北海道で、里山や野原にならいながら育ててきた山崎亮子さんの「森の庭」。植物たちが季節ごとに役割を受け渡し、無理なく景色をつないできた庭も、近年の猛暑や長雨で、50年連れ添ったプリムラ・デンティキュラータが“溶ける”ように弱るなど、異変が現れ始めました。そんな中で山崎さんが実感したのが、庭を劇的に変えるのではなく、「わが家らしいまま健やかに保つ」バイオマイスターの力でした。
目次
季節ごとに植物がバトンを渡す、わが家の「森の庭」

私が暮らす「森の庭」は、里山や野原にならいながら育んでいる北海道のナチュラルガーデンです。家と花畑は、雑木や15mほどあるトドマツやカラマツに囲まれ、小さな住宅地のはずれにありながら、隠れ家のようにひっそりと佇んでいます。

とはいえ、暮らしは四季の変化と動植物でいつも賑やかです。花壇にはシャクヤクやバラといった華やかな花も、アヤメやキキョウなど昔から日本で愛されてきた花も、薬草や山菜として重宝された品種も、野の花も、一緒になって地面を覆い、四季折々の姿を見せてくれます。毎日リスや小鳥が訪れ、軒下には青大将が寝そべってネズミから家を守っています。虫たちもたくさんいますが、それぞれの敵もいるので、害虫として幅をきかせることはありません。
野原にならって密植しているため、地面には影が多く、乾燥もしにくい環境です。そのため夏でも水やりは必要ありません。パラソルのように葉を広げるシャクヤクやバラの葉陰には、スイセンをはじめとした春に咲く球根花を植えています。植物が蒸れやすい時期は、ちょうど球根花の葉が枯れ始めます。すると、風通しがよくなった足元に根が浅いゲンノショウコやホタルブクロが育ち始めます。それらを好き放題に伸ばしてグラウンドカバーにしておくと、余計な雑草も育ちにくく、夏の草取りに追われることもありません。こんなふうに、植物が役割を受け渡すように季節をリレーしていき、庭はいつも無理なく次の景色へ移っていきます。庭の落ち葉や抜いた草を積んだ腐葉土も上手く循環させて、伸びやかにガーデンライフを楽しんでいます。

気候変動で、「これまで通り」の庭が揺らぎ始めた
そんな庭に異変が現れ始めたのは2023年頃から。従来、北海道で30℃前後まで上がるのはせいぜい年数回ほどで、夏も心地よい気候が自慢でした。ところが、まだまだ涼しいはずの6月に、30℃近くまで気温が上昇する日が珍しくなくなってきたのです。また、梅雨のない地域とされていたのに、梅雨に相当するような長雨が続いた年もあります。
気候変動の影響を受け、冷涼な気候に向く植物は暑さで弱ってしまいました。そのひとつが春に紫のポンポンをいっぱい咲かせる姿が愛らしいプリムラ・デンティキュラータです。本州の花好きさんとの交流で「植物が暑さで溶ける」という表現を聞いてもピンと来なかったのですが、2023年夏、はじめて「これか…」と実感しました。

2023年の春は庭のあちらこちらに紫のポンポンが見えますが、この年を境に多くが夏に「溶けて」しまうようになりました。翌年以降も猛暑日が続いたので、2025年の春には多くが姿を消してしまいました。

「十分きれいよ」と友達が慰めてくれて「ありがとう」とは言うものの、プリムラ・デンティキュラータは子どもの頃から実家にあり、結婚後も株分けしてこの庭に連れてきたのです。50年一緒に過ごした大切な花。その喪失感は埋めようがありません。また、病気が出ないのが自慢だったのに、はじめてキキョウに白絹病が発生。段々と、でも確実に「これまで通り」が通用しにくくなってしまいました。

バイオマイスターとの出会いは、まだ「花が溶ける」ような猛暑を体験したことのない、2023年の晩春のことです。私の花好きっぷりを誰よりご存じの方からのプレゼントでした。有効微生物類を含む“培養土の素”であるバイオマイスターは、程なくこの庭で重要な役目を果たしていくのですが、そのお話の前に、わが家の「土づくり」の歴史をお話しします。
硬い赤土から、20年かけて育ててきた庭の土

