宿根草の多くは春から初夏にピークを迎えますが、その後、夏になると咲くものが減り、庭が寂しくなりがちです。特に暖地、猛暑地といわれる地域では、なかなか花を咲かせるのが難しいのではないでしょうか。そこで、宿根草を数多く扱いガーデニング愛好家に支持されるショップ「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、暖地でも夏に花を楽しむ方法や、植物の使い方、おすすめの種類について教えていただきます。

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暑さに強い宿根草で夏も見どころを作ろう!

夏のガーデン

暑い時期は咲くものが少なかったり、暑さに負けてしまうなど、宿根草の庭では夏が悩みの種で、ガーデニングを諦めてしまう方も多いのではないでしょうか?

暑さが苦手なイメージのある宿根草ですが、実際は暑さに強くて猛暑の中でも咲く花はたくさんあります。それらを知っていれば、素敵なサマーガーデンは難しくありません。ぜひ、春だけでなく、夏にも見どころを作って庭づくりを楽しみましょう。

今回は、おぎはら植物園の男性スタッフ、Nさんの庭づくりを参考に、夏のガーデニングを解説します。Nさん曰く「男性らしいスタイリッシュさだけではなく、花々の躍動感、生命感を大切にした庭づくり」を心掛けているそうです。

春から夏へ。花のリレーを計算して植える

夏の庭の花
7月上旬、多くの花が咲き終わる頃から咲き始めるリアトリスやエキナセアなど。
植物リスト:リアトリス‘ゴブリン’/エキナセア‘チェリーフラフ’/アンバーボア‘デザートスター’/アサギリソウ

植えてすぐに咲く一年草と違って、宿根草は開花までに時間が必要です。例えば、夏咲きの宿根草を夏に植えても、よく咲かない、暑さに負けるという場合があります。宿根草は、本来のパフォーマンスを発揮させるために花期の半年以上前に植え付けて、しっかりと根を張らせ、その場所に馴染んだ状態にしておくのが大切。植え付けは、前年の秋冬までに行って、庭で越冬させること。時間をかけることで根の張りが強くなり、暑さに対しても耐性がつきます。できるだけ早く植え付けて、夏に枯れにくい丈夫な株に育てましょう。

植え込む際には花期や草丈をある程度計算して、春から夏、秋へと花のリレーが楽しめるように配置します。春咲き、夏咲き、秋咲き、それぞれの種類が混ざるように植えておくとよいでしょう。花期ごとにまとめて植えるよりも、ある程度分散させたほうがうまくいきます。

サマーガーデンの基本は、暑さに強い植物+酷暑対策

夏のガーデニング

いくら暑さに強い夏咲きの花でも、暑さ対策をしなければ、弱ったり、枯れてしまうこともあります。「以前、挑戦したけど、うまくいかなかった」そんな経験があったならば、土と環境に注目してみましょう。

  • 周囲の雑草や生い茂る庭木の整理をして風通しを確保する。
  • 庭土に軽石や砂利を混ぜて水はけをよくする。
  • 植栽の場所を一段高くする。

これらの方法を試してみてください。そして、暑さに負けないための育て方のコツは、

  • 植物を伸ばしすぎない(徒長させない)。
  • 余分な水分を与えず植物の強さを引き出す。

そうすることで、暑さに強い植物がさらに丈夫に育ち、元気に花を咲かせてくれます。

夏のガーデン
軽石や砂利を使った植栽例。養分や水分を抑えることで植物の耐性が高まり、暑さに強い引き締まった株に育つ。乾燥する季節は水やりで水分のコントロールを行う。ある程度、乾燥に耐える植物を使うのもコツ。
石を使ったガーデニング
石を使って一段高くした植栽例。底には培養土を入れ、あとは軽石のみを使っている。水はけをよくすることで高温多湿による根腐れや徒長を防ぎ、泥はね防止や雑草対策にも効果的。

夏のガーデンにこそ花の彩りを

夏に咲く宿根草

年々夏の暑さが厳しくなっていますが、暖地や猛暑地では、より暑さに強くて姿の変化が少ない、ローメンテナンスな植物が多く使われる傾向にあるようです。多肉質だったり、形の面白いユッカやアガベ、コルジリネなどがとりわけ人気が高いですが、シャープな印象でスタイリッシュな反面、成長がゆっくりなので姿の変化が少なく、風に揺れる風情や色彩が足りないなと感じませんか?

