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新緑の季節に、豊かな香りをのせて優しい色彩の花を咲かせるライラック。冷涼な気候を好み、北海道やヨーロッパでは街路樹などに利用され、多くの人に愛されています。フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんによる今回のWeb上アレンジメントレッスンでは、このライラックを使ったフラワーアレンジのバリエーションとともに、海野さんが暮らしたハンガリーのライラックの思い出をご紹介します。ちょっとしたコツと自由な発想で、季節の花アレンジを楽しみましょう。

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ライラックの季節

ライラック

若葉がまぶしい新緑の季節ですね。

この時期、北海道では、ちょうどライラックの花が咲く頃。2022年は3年ぶりに「さっぽろライラックまつり」が開催されるそうです(5月18日から29日まで)。

ライラックはヨーロッパ原産の落葉花木で、耐寒性が強い、涼冷な地域の植物。北海道では庭木のほか、公園や街路樹として植えられています。フランス名の「リラ」も素敵な響きです。

ライラック

北の大地に初夏の訪れを告げるライラック。お部屋に飾って楽しみませんか。今回は、ライラックを使ったアレンジバリエーションを4種類ご紹介します。

ライラックをアレンジするときに注意すること

ライラック

ライラックの花は、水あげがあまりよくない場合があります。そこで、茎をカットするときに、縦にハサミを入れたり、叩く、茎の中のワタを取り除くなどの手法を試してみてください。また器の中には、たっぷりの水を入れましょう。

ライラックの花色は、白、ピンク、紫、ブルーがあります。どれも綺麗ですが、白と紫のライラックは、人によっては気にされる言い伝えもありますので、贈り花にする際にはお気をつけください。

クラシカルなバスケットにアレンジ

ライラックのバスケットアレンジ

まずは、バスケットにアレンジ。

ライラックはバスケットとの相性抜群です。どんなスタイルのバスケットも似合います。私は、クラシカルなスタイルのものを選んでみました。

ライラックのバスケットアレンジ
  1. 中に落とし(ガラスの器やプラスチックのカップなど)を入れて、水をたっぷりと入れます。
    ライラックのバスケットアレンジ
  2. あとはライラックの枝を1本ずつ入れていきます。葉っぱが多いようでしたら、少し間引きましょう。葉が水に浸からないように下葉は取り、全体がこんもりするように入れます。
    ライラックのバスケットアレンジ
    ライラックのバスケットアレンジ

出来上がり。

ライラックのバスケットアレンジ

苔とガラスのカップの組み合わせのアレンジ

ライラックのバスケットアレンジ

ライラックに苔とガラスのカップ、キャンドルを組み合わせて、また違う雰囲気のバスケットアレンジに。

<用意するもの>

ライラックのバスケットアレンジ
  • 浅いバスケット
  • 苔(ハイゴケ)
  • 小さめのガラスのカップ 4〜5個
  • キャンドル用耐熱カップ 1〜2個
  • フローティングキャンドル 1〜2個

<アレンジの手順>

  1. バスケットにセロファンを敷きます。
  2. ハイゴケをバスケット全体に敷きます。
    ライラックのバスケットアレンジ
  3. キャンドル用のカップを配置します。持ち手付きのバスケットの場合、キャンドルの炎がかからないところに配置します。
    ライラックのバスケットアレンジ
  4. 花を入れるカップを並べます。ハイゴケの中に埋め込むようにして、安定させましょう。
    ライラックのバスケットアレンジ
  5. 花を入れるカップに水をたっぷり入れます。
  6. ライラックを短めにカットして、水を入れたカップに入れていきます。
    ライラックのバスケットアレンジ
  7. キャンドル用のカップにも水を入れて、キャンドルに火を灯します。キャンドルの火が、ライラックの葉やバスケットの持ち手にかからないように注意しましょう。
    ライラックのバスケットアレンジ
ライラックのバスケットアレンジ

ハイゴケが手に入らない場合は、ドライのヤマゴケでも大丈夫です。ガラスのカップが安定するように敷いてください。

ガラスのベースに投げ入れ

ライラックのアレンジ

次は、ガラスのフラワーベースに活けます。ベースには水をたっぷりと入れましょう。水に浸かるところの葉は取り除いてください。

投げ入れは、枝の“なり”を見ることから始めます。入れたい枝が数本あるとしたら、一番長いものから入れます。その一番長い枝の方向や、花の付き方を見て、どのように入れるかを決めていきます。この場合、花がきれいに見える向きと枝の曲がり方を見て、右に流れるように入れました。

そして、手前にメインとなる枝を入れます。あとは、長い枝と手前の枝の間に残りの枝を入れて、枝と枝を繋げるようにします。

投げ入れは、あまり整えすぎず、ラフな感じのほうが素敵だと思います。

ライラックのアレンジ

ライラックの花を浮かべる

ライラックのアレンジ

ライラックの花を、水を張ったガラスのコンポートに浮かべます。フローティングキャンドルも一緒に入れるときれいですよ。

ライラックのアレンジ

ブダペストのライラック

ライラックは涼しい地域を好む花木。札幌市の「木」でもあります。

以前住んでいたハンガリーの首都ブダペストは、旭川と緯度がほぼ同じ。冬の寒さが厳しく、雪もよく降りました。

ブダペストのバス停
ライラックが咲くブダペストのバス停。

5月になると、ライラックの花がいっせいに咲きます。ご近所の庭、バス通りなど、紫やピンク、白のライラックの花が咲く光景は、それはそれはきれいでした。私はライラックの花が咲く坂道を、バスの窓から眺めたり、香りを楽しみながら散歩するのが大好きでした。

バス通りのライラック
ブダペストで暮らしていた時に、バスで通った坂道。街のあちらこちらにライラックの木があり、上写真にも右手にライラックの花が咲いています。

いつも野菜などを買う常設の市場にもライラックの切り花が並びました。どこか郊外から切ってきたという感じで、長さも揃っていないし、枝も曲がっているものでしたが、花つきがよく、大きくモリモリ。そして何より、新鮮で香りがよかったことが印象的でした。抱えるようにして家に持ち帰り、バスケットに活けたり、フラワーベースに活けたり。リビングの窓辺やベッドサイドにも飾りました。

バス通りのライラックに憧れて、帰国してから姫ライラックの苗木を購入。鉢植えにしてあります。姫ライラックは「耐暑性が強く改良され、暖かい地方でも育てやすい。樹高が高くならず、こんもりと横に広がるのが特徴」だそうです。私の姫ライラックは、まだまだ札幌やブダペストのライラックには程遠いですが、いつかモリモリのライラックの花がたくさん咲くといいなと思っているところです。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/

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