初心者でも育てやすい「サンタンカ」 エキゾチックで南国ムード満点なサンタンカの魅力と育て方

Darcy Perkins/Shutterstock.com
鮮やかな赤やピンクの花を咲かせるサンタンカ。南国リゾートのような雰囲気をお庭やベランダで楽しめる人気の熱帯植物です。「夏は元気だけど、冬になると枯れてしまう…」そんなサンタンカのお悩みも、冬越しのポイントを押さえれば解決! この記事では、サンタンカの基本情報から特徴や種類、花言葉、育て方、冬越しのコツまで、初心者にも分かりやすく解説します。
目次
サンタンカの基本情報

植物名:サンタンカ
学名:Ixora
英名:Ixora
和名:サンタンカ(山丹花)
その他の名前:イクソラ、サンダンカ
科名:アカネ科
属名:イクソラ属
原産地:熱帯アジア(インド〜東南アジア)
形態:常緑性低木
サンタンカの学名はIxora(イクソラ)。サンタンカは漢字で「山丹花」と書きます。アカネ科イクソラ属の低木で、樹高は30〜100cmほど。小さく仕立てたい場合は、剪定によって樹高をコントロールできます。常緑性で、冬もみずみずしい枝葉を保ちますが、寒さにあうと葉を落とすことがあるようです。
サンタンカの原産地はインド〜東南アジアの熱帯アジアで、暑さには大変強い性質を持っています。反対に冬の寒さには大変弱く、耐寒温度は5℃くらいまでなので、冬は日当たりのいい室内で管理することが必須です。基本的には鉢栽培にして、季節に合わせて適した場所に移動しながら管理します。
鮮やかな色を持ち、沖縄で親しまれるトロピカルな花

サンタンカは開花期が長いので、花鉢としてよく出回っています。寒さに弱いため本州では鉢植えでの栽培が基本ですが、冬も暖かい沖縄地方では「サンダンカ」として親しまれ、庭木としても利用されています。
鮮やかな赤いサンタンカの蜜を吸う蝶。AjayTvm/Shutterstock.com
サンタンカの花や葉の特徴

園芸分類:庭木
開花時期:5〜10月
樹高:30〜100cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:白、赤、ピンク、オレンジ、黄色
サンタンカの開花期は5〜10月と、長く咲き続けます。花色は白、赤、ピンク、オレンジ、黄色などで、熱帯植物らしいカラフルな色が特徴です。花のサイズは2〜3cmほどで、先端が4つに分かれる筒状花。一つひとつの花は小さいのですが、頂部に房状になってドームのように咲くので、色の塊となって大輪の花のような趣があります。花が終わった後には、赤黒くて丸い実をつけます。中の種子は約1cmほどです。艶のある鮮やかな濃緑色の葉が対生し、枝はよく分枝してこんもりと茂ります。
サンタンカの名前の由来と花言葉

サンタンカの名前の由来は諸説ありますが、「山に咲く赤い花」という意味で「山丹花」がつけられたという説がよく知られています。学名のイクソラは、サンスクリット語でヒンドゥー教の神であるシヴァ神を意味する「Iswara」に由来し、サンタンカがシヴァ神に供えられていたことから名付けられたとされています。
サンタンカの花言葉は「熱き思い」「喜び」「張り切る」など。「熱き思い」や「張り切る」といった言葉は、サンタンカの開花期間が長いことに由来しています。何かに一生懸命に打ち込んでいる人への激励やお祝いなど、花言葉を添えて贈り物に利用するのもおすすめです。
サンタンカの品種

サンタンカは400種以上が自生するといわれています。ここでは、主な種類についてご紹介します。
サンタンカ・キネンシス

原産地は中国やマレー半島。花弁がふっくらと丸いのが特徴的です。花色は明るいオレンジ色で、トロピカルな雰囲気を持っています。葉の基部が細いのも見分ける際のポイントです。キネンシスはサンタンカの中でもポピュラーな種です。
サンタンカ・コッキネア

原産地はインドで、花色は赤。花弁がやや長く、先端が尖っているのが特徴です。他のサンタンカに比べて寒さに大変弱く、10℃以下になると弱って枯れる恐れがあるので、冬の温度コントロールがポイントになります。
‘スーパー・キング’

‘スーパー・キング’は交配で生まれた園芸品種。花色はコッキネアよりもさらにビビッドな赤で、花つきがよく花姿の美しいことで定評があります。樹高はやや高めで、約150cmにも達します。
サンタンカの栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜10月
植え付け・植え替え:5〜6月
肥料:5〜10月
サンタンカの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】基本的には日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。ただし、真夏は葉焼けすることがあるので、明るい日陰に移動を。あまりに暗い場所に置くと花つきが悪くなるので注意しましょう。
【日当たり/屋内】寒さに弱いため、10℃を下回る時期になったら、室内の明るい窓辺や温室などに置いて冬越しさせます。必ず日差しが届く場所に置きましょう。
【置き場所】暑さには強いものの、真夏に強い直射日光に当たると葉焼けすることがあるので、梅雨明けから彼岸頃までは、軒下などの明るい日陰に移動するとよいでしょう。冬は室内に取り込んで冬越しします。
耐寒性・耐暑性
サンタンカは暑さに強い一方で寒さには弱く、耐寒温度は5℃程度、種類によっては10℃程度です。庭やベランダに鉢を置いている場合は、10℃を下回る時期になったら、室内の窓辺や温室などに置いて冬越しさせます。日なたを好むので、必ず日差しが届く場所に置くことがポイントです。越冬後、暖かくなってから室内から外へ出す際に、強い日差しを直接浴びると葉が傷むことがありますが、徐々に慣らしていくとうまく順応します。
サンタンカの育て方
サンタンカは寒さに弱いので、沖縄以外では庭植えにはせず、鉢植えにして栽培するのが基本。季節に応じて適した場所に移動しながら管理します。ここでは、鉢植えでの育て方を解説します。
用土

