やまざき・りょうこ/北海道で家族とともに裏の森へとけこむような花と緑のガーデンを作る。厳しい自然環境でたくましく育つ植物を丹念に観察しながら庭づくりを楽しみ、庭の実りを食卓やインテリアなど暮らしへ豊かに展開し、その様子を本誌で執筆。自身の暮らしを描いたやさしいタッチのイラストも人気。
山崎亮子の記事
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ストーリー
山崎亮子さん新刊本『いのちのガーデン 北の森で暮らす車椅子のガーデナー』
亮子さんと家族が大切に育ててきた「森の庭」 北海道馬追(まおい)丘陵の森の中、そこだけポッカリ開けた、陽だまりのような庭があります。ここは山崎亮子さんと家族がつくる「森の庭」。 4月、雪解けを待ってクロッカスが花開くと、スイセン、シャクヤク、バラ、キキョウ、フロックス、アスターと、季節を花が咲き継いでいきます。庭を囲むシラカバやヤナギ、ハンノキの森は花々を輝かせる緑のキャンバスとして活躍してくれますが、秋には黄金や紅色に色づき、庭シーズンの華やかなフィナーレを飾る主役となります。 11月、雪が降り始めると、草花は銀世界の中で眠りにつきます。そこから半年近くは雪に白く縁取られた森の木々が窓辺の景色。時折、梢に積もった雪を落としながらエゾリスが走っていきます。この森も、庭も、亮子さんと家族が時間をかけて大切に育ててきました。 花を植え、咲いた花を摘んで窓辺に飾り、庭で実るスモモやブラックベリーを味わい、森の梢を薪に使ってお茶を入れ、焚き火を囲んで家族で夜空をあおぎ、また花を植える。かたわらでは子どもたちや犬が走り回り、リスも遊びにやってくる、まるで絵本のような暮らし。しかし、この穏やかな暮らしは、穏やかなだけの日々で手にしたものではありません。 病気と向き合い、自分らしく生きるために 亮子さんの生活には今、電動車椅子と人工呼吸器が欠かせません。四肢体幹の麻痺と慢性呼吸不全という症状があるためです。この症状が始まったのは2010年のこと。よく転ぶようになるという異変を発端に、歩けなくなり、次第に座っているのも辛くなり、数年のうちに呼吸もままならない状態に陥りました。保育士として働き、両親の暮らしをサポートしながら子育てをしていたハツラツとした自分が失われ、一つずつできなくなっていくことが増える焦りと不安、恐怖、そして身体の痛みに苛まれる日々。息さえも思うように吸えない苦しさとともに、亮子さんをさらに苦しめたのは、病名不明という状態です。いくつもの病院に足を運び診断を仰ぎましたが、原因が分からず、治療法も定まりません。「難病」と呼ばれる疾患は、このような原因不明の病気に当てはまることが多くありますが、亮子さんの場合、病気かどうかすら分からない混乱状態におかれることになりました。 原因不明の「難病」というカテゴリーからもこぼれ落ちてしまう状態は、現在医療社会学の分野で研究がなされており、代表的な疾患として「筋痛性脳脊髄炎」「慢性疲労症候群」「線維筋痛症」「過敏性腸症候群」「化学物質過敏症」などがあげられます。当事者には明らかな症状があり、日常生活が送れないにもかかわらず、既存の医学的な検査では異常が確認されないために、長期にわたり未診断状態におかれ、精神疾患と誤診されることがままあります。亮子さんもまた、同じ経過を辿ることになりました。また、症状によって数えきれないほど生活に支障があるにもかかわらず、病名のつかない亮子さんは、社会保証制度や社会福祉制度の利用においても数々の困難を体験しました。日本では、病院に行けばどうにかなると誰もが思って暮らしていますが、現在の医療でも未だに解明できないことは多々あります。いざというときは助けてもらえると当たり前のように信じていた医療や福祉も、熟練の名医ですら戸惑う状況下では、満足に機能しにくい現実を前に、途方に暮れる日々。生きるための息をつなぐのがやっとで、唯一寄り添ってくれる家族の会話にも加われない寂しさと悲しみが、亮子さんを覆っていきました。 闇の底に沈むような孤独に光を灯したのは「森の庭」です。厳寒の冬を経て力強く芽吹く森の木々、雨に打たれても再び光に向かって顔を上げる花々、動けぬ身ながら風や他の生き物にタネを託して自由に移動する植物たち。巡る季節に立ち止まることのない「森の庭」の命の営みは、ベッドの中で一日を過ごす亮子さんに、楽しみと勇気、そして希望を与えてくれました。長い長い紆余曲折の末に、診断が困難で治療方針を立てにくい難しい状況下でありながら、真摯に向き合い、救いの手を差しのべてくれる医師にも恵まれ、亮子さんの患う症状は心因性ではなく、何らかの神経筋疾患であることが分かりました。そして電動車椅子や人工呼吸器を用いることで、再び庭に出ることも叶いました。今も病名は分からず、車椅子や命をつなぐための医療機器は欠かせませんが、亮子さんは「自分らしく生きている」と胸を張ります。 明るく日の差すほうへ人生を進める亮子さんとガーデンライフ 本書では、美しい「森の庭」の四季と、車椅子を使いながら庭づくりをする亮子さんのガーデニング、季節ごとの手仕事の楽しみなどがまとめられています。香りを振りまくバラの花のモビール、ホオズキのランタン、グラス(草)のしめ縄など、庭の収穫物を使った暮らしの美しいアイデアもいっぱい。身体が不自由でも庭づくりを続ける工夫や楽しみ方は、誰にとっても参考になります。何より、困難の縁にあっても光をたぐり寄せ、明るく日の差すほうへ人生を進める姿に勇気づけられます。ガーデニングの楽しみを教えてくれながら、生きるヒントを見つけられる1冊です。 『いのちのガーデン 北の森で暮らす車椅子のガーデナー』目次 森の庭というガーデンスタイル <Essay 私の転機> 車椅子のガーデナーになるまで 庭が真ん中のナチュラルライフ 森の庭の四季/5月 黄金のスイセン 幸せの花畑 <Column> ビンに花を生ける 森の庭の四季/6月 ルピナスの季節 シャクヤクの女王様 <Column> ハーブでティータイム 森の庭の四季/7月 私たちのバラ わんこと過ごす庭 私の庭仕事 森の庭の四季/8月 焚き火にくつろぐ 青い野原でキキョウに思う <Column> 森の果樹を楽しむ 森の庭の四季/9月 秋の庭仕事 まさ土の道を作る 森の庭の四季/10月 森のハロウィン 庭じまいの季節 森の庭の四季/11月 遊び心ある空間づくり 森の庭の四季/12~2月 雪のなかの暮らしぶり 小さなガーデン、窓辺で楽しむ春 他多数 著者:山崎亮子定価:1,760円(本体1,600円+税)発売:2023年6月16日判型:A5判 ページ数:128ページ発行:家の光協会ISBN:978-4259567651 ●お求めは、お近くの書店、または「amazon」でお求めいただけます。
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育て方
ゆとりが生まれる畑の土づくり「不耕起栽培」のすすめ