そこでプラスαとして活躍するのが、花の咲く宿根草。これらを加えることで一気に雰囲気が明るくなり、季節感が出て、花の躍動感も楽しめます。日々のお手入れや植え替えなどのお世話が多少増えますが、メンテナンスもガーデニングの楽しみの一つ。ぜひ、挑戦してみてください。

夏に咲く宿根草
花茎が伸び、花芽が膨らむ過程も美しい宿根草。

お洒落なサマーガーデンにおすすめ!
暑さに強い宿根草・多年草8種

サマーガーデンに向く宿根草

数ある夏咲き種の中から、暑さに強く丈夫な種類をご紹介します。「姿のお洒落さ」も加味してピックアップしました。スタイリッシュなサマーガーデンの演出にプラスしてみませんか?

Select① エキナセア

夏の代表的な宿根草の一つ。年々新しい種類が登場してバラエティーが豊富です。

エキナセア
エキナセア ‘ピンクパッション’
エキナセア ‘チェリー フラフ’
エキナセア ‘チェリー フラフ’
エキナセア ‘ブラックベリー トリュフ’
エキナセア ‘ブラックベリー トリュフ’

Select② コレオプシス

寒さにも暑さにも強い宿根草。夏から秋によく咲きます。

コレオプシス ‘スター クラスター’
コレオプシス ‘スター クラスター’
コレオプシス ‘ガーネット’
コレオプシス ‘ガーネット’

Select③ バーベナ・ボナリエンシス

背が高くなる宿根草のバーベナ。別名、三尺バーベナ。暑さに強く、初夏から秋まで咲きます。

バーベナ・ボナリエンシス

こぼれ種で増えて群生し、紫の花が宙を舞っているよう。

バーベナ・ボナリエンシス

バーベナの間に、グラスのペニセタム‘テールフェザーズ’が風に揺れ、ピンク花のセンニチコウ‘ファイヤーワークス’が紫花とコラボレーション。

Select④ クロコスミア

暑さに強く、丈夫で広がるように増えます。鮮やかな小花がサマーガーデンのポイントに。

クロコスミア‘ルシファー’
クロコスミア‘ルシファー’
モントブレチア(クロコスミアの交雑種)
モントブレチア(クロコスミアの交雑種)

Select⑤ アリウム‘ミレニアム’

近年登場した夏咲きのアリウム。暑さや寒さにも強い。

アリウム‘ミレニアム’

アリウムといえば春から初夏に咲く球根植物ですが、暑さに強く真夏に咲く種類が登場して注目を集めています。

Select⑥ ルドベキア・マキシマ

暑さや乾燥にも強い北アメリカの原種。2m近い高さで咲き、インパクトがあります。

ルドベキア・マキシマ

乾きやすい場所でもよく育ちます。

ルドベキア・マキシマ

葉色も美しいので花期以外も楽しめます。

Select⑦ アーティチョーク

つぼみを食用にするハーブとしても有名。大型で見応えがあるアザミの仲間。

アーティチョーク

大きな花がよく目立ち、インパクトがあっておしゃれな雰囲気。

アーティチョーク

大型で株姿も見事。花期以外も観賞できます。

Select⑧ ユッカ・ロストラータ

暑さに強いユッカの仲間。常緑で輝くような銀色の葉が一年中楽しめます。暑さだけでなく寒さにも耐えられます(おおよそ-10℃まで耐える)。

ユッカ・ロストラータ

若いうちは草花との植栽にも。成長がとてもゆっくりです。

ユッカ・ロストラータ
古い株になると幹が立ち、スタイリッシュな姿に。

Credit

写真&文/「おぎはら植物園」荻原範雄
長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『四季の宿根草図鑑 決定版』(講談社)。
「おぎはら植物園」https://www.rakuten.co.jp/ogis/

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