花木の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

日頃の水やりを忘れずに管理します。開花期の真夏は乾燥しやすく水を欲しがるので、毎日水やりをし、水切れには注意しましょう。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために葉にかからないようにし、株元の表土を狙って与えましょう。
冬は生育が止まるので、乾燥気味に管理します。
肥料

5〜10月の生育期間に、2カ月に1度を目安に、緩効性肥料を株の周囲に施し、軽く耕して土に馴染ませます。
注意する病害虫

【病気】
サンタンカは、病気にかかる心配はほとんどありませんが、すす病が出ることがあります。
すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆っていき、見た目がよくないだけでなく、すすが葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因ですす病が発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。
【害虫】
サンタンカに発生しやすい害虫は、アブラムシやカイガラムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
サンタンカの詳しい育て方
苗の選び方
サンタンカの苗を購入する際は、株元が太くしっかりしていて、葉に艶があり、葉が黄色く変色していないものを選ぶとよいでしょう。また、枝の先に花がつくので、分枝が多くつぼみが多くついているものを選ぶとたくさんの花を楽しめます。
植え付け・植え替え

サンタンカの植え付け適期は、5〜6月です。
鉢は入手した苗木よりも1〜2回り大きいサイズを準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。サンタンカの苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝ほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えの場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直しましょう。
剪定

サンタンカの剪定適期は、開花後すぐです。育てている種類に応じて行いましょう。
剪定の際は、込み合って風通しが悪くなっている箇所などを中心に、花のつかなかった枝や内側に向かって伸びている枝、交差している枝、弱々しくなっている枝、枯れ枝などを選び、分岐している部分まで遡って切り取ります。剪定した枝は挿し木に利用可能です。
増やし方

サンタンカは、挿し木で増やすことができます。
挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、サンタンカは挿し木が可能です。
サンタンカの挿し木の適期は、5〜9月です。新しく伸びた枝を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために挿し穂の下葉を半分くらい取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきましょう。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい鉢に定植します。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
サンタンカを育てる際のトラブルと対策

サンタンカの栽培で発生しがちなトラブルにはどんなことがあるか。ここではトラブルの例と対策をご紹介します。
枯れてしまった
サンタンカが枯れる原因は、冬の寒さに耐えられなかったことが考えられます。サンタンカは熱帯植物で寒さに弱いので、ベランダやテラスなどの屋外に置いている場合は、気温が10℃を下回るようになったら室内か温室に取り込みましょう。日が差し込む窓辺などに置き、室温が5℃を下回らないように管理します。越冬して生育期に入り、夜温が10℃以上になったら再び外に出しても構いません。ただし、いきなり直射日光にさらすと葉焼けすることがあるので、徐々に光に慣らすようにしてください。
サンタンカは夏の暑さには強い植物なので、枯れる原因は冬の寒さによるものが多くなります。
葉が落ちる
サンタンカは、真夏に強い日差しを浴びると葉焼けしたり、落葉したりすることがあります。梅雨明けから彼岸頃までは、明るい半日陰に移動しましょう。
また、冬に5℃を下回ると葉を落とすことがあるので注意。しかし葉を落としたからといって早々に枯れたと判断せずに、翌年の春まで待ってください。生育期になって再び芽吹くことがあります。
サンタンカのよくある質問

サンタンカはどのくらい成長する?
サンタンカは低木に分類され、自然樹高は30〜100㎝と比較的コンパクトに生育します。8〜10号の鉢に植えれば、大きく育って見応えのある花木となりますが、あまり大きくしたくない場合は6〜7号鉢に植えて、適宜剪定してコンパクトな樹形を保つとよいでしょう。樹高は剪定によってコントロールすることができます。
サンタンカの冬越しはどうしたらいい?
サンタンカは熱帯植物で、自生地は一年を通して暖かい環境です。一方で日本は四季があって冬の寒さは厳しく、零下まで気温が下がります。そのため冬に戸外に置いたままにすると枯れてしまうので、気温が10℃を下回るようになったら必ず室内や温室などに入れる必要があります。日当たりの悪い場所に置くと弱るので、日中に日が差す場所に置くことが大切です。冬は生育が止まるため水やりは控えめにし、肥料は必要ありません。
サンタンカに似た花はある?

サンタンカと同じくアカネ科で、属の異なるペンタス属のペンタスが、サンタンカに似た花を咲かせます。ペンタスは常緑性の低木で、樹高は30〜150cmほど。開花期は5〜10月で、花色は白、赤、ピンク、紫などがあります。原産地は東アフリカからイエメンで、熱帯植物のためサンタンカと同様に寒さに弱いのが特徴です。花がサンタンカに似ていることからクササンタンカの別名を持っています。
サンタンカで空間に華やかな彩りを添えよう

鮮やかな花色がトロピカルな雰囲気を醸し出すサンタンカは、開花期も長く庭やベランダを彩る夏の花鉢として大人気。寒さに弱いので冬越しがポイントですが、夏の暑さには強く容易に栽培できるので、栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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