神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみ -「日本ローズライフコーディネーター協会」代表-
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみ -「日本ローズライフコーディネーター協会」代表-の記事
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実録! バラがメインの庭づくり第5話~バラの開花を心ゆくまで愛でる
私たちを癒やすバラの存在 今年もバラの季節がやってきました。 ただ例年と大きく違うのは、多くのバラ園が休園となり、外出も自粛という状態です。 その一方、「おうち時間」が増えたことで、自宅でガーデニングに励しむ時間も増え、不安やストレスを癒やす心のケアを、植物に求めるようになった方も多いと感じています。癒やしをくれる植物の中でも、特にバラは、花色や花形の美しさに加え、芳香の面からも人に力をくれる存在です。 そんなバラたちは、私にとってもなくてはならない存在です。思いがけず住まいを引っ越すことになりましたが、それまで育ててきたバラとも変わらずに、ずっと一緒に暮らしたいという思いから、新しい庭へバラも移植することにしました。その数は、約90品種。今年の1月から移植を始め、そして迎えた5月。新しい庭で初めて咲くバラたちの姿を見ることができ、感無量です! 門まわりに咲くバラたち 家の顔ともいえる門まわりには、明るく元気が出るような黄色~クリーム色、白やアプリコットといった花色のバラを植栽しました。中でも、門の前で出迎えてくれる多花性の元気なバラは‘ゴールデン・ボーダー’(F)です。 門柱の石の色に合わせて、イングリッシュローズの‘クロッカスローズ’(クリーム色)と‘アブラハム・ダービー’(アプリコット色)、HTの‘オフェリア’(手前のクリーム色)などを植栽しました。 バラのボーダーガーデン バラがメインのボーダーガーデンの足元には、リクニスやリナリア、オルレア、ハーブのヤロウなどを植栽しました。 小花が風に揺れ、バラとバラをつないでいます。優しい印象のナチュラル風ガーデンに見えるよう、心がけて草花を混植しました。 フェンスを彩るバラたち フェンス周りにもたくさんの花が咲いています。バラは、風通しと日当たりを好むことを考慮して、塀を高くすることはせずに、フェンスを設置しました。日当たりがよい分、毎日水をしっかり与えることが大切です。 フルーティーな香りに、グラデーションがかる大輪のアプリコットピンクの花が美しいイングリッシュローズの‘アブラハム・ダービー’は、半日陰の以前の庭と比べて、だいぶ元気になり、ホッとしています。 ‘メイ・クイーン’は、3mを超す大きな株だったので、移植しても大丈夫だろうかと心配でしたが、とても元気よく枝を伸ばし、花を咲かせてくれました。本当によかったです。 東側の隣家との間に設けたフェンスに誘引したのは、上方に‘プロスペリティ’(HMsk)と、その下方にはローズ・ドラジェ色といわれる‘ルイーズ・ドゥ・マリアック’(S)(下)。右下は、‘ボレロ’(F)です。 ‘プロスペリティ’も、以前の庭より元気になりました。 アンティーク風のフェンスに、アイボリーの花色がマッチしています。 暮らしの中でもバラ咲く喜びを味わう 庭に咲くバラや草花の姿をただ眺めることができるだけでも喜ばしいことですが、自分で面倒をみながら育ててきたバラや草花を摘んで、花瓶に活けたりアレンジメントにして飾れるようになったことも、とても嬉しいことです。 庭を眺めながら、お茶をいただく至福のひととき。 新居では、バラの庭に面する場所にコンサバトリーを設けました。雨の日は、この部屋からもバラを眺められますし、お天気がよい日は扉を大きく開いて、まるで庭にいるような感覚で食事をすることができます。 パウダーピンクのバラ‘メルヘンツァウバー’(F)を中心に、左右に‘プシュケ’(S)、黄色のバラ‘ゴールデン・ボーダー’、オルレア、カモミール、シルバーレースを添えて。 ケーキにもバラの花びらを飾りに使うことができます。 なお、バラの花弁を飲食に利用する場合は、農薬を使用せずに栽培しましょう。病害虫予防には、有機農産物栽培に使用できる有機JAS適合資材を選ぶ必要があります。 無農薬栽培をするために植え付け時やお手入れに使った資材については、以下の記事を参考に。 ●実録! バラがメインの庭づくり第3話 ~移植したバラ、春の管理方法〜 植え付けから開花までの管理を日々頑張ってきたおかげで、今年のバラの季節にも、こうして自宅でバラの花を愛でることができました。 それぞれのバラを見渡しながら、よくぞ移植に耐えて咲いてくれたと、感謝の思いがこみ上げます。 本来の樹形や樹勢に戻るまでには、もう少し時間がかかりそうな品種もありますが、焦らず、楽しみながら面倒を見ていくつもりです。 そして、また新たに庭にバラを迎えて、理想の庭に近付けていきたいと願っています。どんなバラを選んだかは、またの機会にご紹介できたらと思います。
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実録! バラがメインの庭づくり第4話~開花直前4月の管理方法
順調に生育するバラたち 以前の庭から冬の間に移植したバラは、生育には個体差はありますが、なんとかほぼ順調です。 2020年の春は、関東地方でも暖かく気温の高い日が多いかと思えば、突然雪が降ったりと気温の変化が激しい毎日でした。そんな中でも4月になると、さまざまな草花が花開き、バラもつぼみを膨らませています。 この時期は、いよいよもうすぐ始まるバラの開花シーズンに向けて、楽しみながら、バラが少しでもご機嫌よく、美しく咲いてくれるよう、少し手を貸しながら引き続き見守っていきましょう。 生育の個体差の原因とは? 庭を見回ると、とても順調に葉を展開し、つぼみをたくさんつけているバラの中に、つぼみどころか葉の展開が遅く、心配なバラを見つけることがありました。 このような心配なバラを見つけたら、どうしたらよいのでしょう。 まず、展開が元々ゆっくりな性質の品種かどうかを調べ、そうであれば安心してそのまま成長していくのを待ちます。しかし問題なのは、展開が元々ゆっくりな性質の品種ではないのに、展開が遅いバラです。 まず考えられる原因は、 移植の際、根を切り過ぎたなど、根が傷み、水分や栄養分を上手く吸い上げられない。 短くなった根に対して、枝の長さが長過ぎたり、本数が多いなど、根と地上部とのバランスが悪い。 移植した場所が、そのバラの適地ではない。 雨が降ったとしても、軒下などに植えられているため雨が当たらず、水分不足になっていた。 根が肥料焼けを起こしてしまった。 植えた場所の土が粘土質など、固すぎる。 移植時期が間違っていた。 冬剪定が遅かった。 などが挙げられるかと思います。 私の庭の成長が遅いバラは、1、2、4が原因かと思いました。そのため枝の本数を減らし、芽を1枝に対して5~8芽ほど残して切り戻しを行い、雨が降った日の次の日であっても、そのバラには水をしっかり与えるようにしました。 では、この他に、具体的に行った作業をご紹介いたします。 「出開き」症状への対策 花芽ができる時期に寒さに当たってしまったり、日照や栄養が不足すると、「出開き」と呼ばれる、葉が2~3枚ほどのまま、いつまでたっても増えない状態になってしまうことがあります。