自宅で庭づくりをしている人にとって、「住み替え」は、庭の移転という大仕事も同時進行になります。このたび転居を機に、新しい庭づくりに一から着手することになった神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんによる庭づくり奮闘記第5話。冬に移植したたくさんのバラが次々に花開く嬉しい季節がやってきました。元木さんのローズガーデンの楽しみ方をご紹介します。

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私たちを癒やすバラの存在

バラの庭
‘クロッカスローズ’(クリーム色)と‘アブラハム・ダービー’(アプリコット色)の間に、アプリコットのジギタリスが花穂を立ち上げています。

今年もバラの季節がやってきました。

ただ例年と大きく違うのは、多くのバラ園が休園となり、外出も自粛という状態です。

その一方、「おうち時間」が増えたことで、自宅でガーデニングを行いながら、不安やストレスを癒やす心のケアを、植物の力に求めるようになった方も多いと感じています。癒やしをくれる植物の中でも、特にバラは、花色や花形の美しさに加え、芳香の面からも人に力をくれる存在です。

イングリッシュローズ
左/イングリッシュローズの‘マサコ’を引き立てる白花のオルレアのコンビネーション。右/ハーブのヤロウの柔らかな葉に寄り添い咲くのは、可憐なバラ、イングリッシュローズの‘オリビア・ローズ・オースチン’。どちらも、甘く爽やかな心地よい香りが漂います。

そんなバラたちは、私にとってもなくてはならない存在です。思いがけず住まいを引っ越すことになりましたが、それまで育ててきたバラとも変わらずに、ずっと一緒に暮らしたいという思いから、以前の庭から新しい庭へバラも移植することにしました。その数は、約90品種。今年の1月から移植をし、そして迎えた5月。新しい庭で初めて咲くバラたちの姿を見ることができ、感無量です!

門周りに咲くバラたち

バラ‘ゴールデン・ボーダー’

家の顔ともいえる門周りには、明るく元気が出るような黄色~クリーム色、白やアプリコットといった花色のバラを植栽しました。中でも、門の前で出迎えてくれる多花性の元気なバラは‘ゴールデン・ボーダー’(F)です。

バラの庭

門柱の石の色に合わせて、イングリッシュローズの‘クロッカスローズ’(クリーム色)と‘アブラハム・ダービー’(アプリコット色)、HTの‘オフェリア’(手前のクリーム色)などを植栽しました。

バラのボーダーガーデン

バラのボーダーガーデン

バラがメインのボーダーガーデンの足元には、リクニスやリナリア、オルレア、ハーブのヤロウなどを植栽しました。

バラのボーダーガーデン

小花が風に揺れる草花がバラとバラをつないでいます。優しい印象のナチュラル風ガーデンに見えるよう、心がけて混植しました。

フェンスを彩るバラたち

フェンスのバラ
南側のフェンスには、こぼれるように咲くランブラーローズの‘ボルティモア・ベル’を誘引。小さなピンクのつぼみと中輪の白い花とのコントラストが、愛らしく優しげな雰囲気を作ってくれました。

フェンス周りにもたくさんの花が咲いています。バラは、風通しと日当たりを好むことを考慮して、塀を高くすることはせずに、フェンスを設置しました。日当たりがよい分、毎日水をしっかり与えることが大切です。

フェンスのバラ‘アブラハム・ダービー’

フルーティーな香りに、グラデーションがかる大輪のアプリコットピンクの花が美しいイングリッシュローズの‘アブラハム・ダービー’は、半日陰の以前の庭と比べて、だいぶ元気になり、ホッとしています。

フェンスのバラ’メイ・クイーン’

‘メイ・クイーン’は、3mを超す大きな株だったので、移植しても大丈夫だろうかと心配でしたが、とても元気よく枝を伸ばし、花を咲かせてくれました。本当によかったです。

フェンスのバラ

東側の隣家との間に設けたフェンスに誘引したのは、上方に‘プロスペリティ’(HMsk)と、その下方にはローズ・ドラジェ色といわれる‘ルイーズ・ドゥ・マリアック’(S)(下)。右下は、‘ボレロ’(F)です。

バラ’プロスペリティ’

‘プロスペリティ’も、以前の庭より元気になりました。

アンティーク風のフェンスに、アイボリーの花色がマッチしました。

暮らしの中でもバラ咲く喜びを味わう

ローズガーデン
庭に置いたテーブルに、摘んできたバラや草花を花瓶に活けて。

庭に咲くバラや草花の姿をただ眺めることができるだけでも喜ばしいことですが、自分で面倒をみながら育ててきたバラや草花を摘んで、花瓶やアレンジメントなどに飾れるようになったことも、とても喜ばしいことです。

バラのアレンジ

庭を眺めながら、お茶を頂く至福の一時。

新居にはバラの庭に面する場所にコンサバトリーを設けました。雨の日はこの部屋からもバラを眺められますし、お天気がよい日は扉を大きく開いて、まるで庭にいるような感覚で食事をすることができます。

バラのアレンジ

パウダーピンクのバラ‘メルヘンツァウバー’(F)を中心に、左右に‘プシュケ’(S)、黄色のバラ‘ゴールデン・ボーダー’、オルレア、カモミール、シルバーレースを添えて。

バラのケーキ

ケーキにもバラの花びらを飾りに使うこともできます。

なお、バラの花弁を飲食に利用する場合、農薬を使用せずに栽培、または、化学殺虫成分不使用の有機農産物栽培に使える有機JAS対応資材のものを選んで病虫害予防に使用する必要があります。

無農薬栽培をするために植え付け時やお手入れに使った資材については、以下の記事を参考に。

実録! バラがメインの庭づくり第3話 ~移植したバラ、春の管理方法〜

バラの庭

植え付けから開花までの管理を日々頑張ってきたおかげで、今年のバラの季節にも、こうして自宅でバラの花を愛でることができました。

それぞれのバラを見渡しながら、よく移植に耐えて咲いてくれたと、感謝の思いがこみ上げます。

本来の樹形や樹勢に戻るまでは、もう少し時間がかかりそうな品種もありますが、焦らず、楽しみながら面倒を見ていくつもりです。

そして、また新たに、庭にバラをお迎えし、理想の庭に、近付けていきたいと考えています。どんなバラを選んだかは、またの機会にご紹介できたらと思います。

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
http://roseherb.exblog.jp
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