花も実も紅葉も!育てて味わう「ジューンベリー」の栽培から自家製ジャム・シロップの作り方まで
Iva Vagnerova/Shutterstock.com
植えるなら、見て美しく、食べて美味しい樹木を選んでみませんか?
春の白の花から秋の紅葉まで季節感たっぷりの「ジューンベリー」は、お庭のシンボルツリーにぴったりの樹木です。本記事では、手軽な育て方やお手入れの基本はもちろん、初夏のお楽しみである甘い実を使った自家製ジャム・シロップの作り方までを詳しく解説します。ご自宅で育てて、季節の恵みをたっぷりと味わいましょう!
目次
ジューンベリーの基本情報

植物名:ジューンベリー
学名:Amelanchier
英名:Juneberry
和名:アメリカザイフリボク
その他の名前:A・カナデンシス、A・ラエヴィス、A・グランディフロラ※交配種群
科名:バラ科
属名:ザイフリボク属
原産地:北アメリカ、アジア、ヨーロッパ
形態:落葉中高木
ジューンベリーの原産地は北アメリカで、バラ科ザイフリボク属の花木です。近年、家庭果樹として大変人気が高まっています。持て余すほどに大きくはならず、ほどよいサイズのシンボルツリーとしておすすめの樹木です。和風、洋風、どちらの庭にも馴染みやすい樹姿をしています。春には白い花が満開になり、初夏には赤い実をたわわにつけ、秋が深まると紅葉し四季を通して季節の移ろいを感じられる落葉樹です。
実りの時期を迎えたジューンベリー。Charlinex/Shutterstock.com
ジューンベリーの花や葉、実の特徴

園芸分類:庭木、花木
開花時期:4月中旬〜5月上旬
樹高:3〜5m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:白
春の芽吹きの頃に白い5弁花が咲き、一つひとつの花は小さいのですが、花つきがいいので満開時にはとても見応えがあります。
「ジューンベリー」の名の通り、果実が熟すのは6月頃。小さな赤い実がたわわにつき、庭に彩りをもたらしてくれます。完熟の目安は、赤い実が黒みがかり、触れると落ちる頃。甘みがあって生食でもおいしくいただけます。野鳥が大好きな実なので、庭に鳥を呼びたいならぜひ植えてみてください。
夏には緑陰をもたらし、秋には紅葉するので、一年を通していつでも目を楽しませてくれる庭木です。

ジューンベリーの実がなる時期

ジューンベリーは、5月頃から実をつけ始めます。最初は真っ赤な色ですが、6月頃になると熟してやや黒ずんできます。触れてぽろっと実がはずれたら食べ頃です。鳥も大好きな実で、目ざとく集まって食べ尽くしてしまいます。収穫を目的にしたい場合は、熟した順にまめに収穫するか、防鳥ネットを張るなど、対策を講じるとよいでしょう。
ジューンベリーの名前の由来と花言葉

ジューンベリーは、6月頃に実が採れることからジューン(June:6月)ベリー(berry:果実)と呼ばれています。
また、日本名であるアメリカザイフリボクは、日本原産のザイフリボク(采振木)と区別するために名付けられました。采振木の名前は、戦国武将が軍に指令を出す際に使っていた「采配」という道具に花が似ていることが由来です。
ジューンベリーの花言葉は「穏やかな表情」「穏やかな笑顔」。春に咲く白い花や、その後に実る赤い果実を見ていると、自然に穏やかな気持ちが芽生え、表情が和らぐことから、この花言葉が生まれました。
ジューンベリーの代表的な品種
‘バレリーナ’ Amelanchier ×grandiflora ‘Ballerina’
ジューンベリーのなかでは比較的大きな実をつける品種。樹高1.3cmほどの、甘みの強い実がなります。4~5月は白い花、6月は果実、秋は紅葉と、季節による変化も楽しめます。
‘ロビンヒル’ Amelanchier ×grandiflora ‘Robin Hill’
ジューンベリーの桃花品種。つぼみは赤く、花の咲き始めはピンク、満開になると白と、花色が変化します。自身の花粉のみで受粉して実を結ぶ自家結実性で、1cmほどの実をつけます。
ラマルキー Amelanchier lamarckii

ジューンベリーを代表する品種。もともと樹形がよく、花や実もつきやすいためお手入れが楽です。6月に赤色の果実がたわわに実る姿が印象的なので、6月の記念樹としても人気があります。
リージェント Amelanchier alnifolia ‘Regent’
ジューンベリーの中で最も小型の矮星品種です。スペースを取らないので、ホーム果樹におすすめ。剪定や株分けをする際の工夫次第で、草花との混植も可能です。小さな品種ですが、花や実がよくつきます。
ジューンベリーはシンボルツリーにおすすめ