北海道の一軒家 私の家は、森のほとりに建つ一軒家です。 森の中を通る道を抜けると、ポッカリと現れる原っぱのような庭と小さな家。家の裏には夏野菜の菜園。脇にはちょこっと山菜が採れる林や、ムーミンハウスと名付けた東屋があります。広さは、およそ800坪。 私は体力のないへなちょこガーデナーですが、庭仕事や畑作業が大変だと思ったことはありません。 花畑はほぼ自生、畑は耕さない不耕起栽培。体調もお天気もよい時だけ、気ままに手をかけたいところだけ、植物や土と語り合うように手を入れています。 今日は、我が家の畑を中心にお話ししたいと思います。 森の暮らしに、ようこそ(^^) 畑の見取り図 まずは、家の裏のメインの畑をご紹介します。全体をガーデンといった雰囲気にまとめています。 北と東の外周を2×4材を使ってDIYしたフェンスで囲い、角には生ごみ用のコンポストを配置。東西南北に草の道があり畑を四方に分け、少しずついろんな品種を作るために、小さな「うね」をいくつも立てています。 中央にシンボルとしてガゼボがあり、周りを丸く植栽コーナーで囲って、背の高い野菜を絡めています。 ガゼボを買ったのは9年前。畑の支柱が傷んだのでホームセンターに買いに行くと、バーゲンのガゼボを発見! 購入を予定していた支柱の価格と大差ないお値段だったので、家族3人揃って「こっちのほうがカッコいい」と飛びついたお気に入りです。 実った野菜がエレガントに見えるんです。 2021年の畑より。ささげが絡むガゼボ。 じつは、この畑は南側が森に面しているので、半日陰という畑作には不利な立地です。 オマケに野鳥や小動物に荒らされて、飼い犬たちまでイチゴを食い荒らすなど……。ハプニングばかりの畑ですが、たとえ収量少なめでも、家族の話題が豊富に食卓に上るこの菜園に、私たちは満足しています。 小さくて甘いピーマン「ピー太郎」と一般的なピーマン、ミニトマト2種、代々種子を採取して育てているささげ、ナスの「くろべえ」を収穫した2022年の畑より。 我が家流の不耕起栽培 我が家の畑は「不耕起栽培」の考え方を取り入れています。それは、地表を有機物で覆うことによって微生物を増やし、土壌を整える方法です。 自然栽培の本で不耕起栽培を知ったとき、森の土を作る方法のようだと感じました。枯れ葉が降り積もり、虫や生き物たちの営みで、豊かに保たれる森の土…。 「森の家だもの。自然の営みを生かして生活してみたい」とチャレンジして十数年。いろんな微生物がバランスよく過ごし、農薬や殺虫剤を使わずとも病害虫であまり悩まない、健やかな場所になりました。 手順は以下の図のように。立ち枯れた作物を捨てずに地面に重ねます。畑で直に腐葉土を作っていると想像してくださいね。 積み重ねた植物の下には生物がいっぱい集まって、モリモリ食べて分解し、肥料と同じような成分を作ってくれた上に、「団粒構造」という理想的な土にしてくれます。 生き物たちに「ありがとう」を言わなくては。 畑作シーズンがやってきたら、昨年の枯れ草を地表に敷きながら、うねを立て、野菜を育てます。 敷き詰める植物は、土が見えないくらいが適量なので、畑で枯れた作物だけでは足りません。我が家では花壇の植物も使って、どんどん重ねます。 おすすめの作業日は、カラッと晴れた日。薄く広げると、抜いた雑草も干からびて根付くことはありません。1日の作業で一気に厚く敷かず、サラリと敷くのがコツです。 これを繰り返すことで、次第に土の微生物が増え、数年単位で土が豊かになっていきます。 耕さなくても、肥料が少なめでも、野菜はちゃんと育ちます。いろんな生物や菌が同居しているせいか、何か特定の虫や病気だけが激増して困ったなんていう記憶はありません。 楽ちん、楽ちん。 左/昨年秋の植物をうねに乗せた早春。右/夏の畑。 不耕起栽培を成功させるコツ <春〜夏> 私が実践している不耕起栽培のコツは3つです。 畑に生えた雑草は小さなうちに抜いて重ねる晴れの日に薄く重ねる(すぐ干からびて土になじみます)作物より雑草の丈を低く抑える 作物のほうが勢いがあれば、雑草まみれでも平気です。 ほらね、雑草の中でも苦くないミニピーマンの「ピー太郎」が鈴なりです。 ミニピーマンの「ピー太郎」を収穫。 不耕起栽培を成功させるコツ <秋〜冬>その1 晩秋の草葉をふんだんに使う 秋の草葉って、とっても不思議。まるで抜け殻のようです。 みずみずしかったギボウシも、秋はしんなり。夏は私の指より太かった茎もバリッとした葉っぱも、ひと冬越せばトイレットペーパーのようにヒラヒラで、新しい草花が簡単に突き破って芽吹き始めます。 夏の葉っぱを干しても、こうはなりません。 経験上、秋に立ち枯れた植物は、完熟腐葉土に近い感覚です。ぶ厚く敷くと、ひと冬でかなり土がよくなります。こんな場所は土づくりのお宝です。 畑に大量に種まきしたくなければ、花が咲いたあと種を付ける前に、花茎をカットしてくださいね。綿毛になった後で何とかしようとしても、フワフワ飛び散ってしまいます。 …しかし、私は不耕起栽培を続けることで、こぼれた種が芽吹いたら「うしし『堆肥』が出てきたぞ」と喜ぶ人になりました(笑)。 不耕起栽培を成功させるコツ <秋〜冬>その2 有機石灰をまこう 土壌改良剤の一つ、「有機石灰」は貝殻などが原材料で、アルカリ性の土が好きな野菜のためにまいています。 日本の土は酸性なのですが、野菜の多くはアルカリ性の土である海外が原産なので、石灰は欠かせません。 落ち葉は燃やすか堆肥に活用します 根雪になる前、森の家の我が家には、大量の落ち葉が降り注ぎます。落ち葉は堆肥にするか、燃やして草木灰にします。なぜそうするのか、理由は水はけの悪さにあります。 落ち葉を雪解け後まで放っておくと、雪でペシャンコになり、地表で固まってシート状になってしまいます。そこに雨が降れば、たっぷり水を吸ってジメジメに。 気のせいか蚊やナメクジも増える気が……。 写真のような濡れ落ち葉は、のろしを上げるがごとく煙ばかり上がって、ちっとも燃えないので、堆肥にします。 我が家の堆肥づくりは、山の傾斜を利用したお手軽コンポストです。 落ち葉が乾いていたら、やった! とばかりに落ち葉焚きです。落ち葉焚きといえば焼き芋! これも例年の季節の楽しみ。 我が家では、焚き火用に底や両脇に空気穴をあけた一輪車を用意して「七輪車」と呼んでいます。 ドッサリの落ち葉を焼いて、熾火をゴッソリ作ったら、焼き芋屋さんのようにじっくりトロトロ蒸し焼きに……もうたまりません。残った草木灰は主に花壇へ。花壇から雑草や立ち枯れた草葉が畑へ。こうして庭と畑と暮らしの喜びが、毎年グルグル回っています。 ゆとりが生まれる栽培方法 私は病気があって、体調はいつも不安定です。慢性呼吸不全に不全麻痺で思うように動けず、痛みも強い毎日。目標を定めて頑張ることは難しく、いろんなことが常に後回しです。 ただでさえ自己嫌悪に陥りそうな日常なので、もしもメディアのお手本のように栽培しようとしていたら「ちゃんとできなかった」ことだらけになり、とっくにガーデニング自体を諦めていたと思います。 ところが、不耕起栽培だと耕さなくていいぶん体力が要らないし、雑草を積むのが大事なので、雑草でぼうぼうになっても庭や畑が荒れているとは思いません。 土の下で何が起きているか…どんな生き物が増えたかが楽しみなくらいです。 雑草も許し共存し、手入れに追われず、あるがままを楽しむゆとりが生まれること。 それが不耕起栽培の贈りものだと思います。 最後に、このガーデニングスタイルにたどり着いた参考文献を2冊ご紹介します。 ・『新ぐうたら農法のすすめ』 西村和雄著 人類文化社刊 2001年・『地面の下のいきもの』 大野正雄著 挿絵/松岡達英 福音館書店刊 1988年 絵本を超えた素晴らしい一冊で、ガーデナーの足元の世界が変わります!
