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憧れのライラックの育て方完全ガイド|関東以南での夏越し術や剪定のコツ、人気の品種まで解説

憧れのライラックの育て方完全ガイド|関東以南での夏越し術や剪定のコツ、人気の品種まで解説

Kabar/Shutterstock.com

春の訪れを告げる甘い香りと、ボリュームのある花房が魅力のライラック。フランス語に由来するリラの花としても親しまれています。爽やかな美しさを持つ憧れの花木ですが、「寒冷地の花だから、暖かい地域では育たないのでは?」「剪定が難しそう」と諦めていませんか? じつは、温暖な地域でも育てやすく、コンパクトに生育するライラックも登場しています。
この記事では、ライラックの基本情報から、失敗しないための夏越し対策、花を咲かせる剪定のコツ、そして編集部おすすめの園芸品種まで詳しく解説します。あなたの庭やベランダを、ライラックの香りで彩ってみませんか。

ライラックの基本情報

ライラック
Ritvars/Shutterstock.com

植物名:ライラック
学名:Syringa vulgaris
英名:lilac、common lilac
和名:ムラサキハシドイ(紫丁香花)
その他の名前:リラ、ハナハシドイ
科名:モクセイ科
属名:ハシドイ属
原産地:ヨーロッパ南東部、またはアフガニスタン~ペルシャ
形態:落葉性高木

ライラックの学名はSyringa vulgaris (シリンガ・バルガリス)。別名のリラはフランス語です。和名はムラサキハシドイ(紫丁香花)など。モクセイ科ハシドイ属の花木で、秋には黄葉して葉を落とす落葉樹です。原産地はヨーロッパ南東部またはアフガニスタンからペルシャにかけてで、寒さに強い一方、暑さには弱く地植えできるのは北海道から関東地方までです。樹高は1.5〜6mになりますが、毎年の適切な剪定によって樹高をコントロールすることができます。あまり旺盛に枝葉を伸ばす方ではなく、樹形も自然にまとまるので大きく切り戻したり刈り込んだりというよりは、込んでいる部分を切り取って風通しをよくする程度の剪定にします。

ライラックの木々が花咲く初夏の公園。spstudio.com/Shutterstock.com

ライラックの花や葉の特徴

ライラック
Andrejs Marcenko/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:4〜5月
樹高:1.5〜6m
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:紫、白、赤

ライラックの開花期は4〜5月で、花色は紫、白、赤など。花茎を10〜20㎝ほど伸ばした先に、バニラのような甘い香りを持つ花径1㎝ほどの小さな花を多数つけます。一つひとつの花は小さいですが、密集して花がついて円錐状をなすので、大変華やかです。基本的には4弁花ですが、まれに見つかる5弁花は「ラッキーライラック」などと呼ばれ、「幸せが訪れる」というジンクスがあります。一重咲きがほとんどですが、園芸品種のなかには八重咲き種も販売されています。

春を象徴する魅力的な香り

ライラック
ANGHI/Shutterstock.com

ライラックは甘い香りを漂わせるのも大きな魅力。香水の原料にもなっていて、「世界三大芳香花(三大フローラル)」バラ、ジャスミン、ミュゲ(スズラン)と並び、四大フローラルと称されることもある芳香が特徴です。香りは強く記憶に残りやすく、ふとした香りをきっかけに昔の思い出や誰かと過ごしたひとときを思い出すきっかけにもなることも。庭にシンボルツリーとして芳香を放つライラックを植えて、家族と過ごした時間を香りとともに共有するのも素敵な演出です。

ライラックの名前の由来と花言葉

ライラック
Marina Tachinska/Shutterstock.com

ライラックという名前は英名を、またリラという別名はフランス名を詠んだもの。ペルシャ語で「青色」や「淡紫色」を意味する「リーラク(lilag/lilak)」が語源と考えられており、この言葉がフランス語の「リラ(lilas)」となり、英語の「ライラック(lilac)」になったとされています。ライラックの学名のSyringaは、古代ギリシャ語で「笛・パイプ」を意味する「syrinx(シリンガ)」に由来し、枝の中心の髄を抜いて筒状にし、笛を作っていたことにちなむとされています。また、和名のムラサキハシドイは、紫色の花が枝の端に集まって咲くことに由来するそうです。

ライラックの代表的な花言葉は、「思い出」「友情」です。花色ごとにも花言葉があり、白いライラックの花言葉は「青春の喜び」「無邪気」、紫は「恋の芽生え」「初恋」、ピンクは「思い出」です。

ライラックの種類

ライラック‘センセーション’
赤紫の花に白の覆輪が入るバイカラー品種‘センセーション’なども。Tanya Vasilek/Shutterstock.com

ライラックにはいくつかの園芸品種があります。ここでは、主なものをいくつかご紹介します。

‘パープルグローリー’

花色は上品な濃い紫色で、一重の大輪花。満開時には見応えがあります。比較的暑さに強く、花つきがよいためビギナーにおすすめ。樹高は2〜4mほどで、シンボルツリーとしても利用できます。

‘クラークジャイアント’

円錐状の大きな花房になる品種で、多数の花をつける姿はダイナミック。花色は青みがかった淡い紫色で涼しげな印象を持っています。寒さに強く、甘い香りが魅力的です。樹高は2〜4mほど。

ドワーフライラック‘フラワーフェスタピンク’

コンパクトに樹形がまとまるタイプで、樹高は1.2mほど。花色は淡いピンクで従来種よりも大きな花穂となり、満開時には木を覆い尽くすほどに開花して大変華やかです。小さな庭やベランダなどで鉢栽培するのにも向いています。