ジューンベリーは、庭や家を特徴づけるシンボルツリーに適しています。
シンボルツリーに向いている条件として上げられるのは、美しい樹形、植える場所に合う大きさ、花や実をつけること、季節による変化が楽しめることなど。アオダモやヤマボウシ、ナツハゼなどがシンボルツリーの代表格です。
ジューンベリーもほどよい樹高で、シンボルツリーとして十分な存在感があります。自然樹高は5mほどとやや高めですが、毎年の剪定によって3mほどに抑えることが可能です。新緑、開花、結実、紅葉と、季節が巡るにつれ表情を変えていくので、大きく育ててシンボルツリーとして楽しむのにおすすめ。丈夫で虫がつきにくいため、管理がしやすいのもポイントです。
特に、6月に誕生日が来る家族がいれば記念樹としてもおすすめ。ジューンベリーから毎年実りのプレゼントがありますよ!
ジューンベリーの12カ月栽培カレンダー
開花時期:4月下旬~5月上旬
植え替え適期:11月~3月上旬
肥料:12月~2月
植え付け:11月~3月上旬
種まき:6月下旬~7月
ジューンベリーの栽培環境
日当たり・置き場所
ジューンベリーの栽培場所として適しているのは、適度に湿度のある日なた~半日陰です。花や実をよくつけるためには、半日は日が当たる場所がよいでしょう。
また、ジューンベリーは極端な乾燥が苦手なので、土の適湿が保てることも大切です。自らの影や寄せ植えの樹などで、自然な木陰ができるよう工夫しましょう。
耐寒性・耐暑性
ジューンベリーは耐寒性、耐暑性ともに強い植物なので、基本的に夏越しや冬越しは必要ありません。ただし土の乾燥が続くと弱りやすいので、真夏は水やりを行い、土の適度な湿度を保ちましょう。
ジューンベリーの育て方のポイント
用土
ジューンベリーの用土は、水はけ、水もちがよく腐植質に富んだものを選びましょう。
地植えの場合は、掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込み、再び植え穴に戻しておきます。水はけが悪い土壌や粘土質、砂質であれば、腐葉土や堆肥の割合を多めにしておきましょう。
鉢植えの場合は、樹木用にブレンドされた培養土を利用するのがおすすめです。配合土を自作する場合は、赤玉土(小粒)と腐葉土を7:3の割合でよく混ぜます。
水やり

【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に雨が降らず乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしますので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。与える際は、気温が十分に上がった日中に行います。
肥料

地植え、鉢植えともに2月頃に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。
肥料はそれほど欲しがるタイプではありませんが、鉢植えの場合は水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、株に勢いがないようであれば、緩効性肥料を追肥するとよいでしょう。
病害虫対策

【病気】
ほとんど病気の発生はなく、心配の必要はありません。
【害虫】
ジューンベリーにつきやすい虫は、アブラムシ、テッポウムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせてしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用する方法もあります。しかし、果実の収穫を楽しみたい場合は、薬剤の散布は控えましょう。
テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫です。成虫が幹などに産卵し、幼虫は1〜2年にわたって木の内部を食害するので、徐々に樹勢が弱り、枯死することも。木の周囲にオガクズが落ちていたら、内部にテッポウムシがいることが疑われます。発見次第、侵入したと見られる穴に薬剤を注入して駆除しましょう。薬剤を使用する場合は、実の収穫をあきらめて翌年に期待しましょう。
【鳥害】
ジューンベリーの実は、野鳥も大好き! バードウォッチングが目的でジューンベリーを植栽し、鳥が食べにやって来る姿を楽しみにしている方には「鳥害」なんて気にならないかもしれません。しかし、毎年果実の収穫を楽しみたい方にとっては、やっかいな競争相手になることに間違いありません。そんな方には、園芸店で取り扱っている「防鳥ネット」の設置をおすすめします。収穫シーズンに入ったら、目の細かいネットを木全体にふわっとかけて、物理的についばめない状態にしておくとよいでしょう。
ジューンベリーの詳しい育て方

苗木の選び方
ジューンベリーの苗木を選ぶ際は、枝が太くしっかりとしたものを選びましょう。葉の裏や枝、幹などに病害虫がないかどうかも、選ぶポイントです。
植え付け・植え替え
ジューンベリーの植え付け適期は、落葉したのちの休眠期にあたる12〜3月です。
【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。
【鉢植え】
鉢の大きさは、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。
鉢植えで楽しむ場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。落葉期の11~3月に、一回り大きな鉢への植え替えを行いましょう。
植え替えは、まず鉢の底に鉢底ネットと鉢底石を置き、新しい用土を鉢の3割程度まで入れます。ジューンベリーをこれまで植えていた鉢から引き上げ、根についた土を払い落としてから新しい鉢に入れ、土を追加しましょう。
日常のお手入れ
【人工授粉】
ジューンベリーは何もしなくても花や実がつきますが、果実をより多く実らせたいなら、人工授粉を試してみましょう。筆や綿棒などで花の中をやさしくなでることで、雄しべの花粉を雌しべに移せます。
剪定