株が弱々しい場合は、光合成のためにそのままにしておきますが、生育が順調な株なら、病気や蒸れの予防のためにも出開きを元から手で抜き取ります。 「ブラインド」症状への対策 「出開き」に比べて葉が展開したのにもかかわらず、いつまでも先端につぼみがつかない状態を「ブラインド」と呼びます。この場合、ブラインドの下の大きな5枚葉の上の部分(写真内赤い印)をソフトピンチ(手で折り取る)または、ハードピンチ(ハサミで切り取る)を行い、つぼみができるのを待ちます。ただし、病気や蒸れの予防のために必要ない小枝と判断した場合は、ブラインドのある小枝を元から除去することもあります。 ※枝の先端がまだ新しく柔らかい場合は、手で行うソフトピンチをおすすめします。理由は、新しい枝のダメージを最小限に抑えたいからです。 「シュートピンチ」で株を充実させる エネルギーを分散させて枝数を増やすことで葉や花数を増やしたい時、また、バランスのよい株に育てたいなどの際に、勢いのあるシュートや株元から発生したべーサルシュートの下から5~6枚の葉を残して、その上の5枚葉の上でピンチすることを「シュートピンチ」と呼んでいます。 順調に生育していけば、しばらくするとピンチした部分や、その下の段からサイドシュートが発生し、枝数が増え、葉や花数も増えます。 ただし、枝を長く伸ばしたいなどの場合は、シュートピンチは必要ありません。 開花前に施す「追肥」 この時期、生育が順調な株には、花数を増やすのが目的で、リン酸分の多い即効性のある液肥も有効ですが、移植などにより生育が芳しくない株には、リン酸分の多い液肥は控えめにし、花数よりもまずは株の充実を図ることが大切です。 また、固形の肥料は、液肥よりもゆっくり効果が表れるため、4月下旬前までには施肥を済ませます。 この時期に行う「病害虫予防」 4月は引き続き、つぼみをだめにしてしまうゾウムシに要注意です。また、徐々にうどん粉病も発生し始めますので、ご自身のバラを育てる目的に合わせた予防と対策を行ってください。前回も記しましたが、私はバラの花びらを暮らしに活用したい目的から、農薬を使用せずに栽培、または、化学殺虫成分不使用の有機農産物栽培に使える有機JAS対応資材を選んで病害虫予防に使用しています。 また、土壌改良とそれによる根張り、バラの健全な生育を期待して、活力液を土壌や葉に散布しています。 バラと一緒に育てる草花 上記のようなバラのお世話を日々行いながら、バラの株元に植える草花を選ぶのも、この季節の楽しみの一つです。バラに組み合わせて育てている植物をピックアップしてご紹介します。 黄色い花色のバラ‘ゴールデン・ボーダー’の株元には、レウカンセマム‘デイジーメイ’やビオラ、フランネルフラワー、カレックス‘エバーシーン’、ラベンダーなど。 バラが主役のボーダー花壇には、アガパンサス、ヤロウ、ネメシア・メーテル、リクニス・コロナリアなどが、優しい花色でバラを引き立ててくれることでしょう。 すでに花穂をあげているのは、ルピナス・テキセンシス。 ふわふわと花穂が光に輝くボリジとフローレンス・フェンネルが寄り添っています。このようなハーブ類も無農薬栽培のバラの庭には似合うと思うのです。 斑入りシャガを背景に、ビオラとリシマキアの組み合わせの一画。 シルバープリペットの緑もみずみずしく。 大輪ネメシアのネシアと赤葉のヒューケラ・ドルチェ‘チェリーコンポート’が彩り鮮やかに。 もうあと少しでバラが咲き誇る嬉しい季節がやってきます。 今年は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、バラ園は休園になるところが多く、本当に残念でなりません。せめて、日々のお手入れの時間から、その一瞬、一瞬をかけがえのないものと思い、大切に過ごしていきたいと思います。 併せて読みたい ・実録! バラがメインの庭づくり第1話 移植作業を行う前までにすべき10のこと ・バラの大敵・黒星病の予防&対策をバラの専門家が解説 ・【バラの育て方】初心者さん必見!バラの基本的な育て方と種類・病気を解説
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実録! バラがメインの庭づくり第3話 ~移植したバラ、春の管理方法〜
バラの開花を待ちながら 前回『実録! バラがメインの庭づくり第2話 〜冬の植え付け編〜』でご紹介した冬に移植したバラ苗も、3月になると新芽が出て、春の息吹が感じられるようになりました。 今回は、移植したバラたちが、新しい庭でこれから元気に育つよう、少し手助けとなるような春の管理方法をご紹介いたします。 1.大切なのは見回りと観察 バラの移植は、古株や大株になるほど負担が大きいものです。以前の庭で、長年育てていたものでも、移植時には根も枝も短く切り込むために、その後は生育が鈍る場合があります。 またその逆で、以前よりも元気に芽吹きを見せる苗もあり、どのバラも生育状況は同じと決めつけずに、よく見回って様子を観察しながら、個々の苗に合ったお手入れをすることが大切です。 2.春直前に行う剪定について 充実した芽を残す 2月下旬~3月上旬にかけて行う本剪定ですが、移植して間もない苗は、まず状態をよく観察することが大事です。芽吹きが順調な苗は、充実した芽を残して剪定し、芽吹きが遅れている苗は、しばらく様子を見ながら判断します。マニュアル的な剪定ではなく、個々のバラに合わせた剪定を行います。 また、移植した苗は、枝をかなり短くしていることが多いので、本剪定を必要としない場合もあります。 枯れ込んでしまった枝の剪定 写真のような、先端が枯れ込んだ枝がある場合は、その下の緑色の部分まで切り戻します。また、残念ながら茶色くなり枯れてしまった枝は、根元から切って整枝します。 3.芽かきの手順 移植した苗が順調だと、芽かきができるほど新芽が出てきます。同じ箇所からいくつも新芽が出ている場合には、一番よい芽を残して、他は手で抜き取ります。 芽かき前 芽かき作業「手で抜き取る」 芽かき後 株の内側に向かって伸びている新芽は、将来「ふところ枝」となります。通気性が悪く病気にかかりやすくなるので、これも抜き取っておきます。 取り除いた新芽 4.水やり 移植した苗が、元気に新芽を出し、また、芽吹いた新芽が元気に育つためにも、水やりはしっかり行います。 ただし、水はけが悪い場所に植え付けた場合は、根腐れを起こすことがありますので、水はけのよい用土に植えることが前提です。 移植した時に使用した活力剤ですが、その後も2週間に1回程度、水やり時に使用すると根張りがよいようです。 5.追肥「芽出し肥」を施す 3月頃に与える追肥を「芽出し肥」と呼び、この追肥はリン酸分の割合の多い肥料を施します。 ただし、肥料は多ければよいということではなく、適量を施すことが大切です。特に化成肥料は多すぎると根焼けを起こし、葉だけでなく株全体が枯れてしまうことがありますので注意してください。 与える量は地植えの場合で100g(袋の記載を参照)。ただし、冬の寒肥を十分撒いた、または寒肥を与えた後、あまり時間がたっていない場合などは、半分程度に減らすとよいでしょう。 6.病害虫予防 春、特に気をつけたいバラにとっての害虫は、新芽を食い荒らすゾウムシです。見かけ次第捕殺します。 もし、育てたバラの花弁を飲食やポプリなどに活用したい場合は、無農薬栽培、または、化学殺虫成分不使用の有機農産物栽培に使える有機JAS対応資材を選んで病害虫予防に使用します。 植物が目覚める季節に思うこと 新しい庭では、根付くかどうか心配していたバラ以外の植物も、花数は少ないですが無事に咲いてくれて、安堵しました。 樹形が整うまでは時間を要しますが、丁寧にじっくり育てていきたいと思っています。 バラも、5月の開花シーズンに向けて、つぼみを膨らませていく大切な時期ですので、引き続き、お手入れをがんばりたいと思います。
