魔法のハーブ「フェンネル」を健康や美容に役立てよう【プロが解説する育て方&活用法】
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柔らかくフワフワの葉が特徴のフェンネル。甘く爽やかな香りのハーブで、魚の生臭さを効果的に消すことから魚のハーブとも称されます。また古来から現在まで、優れた薬効やダイエット効果から女性の強い支持があるのも見逃せません。この記事ではフェンネルの特徴とその栄養成分や利用法、品種や育て方までを栽培のプロが詳しく解説します。
目次
フェンネルの基本情報

植物名:フェンネル
学名:Foeniculum vulgare
英名:Fennel
和名:ウイキョウ(茴香)
科名:セリ科
属名:ウイキョウ属
原産地:ヨーロッパ南部〜アジア西部
形態:多年草
地植えで育てると、草丈1.5~2mになる大型のハーブです。一年草のハーブであるディルによく似ていますが、フェンネルは常緑の多年草です。
古代エジプトや古代ローマなど、最も古来から栽培されてきた植物の1つで、優れた薬草として、またスパイスや料理用としても広く利用されまてきました。古代ローマ時代にダイエット効果があるとして女性に人気でしたが、現在でもそのダイエット効果でブームになったこともあります。
よく似たディルと同様に魚のハーブとして知られ、魚の生臭さを効果的に消します。沖縄では胃腸薬に由来する「イーチョバー」の名で島野菜として親しまれており、沖縄のソウルフード・魚汁に欠かせません。
種子もさまざまな利用法があり、すりつぶしてスパイスにしたり、また漢方薬や医薬品などの原料にもなっています。
花から種子へと移ろい始めているフェンネルの花房。Lialina Olena/Shutterstock.com
フェンネルの花や葉の特徴・性質

園芸分類:ハーブ、草花
草丈:1~2m
開花時期:6〜9月
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:黄色
葉は羽根状に細かく裂け、柔らかく繊細な印象です。銅葉の品種は、ボーダー花壇などによく使われます。
初夏から夏に茎が伸び、傘を広げたような黄色の小花が固まって咲きます。花にも葉や茎と同様の香りがあり、エディブルフラワーや切り花にも利用できます。
夏の高温乾燥を嫌い、種子ができると枯れてしまうことも多いですが、こぼれ種でよく増えます。また花後に株元から子株が出てきます。
フェンネルの利用法

ビタミンやミネラル、食物繊維など、健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれており、葉や茎、花、種子に至るまで、余すことなく利用することができます。
薬用
葉や種子などに含まれるアネトールという成分は、腸を刺激して食欲増進や消化を助ける効果があるといわれています。また女性ホルモンと同様の働きがあるフィトエストロゲンを豊富に含み、女性の更年期障害や生理不順、不眠などに効果が期待できます。さらに体を温め、口臭ケアに優れた効果があります。
料理
フェンネルはディルによく似ているだけでなく、ディルの代用としてピクルスなどに使うことができます。また魚のハーブとして重宝され、包み焼きやサケのバター焼きなどに加えると風味が一段とよくなります。イタリア料理では不可欠のハーブで、スープやサラダ、パスタ、ソースなどさまざまな料理によく使われます。乳製品と相性がよく、ホワイトソースを使ったグラタンやドリア、シチューなどにおすすめです。
ハーブティー

葉や種子をハーブティーとして利用することができます。葉のほうが香りが柔らかく、飲みやすいでしょう。
食前食後のフェンネルのハーブティーは、消化を助ける効果が期待できます。初期の風邪や咳止めに、ハチミツ入りのフェンネルティーもおすすめです。フェンネルに含まれるアネトールは、咳止め薬にも配合されています。
種子
漢方薬のほか、胃腸薬、歯磨き粉などの原料になります。粉末にしたフェンネルシードは万能なスパイスとして知られ、パンやケーキの風味付け、ザワークラウトやピクルスなどにも使われます。
種子には食欲を抑える効果やダイエットによい成分が豊富で、空腹時に食べるために携帯するなどして利用されてきました。また炒って砂糖をまぶしたフェンネルシードは、インド料理店などで食後の口臭消しとして置かれています。
フェンネルの仲間
ブロンズフェンネル