ヒメライラック‘ドワーフピンク’

一般的なライラックよりも小さくまとまり、樹高は75〜90㎝ほど。地植えはもちろん、鉢植えに向く品種です。新旧両枝咲きの二季咲き性で、春に開花した後、秋にも再び開花します。花色は明るいピンク。

ライラックは札幌市のシンボルツリー

ライラック
Alexander Dremakov/Shutterstock.com

ヨーロッパ南東部原産のライラックが日本に伝わったのは1879年で、函館市に駐在したイギリス領事の妻が持ち込んだとされています。寒さに強い性質とも相俟って、主に北海道で街路樹として広まりました。札幌市では1960年にシンボルツリーとして選定され、毎年5月に「ライラックまつり」が開催されています。

関東地方以西では鉢植えやヒメライラックを

ライラック
BILL STEFANIS/Shutterstock.com

ライラックは寒さに強い一方で、高温多湿には弱いため、寒冷地の庭木におすすめ。地植えで栽培できるのは北海道から関東エリアまで、または標高の高い冷涼な地域です。関東地方以南の地域では、鉢栽培にして夏は涼しい半日陰などに移動して管理するとよいでしょう。

または、コンパクトにまとまるヒメライラックを選ぶのも一案。耐暑性が改善され、関東地方以南の温暖地でも地植えでの栽培が可能です。樹高は1.5mほどでこんもりと広がり、手入れがしやすく鉢栽培にも向いています。

ライラックの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:11月〜翌年3月
肥料:3月頃、6月頃
剪定:11月〜翌年3月

ライラックの栽培環境

ライラック
Ostrovskajah/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりと風通しがよい場所を選びます。半日陰でも育ちますが、あまりに暗い場所だと花つきが悪くなるので注意。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】暑さに弱いため、暖地では西日が当たらない場所を選び、夏は半日陰に移動するのもよいでしょう。また、水はけ、水もちがよく腐植質に富んだ土壌を好みます。

耐寒性・耐暑性

夏の暑さには弱く、暑さや乾燥で葉が傷んで木が弱ることがあります。暖地では鉢植えにして夏は涼しい半日陰に移動するなど、暑さ対策が必要です。寒さには強く、マイナス40℃程度にも耐えるため、冬越し対策は特に必要ありません。

ライラックの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50㎝程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質など水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植えつけ後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

花木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
topseller/Shutterstock.com

水やりの際は、木が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、木が弱ってしまうので、早朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥がする場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

3月頃に緩効性肥料を与えます。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。また、開花後の6月頃にお礼肥として、リン酸、カリ成分を多く含んだ緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。

注意する病害虫

アブラムシ
schankz/Shutterstock.com

【病気】

ライラックの栽培で発生しやすい病気は、うどんこ病や黒星病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

黒星病は、カビによる伝染性の病気です。雨が多い18〜20℃の環境を好むため5〜7月に発症しやすく、葉などに被害が現れます。黒っぽくて丸い斑点が全体に広がっていくのが特徴です。日当たり、風通しが悪いと発病しやすくなるので、込み合っている枝などはすかすように剪定して発生を防ぎましょう。病気にかかった後に剪定した枝や落ち葉は、地中に残らないように処分することも大切です。また、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して防除します。

【害虫】

ライラックの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシやカイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、木を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するとよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10㎜ほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ライラックの詳しい育て方

苗木の選び方

苗木を購入する際は、幹や枝が太くどっしりとしたもの、葉の色艶がよく、病虫害の痕がないものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

ライラックの植え付け・植え替え適期は、休眠期の11月〜翌年3月です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

庭植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、10号以上の鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えます。一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。

鉢植えの場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

剪定
mihalec/Shutterstock.com

ライラックは7〜8月に翌年に咲く花芽が作られるので、剪定は開花後すぐに行います。

ライラックは自然に樹形が整うため、刈り込んだり、大きく切り戻したりというよりは、込み合いすぎている部分を切り取って風通しをよくすることを目的とした剪定を基本にするとよいでしょう。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取ります。込み合いすぎている場合に切り取る枝は、木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」などを選ぶとよいでしょう。これ以上大きくしたくない場合は、大体のアウトラインを決めて、そこからはみ出している枝を、分岐点までさかのぼって切り取ります。

また、市販されているライラックの苗木は接木苗が多く、時に台木から枝が伸びることがあります。そのままにしておくとライラックの勢いが衰え、台木が成長してしまうため、見つけたら付け根から切り取りましょう。

冬越し

ライラックと雪
Christina Stabrowska/Shutterstock.com

ライラックは寒さに強いため、一年を通して戸外で管理できますが、雪が多く降る地域では雪の重みで枝が折れることがあるため、対策が必要です。地植えの場合は、雪囲いをして枝を守りましょう。鉢栽培の場合は、雪が積もらない場所に移動しておくのも一案です。ただし、冬の間に寒さにあわないと翌春に開花しなくなるので、室内などの暖かい場所には置かないようにしましょう。

ライラックの育て方のポイントを押さえて花と香りを楽しもう

ライラック
Susan Hodgson/Shutterstock.com

寒さに大変強く、大きな花房をたくさんつけるダイナミックな花姿が魅力のライラック。ヒメライラックの品種を選べばコンパクトに樹形がまとまるので、鉢栽培にも向いています。香りも素晴らしいライラックを、庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。

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