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実録! バラがメインの庭づくり第2話 〜冬の植え付け編〜
バラと四季折々の植物が生きる庭づくり 前回の『実録! バラがメインの庭づくり第1話 移植作業を行う前までにすべき10のこと』を済ませたら、いよいよ実際に、植栽プランニング図を見ながら、作業を行っていきます。 ただし、植物は生き物ですので、プランニング通りにいかないこともあります。臨機応変に楽しみながら庭づくりを進めていきましょう。 これから移植を行う新しい庭では、以前の庭と同様、四季折々の植物を愛でることができる、バラがメインのガーデンを目指します。 移植までの苗の準備 移植のために掘り上げたバラの苗は、水を張ったバケツに根を漬け、移動する際は、根が乾くのを避けるために、いったん鉢植えにするか、水で濡らしたキッチンペーパーや新聞紙などで包み、乾燥から根を守ることが大切です。 ただでさえ掘り上げた苗の根は傷んでいますので、大切に取り扱います。 枝も短くし、整枝してから植え付けます。 バラがメインの庭づくりのポイント1 バラが喜ぶ場所に配置(植栽)する バラは基本的には、日当たり、風通しを好む植物です。できる限り、バラが喜ぶ場所に配置(植栽)しましょう。 バラがメインの庭づくりのポイント2 各バラの特性を生かした適材適所の植栽 バラのアーチやパーゴラ、フェンスなどは、庭にロマンチックな風景と雰囲気を演出してくれます。各バラの品種の特性をふまえた上で、そのバラの特性に合った場所に植栽しましょう。また、花壇などでは、背丈が大きくなるバラは後方へ、低いバラは前方に配し、どのバラにも日光が当たるように、そして花が見えるように植栽します。 【フェンスに向く品種】 ランブラーローズやクライミングローズ、シュラブローズやハイブリッドムスクローズ、オールドローズや原種のつる性のバラが向いています。 ‘コーネリア’(ハイブリッドムスクローズ) ‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’(ランブラーローズ) ‘ボルチモア・ベルズ’(ランブラーローズ) 【オベリスクに向く品種】 ランブラーローズやクライミングローズ、シュラブローズやハイブリッドムスクローズ、オールドローズや原種のつる性のバラが向いていますが、枝がしなやかなバラだと誘引が楽です。 ‘ローラ・ダヴォー’(ランブラーローズ)と‘クリスティアーナ’(クライミングローズ)を植栽予定。 【アーチに向く品種】 枝が枝垂れて花が下を向いて咲くランブラーローズや、クライミングローズの中でもステムが短く花付きのよいものが向いています。 ‘フランソワ・ジュランヴィル’(ランブラーローズ) 【花壇に向く品種】 自立するシュラブローズやハイブリッドティーローズ、そして花壇前方には、フロリバンダローズやポリアンサローズなどが向いています。 各バラ苗の植え付け方法 直径40cm、深さ40cmの穴を掘ります。 堆肥と肥料を入れます。 今回使用したのは、1つの穴に対して以下のブレンドです。 ・「特選有機バラのたい肥」5ℓ ・腐葉土(または完熟バーク堆肥)5ℓ ・「特選有機濃いバラの肥料」400g 堆肥と肥料、掘り上げた土を穴に入れ、て混ぜ合わせてバラの用土を作り、苗を植え付けます。 鉢植え用には、あらかじめ必要な要素がすべて含まれている「特選有機バラの土」などが便利です。 植え付けをしたら、すぐに水やりします。 植え付け後の水やり時に、写真の「高濃度フルボ酸 微生物活力液 アタックT-1」、(10ℓの水にキャップ6杯/200mℓボトルの場合)を株元に与えると、微生物の効果で土の団粒化が進み、根張りがよくなります。植え付け後は、1~2週間に1回のペースで与えると効果的。 水やり直後の様子。植え付け後は、根にたっぷり水分を与えたいため、しばらくは毎日、水やりを行います。 バラがメインの庭づくりのポイント3 バラの色合いを考えた植栽 バラを多く植栽する場合、隣や前後、近くに植えるバラをどうするかで悩むことが結構あるかと思います。背丈や株張り(幅)も考慮しつつ、色合いも考えなくてはいけませんので、悩むのは当然のことです。 やはり事前に、植栽計画を練っておくと、スムーズに植栽が進みます。それでもまた迷った時は、「色相環」が役立ちます。 花色だけでなく、つぼみや葉の色なども考慮し、できるだけお互いのバラが調和しながらも引き立て合うような植栽を心がけましょう。 バラがメインの庭づくりのポイント4 鉢植えのバラの活用 地植えをしたくても、地中に配管が通っているために地植えができない場所や、地植えしたら、他の植物に負けそうな場所などは、鉢植えで育てるのも一つの方法です。 また、新しくバラを購入し、その品種の特性が解らない場合も、鉢植えにして観察してから植える場所を決めるとよいでしょう。 植え替え作業の後は本剪定を バラの植え替え作業が終わるのもあと少し。 2月中には、100株近い植え替え作業を終わらせ、本剪定に備えたいと思います。 バラの植栽が済んだら、次はバラの株元などにその他の植物を植え込み、理想の庭に向けて、庭づくりは続いていきます。
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ガーデンデザイン

実録! バラがメインの庭づくり第1話 移植作業を行う前までにすべき10のこと
新しい庭づくりの計画がスタート これまで何年にも渡って育ててきた我が家の庭では、多種のバラやその他の植物たちが旺盛に茂っています。ですがこの度、地域の区画整理のために、いったん引っ越しをしなくてはいけなくなりました。それに伴い、新しい庭づくりに向けて移転準備に着手し始めたところです。 現在、バラの苗だけでも約200種類以上はありますが、これら全ての移植は難しく、根掘りが可能な株のみの移植となります。また、バラだけでなく、樹木や牡丹、ハーブや宿根草など、庭にあるあらゆる植物も移植させなければなりませんので、庭全体の植栽プランを立てながら、新しい庭づくりを進めて行く予定です。 初回である今回は、「実際に移植作業を行う前までにすべきこと」をご紹介したいと思います。 庭づくりをするために1「新しい庭の特性を知る」 庭の特性を知るには、方位、面積、日照時間、風向き、敷地内の日陰と日当たり部分、雰囲気など、移植する植物たちにとっての適材適所を見つけやすくするために知っておくことが必要です。 確認した結果、移転先の土地は南に面しており、冬は暖かいのですが、夏の気温は相当高くなると予想しました。ですので、暑さ対策として、落葉樹を南側や西側に配し、バラもなるべく暑さに強い品種を植栽したいと考えています。 そこで、まず植えたのは、落葉樹の枝垂れ桜です。春~秋は葉が直射日光を遮り、冬は落葉して暖かな日差しが入ります。 庭づくりをするために2「土の状態を知る」 新しい庭をつくる予定の土地が、これまでどのように使用されていたのかまでは解りませんし、以前も宅地だったのか、それとも野山や畑だったかによって、土の状態は全く異なります。 