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【植物辞典を使いこなすコツ】上手に育てるにはまず植物を知ることから

【植物辞典を使いこなすコツ】上手に育てるにはまず植物を知ることから

『園芸植物百科事典A-Z』<br>(編集責任クリストファー・ブリッケル、監・訳横井政人、誠文堂新光社刊)

植物について知りたいときに、手に取りたいのが植物図鑑。みなさんは開いたことはありますか? ページごとに、さまざまな情報がぎゅっと凝縮されている植物図鑑は、読み解くためにちょっとしたルールを知っておくと便利です。ここでは『園芸植物百科事典A-Z』を例にとって、植物図鑑の見方についておさらいをしてみましょう。

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15,000種を超える植物を掲載する園芸植物の事典の代表

英国王立園芸協会の監修のもと、1996年に出版された『RHS A-Z Encyclopedia of Garden Plants』。6,000枚以上の写真を用いて15,000種を超える植物について記載してあり、現在に至るまで改訂を重ねて出版され続けている園芸植物の事典の代表といえる存在です。この図鑑を、日本の植物の専門家17名が協力して翻訳したものが、ここで紹介する『園芸植物百科事典A-Z』(誠文堂新光社刊)。園芸植物について正確な情報が網羅されていて、ガーデナーにとってはぜひ手元に置き、気になったときにいつでも開きたい一冊です

それでは、さっそくこの植物図鑑を読み解いていきましょう。

『園芸植物百科事典A-Z』の使い方

まずは凡例のページを開いてみましょう。このページでは、読み方や図鑑内での決まりごとに関する説明がされています。図鑑は一見、文字がびっしり並んでいて、小難しそうですが、実際に読んでみると意外と簡単。ここでは、紹介する『園芸植物百科事典A-Z』の方式に則って見ていきます。

各ページの読み方は後述しますが、ここでこの図鑑の中における記号の使い方を確認しておきましょう。例えば耐寒性については、「*」の記号で表されており、「*」の場合は半耐寒性(0℃程度まで)、「**」の場合は耐霜性(-5℃程度まで)、「***」は耐寒性(-15℃でも大丈夫)、「*」が無い場合は非耐寒性と分かれています。

凡例を確認したら、さっそく図鑑を使ってみましょう。

まず、調べたい植物のページを探さなければなりませんね。

掲載されている植物は、属名のアルファベット順に並んでいます。

植物は「科」と「属」、学名から見つける

ここでいう「属」とは、一つ以上の似た特徴のある植物をまとめたもの。例えば、さまざまな品種があるバラは、ノイバラやハマナス、モッコウバラなどとともに、すべてバラ属に含まれます。ちなみに「属」よりも一つ大きなくくりは「科」と呼びます。ラズベリーはキイチゴ属、サクラはスモモ属に属していて、大きなカテゴリーであるバラ科の仲間になります。アルファベットで属を分けて記載してあるこの本では、バラ属の植物は「Rosa」、つまりRのページに記載されることになります。お目当ての属名を探す時には、図鑑側面に記載されたアルファベットが目安になります。バラについて調べたい場合は、まず「R」のエリアに飛び、そこからアルファベット順に探せばよいということです。

側面に記載されたアルファベットは、ページを探すための道しるべとして重宝します。

これで植物の掲載されたページの位置が分かりました。では、実際に調べたい植物のページを開いてみましょう。

園芸品種が多く、多様な種類があるバラについては多くの説明が記されています。

それぞれの項目は、属名が見出しとして掲載され、その下には読み方が載っています。続いて、日本語の和属名、英名、科名が記載されます。例えばバラだったら属名が「Rosa」、和属名が「バラ属」、科名が「バラ科」と、こうなるわけですね。英名は掲載されていないものもあります。この見出し部分の数行を読むと、属、科、それから英名の情報が手に入ります。

続いて、より詳しい植物情報について見ていきましょう。

植物の特徴と栽培知識を完結に解説

見出しの下の本文には、属の簡単な特徴や利用法、栽培に関する知識などが紹介されています。微に入り細を穿って、というわけではありませんが、押さえておきたい必要事項が簡潔にまとまっているので、ぜひ目を通したいところ。

数多くの園芸品種を持つものは、いくつかの品種の写真を並べて説明します。品種紹介は全部で1,015ページに渡ります。

さて、ここまでが各属に関する説明でした。ここから先は、個別の品種に関する説明になります。『園芸植物百科事典A-Z』では、亜種だけでなく膨大な園芸品種や園芸名についても幅広くカバーしているのが大きな特徴。それぞれの園芸品種について、学名のほか、和名、園芸名、通称名、英名などの名前も併せて記載してあります。同じ植物にも異なる名前がつきやすい園芸業界では、名前の確認は欠かせない作業です。それぞれの品種の特徴や、草丈、耐寒性などの情報も得ることができます。バラは園芸品種が多いため、複数ページにまたがって品種の紹介が記されていますが、他の植物は半ページほどで終わるものも。そんなところからも、品種改良が進んだ植物とそうでない植物の違いなどを知ることができるのも面白いですね。

エンジェルストランペットの名で知られるブルグマンシアの説明は半ページほど。

植物の属名が分からない場合は、図鑑の最後にある索引へ。ここでは属名はもちろん、園芸名や通称名から、ページ数を逆引きすることができます。図鑑という性質上、こちらから引く人のほうが多いかもしれません。

園芸コラムなどガーデニングが丸ごとわかる

また、図鑑の内容だけでなく、園芸のコラムページもぜひ読んでみてください。ガーデナーが知っておくべき植物の知識や育て方などがまとまっていて、ガーデニングの教科書としても使えます。これ一冊が手元にあれば、ガーデニングに必要な知識や項目に、いつでもアクセスすることができます。

植物図鑑の基本的な見方、いかがでしたでしょうか。ぜひ一度、園芸品種を網羅した『園芸植物百科事典A-Z』を手に取って、その面白さに触れてみてください。植物図鑑の記述は、どこ一つとっても無駄がない情報の塊です。それだけに、読み方のルールが分からないと、大切な情報を見落としてしまうかもしれません。でも、ルールさえつかめば、信頼できる情報をたっぷりと得ることができます。

調べてみたい植物はありませんか? さあ、植物図鑑を開いてみましょう。

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Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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