草花や木々が芽吹き、私達人間も活動的になる本番! 美味しい手作りサンドイッチを持参して、ピクニックに出かけたい季節到来ですね。爽やかな香りで「自然の胃腸薬」とも呼ばれる万能ハーブ「ディル」を使った特製サワークリームディップと、季節の焼き野菜をたっぷり挟んだごちそうBLTサンドイッチの作り方をご紹介します。
晴れた日の休日がもっと特別になる、食いしん坊のための美味しいピクニック術もご一読を。
目次
ピクニックはイギリス人の風俗習慣?

ピクニックの起源は「pique-nique」というフランス語ですが、イギリス人も大好きなピクニック。イギリスでは18世紀半ば頃、貴族たちが狩猟に行く際に、外で食事を楽しんだのがイギリス流のピクニックの始まりといわれています。
この頃はお弁当スタイルではなく、同行したシェフ達が外にテーブルをセッティングした本格的な食事だったとか。19世紀ヴィクトリア朝時代に入るとピクニックブームが到来。上流階級の人々は郊外の邸宅の庭に集まり、食事と社交、時には演奏会や、カードゲームを外で楽しんでいたのだそう。食事はパンにバター、ハムやチキンなどのお肉。欠かせないのがチーズ、さらにはキジのパイやらフルーツやケーキ、満腹満腹! の豪華絢爛な特権階級のアソビでした。

その後、公共公園と鉄道の広がりと共にピクニック文化は庶民にも広がり、19世紀半ばには史上空前のピクニック大流行。「ピクニックはイギリス人の風俗習慣」と言われる程になりました。
そして20世紀、自動車の量産化と同時にピクニックブームはアメリカにも広がり、ピクニックバスケットは、車の高級オプションとして発売されたり、とにかくみんなピクニックがしたい時代を迎えたのです。デートも家族行事もピクニック!
陶器だったピクニックセットは1930年代を過ぎるとプラスチックやメラミン素材にかわり、魔法瓶の水筒が登場しました。50年代アメリカではタッパーウェアーが生まれ、これまたピクニックに重宝されたのです。
食いしん坊のピックニック

私は海も山もある自然豊かな町「葉山」に育ったからか、ピクニックは得意な方。花も団子も楽しみたい、食いしん坊の私には、ピクニックというのは自然の中で美味しいものが食べられる、一石二鳥の遊び。
晴れた日は、美味しいサンドイッチと敷物を持って海に行くのが定番。真夏であればそれは「海水浴」という名前になるだろうけれど、春秋冬は「ピクニック」と呼ぶのが正解。時として「バーベキュー」という名にもなっちゃう、まるでピクニック七変化。

私の家からは「あっち」に行けば山があるし、「こっち」に行けばすぐ海がある。晴れて気持ちのよい朝は「あっち」にいこうか、「こっち」にいこうか迷うところ。
お気に入りの「SANDWICH BOX」にサンドイッチ(またはおにぎり!)とフルーツ、チップスを詰めて、いざ!出陣。

忘れちゃいけないのが、敷物。私はコットンがお気に入りです。何となく手元に集まった布たちはサイズもさまざま。お気に入りの敷物があると何かと便利。敷くだけじゃなく、海風が冷たくなったら、ちょいと羽織って暖もとれるし、バーベキューではテーブルクロスにもなっちゃう。
ビニールシートはベタベタくっ付くし、長持ちしないから、ぜひこの機会にお気に入りのコットンの敷物を手に入れてみてください。あと大きな水筒も忘れずにね!

夏はSUP(大きなサーフボードのようなもの)に乗って、海の上でサンドイッチやおにぎりを食べるのが、お楽しみ。パンにカマンベールチーズとレタス、摘みたての「ディル」を挟んだだけ。昨日の残りのご飯のおにぎりだって、外で食べれば最高に美味しい時間になるのです。
やっぱりオシャレなハーブ「ディル」

爽やかで、甘苦く重みのある不思議な香りで、オシャレ番長なディル。私はサンドイッチに挟むのが好きですが、ピクルスやサーモン料理にも定番のハーブ。ポテトやチーズとの相性も抜群です。すっきりとした香りのディルは、胃腸のはたらきを調整し、消化を助けてくれる作用があるのでこってりとした料理に合わせて使うのもおすすめです。揚げ物に添える、タルタルソースにディルが入っているのは、薬効を考えた上での食べ合わせなのかもしれませんね。