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家庭菜園
真冬の窓辺で野菜と花を育てる方法! おうちガーデニング
雪国の長い冬 一面銀世界の畑エリア。 私は北海道の森の中で、ガーデニングを楽しみながら暮らしています。 とはいえ、北国北海道です。私が暮らす地域は初雪がだいたい11月。12月になれば根雪に覆われ、庭仕事ができない分、雪かきに追われる日々となります。1〜2月は最高気温ですらマイナスの日も多く、雪と氷にすっぽり覆われるのが毎年恒例です。 大人はみんな口を開けば冬の厳しさへの愚痴ばかり。「いやあ〜今日も寒いわ」「雪、こんなに積もって、嫌になるね」 と冬を嘆くのが挨拶代わりになっているくらいですが、一面の銀世界の美しさは例えようもありません。文句を言いつつも、雪が無い冬は想像もできないのが道産子のように思います。 1枚目の写真と同じエリアの4月上旬の様子。 3月には本格的な雪どけが始まり、月末からは地面が顔を出すものの、4月になってもうっすら雪が積もったり、霜が降りたり……。こんな感じで、屋外でガーデニングを楽しめない期間は、およそ半年も続きます。 「寄せ植え風キッチンガーデン」で室内ガーデニングを半年楽しむ 半年間、屋外でのガーデニングができない時期は、我が家では室内でキッチンガーデンを楽しんでいます。場所は「ガーデンルーム」と名付けた西日の当たる部屋です。もとは屋根付きのデッキスペースでしたが、 2×4材やアクリル板を使ってDIYで囲い、年中楽しめる空間に変えました。 この場所で、外が少しずつ暖かくなっていく雪どけ時期から早春にかけて、野菜苗やパンジーやビオラを育てています。室内とはいえ、国内のほとんどの地域でいう「真冬」に当たる気温のため、選ぶのは寒さに強い葉ものが中心です。 いろんな色や形のレタスが入ったミックスは、料理の彩りとしてちょっと添えるのにもピッタリで、メニューに連日レタスが入っていても違う気分になれるお気に入り。ほかには、水菜、小松菜、苗で買ったイタリアンパセリなども育てます。 紅茶やデザートに合うレモンバームやミント類、セロリやチャイブなど、料理の幅を広げるハーブの苗もおすすめです。 器に添えると食卓が彩り豊かになるグリーンがすぐ側にあるだけで、いつもの食卓が「おうちカフェ」になりますよ。 お気に入りの収納グッズとポリポットで小さな「畑」を作る方法 種まきをした後って、植えた本人はワクワクしていても、一見したら「ただの土」。 ちょっと味気ないので、収納用のカゴやBOXを器にして育てると雑貨感が加わります。インテリアグッズなどを自由に使うと、あらゆるインテリアに合わせられるので楽しさ倍増です。 【用意するもの】 お気に入りのカゴや収納グッズおすすめは、内寸A4サイズ(210×297mm)のトレー状になった浅い器。ビニール…お米の袋など厚手で丈夫なもの。ポリポット…カゴのサイズに合わせて用意。 苗が販売されているときに植わっているビニールポットは、サイズバリエーションが豊富。イラスト内では上の数字が直径、横が高さ。 例えば、幅20cm(200mm)のカゴなどの浅い容器に直径75mmのポットを3つ入れようとすると25mmオーバーになる計算ですが、ポットの直径×個数=容器の幅より数mmから2~3cmほど大きいくらいでOK。ポリポットはフニャフニャと形が変形しやすいので、うまく収まりますよ。 【カゴの中のキッチンガーデン作り方】 1、カゴの下にビニールを敷き、カゴの底面より3cmほど大きめにカットする。 2、ビニールの角を内側に折り込みながらカゴの内側に敷く。 3、種まき用の土をポットにあらかじめ入れておく。その際、牛乳パックを切った升(ます)を使うと土が入れやすいですよ。 4、土を入れたポットをカゴの中に並べて種を播く。 野菜は育った順に収穫して食べちゃうため、常に見栄えよくこんもり維持するのは難しいのですが、小分けのポットで育てているので、差し替えは簡単。 最初の種まきから1週間後くらいに、予備のポットとして2回目の種まきをしておけば、空になったポットと入れ替えることができます。いろいろな品種を並行して育てて、味の違いを確かめるのも楽しいですよ。 左のかごに植わるのは、バジル。ブリキには、パンジー、外葉を食べた後のレタス。 また、同じカゴの中で花が咲くポットを組み合わせると、とても可愛い寄せ植えになります。2月のバレンタインの時期ならリボンやハートのモチーフを、イースターの時期なら卵の殻など、雑貨も添えると、季節のインテリアとしても大活躍! 器はカゴだけではなく、ブリキ缶や木箱など、植物を引き立てる素材なら何でもおすすめです。可愛くて実用的な菜園、ぜひ作ってみてくださいね。 北国に訪れる遅い春とガーデニングの再開 そうこうしているうちに、春の遅い我が家も芽吹きの時期を迎えます。 春を待ちわびているのは我が家だけではありません。 ガーデンシーズンが再び訪れるゴールデンウィークには、地元のガーデンショップは、「待ってました!」とばかりにやってくる家族連れで大にぎわいです。近年は野菜苗が人気で、めぼしい品種はすぐに売り切れてしまうので、我が家も負けじと買い込みます。 日差しが暖かいガーデンルーム。切り株の台には、地植えを待つトマトやシソの苗がスタンバイ。 ところが、山の上にある我が家の庭は平地と比べて寒く、購入時期は野菜苗の定植には少し早め。ですから、しばらくは室内で管理することになります。ご覧の通り、ガーデンルームは苗でぎっしり! 私の庭では、5月半ば、山鳩が「デデポッポー…」と鳴き始める頃が植え付け時です。それまでは、こうしてガーデンルームでの室内菜園を満喫しています。
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ガーデン
天然のパラソルを作ろう! 木陰も実りも楽しめる果樹のパラソルツリー
管理がラクな果樹のパラソル仕立て 我が家には、木陰が心地よい小さな果樹が数本育っています。高さと幅はおよそ180cm。花や実を楽しむのはもちろん、枝葉を伸ばす木がまるでパラソルのように直射を遮りつつ、木漏れ日まで楽しめる。そう、名付けて「パラソルツリー」。住宅地でも育てられる存在感十分の生きたパラソルを育ててみませんか? この仕立てにすることで、枝葉に日光がまんべんなく当たり、株が元気に育ちます。そして、樹高180cm程度に低く抑えているので梯子いらず。隅々まで手が届きます。慣れると管理が楽ちんですよ。大きく育った今ある庭木でも、夏剪定の方法次第で木陰を楽しむパラソルに仕立て直せます。ぜひトライしてみてください。 パラソル仕立てに向く木の種類 大きく育ち剪定を必要とするバラ科の果樹であればパラソル仕立てが可能です。我が家では、スモモとミニリンゴの「アルプス乙女」をパラソル仕立てにしています。 ハナカイドウやウメもパラソルに仕立てることが可能な花木です。近年は品種改良も進んだことで、我が家のような寒冷地でも、暖地でも育つ樹種がいろいろ選べるようになっていますよ。ぜひ、調べてみてください。 パラソル仕立ての樹木の植え付けの時期と準備 土作りが、その後の成長を左右します。まずは、直径50cmほどのできるだけ深い穴を掘って、掘り上げた土に完熟堆肥をタップリ混ぜておきましょう。土がフカフカになり根がよく張って、すくすく育ちます。 一般的な植え付け適期は、通信販売で多くの苗が購入できる秋から3月頃。ですが、私の暮らす北海道夕張郡は凍結のため5月が適期です。こうしてみると、日本の気候は多様ですね。 