテリア性も考えてデザインされていること。
育成ライト兼フロア照明として使うと、インテリアも一層オシャレにブラッシュアップされます。
特に、AMATERASとTSUKUYOMIの現行バージョンはデザインも一新して、よりインテリア性が増しています。
[大門さんが解説: AMATERASとTSUKUYOMIのニューデザイン]
商品によって光の色味(色温度)が異なるため、下図色温度表もご参照ください。

AMATERAS

植物愛好家の間では言わずと知れたBARREL社の顔ともいえる「AMATERAS」。
フルスペクトルLEDの植物育成ランプの先駆けとして、圧倒的なシェアを誇っています。
AMATERASが起こした革命は、多くの後続メーカーがAMATERASの類似品を販売していることもその一つ。
多くのフォロワーを生み出すのは、それ自体がいかにAMATERASがメインストリームにあるかを証明するものですが、後続メーカーの製品と決定的に異なるのは高品質なスペクトルと高耐久性。
BARREL社のスペクトルの要求は通常の基準よりも高く、植物はもちろん人にとっても心地のよいスペクトルに調整する技術を担保するために厳格な基準を設けています。
このため、多肉植物などが徒長しにくくなる特性を持っています。
また、家電製品の心臓部ともいえる電源部の設計にもこだわり、現行バージョンの「NEO AMATERAS」では電源内部のパーツも、より高耐久の部品へとアップデートを行いました。
【難易度】
光のエネルギーがやや強いため、照射距離を調整しながら樹形を自分の感性でコントロールしたい園芸中〜上級者向け。
【最適な植物】
サボテン・塊根植物(コーデックス)・アガベ・他多肉植物全般・水棲植物・観葉植物※
※観葉植物に使う場合は葉焼けを防ぐためにも60cm以上照射距離を取ることを推奨。AMATERASはPPFD値という、植物が光合成を行うために必要な光の量の値を、綿密に検証したうえで設計をしているため、1m離しても十分に効果を得られます。
●ご購入はこちらから
TSUKUYOMI

「TSUKUYOMI」はAMATERAS同様、kumanomi.360氏監修のもと設計された育成ライト。
フルスペクトルLEDの赤色成分を高めているため、AMATERASよりもマイルドな明るさが特徴です。
照射した時の植物の見栄えもAMATERASよりも柔らかな感じで、屋外の自然光下で見ているような、よりナチュラルな雰囲気を室内で楽しむことができます。
現行バージョンの「NEO TSUKUYOMI」では電源内部のパーツも、より高耐久の部品へとアップデートを行いました。
外観もこだわっていて、基本的なデザインはAMATERASを踏襲しながらも、ホワイトモデルもチョイスできるため、インテリアとの親和性がより高くなりました。
【使用雑感】
BARREL社から商品が届き開封し手に持った瞬間、良質な素材で作り込まれた感触は大人の所有欲をくすぐってくれました。
実際に照射すると、柔らかな春の陽射しの中で植物たちを見ているような雰囲気が醸成されます。
確かにこのマイルドさは、カリっとしすぎていてリビングルームでの使用には好みの分かれたAMATERASに比べ、人の住空間にナチュラルに馴染む光のため、植物育成兼フロアランプとして使用すると、とてもおしゃれだと思います。

【難易度】
初心者から上級者まで、幅広い層で育成ライトを楽しめます。
【最適な植物】
サボテン・塊根植物(コーデックス)・アガベ・他多肉植物全般・水棲植物・観葉植物
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NEO TSUKUYOMI LED 20W(植物育成ライト) ホワイト/ブラック【BARREL】
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TSUKUYOMI 10W(植物育成ライト) ホワイト/ゴールド/ブロンズ【BARREL】
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STAND LIGHT「YEW」

スタンドライト「YEW(ユー)」は、テーブルサイズのテラリウウムや植物をお気に入りの場所で育てられるように、コンパクトな設計で開発された育成ライト。
手軽に移動できるため、その日の気分次第で、普段はリビング、来客の際は玄関など、思いのままの場所で植物をディスプレイできるのがYEW最大の魅力です。
ミニマルなデザインで、植物をシンプルに主役に据えつつも、ライトカバーに四角目のローレット加工(ギザギザ加工)が施してあるさりげない主張にくすぐられます。
お気に入りの1鉢を美術品のようにディスプレイしたい、という方は間違いなく満足できると思います。
性能も申し分なく、調光機能がついているのでどんな植物にも対応できます。
光の量を表すPPFDが470μmol/㎡sという数値は植物を順調に育むには十分な値で、消費電力が7Wと、光量MAXで1日12時間使っても1カ月あたり79円というのは、家計にもかなり優しい育成ライトです。