ですので可能でしたら、現状の土の状態を調べて、移植する植物にとってなるべく適切なものとなるよう、土作りや施肥を行いましょう。 今度の庭は、以前も宅地だったためか、土の中にはコンクリート片が多く混ざっていました。念のため、専門家に土壌分析を依頼することにしました。 土壌分析結果と対処について 【専門家による土壌分析の結果】 項目 計測値 コメント EC(電気伝導度) 0.016mS/cm pH 6.86 ややアルカリ アンモニア態窒素 0.4 可溶性りん酸 2.9mg/100g 少なすぎ 加里(交換性カリウム) 17.2mg/100g 少ない 石灰(交換性カルシウム) 909mg/100g 異常に高い 苦土(交換性マグネシウム) 77mg/100g CEC(塩基置換容量) 20.4me/100g 腐植率 2.87% 少なめ 【診断コメント】 腐植率が低めなのでバラの堆肥は、15~20%程度必要。 可溶性りん酸が異常に少ないので堆肥と同時にリンカリ肥料を施すとよい。 石灰909mg/100gはかなり過剰だが、pHが6.86なので可溶性の石灰ではないと思われる。石灰が多いのは新築時の石膏ボード、基礎のモルタルなどの影響なのではないか。 【対策】 バラを1株植え付ける際、直径40×深さ40cmの植え穴に対し、有機バラの堆肥5ℓ+腐葉土(または完熟バーク堆肥)5ℓを掘り上げた土にしっかり混ぜ合わせ、バラの肥料350~500g+リンカリ肥料100gをプラスするとよい。 コンクリート片は、なるべく取り除いておくことも必要。 とのアドバイスをいただきました。 庭づくりをするために3「各植物の移植に適した時期を把握する」 植物は、移植に適した時期を守らないと枯れてしまうことがよくあります。 各植物の移植適期を確認してから植え替え作業を行いましょう。例えば、バラであれば春が来る前に終わらせる必要があります。 庭づくりをするために4「各植物の特性を把握する」 常緑樹や落葉樹、樹形や樹勢、高さや幅などの寸法、開花時期、花色、葉色、茎の色、つぼみの色。そして、バラの系統から手入れ方法など。その他、各植物の特性をできるだけ把握しておくことが大切です。育てている植物のデータをノートなどに記録しておきましょう。 庭づくりをするために5「植栽プランニング図を作成する」 これまでに育ててきた植物や、これから育てたいと思っている植物の写真を揃えて、植栽プランニング図を作成します。 実際に花が咲いていない時期には、それぞれの花色や形、特性を正確に思い出すことができない場合もありますので、画像を整理しておくと、植栽プランを立て、図を作成する際にとても便利です。 庭づくりをするために6「庭の配色を考える」 庭づくりにおいて、配色を決めることは案外難しい作業です。迷った時は、色相環を利用するのも方法です。 色相環上の対角にある向かい合う位置の色を「補色」といい、補色同士の組み合わせは、お互いを引き立て合い、はっきりした印象になります。 色相環上で隣り合う色の組み合わせは、淡いグラデーションを作り、落ち着いた優しい雰囲気になります。 庭づくりをするために7「フォーカルポイントを考える」 庭の中で目にとまるアクセントなど、フォーカルポイントとなる場所や植物、構造物を考えておきましょう。 庭づくりでは、一度植栽してしまうと、なかなか簡単にはやり直しができません。ですから、実際に植物を植え付ける前に、さまざまな角度から庭を見渡し、プランを練っておくことが大切です。その際、フォーカルポイントをどこにするか、何にするかを決めておくと、植栽プランが立てやすくなります。 庭づくりをするために8「庭の楽しみ方や理想を考える」 庭の楽しみ方は人それぞれですので、あらかじめ、自分や家族にとっての庭の楽しみ方や理想、目的を考えて共有しておくことも大切です。 我が家の場合は、「今まで通り、四季を通して季節の植物を楽しむこと。特にバラは、花を愛でるだけでなく、飲食やポプリなど、暮らしの中に利用するためにも、無農薬や低農薬で育てて、バラのある暮らしを楽しみたい」と考えています。 レシピなどはこちら ●バラを食す! レシピ「薔薇色のバラのドレッシング」&オードブル ●『バラの香りを閉じ込めたローズゼリーの作り方』 庭づくりをするために9「植物に名札を付けておく」 植物の移植を行う際、品種名が分からなくなってしまうと、植え付ける場所の選定が難しくなってしまいますので、必ず名札を付けておきましょう。 庭づくりをするために10「庭づくりの時期や工期を決める」 植物の移植などが適した時期に行われるように、それに合わせた事前の土作りや構造物設置などの工期を決めることが大切です。 こうして全体の植栽プランの手順の流れを把握してから、実際の移植や植え付けの作業に取り掛かります。 移植作業は、植物にとっても、また作業を行う人にとっても大変なことです。少しでもスムーズに、負担少なく行うためにも、ご紹介した10の手順を参考に事前の準備をしていただければと思います。 『実録! バラがメインの庭づくり』続きはこちらから。
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レシピ・料理

冬の庭作業で疲れた体をいたわるローズヒップ&スパイスティー
ローズヒップで冬のガーデニングをサポート! いよいよ本格的な冬の到来となりました。 冬の野外は寒くて大変ですが、来年の春に向けて最も大切なバラのお手入れシーズンでもあります。できるだけ自分自身の体をいたわりながら、冬の季節のガーデニングを元気に楽しみたいものです。 今回は、庭のローズヒップ(なければ市販品でも可)を利用したお茶の作り方や、ローズヒップにハーブやスパイスをプラスした、体がポカポカ温まるスパイスティーの作り方をご紹介します。 ●元木さんの冬の庭作業の記事はこちら お茶に活用するローズヒップとは? 写真は‘アルティシモ’(Cl)の大きなローズヒップです。 現代バラ(モダンローズ)は、通常ローズヒップが実ると樹勢が弱りますので、野生種のバラやオールドローズ、現代バラなら樹勢の強い品種のローズヒップを利用します。なるべく大きい、つるんとしたローズヒップが扱いやすいと思います。 この大きなローズヒップを実らせる‘アルティシモ’の花。写真のように、花は大きな一重咲きで四季咲き性です。今回は、ローズヒップが実っても樹勢が特に弱くならないモダンクライマーの実を使ってご紹介します。 まず、基本のローズヒップティーの作り方をご紹介しましょう。タネを取り除いて小さくカットした小さじ1/2ほどのローズヒップを、直接ティーカップに入れます。そして、上から熱湯を注げば、アッという間にビタミンCたっぷりのローズヒップティーができ上がりです。 たくさん収穫できた時は、刻んだローズヒップを天日に干してドライにし、保存容器に。乾燥剤を入れておけば、約1年間はおいしく飲めます。 冬におすすめのスパイス+αのホットティー ローズヒップにいろいろなスパイスをプラスして、心も体もポカポカになるスパイスティーの作り方をご紹介しましょう。 【マグカップ250㏄約3杯分の材料】 ローズヒップ(写真中央)……小さじ1/2(中央) その他のスパイス(写真上から時計回り) スターアニス(八角)……1個 キンカンの皮……少々 ローズマリーの葉……3枚 クローブ……5個 シナモンパウダー……ひと振り レモングラス……小さじ1 ピンクペッパー……3粒 茶葉(セイロン)……2g(ティーバッグ1個分) ショウガ……スライス2枚 熱湯……750㏄ ホットスパイスティーに使う材料の各効能 ローズヒップ Picture Partners/Shutterstock.com ローズヒップは、正式には「偽果」で、植物学上では果実ではありません。