銅葉がよく茂り、食用として利用できます。柔らかくボリュームのある株姿が庭のよいアクセントになり、イングリッシュガーデンなどでもよく植えられています。
フローレンスフェンネル

根元が肥大して食用となるイタリア野菜です。草丈は低く、土寄せしながら一年草として栽培されます。サラダやスープなどに使われます。
フェンネルの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜9月
植え付け:3~6月、9月中旬~10月
植え替え:4~7月、9~10月
肥料:4~6月、9~10月
入手時期:3〜10月
フェンネルの栽培環境

適した環境・日照条件・置き場所
日なたから半日陰の水はけがよく肥沃な場所が適します。高温乾燥を嫌うので、夏は鉢植えを午前中だけ日が当たる半日陰に移動するとよいでしょう。
春から秋の室内の日当たりのよい場所は、温度が上がりやすいため栽培に適しません。
生育温度
10~30℃の温度下でよく生育します。比較的寒さに強いので、関東地方などでは屋外で越冬します。鉢植えを室内の日当たりのよい場所に置くと、よく生育して葉も収穫できます。
寒冷地では春に植えた株は強い霜などにあたると地上部が枯れますが、根は枯れずに生き残ることが多いです。
フェンネルの植え付け・植え替え

苗の入手
種子もよく販売されていますが、ポット苗を入手して植え付けるのが手軽です。大きく育つので、1株でもたくさん収穫できます。大きな株は根付きにくいので、小さな苗を植えるとよいでしょう。
花壇や畑の植え付け
植え付け2週間前に、直径・深さともに30~40cmの穴を掘り、堆肥などの有機物と有機配合肥料などを混ぜて埋め戻します。酸性の強い土壌では、石灰も加えてください。通常は堆肥などをよく混ぜれば、問題なく育ちます。4月以降に苗を植え付け、たっぷりと水を与えてください。
直根性で細根が出にくいため、根鉢をくずさないように植えます。密生させると病害虫が発生しやすくなるので、株間は40~60cmあけるとよいでしょう。
鉢植えでの栽培
ポット苗を購入したら、5号鉢に植え替えてください。株が充実したら、8~10号の深鉢に最終的に植えます。
用土
草花や野菜に広く使える、一般的な培養土でよく育ちます。配合する場合は、赤玉土小粒6、腐葉土4などの用土が適します。
フェンネルの育て方・日常の手入れ

水やり
鉢植えは、表土が乾いたらたっぷりと与えます。冬は、やや乾かし気味に管理してください。
地植えの場合は、水やりしなくても十分育ちます。ただし乾燥させるととう立ちが早くなり、葉の収穫量が減ります。晴天が続いて土壌が乾燥している場合は、水やりすると多く収穫できます。
肥料
鉢植えは、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えます。地植えで堆肥を入れてよく土づくりした場合は、元肥だけでもよく育ちます。多く肥料を与えると、背が高くなった時に風などで倒れやすくなります。早く成長させたい場合は、液肥を1~2週間に1回与えると効果的です。
病害虫

病害虫の被害は少ないですが、キアゲハの幼虫が発生することがあります。1匹でも葉が無くなるほどの被害を受けるので、早めに防除しましょう。小さなうちは黒く目立たないので、注意してください。
フェンネルの収穫

草丈が20cm以上になったら、葉を収穫できます。はじめは外側の葉を少量収穫するようにしてください。生育初期に多く収穫すると、生育が著しく遅れて次の収穫までの期間が長くなります。
花後は風味が落ちるので、6月に切り戻すと秋に柔らかい葉を収穫できます。
花が咲く前の若い茎は柔らかく、食用に適します。花はエディブルフラワーとしてサラダや料理に使えます。未熟な緑色の種子は、生で食用にできます。
栽培しやすく生活を豊かにするフェンネル

フェンネルは栽培が簡単で、初心者でも育てられます。風味がよく魚料理をはじめ幅広い料理に使え、さまざまな用途で重宝します。健康に役立つ栄養が豊富に含まれており、ダイエットや胃の不調など、体にとってもいろいろな効果が期待できます。薬草として最も古い時代から栽培されてきたというのも納得の魔法のハーブです。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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