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虫が出ない!初心者も安心の“ハイドロカルチャー寄せ植え”でおしゃれな新生活

春の新生活、部屋にグリーンを取り入れてみませんか? 観葉植物の中でも今注目なのが「ハイドロカルチャー」という土を使わない育て方。
清潔・おしゃれ・虫がわかない・初心者でも安心! さらに数種類の植物を組み合わせた「寄せ植え」にすれば、アート感覚で楽しめるインテリアに。今回は埼玉・南浦和の人気園芸店「沼ノ上農園」の日暮準さんに、ハイドロカルチャー寄せ植えの魅力と作り方を教えていただきました。
目次
ハイドロカルチャーとは?土を使わない観葉植物の新しい育て方
ハイドロカルチャー(Hydroculture)とは、土を使わず、水と人工用土(ハイドロボールなど)で植物を育てる方法です。 水耕栽培の一種ですが、観葉植物をインテリアとして楽しむためにアレンジされたスタイル。
使用するのは、無菌で軽くて見た目も美しいハイドロボールや小石などの植え込み材。虫がわきにくく、においもほぼないので、室内でも清潔に植物を楽しめます。

ハイドロカルチャーはこんな方におすすめ!
- 植物を育ててみたいけど、「土」や「虫」が気になる方
- 忙しい毎日でも手間なくグリーンを楽しみたい方
- ワンルームやデスクなど、限られたスペースに癒やしを置きたい方
- おしゃれなインテリアとして観葉植物を取り入れたい方
- 初心者だけど、ちゃんと育てられるか不安な方
ハイドロカルチャーは、そんな「植物は好きだけど、ちょっとハードルが高い」と感じている方にこそぴったりのスタイル。水の管理もラクで、虫がわきにくく、清潔。だから、植物ビギナーにも安心して始められます。
観葉植物の寄せ植えの魅力

観葉植物は、一般的には1つの鉢に1種類の植物を植えて育てますが、複数の植物を組み合わせた「寄せ植え」も魅力的。
- ミニガーデンのような世界観! 小さな容器の中に多彩な植物が共存する姿は見ているだけで癒やされます。
- 高さ・色・葉の形のバランスで自分だけのレイアウトに! アート感覚で楽しめます。
- 省スペースでも存在感◎! 1つのガラス容器で、ぐっと空間が華やかに。
透明ガラスで失敗しない!初心者におすすめのハイドロカルチャー容器

ハイドロカルチャーにおすすめなのが、透明なガラス製の容器。これが便利かつおしゃれ! その理由は…
- 水の量がひと目で分かる:水を容器の底に1/3ほどためておけば、根が必要な分だけ吸い上げます。水の量を目で見て確認できるので、初心者も水切れの失敗がありません。
- インテリア性も抜群:中のハイドロボールや根の様子まで見えることで、ナチュラルで洗練された印象に。
容器選びの注意点(深さ・形状)
- 排水穴のないもの。
- 深さ:10cmほどがベスト。浅すぎると根が張れず、水分管理が難しい。
- 安定性:底が広い、または重みのあるものを選ぶ。
- 口の広さ:蒸れ防止のために、ある程度開いている形状が理想。
- ワイングラス型のようなおしゃれ容器は不安定になりやすく、根が張りづらいため、初心者にはやや難易度高め。

ハイドロカルチャーの寄せ植えに必要な資材と道具

① ミリオン(またはゼオライト)/水質浄化作用がある天然鉱物。水の腐敗を防ぎ、根腐れ防止・肥料効果アップ・ミネラル補給などでよりよく育つ資材。ハイドロカルチャーには必須。
② ハイドロコーン(小粒)/粘土を高温で焼き上げ発泡させたボール状のレンガのこと。無数の小さな空洞が水や空気を保ち、植物の根にとってよい環境を作る。病害虫の発生が少なく清潔で衛生的。ハイドロコーンでなくても、キレイに洗った小石などでもOK。
③ ガラス容器/今回使用の容器は直径約14cm、高さ約12cm
④ ハイドロカルチャー用の液肥/ハイドロカルチャー専用のものを使用すること。培養土用の液肥や肥料は病気や蒸れの原因になるためガイドロカルチャーでは不可。
⑤ 活力材/植え込み時に使用。メネデールなどの活力材は肥料と異なり、あげすぎによる失敗がないので安心して使える。