20余年の歳月の中で、わが家の庭は植物と生き物のバランスが生まれ、ほぼ自生するに任せられる伸びやかな居場所になっていました。しかし、元々ここは開発跡地で、土地の大部分は表土が剥がされ、粘土と石が混じりガチガチに固まった赤土でした。植物が育つために必要な「団粒構造」とはほど遠く、最初は草花は何も育たず、フカフカの土がいかに大事か痛感しながら庭づくり、そして「土づくり」もしてきました。

フカフカの土の正体は団粒構造です。その団粒構造を作っているのが微生物です。そして微生物の餌となるのは有機質です。そこでヤセ地でも育つ雑草を積極的に育てて緑を増やし、落ち葉や草葉を積み上げ有機質を増やし、微生物に餌を与えながら少しずつ団粒構造を作っていきました。そんな「土づくり」を20年近く繰り返すことで、庭の植物は豊かになりました。でも、「豊かな土」の深さにはまだまだ足りないと、ずっと実感していました。

そこで、冬の手前には多肥を好むバラやシャクヤクに、ピンポイントで馬フン堆肥をあげていたのですが、病気で筋力が極端に弱くなった私は、その作業が年に一回のことでも負担になりはじめていました。そんな頃に、バイオマイスターとの出会いがあったのです。有用微生物の宝庫であるということと同時に、軽いという製品の特徴は、私の筋力でも負担が少ないのではないかと興味を持ち始めた矢先の、嬉しいプレゼントでした。
バイオマイスターが庭に静かな変化をもたらした

とはいえ最初は恐る恐るでした。というのも、バイオマイスターに含まれるのは有用微生物です。しかし、わが家の土にはすでにたくさんの微生物が住んでいます。まさか我が家の古参の微生物が、新参者をいびるようなことはしないだろうと思いつつ、彼らが仲良くできるかどうかは出たとこ勝負かもしれないと思いました。今思えば、単に資材を取り入れるというより、新しくペットを迎え入れるような心持ちで、ドキドキ・ワクワクしていました。
また、微生物には餌が必要です。バイオマイスターには「餌」となる成分も含まれていると聞きますが、どんどん増えてもらうためには餌となる有機物も豊富に必要です。しかし安易に微生物に餌を与えようと、多くの落ち葉や枯れ草を花壇の中に積むのは、花壇をコンポストにするようなもので、病害虫の住処になるかもしれません。果たして、どれくらいバイオマイスターを入れたらいいのだろう? 適量を見極めることができるだろうか?
こんなふうに私が神経質になるのには、じつはもうひとつ理由がありました。私が草を積んで土を微生物に耕してもらいながら、夏野菜を収穫していた畑があったのですが、そこを夫が張り切って天地返しをして深く土を耕し、有機肥料を入れたことがありました。その結果、なんとまったく逆効果に。肥料分に反応した雑草ばかりが巨大化して勢いづき、手がつけられなくなった夫は畑を放置。かつては何でもほどほどに育っていた畑は、硬い土に逆戻りしてしまいました。自然に近い循環で少しずつ育っていた土に、急な耕起と施肥を加えたことで、土の生態系のバランスが崩れてしまったのだと思います。
この経験は、微生物の世界は本当にデリケートだと痛感した一件でした。土はただ肥料を入れて耕せばよくなるわけではなく、土の中の微生物や構造のバランスを崩すと、かえって悪くなることがあるのです。
そんなわけで、ドギマギしながらバイオマイスターを庭の一部分に撒いてみたのですが…夏を越え、秋になっても、土質や野の草花に大きな変化はありませんでした。でもそれは安心の合図に感じました。雑草の巨大化も見られない点も、多めの窒素分で大きく育てる肥料と明らかに一線を引くと感じました。
安心した私は、越冬のために植物が根を肥らせる晩秋、落ち葉を掃き集めて花壇に敷き詰め、上からパラパラとバイオマイスターを撒きました。