【難易度】
初心者から上級者まで、幅広い層で育成ライトを楽しめます。
【最適な植物】
サボテン・塊根植物(コーデックス)・アガベ・他多肉植物全般・4号鉢以内に収まる小型の観葉植物
●YEWのご購入は下記ガーデンストーリーWebショップで!
YEW-7W(ユー)(室内太陽光LED スタンドライト) ホワイト/ブラック【BARREL】
https://www.gardenstory.shop/shopdetail/000000000195
HADES

HADESは天井のダクトレールにセットして照射する、ちょっと大型の育成ライト。
外観デザインは至ってシンプルで、天井に並べた時に植物との調和が生まれるように、筐体を石目調に仕上げています。
45W-5000Kと45W-3500Kの2種類のラインナップがあり、5000Kモデルはちょっとパワーが強めのフルスペクトルLEDを搭載。
3500Kモデルは5000Kモデルに比べ白色光成分が抑えられているため、ショールーム、美容サロン、クリニックなど、柔らかめな照明を好む空間で愛用されています。
天井に取り付けることを想定して設計しているため、2〜3m離れた遠距離照射でも十分な光量を届けることができ、12°と45°の2タイプのリフレクターが付属しているので、距離に応じて付け替えることができます。
専用アプリを用いてスマホで調光、タイマー、ON/OFFのスケジュール管理ができるのも魅力です。
【難易度】
45W-3500Kモデルは初心者から上級者まで、幅広い層で育成ライトを楽しめます。
45W-5000Kモデルは照射パワーが強いため中〜上級者向け。照射する植物の性質に応じた適切な距離でご使用ください。
【最適な植物】
中〜大型の観葉植物、大型の柱サボテン、大型の塊根植物(コーデックス)など、比較的大きな株。
●ご購入はこちらから
PANEL LIGHT 「ROKI」

「ROKI」の魅力はなんと言っても照射面積の広さ。
1灯で、3〜4号鉢程度の大きさの植物なら5〜6鉢に満遍なく光を届けることができるのは、いくつものコレクションを持つプランツマニアにとっては気になるところ。
その秘密は独自開発のレンズにあり、このレンズを通すことで植物に柔らかい光が届き、近距離でも葉焼けを起こしにくくなっています。
外観と設置方法にもこだわりが。
外観は既存のパネルライト型育成ライトでは考えられないような薄さを実現し、ブランドが表記された金属プレートが取り付けられていることで、アンティークな雰囲気も醸し出しています。

設置方法は、吊り下げのほか、別売りの専用スタンドを使用すれば、写真上のようにスタンドパネルライトとしても使用できます。
このスタンドバージョンが個人的には激推しですね。
調光機能がついていて、痒いところに手が届き所有欲も十分に満たしてくれるパネルライトです。
【難易度】
初心者から上級者まで、幅広い層で育成ライトを楽しめます。
【最適な植物】
サボテン・塊根植物(コーデックス)・アガベ・他多肉植物全般・水棲植物・観葉植物
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●別売りのアイアンライトスタンドはこちらから
「AMATERAS/TSUKUYOMI」の設置と使用方法
「AMATERAS/TSUKUYOMI」の設置に必要なもの
AMATERASもTSUKUYOMIも、目的こそ違うもののいわゆるLED電球なので、給電するためのソケット(一般的なE26タイプ)が必要です。
BARREL社製のソケットにはさまざまなタイプのものがあるので好みに応じて選ぶことができます。

写真には写っていないが、コードにはON/OFFスイッチが付いている。
●ご購入はこちらから ブラックモデル / ホワイトモデル / シルバーモデル / ステンレス&クロームメッキモデル

●ご購入はこちらから ブラックモデル / ホワイトモデル

●ご購入はこちらから ホワイトモデル / ブラックモデル

AMATERAS/TSUKUYOMIのマジックが、植物を美術品の域に昇華させる。
●ご購入はこちらから 高さ74cmモデル / 高さ54cmモデル ※色は商品ページ内で選択できます。
「AMATERAS/TSUKUYOMI」の効果的な設置ポイントと、おしゃれな設置方法
効果的な設置ポイント
植物をバランスよく成長させるには、真上からの照射が最も効果的。
ダクトレールやスタンドを用いればスマートに解決しますが、ない場合はDIYで天井にダクトレールを設置したり、突っ張り棒を設置するなどすればリーズナブルに設置環境を整えることもできます。
また、ダクトレールやソケットが予め設置されたデザイン性の高い植物観賞用のシェルフ(棚)などを用いると、スタイリッシュさが際立ちます。

おしゃれな設置方法
写真はBARRELの本社屋ですが、やはり専用のスタンドを使うとおしゃれにキマりますね!