地元のホームセンターに苗が並び始める時期が、お住まいの地域の植え付け適期である場合が多いようです。参考にするといいですよ。 パラソル仕立ての方法 【手順1】 植え付けた翌年の早春に、枝を1本残して切ります。残した枝をパラソルにしたい高さに切ります(長尺苗の場合、この段階は飛ばします)。 【手順2】7月初めに伸びた枝を3本残して切ります。その後さらに伸びてくる脇芽は見つけ次第手で折るか、翌年早春に剪定します。 【手順3】 残した枝に重りを吊り下げることで、枝先を下げます。初夏に内側に伸びた枝や多すぎる枝を切り、長すぎる枝先を切り詰めます。 パラソル仕立ての3~4年目以降の育て方 待ちに待ったパラソル状に仕立てることができたら、枝数や花や実が年々増えていきます。4~5年目には木陰の下でくつろげるようになりますよ。 剪定は「要らない枝を初夏に切る」「伸ばしたい枝に重りを下げる」を繰り返します。太くなった枝を切る場合、まだ寒い早春(冬)に行いましょう。 枝を下げるための重り選びの楽しみ 私は100円ショップの持ち手つきの小さな瓶を重りとして愛用中です。中にビー玉などを入れると重くなって、太く育った枝もたわめることができて実用的。 瓶の重りの使い方は、持ち手に紐を結び木に引っかけるだけ。とっても簡単です。瓶のほか、地面に置いたレンガに紐をかけて枝を下ろす方法もあります。人間が引っ掛からないよう、目印としてフラッグなどのアクセサリーを付けると可愛いですよ。 重りを吊す楽しみ方は、きっと無限大です。 剪定で今ある樹木を小さなパラソルに 今庭に育っている大きくなった庭木も、切り戻すことでパラソルにできます。 その手順は、初夏にほどよい位置で伸びてきた新枝に瓶などの重りを付けて枝先を下げておき、早春(寒冷地)もしくは冬(暖地)に、その新枝の上の部分を切り落とします。切り戻すと枝がたくさん出てくるので、すぐにこんもり茂ってきますよ。 年数が経った大木の場合、大胆に切り戻すとダメージが大きいので、何段階かに分け、数年かけて切り戻すと安心です。 パラソルツリーの根元に花壇を作る 苗木がパラソル状になるのは早くて3年目以降と気の長い話ですが、木の下を花壇として楽しめば、すぐ素敵な空間になりますし、花にあげる水や肥料が木にも届いてよく育ちます。 上は、我が家の木の下を参考に描いた図面です。 南側にお月様の形の花壇を、北側に椅子のコーナーを配しました。木の根元には根を傷めないよう、植えっぱなしにできるハーブを植えています(実際にもう15年、共存中です)。根元から離れた場所に宿根草や一年草を植えて楽しんでみるのはどうでしょうか? パラソルツリーで果樹をいっぱい収穫! 充実した実を安定して収穫するためには、品種ごとにさらなるコツが必要ですが、成功すれば達成感はひとしお。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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ガーデン
北海道の自然を楽しむ車イスのガーデンライフ
森や野原を育てる庭づくり 私の家は、北海道の小さな集落のはずれにポツンと建っています。森にぐるっと囲まれて、葉が落ちた冬にならなければ道路から見つけることはできません。地域で暮らす人々と、ごく親しい人だけが知る静かで小さな森の家です。 自然の中で子育てをしたいと家を建て始めた時、ここは山の一角を石まじりの硬い赤土で雛壇状に整形した広大な伐採跡地でした。 家とその周囲を「小さな里山」に見立て、雑木林の育成と自然と共生する生活空間をつくることを目標にスコップを握ったのが、ガーデニングのきっかけです。 敷地周りの雛壇は自然に見える角度に盛り直しつつ、庭を“戸外の部屋”としてレイアウトしていきました。敷地の最も高い箇所は三角屋根の手作りの小屋(我が家では「ムーミンハウス」と呼んでいます)が建つ遊び空間、裏が畑、そして下の段は平らな面を広く残した広場。各コーナーは、ゆるやかに蛇行した道でつないでいます。 土手や敷地の境は、北海道に自生する野草を中心に植え込み、大切に増やしました。 一番大事にしてきたのは、庭の中とその周辺の森づくりです。 伐採跡地を自生種の雑木林にするために目をつけたのが、種をいっぱい含んだ森の土。 まだ幼かった子どもが、敷地の隣を流れる沢で遊ぶのを見守った帰り、子ども用のバケツに土を入れては土手にまき、芽吹いた苗木を間引きながら大事に育てて15年。今では若い森に育ち、小動物がご近所さんとして庭で暮らしています。 下の写真はエゾリス。長い冬毛が残る耳がウサギみたいで可愛いでしょ? 姿を見るたび、人間は大喜びです。 私はガーデニングは生きたアートだと思っています。基盤は命です。北海道という島が豊かだから、命も繋がります。 森をつくるのは大事(おおごと)です。最初は、素人が一人でできるものではないと思っていました。 けれども赤土の露出した山肌を前に何もせずにはいられず、行動に移すうちに、いつしか現実が夢に追い付き、日常となっている現在です。 どうか北海道の大地が、豊かな姿で未来に残りますように。 野原に加わったバラ栽培 野原をつくる一方で、少しずつバラも増えていきました。当初、私にとってバラはファンタジー。「花はどれも花でしょ」と無関心な夫を前に、数千円もするバラが欲しいなんて言いにくかったのに、ある日雑誌を手にした夫が「こんな風にバラが咲き乱れる庭が見たい」と言い出し、「えっ? 本気?」とポカン。 …でもね、見たい気持ちなら誰にも負けないよ(笑)。 野原にバラを植えてみたら、意外にもよく似合い、それからバラに夢中になりました。いいえ、夢中というより病みつきでしょうか。この‘ストロベリー・ヒル’も、その頃からの住人です。 草花に興味のなかった夫が、バラが咲くと喜んでくれるようになって、バラのおかげで庭の楽しみを共有できるようになりました。最初は、よく草刈りと一緒に花を刈られて、ムムッとなったっけ。 私の抱える病気のこと 写真からうすうすお気づきかも? と思いますが、今の私は、神経に影響が出る難病で身体が不自由です。 思えば、物心ついたときから歩き方も個性的で運動音痴だったのですが、そういう個性だと思っていました。まさか将来こんなことになるなんて。 今の私は、いったん力を入れると抜くのが難しい症状が強いため、歩くことはできるものの一歩進むごとに強ばってゆき、数十メートルほどで前に一歩も進めなくなります。 足だけでなく、腕や体幹にも似た症状があります。身体を曲げ続けられないので、イスで休むことすら苦痛です。排尿も難しく、常時カテーテルを留置。発音もぎこちなく、慢性呼吸不全にもなり始めています。 ほぼベッドで過ごす日々を変えてくれたのが、変化する体調に合わせてイスの角度も変えられる電動車イスでした。 ベッドを起こして横になるような角度を取れるので、庭で休むことも可能です。車イスが苦手とする砂利道などもグイグイ走るパワーがあり、タイヤが真下に付いているので、内輪差なく回れます。庭の小道をクルクル回れる、お気に入りの愛車です。 選び抜いた車イスのおかげで、私はベッドから脱出し、再び広大な土地を縦横無尽に駆け回るガーデナーに戻ることができました。 庭には人を前向きにさせる力がある よく聞かれます…「なぜ、こんな状態で、そうまでして庭に出るの?」 私には素になる場所が必要だから、と答えます。 私の病は、いくつもの症状が複雑に絡み合い、未だ明確な診断には至っていません。 頼りの病院からもかつては冷たくあしらわれ、医療の証明がなくては福祉も受けられず、身内の理解も得られず、孤独のなかで苦しみました。