⑥ バケツ/植え込み時に根を洗うために水をはっておく。
⑦ 小さいシャベル/植え込み時にあると便利。
⑧ ピンセット/植え込み時にあると便利。
⑨ 水さし/水やりの際に使用。
初心者でもできる!ハイドロカルチャー寄せ植えの作り方を解説
<今回植え込む観葉植物>

① コルジリネ
② アジアンタム
③ トラディスカンチア
④ エバーフレッシュ

寄せ植えに使用する苗は、プラグ苗など小型の容器で育苗された観葉植物から選びます。水耕栽培用の小さな苗もたくさんの種類があり、店頭で水に浸かった状態で販売されています。直径5〜6cmの小さなポットに入っているものや、根がオアシスでおおわれたオアシス苗などがあります。輪ゴムでくくられている場合がありますが、輪ゴムはとらずに植え込みます。観葉植物のほとんどの種類がハイドロカルチャーで育てられます。
<作り方>

① 容器にハイドロボールを入れますが、その前に袋の中に手を入れ、手に汚れがついてくるようであればハイドロボールを水で洗います。小石を使う場合も同様です。

② 水の腐敗を防ぐためにミリオンをひとつまみ入れます。

③ さらに上からハイドロボールを容器の3/4ほど入れます。

④ 水をはったバケツにメネデールを規定量入れます。植え込み時には植物にストレスがかかるため、ダメージを防ぎ、その後の生育をよくするためにメネデールなどの活力剤を用いるのがおすすめ。

⑤ 苗をポットから抜き、根をバケツの中で洗います。特に通常の培養土で育てられているものは、ピンセットで丁寧に根をほぐしながら、よく土を洗い落とします。ハイドロボールに植えられている場合は完全に落とさなくても大丈夫です。また、オアシス苗は、オアシスはとらずにそのまま植え込みます。

⑥ 植え込む植物のなかで、最も背の高いもの、大きいものから最初に植えていきます。今回はエバーフレッシュから植えていきます。鉢の見る方向が決まっている場合、一番背の高いもの、大きいものは鉢の後方に配置します。全方向的に見る場合は、鉢の中央に配置します。
植え込み位置が決まったら、エバーフレッシュを置き、上からハイドロボールを少量入れて苗に寄せて安定させます。今回は一定方向から見ることを前提とし、エバーフレッシュを後方へ配置します。

⑦ 手前に他の植物を置き、上からハイドロボールを入れて植え込んでいきます。植物が増えてくると手を入れにくくなってくるので、ピンセットを使って配置するといいでしょう。

⑧ 鉢の手前に色のある種類をもってくるときれいです。植物同士の葉先が混ざるように微調整します。

⑨ メネデール入りの水を容器の1/3〜1/4ほど入れて完成。ハイドロボールが水を吸い上げ、水が上へ伝わっていき、根にちゃんと届くので、たっぷり入れなくてOK。入れすぎると根腐れの原因になるので注意。

観葉植物のハイドロボール寄せ植えの管理と置き場所

◾️水やり/水が常に容器の1/3〜1/4ほど入っている状態を保ちます。水の減り具合は季節や植え込んだ種類や数、置き場所などによって異なるので、よく観察して完全になくなる前に、水を足してあげます。水を一度に多く入れると水の循環が滞り、健全な生育を妨げます。植物が常に新鮮な水が吸えるように、水は容器の1/3〜1/4に留めて循環させるのがポイントです。

◾️置き場所/直射日光が当たらない明るい室内におきましょう。自然光がささなくても、室内の電気の光でも育ちます。窓辺の場合はレースや薄手のカーテン越しに光が当たるようにして、直射日光を避けます。
【避けたい場所】
- 葉焼けを起こすため、直射日光の当たる窓際は避けます。
- エアコンの風が直接当たる場所は避けます。
- 暗くて空気の動かない場所は避けます。
◾️肥料/ハイドロカルチャー専用の液体肥料を規定通り(製品の説明書に量や間隔など適量が記載されています)があげましょう。
◾️その他/枯れ葉や変色した葉を見つけたら取り除きましょう。放置するとカビなどの原因になります。
まるでブーケ! 観葉植物の寄せ植えレベルアップ編

草花の寄せ植えに「ギャザリング」という技法があります。苗を細かく分け、手の中で数種類をブーケのように組み合わせた状態で植え込む方法です。より繊細で複雑な表情を演出することができる技法ですが、観葉植物の寄せ植えでもこの技法が使えます。

