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ガーデン&テラス・バルコニーを彩るカラーテーマ【ブルー&ホワイト編】

ガーデン&テラス・バルコニーを彩るカラーテーマ【ブルー&ホワイト編】

Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Niemela, Brigitte

ガーデンの大切な要素の一つが、色彩です。植物の色合いは本当に幅広く、花はもちろん葉や茎も、じっくり見るととてもカラフル。このような色彩を意識したガーデン作りには、テーマカラーを決めるのがおすすめです。ここでは、ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんに、テーマカラーにおすすめの植物を紹介していただきます。第2弾は、夏の青い空と白い雲をイメージさせるような、ブルー/パープルとホワイトがテーマです。

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ブルー&ホワイトはバイエルンの色

バイエルン旗
Timo Nausch/Shutterstock.com

今回ご紹介する青と白の組み合わせは、私にとって特別な意味を持っています。私の故郷であるドイツ・バイエルン州の色が、青と白なのです。美しい夏空のような青に、そこに浮かぶふわふわの雲のような白。この2つの色は、私たちの地域の旗にも使われています。

ドイツ紋章
ドイツ各地の紋章。上段左から2つ目が、青と白のバイエルンの紋章。grebeshkovmaxim/Shutterstock.com

バイエルンは海から遠く離れた地域ですが、ここにはさまざまな大きさの湖があります。夏の日に、私たちが海水浴の代わりに飛び込みに行くのが湖。大抵の場合、湖畔には小さなプールがあり、そのような場所では水着に着替えるスペースも用意されています。時には1~3mほどの飛び込み台があることも。周囲には草原や芝生が広がります。もちろん、自然の美しさも忘れてはいけません。気持ちのよい木陰を提供してくれる大きな木々に、仕切りや目隠しになってくれる茂み。時に城などの歴史的な建造物を眺めたり、トウモロコシ畑や山並みを見晴らすこともできます。時折、アヒルやガチョウを見かけることもありますし、ペットを連れてくることもできます。

水温は湖の場所や深さによって大きく異なりますが、ドイツに住む人の多くは低い水温(私にとっては20℃以下なら十分冷たい水です!)にも慣れています。時には同じ湖に、手漕ぎのボートや白鳥が浮かんでいることもあります。

「Strandbad」と呼ばれる湖畔のバス/プールの必需品は、ビアテラスと、軽食が購入できるウッドデッキ。メニューにはカリーブルスト(カレーソースのかかったソーセージ)やフライドポテトは欠かせませんし、ピザもとても人気があります。もちろん飲み物やアイスクリームもありますよ。湖に入ることはなくても、このリラックスした空気だけ楽しみに来る人もいます。

湖
バイエルンの湖。Ioana Catalina E/Shutterstock.com

ドイツでは仕事帰りに湖で泳ぐ人も多く、早起きの人たちは仕事前にひと泳ぎして行くことさえあります。私の兄も、サマータイムの間は自転車の通勤途中にある小さな池に飛び込んでから仕事に向かうとか。仕事前の楽しみなのだそうです。

バイエルンの色としての青は、このように豊かな小川や池、澄んだ湖や海などを表していると考えられています。光によって変わる青色は、いつ見ても新鮮に感じられます。

ブルー&ホワイトで涼やかなガーデンに

ブルーの寄せ植え
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

実際に冷たい水をガーデンに持ってくるのは難しいですが、そこは想像力でカバー。青~紫と、白の色を取り入れて、ガーデンに涼しげな一角を作ってみましょう! 青はもちろんですが、純白の雪やひんやりとした夜を照らす月光を考えてみれば分かる通り、白もまた涼しさを表現することができる色です。

白やグレイッシュな花だけを使った、世界で最も有名な庭の一つは、イギリスにある「シシングハースト・カースル・ガーデン」のホワイトガーデン。ヴィタ・サックヴィル=ウェストによってつくられました。彼女はホワイトガーデンをメインにデザインし、大きさや構造、低木やバラ、宿根草、一年草、球根などを組み合わせた素晴らしいガーデンをつくりました。とてもロマンチックな雰囲気で、非常にエレガント。何年も前に訪れたことがありますが、暗色の壁面や茶色っぽい通路とホワイトガーデンのコントラストが素晴らしかった思い出があります。