終いには自分自身でも自分を疑う苦しい日々…。 庭は、そんな私に安らぎと希望を与えてくれる場所でした。 無心になって大地に向かうとき、他人の評価は意味を失い、私は何者でもなくなっていきます。気がつくと抜いた雑草の量に驚いたり、強風の後に森から芝にばらまかれた枝を拾う…といった、何ら評価もされぬことに「やったぞーっ!」と達成感を味わうのですから不思議です。 庭には人を不安や悲しみから解放し、前向きにさせる力があると思います。日光を浴びたり、反復運動をしたり…科学的にもストレスに強くなると証明されていることがいっぱい含まれているガーデニング。庭が私にとってより不可欠な場所になったのは、むしろ身体が不自由になった後だったように思います。 私の難解な症状に戸惑っていた身内も、医療や福祉も、次第に一緒に考え支えてくれるようになり、かつての辛い時間は日の光と風の向こうへ流れて消えていきました。 我が家のユニバーサルデザイン …とはいえど、治療法はいまだ見つからず、車イスが不可欠であることに変わりありません。庭も車イスで走れる庭でなければ何も始まらないのですが、庭づくり当初の事情が功を奏し、我が家の庭は、結果的にユニバーサルデザインになっています。 というのは、土地と建物だけで資金を使いきってしまったため、庭づくりの手段は人力あるのみでした。当時元気だった私は、スコップで土を掘っては盛り上げるという土木作業に勤しむ日々。そんな私を見て、まだ小さかった息子とその友だちは盛大な泥んこ遊びと思って大喜び! 彼らとワイワイ一緒に遊びながら庭づくりをした結果、庭の間の小道は、おのずと子どもたちが一輪車を押して行き来できるだけの広さと斜度になりました。 その小道は、結果として杖歩行で足を引きずっていても、電動車イスで走っていても、不自由なく行き来できるようになっています。 「ユニバーサルデザイン」とは難しいものでも特別なものでもなく、世代や身体状況を超えて楽しむためのものだと実感中です。 庭の見回り、庭仕事は無意識なリハビリ 庭にいる私は、いつも自由です。 歩き方は「はさみ足」という麻痺特有の歩行にそっくりだそうです。速度ものんびり、のんびり。 けれども、庭には立ち止まって見たいものがたくさんあります。花が開いた…こっちにもツボミがある…あ、チョウチョが…。私のゆっくり歩くテンポが「ちょうどよい」に変わる瞬間です。 ですが、いくら車イスがあっても、家で横になっている時間のほうが長くなります。少しでも花に親しんでいたくて、大事にドライにしたり、インテリアに取り入れることもしばしばです。 上は、庭の花で作ったハーバリウム。アルケミラ・モリス、カンパニュラ、シロウツボグサ、バラ‘ルイーズ・オディエ’。わが庭の初夏の瓶詰めです。 毎日、こうして庭で過ごすことがリハビリとなっているように思います。動くと筋緊張が増して辛くなるとはいえ、動かなければ筋力はどんどん落ちてしまいます。 庭にいるときの私は、やりたいことがいっぱいあって、思わず知らずに動いてしまいます。もしかすると、それが一番よいのかもしれません。 家族と過ごす時間 「今年は花畑をいっぱいつくるぞ」 折しも夫が、となりで宣言しています。 「なんの花?」と聞く息子に「分かんないけど、ブワッと咲く綺麗な花」と夫。バラを植えようと言ったのも夫だったし、華やかなものが好きなのかも。 …ねえねえ、ダリアなんてどうかなぁ? 「毎年、あれやりたい、これやりたい…って言いながら、ほとんどやらずに終わるんだよね」。そう笑う息子は、アウトドア調理に夢中です。欲しい道具もあるみたい。 ガーデンライフが今年もまた始まりそうです。
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レシピ・料理
庭のささやかな実りを美味しく、長く、美しく楽しむ「キャンディス」
簡単で、美味しくて、きれいなフレーバー氷砂糖「キャンディス」 「キャンディス」とは、もともとドイツ語で氷砂糖という意味です。ドイツの老舗デリカテッセン、ミヒェルゼンの「キャンディス」は、お酒や果物、スパイスなどさまざまなフレーバーがあり、日本でも数年前から大人気です。じつは、我が家も同じようなフレーバー氷砂糖を作っていて、氷砂糖とラム酒に季節の果物を漬けて作るので、以前は「ラムシロップ」と呼んでいました。あるときSNSでミヒェルゼンの「キャンディス」を知り、その愛らしい響きがとても気に入って、以来、我が家のラムシロップもキャンディスと呼んでいます。 紅茶などの温かな飲み物にひと匙加えれば、身体もホカホカ。ホットケーキなどにも手軽にかけて楽しめます。寒くなる秋から冬がおすすめのシーズンですが、暑い夏にはサイダーで割ったりアイスにかけるなど、季節を問わずに使えます。 漬ける過程でフレッシュな果実の色が溶け出し、色鮮やか。少量ずつ数種類作ると、インテリアとしても楽しめます。 作り方はとても簡単ですよ。さっそくご紹介しましょう。 自家製キャンディスの作り方 ■出来上がり200~250mlの作り方です。 《用意するもの》 250mlのガラス瓶 氷砂糖 50g 好みの果物 50g ラム酒 (ホワイトラム) 50ml おすすめの果物は、リンゴ、ベリー類、スライスした柑橘類や柑橘類の皮など。 《作り方》 瓶を煮沸消毒する 氷砂糖と好みの果物を瓶に入れる ラム酒(ホワイトラム)を入れる 写真は庭で収穫したジューンベリーを仕込んだところです。 瓶に蓋をして冷暗所で保存し、ときどき軽く振る。 入れた果物や気温などの条件によりますが、およそ2週間で氷砂糖がほぼ溶けきるか、これ以上は溶けない状態になります。 左は青リンゴ、右はジューンベリー。どちらも食材特有の香りと色が出てきました。シロップの完成です。 ■もうひと押し! 氷砂糖そのものも楽しむ作り方 氷砂糖がたくさん残っていると、角砂糖のようにホットドリンクに入れる楽しみも加わります。甘いもの好きにはたまりません。 足す氷砂糖の量は、およそ50g弱。250mlの瓶の口まで。時々振りながら様子を見て、飽和状態になったら完成です。 ■使い方のアイデア 《お菓子にかける》 アイス、ホットケーキ、厚焼きクッキー、シフォンケーキなど。 《飲み物に》 ・紅茶やホットミルク(豆乳)に加えるのがおすすめ。冷えた炭酸にもよく合います。 《 その他 》 お菓子作りの生地に練り込んで。 ソテーの前の下味に、または仕上げのフルーツソースに。 …アイデア次第、いろいろ楽しんでみてくださいね。 ■注意点 ※ラム酒が使われているため、未成年やお酒の弱い方にはおすすめできません。また使用後の運転は避けてください。 ※取り出すときは清潔なスプーンなどを使い、瓶に雑菌が入らないようにしましょう。 ■ 中に入っていた果実は? 私が作ったキャンディスのリンゴは、茶色くシワシワで見た目は最悪になったものの、ラムレーズンのアップルバージョンのようで味は最高! いち早くホットケーキなどに入れて食べきってしまいました。 一方のジューンベリーは、色もキレイで見た目は最高! でも味と風味は全て出きったようで…映えるので飾り専用に。 果実によりけりでした。 ぜひいろいろな果実をアレンジしてみてください。 果樹の庭と共に楽しんで! 私は北海道の山で庭をつくって15年になります。 ガーデニングをこよなく愛していますが、果樹を植え、実りを夢見ても、生育不良や天候不順…やっと実ったら鳥がほとんど食べてしまったり…思うようにいかずガッカリすることも多いのが、ガーデニングであると感じています。 キャンディスを作り始めたキッカケは、そんな不作の年。ジャムに代わる自家製スイーツを模索し、ためしに梅酒に使うお酒をホワイトラム(ラム酒)に代え、氷砂糖を多めに入れてみたところ、色もキレイで風味もよく、お酒として飲むだけではない多様に使えるシロップが完成。 50gに満たないわずかな量でも作れますし、ラム酒と砂糖の防腐作用で長く保存がきく嬉しい一品になり、今回ご紹介させていただきました。鉢栽培やベランダガーデンなどで果実栽培を楽しむ方にもおすすめです。 今年キャンディスを作ったのは夏だったのに、いつしか厳冬期に…。 長く楽しめるひと瓶が、季節が変わってなお美味しさを運ぶとき、収量がいかほどだったかは意味を成しません。そこにあるのは、緑や花と共に季節の移ろいを感じる喜びです。 大地が12~3月まで雪に覆われ、緑生い茂る季節は年に半分ほどの北海道ですが、かたわらにいつも庭を感じて暮らしています。