自然の胃腸薬ディル。日本へは江戸時代に生薬として伝わったようですが、エジプトでは5,000年以上も前から使われていたことが、医師の記録として残っています。古代ローマでは、ディル精油から作った強壮剤が富の象徴とされたり、魔女が魔術に使ったり、またその魔術を封じる為に使われたりと、もうハチャメチャ。「教会の種子(meeting house seeds)」とも呼ばれ、長い説教の間にディルの種をかんで空腹や退屈をしのいでいた、との記述も。
あ♡ あと、惚れ薬として使われていた例もあるみたいですよ。

私の畑では2種のディルが育っています。2種と言っても「買ってきた苗」と「昨年のこぼれ種」から昨年の10月頃に発芽したもの。今年は春に種子を播くのをやめて、冬の間に買った苗を植え付けて冬越しさせました。3月中旬で草丈25cmほどに成長しています。
ディルは春に種まきをすれば、早めに収穫できますが、開花までの生育期間が短いので大株にはなりません。10月ごろに播いておけば、小さな苗で越冬して、初夏の開花の頃には1mを越す大株になるでしょう。

ディルって子は太い根が真っ直ぐ下に伸びる、素直で堅実な「直根性」の植物。ナイーブな性格で根が傷つくと枯れてしまいます。他の植物のようにトレイで発芽させて、鉢あげして大きくなったら畑やガーデンに定植。という通常の手順を踏まずに「直まき」が私の経験からのおすすめです。

古本屋でハーブの本を見つけると「無意識の習慣」で買ってしまうのですが、読み比べるとどれも書いてあることがバラバラ。
他国の原作から日本語訳されたものでは、現地と日本の気候が違うし、時代が違えば解釈も違います。本からの「知識」も必要ですが、結局のところは自分で育てて「経験」してみないと、どれが正解か納得ができません。ぜひ! 今年の9月末、秋播きして冬越しさせてみてください。きっと大きく立派な苗になりますよ。
「ディルディップ」で作るBLTサンド

素晴らしい香りのハーブ「ディル」香るディップを作り、それをサンドイッチスプレッドにして、季節の焼き野菜を挟んだBLTサンドを作りましょう! ひと手間で、簡単につくれるごちそうサンドイッチです。
『ディルのサワークリームディップ』

サワークリームとマヨネーズで作る、イージー&シンプルなディップです。私が魔法の粉と称する「ガーリックパウダー」が隠し味。サワークリームのリッチな酸味とレモンのフレッシュな香り、ディルの心地よい香りがクセになる! サンドイッチにはもちろん、フライドポテトにも最高だし、タコスにも合うんだよなぁ。トルティーヤチップスに添えれば、簡単パーティーフードに。イタリアンパセリやタイム、チャイブ、バジルで作っても美味しいです。
■ 材料

- サワークリーム 1カップ
- マヨネーズ 1/4カップ
- ディル 6本〜好きなだけ
- レモン 半個
- ガーリックパウダー 小さじ1
- 塩胡椒 適量
■ 作り方

① ディルはみじん切りにする。硬い茎は外し、レモンは絞っておく
② 全ての材料をボウルに入れ、滑らかになるまで混ぜる
『ディルディップのBLTサンド』

ディルのサワークリームディップは色々な楽しみ方がありますが、おすすめはBLTサンドイッチ。BLTってのは、Bacon(ベーコン)・Lettuce(レタス)・Tomato(トマト)の入ったサンドイッチのこと。私流はそこに季節のグリル野菜を入れること。今回は旬のブロッコリーを使いました。冬から春はカリフラワーや菜の花、夏はズッキーニやナスがおすすめです。サンドイッチに焼き野菜の香りとジューシーさが加わって、さらにご馳走。美味しさの秘訣は、エーィ! とたっぷりディップを塗ることです。
■ 材料

- お好みのサンドイッチパン
- ベーコン
- レタス
- トマト
- 季節の野菜 適量 ※今回は茎ブロッコリー
- ディルディップ
■ 作り方
① フライパンでベーコンと茎ブロッコリーを焼く

② お好みでトーストしたパンに、たっぷりの「ディルのサワークリームディップ」を塗る。

③ 具材を挟み、仕上げにディップを添えて完成!


「ピクニック」という言葉の響きは、なんだか可愛い。無邪気な感じもするし陽気な感じもする魔法の言葉♡ 晴れた日はカバンに敷物と水筒、そしてこのサンドイッチを詰めて、外に出かけてみては? 春の日差しを全身に浴びて光合成! 浮かれ気分で美味しい春を過ごしましょう。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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