花床という部位が膨らんだものですが、一見果実に見えることから「偽果」と呼ばれます。 ビタミンC、カルシウム、鉄分、ベータカロテン、ビタミンE、植物繊維などが含まれ、特にビタミンCは、レモンの約20~30倍も含まれているといわれています。 本来、ビタミンCは、水や熱に弱く、体に吸収されにくいのですが、ローズヒップの中には、ビタミンCを守るビタミンPやビタミンEも含まれているため、熱を加えてもビタミンCの効果が壊れにくいとのことです。 一緒に含まれるフラボノイドは、ビタミンCの働きを増強します。ビタミンCは、肌のハリや弾力性を保つコラーゲンの生成を促進し、紫外線などからのダメージによるコラーゲンの減少を抑えます。シミの原因となるメラニン色素の生成を抑え、新陳代謝を活発にし、美白効果、肌荒れ改善効果もあるといわれています。また、風邪の予防効果も期待できます。 ローズヒップは、繊維質が多いので、便秘の改善効果もあります。他に、利尿作用、抗酸化作用、鎮静作用があるといわれています。 スターアニス(八角) JethroT/Shutterstock.com スターアニスは、中国原産で、漢方薬として胃薬、風邪薬に利用されています。代謝をよくし、利尿作用もあります。スターアニスに含まれる「ピネン」という成分には、気持ちを落ち着かせる作用があります。 キンカン(金柑) PIXbank CZ/Shutterstock.com ビタミンCを多く含み、風邪の予防や美肌効果があります。キンカンの皮に多く含まれるヘスペリジンは、毛細血管の強化や血中コレステロール値の改善効果、血流改善効果、抗アレルギー作用、発ガン抑制作用があるといわれています。 ローズマリー Gita Kulinitch Studio/Shutterstock.com ローズマリーには記憶力や集中力を高める作用があるとされ、消化促進・強壮の効果もあるといわれています。また、血管を強くし、血行を促し、新陳代謝を促進します。細胞の老化を防止する抗酸化作用があることから、「若返りのハーブ」とも呼ばれています。 抗菌作用や抗ウイルス作用、鼻詰まりの改善効果もあり、ローズマリーの精油には、アレルギー疾患の原因となるヒスタミンという化学物質を抑える作用があるといわれています。 クローブ itor/Shutterstock.com 抗菌作用、鎮痛作用、消化促進作用があり、局所麻酔、歯痛、消化不良などに用いられてきました。柑橘系の香りとの相性がよく、腐りにくくするため、柑橘系の果物の皮にクローブを挿したポマンダー作りにも大活躍です。 オレンジポマンダー作りの記事はこちら シナモン Artem N/Shutterstock.com 消化促進、駆風作用、抗菌作用、血糖調整、強壮作用、発汗作用、血行促進作用などがあるといわれています。風邪の症状の緩和や、精神の安定などに用いられることもあります。 レモングラス rodrigobark/Shutterstock.com 鎮痛作用、抗炎症作用、抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用、収れん作用、抗うつ作用、鎮静作用、解熱作用、利尿作用、催乳作用(母乳の出をよくする)などがあるといわれ、風邪の予防や、胃の働きを助けて消化を促進し、脂肪の分解を促す効果が期待できます。 ピンクペッパー Tamara Kulikova/Shutterstock.com 抗菌防腐効果があり、原産の南アメリカでは伝統医療としてさまざまな症状に処方されていました。特に風邪やインフルエンザの予防、筋肉の緊張を和らげる、痛みや炎症を抑える、歯痛や月経痛の緩和などに効果があるといわれています。 ピンクペッパーは、その名前と主な用途から胡椒の仲間と思われがちですが、実際はコショウボクというウルシ科の植物の実です。ウルシアレルギーの方、ナッツ類(特に同じウルシ科であるカシューナッツやピスタチオナッツ)またはマンゴーにアレルギーのある方は、アレルギー反応が出ることがあるので注意が必要です。 茶葉 セイロン紅茶 fotoearl/Shutterstock.com 紅茶に含まれている紅茶ポリフェノールは、老化を進行させる活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があるといわれています。また、抗菌作用や抗ウイルス作用もあり、虫歯や風邪、インフルエンザの予防効果が期待できます。さらに、血糖値上昇の抑制作用や血中コレステロールの調整、血圧上昇抑制、動脈硬化予防などにも効果が。 また、紅茶に含まれるカフェインは、交感神経を刺激して脳を活性化し、疲労回復・血液循環促進・強心・消化促進・脂肪燃焼効果があるといわれています。利尿作用もあり、体内の老廃物を外へ排出します。ガーデニングの合間に紅茶を飲んでリラックスすれば、疲労も回復し、脳が活性化して、屋外などでのケガの予防にもつながります。 ショウガ(生姜、ジンジャー) MRAORAORl/Shutterstock.com 体をポカポカ温めてくれるショウガは、寒い冬には必需品です。 消化促進作用、健胃作用、利胆作用、消炎作用、鎮痛作用、抗菌作用、血行促進作用、発汗作用、去痰作用、強壮作用などがあるといわれています。 【さらに美味しく】 上記の材料にリンゴを少々加えると、甘さがプラスされ美味しいです。 【オリジナルブレンドのストックもおすすめ】 以上の材料は作りやすい1回分の材料ですが、数回分の分量をまとめて作り、缶や瓶などに保存しておけば便利です(要乾燥剤)。 材料をティーポットに入れ、750㏄の熱湯を注ぎ、3分以上蒸らしたら飲み頃。 寒い冬のガーデニングの合間に、ビタミンCたっぷりのローズヒップティーや、さまざまな効能が得られるスパイスティーで、体をいたわるティータイムを楽しんでください。 *注:ご紹介のスパイスやハーブなどをご使用の際は、妊娠中や小さなお子様、高血圧、心臓病、アレルギー他持病のある方は使用を避けるなど、十分気をつけてください。
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ストーリー

マリー=アントワネットが愛した「プチ・トリアノン」に咲くバラと矢車菊