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ガーデン
春待つ冬の北海道から窓辺の花便り
今日も窓の外は銀世界です こんにちは。季節が春へ巡っていますね。先日は、九州に暮らす友人から「春のお届けです」と、満開紅梅の写真が添えられたLINEを受け取りました。ですが、私の暮らす北海道の2月はまだまだ厳冬期。気温は毎日マイナスで、窓から見える森の景色は純白に包まれています。 雪の季節は晩秋から始まります。 草葉が優しいベージュに染まり、穏やかながら物寂しくも思う頃、季節を先駆けるように初雪が舞い降ります。ベージュの世界が一転して純白に染まる朝…。毎年しばらく眺める雪景色にもかかわらず、その美しさに「わあぁ〜」と思わず声がもれます。もう思春期の一人息子も「お母さん! 雪だあっ」と弾む声。 この時期の雪は昼には溶けてしまう場合がほとんどです。まるで、空から届く冬の挨拶状のよう。 「しばらく大地が閉ざされますが、準備は大丈夫ですか…?」 雪は美しいけれど、やはり冬は長く厳しい季節です。まだ温もりがある日だまりに、ずっとそばに居て欲しくて…なんだか切ない季節です。 大切なバラが食べられないように一手間かけた冬支度を バラの枝が雪の重みで折れないように、支柱を中心に挿して株全体を麻紐でまとめるのが、庭最大の「冬支度」。ハサミを入れた場所は、皮がないので凍って傷みやすいため、剪定は早春に行います。 バラが好きなのは人間だけではありません。森の動物もバラが大好き。ネズミやリスは皮をカリカリむいてしまうし、シカは株ごと丸かじりです。どうやら、とっても美味しいみたい。 下からかじるネズミやウサギ避けのためには、上部を切った苗の保温容器が効果的です。また、バラを頭からムシャムシャ丸かじりするシカ避けには、ビニールのムシロで防御です。ワラのムシロを使ったら、逆に食事にお誘いしてしまうので要注意! バラをしっかり守った後の庭は、小さなティピーが並んだ小人の村のようです。半年も続く草花のない季節が、少しでも色のある世界になったら楽しいなぁ…と、余り布で作ったリボンをかけて回りました。 縫い物が大好きなので、余り布はふんだんに家にあります。冬囲い作業時に着ていたコートは、しなやかなウールの生地を見つけたので、裏生地に綿麻の生地を使って8年前に作りました。マフラーも10年前に作った一枚。いい布で動きやすく作った服は、流行も無くて飽きがこないうえ、とっても丈夫。ですから、縫い物はやめられず、あげく布好きなので、余り布は増える一方です。そろそろ断捨離しなくっちゃ。 庭のリボンに選んだ布は、できるだけ薄手のものを選び、色はブルー系のグラデーション。幅10cm、長さは布幅いっぱいの110〜140cmの大きなリボンにしてみましたが、雪囲いにちょうどよいサイズだったみたいです。 地面には、枯れ草で作った草木灰を撒いています。アルカリ性なので、土を中和してくれる肥料になるほか、不思議とネズミが寄りつきにくくなります。本能で火を避けるのでしょうか? 春を待つ時間は窓辺にミニガーデンを作ります 庭は今、深い雪の中。すべてを雪が覆い尽くしています。 すっぽり雪に覆われた地面ですが、ネズミのトンネルや、リスの食料庫となり、人の目にとまらない生活の跡が刻まれているはずです。さあ、今年の動物たちとの知恵くらべ。春にはどんな結果が待っているでしょうか? 雪に覆われた長い冬を彩ってくれるのが、窓辺の花たちです。長い間花を次々と咲かせるシクラメンと、香りのよいヒヤシンスがいつしか私の定番になりました。ヒヤシンスは、秋に鉢へ植え込み、霜が降りる寸前まで外で管理し、霜柱が立つ前に家の中に迎えます。 寒冷地の家は、高気密高断熱でポカポカです。十分寒さにさらされた球根は、家に入ると「春が来た〜!」と勘違いするみたい。 すぐに緑の芽を出して、スクスク大きくなっていきます。ブドウの房のようなつぼみがのぞくと、ワクワクドキドキ。部屋が暖かすぎると、せっかちなヒヤシンスは茎が立ち上がらないうちに、葉っぱの影で咲いてしまうんです。「ちょっと待ってよ〜」と言いながら、寒さにあてたり、光を遮ったり。 ちょうどいい高さにつぼみが上がるとウキウキワクワク。花が咲くと、小さな家は濃厚な香りが立ち込めて、春気分満点です。 花が終わった後のヒヤシンスは、ツン! と立った葉を観葉植物に見立てて、たまに液肥をあげながら、葉が茶色に枯れるまで大事に育てます。育てたいのは、来年も咲くプックリ太った球根です。 葉が映えるよう、鉢の上にエバーグリーンの松の小枝を載せて土を隠したり、マイクロシクラメンやアイビーと合わせたりしながら、グリーンの濃淡を主役に窓辺を彩りました。 私の心の中のテーマは「ホワイトガーデン」。こんなミニガーデニングもとっても楽しい! 何と何を合わせようかな? 小さな鉢や木の実などを、あっちに向けたり、こっちに持ってきたり。寄せ植え気分? いえフラワーアレンジ気分でしょうか? 光の方へと伸びていくので、リビングから一番よく見えるように、時折鉢の位置や向きをずらします。 でもね、ヒヤシンスは、これで終わりではありません。 長い冬を過ごしながらいつも花がそばにあるように 楽しみを長続きさせたくて、ヒヤシンスは全部をいっぺんに咲かせず、半分は冷蔵庫に入れて休眠させ、時期をずらして咲かせています。一番先の花はクリスマスから年末にかけて。花が終わった頃に冷蔵庫から出せば、だいたい2月に入ってすぐにまた花を楽しめます。 色も、最初が青と白なら、次はピンク系へと変えて、イメージチェンジ! 葉だけの球根が次第に増えていき、小さなグリーンのコーナーも広がっていきます。 写真のカゴの中は、春の野原のイメージ。ヒヤシンスの葉の鉢と、大きく広がるワイヤープランツ、切ったシクラメンを挿した小瓶を一緒に入れました。 冬中大切に育てた後、庭におろしたヒヤシンスは、分球を繰り返しながら少しずつ増えています。 森の中で自然に広がった野原のような庭を目指している私の庭。重たそうな花より、スズランのような花に育てたくて、過保護にしていた室内栽培から一転、肥料をあげずに育てています。見る人が見たら、貧弱なヒヤシンスかもしれませんが、お店に行っても見つからない、風が花を揺らすような小さなヒヤシンスが私は大好きです。 私にやすらぎをくれる春の庭をイメージして そんな調子で育てていても、いつの間にか庭は球根でいっぱいになりました。素朴な花で包まれた庭が私の安らぎです。 草葉の枯れる10月から、延々と続く長い冬。体が丈夫ではなく、移動には杖や車椅子が必要な私にとって、車椅子のタイヤが雪にめり込み身動きの取れない季節です。杖も雪にズボッ! 家に引きこもりがちになり、つい鬱々となりそうな日々ですが、小さな花たちに一喜一憂することで、私の脳内はいつも春! だからこそ、この長い冬を、飽きもせず美しいと思えるのかもしれません。 本格的な雪解けは、3月半ば頃から4月頭です。溶け始めた雪が水を含んで重たくなると、土が顔を見せる前からワクワク胸が高鳴ります。それまでずっと純白の世界に見慣れた目には、枯草も土も、すべてが新鮮です。土の香りを感じると、懐かしさと春の喜びが湧き上がります。 クロッカスがつんつん伸びて花の季節の到来を告げるのは4月半ば。大きな庭では見過ごすほどの小さな花ですが、鮮やかな色が目に染み入ります。 まだまだ先の春を待ちながら、家を心地よく整えて、ぬくぬく過ごす冬の家です。Garden Storyをお読みの皆様のもとへ、一日も早く明るい春が訪れますように♡