全景(写真下)。ここは本社の応接室兼商品試験スペースですが、こんな居室、憧れですよね!

下の動画は筆者宅ですが、Amazonで購入した長めのフレキシブルアームソケットをカーテンレールに設置しています。
一般的なカーテンレールは耐荷重10kg。1本あたり(ライト+フレキシブルアーム)が約600gなので、あと2〜3灯設置しても余裕です。
基本、屋外栽培のため、冬越しのときと撮影日のような梅雨の長雨のときしかここには置きませんが、フルスペクトル光はご覧のように見栄えもよいので、来客時にはゲストにもこの美観を楽しんでいただいています。
AMATERAS/TSUKUYOMI Q&A
下記FAQに、そのほかの使用方法やメンテナンスに関して明記しているので、ご参照ください。

Instagramで楽しもう! AMA/TSUKUと植物とインテリア
巷のアマ/ツクユーザーはどのように植物とインテリアを楽しんでいるのか、Instagramをのぞいてみましょう。
boncyubonsai

boncyubonsaiこと中尾浩之さんは、盆栽にAMATERAS(20Wタイプ)を使用。
壁に当たった灯が台座の穴から漏れ、盆栽がまるで浮世の月に照らされているようにさえ見えます!
じつは中尾さんは、知る人ぞ知る「情景盆栽作家」で、あの伝説の人気番組TVチャンピオンの「箱庭王選手権」でチャンピオンに輝いた実力の持ち主なんです。
そんなプロにも愛用されているのは、まさにAMATERASの信頼の証。
中尾さんの運営する「インテリア盆栽工房Bon Cyu」の詳細はコチラから。
sukesou / ateliershima

(写真左)sukesouさんは、無数のティランジア(エアープランツ)をダクトレールに設置したTSUKUYOMI6灯で照射。
ライトの白いボディーが白壁に馴染みます。
普段は屋根付きのテラスで屋外管理をしているそうですが、この日は台風のため屋内避難したのだとか。
まさにそんなときこそ育成ライトの出番。それにしても素晴らしいコレクションです!
(写真右) 茨城でシルバージュエリーの製造販売をしているateliershimaさんこと、アトリエ・シマさん。
シマさんの作る作品は、数々の著名雑誌でも取り上げられた実力派。
倉庫内装を英国風に改装したアトリエで、まるで孤高の如く座すアガベをAMATERAS(20Wタイプ)が頭上から照らす光景は、“大人の不良”が集う場を盛り立てます。
スタンドのチョイスもセンス抜群ですね! アトリエ・シマ詳細はコチラから。
katamari.28

katamari.28さんは、温暖な気候の瀬戸内海に面した場所で、パキポディウムの生産を手がける、まさに筋金入りのコーデックスフリーク。
イベントなどでは出店し、カフェコーナーでは趣味の珈琲も味わえるのだとか。
写真のダクトレールに設置した3灯のTSUKUYOMI(20Wタイプ)で照らし出されたグラキリス群は、どれもマニア垂涎のお宝級。
TSUKUYOMIから漏れる光のラインが、この空間を特別なショールームにしているようにさえ見えます。

取材後記
お話しを伺った大門さんはBARRELを創業する前、全く異業種のサービス業をされていたそうで、その時に店舗で育てていた植物が、ことごとく購入時より格好悪くなり元気がなくなっていくのを見ていて、その原因を調べていたときに出会ったLED野菜工場がBARREL創業のヒントとなり、原点に。
そして大門さんは言います。
「一番よいライトというのは、出力が低くても安定した動作を保証するライト。そんなライトは、家庭にも優しいし植物にも優しい。」
この一言が、この記事の答えと言えるのではないかと思います。
取材をしていてふと思い出したのは、AMATERASを初めて購入した時に外箱の端に記載されていた「その光は、太陽と同格であること。」というキャッチフレーズに、これからこの光を当てる植物がどう育ってくれるのかワクワクしたこと。
これからも私たち植物愛好家のワクワクを作り続けてください。
記事協力
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