翌2024年から、その花壇の落ち葉はもちろん、抜いた草を積んで腐葉土にしている山も、これまでにない早さで分解していることに気が付きました。だんだん弱っていたバラがそれ以上悪くならず、持ちこたえるようになったことに手ごたえを感じ、木々の下に山野草を植え込む時は、植え付けとともに入れるなど、次第にバイオマイスターを使うシーンが増えていきました。
「整った」土の中のバランスが、庭を確かに健やかにした

そして2025年から、庭が穏やかに変わり始めた手ごたえを感じるようになりました。その合図は、土の香りです。春先、雪解け後の湿った土から立ち上っていた強い土の香りが、以前よりやわらいでいたのです。犬の散歩でぬかるみのある砂利道を抜けると、まだそこには以前と同じ強い香りを感じたので、やはり庭の土の状態が変わったのだと思いました。言うならば「どぶろく」が「清酒」になったような……澄み切った感じなのです。「もしかしたら地中の空気と水の流れが整い、有機物の分解も以前より安定してきたのかもしれない」と感じました。
植物も、若干茎が太くなり、暑くとも葉がしっかり残っていることから、根張りがよくなったことが察せられました。おそらく団粒構造がこれまでよりも地中の深いところに到達したことがうかがえました。
嬉しかったのは、残ってくれていたプリムラ・デンティキュラータが「溶ける」ことなく葉陰で夏越ししてくれたことです。元気な植物たちの葉陰が濃くなり、若干涼しくなったこと、根張りがよくなったことが関係しているのかもしれません。
おかげで、その年の夏に私はとびきりの暑さで寝込んでしまったにも関わらず、草花たちはいつも通りの表情で夏を越してくれました。寝込んでいたくらいですから、水やりも全くできませんでしたが、植物たちは平気な顔です。白絹病の発生も昨年はゼロ! 元気な草花は明るい気持ちを運んでくれました。
植物の地上部が枯れて越冬に備えて根をしっかり太らせる時期、頑張ってくれた草花や微生物へのお礼の気持ちと、来年への期待をこめて、分厚く敷いた落ち葉の上に、すっかり定番となったバイオマイスターを撒きました。

2026年春、庭はまた応えてくれた
この記事を書いているのは、雪解けからひと月ほど経った4月末。花が一面に咲き始めたばかりの早春です。ですが、もうはやくも嬉しい変化があちらこちらに見つかって、ただでも嬉しい春の訪れが、ますますワクワクするものに変わっています。
あまり庭の変化に気付きにくい夫が「今年、スイセン多くない?」と声を弾ませるほど花数を増やし、シャクヤクはムチムチと太い芽を出しています。木の成長と共に日陰が増えたから、花の勢いも落ちたのかもしれないと思っていた時期もありましたが…なんてことない、悪いのは土だったのだと、今は思います。
気候変動の前に比べ数は減ったものの、夏越しに成功したプリムラ・デンティキュラータの紫のポンポンがあちこちに見られるだけで、心もポンポン弾みます。
バイオマイスターを使い始めてから、土は微生物が育んでいる産物なのだということを改めて深く感じるようになりました。
私らしい、野の花も園芸品種も分け隔てなく伸びやかに育ち、私自身も庭を負担に感じず、ゆるやかに過ごす日々が、これからも続いていくであろう実感を噛み締める、うららかな春の日々です。

メネデール社のホームページ https://www.menedael.co.jp
Credit
写真&文 / 山崎亮子

やまざき・りょうこ/北海道で家族とともに裏の森へとけこむような花と緑のガーデンを作る。厳しい自然環境でたくましく育つ植物を丹念に観察しながら庭づくりを楽しみ、庭の実りを食卓やインテリアなど暮らしへ豊かに展開し、その様子を本誌で執筆。自身の暮らしを描いたやさしいタッチのイラストも人気。
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