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ガーデン
春をイメージして手が進む晩秋の庭仕事
私流の秋の庭作業スタイル 秋の森は静かです。にぎやかな虫の声も、鳴き交わす鳥の歌も、時の向こうに消え、耳にささやくのは風が草葉を抜ける音だけ。毎年、急にシンとした森に「ああ、秋が来た……」と思います。もうすぐ長い冬……花咲く庭が名残惜しくなりますが、寂しがってはいられません。本格的に冬を迎える前の「今」こそ、来年に向けた絶好の庭シーズンです。 この季節の朝晩は、関西の真冬並みに冷え込みます。太陽が照らす日中は温度も上がり心地よく感じますが、それはほんのいっとき。寒がりの私の体に冷えが伝わってこないよう守ってくれるのが、ナイロン製の農作業着「ヤッケ」です。さすがプロの農家さんの御用達だけあって、動きやすさも防寒も抜群! 一般的なピッタリサイズの上下の着こなしに、私はちょっと、ひと工夫。あえて特大サイズの上着に、黒いワンサイズ小さいズボンを履いて、チュニック風に見せています。農作業着のお店にはお手頃価格でサイズも色も豊富に揃っているんですよ。 軽作業の時は写真のようにゆったりしたワンピースを重ねます。庭用にザブザブ洗える薄手のデニムで作りました。何年も庭に出るたび羽織ってきたワンピースで庭にいると、庭に溶け込んでいける気がします。汗をかくほど動かない時は、なおさら冷えやすいのですが、一枚のワンピースがつくる空気層で心地よくポカポカです。 楽しみでする庭仕事。身も心も心地よくありたいと思っています。 秋恒例の庭作業はお買い物からスタート 庭仕事着を身にまとって庭に出る前に、まず向かうのはガーデンセンター! 狙いは球根とバーゲン苗です。荒地だった土地に森を育てようと手入れをしている木々が育ち、日陰が増えている私の庭。庭の主役をバラから日陰に強いアジサイに変えようと苗を買ってきました。お値段なんと250円! 小さな苗が主役に育つのは何年後でしょうね。 チューリップは‘ピンクダイヤモンド’を毎年買い足しています。帰ったら腕まくりもそこそこに、裏庭で植え込み準備を開始。まずは、一つひとつに巻かれた品種名のラベル剥がしです。長雨続きの庭は荒れてきていますが、そんなの目に入りません。お手入れは後回し。 ウキウキした私を見て、愛犬のユピーやノノもソワソワ。あらら、球根をオヤツと思い込んで「おすわり」しちゃった。 球根を狙う可愛い庭の訪問者 実は、球根を本当にごちそうと思い込んでいるエゾリスがいて困っています。ユリ根はともかく、チューリップなんて美味しいのかしら? と疑問に思うのですが、毎年食べているところを見ると……きっと美味しいのでしょうね。 「ああ〜食べられた」と歯ぎしりするくらいなら、エゾリスとも仲よく共存して大らかに見守りたいと、球根もお手頃価格を選んでいます。皮を剥いで見たらカビが! ということもありますが、そこもオーケー。できればリスにはカビの球根を一番に掘り当てて「今年は食べられないわ〜」と、ドングリを食べに行ってほしいなあ。 土を掘って球根を植えましょう 植えるテンポはゆっくり、ゆっくり。芝生のエッジを切ったり、雑草を抜いたりしながら、えっちらおっちら。ふと見上げた時に、もう枝先を止めたつもりだったバラが咲いていて、宝物を見つけたようにときめいたりしながら、春のために庭を整えていきます。 失敗から学んだ春咲き球根を植えるコツ 球根を植える時は、宿根草が目印です。ミヤマオダマキやゲラニウムの周りが遅咲きスイセンの‘サーウィンストンチャーチル(写真内白い花)’。その間がチューリップのスペースです。なんとなく範囲を決めておくだけで、前年までに植わっていた球根にスコップが刺さって真っ二つにしてしまう「事件」は激減しました。スイセンだけでも500球以上が眠っているので、以前は事件が多発。おかげで、今年はたった1個ですみました。 春を夢見て植え込みとタネ播き 枯れ草の目立ち始めた庭ですが、球根を植えている時の脳内は春らんまん。夢を見ながら手を動かす時間は、かけがえのない一時です。 また、秋はタネ播きの季節でもあります。私のタネ播きは、立ち枯れた花を切って庭のあちらこちらに挿していくだけ。 大自然の懐にある我が家は豊かな土地に見えますが、開発跡の荒地です。石混じりの赤土と粘土は耕運機の歯が立たないほど硬く、黒土を数十cm盛ったご近所さんも、元の土との間に水が溜まり、根腐れを起こすなど尽きぬ悩みを抱えていました。 大規模な土壌改良をする余裕もなく、植物を育てるのを諦めそうになった時に活躍してくれたのが、こぼれダネから育つ花。自らの力で根を下ろし、根張りに見合ったサイズの茎葉をつける花たちは、小さくても元気いっぱい。根が土を耕し、ミミズを呼んで豊かな土へと育ててくれました。 植物が大きく育つようになった今、改めて根っこの力に感動を覚えます。 はじめに紹介させていただいた春の写真のミヤマオダマキ(青い花)も、タネをつけて枯れた花茎を、そのまま葉陰に挿すことで、生え広がってくれました。カゴの写真に入っているのは淡いブルーのカンパニュラ。7月にいっぱい咲いてくれたら嬉しいなあ……とあちらこちらに挿して回りました。 こぼれ落ちるタネが、無理なく育つ場所でのみ育っていく。花にとっても、私にとっても無理のない空間で、お互い伸びやかに生きていきたいと思います。 今年のガーデンでもたくさんの幸せをもらいました。秋冬の庭仕事は来春の私へのプレゼント。北海道の長い冬を経て、また訪れる芽吹きの季節が楽しみです。
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ストーリー
庭の花を摘んでカレンデュラオイルを手づくり