こんなに大規模でなくても、庭の一角、また鉢植え一つだけでもカラーテーマを持たせるのは楽しいものです。テーマに沿った空間をデザインすることで、そのエリアにしっかりとした構造を与え、より魅力的なガーデンをつくることができます。

ブルー/パープルの花

青系の寄せ植え
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

それでは、夏のブルー&ホワイトの庭をつくるのにおすすめの植物を、いくつかご紹介しましょう。まずは青や紫といったブルー系統の花をご紹介します。

ブルーファンフラワー

ブルーファンフラワー
Arina_B/Shutterstock.com

英語でフェアリーファンフラワーとも呼ばれるブルーファンフラワーは、夏中育つ信頼できる花として、ドイツではコンテナ栽培や花壇に人気です。ウィンドウボックスの端に入れれば、縁をカバーして枝垂れるように育ちます。白花品種もあります。

ヘリオトロープ

ヘリオトロープ
Zigzag Mountain Art/Shutterstock.com

ヘリオトロープといえば、なんといってもその香り。まるでバニラのような甘い香りが漂います。花色は鮮やかな紫で、塊になって咲き、花がら摘みをすることで長く楽しめます。こちらも白花品種があります。

サルビア・ネモローサ

サルビア・ネモローサ
手前がサルビア・ネモローサ。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

サルビア・ネモローサは夏のガーデンの必需品。まっすぐに立ち上がり、手入れも簡単で育てやすい花です。たくさんの栽培品種や園芸品種があり、さまざまなニュアンスの青や紫の花色があります。葉を揉むとミントのようなほのかな香りが立ち上ります。

サルビアの育種家として有名なのが、ドイツのプランツマン、エルネスト・ペーゲルズ。彼の作出したサルビアには、「Blauhügel」(青い丘)や「Schneehügel」(雪の丘)といった素敵な名前のものが多くあります。「Mainacht」(五月の夜)は、よくボーダーガーデンの風景作りに使われる品種です。

一番花が終わったら、1/3ほどまで切り戻すともう一度花が楽しめ、次の花が終わったらさらに切り戻せば三番花まで咲きます。サルビアは、ミツバチや、ドイツではハチドリを庭に呼び込んでくれる花の一つです。

カリブラコア

カリブラコア
Christynat/Shutterstock.com

カリブラコアは、小さなペチュニアのような愛らしい花を咲かせます。密に茂ってよく咲き、カラーバリエーションも豊富。濃い青や紫の花弁に、時に白い筋模様が入ったものも、よく店頭で見かけます。ガーデンや寄せ植えにぴったりの花色です。

「ミリオンベル」や「スーパーベル」といった園芸品種もあり、これらは「Proven Winners」と表記されています。

丈夫で育てやすい「Proven Winners」ブランド

カリブラコア
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

「Proven Winners」は植物の国際ブランドで、複数の国や気候条件の下でテストされている、丈夫で信頼できる植物だという証です。セールスポイントは、手入れが簡単で、病気に強く丈夫、そしてたくさんの花が咲くということ。

厳しいテストを通って選抜された品種なので、苗は一般的なものに比べると少々高価になります。ですので、1つか2つの苗を自宅で育ててみて、パフォーマンスや成長具合が価格や期待に見合ったものであるか試してみるのがおすすめ。名前も可愛くて覚えやすいものが多いです。たくさんの株を育てるより、健康で美しい株を大きく育てるほうが見栄えがよいので、ぜひ上手に活用してみてくださいね。

先日、友人の一人が娘の誕生日に花を贈ってくれました。といっても花束ではなく、紫の花が咲く「Proven Winners」のセレクト。カリブラコア「スーパーベル」‘ホーリーカウ’、アルテルナンテラ‘リトルロマンス’、濃いピンク色のローレンティア‘フィズアンドポップ’、トレニア‘ピンクリバー’がバスケットに入った可愛いアレンジで、土が使われていたので、なかなか重量感がありました。

一般的に、切り花のブーケに比べ、寄せ植えならより長い期間楽しめます。高温多湿の夏にはすぐ水が濁ってしおれてしまいがちな切り花に対し、鉢植えは、きちんと手入れをすれば夏中楽しむことができます。