花好きの王妃に贈られたプチ・トリアノン 「花を愛する君に、この花束を贈る」こんな素敵な言葉と共に、王妃になったばかりの19歳のマリー=アントワネット(Marie-Antoinette-Josèphe-Jeanne de Habsbourg-Lorraine d'Autriche:1755~1793年)は、1歳年上の夫であるルイ16世から、ヴェルサイユ宮殿の離宮、プチ・トリアノンの建物を含む領地を贈られました。 もともとプチ・トリアノンは、ルイ15世と公妾ポンパドゥール夫人(1721~1764年)の娯楽棟としてアンジュ=ジャック・ガブリエルの設計により、1762~1768年に建てられたものでしたが、ポンパドゥール夫人は、プチ・トリアノンの完成を見ずに亡くなってしまいます。 ポンパドゥール夫人亡き後、1769年6月に行われたプチ・トリアノンの落成式には、ルイ15世の新しい公妾となったデュ・バリー夫人(1743~1793年)が列席し、プチ・トリアノンは、デュ・バリー夫人に贈られました。 しかし、1774年5月、ルイ15世が天然痘にかかると、5月9日にはその看病に努めていたデュ・バリー夫人にポン・トー・ダム修道院へ入るよう命令が下され、立ち退きを余儀なくされました。 こうして、プチ・トリアノンは、1774年5月10日、ルイ15世が天然痘で死去した2週間後の5月24日、マリー=アントワネットのものとなりました。 プチ・トリアノンの建物と内装デザイン プチ・トリアノンの建物は正方形にできており、新古典主義建築で、内装はロココ様式の最高峰と評されています。 プチ・トリアノンでは、ヴェルサイユ宮殿におけるマリー=アントワネットをうんざりさせていた宮廷の厳格な礼儀作法や規範などを除外し、自身が選んだ親しい友人や親族たちとの密接で気の張らない交流や、自然に親しみながらも洗練された世界感の構築を、マリー=アントワネット自らが力を注ぎ完成させようとしていました。 ジャルダン・フランセ(フランス式庭園) 上写真は、プチ・トリアノンとパヴィヨン・フランセの間にあるジャルダン・フランセの花壇です。長方形に囲むツゲの枠の中をよく見ると、鉢植えの植物が鉢のまま地中に入れられています。これは、各植物が枯れてしまったら、元気な植物と素早く交換できるようにという工夫です。 王妃の想いが詰まった「王妃の村里」 当時、ジャン=ジャック・ルソー(1712〜1778年)をはじめ、自然への回帰を謳っていた啓蒙思想に影響を受けた王妃は、宮殿のアンドレ・ル・ノートルによるフランス式整形式庭園とは正反対ともいえる自然風で素朴な庭園づくりのために、国王の第一建築家リシャール・ミック(1728〜1794年)を監督とし、1783年より「王妃の村里(ル・アモー・ドゥ・ラ・レーヌ)」の建設に着手しました。 リシャール・ミックは、著名な画家で庭園デザイナーでもあるユベール・ロベール(1783〜1808)からインスピレーションを受け、「王妃の村里」を完成させます。 王妃の家、婦人用の私室、衛兵の家、酪農仕込み小屋、農家、料理保温室、水車小屋、鳩舎、また「マルボローの塔」と呼ばれた塔のある人工湖、菜園、牧場、羊や牛、鶏、果樹など、多くの田園の風景を成す要素を盛り込んで、ノルマンディー風の理想化された農村を再現しました。 王妃はここで、幼い子どもたちに家畜の飼育や農学を学ばせ、ここを訪れる親しい者たちと牧歌的な田園風のひとときを楽しみました。 さらに王妃は、理想に近付けるためのよりよい庭づくりを続けようとしていましたが、フランス革命勃発のため、断念せざるを得ませんでした。 「王妃の家」の一般公開 今年2019年は「王妃の村里」に建つ「王妃の家」の改修が終わり、一般公開が始まりました。 1787年に建設された、王妃がごく限られた親しい友人や親族と過ごす藁葺き屋根の2階建ての家は、フランス革命による損壊とナポレオン帝政期を経て、1867年以降非公開のまま放置されていましたが、5年前に、ディオールの資金提供を受けて全面修復工事がスタートし、今年その工事が完了しました。 建物の外観は王妃在りし日のままに改修されましたが、内装は、王妃が使用していた頃の家具類は散逸してしまっているため、現在、遺っていた帝政期のナポレオンの2人目の妻で、マリー=アントワネットの姪に当たる皇后、マリー=ルイーズの時代の家具や調度品が入れられました。また、1810〜1811年の財産目録と、当時の納入業者の回想録をもとに、それぞれの部屋の装飾と家具の再現が進められたとのことです。 ナポレオンと政略結婚をさせられたマリー=ルイーズは、最初に結婚の話を聞かされた時、泣き崩れたといわれています。しかし、ナポレオンは、かつてマリー=アントワネットがつくった「王妃の家」の内装を美しく整えるなど、再婚相手であるオーストリア皇女マリー=ルイーズに対し、気を使ったようです。 再現された2階のサロンの壁やカーテン、椅子は、目の覚めるような黄色に統一され、当時流行した新古典主義の内装に設えられています。 また、小屋の入り口には、王妃が特に好きだった青い矢車菊の鉢植えが並んでいました。 植栽されているバラの中には、写真のような四季咲きと見られる現代バラが数種類植栽され、マリー=アントワネットがいた時代とは違う風景を作っています。 浪費によりフランス国民を困窮させた罪人としてのイメージばかりが強いマリー=アントワネットですが、彼女の夢見た庭づくりへの想いを探ると、素朴な庭や緑や自然は昔も今も癒やしの場であり、マリー=アントワネットの想いに、とても共感できることに気づきました。 また、バラや矢車菊、スミレの花などを特に好み、愛用のファブリックや食器の絵柄に採用したことを思うと、女性らしい感性が感じられました。 そして今、世界中から一年中この地を訪れる観光客を、バラや花々で出迎えるための工夫が、品種選びや植栽方法などから感じられ、よりよい庭づくりの精神として、現代に引き継がれているようにも感じました。
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ストーリー

フランス・ロワールの古城の薔薇物語~モナ・リザの微笑みに包まれて
フランス・ルーヴル美術館に展示される『モナ・リザ』の謎 世界屈指の美術館であるフランスのルーヴル美術館、その目玉でもある名画『モナ・リザ』。 イタリアの芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci/1452-1519)が描いたことで知られる、あまりにも有名なその『モナ・リザ』ですが、なぜ、イタリア・ルネサンス期の代表的な芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチに描かれた作品が、フランスのルーヴル美術館にあるのでしょうか? 今回は、その理由や、ダ・ヴィンチと縁あるフランスのロワール地方アンボワーズにある「クロ・リュセ城(Chateau du Clos Luce)」の庭園に咲くバラをご紹介します。 ロワール地方・アンボワーズの「クロ・リュセ城」 この城は、12世紀に建てられた基礎の上に、国王ルイ11世の見習いコックから国王の側近にまで出世したエチエンヌ・ルルーが城主となり、城砦として1471年に建設されました。15世紀の建物の特徴であるバラ色のレンガと石灰岩でできています。1490年には、シャルル8世の所有地となり、以後約200年にわたってフランス国王の居住城、または別荘として使用されました。 「クロ・リュセ」の名は、15世紀末に、シャルル8世の妻で、幼い子どもを亡くして悲嘆にくれるアンヌ・ド・ブルターニュのためにつくられた礼拝堂に描かれたフレスコ画『光の聖母』に由来するのではないか、と考えられています。 クロ・リュセ城にやって来たレオナルド・ダ・ヴィンチ フランソワ1世は、姉のマルグリット・ド・ナヴァルと、クロ・リュセ城で幼少期を過ごしました。そして、フランソワ1世は、すぐ近くのアンボワーズ城に居を構えると、当時のイタリア・ルネサンスの文化や芸術をフランスに取り入れようと、レオナルド・ダ・ヴィンチを、クロ・リュセ城に呼び寄せました。 その時、ダ・ヴィンチは64歳。1516年の秋、ロバにまたがり、弟子数人とともにアルプス山脈を越えて、アンボワーズの街にやって来たといわれています。 その際、ダ・ヴィンチは、3枚の絵を皮の肩掛けカバンに入れて持ってきました。 