水耕栽培用の観葉植物苗は、分けやすくなっているものも多いです。ギャザリングにする場合は、輪ゴムでくくってあるものは、輪ゴムを外すと細かく分けられます。メネデール入りのバケツの水で根を洗いながら、細かく苗をほぐして、組み合わせていきます。

今回は3束を作って1鉢に植えました。ギャザリングの場合、植え込み材料はハイドロボールより、「ベラボン®︎」が植えやすいです。ベラボン®︎は天然のヤシの実を原料とした植え込み材で、いったん水を吸うと膨らんで固定力が高まるので、株を細かく分けるギャザリングに適しています。

ベラボン®︎を使った場合の水やりは、ハイドロボールと少し異なります。水を容器の縁までたっぷり入れたあと株元を押さえ、鉢を逆さにして余分な水を流します。ベラボン®︎が白っぽくなったら、水やりのサインです。

上級者編ですが、草花でギャザリングをしたことのある方なら楽しんで作れるでしょう。観葉植物にもミニサイズのアンスリウムなど、お花が楽しめるものもあるので、ぜひ感性を発揮して作ってみてください。夏の暑い時期にも、涼しい室内で植物の美しい彩りが楽しめます。
Q&Aで分かる! ハイドロカルチャー寄せ植えの育て方
Q. 観葉植物のハイドロカルチャー寄せ植えの組み合わせのコツは?

A1. 観葉植物の葉は形も葉色もさまざまな。特に形に注目して異なる個性のものを組み合わせると、お互いに引き立て合い素敵にまとまります。
左上から時計まわりに/エバーフレッシュ、サンセベリア・キリンドリカ、ミューレンベッキア、フィロデンドロン、フィカス、アスプレニウム

A2. 斑入りのものやメタリックなものなど、緑色以外の色があるものを1つ加えると、華やかさが増します。
左上から時計まわりに/フィロデンドロン、ヒポエステス、トラディスカンチア、トラディスカンチア(ピンク斑入り)、ピレア、フィットニア
Q. 植え方のコツはありますか?

A. 植物が素敵に見える向きや個性を見つけて、それが生きるように植えます。例えば、この寄せ植えで中央に植えたフィロデンドロンは、根上がりのように仕立てられており、3股に分かれた太い根っこがユニーク。それを株元まで植えてしまうと、せっかくの面白い形が見えなくなってしまうので、根上がり部分が見えるように植えこみました。同じ種類でもそれぞれ個性が異なるので、一つひとつをよく観察して「素敵ポイント」が生きるように植えるのがコツです。
Q. 肥料は必要?
A. ハイドロカルチャーは無菌環境なので、有機肥料や土用肥料はNG! 「ハイドロカルチャー専用の液体肥料」を使用し、水に薄めて与えるようにしましょう。(月1〜2回)
Q. 植え替えのタイミングは?
A. 1年に1回植え替えましょう。鉢やハイドロボールを洗って、ミリオンを再度入れてリフレッシュさせます。植え替えることで、根詰まりを防ぎ、器やハイドロボールの交換で清潔さを保ちます。このタイミングで、大きく育ったものは株分けして別の鉢に植え替えて楽しむこともできます。春から初夏が植え替え適期です。
Q.根腐れやカビが出たらどうしたらいいでしょうか?
A.表面のボールを取り除いて交換しましょう。根が腐っていたら剪定し、新しい器と植え込み材で植え直しましょう。
まとめ:小さな器に、癒やしと季節感を詰め込んで

ハイドロカルチャーの寄せ植えは、誰でも気軽に始められて、暮らしにやさしい彩りを与えてくれる存在です。水と光、そしてほんの少しの手間で、あなたの部屋が癒やしの空間に変わります。
この春、自分だけの“ミニグリーンガーデン”をはじめてみませんか?
Information
沼ノ上農園
住所:埼玉県さいたま市南区太田窪2810
TEL :048-881-1223
営業時間:毎日10〜18時

創業から100年続く埼玉の南浦和にある園芸店。草花や観葉植物など、さまざまな植物を取り扱う。オンラインショップでは主にオージープランツを扱う。4代目の日暮準さんが寄せ植えや観葉植物の管理の仕方を指南するYou Tube「花屋のせがれのジュン」も好評。
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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