アサガオ
Ammak/Shutterstock.com

ブルー&ホワイトのガーデンをつくるなら、青や白のつる性植物も忘れてはいけません。日本ではアサガオやユウガオが人気ですね。フェンスに沿って植えたり、緑のカーテンに利用したり、涼しい夏のガーデンづくりには欠かせない植物です。どこでも育てることができますし、スペースを取りすぎるようなら切り詰めればいいので、管理も簡単です。

ホワイトの花

ホワイトガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

白い花は青や紫の花に比べ、ちょっと目に留まりにくい存在です。なんにせよ、必要なのは量ではなく、質と組み合わせに注意を払うこと。白い花を咲かせる植物の例を挙げると、マーガレットやオステオスペルマム、チェイランサス、ジニア、マトリカリア、エキナセア、ジャスミン、ガーデニア、クレマチスなどがあります。

マーガレット

マーガレット
nnattalli/Shutterstock.com

マーガレットは個人的な経験でも信頼できる花。私の庭では、地植えにして日当たりのよい場所に植えてあります。年に2回花が咲き、切り戻しのタイミングによって花が咲く時期を調整することができます。植えてみると大きく育ち、株の幅1m、高さ50cmほどまで成長しました。

ちょっと大きくなりすぎたので、1/3まで切り戻しました。形を作るように刈り混むこともできますし、ローメンテナンスな庭でも咲く頼もしい花です。

エキナセア

エキナセア
Tatyana Mut/Shutterstock.com

エキナセアは、最近庭でも鉢植えでもよく見かけるようになってきたように思います。ドイツでは、赤紫色のエキナセア・プルプレアを宿根草としてボーダーガーデンによく使っていますが、育てやすく、高く伸びる大きな花が花壇を形作る要素の一つとして活躍してくれます。

エキナセアは鮮やかな色のイメージが強いかもしれませんが、いろいろな花色があり、白花もとても素敵です。水はけと日当たりのよい場所を好みます。水が足りなくなると、葉がだらりと下がるので、水やりのサインも見逃しにくい花です。

クレマチス

クレマチスのフェンス
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / NouN

クレマチスも、とてもいいチョイス。花形の異なるさまざまな白花があります。思っていたのと違う花が咲いた! なんてサプライズがないよう、開花株を買うのがおすすめ。生育旺盛な種類の場合は、十分なスペースを取って育てることが大切です。濃い緑色の葉を持つ木の隣に植えれば、素敵なコントラストになりますよ。

クレマチスなどのつる性植物の場合は、トレリスなどの支えが必要になります。大きく育ち、壁やフェンスに絡むクレマチスを見ると、フェアリーテイルの中の夢のような光景に感じます。コンテナに寄せ植える場合、ほかの一年草などと合う高さに切り詰めてもOK。

ドイツでは、クレマチスを植えるときは「足(根)は日陰に、頭(花)は日向に」なんて言ったりします。日本で育てる際は、苗についているタグをよく読み、その説明に合わせて植えるのがよいでしょう。多様な品種によってそれぞれ好む環境が異なるので、タグのアドバイスに従うことが大切です。

ブルー&ホワイトのガーデンコーナーをつくろう!

青と白の寄せ植え
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

ここでご紹介したものは、あくまで私のおすすめ。ガーデンセンターにはもっとたくさんの品種が並んでいますので、何を買えばいいか、選ぶのはなかなか難しいものです。そんなときカラーコンセプトが決まっていれば選びやすいですし、いろいろな植え方を試したり、ガーデン内で異なる場所に植えてみたりといった実験をするモチベーションにもなります。いろいろ試しながら植物の生育状態を見るのは、今後のガーデニング上達のためには欠かせないことです。

植物を購入するなら、よく管理が行き届いたガーデンセンターや花屋が一番。ガーデニングに必要なものがすべて揃っていますし、その地域ならではのアドバイスももらえるかもしれません。寄せ植えを作るにしても、培養土を含めたすべての花を同じお店で揃えられて、一度で買い物が済むほうが、ずっと簡単ですよね。

ぜひガーデンセンターに足を運んで、ブルー&ホワイトガーデンの一角をつくり、涼しげな「色のそよ風」を楽しんでみませんか?

Credit

ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

取材/3and garden 

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