ジューンベリーの剪定適期は、休眠中の12〜2月です。
【主幹仕立て】
購入した苗木が1本の主幹のみが出ているタイプは、卵形の樹形に仕立てます。ジューンベリーは、比較的自然に樹形が整うので、剪定はしやすいほうです。枝が込み合いすぎると光が奥まで通らず花や実がつきにくくなるので、すかし剪定を基本にします。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。地際から立ち上がっている「ひこばえ」が発生しやすい傾向にあるので、これらは元から切り取りましょう。
【株立ち仕立て】
地際から数本の細い幹を立ち上げるように仕立てられた樹形を「株立ち」といいます。株立ちの樹形は細い幹姿が魅力なので、この樹形を保つ剪定が必要です。地際から出ている幹の数は、5本くらいを目安にします。2〜3年実をつけた幹は枝の部分が込み合ってくるので、枝元の分岐点から切り取りましょう。新しく元から出てくる若い枝に更新します。
また、数年経った幹のうち、上部で込み合っている部分があれば、枝を何本か切り取るすかし剪定をして、内側まで光が差し込むようにしましょう。
増やし方

ジューンベリーは、挿し木と種まきで増やすことができます。
【挿し木】
挿し木の適期は6月下旬〜7月です。春に伸びた若くて勢いのある枝を選んで切り取ります。市販の園芸用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理を。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。
【種まき】
種まきの適期は6月下旬〜7月です。果実を採取したら、中からタネを取り出しましょう。よく水洗いをして果肉を落とし、園芸用培養土を入れたトレイに種まきすると、翌年の春に発芽します。成長とともに、鉢増ししながら育成するとよいでしょう。
ジューンベリーはジャムや果実酒におすすめ

ジューンベリーの果実は食用できることでも有名です。実が赤い時期は甘みと酸味のバランスがよく、熟すにつれて酸味よりも甘みが強くなります。ガーデニングシーズンに収穫できるので、庭作業の合間にひとつまみするというガーデナーもいるように生食も可能ですが、たくさん収穫できれば、口当たりがなめらで優しい甘みを堪能できるジャムや果実酒への加工もおすすめです。
ジューンベリーは味がよいだけでなく、栄養も豊富です。アントシアニンや食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、抗酸化作用があります。また、マンガンやカルシウムも多く含まれており、歯や骨の健康に役立つでしょう。
【ジューンベリージャム】

ジューンベリーの実を収穫したら、よく洗って軽く水気を切ります。砂糖は、収穫した量の30%を目安に、好みの甘さに調節するとよいでしょう。鍋に果実と砂糖を入れ、中火にかけます。煮立ってきたらレモン汁を加えて弱火にし、好みのとろみ感に調節します。出来上がったら、煮沸消毒しておいた保存瓶に入れて冷蔵庫で保存。ヨーグルトやアイスクリーム、パンケーキなどに添えておいしくいただけます。
【シロップ】
ジューンベリーをよく洗い、同量の水と一緒に鍋に入れて中火で熱します。熱が入った実がはじけたら火からおろし、粗熱が取れるまで待ちましょう。鍋の中身を濾して種や皮を取り除いたら、砂糖、レモン汁を加えて一煮立ちさせます。
完成したシロップは冷蔵庫で保存しましょう。ソーダで割ると、爽やかな夏のドリンクになりますよ。
【果実酒】
収穫したジューンベリー600gに対し、氷砂糖100g、ホワイトリカー1,000mlを準備します。果実はよく水洗いして、しっかり水気を拭き取ります。煮沸消毒、またはアルコール消毒しておいた保存容器に、材料を全て入れて保存。2カ月ほど経ったら、中の実を取り出します。3カ月ほど経ったら飲み頃です。
家庭でジューンベリーを育ててみよう

暑さ寒さに強く、育てやすいジューンベリーは、シンボルツリーとしても大変人気の庭木です。和風・洋風どちらの庭にも馴染みやすく、なんといっても果実を収穫してジャムなどに利用できるのが嬉しいですね。新緑・開花・結実・紅葉と、季節が巡るごとに表情の変化を楽しめるジューンベリーを、ぜひ庭に植栽してみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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