自宅で庭づくりをしている人にとって、「住み替え」は、庭の移転という大仕事も同時進行になります。このたび転居を機に、新しい庭づくりに一から着手することになった神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんによる庭づくり奮闘記第3話。バラ苗を移動し、植え付けた後から開花までの生育を手助けする、春のお手入れについて解説していただきます。

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バラの開花を待ちながら

春のバラ庭

前回『実録! バラがメインの庭づくり第2話 〜冬の植え付け編〜』でご紹介した冬に移植したバラ苗も、3月になると新芽が出て、春の息吹が感じられるようになりました。

今回は、移植したバラたちが、新しい庭でこれから元気に育つよう、少し手助けとなるような春の管理方法をご紹介いたします。

1.大切なのは見回りと観察

バラの庭づくり

バラの移植は、古株や大株になるほど負担が大きいものです。以前の庭で、長年育てていたものでも、移植時には根も枝も短く切り込むために、その後は生育が鈍る場合があります。

またその逆で、以前よりも元気に芽吹きを見せる苗もあり、どのバラも生育状況は同じと決めつけずに、よく見回って様子を観察しながら、個々の苗に合ったお手入れをすることが大切です。

2.春直前に行う剪定について

充実した芽を残す

春のバラ手入れ

2月下旬~3月上旬にかけて行う本剪定ですが、移植して間もない苗は、まず状態をよく観察することが大事です。芽吹きが順調な苗は、充実した芽を残して剪定し、芽吹きが遅れている苗は、しばらく様子を見ながら判断します。マニュアル的な剪定ではなく、個々のバラに合わせた剪定を行います。

また、移植した苗は、枝をかなり短くしていることが多いので、本剪定を必要としない場合もあります。

枯れ込んでしまった枝の剪定

春のバラ手入れ

写真のような、先端が枯れ込んだ枝がある場合は、その下の緑色の部分まで切り戻します。また、残念ながら茶色くなり枯れてしまった枝は、根元から切って整枝します。

3.芽かきの手順

移植した苗が順調だと、芽かきができるほど新芽が出てきます。同じ箇所からいくつも新芽が出ている場合には、一番よい芽を残して、他は手で抜き取ります。

芽かき前

芽かき

芽かき作業「手で抜き取る」

バラの芽かき

芽かき後

バラの芽かき

株の内側に向かって伸びている新芽は、将来「ふところ枝」となります。通気性が悪く病気にかかりやすくなるので、これも抜き取っておきます。

取り除いた新芽

芽かき

4.水やり

バラの水やり
水やりは株元に。

移植した苗が、元気に新芽を出し、また、芽吹いた新芽が元気に育つためにも、水やりはしっかり行います。

ただし、水はけが悪い場所に植え付けた場合は、根腐れを起こすことがありますので、水はけのよい用土に植えることが前提です。

活力剤
今回使用した活力剤「高濃度フルボ酸 微生物活力液アタックT-1」。

移植した時に使用した活力剤ですが、その後も2週間に1回程度、水やり時に使用すると根張りがよいようです。

活力剤
10ℓの水にキャップ6杯(200mlボトルの場合)の希釈液を株元に与えると、微生物の効果で土の団粒化が進み、根張りがよくなる。

5.追肥「芽出し肥」を施す

バラの芽出し肥
今回使用した追肥「バラの肥料」。販売元/花ごころ

3月頃に与える追肥を「芽出し肥」と呼び、この追肥はリン酸分の割合の多い肥料を施します。

ただし、肥料は多ければよいということではなく、適量を施すことが大切です。特に化成肥料は多すぎると根焼けを起こし、葉だけでなく株全体が枯れてしまうことがありますので注意してください。

バラの追肥
株元に撒いた追肥の様子。

与える量は地植えの場合で100g(袋の記載を参照)。ただし、冬の寒肥を十分撒いた、または寒肥を与えた後、あまり時間がたっていない場合などは、半分程度に減らすとよいでしょう。

6.病害虫予防

バラゾウムシ
写真は、体長2〜3mmのバラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)。 『バラの害虫対策! バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)一網打尽の「ゾウムシバンバン」』より。

春、特に気をつけたいバラにとっての害虫は、新芽を食い荒らすゾウムシです。見かけ次第捕殺します。

もし、育てたバラの花弁を飲食やポプリなどに活用したい場合は、無農薬栽培、または、化学殺虫成分不使用の有機農産物栽培に使える有機JAS対応資材を選んで病害虫予防に使用します。

有機スプレー
今回使用ったのは、食品成分を使用して作られた、有機農産物栽培に使える有機JAS対応資材「ベニカマイルドスプレー」(用法は、容器記載を参照)。発売元/住友化学園芸

植物が目覚める季節に思うこと

牡丹のつぼみ
移植した牡丹の苗(31株)も、つぼみを見せ始めてくれています。

新しい庭では、根付くかどうか心配していたバラ以外の植物も、花数は少ないですが無事に咲いてくれて、安堵しました。

樹形が整うまでは時間を要しますが、丁寧にじっくり育てていきたいと思っています。

ユスラウメ
戦前からあった樹齢80年以上の「ユスラウメ」も、移植に耐えて花を咲かせてくれました。
バラの新葉

バラも、5月の開花シーズンに向けて、つぼみを膨らませていく大切な時期ですので、引き続き、お手入れをがんばりたいと思います。

協力:株式会社花ごころ 村田高広、住友化学園芸株式会社 草間祐輔

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
http://roseherb.exblog.jp
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