それは、『洗礼者聖ヨハネ』、『聖母子と聖アンナ』、そして、『モナ・リザ』の3枚です。 天を指さし、イエスがこれからやって来ることを示唆する『洗礼者聖ヨハネ』の絵は、クロ・リュセで完成させ、『聖母子と聖アンナ』(聖アンナは、マリアの母)の絵は、未完成となりましたが生涯筆を入れ続けました。そして、別名『ラ・ジョコンダ』といわれる『モナ・リザ』の絵は、フィレンツェのフランチェスコ・デル・ジョコンドに嫁いだリザ・ゲラルディニを描いたとするバザーリの記述に由来し『モナ・リザ』と呼ばれますが、さまざまな諸説があります(モナは婦人の意)。 『モナ・リザ』の絵は、フランソワ1世によって1万2000フランで買い取られ、1805年以来、パリのルーヴル美術館に所蔵されて現在に至っています。1911年に一度盗難にあいましたが、1913年の暮れには幸いなことに返却されました。 日本でも1974年(昭和49)4月20日から6月10日まで、東京国立博物館にて特別展示され、大反響を呼びました。 晩年のレオナルド・ダ・ヴィンチとフランソワ1世 ダ・ヴィンチは、67歳でフランソワ1世が立ち会う中で亡くなったといわれています。「クロ・リュセ城」は、ダ・ヴィンチが亡くなるまでの3年間を過ごした終の住処となりました。 クロ・リュセ城とフランソワ1世の居城であるアンボワーズ城は、わずか400mしか離れておらず、ダ・ヴィンチのベッドのある寝室の窓から、アンボワーズ城が眺められ、また、いつでもすぐに相談できるように、地下通路で繋がっていたともいわれています。 画家、技師、建築家、植物学者、哲学者、舞踏会の演出家として活躍したダ・ヴィンチと、その技能や知識を得たかったフランソワ1世との親密な間柄を垣間見ることができます。 クロ・リュセ城の中庭のバラ クロ・リュセ城の中庭には真紅のバラがたくさん植えられていました。 品種名は‘スーリール・ドゥ・モナ・リザ’。 フロリバンダの‘スーリール・ドゥ・モナ・リザ’は、2008年にメイアン社が作出したバラで、名の意味は「モナ・リザの微笑み」です。 私が訪れた2019年の6月下旬、中庭には、たくさんの「モナ・リザの微笑み」が溢れていました。 レオナルド・ダ・ヴィンチの庭園 中庭の下方には窪地があり、その窪地には、ダ・ヴィンチがデッサンやクロッキーを行った、植物に覆われた庭園があります。現在では、ダ・ヴィンチの発明品のオブジェが所々に配置され、見学できるようになっていますが、ロワールの湿地帯特有の沼地生態系が自然のまま保護されていました。 生涯を通じて、植物等の自然やさまざまなものを観察しながら作品に遺したといわれるダ・ヴィンチは、2019年に没後500年を迎えました。 クロ・リュセ城を訪れた時の、中庭に溢れる「モナ・リザの微笑み」が、とても印象的でした。
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ストーリー

「王妃の水」の香りに想いを馳せて
歴史的香水の誕生の地 イタリアの古都フィレンツェ 1533年9月2日、フランスのフランソワ1世(1494 - 1547年)と王妃クロード・ド・フランスの次男であり、後のヴァロワ朝第10代のフランス王アンリ2世となるアンリ(1519 - 1559年)のもとに、イタリアのフィレンツェから嫁いできたのは、ウルビーノ公ロレンツォ2世・ド・メディチを父にもつ、カテリーナ(フランス名:カトリーヌ)(1519‐1589年)でした。この時、アンリもカトリーヌもわずか14歳でした。 カトリーヌは、フィレンツェを出発し、60隻の艦隊が待つマルセイユ港に着きましたが、カトリーヌが乗り込んだ船には、金襴と深紅の帆が張られ、多額の持参金と彼女専用の料理人や使用人、そして彼女専用の香水の調香師たちが乗っていたといわれています。 当時のイタリアのフィレンツェは、フランスよりも先を行く文化、芸術の最先端の地であり、ルネサンスの中心地でもありました。 カトリーヌのために調合された香水「王妃の水」 カトリーヌがアンリのもとへ嫁ぐ際に、カトリーヌのために調合されたといわれる香水が「アックア・デッラ・レジーナ(王妃の水)」です。現在も、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の名で販売されています。 オレンジ・ベルガモット・ラヴェンダー、ローズマリーなどが調合されています。 フィレンツェから嫁いできた14歳のカトリーヌを待ち受けていたのは、「外国人」や「商人の娘」などの陰口や差別、そして、アンリ2世が生涯愛した20歳も年上の寵妃ディアーヌ・ド・ポワティエの存在でした。そんな苦境の中、支えとなったものの一つに、彼女のために作られたこの香水(現在はオーデコロン)の力があったのではないでしょうか。 改めて、「王妃の水」に調合されている香りについて考えてみますと、集中力や記憶力を高めるといわれるローズマリー、精神安定効果や安眠効果があるといわれるラヴェンダー、主に抗うつ作用や鎮静効果、リフレッシュ効果があるといわれるベルガモットやオレンジといった柑橘系。 イタリアはオレンジやベルガモットの産地です。つまり故郷の香りも調合されていたことを思うと、当時の修道士たちがカトリーヌのために、どう考案して調合したのかが、少し見えてくるような気がします。真意は当時の修道士たちに聞いてみないと分かりませんが…。 カトリーヌがアンリと結婚してから3年目に、アンリの兄である王太子フランソワが亡くなり、アンリは王太子へ、カトリーヌは王太子妃となりました。 アンリ2世には、彼が亡くなるまで寵妃であったディアーヌ・ド・ポワティエの存在があったことから、カトリーヌにとっては苦難の結婚ではありましたが、アンリとの間に、9人の子(3人は幼児の時に他界)を授かることができました。 1547年、フランソワ1世が亡くなり、アンリはフランス王へ、カトリーヌは王妃となりました。 「王妃の水」を現在も作り続ける「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」 世界最古の薬局といわれる「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」は、「サンタ・マリア・ノヴェッラ教会」の前身で、カトリックの中でも最も古い宗派の一つであるドミニコ会の修道院「サンタ・マリア・フラ・レ・ヴィニェ」が、1221年にフィレンチェに移り、その修道士たちが修道院の庭で栽培していたハーブや花、薬草を用いて調合し、薬を作ったのが始まりといわれています。 数々の薬の中には、バラの花を用いて、解毒浄化、鎮痛、目薬用に、ローズウォーターも作られていました。また、香水を作る技術も持っていたといわれ、1533年、カトリーヌは、この修道院の修道士たちにフランスに嫁ぐにあたり香水を発注し、「王妃の水」と呼ばれる「アックア・デッラ・レジーナ」が誕生しました。 薬局として認可されたのは1612年で、一般営業を開始し、メディチ家からの協力を得て、王家御用達製錬所の称号を受けました。 オーデコロンの起源 18世紀になると、ジョヴァンニ・パオロ・フェミニスが、旅の途中に立ち寄ったサンタ・マリア・ノヴェッラ教会で「王妃の水」のレシピを手に入れたといわれています。これをもとに、彼が1725年からコローニア(ケルン)市に居を構えて生産を始めたのが「ケルンの水」と呼ばれる「アックア・ディ・コローニア」です。 フランス語で、Eau de Cologne(オー・ド・コローニュ)といわれるように、この「ケルンの水」がオーデコロンの起源と考えられています。このオーデコロンは、イタリア人調香師ジョヴァンニ・マリーア・ファリーナにレシピが伝わって製造が続けられ、その後、「七年戦争」(1756〜1763年)時に、ケルンに滞在していたフランス軍の兵士たちが、このオーデコロンを持ち帰りフランスに広めました。 また、カトリーヌが輿入れの際、連れてきた調香師は、フランスのグラースなどで花々を香水作りに活用し、後のフランスの香水産業に貢献することとなりました。 「王妃の水」の香りを嗅ぎながら、カトリーヌの置かれた環境や想い、また、カトリーヌのためにこの香水を調合した故郷の修道士たちの想いに、心を重ねてみてはいかがでしょうか。
