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実録! バラがメインの庭づくり第7話~コガネムシとの戦い

実録! バラがメインの庭づくり第7話~コガネムシとの戦い

自宅で庭づくりをしている人にとって、「住み替え」は、庭の移転という大仕事も同時進行になります。このたび転居を機に、新しい庭づくりに一から着手することになった神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんによる庭づくり奮闘記第7話。バラが二番花、三番花と開花を進める夏の間、株を健全に維持するために行うお手入れについて、気を付けたいポイントを教えていただきます。

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梅雨明けから盛夏のバラ栽培の悩みとは

梅雨のバラ手入れ

今年の梅雨は、雨天の日が多く、なかなか外での作業が進みません。

そんな庭では、前回の第6話でご紹介した黒点病やうどん粉病などのバラの病気に加えて、コガネムシが猛威をふるっています。

コガネムシによるバラへの被害

バラとコガネムシ

コガネムシとは甲虫類のことで、バラに被害を与える種類には、マネコガネ、ヒメコガネ、ドウガネブイブイ、ハナムグリ、ゾウムシなどが挙げられます。

これらは食害性害虫で、成虫は5月頃から飛来し、バラの花弁やつぼみ、葉などを食害します。そして、土の中に潜って産卵し、孵化した幼虫は根を食害しながら越冬し、成虫となったものが翌春から夏にかけて地上に出て再び食害します。幼虫にほとんどの根が食害されてしまうと、いくらバラの肥料を与えたとしても、ひどい場合は枯れてしまうことがあります。

コガネムシの対処法をご紹介

バラとコガネムシ

成虫、幼虫とも対処方法は「見つけ次第捕殺」することです。では、具体的にそれぞれの対処法をご紹介しましょう。

【コガネムシの成虫の場合】

私は、虫を手で捕まえたりすることは、何の抵抗もなく行えますが、苦手な人は、市販の薬剤に頼るのがよいかと思います。甲虫類に効果のあるスプレーや乳剤など、説明書をよく読んでご使用ください(※薬剤によっては、散布をした場合、花弁などを飲食に使用することができなくなるものもありますのでご注意ください)。

また、雄を誘引する性フェロモンと、両性を誘引する食物誘引剤を使用したフェロモントラップなど、コガネムシを誘引して駆除する方法もあります。

【コガネムシの幼虫の場合】

コガネムシの幼虫

特に鉢植えで育てている場合は、冬に鉢の土替えを行う際に、必ず土の中にコガネムシの幼虫がいないかチェックし、駆除する必要があります。地植えの場合も安心せずに、見つけ次第、駆除します。ご自身の手で捕殺するのが苦手な方は、土に撒くだけの粒剤などを使用すると楽で効果があります。また、コガネムシの幼虫は腐葉土を好むため、バラの用土や株元には腐葉土ではなく完熟堆肥を使用するとよいでしょう。

皆さんがバラを育てる目的や、ご自身に合った方法で、バラを食い荒らすコガネムシたちとの戦いに、ぜひ打ち勝ってくださいね。

新しい自宅で懐かしむバラの香り

ローズリキュール

さてこちらは、昨年、以前の庭に咲いた‘ウィリアム・シェイクスピア2000’(En.R)と‘マイカイ’(Ch)、食香バラの‘豊華’をリキュールに漬けておいた「ローズ・リキュール」です。

ローズリキュール

よく漬かった「ローズ・リキュール」に炭酸水とレモン汁を入れて。夏にもおすすめの飲み物です。

リキュールの簡単な作り方をご紹介します。

<材料A> 香りのよいバラの花弁……容器の約2/3の量

<材料B> 氷砂糖……容器の約1/4の量

容器にAとBを入れ、35度の焼酎(リキュール)をAとBが全て漬かるように注ぐ。そして密封し、1カ月以上、冷暗所に保存してでき上がり。

中の花弁は、そのまま漬けておいても、こし器で取り除いても、どちらでもOKです。

バラがたくさん咲いたら、ぜひ試してみてください。

バラの庭

以前の庭は、残念ながらもうなくなってしまいましたが、このリキュールをいただいていると、庭の香りが蘇るようです。

たくさんのかけがえのない日々を、あの庭でバラたちと共に過ごしてきたことが思い出されます。

バラの庭

以前の住まいは、家と庭の間に玄関ポーチを広めに取ったお気に入りのスペースがありました。私自身がイメージしたスケッチを大工さんに渡し、つくってもらったのですが、その広めのポーチでは、庭仕事の合間に休憩したり、お茶を飲んだり、バラをお披露目するパーティーの際は、華やかにお菓子や花を飾ったり……。お客様の笑顔や楽しい会話に包まれて、おかげさまで、美しい時間を過ごすことができました。

新居に設けた庭にアクセスする半戸外空間

バラの庭

先日、無事にすべての引っ越しが終わった新しい住まいでも、家と庭の間に、小さなスペースを設けました。

バラのコンサバトリー

4畳半弱のコンサバトリーですが、雨天でも窓のすぐ外に咲いているバラを眺めることができます。また、全面扉を開け放つこともできますが、蚊が入らないように網戸も設置したので快適です。

バラの庭

以前の庭では、6月以降は蚊が発生するためポーチを利用しにくかったのですが、今回はその経験を生かしたことで、蚊の心配は少なく過ごせそうです。

バラの庭の絵

写真は、日本画家の木下美香さんが描いてくださった以前の庭と、バラ‘ワイズ・ポーシャ’(En.R)。蚊にたくさん刺されたことも、想い出の一つです。

こうして引っ越しが一段落して、改めて以前の庭が懐かしく思えています。

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