夏の庭の思い出も一緒に閉じ込める手づくりオイル 今年の晩夏は、台風や地震など落ち着かない日もありましたが、私もやっと、いろんな状況が一段落した秋。夏の間に集めておいたカレンデュラの花びらで、そろそろオイルをつくろうかなぁと思います。 庭というより、森の自然と共に生きてる我が家。野原そのものの庭もすっかり秋らんまんです。夏の思い出を詰め込んだ、毎年の恒例行事になっているオイルづくり、その工程をご紹介します。 冬のお肌をしっとりさせるカレンデュラの効果 我が家は全員、乾燥肌で敏感肌。空気が乾燥して肌がヒリヒリする冬の間に、安心して使える無添加オイルが生活の必需品になります。オイルには、お肌しっとりの嬉しい効果があるカレンデュラをプラスしています。 ふわりと咲き広がったカレンデュラの花びらを、通気がよいように広げておきます。花はタネがつかない方が長く咲いてくれるので、惜しげなく摘み取ります。 カレンデュラには、淡いレモン色やコーヒー色などオシャレな花色もありますが、薬効があるのは昔ながらのヒマワリ色だけ。ヨーロッパでは古くから花びらを浸したオイルが、傷や火傷に使える民間療法薬になっていました。 手で摘めば、ほのかに粘りのある汁が肌に触れます。「昔の人は乳液のような汁に肌を守る力があるのではと直感で思ったようですよ」とハーブについて学んだ先生がおっしゃっていました。 家の周りに明るい花を植えて、家族みんなの元気を祈った花が、今は科学的にもカロチロイドやフラボノイドが含まれると分かって、オーガニックな化粧品などに重宝されていることにロマンを感じます。 私はトレイのような平たいカゴに布を敷いて、木の枝にかけておきます。布目に花びらが軽く引っかかるので少しくらいの風なら大丈夫。あっという間に小さく細く縮んで、朝に摘んだ花は夕方にはもうカラカラです。集めた花びらが夏の思い出。 カレンデュラの花が乾燥したらオイルに漬けます 漬け始めたら、ハチミツ色のオイルができるまでに2週間。今年はお茶用に干したミントとポプリのローズも試しに漬けてみました。果たして色や香りがつくのか…ワクワクします♪ もし失敗したら、家具や床のワックスにしようと思います。 カレンデュラの花びらが乾燥したら、次に用意するのは無添加のオイル。オイルに対して5%の重さの花びらと清潔な瓶、紙のコーヒーフィルターも使います。 作り方はとっても簡単。花びらを入れた容器にオイルを注ぐだけ。2週間、たまに振りながら漬けておき、最後に紙のフィルターで漉して完成です。 使うオイルは「キャリアオイル」の表示がある、無添加のオイル。今はネット通販や雑貨店で手軽に手に入るようになりました。オリーブオイルやホホバオイルなど、さまざまなオイルから、肌に合うものを選ぶのも嬉しい悩みです。 つくるとなると、レシピが気になりますよね。ですが重さがなくなった? と思うくらい小さく縮む花びらを、花壇でたくさん採集するのは大変です。ほんの少ししか集まらず、小瓶の中で踊るような花びらの量でも、ガッカリしないで。 ハチミツ色のオイルは見ているだけでも癒やされます 花びらの色が滲み出ているなら、成分はオイルにしっかり滲み出ています。2週間漬け込んでいる間、眺めているのも心癒やされますよ。家族や友人に「キレイだね」なんて言ってもらえたら心ウキウキ。 できたオイルは明るいハチミツ色。元気が注入できそうな色だなあ…といつも思います。 紙のコーヒーフィルターを先が三角になるように折って、花びらを漉しながら、小瓶に入れます。保存の目安は冷蔵庫で約3カ月間。北海道の長い冬の間中使うには、もう1回つくらなくちゃ♪ 夫や息子が持ち歩いて恥ずかしくないように、シンプルな旅行用の詰め替え容器を選びました。 ラベルに書いたのはカレンデュラの学名「カレンデュラ・オフィキナリス」。“オフィキナリス”とは、“薬用”の意味なんですって。肌荒れが軽くすみますようにという、私からの「おまじない」です。 花びらは、手づくりコスメの材料として購入することもできます。ヒマワリ色の素朴な花畑、風に揺れる花々の風景……。ヨーロッパの昔の暮らしに思いを馳せて、ナチュラルコスメをつくる秋冬の夜長も、よい時間の過ごし方かなと思います。 先日、雨上がりの庭に出てビックリ! 「キノコの山」になっていました。食べられるかどうかキノコ図鑑を見たら、「不明」ですって。うーん、残念! 今年の初雪はいつなのか。外の空気が1日1日変わっていくのを感じつつ、残りわずかの秋の日を楽しみながら冬支度を始めています。
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クラフト
ほおずきを使った手づくりランタンアイデア
お盆前の秋の風物詩「ほおずき市」を訪ねて 2018年の夏は念願の訪問先、浅草の「ほおずき市」に行ってきました。何が念願だったかというと、ほおずき市が開催される7月9・10日は、“四万六千日”。“しまんろくせんにち”と呼ばれるご利益があるお参り日で、一生分の徳をつめる日なんですって。 昼間の活気ある市の様子に元気をもらい、少し涼やかな風が吹く夜のライトアップの時刻も、耳に心地よい風鈴の音に癒されて、いい時間を過ごしました。そんな東京の旅のお土産に竹カゴに植わるホオズキを、北海道の自宅まで大切に持ち帰りました。夏の間、家の軒下にハンギングしていましたが、これって、日本の元祖ハンギングバスケット! 和のカゴでハンギングって素敵だなぁと、眺めるたびに、あの夏の日を思い出しました。 そして、お盆が終わると北海道はすっかり秋の風。枝もののホオズキは飾ったまま、すっかりドライになりました。軒下で育てていたハンギングのホオズキも、いい色に染まりました。そろそろ収穫して、ホオズキクラフトに使うのにもいいタイミングのようです。 ホオズキのランタンづくり まずは仕上がりをご紹介しましょう。秋の窓辺のかわいいお守りに、いかがですか? なんともユーモラスな表情ですが、一応オバケなので「鬼灯」と漢字で書いた方がピンときそう。手のひらサイズの「鬼灯ランタン」は、去年、思いつきでつくり始めたもので、ホオズキ独特の明るいオレンジ色といい、日の光に透けてランタンのように輝く様子といい、ハロウィンムード満点! すっかり私のお気に入りです。 一つとして同じ形ではないホオズキのアンバランスさや、葉脈が透けるナチュラルな雰囲気に癒されます。 この機会に“ジャック・オー・ランタン”と呼ばれるカボチャをくり抜いた飾りの起源を調べたら…もともとはカブのランタンだったのに、開拓期のアメリカで手に入りやすいカボチャでつくるようになったのだとか。ならば手に入りやすく、軽くて扱いやすいホオズキでつくるのも正解ね♪ と嬉しくなりました。 「鬼灯ランタン」のつくり方は、とても簡単! 1.汚れてもよいように作業スペースを確保しましょう。 2.工作用ハサミでホオズキの袋の先端を切り開いて、中の実を取り出します。 3.口をイメージしてハサミで切り抜き、油性ペンで表面に目鼻を描きます。口の切り込みを入れる時はホオズキを2つ折りにすると、きれいに切り抜けます。マーカーで目鼻を描く時は、袋の中に指を入れて裏側で支えると描きやすいです。 4.開いた底面を両面テープで貼り合わせてでき上がりです。貼り合わせる時、グルーガンを使うと、より細やかに仕上がりますが、その場合、熱でホオズキが若干退色します。火傷の心配もあるので、子どもと一緒に工作を楽しむなら、両面テープがオススメです。 5.灯りを取り入れる場合は、開いたホオズキを貼り合わせず、切り込みを内側に巻き込むようにキャンドルを入れます。揺らぐような灯に魅せられて、どうしても使ってみたかった100円ショップのLEDキャンドルは、ホオズキのサイズ感にぴったり! いくつかつくっているうちに作業も馴れて、思わずたくさんつくって勢揃い♪ ホオズキの形によって、表情に変化が出るのも面白いところ。 細いワイヤーにLEDライトがついたタイプも、ランタン飾りの演出に活躍してくれますよ。 庭で咲いた紫陽花やグラス類のドライも添えて、ナチュラルな雰囲気満点のホオズキ飾りのコーナーができました。 これから冬に向けて、伝染病が流行ったり、季節の変わり目で体調を崩しやすいシーズンですね。昔の人々は悪霊の仕業だとして、自分も悪霊に仮装したり家を飾ることで悪霊に仲間だと思わせ、遠ざける意味合いもあったそうです。ジャック・オー・ランタンにも物語があって、ハロウィン飾りも諸説あるものの、幸せを願い、人生を楽しもうとする心は、普遍だと思います。 私も自然と共に楽しみを見出して、日々に夢を描きたいと思います。