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ライフスタイル

上品な味わい! ローズウォーター(バラ水)の歴史と使い方
ローズウォーターの歴史 最近、飲用もできる、無農薬で栽培された香り高いバラで作られるローズウォーターに注目が集まっています。 その歴史は、紀元前810年頃まで遡ります。古代ペルシャのファリスタン州では、ローズウォーターを約3万壺もバグダッドに納入するよう義務付けられていました。当時、ローズウォーター生産の中心であったファリスタン州及びシラーズ周辺で作られた大量のローズウォーターは、インド、中国、イエメン、エジプトへも輸出されていたとのことです。それらの輸出先では、ローズウォーターは宗教の儀式や洗浄、飲用、薬用、美容、体の香り付けなどに使われ、古くからその地の人々の暮らしと文化に深い繋がりを持っていました。 なお、古代ペルシャは、バラを庭に並べて植えるなど、バラを栽培した最初の地といわれています。 それらのバラに魅了された、古代ペルシャを支配したイスラム教徒のアラブ人たちは、6世紀にバラをイスラム教のしきたりの中心にすえました。10世紀には、アラブの医師アウィンケンナが、冷却管を使用する蒸留技術を完成させましたが、その際実験に使用されたバラは、ダマスクローズだったようです。 現在でもイランは、生産した高品質のローズウォーターを、毎年大量に、聖地メッカの壁を洗浄するために輸送しています。 ローズウォーターの作り方 日が高くなると、バラの花の精油の含有量は、約30%にまで減ってしまうとされています。そのため、なるべく日が高くなる前(午前5~10時頃)にバラの花を摘み取り、そして蒸留は、摘み取ってから、なるべく数時間のうちに行わなければなりません。 蒸留は、主に伝統的な水蒸気抽出法で行われます。水蒸気抽出法では、水と香り豊かなバラを蒸留釜に入れて熱することで発生する水蒸気を冷却し、液体に戻します。その時に分離した水分がローズウォーターで、油分がエッセンシャルオイルと呼ばれるバラの精油です。 ローズウォーターの利用法 飲用する際は、無農薬で栽培されたバラで作られたローズウォーターを選びます。無農薬で香り豊かなバラを使用して作られたローズウォーターは、口に含むと、とても香り高く上品で優雅な味わいです。 そのままグラスに注いで飲んでもいいのですが、ローズウォーターに砂糖を加えれば、ローズシロップができます。また、ローズゼリーやローズドレッシングなど、香りを生かしたお菓子やお料理作りにも最適です。 例えば、グラスの底に、お好みの量のローズジャムを入れ、氷を加えて、ゆっくりローズウォーターを注ぐと、2層のドリンクができ上がり。 ローズウォーターの成分と作用 成分の大半はフェネチルアルコールで、他にシトロネロール、ゲラニオール、リナロールなどが含まれます。 ローズウォーターには、肌を整え、清潔にするための殺菌消毒作用と収れん作用のあるローションとしての美容効果も期待できます(個人差がありますので、肌に合わない場合は利用を控えます)。 ローズウォーターの主な産地 ローズウォーターの生産量で世界1位を誇る国はイランであり、ファールズ州のシラーズやダラブ、イスファハーン州のカシャーンなどで多く作られています。2015年のイランの公式発表では、イランのローズウォーター年間生産量は約26,000tでした。 他には、ブルガリアのカザンラク、トルコのウスパルタ、モロッコのケレアメグーナ、フランスのグラース、インドのガーズィープル、オマーンのアリラ・ジャバルアフダール他があります。 日本産のローズウォーター 日本国内でも、無農薬で栽培された香り高いバラを使用して作られたローズウォーターを入手できるようになりました。 八ヶ岳にある「アサオカローズ」で作られるローズウォーターは、ダマスクローズ‘ゴル・ムハマディ’と、ミニチュアローズ‘オーバーナイト・センセーション’の2種類があります。どちらも、八ヶ岳の湧き水を使用して蒸留された、ピュアで、バラのエネルギーが凝縮された大変香り高いローズウォーターです。 瓶にピンクの色付けがされているのは‘ゴル・ムハマディ’、透明の瓶に入っているのは‘オーバーナイト・センセーション’のローズウォーターです。ローズウォーター自体はどちらも無色透明です。 ローズウォーターに使われるバラの品種 ダマスク系のバラは、香り高い品種が多く、古い時代から儀式や香料用に栽培がされてきました。こちらの‘ゴル・ムハマディ’と呼ばれるダマスクローズは、ゴルは花を、ムハマディはモハメッドを指し、「モハメッドの花」という意味があります。つまり、イスラムの世界では「最高の花」として用いられています。このバラは、もともとイランにあったバラで、イスファハーン州のカシャーンにて、ローズウォーター及び、ローズエッセンシャルオイルを生産するために、栽培されているのだそうです。八ヶ岳南麓の気候に適し、アサオカローズの浅岡正玄(あさおか まさはる)氏と奥様のもとで元気に生育しています。 バラと人との悠久の歴史を物語るような、深く豊かなダマスクの香りと味わいがあります。 ‘オーバーナイト・センセーション’は、ミニチュアローズにしては、パティオローズを思わせる花の大きさで、現代バラなのに、とても香りの強い芳香品種の一つです。1998年にアメリカのマサチューセッツ州、ノーイースト社が作出したこの‘オーバーナイト・センセーション’は、1998年10月29日、日本人宇宙飛行士、向井千秋さんらと共に米ケネディ・スペースセンターから打ち上げられたディスカバリー号に乗って宇宙へ旅立ち、無重力状態と地球上にあるときとで香りの成分に違いがあるかなどの研究に貢献しました。つまり、「宇宙に行った最初のバラ」となりました。 こちらは、ダマスク香にティー香やフルーツ香が混ざったような、豊かな中にも爽やかさと甘さを含んだ香りと味わいがあります。 夏の暑い時期、冷たく冷やしたローズウォーターで、体も心もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。 参考文献:『バラ油』ジュリア・ローレス著、高山林太郎訳(フレグランスジャーナル社) 今回伺ったアサオカローズさんでは、「バラ摘み&蒸留体験」もさせていただけます(季節限定・詳細は以下までお問合せください)。 Information お問合せ&ローズウォーター購入先 アサオカローズ 〒399-0211 長野県諏訪郡富士見町富士見6464-1 TEL : 0266-75-5882 / FAX : 0266-75-5892 https://www.asaoka-rose.com/



















